JP2010174695A - NOxセンサの故障診断システム及び故障診断方法 - Google Patents

NOxセンサの故障診断システム及び故障診断方法 Download PDF

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大介 柴田
Takenori Sakamoto
雄紀 坂本
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Abstract

【課題】本発明は、内燃機関の排気通路における選択還元型NOx触媒より下流側に設けられたNOxセンサにおいて、その出力値の応答性が低下する故障が生じているか否かをより正確に診断することを課題とする。
【解決手段】選択還元型NOx触媒の還元剤吸着能力が所定レベル以下に低下しているときに選択還元型NOx触媒への還元剤の供給を停止し(S102)、その後の下流側NOxセンサの出力値の変化に基づいて下流側NOxセンサの応答性故障が生じているか否かを診断する(S103〜S105)。
【選択図】図5

Description

本発明は、内燃機関の排気通路における選択還元型NOx触媒より下流側に設けられたNOxセンサの故障を診断するシステム及び方法に関する。
内燃機関の排気通路に選択還元型NOx触媒が設けられる場合がある。選択還元型NOx触媒は、還元剤が供給されることにより排気中のNOxを連続的に還元する触媒である。また、排気通路における選択還元型NOx触媒より下流側に設けられたNOxセンサ(以下、下流側NOxセンサと称する)の検出値に基づいて、選択還元型NOx触媒への還元剤の供給量を制御する場合がある。
下流側NOxセンサを設けた場合において、選択還元型NOx触媒への還元剤の供給が停止されているときに、選択還元型NOx触媒より上流側の排気のNOx濃度と下流側NOxセンサの検出値との差に基づいて下流側NOxセンサの故障を診断する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。このような故障診断によれば、下流側NOxセンサのセンサ素子部の機能低下により該センサの出力値が低下する故障(以下、ゲイン故障と称する)が生じているか否かを診断することが出来る。
ところが、下流側NOxセンサの故障としては、ゲイン故障以外に、センサ素子部のカバーの目詰まりを起因とするセンサの出力値の応答性が低下する故障(以下、応答性故障と称する)が考えられる。センサ素子部のカバーの目詰まりが生じると、センサ素子部を通過する排気の速度が低下するため、センサの出力値の応答性が低下する。
このような応答性故障の場合、排気のNOx濃度が変化したときのセンサの出力値の変化速度は正常時と比較して低下するが、その変化が収束した後のセンサの出力値は正常時と同等となる。そのため、下流側NOxセンサの応答性故障が生じていても、選択還元型NOx触媒への還元剤の供給が停止されているときの選択還元型NOx触媒より上流側の排気のNOx濃度と下流側NOxセンサの検出値との差が正常時と同等となる場合がある。従って、上記のような故障診断方法では、下流側NOxセンサの応答性故障が生じているか否かを診断することは困難な場合がある。
特開2008−133780号公報 特開2008−2440号公報 特許3607962号公報
本発明は、内燃機関の排気通路における選択還元型NOx触媒より下流側に設けられたNOxセンサにおいて、その出力値の応答性が低下する故障が生じているか否かをより正確に診断することが出来る技術を提供することを目的とする。
本発明は、選択還元型NOx触媒の還元剤吸着能力が所定レベル以下に低下しているときに選択還元型NOx触媒への還元剤の供給を停止し、その後の下流側NOxセンサの出力値の変化に基づいて下流側NOxセンサの応答性故障が生じているか否かを診断するも
のである。
より詳しくは、第一の発明に係るNOxセンサの故障診断システムは、
内燃機関の排気通路における選択還元型NOx触媒より下流側に設けられたNOxセンサの故障を診断するシステムであって、
前記排気通路における前記選択還元型NOx触媒よりも上流側から還元剤を添加する還元剤添加弁と、
前記選択還元型NOx触媒の還元剤吸着能力が所定レベル以下に低下しているか否かを判別する判別手段と、
前記判別手段によって前記選択還元型NOx触媒の還元剤吸着能力が前記所定レベル以下に低下していると判定されたときに前記還元剤添加弁からの還元剤の添加を停止させ、その後の前記NOxセンサの出力値の変化に基づいて前記NOxセンサの出力値の応答性が低下する故障が生じているか否かを診断する診断手段と、
を備えたことを特徴とする。
選択還元型NOx触媒への還元剤の供給が停止され、該選択還元型NOx触媒におけるNOxの還元が行われなくなると、その下流側の排気のNOx濃度が上昇する。その結果、下流側NOxセンサの出力値が上昇する。
しかしながら、選択還元型NOx触媒は還元剤吸着能力を有する。選択還元型NOx触媒に還元剤が吸着していると、還元剤添加弁からの還元剤の添加が停止されても、暫くの間、吸着された還元剤を用いてNOxの還元が行われる。このように、還元剤の添加停止後においてもNOxの還元が行われていると、選択還元型NOx触媒より下流側の排気のNOx濃度の上昇速度が低下する。そのため、下流側NOxセンサに出力値の変化に基づいて下流側NOxセンサの応答性故障が生じているか否かを診断することが困難となる。
そこで、本発明では、前記選択還元型NOx触媒の還元剤吸着能力が所定レベル以下に低下している時に還元剤添加弁からの還元剤の添加を停止する。ここで、所定レベルは、選択還元型NOx触媒でのNOxの還元量が、下流側NOxセンサの応答性故障の診断が可能な程度に抑えられる還元剤吸着能力の閾値である。この所定レベルを、選択還元型NOx触媒が還元剤吸着能力を発揮していないレベルとしてもよい。そして、還元剤の添加停止後の下流側NOxセンサの出力値の変化に基づいて下流側NOxセンサの応答性故障が生じているか否かを診断する。
従って、本発明によれば、下流側NOxセンサにおいて応答性故障が生じているか否かをより正確に診断することが出来る。
尚、選択還元型NOx触媒は、ある程度以上の温度となると温度の上昇に伴って還元剤吸着能力が低下する。そこで、判別手段は、選択還元型NOx触媒の温度が所定温度より高いときに、該選択還元型NOx触媒の還元剤吸着能力が所定レベル以下に低下していると判定してもよい。
本発明において、診断手段は、還元剤添加弁からの還元剤の添加を停止してから所定時間が経過した時点で、下流側NOxセンサの出力値が所定判定値に達していない場合、下流側NOxセンサにおいて応答性故障が生じていると診断してもよい。ここでの所定時間は、下流側NOxセンサにおいて応答性故障が生じているときに、還元剤添加弁からの還元剤の添加を停止してから下流側NOxセンサの出力値の変化が収束するまでの時間よりも短い時間である。
また、診断手段は、還元剤添加弁からの還元剤の添加を停止してから所定時間が経過し
た時点で、下流側NOxセンサの出力値の変化量が所定判定量に達していない場合、下流側NOxセンサにおいて応答性故障が生じていると診断してもよい。
また、診断手段は、還元剤添加弁からの還元剤の添加を停止した後、下流側NOxセンサの出力値が第一所定値から第二所定値まで変化する時間が所定変化時間より長い場合、下流側NOxセンサにおいて応答性故障が生じていると診断してもよい。この場合、第一所定値を、還元剤添加弁からの還元剤の添加を停止した時点の下流側NOxセンサの出力値としてもよい。また、第二所定値を、選択還元型NOx触媒よりも上流側における排気のNOx濃度の値としてもよい。
本発明においては、下流側NOxセンサの出力値が変化するときの変化速度を算出する変化速度算出手段をさらに備えてもよい。この場合、診断手段は、還元剤添加弁からの還元剤の添加を停止してから所定時間が経過するまでの間に下流側NOxセンサの出力値の上昇速度が所定速度まで達しないときに、下流側NOxセンサにおいて応答性故障が生じていると診断してもよい。ここでの所定時間は、下流側NOxセンサの応答性故障が生じているときにおいて、還元剤添加弁からの還元剤の添加を停止してから下流側NOxセンサの出力値の変化が収束するまでの時間以下の時間である。
上記において、所定判定値、所定判定量、所定変化時間及び所定速度は、下流側NOxセンサの出力値の応答性が正常であると判断出来る閾値であってもよい。
第二の発明に係るNOxセンサの故障診断方法は、
内燃機関の排気通路における選択還元型NOx触媒より下流側に設けられたNOxセンサの故障を診断する方法であって、
前記選択還元型NOx触媒の還元剤吸着能力が所定レベル以下に低下しているか否かを判別するステップと、
前記選択還元型NOx触媒の還元剤吸着能力が前記所定レベル以下に低下していると判定されたときに前記還元剤添加弁からの還元剤の添加を停止させるステップと、
前記還元剤添加弁からの還元剤の添加を停止した後の前記NOxセンサの出力値の変化に基づいて前記NOxセンサの出力値の応答性が低下する故障が生じているか否かを診断するステップと、
を有することを特徴とする。
本発明によれば、下流側NOxセンサにおいて応答性故障が生じているか否かをより正確に診断することが出来る。
本発明によれば、内燃機関の排気通路における選択還元型NOx触媒より下流側に設けられたNOxセンサにおいて、その出力値の応答性が低下する故障が生じているか否かをより正確に診断することが出来る。
実施例1に係る内燃機関およびその吸排気系の概略構成を示す図である。 尿素添加弁からの尿素水溶液の添加を停止した際の下流側NOxセンサの出力値の変化を示す図である。 選択還元型NOx触媒の尿素吸着能力と温度との関係を示す図である。 選択還元型NOx触媒の温度が吸着上限温度より高いときに尿素添加弁からの尿素水溶液の添加を停止した際の下流側NOxセンサの出力値の変化を示す図である。 実施例1に係る下流側NOxセンサの応答性故障診断のフローを示すフローチャートである。 選択還元型NOx触媒の温度が吸着上限温度より高いときに尿素添加弁からの尿素水溶液の添加を停止した際の下流側NOxセンサの出力値の変化及びその変化量の変化を示す図である。 実施例1の変形例に係る下流側NOxセンサの応答性故障診断のフローを示すフローチャートである。 選択還元型NOx触媒の温度が吸着上限温度より高いときに尿素添加弁からの尿素水溶液の添加を停止した際の下流側NOxセンサの出力値の変化を示す図である。 実施例2に係る下流側NOxセンサの応答性故障診断のフローを示すフローチャートである。 選択還元型NOx触媒の温度が吸着上限温度より高いときに尿素添加弁からの尿素水溶液の添加を停止した際の下流側NOxセンサの出力値の変化を示す図である。 実施例2の変形例に係る下流側NOxセンサの応答性故障診断のフローを示すフローチャートである。 選択還元型NOx触媒の温度が吸着上限温度より高いときに尿素添加弁からの尿素水溶液の添加を停止した際の下流側NOxセンサの出力値の変化及びその上昇速度の変化を示す図である。 実施例3に係る下流側NOxセンサの応答性故障診断のフローを示すフローチャートである。
以下、本発明に係るNOxセンサの故障診断システム及び故障診断方法の具体的な実施形態について図面に基づいて説明する。本実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置等は、特に記載がない限りは発明の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
<実施例1>
(内燃機関およびその吸排気系の概略構成)
図1は、本実施例に係る内燃機関およびその吸排気系の概略構成を示す図である。内燃機関1は4つの気筒2を有する車両駆動用のディーゼルエンジンである。各気筒2には該気筒2内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁3が設けられている。
内燃機関1には、インテークマニホールド5およびエキゾーストマニホールド7が接続されている。インテークマニホールド5には吸気通路4の一端が接続されている。エキゾーストマニホールド7には排気通路6の一端が接続されている。
吸気通路4にはターボチャージャ8のコンプレッサハウジング8aが設置されている。排気通路6にはターボチャージャ8のタービンハウジング8bが設置されている。
吸気通路に4におけるコンプレッサハウジング8aよりも上流側にはエアフローメータ11が設けられている。吸気通路4におけるコンプレッサハウジング8aよりも下流側にはスロットル弁12が設けられている。
排気通路6におけるタービンハウジング8bより下流側にはディーゼルパティキュレートフィルタ9が設けられている。また、排気通路6におけるディーゼルパティキュレートフィルタ9より下流側には選択還元型NOx触媒10が設けられている。選択還元型NOx触媒10はアンモニアを還元剤として排気中のNOxを還元する触媒である。尚、ディーゼルパティキュレートフィルタ9には酸化触媒等の酸化機能を有する触媒が担持されていてもよい。
排気通路6におけるディーゼルパティキュレートフィルタ9より下流側且つ選択還元型NOx触媒10より上流側には、排気中に尿素水溶液を添加する尿素添加弁13が設けられている。選択還元型NOx触媒15は尿素吸着能力を有し、
尿素添加弁13から添加され選択還元型NOx触媒15に供給された尿素水溶液中の尿素は選択還元型NOx触媒15に一旦吸着する。そして、該吸着した尿素が加水分解することでアンモニアが生じる。このアンモニアが還元剤となって排気中のNOxが還元される。
排気通路6におけるディーゼルパティキュレートフィルタ9より下流側且つ尿素添加弁13より上流側には、上流側NOxセンサ14及び上流側温度センサ16が設けられている。排気通路6における選択還元型NOx触媒10より下流側には、下流側NOxセンサ15及び下流側温度センサ17が設けられている。
内燃機関1には電子制御ユニット(ECU)20が併設されている。このECU20は内燃機関1の運転状態等を制御するユニットである。ECU20には、エアフローメータ11、上流側NOxセンサ14、上流側温度センサ16、下流側NOxセンサ15、下流側温度センサ17、クランクポジションセンサ21及びアクセル開度センサ22が電気的に接続されている。クランクポジションセンサ21は内燃機関1のクランク角を検出する。アクセル開度センサ22は内燃機関1を搭載した車両のアクセル開度を検出する。各センサの出力信号がECU20に入力される。
ECU20は、上流側温度センサ16及び下流側温度センサ17の出力値に基づいて選択還元型NOx触媒10の温度を導出する。ECU20は、クランクポジションセンサ21の出力値に基づいて内燃機関1の機関回転速度を導出する。ECU20は、アクセル開度センサ22の出力値に基づいて内燃機関1の機関負荷を導出する。
また、ECU20には、各燃料噴射弁3、スロットル弁12及び尿素添加弁13が電気的に接続されている。そして、ECU20によってこれらが制御される。
(下流側NOxセンサの応答性故障診断)
次に、本実施例に係る下流側NOxセンサの故障診断方法について説明する。本実施例においては、尿素添加弁13からの尿素水溶液の添加を停止した際の下流側NOxセンサ15の出力値の変化に基づいて、下流側NOxセンサ15の応答性故障が生じているか否かを診断する。
図2は、尿素添加弁13からの尿素水溶液の添加を停止した際の下流側NOxセンサ15の出力値の変化を示す図である。図2において、縦軸は下流側NOxセンサの出力値Rndを表しており、横軸は時間tを表している。時間tsは、尿素添加弁13からの尿素水溶液の添加を停止したタイミングを表している。
また、図2において、実線L1及び破線L2は選択還元型NOx触媒10が尿素吸着能力を発揮している場合を示しており、実線L3及び破線L4は選択還元型NOx触媒10が尿素吸着能力を発揮していない場合を示している。また、実線L1及び実線L3は下流側NOxセンサ15が正常な場合を示しており、破線L2及び破線L4は下流側NOxセンサ15の応答性故障が生じている場合を示している。
尿素添加弁13からの尿素水溶液の添加が停止されると、選択還元型NOx触媒10への尿素の供給が停止されることになる。その結果、選択還元型NOx触媒10においてNOxの還元が行われなくなり、その下流側の排気のNOx濃度が上昇する。その結果、下流側NOxセンサ15の出力値が上昇する。
しかしながら、選択還元型NOx触媒10に尿素が吸着していると、尿素添加弁13からの尿素水溶液の添加が停止された後も、暫くの間、吸着された尿素から生じるアンモニアを用いて選択還元型NOx触媒10におけるNOxの還元が行われる。この場合、尿素水溶液の添加停止後における選択還元型NOx触媒10より下流側の排気のNOx濃度の上昇速度が低下する。
そのため、選択還元型NOx触媒10が尿素吸着能力を発揮している状態で尿素水溶液の添加を停止した場合、下流側NOxセンサ15が正常の場合であっても、図2における実線L1に示すように、その出力値の上昇速度は低くなる。その結果、正常な場合(実線L1)と応答性故障が生じている場合(破線L2)とにおける下流側NOxセンサ15の出力値の差が小さくなる。そのため、尿素水溶液の添加停止後における下流側NOxセンサ15の出力値の変化の応答遅れが、吸着された尿素から生じるアンモニアを用いた選択還元型NOx触媒10でのNOxの還元に起因するものであるのか、下流側NOxセンサ15の応答性故障に起因するものであるのかを区別することは困難である。
ここで、選択還元型NOx触媒10の尿素吸着能力と温度との関係について図3に基づいて説明する。図3において、縦軸は選択還元型NOx触媒10の尿素吸着能力Caを表しており、横軸は選択還元型NOx触媒10の温度Tcを表している。
図3に示すように、選択還元型NOx触媒10の温度がある程度高くなると、その尿素吸着能力Caは温度Tcの上昇に伴って低下する。そして、選択還元型NOx触媒10の温度TcがTc0より高くなると、選択還元型NOx触媒10は尿素吸着能力を発揮しなくなる。以下、この温度Tc0を吸着上限温度と称する。尚、本実施例においては、吸着上限温度Tc0が本発明に係る所定温度に相当する。
そこで、本実施例では、選択還元型NOx触媒10の温度が吸着上限温度Tc0より高いとき、即ち選択還元型NOx触媒10が尿素吸着能力を発揮していない状態のときに、尿素添加弁13からの尿素水溶液の添加を停止させる。そして、その後の下流側NOxセンサ15の出力値の変化に基づいて下流側NOxセンサ15の応答性故障が生じているか否かを診断する。
選択還元型NOx触媒10が尿素吸着能力を発揮していない状態であれば、尿素添加弁13からの尿素水溶液の添加が停止されると選択還元型NOx触媒10におけるNOxの還元が直ちに行われなくなる。そのため、下流側NOxセンサ15が正常であれば、図2における実線L3に示すように、その出力値も直ちに上昇する。その結果、正常な場合(実線L3)と応答性故障が生じている場合(破線L4)とにおける下流側NOxセンサ15の出力値の差が大きくなる。
従って、このときの下流側NOxセンサ15の出力値の変化に基づいて故障診断を行うことにより、下流側NOxセンサ15において応答性故障が生じているか否かをより正確に診断することが出来る。
(応答性故障診断の具体的方法)
以下、本実施例に係る下流側NOxセンサの応答性故障診断の具体的な方法について図4及び5に基づいて説明する。図4は、選択還元型NOx触媒10の温度が吸着上限温度Tc0より高いときに尿素添加弁13からの尿素水溶液の添加を停止した際の下流側NOxセンサ15の出力値の変化を示す図である。図4において、縦軸は下流側NOxセンサの出力値Rndを表しており、横軸は時間tを表している。時間tsは、尿素添加弁13からの尿素水溶液の添加を停止したタイミングを表している。
また、実線は下流側NOxセンサ15が正常な場合を示しており(図2における実線L3と同様)、破線は下流側NOxセンサ15の応答性故障が生じている場合(図2における破線L4と同様)を示している。
図4に示すように、下流側NOxセンサ15の応答性故障が生じていると、尿素添加弁13からの尿素水溶液の添加を停止してから所定時間Δts0経過時点の下流側NOxセンサ15の出力値Rndが正常時に比べて小さくなる。そこで、本実施例では、尿素添加弁13からの尿素水溶液の添加を停止してから所定時間Δts0が経過した時点で下流側NOxセンサの出力値Rndが所定判定値Rnd0に達していない場合、下流側NOxセンサ15の応答性故障が生じていると診断する。
ここで、所定時間Δts0は、下流側NOxセンサ15において応答性故障が生じているときに、尿素添加弁13からの尿素水溶液の添加を停止してから下流側NOxセンサ15の出力値の変化が収束するまでの時間よりも短い時間である。また、所定判定値Rnd0は、下流側NOxセンサ15の出力値の応答性が正常であると判断出来る閾値である。所定時間Δts0及び所定判定値Rnd0は、実験等に基づいて予め定められており、ECU20に記憶されている。
図5は、本実施例に係る下流側NOxセンサの応答性故障診断のフローを示すフローチャートである。本フローは、ECU20に予め記憶されており、ECU20によって実行される。
本フローでは、先ずステップS101において、選択還元型NOx触媒10の温度Tcが吸着上限温度Tc0より高いか否かが判別される。ステップS101において肯定判定された場合、選択還元型NOx触媒10が尿素吸着能力を発揮していない状態であると判断出来る。この場合、次にステップS102の処理が実行される。
ステップS102においては、尿素添加弁13からの尿素の添加が停止される。これにより、選択還元型NOx触媒10への尿素水溶液の供給が停止される。
次にステップS103において、尿素添加弁13からの尿素の添加が停止されてから所定時間Δts0が経過したか否かが判別される。ステップS103において肯定判定された場合、次にステップS104の処理が実行される。
ステップS104においては、現時点の下流側NOxセンサ15の出力値Rndが所定判定値Rnd0より小さいか否かが判別される。
ステップS104において肯定判定された場合、ステップS105において下流側NOxセンサ15の応答性故障が生じていると診断される。一方、ステップS104において否定判定された場合、ステップS106において下流側NOxセンサ15は正常であると診断される。
尚、本実施例においては、尿素添加弁13からの尿素の添加が停止されてから所定時間Δts0が経過するまでにおける下流側NOxセンサ15の出力値Rndの積算値を応答性故障診断のパラメータとしてもよい。
(本実施例と本発明の構成要件との関係)
本実施例においては、下流側NOxセンサ15が本発明に係るNOxセンサに相当し、尿素添加弁13が本発明に係る還元剤添加弁に相当する。本実施例においては、下流側N
Oxセンサの応答性故障診断のフローにおけるステップS101の処理を実行するECU20が本発明に係る判別手段に相当する。また、本実施例においては、下流側NOxセンサの応答性故障診断のフローにおけるステップS102〜S106の処理を実行するECU20が本発明に係る診断手段に相当する。
(変形例)
本実施例の変形例に係る下流側NOxセンサの応答性故障診断の具体的な方法について図6及び7に基づいて説明する。図6の上段は、図4と同様、選択還元型NOx触媒10の温度が吸着上限温度Tc0より高いときに尿素添加弁13からの尿素水溶液の添加を停止した際の下流側NOxセンサ15の出力値の変化を示す図である。図6の下段は、図6の上段のように下流側NOxセンサ15の出力値が変化したときの、尿素添加弁13からの尿素水溶液の添加を停止した時点を基準とした下流側NOxセンサ15の出力値の変化量の変化を示す図である。
図6の下段において、縦軸は下流側NOxセンサの出力値の変化量ΔRndを表しており、横軸は時間tを表している。時間tsは、尿素添加弁13からの尿素水溶液の添加を停止したタイミングを表している。また、実線は下流側NOxセンサ15が正常な場合を示しており、破線は下流側NOxセンサ15の応答性故障が生じている場合を示している。
図6の下段に示すように、下流側NOxセンサ15の応答性故障が生じていると、尿素添加弁13からの尿素水溶液の添加を停止してから所定時間Δts0経過時点の下流側NOxセンサ15の出力値の変化量ΔRndが正常時に比べて当然小さくなる。そこで、本実施例では、尿素添加弁13からの尿素水溶液の添加を停止してから所定時間Δts0が経過した時点で下流側NOxセンサの出力値の変化量ΔRndが所定判定量ΔRnd0に達していない場合、下流側NOxセンサ15の応答性故障が生じていると診断する。
ここで、所定判定量ΔRnd0は、下流側NOxセンサ15の出力値の応答性が正常であると判断出来る閾値である。所定判定量ΔRnd0は、実験等に基づいて予め定められており、ECU20に記憶されている。
図7は、本変形例に係る下流側NOxセンサの応答性故障診断のフローを示すフローチャートである。本フローは、ECU20に予め記憶されており、ECU20によって実行される。尚、本フローは、図5に示すフローのステップS104をステップS204及びS205に置き換えたものである。そのため、ここではステップS204及びS205についてのみ説明し、その他のステップについての説明は省略する。
本フローでは、ステップS204において、尿素添加弁13からの尿素水溶液の添加を停止した時点の下流側NOxセンサ15の出力値を現時点の下流側NOxセンサ15の出力値から減算することで変化量ΔRndが算出される。
次に、ステップS205において、ステップS204で算出された変化量ΔRndが所定判定量ΔRnd0より小さいか否かが判別される。
ステップS205において肯定判定された場合、ステップS105において下流側NOxセンサ15の応答性故障が生じていると診断される。一方、ステップS205において否定判定された場合、ステップS106において下流側NOxセンサ15は正常であると診断される。
尚、本実施例においては、尿素添加弁13からの尿素の添加が停止されてから所定時間
Δts0が経過するまでにおける下流側NOxセンサ15の出力値の変化量ΔRndの積算値を応答性故障診断のパラメータとしてもよい。
(本変形例と本発明の構成要件との関係)
本変形例においては、下流側NOxセンサの応答性故障診断のフローにおけるステップS102、S103、S204、S205、S105及びS106の処理を実行するECU20が、本発明に係る診断手段に相当する。
<実施例2>
本実施例に係る内燃機関およびその吸排気系の概略構成は実施例1と同様である。また、本実施例においても、実施例1と同様、選択還元型NOx触媒10の温度が吸着上限温度Tc0より高いとき、即ち選択還元型NOx触媒10が尿素吸着能力を発揮していない状態のときに、尿素添加弁13からの尿素水溶液の添加を停止させる。そして、その後の下流側NOxセンサ15の出力値の変化に基づいて下流側NOxセンサ15において応答性故障が生じているか否かを診断する。
(応答性故障診断の具体的方法)
以下、本実施例に係る下流側NOxセンサの応答性故障診断の具体的な方法について図8及び9に基づいて説明する。図8は、図4と同様、選択還元型NOx触媒10の温度が吸着上限温度Tc0より高いときに尿素添加弁13からの尿素水溶液の添加を停止した際の下流側NOxセンサ15の出力値の変化を示す図である。
図8においても、時間tsは、尿素添加弁13からの尿素水溶液の添加を停止したタイミングを表している。また、実線は下流側NOxセンサ15が正常な場合を示しており、破線は下流側NOxセンサ15の応答性故障が生じている場合を示している。
選択還元型NOx触媒10の温度が吸着上限温度Tc0より高いときに尿素添加弁13からの尿素水溶液の添加を停止させると、選択還元型NOx触媒10の上流側と下流側との排気のNOx濃度が同一となる。そのため、下流側NOxセンサ15の出力値は上流側NOxセンサ14の出力値に収束する。
このとき、下流側NOxセンサ15の応答性故障が生じていると、図8に示すように、尿素添加弁13からの尿素水溶液の添加を停止してから下流側NOxセンサ15の出力値が上流側NOxセンサ14の出力値に収束するまでの時間(以下、収束時間と称する)Δtaが正常時に比べて長くなる。そこで、本実施例では、収束時間Δtaが所定収束時間Δta0より長い場合、下流側NOxセンサ15の応答性故障が生じていると診断する。
ここで、所定収束時間Δta0は、下流側NOxセンサ15の出力値の応答性が正常であると判断出来る閾値である。所定収束時間Δta0は、実験等に基づいて予め定められており、ECU20に記憶されている。
尚、本実施例においては、尿素添加弁13からの尿素水溶液の添加を停止させた時点の下流側NOxセンサ15の出力値が本発明に係る第一所定値に相当し、上流側NOxセンサ14の出力値が本発明に係る第二所定値に相当する。また、本実施例においては、所定収束時間Δta0が本発明に係る所定変化時間に相当する。
図9は、本実施例に係る下流側NOxセンサの応答性故障診断のフローを示すフローチャートである。本フローは、ECU20に予め記憶されており、ECU20によって実行される。尚、本フローは、図5に示すフローのステップS103及びS104をステップS303〜S305に置き換えたものである。そのため、ここではステップS303〜S
305についてのみ説明し、その他のステップについての説明は省略する。
本フローでは、ステップS303において、現時点の下流側NOxセンサ15の出力値Rndが上流側NOxセンサ14の出力値Rnuに達したか否かが判別される。尚、ステップS303においては、下流側NOxセンサ15の出力値Rndが上流側NOxセンサ14の出力値Rnuと略同等と判断出来る範囲内であるか否かを判別するとしてもよい。ステップS303において肯定判定された場合、次にステップS304の処理が実行される。
ステップS304においては、収束時間Δtaが算出される。
次に、ステップS305において、ステップS304で算出された収束時間Δtaが所定収束時間Δta0より長いか否かが判別される。
ステップS305において肯定判定された場合、ステップS105において下流側NOxセンサ15の応答性故障が生じていると診断される。一方、ステップS305において否定判定された場合、ステップS106において下流側NOxセンサ15は正常であると診断される。
(本実施例と本発明の構成要件との関係)
本実施例においては、下流側NOxセンサの応答性故障診断のフローにおけるステップS102、S303〜S305、S105及びS106の処理を実行するECU20が、本発明に係る診断手段に相当する。
(変形例)
本実施例の変形例に係る下流側NOxセンサの応答性故障診断の具体的な方法について図10及び11に基づいて説明する。図10は、図4と同様、選択還元型NOx触媒10の温度が吸着上限温度Tc0より高いときに尿素添加弁13からの尿素水溶液の添加を停止した際の下流側NOxセンサ15の出力値の変化を示す図である。
図10においても、時間tsは、尿素添加弁13からの尿素水溶液の添加を停止したタイミングを表している。また、実線は下流側NOxセンサ15が正常な場合を示しており、破線は下流側NOxセンサ15の応答性故障が生じている場合を示している。
図10に示すように、下流側NOxセンサ15の応答性故障が生じていると、尿素添加弁13からの尿素水溶液の添加停止後において下流側NOxセンサ15の出力値が上昇している最中に、その値が第一所定値Rnd1から第二所定値Rnd2まで変化する時間(以下、変化時間と称する)Δtbが正常時に比べて長くなる。そこで、本実施例では、変化時間Δtbが所定変化時間Δtb0より長い場合、下流側NOxセンサ15の応答性故障が生じていると診断する。
ここで、第一所定値Rnd1は、尿素添加弁13からの尿素水溶液の添加を停止した時点の下流側NOxセンサ15の出力値以上の値である。また、第二所定値Rnd2は、第一所定値Rnd1より大きく且つ上流側NOxセンサ14の出力値(即ち、下流側NOxセンサ14の出力値の収束値)以下の値である。また、所定変化時間Δtb0は、下流側NOxセンサ15の出力値の応答性が正常であると判断出来る閾値である。第一所定値Rnd1、第二所定値Rnd2及び所定変化時間Δtb0は、実験等に基づいて予め定められており、ECU20に記憶されている。
尚、本実施例においては、第一所定値Rnd1が本発明に係る第一所定値に相当し、第
二所定値Rnd2が本発明に係る第二所定値に相当する。また、本実施例においては、所定変化時間Δtb0が本発明に係る所定変化時間に相当する。
図11は、本変形例に係る下流側NOxセンサの応答性故障診断のフローを示すフローチャートである。本フローは、ECU20に予め記憶されており、ECU20によって実行される。尚、本フローは、図9に示すフローのステップS303〜S305をステップS403〜S407に置き換えたものである。そのため、ここではステップS403〜S407についてのみ説明し、その他のステップについての説明は省略する。
本フローでは、ステップS403において、現時点の下流側NOxセンサ15の出力値Rndが第一所定値Rnd1に達したか否かが判別される。ステップS403において肯定判定された場合、ステップS404において、変化時間Δtbのカウントが開始される。
次に、ステップS405において、現時点の下流側NOxセンサ15の出力値Rndが第二所定値Rnd2に達したか否かが判別される。ステップS405において肯定判定された場合、ステップS406において、変化時間Δtbのカウントが終了される。
次に、ステップS407において、ステップS406で算出された変化時間Δtbが所定変化時間Δtb0より長いか否かが判別される。
ステップS407において肯定判定された場合、ステップS105において下流側NOxセンサ15の応答性故障が生じていると診断される。一方、ステップS407において否定判定された場合、ステップS106において下流側NOxセンサ15は正常であると診断される。
(本変形例と本発明の構成要件との関係)
本変形例においては、下流側NOxセンサの応答性故障診断のフローにおけるステップS102、S403〜S407、S105及びS106の処理を実行するECU20が、本発明に係る診断手段に相当する。
<実施例3>
本実施例に係る内燃機関およびその吸排気系の概略構成は実施例1と同様である。また、本実施例においても、実施例1と同様、選択還元型NOx触媒10の温度が吸着上限温度Tc0より高いとき、即ち選択還元型NOx触媒10が尿素吸着能力を発揮していない状態のときに、尿素添加弁13からの尿素水溶液の添加を停止させる。そして、その後の下流側NOxセンサ15の出力値の変化に基づいて下流側NOxセンサ15において応答性故障が生じているか否かを診断する。
(応答性故障診断の具体的方法)
以下、本実施例に係る下流側NOxセンサの応答性故障診断の具体的な方法について図12及び13に基づいて説明する。図12の上段は、図4と同様、選択還元型NOx触媒10の温度が吸着上限温度Tc0より高いときに尿素添加弁13からの尿素水溶液の添加を停止した際の下流側NOxセンサ15の出力値の変化を示す図である。図12の下段は、図6の上段のように下流側NOxセンサ15の出力値が変化したときの、下流側NOxセンサ15の出力値の上昇速度の変化を示す図である。
図12の下段において、縦軸は下流側NOxセンサの出力値の上昇速度Vrndを表しており、横軸は時間tを表している。時間tsは、尿素添加弁13からの尿素水溶液の添加を停止したタイミングを表している。また、実線は下流側NOxセンサ15が正常な場
合を示しており、破線は下流側NOxセンサ15の応答性故障が生じている場合を示している。
図12の下段に示すように、下流側NOxセンサ15の応答性故障が生じていると、尿素添加弁13からの尿素水溶液の添加停止後において下流側NOxセンサ15の出力値が上昇しているときの上昇速度の最大値Vrndmaxが正常時に比べて低くなる。そこで、本実施例では、尿素添加弁13からの尿素水溶液の添加を停止してから所定時間Δts1が経過するまでの間に下流側NOxセンサ15の出力値の上昇速度Vrndが所定速度Vrnd0まで達しないと場合、下流側NOxセンサ15の応答性故障が生じていると診断する。
ここで、所定時間Δts1は、下流側NOxセンサ15の応答性故障が生じているときにおいて、尿素添加弁13からの尿素水溶液の添加を停止してから下流側NOxセンサ15の出力値の変化が収束するまでの時間以下の時間である。また、該所定時間Δts1を、下流側NOxセンサ15が正常であるときにおいて、尿素添加弁13からの尿素水溶液の添加を停止してから下流側NOxセンサ15の出力値の上昇速度が最大となるまでの時間以上の時間としてもよい。また、所定速度Vrnd0は、下流側NOxセンサ15の出力値の応答性が正常であると判断出来る閾値である。所定時間Δts1及び所定速度Vrnd0は、実験等に基づいて予め定められており、ECU20に記憶されている。
図13は、本変形例に係る下流側NOxセンサの応答性故障診断のフローを示すフローチャートである。本フローは、ECU20に予め記憶されており、ECU20によって実行される。尚、本フローは、図5に示すフローのステップS103及びS104をステップS503〜S506置き換えたものである。そのため、ここではステップS503〜S506についてのみ説明し、その他のステップについての説明は省略する。
本フローでは、ステップS503において、下流側NOxセンサ15の出力値の上昇速度Vrndが算出される。該上昇速度Vrndは、尿素添加弁13からの尿素水溶液の添加を停止させてから所定時間Δts1が経過するまで所定の間隔で繰り返し算出され、その値がECU20に記憶される。
次に、ステップS504において、尿素添加弁13からの尿素水溶液の添加を停止させてから所定時間Δts1が経過したか否かが判別される。ステップS504において肯定判定された場合、次にステップS505の処理が実行される。
ステップS505においては、ステップS503において算出されECU20に記憶された上昇速度の最大値Vrndmaxが算出される。
次に、ステップS506において、ステップS505で算出された上昇速度の最大値Vrndmaxが所定速度Vrnd0より小さいか否かが判別される。
ステップS505において肯定判定された場合、ステップS105において下流側NOxセンサ15の応答性故障が生じていると診断される。一方、ステップS505において否定判定された場合、ステップS106において下流側NOxセンサ15は正常であると診断される。
(本実施例と本発明の構成要件との関係)
本実施例においては、下流側NOxセンサ15の出力値の上昇速度Vrndを算出するECU20が、本発明に係る変化速度算出手段に相当する。また、本実施例においては、下流側NOxセンサの応答性故障診断のフローにおけるステップS102、S503〜S
506、S105及びS106の処理を実行するECU20が、本発明に係る診断手段に相当する。
尚、上記各実施例においては、選択還元型NOx触媒10の温度が吸着上限温度Tc0より高いとき、即ち選択還元型NOx触媒10が尿素吸着能力を発揮していない状態のときに、下流側NOxセンサ15の応答性故障が生じているか否かを診断するとした。しかしながら、選択還元型NOx触媒10が尿素吸着能力を発揮していたとしても、そのレベルが低ければ、選択還元型NOx触媒10でのNOxの還元量が抑えられるため、下流側NOxセンサ15の応答性故障が生じているか否かの診断は可能である。
そこで、下流側NOxセンサ15の応答性故障の診断が可能な程度にNOxの還元量が抑えられる選択還元型NOx触媒10の還元剤吸着能力の閾値を所定レベルとする。そして、選択還元型NOx触媒10の尿素吸着能力が所定レベル以下に低下しているときに、上記と同様の方法で下流側NOxセンサ15の応答性故障が生じているか否かの診断を行ってもよい。この場合も、選択還元型NOx触媒10の尿素吸着能力が所定レベル以下であるか否かについては、選択還元型NOx触媒10の温度に基づいて判断することが出来る。
上記各実施例は可能な限り組み合わせることが出来る。
1・・・内燃機関
2・・・気筒
3・・・燃料噴射弁
6・・・排気通路
10・・選択還元型NOx触媒
13・・尿素添加弁
14・・上流側NOxセンサ
15・・下流側NOxセンサ
16・・上流側温度センサ
17・・下流側温度センサ
20・・ECU

Claims (6)

  1. 内燃機関の排気通路における選択還元型NOx触媒より下流側に設けられたNOxセンサの故障を診断するシステムであって、
    前記排気通路における前記選択還元型NOx触媒よりも上流側から還元剤を添加する還元剤添加弁と、
    前記選択還元型NOx触媒の還元剤吸着能力が所定レベル以下に低下しているか否かを判別する判別手段と、
    前記判別手段によって前記選択還元型NOx触媒の還元剤吸着能力が前記所定レベル以下に低下していると判定されたときに前記還元剤添加弁からの還元剤の添加を停止させ、その後の前記NOxセンサの出力値の変化に基づいて前記NOxセンサの出力値の応答性が低下する故障が生じているか否かを診断する診断手段と、
    を備えたことを特徴とするNOxセンサの故障診断システム。
  2. 前記診断手段が、前記還元剤添加弁からの還元剤の添加を停止させてから所定時間が経過した時点で、前記NOxセンサの出力値が所定判定値に達していない場合または前記NOxセンサの出力値の変化量が所定判定量に達していない場合、前記NOxセンサの出力値の応答性が低下する故障が生じていると診断することを特徴とする請求項1に記載のNOxセンサの故障診断システム。
  3. 前記診断手段が、前記還元剤添加弁からの還元剤の添加を停止した後、前記NOxセンサの出力値が第一所定値から第二所定値まで変化する時間が所定変化時間より長い場合、前記NOxセンサの出力値の応答性が低下する故障が生じていると診断することを特徴とする請求項1に記載のNOxセンサの故障診断システム。
  4. 前記NOxセンサの出力値が変化するときの変化速度を算出する変化速度算出手段をさらに備え、
    前記診断手段が、前記還元剤添加弁からの還元剤の添加を停止してから所定時間が経過するまでの間に前記NOxセンサの出力値の上昇速度が所定速度まで達しない場合、前記NOxセンサの出力値の応答性が低下する故障が生じていると診断することを特徴とする請求項1に記載のNOxセンサの故障診断システム。
  5. 前記判別手段が、前記選択還元型NOx触媒の温度が所定温度より高いときに、前記選択還元型NOx触媒の還元剤吸着能力が所定レベル以下に低下していると判定することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のNOxセンサの故障診断システム。
  6. 内燃機関の排気通路における選択還元型NOx触媒より下流側に設けられたNOxセンサの故障を診断する方法であって、
    前記選択還元型NOx触媒の還元剤吸着能力が所定レベル以下に低下しているか否かを判別するステップと、
    前記選択還元型NOx触媒の還元剤吸着能力が前記所定レベル以下に低下していると判定されたときに前記還元剤添加弁からの還元剤の添加を停止させるステップと、
    前記還元剤添加弁からの還元剤の添加を停止した後の前記NOxセンサの出力値の変化に基づいて前記NOxセンサの出力値の応答性が低下する故障が生じているか否かを診断するステップと、
    を有することを特徴とするNOxセンサの故障診断方法。
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