JP2007088359A - 電気化学デバイス用電解液及び該電解液を用いた電気化学デバイス - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、リチウム二次電池、電気二重層キャパシタなどに使用されるイオンの電荷移動による充電/放電機構を利用した電気化学デバイス用の電解液及び該電解液を用いてなる電気化学デバイスに関する。
近年、電気二重層キャパシタ、リチウム二次電池などの電気化学デバイスが、電子機器のバックアップ用電源などに広く用いられている。
これら電気化学デバイス用電解液は、電導度が低いとセルの内部抵抗が大きくなり、充放電時に電圧が降下する等の不都合が生ずるため、高電導度であることが要求される。また、電解液中の電解質濃度が低くイオン量が不足している場合、大電流密度での充電時に内部抵抗が上昇するため、電解液中の電解質濃度はできるだけ高い方が望ましい。
しかし、一般に電解液中の電解質濃度を高くすると、低温で電解液中の電解質が析出し易くなり、電導度が低下し、充放電特性が低下するといった不都合が生ずるため、低温でも結晶析出が生じない電解質が要求される。
従来、電気化学デバイス用電解液としては、γ−ブチロラクトン、プロピレンカーボネート等の非プロトン性溶媒中に、テトラエチルアンモニウム塩等の直鎖アルキル第4級アンモニウム塩や第4級ホスホニウム塩からなる電解質を溶解させたものが知られている。
しかしながら、前記電解質は、有機溶媒への溶解度が約0.7〜1.5mol/Lと小さく、また、該電解質を溶解させた電解液の電導度が低いという欠点があった。
近年、有機溶媒への溶解度が約3mol/Lと高いN,N’−ジアルキル置換イミダゾリウム塩を電解質として用いた電解液が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、前記N,N’−ジアルキル置換イミダゾリウム塩を電解質とした電解液は、直鎖アルキル第4級アンモニウム塩や第4級ホスホニウム塩と比較して還元分解電圧が高いため、該電解液を駆動電解液とする電気化学デバイスは、2.5Vを超える高電圧で使用すると容量減少、あるいは内部抵抗が増加する恐れがある。従ってエネルギー密度の向上を図るために、特に還元分解電圧が高く、電位窓の広い電解液が望まれている。
本発明の目的は、高電導度を示し、かつ還元分解電圧が低く、電位窓の広い電気化学デバイス用電解液を提供することである。
また、本発明の目的のもう一つは、前記電解液を用い、長期信頼性に優れた電気化学デバイスを提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、本発明の特定の環状アンモニウム塩が溶媒への溶解度が特異的に高く、該塩を電解質として含有する電解液は、電導度及び還元分解電圧に優れ、電気化学デバイス用電解液として好適な特性を有することを見出した。また該電気化学デバイス用電解液を用いてなる電気化学デバイスは長期信頼性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記一般式〔1〕で表される環状アンモニウム塩を含有することを特徴とする電気化学デバイス用電解液である。
式中、nは3〜7の正整数、mは1〜3の正整数、R1、R2は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい水素原子または炭素数1〜6のアルキル基、それぞれ同一であっても異なっていてもよい炭素数1〜3のアルキル基からなる群から選ばれる置換基を表し、Aは、酸成分を表す。
また、前記酸成分Aが、モノまたはジカルボン酸、モノまたはジアルキルリン酸エステル、無機酸、アミド化合物及び有機酸ホウ素錯体からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする前記電気化学デバイス用電解液である。
また、前記一般式〔1〕で表される環状アンモニウム塩の含有量が、5〜50質量%であることを特徴とする前記電気化学デバイス用電解液。
また、前記電気化学デバイス用電解液を用いた電気化学デバイスである。
本発明の電気化学デバイス用電解液に含有される環状アンモニウム塩は、溶媒への溶解度が特異的に高くそれ故に電解質として用いた場合、該環状アンモニウム塩を高濃度にでき、電導度の高い電解液が得られる。また、特定のカチオン構造を有する環状アンモニウム塩を含有させることで、還元分解電圧が低く、電位窓の広い電解液となる。また、該電解液を用いて作製した電気化学デバイスは高エネルギー密度であり、長期信頼性にも優れる。
以下、本発明の電気化学デバイス用電解液について、詳細に説明する。
本発明は、前記一般式〔1〕で表される環状アンモニウム塩を電解質として含有する電気化学デバイス用電解液である。
〔1〕式で表される環状アンモニウム塩は、例えば、以下の製造方法により得られる。
まず、ハロゲン化アルキルトリアルキルシランに環状アミンを作用させて環状アミン誘導体を得、ついで、該誘導体にハロゲン化アルキルを作用させて環状アンモニウム誘導体のハロゲン化物を得、続いてハロゲン化環状アンモニウム塩を水またはアルコール中にて電気透析させて環状アンモニウムヒドロキシドを得る。
該環状アンモニウムヒドロキシド溶液に、前記酸成分Aを等当量添加して、中和反応させた後、減圧下で乾燥させて、目的とする環状アンモニウム塩が得られる。
前記一般式〔1〕中R1は、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表すが、環状アンモニウム塩の合成の容易性及び経済性を考慮すると、水素が好適である。すなわち〔1〕式中の環状アルキル基は無置換であることが好ましい。
前記一般式〔1〕中R2は水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。
本発明に用いられる環状アンモニウム塩としては、電解液の電導度及び低温域で結晶析出し難さを考慮すると、n=4又は5である環状アンモニウム塩が、特に好ましい。
前記一般式〔1〕で表される環状アンモニウム塩において、酸成分を表すAとしては、周知の酸成分を用いることができ、例えば、脂肪族飽和モノカルボン酸または不飽和モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸、脂肪族飽和ポリカルボン酸または不飽和ポリカルボン酸、芳香族ポリカルボン酸、脂肪族オキシカルボン酸、芳香族オキシカルボン酸、フェノール類、モノまたはジアルキルリン酸エステル、スルホン酸、アミド化合物、無機酸、
有機ホウ素錯体等があげられる。
有機ホウ素錯体等があげられる。
溶媒への溶解性、分解電圧を考慮すると、本発明に用いられる環状アンモニウム塩として好適なものは、環状アンモニウムBF4塩、環状アンモニウムN(CF3SO2)2塩、環状アンモニウムPF6塩である。
本発明の電気化学デバイス用電解液を得るべく、前記環状アンモニウム塩を溶解するために用いられる溶媒としては周知のものを用いることができ、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、ビニレンカーボネート等の環状炭酸エステル類;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネート類;ギ酸メチル、酢酸メチル、酪酸メチル等の鎖状エステル類;テトラヒドロフランまたはその誘導体;1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジブトキシエタン、メチルジグライム等のエーテル類;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類;ジオキソランまたはその誘導体;エチレンスルフィド、スルホラン、スルトンまたはその誘導体等の単独またはそれら2種以上の混合物等があげられる。
本発明の電気化学デバイス用電解液に用いられる環状アンモニウム塩は有機溶媒に対する溶解度が高く50質量%以上溶解するが、好ましい濃度は、5〜50質量%である。
環状アンモニウム塩濃度が5質量%未満の場合、十分な電導度が得られず、また50質量%超の場合、濃度が高すぎるため、電導度が低下し、不都合である。
本発明の電気化学デバイス用電解液は、電導度が高く、特定のカチオン構造を有する電解質を含有させたことから還元分解電圧が低く、電位窓が広い。従って、本発明の電解液を用いた電気二重層キャパシタや非水系の電池等の電気化学デバイスは、高電圧で作動させることが可能であり、電解質である第四級アンモニウムカチオンや電極物質そのものが還元分解する恐れもないため、長期信頼性に優れる。
以下、本発明の実施の形態を、実施例及び比較例に基づき説明する。なお、本発明は、これらの実施例によりなんら限定されない。
実施例1
プロピレンカーボネートを溶媒として、四ホウフッ化ホウ酸N−メチル−N−(メチルトリメチルシラン)ピロリジニウムを1mol/Lとなるように溶解し、電解液を調製した。該電解液の温度30℃における電導度は13.62mS/cmであった。また、該電解液をサイクリックボルタモグラムにより酸化還元分解電圧の測定を行った。作用極に白金(直径3mm)、対極に白金、参照電極にAg/Ag+、掃引速度10mV/sで0.1mA/cm2の電流が流れるまでの電圧を測定した。その結果、還元分解電圧−2.2V、酸化分解電圧+1.8Vであり、電位窓は4.0Vであった。結果を表1に示す。
プロピレンカーボネートを溶媒として、四ホウフッ化ホウ酸N−メチル−N−(メチルトリメチルシラン)ピロリジニウムを1mol/Lとなるように溶解し、電解液を調製した。該電解液の温度30℃における電導度は13.62mS/cmであった。また、該電解液をサイクリックボルタモグラムにより酸化還元分解電圧の測定を行った。作用極に白金(直径3mm)、対極に白金、参照電極にAg/Ag+、掃引速度10mV/sで0.1mA/cm2の電流が流れるまでの電圧を測定した。その結果、還元分解電圧−2.2V、酸化分解電圧+1.8Vであり、電位窓は4.0Vであった。結果を表1に示す。
次に、電気化学デバイスとして、電気二重層キャパシタを作製した。正極、及び負極電極は活物質(活性炭:日本エンバイロケミカルズ株式会社、白鷺KA)、導電材(ケッチェンブラック:ライオン株式会社、ECP−600JD)、及びバインダー(PTFE:三井・デュポンフロロケミカル株式会社、30−J)を混合し作製した。その重量組成比は活物質:導電材:バインダー=80部:10部:10部とした。これらの混合物にエタノールを加えながら十分に混錬し、圧延することで平均して厚み0.85mmのシート電極を得た。このシート電極を直径15mmのポンチで打ち抜いたものを、集電体(直径17mmのSUS316製プレート)が溶接されたケース、キャップ(何れもSUS316製)に導電性接着剤にて接着し、それぞれ正極部、負極部を得た。それらの電極に該電解質をそれぞれ注液し、3mmHgで10分減圧含浸した後、ポリプロピレン製不織布をセパレータとして介し、ポリプロピレン製ガスケットをキャップに装着して組み立て、カシメ機にて嵌合して2032サイズのコイン型電気二重層キャパシタを完成した。
得られた電気二重層キャパシタについて、雰囲気温度70℃において電圧3.0Vを1000時間印加させて高温負荷試験を行った。初期及び1000時間後の静電容量値及び静電容量の減少率を表2に記す。なお、定格電圧として3.0Vを30分印加後、放電電流2mAにて定電流放電し、キャパシタ端子間電圧が2.5Vから1Vになるまでの時間より静電容量を算出した。また、放電の下限値を0.9Vとした。
得られた電気二重層キャパシタについて、雰囲気温度70℃において電圧3.0Vを1000時間印加させて高温負荷試験を行った。初期及び1000時間後の静電容量値及び静電容量の減少率を表2に記す。なお、定格電圧として3.0Vを30分印加後、放電電流2mAにて定電流放電し、キャパシタ端子間電圧が2.5Vから1Vになるまでの時間より静電容量を算出した。また、放電の下限値を0.9Vとした。
実施例2
プロピレンカーボネートを溶媒として、四ホウフッ化ホウ酸N−メチル−N−(プロピルトリメチルシラン)ピロリジニウムを1mol/Lになるように溶解し、電解液を調製した。該電解液の温度30℃における電導度は11.02mS/cmであった。また、実施例1と同様にサイクリックボルタンメトリーにより分解電圧を測定した。その結果、還元分解電圧−2.1V、酸化分解電圧1.8Vであり、電位窓は3.9Vであった。結果を表1に示す。
プロピレンカーボネートを溶媒として、四ホウフッ化ホウ酸N−メチル−N−(プロピルトリメチルシラン)ピロリジニウムを1mol/Lになるように溶解し、電解液を調製した。該電解液の温度30℃における電導度は11.02mS/cmであった。また、実施例1と同様にサイクリックボルタンメトリーにより分解電圧を測定した。その結果、還元分解電圧−2.1V、酸化分解電圧1.8Vであり、電位窓は3.9Vであった。結果を表1に示す。
次に、該電解液を用いて実施例1と同様に電気二重層キャパシタを作成し、実施例1と同様に高温負荷試験を行い、初期と1000時間後の静電容量値及び静電容量の減少率を測定した。結果を表2に示す。
比較例1
実施例1において、電解質として四ホウフッ化ホウ酸1−メチル−3−ヘキシルイミダゾリウムを用いた以外は、実施例1と同様にして電解液を調製した。該電解液の温度30℃における電導度は12.46mS/cmであった。また、実施例1と同様にサイクリックボルタンメトリーにより分解電圧を測定した。その結果、還元分解電圧−1.8V、酸化分解電圧1.8Vであり、電位窓は3.6Vであった。結果を表1に示す。
実施例1において、電解質として四ホウフッ化ホウ酸1−メチル−3−ヘキシルイミダゾリウムを用いた以外は、実施例1と同様にして電解液を調製した。該電解液の温度30℃における電導度は12.46mS/cmであった。また、実施例1と同様にサイクリックボルタンメトリーにより分解電圧を測定した。その結果、還元分解電圧−1.8V、酸化分解電圧1.8Vであり、電位窓は3.6Vであった。結果を表1に示す。
次に、該電解液を用いて実施例1と同様に電気二重層キャパシタを作成し、実施例1と同様に高温負荷試験を行い、初期と1000時間後の静電容量値及び静電容量の減少率を測定した。結果を表2に示す。
表2に示したとおり、比較例1に対し実施例1及び2は1000時間後の静電容量の変化が少なく、長期安定性が高い。
以上説明したように、本発明の電気化学デバイス用電解液は、溶媒への溶解性が特異的に高い環状アンモニウム塩を電解質として含有し、高電導度であり、還元分解電圧が低く、該電解液を用いて作製した電気化学デバイスは、長期信頼性に優れている。
Claims (4)
- 前記酸成分Aが、モノまたはジカルボン酸、モノまたはジアルキルリン酸エステル、無機酸、アミド化合物及び有機酸ホウ素錯体からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の電気化学デバイス用電解液。
- 前記一般式〔1〕で表される環状アンモニウム塩の含有量が、5〜50質量%であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電気化学デバイス用電解液。
- 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電気化学デバイス用電解液を用いた電気化学デバイス。
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JP2005277878A JP2007088359A (ja) | 2005-09-26 | 2005-09-26 | 電気化学デバイス用電解液及び該電解液を用いた電気化学デバイス |
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JP2010095473A (ja) * | 2008-10-17 | 2010-04-30 | Koei Chem Co Ltd | トリアルキルシリル基を有するオニウム塩 |
US20170170522A1 (en) * | 2015-12-14 | 2017-06-15 | NOHMs Technologies, Inc. | Silane Functionalized Ionic Liquids |
CN109119689A (zh) * | 2017-06-26 | 2019-01-01 | 比亚迪股份有限公司 | 非水电解液以及锂离子电池 |
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2005
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CN108701866A (zh) * | 2015-12-14 | 2018-10-23 | 诺姆斯科技有限公司 | 硅烷官能化离子液体 |
US11050087B2 (en) * | 2015-12-14 | 2021-06-29 | NOHMs Technologies, Inc. | Silane functionalized ionic liquids |
CN108701866B (zh) * | 2015-12-14 | 2022-05-31 | 诺姆斯科技有限公司 | 硅烷官能化离子液体 |
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