JP2008091822A - 電気二重層キャパシタ用電解液及び電気二重層キャパシタ - Google Patents
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Abstract
【課題】電極やセパレータへの含浸性に優れ、低粘性率、高電気伝導性かつ、広い電位窓を示し、電気化学的安定性に優れた電気二重層キャパシタ用電解液の提供、及び該電解液を使用し、広い温度範囲、とりわけ低温度領域において高容量、低内部抵抗であり、かつ、優れた耐電圧特性を示す電気二重層キャパシタを提供。
【解決手段】溶媒中、第4級アンモニウム塩を電解質として含有する電気二重層キャパシタ用電解液にビフェニル誘導体を添加する。該添加剤を添加することによって、電気二重層キャパシタの電極及びセパレータへの含浸性の向上が見られ、低粘性率、および高電気伝導性を示し、かつ広い電位窓及び高い電気化学安定性の電解液が得られる。
【選択図】図2
【解決手段】溶媒中、第4級アンモニウム塩を電解質として含有する電気二重層キャパシタ用電解液にビフェニル誘導体を添加する。該添加剤を添加することによって、電気二重層キャパシタの電極及びセパレータへの含浸性の向上が見られ、低粘性率、および高電気伝導性を示し、かつ広い電位窓及び高い電気化学安定性の電解液が得られる。
【選択図】図2
Description
本発明は、電気二重層キャパシタ用電解液及び電気二重層キャパシタに関し、より詳しくは、添加剤を加えることで活性炭シート電極及びセパレータ不織布への含浸性を向上させ内部抵抗を低減せしめた電気二重層キャパシタ用電解液及び該電解液を使用してなる電気二重層キャパシタに関する。
電気二重層キャパシタは、重金属等の環境負荷物質を含まず安全であり、優れた充放電サイクル寿命を有し、大電流充放電が可能という特徴を持つため、近年、無停電電源装置や電気自動車の補助電源等への利用が進められている。
この電気二重層キャパシタは、出力密度向上のため、内部抵抗の低減化が求められており、その電気二重層キャパシタに用いられる電解液は電気化学的安定性、高電気伝導性、経時安定性等の特性が要求される。また、電気二重層キャパシタは過酷な条件下において使用されることが想定され、その電解液としては、低温から高温に至るまでの広い温度範囲において、電気二重層キャパシタを安定に作動させることのできる特性も重要である。
従来の電気二重層キャパシタ用電解液は、プロピレンカーボネートやγ−ブチロラクトン等の非プロトン性有機溶媒中に、脂肪族第4級アンモニウム塩からなる常温で固体の電解質を溶解させたものが多用されている。
上記電解液は、電極となるシート状の活性炭およびセパレータに注液して浸漬させ、減圧、または加圧、または減圧と加圧を繰り返すことで含浸している。電解液が電極内部の細孔へ充分に行き渡らない場合や、セパレータが充分に濡れていないなどの未含浸部分が生じると、容量減少、内部抵抗増大、電流レート特性の悪化等の電気二重層キャパシタの電気的特性の劣化を招く。
一方、未含浸部分を低減しようとする目的で、含浸工程で過度に減圧にしすぎると、電解液に使用しているプロピレンカーボネートやγ−ブチロラクトン等の非プロトン性有機溶媒が蒸発し、溶質となる脂肪族第4級アンモニウム塩の濃度が変化して、本来発現し得る電気的特性が損なわれてしまう恐れがある。
従って、従来知られている電解液より、電極やセパレータへの含浸性に優れ、かつ、電気的特性に優れた特性を有する電解液が望まれている。
例えば、電気二重層キャパシタ用電解液の添加剤として提案されてきた物質としては、ホスファゼン及びその誘導体が挙げられる。(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)
しかし、上記ホスファゼン及びその誘導体は、電気二重層キャパシタへの難燃性の付与や、低温での特性改善が主な目的であり、電気二重層キャパシタの含浸性向上および内部抵抗低減の効果については不十分であった。
特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、及び非特許文献1に、リチウムイオン電池などの電解液用添加剤としてビフェニル誘導体を加えることで、負極に導電性の薄膜を生じさせ、その薄膜によって、溶媒や電解質の分解を抑制し、耐電圧向上及びそれに伴う充放電サイクル特性が向上したり、過充電を防止したりする旨が開示されている。
しかし、電気二重層キャパシタの充放電メカニズムや電極反応はリチウムイオン電池とは異なるものである上に、上記添加剤を電気二重層キャパシタ用電解液に添加することの効果は不明である。
本発明は、上記課題に鑑み、電極やセパレータへの含浸性に優れ、低粘性率、高電気伝導性かつ、広い電位窓を示し、電気化学的安定性に優れた電気二重層キャパシタ用電解液の提供、及び該電解液を使用し、広い温度範囲、とりわけ低温度領域において高容量、低内部抵抗であり、かつ、優れた耐電圧特性を示す電気二重層キャパシタを提供することである。
本発明者らは上記課題に鑑み、鋭意検討を行った結果、溶媒中に電解質として第4級アンモニウム塩を含有させた電解液に、ビフェニル誘導体を添加することで、特に低温における電気伝導度を向上でき、該電解液を用いた電気二重層キャパシタは、電極及びセパレータとの含浸性も向上することと相俟って、著しく内部抵抗が低減し、幅広い温度領域、とりわけ低温領域で優れた電気特性を発揮できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、溶媒中に第4級アンモニウム塩と添加剤とが含有されてなる電気二重層キャパシタ用電解液において、上記添加剤が下記一般式(1)で示されるビフェニル誘導体であることを特徴とする電気二重層キャパシタ用電解液である。
上記(1)式中、R1〜10は有機基を示し、より好ましくは水素原子、ハロゲン原子、鎖状アルキル基、環状アルキル基、アルコキシ基、ベンジルアルコキシ基、フェニルアルコキシ基、フェニル基、ベンジル基を示し、それぞれ置換基を結合できるものは置換されていてもよく、同一でも異なっていてもよい。
また、本発明は、上記添加剤の含有量が0.01〜10重量%であることを特徴とする電気二重層キャパシタ用電解液である。
また、本発明は、上記第4級アンモニウム塩が、下記一般式(2)で表されるスピロ化合物であることを特徴とする電気二重層キャパシタ用電解液である。
上記(2)式中、m及びnは3〜7の整数を示し、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。X−は陰イオンを示す。
さらに、本発明は、セパレータを挟み込んだ分極性電極に、上記電解液を含浸させ、これを容器に密閉してなる電気二重層キャパシタである。
ビフェニル誘導体が添加された本発明の電気二重層キャパシタ用電解液は、低粘性率、高電気伝導度を示し、広い電位窓及び高い電気化学安定性を示す。
上記添加剤は電気二重層キャパシタに加えることによって、電解液の粘度を低下させることができ、活性炭シート電極及びセパレータへの電解液の含浸性向上と、それに伴う内部抵抗低減効果を得ることができる。
また、本発明の電解液を使用してなる電気二重層キャパシタは、高容量、低内部抵抗であり、特に低温領域での特性に優れる。また、上記添加剤は電解液の表面張力を下げる働きがあり、上記添加剤を添加した電解液を用いると、電気二重層キャパシタ製造時の含浸速度向上等のハンドリング向上の効果が得られる。
以下、本発明の電気二重層キャパシタ用電解液について詳細に説明する。
本発明の電気二重層キャパシタ用電解液に添加される添加剤は、上記一般式(1)に示されるビフェニル誘導体である。溶媒中、第4級アンモニウム塩を電解質として含有する電気二重層キャパシタ用電解液に該添加剤を添加することによって、電気二重層キャパシタの電極及びセパレータへの含浸性の向上が見られ、低粘性率、および高電気伝導性を示し、かつ広い電位窓及び高い電気化学安定性の電解液が得られる。
本発明の電気二重層キャパシタ用電解液に添加される上記添加剤は下記一般式(1)で示される、少なくとも1種類のビフェニル誘導体であることを特徴とする電気二重層キャパシタ用電解液である。
上記(1)式中、R1〜R10は有機基を示し、それぞれ置換基を結合できるものは置換されてもよい。
上記有機基として好ましいものは、水素原子、ハロゲン原子、鎖状アルキル基、鎖状エーテル基、環状アルキル基、アルコキシ基、ベンジルアルコキシ基、フェニルアルコキシ基、フェニル基、ベンジル基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、エポキシ基、水酸基、スチリル基、含フッ素アルキル基、エステル基を例示することができる。
R1〜R10はそれぞれ置換基を結合できるものは置換されていてもよく、同一でも異なっていてもよい。ビフェニル誘導体を加えることで、電極−電解液界面が活性になり、電極と電解液の相性がよくなる。結果、これまで入り込めなかったような電極の細孔まで電解液で満たすことができるようになり、特に低温においてキャパシタの静電容量増加や内部抵抗低減といった効果を得ることができる。
また、上記ビフェニル誘導体の含有量は0.01〜10重量%であることが好ましく、より好ましくは0.1〜1重量%である。
第4級アンモニウム塩としては、従来公知の第4級アンモニウム塩から任意に選択でき、特に限定されない。具体的には、陽イオンとして、テトラエチルアンモニウムイオン、トリエチルメチルアンモニウムイオンなどの第4級アンモニウムカチオン、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムイオン、ジエチルイミダゾリウムイオンなどの第4級イミダゾリウムカチオン、プロピルピリジニウムイオン、イソプロピルピリジニウムイオンなどの第4級ピリジニウムカチオン、スピロ−(1,1’)−ビピロリジニウムイオンなどのピロリジニウムカチオンからなる群から選択されることが好ましい。なお、これらの陽イオンは、2種以上が混合されていてもよい。陰イオンは、特に限定されないが、非金属元素のみからなるアニオンが好ましい。
上記第4級アンモニウム塩において、上記一般式(2)で表されるスピロ化合物塩は、溶媒への溶解性に優れ、得られる電解液の粘性率、電気伝導度及び電位窓、電気化学安定性の観点からより好適に使用できる。(2)式中、m及びnはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい3〜7の自然数を示し、X−は陰イオンを示す。
上記一般式(2)で表されるスピロ化合物塩として具体的には、スピロ−(1,1’)−ビピロリジニウムイオン、スピロ−(1,1’)−ビピペリジニウムイオン、ピペリジン−1−スピロ−1’−ピロリジニウムイオンなどを例示することができ、特に好ましくはスピロ−(1,1’)−ビピロリジニウムイオンである。
また、陰イオンは、非金属元素のみからなるアニオンが好ましいが、これらに限定されるものではない。上記非金属元素のみからなる具体的なアニオンとしては、BF4 −、PF6 −、CF3SO3 −、N(CF3SO2)2 −、N(C2F5SO2)2 −、N(CF3SO2)(C4F9SO2)−、C(CF3SO2)3 −及びC(C2F5SO2)3 −からなる群から選択されることが好ましい。なお、これらのアニオンは、2種以上が混合されていてもよい。
溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、ビニレンカーボネート等の環状炭酸エステル類;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネート類;ギ酸メチル、酢酸メチル、酪酸メチル等の鎖状エステル類;テトラヒドロフランまたはその誘導体;1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジブトキシエタン、メチルジグライム等のエーテル類;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類;ジオキソランまたはその誘導体;エチレンスルフィド、スルホラン、スルトンまたはその誘導体;4−エチルフルオロベンゼン、(トリフルオロメチル)エチルカーボネート等のフッ素系溶媒等の単独またはそれら2種以上の混合物等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
本発明の電気二重層キャパシタ用電解液は、以下の製造方法により調製することができる。
すなわち、上記溶媒に任意の濃度で第4級アンモニウム塩からなる電解質塩を加え、攪拌して塩が完全に溶解したことを確認してから、添加剤として上記ビフェニル誘導体を、好ましくは0.01から10重量%、より好ましくは0.1〜1重量%加える。0.01重量%以下の場合、添加したことによる表面張力の低下およびそれに伴う電気伝導度の向上及び低粘性率化の効果が発揮されない場合があり、10重量%以上の場合、電解液の粘性率、電気伝導性及び電圧保持特性が著しく劣る場合が生じるとともに、経済性にも劣る場合がある。得られた電解液を脱水し、電解液中の水分を100ppm以下、好ましくは20ppm以下にまで減少させると、目的とする電気二重層キャパシタ用電解液が得られる。
本発明の電解液における第4級アンモニウム塩の濃度は、電解液全体に対して、0.5〜3mol/Lが好ましい。第4級アンモニウム塩の濃度が0.5mol/L未満では、電気伝導度が不足する場合があり、また、3mol/Lより多い場合は電気化学的安定性が低下するとともに、経済性に劣る場合がある。
このようにして調整された電解液を使用して電気二重層キャパシタを作製することができる。本発明のキャパシタの作製は、一般的なキャパシタの製造方法によることができ、すなわち、セパレータを挟み込んだ分極性電極に、駆動用電解液となる本発明の添加剤を含有させた電気二重層キャパシタ用電解液を含浸させ、これを容器に密封することにより行われる。
キャパシタ電極に用いられる分極性電極としては、活性炭粉末、活性炭繊維などの多孔性炭素材料や、貴金属酸化物材料、あるいは導電性高分子材料などが用いられるが、多孔性炭素材料が安価で好ましい。また、セパレータとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン系不織布などの素材からなるセパレータを用いることができる。
本発明の電気二重層キャパシタの形状としては、特に限定されず、フィルム型、コイン型、円筒型、箱型などの形状に作製することができる。
図1は上記形状のうち、コイン型電気二重層キャパシタの例であり、本発明の電気二重層キャパシタの構成の一例を示す概略断面図である。
図1中、負極キャップ1,負極電極2,集電体3からなる負極部と、集電体3,正極電極6,正極ケース7からなる正極部とを有し、正負両電極はセパレータ5を介し対向するよう配置される。電解液4は電極、セパレータ、及び容器中に含浸、充填される。負極キャップ1と正極ケース7とはガスケット8によって絶縁され、嵌合される。
本発明の電気二重層キャパシタは、極めて高い耐電圧を有し、少なくとも2.8Vから3.2Vに至るまでを含む範囲で安定した充放電特性を示す。
以下、実施例を挙げ、本発明を更に詳しく説明する。なお、本発明は実施例によりなんら限定されない。
実施例1
電気二重層キャパシタ用電解液の調整
プロピレンカーボネートに濃度1.5mol/Lとなるようにスピロ−(1,1’)−ビピロリジニウムテトラフルオロボレートを加え、ビフェニル(和光純薬工業製)を0.5重量%添加し、脱水して水分値を100ppm以下にした電気二重層キャパシタ用電解液を得た(以下、この電解液及び電解液を用いた電気二重層キャパシタを「発明品1」とする)。
電気二重層キャパシタ用電解液の調整
プロピレンカーボネートに濃度1.5mol/Lとなるようにスピロ−(1,1’)−ビピロリジニウムテトラフルオロボレートを加え、ビフェニル(和光純薬工業製)を0.5重量%添加し、脱水して水分値を100ppm以下にした電気二重層キャパシタ用電解液を得た(以下、この電解液及び電解液を用いた電気二重層キャパシタを「発明品1」とする)。
同様に、プロピレンカーボネートに濃度1.5mol/Lとなるようにスピロ−(1,1’)−ビピロリジニウムテトラフルオロボレートを加え、4−ベンゾイルビフェニル(和光純薬工業製)を0.5重量%添加し、脱水して水分値を100ppm以下にした電気二重層キャパシタ用電解液を得た(上記同様、「発明品2」とする)。
同様に、プロピレンカーボネートに濃度1.5mol/Lとなるようにスピロ−(1,1’)−ビピロリジニウムテトラフルオロボレートを加え、4−エチルビフェニル(和光純薬工業製)を0.5重量%添加し、脱水して水分値を100ppm以下にした電気二重層キャパシタ用電解液を得た(上記同様、「発明品3」とする)。
同様に、プロピレンカーボネートに濃度1.5mol/Lとなるようにスピロ−(1,1’)−ビピロリジニウムテトラフルオロボレートを加え、4−アセトキシビフェニル(和光純薬工業製)を0.5重量%添加し、脱水して水分値を100ppm以下にした電気二重層キャパシタ用電解液を得た(上記同様、「発明品4」とする)。
同様に、プロピレンカーボネートに濃度1.5mol/Lとなるようにスピロ−(1,1’)−ビピロリジニウムテトラフルオロボレートを加え、o−ターフェニル(和光純薬工業製)を0.5重量%添加し、脱水して水分値を100ppm以下にした電気二重層キャパシタ用電解液を得た(上記同様、「発明品5」とする)。
同様に、プロピレンカーボネートに濃度1.5mol/Lとなるようにスピロ−(1,1’)−ビピロリジニウムテトラフルオロボレートを加え、m−ターフェニル(和光純薬工業製)を0.5重量%添加し、脱水して水分値を100ppm以下にした電気二重層キャパシタ用電解液を得た(上記同様、「発明品6」とする)。
同様に、プロピレンカーボネートに濃度1.0mol/Lとなるようテトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレートを加え、4−アセトキシビフェニル(和光純薬工業製)を0.5重量%添加し、脱水して水分値を100ppm以下にした電気二重層キャパシタ用電解液を得た(上記同様、「発明品7」とする)。
比較として、1.5mol/Lのスピロ−(1,1’)−ビピロリジニウムのプロピレンカーボネート溶液を調整した(上記同様、「比較品1」とする)。また1.0mol/Lのテトラエチルアンモニウムのプロピレンカーボネート溶液を調整した(前記同様、「比較品2」とする)。
今回使用したビフェニル誘導体である「ビフェニル」、「4−ベンゾイルビフェニル」、「4−エチルビフェニル」、「4−アセトキシビフェニル」、「o−ターフェニル」、「m−ターフェニル」の物性について、表1に示す。
この電解液の25℃のときの粘性率、電気伝導度及び電位窓を測定した結果を表1に示す。なお、電位窓の測定はサイクリックボルタモグラムにより酸化還元分解電圧の測定を行った。すなわち、作用極に白金線(直径3mm)、対極に白金板、参照電極にAg/Ag+、掃引速度10mV/sで0.1mA/cm2の電流が流れるまでの電圧を測定し、還元分解及び酸化分解電圧値から電位窓を決定した。
表2に示すように、第4級アンモニウム塩にスピロ−(1,1’)−ビピロリジニウムテトラフルオロボレートを使用し、添加剤としてビフェニル誘導体を添加した発明品1〜6は、添加剤を使用しない比較品1と比べて粘性率及び電気伝導度に優れ、電位窓についても比較品と遜色ない結果となっている。具体的には粘性率で約26.2〜9.5%低減、電気伝導度で約3.8〜6.3%増大させる効果を得た。また、より好ましい添加剤としては、「発明品4」に使用した「4−アセトキシビフェニル」であることが確認できた。
また、第4級アンモニウム塩にテトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレートを用い、添加剤としてビフェニル誘導体を添加した発明品7についても同様に添加剤を使用しない比較品2と比べると、粘度で約9.3%低減、及び電導度で約5.2%させる効果を得、電位窓についても比較品と遜色ない分解電圧を示すことが確認できた。
実施例2
電気二重層キャパシタの作製
実施例1の電解液(発明品1〜7及び比較品1、2)を用いて電気二重層キャパシタを作製した。
電気二重層キャパシタの作製
実施例1の電解液(発明品1〜7及び比較品1、2)を用いて電気二重層キャパシタを作製した。
正極、及び負極電極は活物質(活性炭:日本エンバイロケミカルズ株式会社、白鷺KA)、導電材(ケッチェンブラック:ライオン株式会社、ECP−600JD)、及びバインダー(PTFE:三井・デュポン フロロケミカル株式会社、30−J)を混合し作製した。その重量組成比は活物質:導電材:バインダー=80部:10部:10部とした。これらの混合物にエタノールを加えながら十分に混錬し、圧延することで平均して厚み0.85mmの活性炭シート電極を得た。この活性炭シート電極をφ15のポンチで打ち抜いたものを、集電体(φ17のSUS316製プレート)が溶接されたケース、キャップ(何れもSUS316製)に導電性接着剤にて接着し、それぞれ正極部、負極部を得た。それらの電極に実施例1の電解液をそれぞれ注液し、0.060MPaで10分減圧含浸した後、ポリプロピレン製不織布をセパレータとして介し、ポリプロピレン製ガスケットをキャップに装着して組み立て、カシメ機にて嵌合して2032サイズのコイン型電気二重層キャパシタを完成した。
電気二重層キャパシタの評価
それぞれの電気二重層キャパシタについて、20℃において充放電試験を行った。各キャパシタを所定の測定温度下に30分以上放置し、キャパシタが所定温度に達した後、定格電圧として3.0Vを30分印加後、放電電流2mAにて定電流放電し、キャパシタ端子間電圧が2Vから1Vになるまでの時間より静電容量を算出した。また、放電の下限値を0.9Vとした。内部抵抗は静電容量測定時と同様に定格電圧として3.0Vを30分印加後、放電電流50mAにて定電流放電したときのIRドロップより算出した。漏れ電流は静電容量測定時と同様に、定格電圧として3.0Vを30分印加後、回路中に直列接続した定格1kΩの精密抵抗の抵抗間電圧を測定することで算出した。これらの結果を下表2に示す。
それぞれの電気二重層キャパシタについて、20℃において充放電試験を行った。各キャパシタを所定の測定温度下に30分以上放置し、キャパシタが所定温度に達した後、定格電圧として3.0Vを30分印加後、放電電流2mAにて定電流放電し、キャパシタ端子間電圧が2Vから1Vになるまでの時間より静電容量を算出した。また、放電の下限値を0.9Vとした。内部抵抗は静電容量測定時と同様に定格電圧として3.0Vを30分印加後、放電電流50mAにて定電流放電したときのIRドロップより算出した。漏れ電流は静電容量測定時と同様に、定格電圧として3.0Vを30分印加後、回路中に直列接続した定格1kΩの精密抵抗の抵抗間電圧を測定することで算出した。これらの結果を下表2に示す。
表3に示すように、第4級アンモニウム塩にスピロ−(1,1’)−ビピロリジニウムテトラフルオロボレートを使用し、添加剤としてビフェニル誘導体を添加した発明品1〜6は、添加剤を使用しない比較品1と比べて静電容量に優れ、内部抵抗で大幅に低減され、漏れ電流についても比較品と遜色ない結果となっている。具体的には静電容量で約1〜2%増大し、内部抵抗で約8〜12%低減させる効果を得た。またより好ましい添加剤としては、「発明品5」に使用した「o−ターフェニル」であることが確認できた。
また、第4級アンモニウム塩にテトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレートを用い、添加剤としてビフェニル誘導体を添加した発明品7についても同様に添加剤を使用しない比較品2と比べると、静電容量で約2%増大、及び内部抵抗で約8%させる効果を得、漏れ電流についても比較品と遜色ない分解電圧を示すことが確認できた。
次に、実施例1の電解液(発明品1〜7及び比較品1、2)を用いて作製した電気二重層キャパシタの温度特性を測定した。各キャパシタを所定の測定温度下に30分以上放置し、キャパシタが所定温度に達した後、定格電圧として3.0Vを30分印加後、放電電流2mAにて定電流放電し、キャパシタ端子間電圧が2Vから1Vになるまでの時間より静電容量を算出した。また、放電の下限値を0.9Vとした。内部抵抗は静電容量測定時と同様に定格電圧として3.0Vを30分印加後、放電電流50mAにて定電流放電したときのIRドロップより算出した。雰囲気温度は−40℃より10℃毎に温度を上昇させる方向で試験を行った。静電容量の温度特性測定結果を図2に、内部抵抗の温度特性測定結果を図3にそれぞれ示す。また、−40℃での添加剤の効果を下表4に示す。比較品1及び2を100としたときの発明品各キャパシタの静電容量及び内部抵抗の百分率を示している。(発明品1〜6については比較品1、発明品7については比較品2を基準としている。)
表4より、特に効果の高かった発明品4及び発明品5について、静電容量の温度特性測定結果を図2に、内部抵抗の温度特性測定結果を図3にそれぞれ示し、各測定結果と比較品1とを比較した。
図2、図3及び表4に示すように、第4級アンモニウム塩にスピロ−(1,1’)−ビピロリジニウムテトラフルオロボレートを使用し、添加剤としてビフェニル誘導体を添加した発明品1〜6は、添加剤を使用しない比較品1と比べて−40℃での静電容量発現性に優れ、同−40℃での内部抵抗で大幅に低減される結果となっている。具体的には静電容量で約38.9〜52.9%増大し、内部抵抗で約34.1〜17.7%低減させる効果を得た。またより好ましい添加剤としては、「発明品5」に使用した「O−ターフェニル」であることが確認できた。
加えて、第4級アンモニウム塩にテトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレートを用い、添加剤としてビフェニル誘導体を添加した発明品6についても同様に添加剤を使用しない比較品2と比べると、第4級アンモニウム塩にスピロ−(1,1’)−ビピロリジニウムテトラフルオロボレートを使用した場合と比べると、若干劣るものの、静電容量で約21.0%増大し、及び内部抵抗で約7.8%低減させる効果を得ることが確認できた。
本発明の電気二重層キャパシタ用電解液の添加剤であるビフェニル誘導体を用いると、上述したように、電気二重層キャパシタを試作する際の含浸性が向上し、それに伴い低内部抵抗化が可能になる。また、特に、電解質にスピロ化合物を使用した電解液及びセルは、従来のものより格段に優れた諸特性を有している。
Claims (4)
- 上記添加剤の含有量が、0.01〜10重量%であることを特徴とする請求項1に記載の電気二重層キャパシタ用電解液。
- セパレータを挟み込んだ分極性電極に、請求項1〜3のいずれか1つに記載の電気二重層キャパシタ用電解液を含浸させ、これを容器に密閉してなる電気二重層キャパシタ。
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