JP2010177231A - 電気二重層キャパシタ用電解液及び電気二重層キャパシタ - Google Patents

電気二重層キャパシタ用電解液及び電気二重層キャパシタ Download PDF

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Abstract

【課題】電極やセパレータへの含浸性に優れた電気二重層キャパシタ用電解液を提供する。また、該電解液を使用し、極めて低い漏れ電流特性及び優れた電圧保持特性を示す電気二重層キャパシタを提供する。
【解決手段】溶媒中に電解質として第4級アンモニウム塩を含有させた電解液に、置換基に少なくともフェニル基が1個以上含有するシロキサン誘導体を添加することで、電極及びセパレータとの含浸性が向上し、極めて低い漏れ電流特性及び優れた電圧保持電特性を発揮できる。
【選択図】なし

Description

本発明は、添加剤を加えることで漏れ電流を低減し、電圧保持特性を向上せしめた電気二重層キャパシタ用電解液及び該電解液を使用してなる電気二重層キャパシタに関する。
電気二重層キャパシタは、重金属等の環境負荷物質を含まず安全であり、優れた充放電サイクル寿命を有し、大電流充放電が可能という特徴を持つため、近年、無停電電源装置や電気自動車の補助電源等への利用が進められている。
したがって、電気二重層キャパシタに用いられる電解液は、電気化学的安定性、高電気伝導性、経時安定性等の特性が要求される。加えて、電気二重層キャパシタは過酷な条件下において使用されることが想定されるため、その電解液としては、低温から高温に至るまでの広い温度範囲において、電気二重層キャパシタを安定に作動させることのできる特性も重要である。
また、この電気二重層キャパシタは、非常に大きな比表面積を有する活性炭電極を使用する点や、セルの漏れ電流が大きくなる傾向がある。その結果、実機設備に搭載した際に誤作動などを招くなど、不具合を生じる恐れがある。さらに、リチウムイオン2次電池などの2次電池に代表される他の蓄電デバイスと比較して、蓄電メカニズムに化学反応を伴わないために、電圧保持特性が悪くなる傾向にある。
従来の電気二重層キャパシタ用電解液は、プロピレンカーボネートやγ−ブチロラクトン等の非プロトン性有機溶媒中に、脂肪族第4級アンモニウム塩からなる常温で固体の電解質を溶解させたものが多用されている。
上記電解液は、電極となるシート状の活性炭およびセパレータに注液した後に減圧又は加圧、あるいは減圧と加圧を繰り返すことで含浸している。電解液が電極内部の細孔へ充分に行き渡らない場合や、セパレータが充分に濡れていないなどの未含浸部分が生じると、電圧保持特性の悪化、容量減少、内部抵抗増大、漏れ電流の増大、急速充放電特性の悪化等の、電気二重層キャパシタの電気的特性の劣化を招く。
一方、未含浸部分を低減しようとする目的で、含浸工程で過度に減圧にしすぎると、電解液に使用しているプロピレンカーボネートやγ−ブチロラクトン等の非プロトン性有機溶媒が蒸発し、溶質となる脂肪族第4級アンモニウム塩の濃度が変化して、本来発現し得る電気的特性が損なわれてしまう恐れがある。
従って、従来知られている電解液より、電極やセパレータへの含浸性に優れ、かつ、優れた電気的特性を発現できる電解液が望まれている。
例えば、特許文献1及び特許文献2に記載されているように、電気二重層キャパシタ用電解液の添加剤として提案されてきた物質としては、ホスファゼン及びその誘導体が挙げられる。
しかし、上記ホスファゼン及びその誘導体は、電気二重層キャパシタへの難燃性の付与や、低温での特性改善が主な目的であり、電気二重層キャパシタの含浸性の向上及び電圧保持特性の向上効果については考慮されていなかった。
特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、非特許文献1に、リチウムイオン電池などの負極用電解液添加剤としてポリエーテル変性シロキサン誘導体を加えることで、負極に導電性の薄膜を生じさせ、その薄膜によって、溶媒や電解質の分解を抑制し、耐電圧向上及びそれに伴う充放電サイクル特性が向上する旨が開示されている。
しかし、電気二重層キャパシタの充放電メカニズムや電極反応はリチウムイオン電池とは異なるものである上に、上記負極用電解液添加剤を電気二重層キャパシタ用電解液に添加することの効果は不明である。
本出願人はこれまで、特許文献7に電気二重層キャパシタ用電解液にポリエーテル変性シロキサン誘導体を加えることで、主に低温での電気二重層キャパシタ特性が向上する旨を開示している。また、特許文献8に、電気二重層キャパシタ用電解液に環状シロキサン誘導体を加えることで、漏れ電流の低減や電圧保持特性を向上できる旨を開示している。
しかし、これらに開示されているシロキサン誘導体を用いた電気二重層キャパシタ用電解液では、求められる諸特性が十分とは言えず、更なる特性向上が望まれていた。
国際公開第WO2002/021631号パンフレット 特開2001−217152号公報 特開平11−214032号公報 特開2004−235141号公報 特開2006−49266号公報 特開2006−66095号公報 特開2008−091820号公報 特開2008−277503号公報
猪瀬 耐、多田 覚、山田 直之、森本 英行、鳶島 真一、「第46回電池討論会予稿集」、2005年11月16〜18日、p.442
上記課題に鑑み、電極やセパレータへの含浸性に優れた電気二重層キャパシタ用電解液を提供することである。また該電解液を使用することで、極めて低い漏れ電流特性及び優れた電圧保持特性を示す電気二重層キャパシタを提供することである。
本発明者らは鋭意検討を行った結果、溶媒中に電解質として第4級アンモニウム塩を含有させた電解液に、1個以上フェニル基を有するシロキサン誘導体を添加することで、電気二重層キャパシタの電極及びセパレータとの含浸性が向上するため、著しく漏れ電流が低減し、優れた電圧保持特性を発揮できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明のシロキサン誘導体が添加された電気二重層キャパシタ用電解液は、添加剤を加えていない電解液と比べ、電極に対して非常に良好な濡れ電流特性と電圧保持特性を得ることができる
以下に、本発明を更に詳しく説明する。
第一の発明は、溶媒中に第4級アンモニウム塩と添加剤とが含有されてなる電気二重層キャパシタ用電解液において、
添加剤が、下記一般式(1)で表されるシロキサン誘導体であることを特徴とする電気二重層キャパシタ用電解液である。
Figure 2010177231
(式(1)中、R〜R10は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい水素原子、ハロゲン原子又は有機基を示し、少なくとも1個以上はフェニル基である。l及びmの数は0〜4の整数を示す。)
第二の発明は、溶媒中に第4級アンモニウム塩と添加剤とが含有されてなる電気二重層キャパシタ用電解液において、
添加剤が、下記一般式(2)で表されるシロキサン誘導体であることを特徴とする電気二重層キャパシタ用電解液である。
Figure 2010177231
(式(2)中、R11〜R16は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい水素原子、ハロゲン原子又は有機基を示し、少なくとも1個以上はフェニル基である。nの数は1〜4の整数を示す。)
第三の発明は、添加剤の含有量が、0.001〜1.0重量%であることを特徴とする第一又は第二の発明に記載の電気二重層キャパシタ用電解液である。
第四の発明は、セパレータを挟み込んだ分極性電極に、第一から第三の発明のいずれかに記載の電気二重層キャパシタ用電解液を含浸させ、これを容器に密閉してなる電気二重層キャパシタである。
本発明の電気二重層キャパシタ用電解液について詳細に説明する。
本発明の電気二重層キャパシタ用電解液に添加される添加剤は、下記一般式(1)に示されるシロキサン誘導体である。溶媒中に第4級アンモニウム塩を電解質として含有する電気二重層キャパシタ用電解液に該添加剤を添加することによって、電気二重層キャパシタの電極への含浸性の向上が見られ、非常に優れた濡れ電流特性及び電圧保持特性を有する電気二重層キャパシタが得られる。
本発明の電気二重層キャパシタ用電解液に添加される添加剤は、下記一般式(1)で表されるシロキサン誘導体であることを特徴とする電気二重層キャパシタ用電解液である。
Figure 2010177231
式(1)中、R〜R10は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい水素原子、ハロゲン原子又は有機基を示し、少なくとも1個以上はフェニル基である。l及びmの数は0〜4の整数を、より好ましくは1又は2の整数である。l+mが8を超える場合、著しく粘度が高くなってしまうことから、電解液に溶解したときに、キャパシタの特性が劣化してしまう欠点がある。
上記有機基として好ましいものは、鎖状アルキル基、鎖状エーテル基、環状アルキル基、アルコキシ基、ベンジルアルコキシ基、フェニルアルコキシ基、ベンジル基、フェニル基、エポキシ基、カルボキシル基、エポキシ基、スチリル基、含フッ素アルキル基、エステル基が挙げられる。より好ましいものは炭素数1〜4の鎖状のアルキル基が挙げられる。
上記一般式(1)で示されるシロキサン誘導体において、R〜R10の水素原子、ハロゲン原子又は有機基のうち、少なくとも1個以上はフェニル基であるものが好ましく、ケイ素原子に対し少なくとも1個以上はフェニル基が置換しているものがより好ましく、全てフェニル基であるものが特に好ましく挙げられる。
上記一般式(1)で表されるシロキサン誘導体を少なくとも一種類含有している添加剤である。
本発明の電気二重層キャパシタ用電解液に添加される添加剤は、下記一般式(2)で表されるシロキサン誘導体であることを特徴とする電気二重層キャパシタ用電解液である。
Figure 2010177231
式(2)中、R11〜R16は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい水素原子、ハロゲン原子又は有機基を示し、少なくとも1個以上はフェニル基である。nの数は1〜4の整数を示す。
上記有機基として好ましいものは、鎖状アルキル基、鎖状エーテル基、環状アルキル基、アルコキシ基、ベンジルアルコキシ基、フェニルアルコキシ基、ベンジル基、フェニル基、エポキシ基、カルボキシル基、エポキシ基、スチリル基、含フッ素アルキル基、エステル基が挙げられる。より好ましいものは炭素数1〜4の鎖状のアルキル基が挙げられる。
上記一般式(2)のR11〜R16の水素原子、ハロゲン原子又は有機基のうち、1個以上はフェニル基であるものが好ましく、ケイ素原子に対し少なくとも1個以上はフェニル基が置換しているものがより好ましく、全てフェニル基であるものが特に好ましく挙げられる。
上記一般式(2)で表されるシロキサン誘導体を少なくとも一種類含有している添加剤である。
一般式(1)、(2)の具体例として、例えば、下記一般式(3)〜(10)で示される添加剤が挙げられる。
Figure 2010177231
また、上記シロキサン誘導体の含有量は、好ましくは0.001〜1.0重量%であり、より好ましくは0.01〜0.5重量%であり、さらに好ましくは0.05〜0.2重量%である。0.001重量%未満の場合、添加したことによる含浸性の向上及びそれに伴う漏れ電流低減の効果が発揮されない欠点があり、1.0重量%より大きい場合、電解液の粘性率、電気伝導性、電圧保持特性が著しく劣るとともに、完全に溶解せず経済性にも劣る欠点がある。
上記添加剤を加えた電解液を、電気二重層キャパシタに適用することによって、電解液の電極への含浸性が向上する。その結果、これまで入り込めなかったような電極の細孔まで電解液で満たすことができるようになり、特に電気二重層キャパシタの漏れ電流低減や、それに伴う電圧保持特性の向上といった効果を得ることができる。
上記添加剤を加えた電解液を、電気二重層キャパシタに適用することによって、その界面活性剤としての作用から、活性炭シート電極及びセパレータへの電解液の含浸性の向上と、それに伴う漏れ電流低減効果を得ることができる。
また、上記添加剤はその界面活性剤としての作用から、電解液の表面張力を下げる働きがあり、上記添加剤を添加した電解液を用いるとことで、電気二重層キャパシタ製造時の含浸性の向上等の効果が得られる。
第4級アンモニウム塩としては、従来公知の第4級アンモニウム塩から任意に選択でき、特に限定されない。陽イオンとして、例えば、テトラエチルアンモニウムイオン、トリエチルメチルアンモニウムイオンなどの第4級アンモニウムカチオン、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムイオン、ジエチルイミダゾリウムイオンなどの第4級イミダゾリウムカチオン、プロピルピリジニウムイオン、イソプロピルピリジニウムイオンなどの第4級ピリジニウムカチオン、スピロ−(1,1’)−ビピロリジニウムイオンなどのピロリジニウムカチオンからなる群から選択されることが好ましい。特にスピロ−(1,1’)−ビピロリジニウムイオンが好ましい。なお、これらの陽イオンは、2種以上が混合されていてもよい。
また、陰イオンは、非金属元素のみからなるアニオンが好ましいが、これらに限定されるものではない。例えば、BF 、PF 、CFSO 、N(CFSO 、N(CSO 、N(CFSO)(CSO、C(CFSO 、C(CSO からなる群から選択されることが好ましい。なお、これらのアニオンは、2種以上が混合されていてもよい。
上記第4級アンモニウム塩の濃度は、電解液全体に対して、0.1〜3.0mol/Lが好ましく、0.5〜1.5mol/Lがより好ましい。第4級アンモニウム塩の濃度が0.1mol/L未満では、電気伝導度が不足する場合があり、また、3.0mol/Lより多い場合は電解液の粘性率が増大するため含浸性が低下し、電気特性が劣る欠点がある。
溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、ビニレンカーボネート等の環状炭酸エステル類;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネート類;ギ酸メチル、酢酸メチル、酪酸メチル等の鎖状エステル類;テトラヒドロフランまたはその誘導体;1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジブトキシエタン、メチルジグライム等のエーテル類;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類;ジオキソランまたはその誘導体;エチレンスルフィド、スルホラン、スルトンまたはその誘導体;4−エチルフルオロベンゼン、(トリフルオロメチル)エチルカーボネート等のフッ素系溶媒等の単独又はそれら2種以上の混合物等を挙げることができる。
本発明の電気二重層キャパシタ用電解液は、以下の製造方法により調製することができる。
すなわち、上記溶媒に任意の濃度で第4級アンモニウム塩からなる電解質塩を加え、攪拌して塩が完全に溶解したことを確認してから、添加剤としてシロキサン誘導体を、好ましくは0.001〜1.0重量%、より好ましくは0.01〜0.5重量%、さらに好ましくは0.05〜0.2重量%加える。得られた電解液を脱水し、電解液中の水分を100ppm以下、好ましくは20ppm以下にまで減少させることで、目的とする電気二重層キャパシタ用電解液が得られる。
このようにして調整された電解液を使用して電気二重層キャパシタを作製することができる。本発明のキャパシタの作製は、一般的なキャパシタの製造方法によることができ、すなわち、セパレータを挟み込んだ分極性電極に、駆動用電解液となる本発明の添加剤を含有させた電気二重層キャパシタ用電解液を含浸させ、これを容器に密封することにより行われる。
キャパシタ電極に用いられる分極性電極としては、活性炭粉末、活性炭繊維などの多孔性炭素材料や、貴金属酸化物材料、あるいは導電性高分子材料などが用いられるが、多孔性炭素材料が安価で好ましい。また、セパレータとしては、セルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン系不織布などの素材からなるセパレータを用いることができる。
本発明の電気二重層キャパシタの形状としては、特に限定されず、フィルム型、コイン型、円筒型、箱型などの形状に作製することができる。
図1は上記形状のうち、コイン型電気二重層キャパシタの例であり、本発明の電気二重層キャパシタの構成の一例を示す概略断面図である。
図1中、負極キャップ1、負極電極2、集電体3からなる負極部と、集電体3、正極電極6、正極ケース7からなる正極部とを有し、正負両電極はセパレータ5を介し対向するよう配置される。電解液4は電極、セパレータ、及び容器中に含浸、充填される。負極キャップ1と正極ケース7とはガスケット8によって絶縁され、嵌合される。
以下、実施例を挙げ、本発明を更に詳しく説明する。なお、本発明は実施例によりなんら限定されない。
今回添加剤として使用したフェニル基を有するシロキサン誘導体「テトラメチルジフェニルジシロキサン」「ヘキサフェニルジシロキサン」「ヘキサフェニルシクロトリシロキサン」「オクタフェニルシクロテトラシロキサン」と比較として使用したシロキサン誘導体「ヘキサメチルジシロキサン」「ヘキサメチルシクロトリシロキサン」「オクタメチルシクロテトラシロキサン」の構造式と物性データを表1に示す。
Figure 2010177231
(実施例1)
[電気二重層キャパシタ用電解液の調整]
プロピレンカーボネートに濃度1.0mol/Lとなるようにスピロ−(1,1’)−ビピロリジニウムテトラフルオロボレートを加え、テトラメチルジフェニルジシロキサン(Fluka社製試薬)を0.1重量%添加し、脱水して水分値を20ppm以下にした電気二重層キャパシタ用電解液を得た(この電解液及び電解液を用いた電気二重層キャパシタを「発明品1」とする)。
プロピレンカーボネートに濃度1.0mol/Lとなるようにスピロ−(1,1’)−ビピロリジニウムテトラフルオロボレートを加え、ヘキサフェニルジシロキサン(東京化成工業株式会社製試薬)を0.1重量%添加し、脱水して水分値を20ppm以下にした電気二重層キャパシタ用電解液を得た(この電解液及び電解液を用いた電気二重層キャパシタを「発明品2」とする)。
同様に、プロピレンカーボネートに濃度1.0mol/Lとなるようにスピロ−(1,1’)−ビピロリジニウムテトラフルオロボレートを加え、ヘキサフェニルシクロトリシロキサン(東京化成工業株式会社製試薬)を0.1重量%添加し、脱水して水分値を20ppm以下にした電気二重層キャパシタ用電解液を得た(この電解液及び電解液を用いた電気二重層キャパシタを「発明品3」とする)。
同様に、プロピレンカーボネートに濃度1.0mol/Lとなるようにスピロ−(1,1’)−ビピロリジニウムテトラフルオロボレートを加え、オクタフェニルシクロテトラシロキサン(東京化成工業株式会社製試薬)を0.1重量%添加し、脱水して水分値を20ppm以下にした電気二重層キャパシタ用電解液を得た(この電解液及び電解液を用いた電気二重層キャパシタを「発明品4」とする)。
同様に、プロピレンカーボネートに濃度1.0mol/Lとなるようにトリエチルメチルアンモニウムテトラフルオロボレートを加え、テトラメチルジフェニルジシロキサン(Fluka社製試薬)を0.1重量%添加し、脱水して水分値を20ppm以下にした電気二重層キャパシタ用電解液を得た(この電解液及び電解液を用いた電気二重層キャパシタを「発明品5」とする)。
同様に、プロピレンカーボネートに濃度1.0mol/Lとなるようにトトリエチルメチルアンモニウムテトラフルオロボレートを加え、ヘキサフェニルジシロキサン(東京化成工業株式会社製試薬)を0.1重量%添加し、脱水して水分値を20ppm以下にした電気二重層キャパシタ用電解液を得た(この電解液及び電解液を用いた電気二重層キャパシタを「発明品6」とする)。
同様に、プロピレンカーボネートに濃度1.0mol/Lとなるようにトリエチルメチルアンモニウムテトラフルオロボレートを加え、ヘキサフェニルシクロトリシロキサン(東京化成工業株式会社製試薬)を0.1重量%添加し、脱水して水分値を20ppm以下にした電気二重層キャパシタ用電解液を得た(この電解液及び電解液を用いた電気二重層キャパシタを「発明品7」とする)。
同様に、プロピレンカーボネートに濃度1.0mol/Lとなるようにトリエチルメチルアンモニウムテトラフルオロボレートを加え、オクタフェニルシクロテトラシロキサン(東京化成工業株式会社製試薬)を0.1重量%添加し、脱水して水分値を20ppm以下にした電気二重層キャパシタ用電解液を得た(この電解液及び電解液を用いた電気二重層キャパシタを「発明品8」とする)。
同様に、プロピレンカーボネートに濃度1.0mol/Lとなるようにテトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレートを加え、テトラメチルジフェニルジシロキサン(Fluka社製試薬)を0.1重量%添加し、脱水して水分値を20ppm以下にした電気二重層キャパシタ用電解液を得た(この電解液及び電解液を用いた電気二重層キャパシタを「発明品9」とする)。
同様に、プロピレンカーボネートに濃度1.0mol/Lとなるようにテトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレートを加え、ヘキサフェニルジシロキサン(東京化成工業株式会社製試薬)を0.1重量%添加し、脱水して水分値を20ppm以下にした電気二重層キャパシタ用電解液を得た(この電解液及び電解液を用いた電気二重層キャパシタを「発明品10」とする)。
同様に、プロピレンカーボネートに濃度1.0mol/Lとなるようにテトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレートを加え、ヘキサフェニルシクロトリシロキサン(東京化成工業株式会社製試薬)を0.1重量%添加し、脱水して水分値を20ppm以下にした電気二重層キャパシタ用電解液を得た(この電解液及び電解液を用いた電気二重層キャパシタを「発明品11」とする)。
同様に、プロピレンカーボネートに濃度1.0mol/Lとなるようにテトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレートを加え、オクタフェニルシクロテトラシロキサン(東京化成工業株式会社製試薬)を0.1重量%添加し、脱水して水分値を20ppm以下にした電気二重層キャパシタ用電解液を得た(この電解液及び電解液を用いた電気二重層キャパシタを「発明品12」とする)。
プロピレンカーボネートに濃度1.0mol/Lとなるようにスピロ−(1,1’)−ビピロリジニウムテトラフルオロボレートを加え、脱水して水分値を20ppm以下にした電気二重層キャパシタ用電解液を得た(この電解液及び電解液を用いた電気二重層キャパシタを「比較品1」とする)。
発明品1のテトラメチルジフェニルジシロキサンをヘキサメチルジシロキサンに代えた以外は、発明品1と同様にして作製し、電気二重層キャパシタ用電解液を得た(この電解液及び電解液を用いた電気二重層キャパシタを「比較品2」とする)。
発明品1のテトラメチルジフェニルジシロキサンをヘキサメチルシクロトリシロキサンに代えた以外は、発明品1と同様にして作製し、電気二重層キャパシタ用電解液を得た(この電解液及び電解液を用いた電気二重層キャパシタを「比較品3」とする)。
発明品1のテトラメチルジフェニルジシロキサンをオクタメチルシクロテトラシロキサンに代えた以外は、発明品1と同様にして作製し、電気二重層キャパシタ用電解液を得た(この電解液及び電解液を用いた電気二重層キャパシタを「比較品4」とする)。
プロピレンカーボネートに濃度1.0mol/Lとなるようにトリエチルメチルアンモニウムテトラフルオロボレートを加え、脱水して水分値を20ppm以下にした電気二重層キャパシタ用電解液を得た(この電解液及び電解液を用いた電気二重層キャパシタを「比較品5」とする)。
発明品5のテトラメチルジフェニルジシロキサンをヘキサメチルジシロキサンに代えた以外は、発明品5と同様にして作製し、電気二重層キャパシタ用電解液を得た(この電解液及び電解液を用いた電気二重層キャパシタを「比較品6」とする)。
発明品5のテトラメチルジフェニルジシロキサンをヘキサメチルシクロトリシロキサンに代えた以外は、発明品5と同様にして作製し、電気二重層キャパシタ用電解液を得た(この電解液及び電解液を用いた電気二重層キャパシタを「比較品7」とする)。
発明品5のテトラメチルジフェニルジシロキサンをオクタメチルシクロテトラシロキサンに代えた以外は、発明品5と同様にして作製し、電気二重層キャパシタ用電解液を得た(この電解液及び電解液を用いた電気二重層キャパシタを「比較品8」とする)。
プロピレンカーボネートに濃度1.0mol/Lとなるようにテトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレートを加え、脱水して水分値を20ppm以下にした電気二重層キャパシタ用電解液を得た(この電解液及び電解液を用いた電気二重層キャパシタを「比較品9」とする)。
発明品9のテトラメチルジフェニルジシロキサンをヘキサメチルジシロキサンに代えた以外は、発明品9と同様にして作製し、電気二重層キャパシタ用電解液を得た(この電解液及び電解液を用いた電気二重層キャパシタを「比較品10」とする)。
発明品9のテトラメチルジフェニルジシロキサンをヘキサメチルシクロトリシロキサンに代えた以外は、発明品9と同様にして作製し、電気二重層キャパシタ用電解液を得た(この電解液及び電解液を用いた電気二重層キャパシタを「比較品11」とする)。
発明品9のテトラメチルジフェニルジシロキサンをオクタメチルシクロテトラシロキサンに代えた以外は、発明品9と同様にして作製し、電気二重層キャパシタ用電解液を得た。(この電解液及び電解液を用いた電気二重層キャパシタを「比較品12」とする)。
これらの電解液(発明品1〜12及び比較品1〜12)の25℃のときの粘性率(サン科学社製 レオメーター CR−500DX−SIIを用いて測定した。)、電気伝導度、電位窓を測定した結果を表2に示す。なお、電位窓の測定はサイクリックボルタモグラムにより酸化還元分解電圧の測定を行った。すなわち、作用極に白金線(直径3mm)、対極に白金板、参照電極にAg/Ag、掃引速度10mV/sで0.1mA/cmの電流が流れるまでの電圧を測定し、還元分解及び酸化分解電圧値から電位窓を決定した。
Figure 2010177231
表2に示すように、第4級アンモニウム塩にスピロ−(1,1’)−ビピロリジニウムテトラフルオロボレートを使用した発明品1〜4及び比較品1〜4、第4級アンモニウム塩にトリエチルメチルアンモニウムテトラフルオロボレートを使用した発明品5〜8及び比較品5〜8、第4級アンモニウム塩にテトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレートを使用した発明品9〜12及び比較品9〜12は、それぞれ粘性率、電気伝導度、電位窓の値は遜色ない結果となった。
次に、これら添加剤を加えた電解液の電極に対する濡れ性向上について、電極と電解液のとの接触角を測定することで評価した。また、含浸性の評価については、接触角の経時変化を計測することで評価した。
試験に使用した電極は、活物質(活性炭:日本エンバイロケミカルズ株式会社、白鷺KA)、導電材(ケッチェンブラック:ライオン株式会社、ECP−600JD)、バインダー(PTFE:三井・デュポン フロロケミカル株式会社、30−J)を混合して作製した。その重量組成比は活物質:導電材:バインダー=80部:10部:10部とした。これらの混合物にエタノールを加えながら十分に混錬し、圧延することで平均して厚み0.85mmの活性炭シート電極を得た。
接触角の測定には協和界面科学株式会社製のCA−X150を用いた。得られた活性炭シート電極上に、シリンジを用いて発明品9〜12及び比較品9〜12に示す電解液をそれぞれ約3.1μL滴下し、その液滴が作る接触角を測定した。また、含浸性の評価については、接触角の経時変化を1分毎に測定し、電解液の液滴が電極表面上に目視で確認できなくなった時間を比較することで評価した。これらの測定結果を表3に示す。
Figure 2010177231
表3に示すように、第4級アンモニウム塩にスピロ−(1,1’)−ビピロリジニウムテトラフルオロボレートを使用し、添加剤としてフェニル基を有するシロキサン誘導体を添加した発明品1〜4は、添加剤を使用しない比較品1やシロキサン誘導体を用いた比較品2〜4と比べて、接触角が減少し、含浸時間が短くなったため、含浸性が向上する結果となった。また、より好ましい添加剤としては、「発明品3」に使用した「ヘキサフェニルシクロトリシロキサン」であることが確認できた。
また、第4級アンモニウム塩にトリエチルメチルアンモニウムテトラフルオロボレートを用い、添加剤としてフェニル基を有するシロキサン誘導体を添加した発明品5〜8についても同様に、添加剤を使用しない比較品5やシロキサン誘導体を用いた比較品6〜8と比べて、接触角が減少し、含浸時間が短くなったため、含浸性が向上する結果となった。またより好ましい添加剤としては、「発明品7」に使用した「ヘキサフェニルシクロトリシロキサン」であることが確認できた。
また、第4級アンモニウム塩にテトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレートを用い、添加剤としてポリエーテル変性ポリシロキサンを添加した発明品9〜12についても同様に、添加剤を使用しない比較品9やメチルシロキサンを用いた比較品10〜12と比べて、接触角が減少し、含浸時間が短くなったため、含浸性が向上する結果となった。またより好ましい添加剤としては、「発明品11」に使用した「ヘキサフェニルシクロトリシロキサン」であることが確認できた。
(実施例2)
[電気二重層キャパシタの作製]
実施例1の電解液(発明品1〜12及び比較品1〜12)を用いて、図1に示すような電気二重層キャパシタを作製した。
正極及び負極電極は活物質(活性炭:日本エンバイロケミカルズ株式会社、白鷺KA)、導電材(ケッチェンブラック:ライオン株式会社、ECP−600JD)、バインダー(PTFE:三井・デュポン フロロケミカル株式会社、30−J)を混合し作製した。その重量組成比は活物質:導電材:バインダー=80部:10部:10部とした。これらの混合物にエタノールを加えながら十分に混錬し、圧延することで平均して厚み0.85mmの活性炭シート電極を得た。この活性炭シート電極をφ15のポンチで打ち抜いたものを、集電体(φ17のSUS316製プレート)が溶接されたケース、キャップ(何れもSUS316製)に導電性接着剤にて接着し、それぞれ正極部、負極部を得た。それらの電極に実施例1の電解液をそれぞれ注液し、0.060MPaで10分減圧含浸した後、ポリプロピレン製不織布をセパレータとして介し、ポリプロピレン製ガスケットをキャップに装着して組み立て、カシメ機にて嵌合して2032サイズのコイン型電気二重層キャパシタを完成した。
[電気二重層キャパシタの評価]
それぞれの電気二重層キャパシタについて、20℃において充放電試験を行った。各キャパシタを所定の測定温度下に30分以上放置し、キャパシタが所定温度に達した後、定格電圧として2.5Vを30分印加後、放電電流2mAにて定電流放電し、キャパシタ端子間電圧が2Vから1Vになるまでの時間より静電容量を算出した。また、放電の下限値を0.0Vとした。内部抵抗は静電容量測定時と同様に定格電圧として2.5Vを30分印加後、放電電流100mAにて定電流放電したときのIRドロップより算出した。漏れ電流は静電容量測定時と同様に、定格電圧として2.5Vを30分印加後、回路中に直列接続した定格1kΩの精密抵抗の抵抗間電圧を測定することで算出した。これらの測定結果を表4に示す。
Figure 2010177231
表4に示すように、第4級アンモニウム塩にスピロ−(1,1’)−ビピロリジニウムテトラフルオロボレートを使用し、添加剤としてフェニル基を有するシロキサン誘導体を添加した発明品1〜4は、比較品1〜4と比べて静電容量、内部抵抗でほぼ同等の値を得、漏れ電流については大幅に低減させる結果となった。またより好ましい添加剤としては、「発明品3」に使用した「ヘキサフェニルシクロトリシロキサン」であることが確認できた。
また、第4級アンモニウム塩にトリエチルメチルアンモニウムテトラフルオロボレートを用い、添加剤としてフェニル基を有するシロキサン誘導体を添加した発明品5〜8についても同様に比較品5〜8と比べると、静電容量、内部抵抗でほぼ同等の値を得、漏れ電流については大幅に低減させる結果となった。またより好ましい添加剤としては、「発明品7」に使用した「ヘキサフェニルシクロトリシロキサン」であることが確認できた。
また、第4級アンモニウム塩にテトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレートを用い、添加剤としてフェニル基を有するシロキサン誘導体を添加した発明品9〜12についても同様に添加剤を使用しない比較品9〜12と比べると、静電容量、内部抵抗でほぼ同等の値を得、漏れ電流については大幅に低減させる結果となった。またより好ましい添加剤としては、「発明品11」に使用した「ヘキサフェニルシクロトリシロキサン」であることが確認できた。
次に、実施例1の電解液(発明品1〜12及び比較品1〜12)を用いて作製した電気二重層キャパシタの電圧保持特性を測定した。各キャパシタを20℃にて30分以上放置し、キャパシタが所定温度に達した後、定格電圧として2.5Vを24時間印加した。次に回路をオープン状態にし、電気二重層キャパシタを自然放電させて電気二重層キャパシタの端子間電圧を72時間測定することで評価した。
72時間後の電気二重層キャパシタの端子間電圧及び電圧残存率を表5に示す。電圧残存率は、発明品1〜12及び比較品1〜12それぞれの自然放電開始直前の電圧を100%としたときの、72時間後の電気二重層キャパシタ電圧を百分率で示す。
Figure 2010177231
表4に示すように、第4級アンモニウム塩にスピロ−(1,1’)−ビピロリジニウムテトラフルオロボレートを使用し、添加剤としてフェニル基を有するシロキサン誘導体を添加した発明品1〜4は、比較品1〜4と比べて電圧保持特性に優れる結果となっている。またより好ましい添加剤としては、「発明品3」に使用した「ヘキサフェニルシクロトリシロキサン」であることが確認できた。
次に、第4級アンモニウム塩にトリエチルメチルアンモニウムテトラフルオロボレートを用い、添加剤としてフェニル基を有するシロキサン誘導体を添加した発明品5〜8についても同様に比較品5〜8と比べて電圧保持特性に優れる結果となっている。またより好ましい添加剤としては、「発明品7」に使用した「ヘキサフェニルシクロトリシロキサン」であることが確認できた。
次に、第4級アンモニウム塩にテトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレートを用い、添加剤としてフェニル基を有するシロキサン誘導体を添加した発明品9〜12についても同様に比較品9〜12と比べて電圧保持電特性に優れる結果となっている。またより好ましい添加剤としては、「発明品11」に使用した「ヘキサフェニルシクロトリシロキサン」であることが確認できた。
本発明の電気二重層キャパシタ用電解液の添加剤であるフェニル基を有するシロキサン誘導体を用いると、上述したように、電気二重層キャパシタの漏れ電流を低減する事ができ、その結果、優れた自己放電特性を有する電気二重層キャパシタを得る事ができる。
特に、電解質にスピロ−(1,1’)−ビピロリジニウムテトラフルオロボレートを使用した電解液及びセルは、従来のものよりも格段に優れた諸特性を有している。
本発明の電気二重層キャパシタの構成の一例を示す概略断面図。
1 負極キャップ
2 負極電極
3 集電体
4 電解質
5 セパレータ
6 正極電極
7 正極ケース
8 ガスケット

Claims (4)

  1. 溶媒中に第4級アンモニウム塩と添加剤とが含有されてなる電気二重層キャパシタ用電解液において、
    添加剤が、下記一般式(1)で表されるシロキサン誘導体であることを特徴とする電気二重層キャパシタ用電解液。
    Figure 2010177231
    (式(1)中、R〜R10は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい水素原子、ハロゲン原子又は有機基を示し、少なくとも1個以上はフェニル基である。l及びmの数は0〜4の整数を示す。)
  2. 溶媒中に第4級アンモニウム塩と添加剤とが含有されてなる電気二重層キャパシタ用電解液において、
    添加剤が、下記一般式(2)で表されるシロキサン誘導体であることを特徴とする電気二重層キャパシタ用電解液。
    Figure 2010177231
    (式(2)中、R11〜R16は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい水素原子、ハロゲン原子又は有機基を示し、少なくとも1個以上はフェニル基である。nの数は1〜4の整数を示す。)
  3. 添加剤の含有量が、0.001〜1.0重量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気二重層キャパシタ用電解液。
  4. セパレータを挟み込んだ分極性電極に、請求項1から3のいずれかに記載の電気二重層キャパシタ用電解液を含浸させ、これを容器に密閉してなる電気二重層キャパシタ。
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