JP2010174380A - 低融点金属を用いた電鋳部品の製造方法 - Google Patents

低融点金属を用いた電鋳部品の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電鋳型を変形、溶解、破壊することなしに、電鋳部品を電鋳型から取り出すことが可能な電鋳部品の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の電鋳部品の製造方法は、電鋳型420を準備する工程と、型キャビティ420fを形成する工程と、型キャビティ420fの内部を除いて、金属薄膜424の表面にレジスト層428を設ける工程と、型キャビティ420fの内部にキャビティ低融点金属層432を形成する工程と、型キャビティ420fの中に電鋳部品430を形成する工程と、キャビティ低融点金属層432を構成する金属の融点以上になるように電鋳型420を加熱し、キャビティ低融点金属層432を融解させる工程と、電鋳型420の型キャビティ420fから電鋳部品430を取り出す工程とを含む。
【選択図】図4

Description

本発明は、電鋳部品および電鋳部品の製造方法に関する。特に、本発明は、電鋳金属より低い融点をもつ低融点金属層を設けることによって、電鋳部品を電鋳型から容易に抜き取れるようにした電鋳部品の製造方法と、その製造方法によって作られた機械式時計用の部品などの電鋳部品に関する。
第1のタイプの従来技術において、電鋳部品の製造方法は、一部が導電性を有する電鋳型上に非導電性材料をパターン化して電鋳型を形成する工程と、基台の導電性部上に電鋳部品を形成する工程と、非導電性材料を基台および電鋳部品から除去する工程と、電鋳部品を基台から分離する工程とを有している。すなわち、この方法では、ガラス電鋳型上にニッケル導電膜を形成し、非導電性のマスクパターニング(レジスト)を行い、ニッケル電鋳を行い、レジストリムーブの後、超音波、水圧、空圧などを用いて電鋳部品を基台から分離している(特許文献1参照)。
第2のタイプの従来技術では、アンクルの基型を作り、この基型を樹脂製の電鋳型に転写して母型を作り、樹脂製の電鋳型の全面に導電膜を作り、電鋳加工により時計のアンクルを形成している(特許文献2参照)。
さらに、従来の電鋳加工の工程では、母型を作り、母型が導体の場合には、表面に離型処理をして電着工程に入り、母型が不導体の場合には、母型表面を導体化してから離型処理をして電着工程に入り、所要厚さまで電着した後、電鋳部品を母型から剥離している(非特許文献1参照)。
特開2001−254193号公報(第2〜4頁、第1図〜第3図) 特開昭48−44138号公報(第2〜4頁、第4図)
佐藤敏一著、「特殊加工」、第235〜261頁、1981年第1版発行、1997年第8版発行、養賢堂
従来の電鋳加工においては、電鋳加工後に電鋳部品が電鋳型に密着していて、さらに、電鋳金属の内部応力により電鋳部品は電鋳型を押し付けている。この内部応力以上の力を電鋳部品に加えて電鋳部品を電鋳型から引抜くためには、電鋳部品をしっかりと固定する必要がある。しかし、電鋳部品は電鋳型の中に埋まっているため、把持部品などにより電鋳部品を掴むのは容易でなく、電鋳部品を電鋳型から離型するのが困難であるという課題があった。また、従来の離型方法では、電鋳型の材質として塩化ビニール等のプラスチックを用い、離型時に電鋳型を加熱して電鋳型を変形させて電鋳部品を電鋳型から取り出したり、樹脂製の電鋳型を用いて、電鋳加工後に電鋳型を化学的に溶解して電鋳型を除去することによって電鋳部品のみを残したり、或いは、電鋳加工後に電鋳型を破壊して電鋳部品を剥離したりしている。このような従来の離型方法では、電鋳型を再利用することができないという課題があった。
本発明の目的は、電鋳型を変形、溶解、破壊することなしに、電鋳部品を電鋳型から取り出すことが可能な電鋳部品の製造方法を提供することにある。すなわち、本発明の目的は、電鋳型を繰り返し使用することができる電鋳部品の製造方法を提供することにある。
本発明に関連する技術は、電鋳部品の製造方法において、(あ)電鋳部品を製造するために、電鋳部品を形成するためのキャビティを形成した電鋳型を準備する工程と、(い)電鋳型に金属薄膜を形成し、電鋳加工のための表面導体化を行い、製造すべき電鋳部品の外形形状に対応する形状を有する型キャビティを形成する工程と、(う)型キャビティの内部を除いて、金属薄膜の表面にレジスト層を設ける工程と、(え)電鋳型に電鋳加工を行い、型キャビティの中に電鋳部品を形成する工程と、(お)電鋳加工により形成した電鋳部品と離型用部材とを接合する工程と、(か)電鋳型から離型用部材を引き離して、電鋳部品を電鋳型の型キャビティから取り出す工程と、(き)電鋳部品を離型用部材から外す工程と、を含むことを特徴とする。
上記の製造方法を実施するときは、電鋳部品を電鋳加工した後、電鋳部品表面の電鋳金属より低い融点をもつ金属、例えば、錫などにフラックスを塗布して金属板を押し付けて加熱する。金属板を加熱することにより、金属板の表面温度が錫の融点に達すると、錫は電鋳部品および金属板の両方に拡散して、電鋳部品と金属板とが、はんだ接合される。これによって、電鋳部品と金属板とが、しっかりと固定される。この状態で、電鋳型をベ−スに固定して、金属板をベ−スから遠ざける方向に向かって引き上げると、電鋳部品を電鋳型から容易に抜き取ることができる。この方法を用いることにより、電鋳型を変形、溶解、破壊することなしに、電鋳部品を電鋳型から取り出すことができる。
本発明に関連する技術において、電鋳加工により形成した電鋳部品と離型用部材とを接合する前記工程は、電鋳部品と離型用部材とを、はんだ接合する工程を含むのが好ましい。また、本発明の方法において、電鋳加工により形成した電鋳部品と離型用部材とを接合する工程は、電鋳加工により形成した電鋳部品の上面に、この電鋳部品を構成する電鋳金属の融点より低い融点をもつ金属により、低融点金属層を形成する工程と、低融点金属層の上面を含む電鋳型の上面にフラックス層を形成する工程と、離型用部材下面をフラックス層の上面に押し付け、離型用部材を、低融点金属層を構成する金属の融点以上になるように加熱し、電鋳部品と離型用部材とを接合する工程と、を含むのが好ましい。この方法を用いることにより、電鋳部品と離型用部材とを確実に接合することができる。
また、本発明に関連する技術において、電鋳部品を離型用部材から外す前記工程は、低融点金属層を構成する金属の融点以上になるように離型用部材を加熱して、電鋳部品を離型用部材から外す工程を含むのが好ましい。この方法を用いることにより、電鋳部品を離型用部材から効率良く外すことができる。また、本発明の方法において、前記低融点金属層を構成する材料は、Mn(マンガン)、Zn(亜鉛)、Ga(ガリウム)、Ge(ゲルマニウム)、Ag(銀)、Cd(カドミウム)、In(インジウム)、Sn(錫)、Sb(アンチモン)、Te(テルル)、Au(金)、Tl(タリウム)、Pb(鉛)、Bi(ビスマス)、Po(ポロニウム)からなる群から選ばれるのが好ましい。また、本発明の方法において、前記低融点金属層の厚さは、10〜50μmであるのが好ましい。この方法を用いることにより、電鋳部品と離型用部材とを確実に接合することができる。
本発明は、電鋳部品の製造方法において、(a)電鋳部品を製造するために、電鋳部品を形成するためのキャビティを形成した電鋳型を準備する工程と、(b)電鋳型に金属薄膜を形成し、電鋳加工のための表面導体化を行い、製造すべき電鋳部品の外形形状に対応する形状を有する型キャビティを形成する工程と、(c)型キャビティの内部を除いて、金属薄膜の表面にレジスト層を設ける工程と、(d)型キャビティの内部に、電鋳部品を構成する電鋳金属の融点より低い融点をもつ金属により、キャビティ低融点金属層を形成する工程と、(e)電鋳型に電鋳加工を行い、型キャビティの中に電鋳部品を形成する工程と、(f)キャビティ低融点金属層を構成する金属の融点以上になるように電鋳型を加熱し、キャビティ低融点金属層を融解させる工程と、(g)電鋳型の型キャビティから電鋳部品を取り出す工程と、を含むことを特徴とする。この方法を用いることにより、電鋳型を変形、溶解、破壊することなしに、電鋳部品を電鋳型から取り出すことができる。
また、本発明の方法において、前記キャビティ低融点金属層を構成する材料は、Mn(マンガン)、Zn(亜鉛)、Ga(ガリウム)、Ge(ゲルマニウム)、Ag(銀)、Cd(カドミウム)、In(インジウム)、Sn(錫)、Sb(アンチモン)、Te(テルル)、Au(金)、Tl(タリウム)、Pb(鉛)、Bi(ビスマス)、Po(ポロニウム)からなる群から選ばれるのが好ましい。
また、本発明の方法において、前記キャビティ低融点金属層の厚さは、0.1〜1μmであるのが好ましい。この方法を用いることにより、電鋳型を変形、溶解、破壊することなしに、電鋳部品を電鋳型から取り出すことができる。
更に、本発明は、上記いずれかの方法によって製造された電鋳部品を提供することができる。さらに、本発明に関連する技術は、時計用の輪列部品において、上記のいずれかの方法によって製造された「歯車」と、前記歯車に固定された「かな(かな:ピニオン歯車部)」とを含むことを特徴とする。すなわち、本明細書において「かな」とは、小歯車(ピニオン)を意味する。この方法を用いることにより、電鋳型を変形、溶解、破壊することなしに、時計用の輪列部品を電鋳型から取り出すことができる。
さらに、本発明は、時計用のアンクルにおいて、上記のいずれかの方法によって製造された「アンクル体」と、前記アンクル体に固定された「入りつめ石」および「出つめ石」と、前記アンクル体に取付けられた「剣先」とを含むことを特徴とする。この方法を用いることにより、時計用のアンクルを電鋳加工により効率的に製造することができる。
本発明に関連する技術により、電鋳部品を電鋳加工した後、電鋳部品表面の電鋳金属より低い融点をもつ金属にフラックスを塗布して金属板を押し付けて加熱して、電鋳部品と金属板とを、はんだ接合する。この状態で、電鋳型をベ−スに固定して、金属板をベ−スから遠ざける方向に向かって引き上げると、電鋳部品を電鋳型から容易に抜き取ることができる。
本発明の製造方法を用いると、電鋳型を変形、溶解、破壊することなしに、電鋳部品を電鋳型から取り出すことできる。すなわち、本発明の製造方法を用いることにより、電鋳型を繰り返し使用することができる。
図1は、電鋳部品の製造方法の第1の例において、製造工程を説明する原理図(その1)である。 図2は、電鋳部品の製造方法の第1の例において、製造工程を説明する原理図(その2)である。 図3は、電鋳部品の製造方法において、電鋳加工の概略を説明する原理図である。 図4は、本発明の電鋳部品の製造方法の実施形態において、電鋳型に形成された電鋳部品の概略形状を示す断面図である。 図5は、本発明の実施形態において、ムーブメントの表側の概略形状を示す平面図である(図5では、一部の部品を省略し、受部材は仮想線で示している)。 図6は、本発明の実施形態において、香箱からアンクルの部分を示す概略部分断面図である。 図7は、本発明の実施形態において、がんぎ車からてんぷの部分を示す概略部分断面図である。 図8は、三番車を示す上面図である。 図9は、三番車を示す側面図である。 図10は、三番車を示す斜視図である。 図11は、がんぎ車を示す上面図である。 図12は、がんぎ車を示す側面図である。 図13は、がんぎ車を示す斜視図である。 図14は、本発明の実施形態において、アンクルを示す上面図である。 図15は、本発明の実施形態において、アンクルを示す側面図である。 図16は、本発明の実施形態において、アンクルを示す斜視図である。
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(1)第1の例
以下に、本発明に関連する技術の第1の例について説明する。図1(a)を参照すると、電鋳部品の製造のために用いる電鋳型120を準備する(工程101)。電鋳型120を構成する材料は、シリコン、ガラス、プラスチックなどである。電鋳型120は、DRIEなどの方法によって加工することができる。電鋳部品を形成するためのキャビティ120cが電鋳型120の上面に形成される。キャビティ120cは、側壁120dと、底面120eとにより構成される。電鋳型120の大きさは、例えば、2インチ(約50mm)〜8インチ(約200mm)の範囲であるのが好ましい。電鋳型120の厚さは、電鋳型120の大きさによって異なるが、例えば4インチシリコン基板の場合、300μm〜625μmの厚さのものが用いられる。
図1(b)を参照すると、電鋳型120の表面上と、キャビティ120cの側壁120dおよび底面120eの表面上とに金属薄膜124を形成し、電鋳加工のための表面導体化を行う(工程102)。この工程103において形成する金属薄膜124は、例えば、Au(金)、Ag(銀)、Cu(銅)、Ni(ニッケル)などで構成することができる。金属薄膜124の付着は、スパッタリング、蒸着、無電解めっきなどの方法により行うことができる。金属薄膜124の膜厚は、数nm(不連続膜)〜数μmの範囲であるのが好ましい。金属薄膜124を形成すると、製造すべき電鋳部品の外形形状に対応する形状を有する型キャビティ120fが形成される。
図1(c)を参照すると、型キャビティ120fの側壁および底面の表面上を除いて、電鋳型120の上面で電鋳金属を析出させない領域の金属薄膜124hの表面にレジスト層128を設ける(工程103)。図1(d)を参照すると、電鋳型120に電鋳加工を行い、型キャビティ120fの中に電鋳部品130を形成する(工程104)。機械部品を形成する場合において、電鋳部品130を形成する電鋳金属は、例えば、歯車などの構造物に使用する場合、摺動性を考慮し、硬度が高いクロム、ニッケル、鉄、およびこれらを含む合金で構成することができる。また、電鋳部品130を形成する電鋳金属は、装飾性が高い構造物に使用する場合、金、銀、銅、ニッケル、クロム、およびこれらを含む合金で構成することができる。また、構造物の内面を硬度が高いクロム、ニッケル、鉄、およびこれらを含む合金で構成し、構造物の表面を硬度が低い錫、亜鉛、およびこれらを含む合金などで構成するように、特性が異なる二種以上の金属又は合金で電鋳部品130を構成することができる。また、電鋳部品130は、構造物の表面と内面で金属の組成が異なる合金などで構成することができる。電鋳部品130の厚さは、型キャビティ120fの深さよりも薄くなるように設定するのがよい。
次に、図3を参照して、電鋳加工の具体的な方法を説明する。図3(a)を参照すると、電鋳すべき金属材料により電鋳液を選ぶ必要があり、例えば、ニッケル電鋳加工ではスルファミン酸浴、ワット浴、硫酸浴などが用いられる。スルファミン酸浴を用いてニッケル電鋳を行う場合は、電鋳加工用の処理槽740の中にスルファミン酸ニッケル水和塩を主成分とするスルファミン酸浴電鋳液742を入れる。電鋳すべき金属材料からなる陽極電極744をスルファミン酸浴742の中に浸漬させる。例えば、陽極電極744は、電鋳すべき金属材料からなるボールを複数用意し、この金属ボールをチタン等で作った金属製のかごの中に入れることにより構成することができる。電鋳加工を行うべき電鋳型748をスルファミン酸浴742の中に浸漬させる。図3(b)を参照すると、電鋳型748を電源760の陰極に接続し、陽極電極744を電源760の陽極に接続すると、陽極電極744を構成する金属がイオン化してスルファミン酸浴中を移動し、電鋳型748の型キャビティ748f上に金属として析出する。配管(図示せず)を介して弁(図示せず)を処理槽740に接続することができる。濾過用フィルタを配管に設け、処理槽740から排出されるスルファミン酸浴を濾過することができる。濾過されたスルファミン酸浴は、注入用配管(図示せず)から処理槽740の中に戻すことができる。
図1(e)を参照すると、電鋳加工により形成した電鋳部品130の上面に、この電鋳部品130を構成する電鋳金属の融点より低い融点をもつ金属をめっきして、低融点金属層132を形成する(工程105)。電鋳金属がNi(ニッケル)である場合、低融点金属層132は、Ni(ニッケル)の融点より低い融点をもつ金属として、例えば、Mn(マンガン)、Zn(亜鉛)、Ga(ガリウム)、Ge(ゲルマニウム)、Cd(カドミウム)、In(インジウム)、Sn(錫)、Sb(アンチモン)、Te(テルル)、Au(金)、Tl(タリウム)、Pb(鉛)、Bi(ビスマス)、Po(ポロニウム)などが挙げられる。電鋳型120を加熱したときの電鋳部品130の離型性を考慮すると、低融点金属層132として、融点が500°C以下であるZn、Ga、Cd、In、Sn、Te、Tl、Pb、Bi、Poを用いるのが好ましい。低融点金属層132として、Sn、Bi、Poを用いるのが更に好ましい。低融点金属層132の厚さは、10〜50μmであるのが好ましい。低融点金属層132の厚さを、このような範囲にすることにより、電鋳部品130の離型性を向上させることができる。低融点金属層132の厚さは、20〜40μmであるのがさらに好ましい。低融点金属層132の厚さを、このような範囲にすることにより、電鋳部品130の離型性を、更に一層向上させることができる。
図2(a)を参照すると、低融点金属層132の上面を含む電鋳型120の上面にフラックスを塗布して、フラックス層133を形成する(工程106)。フラックス層133として、例えば、ロジン、ロジンのハロゲン化物第、第4級アンモニウムの塩素塩、臭素塩、ヨウ素塩等を用いるのが好ましい。フラックス層133の厚さは、10〜50μmであるのが好ましい。フラックスは、レジスト層128の上に塗布してもよい。フラックス層133は、少なくとも低融点金属層132の上面の一部に塗布する必要がある。図2(b)を参照すると、離型用部材を構成する離型用金属板134は、離型用金属板134を持ち上げるために用いられるフック134hを上面に備えている。離型用金属板134の下面をフラックス層133の上面に押し付け、低融点金属層132を構成する金属の融点以上になるように離型用金属板134を加熱する(工程107)。離型用金属板134を加熱することにより、離型用金属板134の表面温度が低融点金属層132を構成する金属、例えば錫の融点に達すると、錫は電鋳部品130および離型用金属板134の両方に拡散して、電鋳部品130と離型用金属板134とが、はんだ接合される。その後、離型用金属板134が、低融点金属層132を構成する金属の融点以下に冷却されると、電鋳部品130の上面と離型用金属板134の下面とが、しっかりと固定される。
図2(c)を参照すると、クランパ136及びクランパ止めねじ136bを用いて、電鋳型120の周辺部をベース138に固定する(工程108)。クランパ136及びクランパ止めねじ136bは複数用いるのが好ましい。つば付きピン、偏心ピン、頭付きボルト、シリンダなどの他の固定方法を用いて、電鋳型120の周辺部をベース138に固定することもできる。図2(d)を参照すると、電鋳部品130と離型用金属板134とが、はんだ接合等によって互いに接合されている状態で、引き部材134bによりフック134hを矢印方向に引き上げ、離型用金属板134をベ−ス138から遠ざける方向に向かって引き上げて、電鋳部品130を電鋳型120の型キャビティ120fから取り出す(工程109)。すなわち、電鋳型120から離型用金属板134を引き離すことによって、電鋳部品130を電鋳型120の型キャビティ120fから取り出すことができる。図2(d)を参照すると、離型用金属板134を、低融点金属層132を構成する金属の融点以上になるように加熱して、電鋳部品130を離型用金属板134から外す(工程110)。したがって、上記の製造方法を用いると、電鋳型120を変形、溶解、破壊などすることなしに、電鋳部品130を電鋳型120から取り出すことでき、電鋳型130を繰り返し使用することができる。
(2)本発明の実施形態
以下に、本発明の実施形態について説明する。以下の説明は、本発明の電鋳部品の製造方法の実施形態が、上述した電鋳部品の製造方法の第1の例と異なる点を主に述べる。したがって、以下に記載がない個所は、前述した電鋳部品の製造方法の第1の例についての説明をここに準用する。
図4を参照すると、電鋳部品の製造のために用いる電鋳型420を準備する。次に、電鋳型420の表面上と、キャビティの側壁および底面の表面上とに金属薄膜424を設けて型キャビティ420fを形成し、電鋳加工のための表面導体化を行う。次に、型キャビティ420fの側壁および底面の表面上を除いて、電鋳型420の上面で電鋳金属を析出させない領域の金属薄膜424の表面にレジスト層428を設ける。
次に、型キャビティ420fの内部、すなわち、側壁および底面の表面上に、電鋳部品430を構成する電鋳金属の融点より低い融点をもつ金属をめっきして、キャビティ低融点金属層432を形成する。電鋳金属がNi(ニッケル)である場合、キャビティ低融点金属層432は、Ni(ニッケル)の融点より低い融点をもつ金属として、例えば、Mn(マンガン)、Zn(亜鉛)、Ga(ガリウム)、Ge(ゲルマニウム)、Cd(カドミウム)、In(インジウム)、Sn(錫)、Sb(アンチモン)、Te(テルル)、Au(金)、Tl(タリウム)、Pb(鉛)、Bi(ビスマス)、Po(ポロニウム)などが挙げられる。電鋳型420を加熱したときの電鋳部品430の離型性を考慮すると、キャビティめっき層432として、融点が500°C以下であるZn、Ga、Cd、In、Sn、Te、Tl(タリウム)、Pb、Bi、Poを用いるのが好ましい。キャビティめっき層432として、Sn、Bi、Poを用いるのが更に好ましい。キャビティ低融点金属層432の厚さは、0.1〜10μmであるのが好ましい。キャビティ低融点金属層432の厚さを、このような範囲にすることにより、電鋳部品430の離型性を向上させることができる。キャビティ低融点金属層432の厚さは、0.1〜1μmであるのがさらに好ましい。キャビティ低融点金属層432の厚さを、このような範囲にすることにより、電鋳部品430の寸法精度を、更に一層向上させることができる。
次に、電鋳型420に電鋳加工を行い、型キャビティ420fの中に電鋳部品430を形成する。電鋳加工の具体的な方法は、図3を参照して前述した内容と同様である。次に、キャビティ低融点金属層432を構成する金属の融点以上になるように電鋳型420を加熱する。電鋳型420を加熱することにより、キャビティ低融点金属層432が、キャビティ低融点金属層432を構成する金属、例えば錫の融点に達すると、キャビティ低融点金属層432は融解する。キャビティ低融点金属層432が融解すると、電鋳部品430と型キャビティ420fとの間の密着強度が下がるので、この状態において、把持具、取り外し用冶具、ピンセット等を用いて、電鋳部品430を型キャビティ420fから取り出すことができる。また、クランパ及びクランパ止めねじなどを用いて、電鋳型420の周辺部をベース138に固定してから、電鋳部品430を型キャビティ420fから取り出すことができる。したがって、上記の製造方法を用いると、電鋳型420を変形、溶解、破壊などすることなしに、電鋳部品430を電鋳型420から取り出すことでき、電鋳型430を繰り返し使用することができる。
(3)機械式時計の構造
次に、本明細書に記載している電鋳部品の製造方法を適用した電鋳部品を含む機械式時計の実施の形態について説明する。図5〜図7を参照すると、機械式時計において、機械式時計のムーブメント(機械体)300は、ムーブメントの基板を構成する地板302を有する。巻真310が、地板302の巻真案内穴302aに回転可能に組み込まれる。文字板304(図26に仮想線で示す)がムーブメント300に取付けられる。一般に、地板の両側のうちで、文字板のある方の側をムーブメントの「裏側」と称し、文字板のある方の側と反対側をムーブメントの「表側」と称する。ムーブメントの「表側」に組み込まれる輪列を「表輪列」と称し、ムーブメントの「裏側」に組み込まれる輪列を「裏輪列」と称する。おしどり390、かんぬき392、かんぬきばね394、裏押さえ396を含む切換装置により、巻真310の軸線方向の位置を決める。きち車312が巻真310の案内軸部に回転可能に設けられる。巻真310が、回転軸線方向に沿ってムーブメントの内側に一番近い方の第1の巻真位置(0段目)にある状態で巻真310を回転させると、つづみ車の回転を介してきち車312が回転する。丸穴車314が、きち車312の回転により回転する。角穴車316が、丸穴車314の回転により回転する。角穴車316が回転することにより、香箱車320に収容されたぜんまい322を巻き上げる。二番車324が、香箱車320の回転により回転する。がんぎ車330が、四番車328、三番車326、二番車324の回転を介して回転する。香箱車320、二番車324、三番車326、四番車328は表輪列を構成する。
表輪列の回転を制御するための脱進・調速装置は、てんぷ340と、がんぎ車330と、アンクル342とを含む。てんぷ340は、てん真340aと、てん輪340bと、ひげぜんまい340cとを含む。二番車324の回転に基づいて、筒かな350が同時に回転する。筒かな350に取付けられた分針352が「分」を表示する。筒かな350には、二番車324に対するスリップ機構が設けられる。筒かな350の回転に基づいて、日の裏車の回転を介して、筒車354が回転する。筒車354に取付けられた時針356が「時」を表示する。ひげぜんまい340cは、複数の巻き数をもったうずまき状(螺旋状)の形態の薄板ばねである。ひげぜんまい340cの内端部は、てん真340aに固定されたひげ玉340dに固定され、ひげぜんまい340cの外端部は、てんぷ受366に固定されたひげ持受370に取り付けたひげ持370aを介してねじ締めにより固定される。緩急針368が、てんぷ受366に回転可能に取付けられている。ひげ受1340とひげ棒1342が、緩急針368に取付けられている。ひげぜんまい340cの外端部に近い部分は、ひげ受1340とひげ棒1342との間に位置する。てんぷ340は、地板302及びてんぷ受366に対して回転可能なように支持される。
香箱車320は、香箱歯車320dと、香箱真320f、ぜんまい322とを備える。香箱真320fは、上軸部320aと、下軸部320bとを含む。香箱真320fは、炭素鋼などの金属で形成される。香箱歯車320dは黄銅などの金属で形成される。二番車324は、上軸部324aと、下軸部324bと、かな部324cと、歯車部324dと、そろばん玉部324hとを含む。二番車324のかな部324cは香箱歯車320dと噛み合うように構成される。上軸部324aと、下軸部324bと、そろばん玉部324bは、炭素鋼などの金属で形成される。歯車部324dは黄銅などの金属で形成される。三番車326は、上軸部326aと、下軸部326bと、かな部326cと、歯車部326dとを含む。三番車326のかな部326cは歯車部324dと噛み合うように構成される。四番車328は、上軸部328aと、下軸部328bと、かな部328cと、歯車部328dとを含む。四番車328のかな部328cは歯車部326dと噛み合うように構成される。上軸部328aと、下軸部328bは、炭素鋼などの金属で形成される。歯車部328dは黄銅などの金属で形成される。がんぎ車330は、上軸部330aと、下軸部330bと、かな部330cと、歯車部330dとを含む。がんぎ車330のかな部330cは歯車部328dと噛み合うように構成される。アンクル342は、アンクル体342dと、アンクル真342fとを備える。アンクル真342fは、上軸部342aと、下軸部342bとを含む。
香箱車320は、地板302及び香箱受360に対して回転可能なように支持される。すなわち、香箱真320fの上軸部320aは、香箱受360に対して回転可能なように支持される。香箱真320fの下軸部320bは、地板302に対して、回転可能に支持される。二番車324、三番車326、四番車328、がんぎ車330は、地板302及び輪列受362に対して回転可能なように支持される。すなわち、二番車324の上軸部324a、三番車326の上軸部326a、四番車328の上軸部328a、がんぎ車330の上軸部330aは、輪列受362に対して回転可能なように支持される。また、二番車324の下軸部324b、三番車326の下軸部326b、四番車328の下軸部328b、がんぎ車330の下軸部330bは、地板302に対して、回転可能に支持される。アンクル342は、地板302及びアンクル受364に対して回転可能なように支持される。すなわち、アンクル342の上軸部342aは、アンクル受364に対して回転可能なように支持される。アンクル342の下軸部342bは、地板302に対して、回転可能に支持される。
香箱真320fの上軸部320aを回転可能に支持する香箱受360の軸受部と、二番車324の上軸部324aを回転可能に支持する輪列受362の軸受部と、三番車326の上軸部326aを回転可能に支持する輪列受362の軸受部と、四番車328の上軸部328aを回転可能に支持する輪列受362の軸受部と、がんぎ車330の上軸部330aを回転可能に支持する輪列受362の軸受部と、アンクル342の上軸部342aを回転可能に支持するアンクル受364の軸受部には、潤滑油が注油される。香箱真320fの下軸部320bを回転可能に支持する地板302の軸受部と、二番車324の下軸部324bを回転可能に支持する地板302の軸受部と、三番車326の下軸部326bを回転可能に支持する地板302の軸受部と、四番車328の下軸部328bを回転可能に支持する地板302の軸受部と、がんぎ車330の下軸部320bを回転可能に支持する地板302の軸受部と、アンクル342の下軸部342bを回転可能に支持する地板302の軸受部には、潤滑油が注油される。この潤滑油は、精密機械用油であるのが好ましく、いわゆる時計油であるのが特に好ましい。地板302のそれぞれの軸受部、香箱受360の軸受部、輪列受362のそれぞれの軸受部には、潤滑油の保持性能を高めるために、円錐状、円筒状、又は、円錐台状の油溜め部を設けるのが好ましい。油溜め部を設けると、潤滑油の表面張力により油が拡散するのを効果的に阻止することができる。地板302、香箱受360、輪列受362、アンクル受364は、黄銅などの金属で形成してもよいし、ポリ−カーボネートなどのエンジニアリングプラスチックで形成してもよい。
(4)三番車の製造方法と構造
図8〜図10を参照すると、三番車326は、三番かな(かな:ピニオン歯車部)326fと、三番歯車326gとを含む。三番歯車326gの厚さは、例えば、100μm〜500μmであり、好ましくは150μm〜250μmである。三番かな326fは、上軸部326aと、下軸部326bと、かな部326cとを含む。三番歯車326gは、中心支持部326hと、あみだ部326jと、歯車部326dとを含む。図示する実施形態では、あみだ部326jは5本である。あみだ部326jの数は3本であってもよいし、4本以上であってもよい。或いは、あみだ部326jを設けなくてもよい。三番かな326fは、炭素鋼などの金属で形成される。三番歯車326gはニッケルなどの金属で形成される。
電鋳型120を用いて、三番歯車326gを電鋳加工する。三番歯車326gを形成する場合、電鋳する金属は、ニッケル、又は銅であるのが好ましい。三番歯車326gに複数のあみだ部326jが設けられる。この構成では、隣接する2つのあみだ部326jの間に位置する三番歯車326gの窓部326mに対応する電鋳型120の領域に、厚膜レジストを堆積させ、堆積した厚膜レジストに必要形状を露光し、現像して、あみだ部形成用レジスト(図示せず)をパターニングする。あみだ部形成用レジストの厚さは、三番歯車326gの厚さより大きくなるように設定する。三番歯車326gの厚さが200μmである場合、あみだ部形成用レジストの厚さは、200μm〜500μmの範囲であるのが好ましい。
歯車部326dが未加工の三番車326を電鋳加工した後、二次加工として、プレス加工、或いは、歯切り加工などによって、三番歯車326gの歯車部326dを形成することができる。三番かな326fは旋盤加工などにより形成することができる。歯車部326dを形成した三番歯車326gに三番かな326fを固定して三番車326を製造することができる。以上のように、三番車の製造方法について説明したけれども、この方法は、三番車だけでなく、二番車、四番車、五番車、伝え車、日の裏車、修正車などの各種の輪列部材にも応用することができる。
(5)がんぎ車の製造方法と構造
図11〜図13を参照すると、がんぎ車330は、がんぎかな(かな:ピニオン歯車部)330fと、がんぎ歯車330gとを含む。がんぎ歯車330gの厚さは、例えば、100μm〜500μmであり、好ましくは100μm〜200μmである。がんぎかな330fは、上軸部330aと、下軸部330bと、かな部(ピニオン歯車部)330cとを含む。がんぎ歯車330gは、中心支持部330hと、あみだ部330jと、歯車部(すなわち、アンクルのつめ石と接触して作動する部分)330dとを含む。図示する実施形態では、あみだ部330jは4本である。あみだ部330jの数は3本であってもよいし、4本以上であってもよい。がんぎかな330fは、炭素鋼などの金属で形成される。がんぎ歯車330gはニッケルなどの金属で形成される。がんぎ歯車330gの隣接する2つのあみだ部330jの間に位置するがんぎ歯車330gの窓部330mに対応する電鋳型120の領域に、厚膜レジストを堆積させ、堆積した厚膜レジストに必要形状を露光し、現像して、あみだ部形成用レジスト(図示せず)をパターニングする。あみだ部形成用レジストの厚さは、がんぎ歯車330gの厚さより大きくなるように設定する。がんぎ歯車330gの厚さが100μm〜500μm、好ましくは100μm〜200μmである場合、外形形成用レジスト128の厚さは、がんぎ歯車330gの厚さと同一であるか、或いは、がんぎ歯車330gの厚さより厚くて、がんぎ歯車330gの厚さに500μmを加えた厚さまでの厚さの範囲とするのが好ましい。
歯車部330dが未加工のがんぎ車330を電鋳加工した後、二次加工として、プレス加工、或いは、歯切り加工などによって、がんぎ歯車330gの歯車部330dを形成することができる。さらに、図示するように、がんぎ歯車330gの最外周部に斜面部330kを設けることが必要である場合、二次加工として、プレス加工、或いは、フライス加工などによって、斜面部330kを形成することができる。がんぎかな330fは旋盤加工などにより形成することができる。歯車部330dを形成したがんぎ歯車330gにがんぎかな330fを固定してがんぎ車330を製造することができる。
(6)アンクルの製造方法と構造
図14〜図16を参照すると、本発明の実施形態において、アンクル342は、アンクル体342dと、アンクル真342fと、剣先342gと、2つのつめ石、すなわち、入りつめ石342jおよび出つめ石342kとを備える。アンクル体342dの厚さは、例えば、100μm〜500μmであり、好ましくは100μm〜200μmである。アンクル真342fは、上軸部342aと、下軸部342bとを含む。アンクル体342dは、ニッケルなどの金属で形成される。アンクル真342fは炭素鋼などの金属で形成される。アンクル真342fは、炭素鋼などの金属で形成される。アンクル体342dは、ニッケル、又は銅であるのが好ましい。
剣先およびつめ石がないアンクル体342dを電鋳加工したのち、二次加工として、アンクル体342dに、入りつめ石342jおよび出つめ石342kを接着などによって固定することができる。さらに、二次加工として、アンクル体342dに、剣先342gを取付けることができる。剣先342gは、剣先軸部342hをアンクル体342dに嵌めこむことによって固定することもできるし、剣先軸部342hをアンクル体342dに接着することによって固定することもできる。さらに、図示するように、アンクル体342dの剣先342gに隣接する部分に斜面部342kを設けることが必要である場合、二次加工として、プレス加工、或いは、フライス加工などによって、斜面部342kを形成することができる。
本発明の製造方法を用いることによって、電鋳型を変形、溶解、破壊することなしに、電鋳部品を電鋳型から取り出すことができる。すなわち、本発明により、電鋳型を繰り返し使用することができる。さらに、本発明により、機械式時計用の輪列部品、アンクルなどを電鋳加工によって効率良く製造することができる。
120 電鋳型
124 金属薄膜
128 レジスト層
130 電鋳部品
132 低融点金属層
300 ムーブメント(機械体)
302 地板
320 香箱車
324 二番車
326 三番車
328 四番車
330 がんぎ車
342 アンクル
420 電鋳型
424 金属薄膜
428 レジスト層
430 電鋳部品
432 キャビティ低融点金属層

Claims (6)

  1. 電鋳部品の製造方法において、
    (a)電鋳部品を製造するために、電鋳部品を形成するためのキャビティを形成した電鋳型(420)を準備する工程と、
    (b)電鋳型(420)に金属薄膜(424)を形成し、電鋳加工のための表面導体化を行い、製造すべき電鋳部品の外形形状に対応する形状を有する型キャビティ(420f)を形成する工程と、
    (c)型キャビティ(420f)の内部を除いて、金属薄膜(424)の表面にレジスト層(428)を設ける工程と、
    (d)型キャビティ(420f)の内部に、電鋳部品(430)を構成する電鋳金属の融点より低い融点をもつ金属により、キャビティ低融点金属層(432)を形成する工程と、
    (e)電鋳型(420)に電鋳加工を行い、型キャビティ(420f)の中に電鋳部品(430)を形成する工程と、
    (f)キャビティ低融点金属層(432)を構成する金属の融点以上になるように電鋳型(420)を加熱し、キャビティ低融点金属層(432)を融解させる工程と、
    (g)電鋳型(420)の型キャビティ(420f)から電鋳部品(430)を取り出す工程とを含み、
    前記工程(a)から前記工程(g)は、上記した順序にしたがって行われる、
    ことを特徴とする方法。
  2. 請求項1に記載されている方法において、キャビティ低融点金属層(432)を構成する材料は、Mn(マンガン)、Zn(亜鉛)、Ga(ガリウム)、Ge(ゲルマニウム)、Ag(銀)、Cd(カドミウム)、In(インジウム)、Sn(錫)、Sb(アンチモン)、Te(テルル)、Au(金)、Tl(タリウム)、Pb(鉛)、Bi(ビスマス)、Po(ポロニウム)からなる群から選ばれることを特徴とする方法。
  3. 請求項1に記載されている方法において、キャビティ低融点金属層(432)の厚さは、0.1μmから1μmであることを特徴とする方法。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載されている方法によって製造されることを特徴とする電鋳部品。
  5. 時計用の輪列部品において、請求項1から3のいずれか1項に記載されている方法によって製造された「歯車」と、前記歯車に固定された「かな」とを含むことを特徴とする輪列部品。
  6. 時計用のアンクルにおいて、請求項1から3のいずれか1項に記載されている方法によって製造された「アンクル体(342d)」と、前記アンクル体(342d)に固定された「入りつめ石(342j)」および「出つめ石(342k)」と、前記アンクル体(342d)に取付けられた「剣先(342g)」とを含むことを特徴とするアンクル。
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