JP2010177529A - パワーモジュールのシール部構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】樹脂部分が冷却媒体のシール面となっている場合でも充分なシール性能を得ることのできるパワーモジュールのシール部構造を提供する。
【解決手段】ヒートシンク31上にトランジスタ等を実装して半導体装置70を構成する。半導体装置70を樹脂ケース34に保持させて半導体ユニット32を構成し、半導体ユニット32の下面に流路ケース41を取り付けてパワーモジュール30を構成する。樹脂ケース34と流路ケース41の間にシール部材47を介装し、樹脂ケース34の側縁部をボルト50によって流路ケース41に締結固定する。樹脂ケース34のシール部材47との当接部34aよりも内側に肉厚調整用の溝51を形成し、樹脂ケース34の成形時の引け反りを防止する。
【選択図】図4

Description

この発明は、パワーモジュールのシール部構造に関するものである。
従来からパワーモジュールの中には、放熱効率の向上を図るために、基台部材に孔を設け、ここにセラミックス製の放熱部材を備えた半導体装置を、放熱部材を孔に挿入した状態で設け、基台部材の孔に冷媒を流して半導体装置を冷却する構造のものがある(特許文献1参照)。
特開2007−159250号公報
ところで、このようなパワーモジュールにおいては、流路となる孔を一つの部材で形成しているため、メインテナンス性が悪いという問題がある。ところが、メインテナンス性を良くするため、製造上の便宜からこのようなパワーモジュールを分割構造とした場合に、シール性能を確保することが困難となるという問題がある。
特に、樹脂などで複雑な形状に形成されたパワーモジュールは、部位毎に厚さ寸法が異なるため、製造時の冷却速度(硬化速度)が部位によってばらつき、この冷却速度のばらつきによって製品面に引け反りが生じ易くなる。そして、この引け反りがシール部材の当接面の近傍に生じると、シール性能の確保が難しくなる。
そこで、この発明は、冷却を必要とする半導体装置を備えたパワーモジュールにおいて、樹脂部分が冷却媒体のシール面となっている場合でも充分なシール性能を得ることのできるパワーモジュールのシール部構造を提供しようとするものである。
上記の課題を解決する請求項1に記載の発明は、ヒートシンク(例えば、後述の実施形態におけるヒートシンク31)を備えた半導体装置(例えば、後述の実施形態における半導体装置70)が樹脂部材(例えば、後述の実施形態における樹脂ケース34)に保持されて成る半導体ユニット(例えば、後述の実施形態における半導体ユニット32)と、この半導体ユニットに取り付けられ、前記ヒートシンクを冷却する冷媒の流路を形成する流路ケース(例えば、後述の実施形態における流路ケース41)と、で構成されるパワーモジュールのシール部構造であって、前記半導体ユニットの樹脂部材と流路ケースの当接部間にシール部材(例えば、後述の実施形態におけるシール部材47)が介装されるとともに、前記樹脂部材の前記シール部材よりも外側の縁部が前記流路ケースにボルト締結され、前記樹脂部材のうちの前記シール部材との当接部よりも内側位置に、肉厚調整用の溝(例えば、後述の実施形態における溝51)が設けられていることを特徴とする。
この発明の場合、肉厚調整用の溝によって樹脂部材の肉厚がほぼ均一にされ、樹脂部材の製造時に、シール部材との当接部の近傍に引け反りが生じにくくなる。また、肉厚調整用の溝が、樹脂部材のうちのシール部材との当接部よりも内側位置に設けられているため、ボルト締結による荷重は肉厚調整用の溝に作用し難くなる。また、シール部材がボルト締結部に近接して配置されるため、ボルト締結による荷重によってシール部材が安定的に潰されるようになる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のパワーモジュールのシール部構造において、前記樹脂部材のうちの、前記シール部材との当接部の近傍領域は、前記流路を囲む周域方向において高さが変化し、前記肉厚調整用の溝は、前記樹脂部材の前記シール部材との当接部の近傍領域の、他の部位に比較して高さの高い部位に設けられていることを特徴とする。
これにより、樹脂部材の他の部位に比較して高さの高い部位が肉厚調整用の溝によって他の部位と大差のない厚みに調整され、樹脂部材の製造時に、シール部材との当接部の近傍に引け反りが生じにくくなる。
この発明によれば、肉厚調整用の溝によって樹脂部材の肉厚がほぼ均一にされ、樹脂部材の製造時に、シール部材との当接部の近傍に引け反りが生じにくくなるため、良好なシール性能を得ることができ、しかも、肉厚調整用の溝が、樹脂部材のうちのシール部材との当接部よりも内側位置に設けられていることから、ボルト締結部の肉厚を増加することなくボルト締結荷重をシール部材に有効に作用させることが可能になるとともに、肉厚調整用の溝へのボルト締結荷重の入力を少なくして樹脂部材の劣化を未然に防止することが可能になる。
したがって、この発明によれば、樹脂部材の大型化や重量増加を招くことなく、半導体ユニットと流路ケースの間のシール性能の向上と樹脂部材の耐久性の向上を図ることができる。
この発明の一実施形態のパワーコントロールユニットの回路図である。 この発明の一実施形態の半導体装置の斜視図である。 この発明の一実施形態の半導体ユニットの背面図である。 この発明の一実施形態のパワーモジュールの図3のA−A断面に対応する断面図である。
次に、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1はハイブリッド車両用のパワーコントロールユニット(PCU)1を含む回路の概略構成を示している。このハイブリッド車両はエンジン(図示せず)と、エンジンの機械的出力により駆動される発電機(GEN)2と、発電機2の発電出力により充電される高圧系のバッテリ(BAT)3と、バッテリ3の放電出力と発電機2の発電出力の少なくとも一方を用いて駆動輪(図示せず)を駆動する三相交流式のモータ(MOT)4と、を備えている。
パワーコントロールユニット1は、昇圧回路や降圧回路として機能するコンバータ(DC/DCCONV)7と、直流電力を三相交流電力に変換してモータ4を駆動するとともに、モータ4で発電された三相交流電力を直流電力に変換する第1インバータ(Tr/M PDU)5と、発電機2で発電された三相交流電力を直流電力に変換する第2インバータ(GEN PDU)6と、を備えている。
モータ4の駆動時には、コンバータ7で昇圧されたバッテリ3の直流電力、若しくは、第2インバータ2で直流に変換された発電機2の発電電力が第1インバータ5によって任意の出力の三相交流電力に変換され、その電力がモータ4に供給される。また、バッテリ3への充電時には、第1インバータ5で直流電力に変換されたモータ4の回生電力、若しくは、第2インバータ6で直流電力に変換された発電機2の発電電力がコンバータ7によって設定電圧の直流電力に降圧され、その電力がバッテリ3に供給される。
コンバータ7、第1インバータ5及び第2インバータ6は、制御基板(ECU)8からの制御指令によりゲートドライブ基板(GDCB)9を介して駆動制御される。
第1インバータ5は、例えば、複数のスイッチング素子(例えば、IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor)を具備するブリッジ回路5aと平滑コンデンサ5bが設けられたパルス幅変調(PWM)によるPWMインバータによって構成されている。この第1インバータ5にはモータ4とコンバータ7が接続されている。
第2インバータ6は、第1インバータ5と同様に、複数のスイッチング素子を具備するブリッジ回路6aと平滑コンデンサ6bが設けられたパルス幅変調(PWM)によるPWMインバータ等によって構成されている。また、この第2インバータ6には発電機2とコンバータ7が接続されている。
第1インバータ5と第2インバータ6の各ブリッジ回路5a,6aには、U相,V相,W相の各相に対応するハイ側のトランジスタUH,VH,WHとロー側のトランジスタUL,VL,WLが設けられている。各相のハイ側のトランジスタUH,VH,WHはコンバータ7の正極側端子Ptに接続され、ロー側のトランジスタUL,VL,WLはコンバータ7の負極側端子Ntに接続されている。各相毎の対をなすトランジスタUHとUL,VHとVL,WHとWLはそれぞれ直列に接続され、各相のトランジスタの対はコンバータ7に対して並列に接続されている。また、各トランジスタUH,UL,VH,VL,WH,WLのコレクタ電極部−エミッタ電極部間には、エミッタ電極部からコレクタ電極部に向けて順方向となるようにして、帰還ダイオードDUH,DUL,DVH,DVL,DWH,DWLが各々接続されている。
図2は、半導体装置70のブロックを示している。
この半導体装置70は、第1インバータ5のU相のハイ側のトランジスタUHとロー側のトランジスタULを、対応する帰還ダイオードDUH,DULとともにヒートシンク31上に一体化したものである。なお、第1インバータ5のV相、W相のハイ側とロー側のトランジスタVH,VL,WH,WLと帰還ダイオードDVH,DVL,DWH,DWLと、第2インバータ6の各相のハイ側とロー側のトランジスタUH,UL,VH,VL,WH,WLと帰還ダイオードDUH,DUL,DVH,DVL,DWH,DWLについても同様の構成の半導体装置70として構成されている。したがって、以下では第1インバータ5のU相の半導体装置70を代表として説明し、他の半導体装置70については異なる構成についてのみ説明するものとする。
ヒートシンク31は、アルミニウム材料から成り、矩形板状の台座43の下面に下側に向けて突出する複数のピン状のフィン40(図3,図4参照)が一体形成されている。また、台座43の上面には、窒化アルミ等の熱伝導性に優れた絶縁層44を介して一対のベース電極45,46が並列に設置されている。
一方のベース電極45はコンバータ7の正極側端子Pt(図1参照)と導通するPバスバー20に接続され、他方のベース電極46はモータ4のU相端子に接続されるOutバスTrU22に接続されている。一方のベース電極45の上方には、OutバスTrU22から延出した平板状の接続片22aが平行に配置され、ベース電極45と接続片22aの間にハイ側のトランジスタUHとダイオードDUHが接続されている。なお、ハイ側のトランジスタUHは、コレクタ側がベース電極45(Pバスバー20)に接続され、エミッタ側が接続片22a(OutバスTrU22)に接続されている。
他方のベース電極46の上方には、コンバータ7の負極側端子Nt(図1参照)と導通するNバスバー21の平板状の接続片21aが平行に配置され、ベース電極46とNバスバー21の間にロー側のトランジスタULとダイオードDULが接続されている。なお、ロー側のトランジスタULは、コレクタ側がベース電極46(OutバスTrU22)に接続され、エミッタ側がNバスバー21の接続片21aに接続されている。
また、ヒートシンク31の上面側には、トランジスタUH,ULのゲート電極やその他の電子機器に接続する信号線を設置するための端子台69(図4参照)が配置されている。
なお、V相とW相の半導体装置70においては、OutバスTrU22に代えて、モータ4のV相端子に接続されるOutバスTrV23(図1参照)と、モータ4のW相端子に接続されるOutバスTrW24(図1参照)が用いられている。また、第2インバータ6のU,V,Wの各相の半導体装置70では、OutバスTrU25、OutバスTrV26、OutバスTrW27(図1参照)が用いられている
図3は、第1インバータ5のU相,V相,W相の3つの半導体装置70が樹脂ケース34(樹脂部材)で保持された半導体ユニット32を示し、図4は、この半導体ユニット32の下面側に流路ケース41が取り付けられたパワーモジュール30を示している。
この実施形態では、第1インバータ5のU相,V相,W相の3つの半導体装置70が一つのパワーモジュール30として一体化されている。
3つの半導体装置70は一列に並べられ、これらの半導体装置70の周縁部と上面側が樹脂ケース34によって覆われている。
なお、樹脂ケース34は、枠部が最初に半導体装置70と一体化され、その後に各半導体装置70の上部を覆うように枠部内にポッティングが行われる。このため、各半導体装置70の上部は樹脂ケース34のポッディング部内に埋設されるが、Pバスバー20、OutバスTrU22、Nバスバー21の各接続端子部と、端子台69から引き出された信号ピン37は樹脂ケース34の外側に露出している。
樹脂ケース34は、連続して並べられた3つの半導体装置70の周縁部を取り囲む略長方形の枠状の周壁36を備え、その周壁36の内周面に、3つの半導体装置70のヒートシンク31の外周縁部を把持する凹状の把持部37が設けられている。樹脂ケース34の下面は偏平に形成され、その偏平な下面が後述する流路ケース41の上面に重合されるようになっている。そして、樹脂ケース34の下面のうちの、周壁36の内周縁部に対応する部位は、流路ケース41の上面に配置された環状のシール部材47と当接する当接部34aとされている。
ところで、樹脂ケース34の周壁36の高さは、周域方向で均一ではなく、図4に示すように半導体装置70の構造や周囲との干渉回避の関係で異なっている。具体的には、この実施形態では周壁36のうちの、長尺な一辺34Aの高さが他の辺34B,34C,34Dの高さに比較して高くなるように設定されている。また、周壁36の外周縁部には(四隅部と長尺な2辺の略等間隔に離間した2ヶ所)には他の部位に比較して高さ方向の肉厚の薄いボルト締結部48が設けられている。このボルト締結部48には挿通孔49が形成され、各挿通孔49には樹脂ケース34と流路ケース41を固定するためのボルト50が挿入されるようになっている。なお、樹脂ケース34上の各ボルト締結部48は、シール部材47との当接部34aよりも外側に配置されている。
ここで、樹脂ケース34の高さの高い辺34Aの当接部34aは、周壁36の内周面からの距離dが他の辺34B,34C,34Dに比較にして長く設定されている。具体的には、例えば、長尺な他辺34Bと比較した場合、図4に示すように他辺34Bの当接部34aはボルト締結部48と周壁36の内周面のほぼ中間位置に設定されているが、長尺な一辺34Aの当接部34aは、中間位置よりもボルト締結部48側に偏った位置に設定されている。
そして、長尺な一辺34Aの下面のうちの、当接部34aよりも内側領域(周壁36の内周面側の領域)には、断面矩形状の溝51が形成されている。この溝51は肉厚調整のための溝であり、この溝51によって周壁36の長尺な一辺の断面の肉厚がほぼ均等になるように設定されている。
流路ケース41は、半導体ユニット32の樹脂ケース34の下面に結合されて、樹脂ケース34との間に冷却媒体の流路を形成するものであり、上面の略中央部には、各ヒートシンク31のフィン40を受容する凹部42が形成されている。また、流路ケース41の長手方向の一端には、図3に示すように、凹部42内に冷媒を導入するための導入管52が接続され、長手方向の他端には凹部42から冷媒を排出するための排出管53が接続されている。
また、流路ケース41の上面はほぼ偏平に形成され、その上面に樹脂ケース34の下面が重合されるようになっている。そして、流路ケース34の上面には、凹部42の周囲を囲繞するように断面方形状のシール溝54が形成されている。このシール溝54には、樹脂ケース34側の当接部34aに当接する前記シール部材47が収容されている。シール部材47は円形断面のゴム弾性体から成り、ボルト50による締結により樹脂ケース34と流路ケース41で圧接されることによって凹部42の周域を液密にシールする。
以上のように、このパワーモジュール30においては、半導体装置70を保持する樹脂ケース34の周壁36のうちの、高さの高い部位に肉厚調整用の溝51が形成されているため、樹脂ケース34の肉厚、特に、シール部材47の当接部34aの近傍部分の肉厚がほぼ均一になる。このため、モールド成形時の各部の冷却時間(硬化時間)にばらつきが生じなくなり、樹脂ケース34の当接部aの近傍部分の引け反りの発生が防止される。したがって、樹脂ケース34と流路ケース41の間をシール部材47によって安定的にシールすることが可能になる。
また、このパワーモジュール30においては、肉厚調整用の溝51が樹脂ケース34のシール部材47との当接部34aよりも内側に設けられているため、ボルト締結部48の肉厚を厚くすることなくボルト50による締結荷重を近接位置でシール部材47に有効に作用させることができるうえ、ボルト締結荷重を肉厚調整用の溝51に作用しにくくして樹脂ケース34の劣化を未然に防止することができる。したがって、樹脂ケース34の肉厚増加による大型化や重量増加を招くことなく、シール部材47による安定的なシールと樹脂ケース34の耐久性の向上を図ることができる。
なお、この発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、例えば、ハイブリッド車両用以外のパワーユニットである電気自動車や燃料電池車両のような高出力を必要とするパワーユニットにも適用できる。また、2つのインバータを用いた場合について説明したが、インバータが一つのパワードライブユニットにも適用できることは勿論である。
30…パワーモジュール
31…ヒートシンク
32…半導体ユニット
34…樹脂ケース(樹脂材料)
41…流路ケース
47…シール部材
51…肉厚調整用の溝
70…半導体装置

Claims (2)

  1. ヒートシンクを備えた半導体装置が樹脂部材に保持されて成る半導体ユニットと、
    この半導体ユニットに取り付けられ、前記ヒートシンクを冷却する冷媒の流路を形成する流路ケースと、で構成されるパワーモジュールのシール部構造であって、
    前記半導体ユニットの樹脂部材と流路ケースの当接部間にシール部材が介装されるとともに、前記樹脂部材の前記シール部材よりも外側の縁部が前記流路ケースにボルト締結され、
    前記樹脂部材のうちの前記シール部材との当接部よりも内側位置に、肉厚調整用の溝が設けられていることを特徴とするパワーモジュールのシール部構造。
  2. 前記樹脂部材のうちの、前記シール部材との当接部の近傍領域は、前記流路を囲む周域方向において高さが変化し、
    前記肉厚調整用の溝は、前記樹脂部材の前記シール部材との当接部の近傍領域の、他の部位に比較して高さの高い部位に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のパワーモジュールのシール部構造。
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