JP2010173621A - エアバッグ及びエアバッグ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】エアバッグの内圧状況と乗員の接触状況によりベントホールの開度を完全な開放状態に近い開度まで変化させる。
【解決手段】エアバッグ10のリヤパネル14にベントホール18が設けられている。テザー60は、ベントホール18を覆う蓋部61と、一端側が蓋部61に直列に連なり、他端側がエアバッグ10の周縁側に延在した直列引き留め部63と、蓋部61と直列引き留め部63とが連なる方向に所定の角度で交差する方向で蓋部61に基端側が連なった交差繋ぎ部とを有する。ベントホール18よりもエアバッグ10の周縁側において、フロントパネル12とリヤパネル14との間に直列引き留め部63が挟み込まれ、これらが線状結合部80によって結合解除可能に結合されている。
【選択図】図5

Description

本発明は、自動車等の衝突時に乗員の安全を確保するためのエアバッグ及びそれを利用したエアバッグ装置に関する。
従来より、自動車の衝突、横転などの緊急時にインフレータが作動し、このインフレータからの噴出ガスによって袋体に形成されたエアバッグが折り畳まれた状態から膨張展開し、乗員を拘束するエアバッグ装置が知られている。そしてエアバッグにベントホールを設け、膨張したエアバッグに車両乗員等が突っ込んで来たときに、前記ベントホールを介してエアバッグ内部からガスを流出させることにより、前記車両乗員等をエアバッグによってソフトに受け止めるようにすることは周知である。
特開平6−127330号公報には、膨張したエアバッグの乗員対向面に乗員が接触するまではベントホールが閉鎖されており、乗員がこの膨張したエアバッグの乗員対向面に接触して前記乗員対向面を後退させるとベントホールが開放するように構成されたエアバッグが記載されている。
同号公報では、エアバッグの乗員対向面と反対側の反乗員側面に、ベントホールが配置されている。このベントホールの近傍にスリットが設けられ、このスリットにストラップが挿通されている。このストラップの一端側は、エアバッグの内部を通ってエアバッグの乗員対向面に連結されている。また、このストラップの他端側は、前記スリットからエアバッグの外面に沿ってベントホールを横切るように引き回され、このベントホールを挟んで前記スリットと反対側において、エアバッグの外面に結合されている。
同号公報にあっては、エアバッグが膨張すると、このエアバッグの乗員対向面と反乗員側面とが離反するのに伴ってストラップが緊張する。この際、ストラップの前記他端側は、エアバッグの外面に沿って緊張してベントールに重なり、前記ベントホールを閉鎖するようになる。これにより、前記ベントホールからのガスの流出が規制され、エアバッグの内部が速やかに高圧となり、エアバッグが迅速に展開する。
この膨張したエアバッグに乗員が接触してエアバッグの乗員対向面を後退させると、ストラップが弛み、このストラップの前記他端側がエアバッグ内部のガス圧によりベントホールから離反する。これにより、ベントホールが開放され、前記ベントホールからエアバッグ外にガスが流出する。この結果、乗員がエアバッグによってソフトに受け止められる。
特開平6−127330号公報
上記従来技術にあっては、エアバッグが膨張途中であっても、エアバッグに乗員が接触してこのエアバッグの乗員対向面を後退させると、テザーが弛んでベントホールが開放する。この場合、エアバッグの内圧が十分に上昇しないうちにベントホールからエアバッグ外にガスが流出するおそれがある。
このような現象を防止するために、高出力のインフレータを用いてエアバッグの膨張を迅速化することも考えられるが、高出力のインフレータを用いると、エアバッグ装置の大型化やコストの上昇を招く。
本発明の目的は、エアバッグの内圧が所定以上となるまではベントホールが閉又は小開度となっており、エアバッグの内圧が所定以上となり、且つエアバッグに乗員が接触したときにベントホールが完全な開放状態に近い開又は大開度となるエアバッグ及びエアバッグ装置を提供することを目的とすることにある。
上記目的を達成するために、第1の発明は、ベントホールと、当該ベントホールからのガスの流出を規制する規制手段とを有するエアバッグであって、前記ベントホールは、膨張した状態における前記エアバッグの乗員対向面と反対側の反乗員側面に設けられており、前記規制手段は、前記ベントホールを覆う蓋部と、基端側が前記蓋部に連なり、先端側が前記乗員対向面に連結された繋ぎ部とを有した延在体を備えているエアバッグにおいて、前記ベントホールよりも前記エアバッグの周縁側において、前記エアバッグを構成する基布のうち少なくとも互いに離隔した第1の部分と第2の部分とが結合手段により結合解除可能に結合されており、前記延在体は、一端側が前記蓋部に直列に連なり、他端側が前記エアバッグの周縁側に延在した直列引き留め部を有しており、前記繋ぎ部は、前記蓋部と前記直列引き留め部とが連なる方向に所定の角度で交差する方向で前記蓋部に前記基端側が連なった交差繋ぎ部であり、前記直列引き留め部の前記他端側が、前記第1の部分と第2の部分との間に挟み込まれて前記結合手段によりこれらと結合されており、前記エアバッグの内圧が所定圧に達するまでは、前記蓋部が、前記直列引き留め部により前記エアバッグの外部側への移動を阻止されて前記ベントホールに重なり、これにより前記ベントホールが閉又は小開度とされ、前記エアバッグの内圧が所定圧以上になったときに、前記第1の部分、第2の部分及び直列引き留め部の結合が解除され、その後、前記エアバッグに乗員が接触するまでは、前記蓋部が、前記交差繋ぎ部により前記エアバッグの外部側への移動を阻止されて前記ベントホールに重なり、これにより前記ベントホールが閉又は小開度とされ、前記エアバッグに乗員が接触して前記乗員対向面を後退させることにより、前記蓋部が前記エアバッグの内部のガス圧によって前記ベントホールから離反するとともに、前記直列引き留め部の全体が前記ベントホールを通って前記エアバッグの外部側へ挿脱し、これにより前記ベントホールが開又は大開度となることを特徴とする。
これにより、車両衝突時等にインフレータがガス噴出作動し、このインフレータからのガスによりエアバッグが膨張する場合、このエアバッグの内圧が所定以上となるまでは、ベントホールよりもエアバッグの周縁側において、エアバッグを構成する基布のうち少なくとも互いに離隔した第1の部分と第2の部分とが結合手段により結合解除可能に結合されている。また、この結合手段により、延在体の直列引き留め部も、前記第1の部分及び第2の部分と一緒に結合されている。
即ち、このエアバッグの膨張初期の段階においては、前記結合手段によりエアバッグの膨張が部分的に規制されており、これによりエアバッグの内容積が減じられた状態となっている。また、延在体の蓋部が前記直列引き留め部によりエアバッグ外部側への移動を阻止されてベントホールに重なった状態となっており、これによりベントホールが閉又は小開度とされ、このベントホールからのエアバッグ外へのガスの流出が規制されている。そのため、高出力のインフレータを用いなくとも、エアバッグの内圧が速やかに上昇する。
このエアバッグの内圧が所定圧以上になると、結合手段が破断して、前記第1の部分と第2の部分との結合、並びにこれらと前記直列引き留め部との結合が解除される。これにより、エアバッグが最大まで膨張するようになると共に、この直列引き留め部による蓋部の引き留めが解除される。
その後、このエアバッグに乗員が接触するまでは、延在体の交差繋ぎ部がエアバッグの乗員対向面と蓋部との間で緊張し、蓋部がこの交差繋ぎ部によりエアバッグ外部側への移動を阻止されてベントホールに重なり、ベントホールが閉又は小開度とされている。これにより、この段階でも前記ベントホールからのガスの流出が規制され、エアバッグの内圧が所定圧以上に維持される。
そして、このエアバッグに乗員が接触すると、このエアバッグの乗員対向面が乗員に押されて後退し、これに伴って交差繋ぎ部が弛む。この交差繋ぎ部の弛みの分、蓋部がエアバッグ外部側へ移動可能となるため、エアバッグ内部のガス圧によって蓋部がベントホールから離反する。そしてこの際には、直列引き留め部の全体がベントホールを通ってエアバッグの外部側へ挿脱する。これにより、ベントホールが開又は大開度となり、前記ベントホールからエアバッグ外にガスが流出して、乗員がこのエアバッグによってソフトに受け止められるようになる。
なお、このエアバッグの内圧が所定圧以上となる前、即ち結合手段が破断する前に、乗員がこのエアバッグに接触した場合には、直列引き留め部が結合手段によってエアバッグの前記第1の部分及び第2の部分と結合されているため、エアバッグの乗員対向面が乗員に押されて後退しても、蓋部はこの直列引き留め部によって引き留められて、ベントホールを覆った状態を維持する。そのため、ベントホールからガスが流出することがなく、エアバッグの内圧が低下しないので、乗員がこのエアバッグによって拘束される。
その後、エアバッグの内圧が所定圧以上になると、結合手段が破断し、エアバッグの前記第1の部分、第2の部分及び引き留め部の結合が解除され、この直列引き留め部による蓋部の引き留めも解除される。このとき、既にエアバッグの乗員対向面が乗員に押されて後退しており、交差繋ぎ部が緊張しないため、直ちに蓋部がエアバッグ内部のガス圧によってベントホールから離反し、ベントホールが開又は大開度となる。これにより、ベントホールからエアバッグ外にガスが流出して、乗員がこのエアバッグによってソフトに受け止められるようになる。
そして、上述したように、蓋部がエアバッグ内部のガス圧によってベントホールから離反した際には、それとともに直列引き留め部の全体がベントホールを通ってエアバッグの外部側へ挿脱するため、直列引き留め部の自由端がガス圧によって吹き流されてベントホールから離間する。つまりベントホールは、その前後に何も遮蔽するものがないほぼ完全な開放状態となって排気性能が向上する。
この結果、エアバッグの内圧が所定以上となるまではベントホールが閉又は小開度となっており、エアバッグの内圧が所定以上となり、且つエアバッグに乗員が接触したときにベントホールが完全な開放状態に近い開又は大開度となる。
なお、交差繋ぎ部が、蓋部と直列引き留め部とが連なる方向に所定の角度で交差する方向で蓋部に基端側が連なることにより、エアバッグが最大まで膨張した際の交差繋ぎ部の張力の合力の大きさや方向を適宜調整することができ、所望する態様で蓋部を引き留めることができる。
第2の発明は、上記第1の発明において、前記直列引き留め部は、その幅が前記ベントホールの直径より小さいことを特徴とする。
これにより、直列引き留め部の全体がベントホールを通ってエアバッグの外部側へ挿脱しやすくなり、容易にベントホールが完全な開放状態に近い開又は大開度となる。
第3の発明は、上記第1又は上記第2の発明において、前記交差繋ぎ部は、前記蓋部の側方の両側にそれぞれ一つずつ連ねて設けられていることを特徴とする。
これにより、2つの交差繋ぎ部が蓋部の側方の両側においてそれぞれバランスよく蓋部を引き留めるため、蓋部は安定してベントホールを覆った状態を維持することができる。
第4の発明は、上記第1乃至第3の発明のいずれかにおいて、前記蓋部は、前記エアバッグの内側から前記ベントホールを覆っており、前記エアバッグの内側面のうち、前記蓋部が配置する位置から前記交差繋ぎ部が延在する方向の近傍に、前記交差繋ぎ部が挿通された繋ぎ部挿通部が設けられており、前記延在体の前記蓋部側の末端部分が、前記ベントホールよりも前記エアバッグの中央側において、前記エアバッグに結合されていることを特徴とする。
これにより、エアバッグが膨張すると、エアバッグの内側からベントホールを覆う蓋部と、交差繋ぎ部のうち前記蓋部に連なる部分(繋ぎ部挿通部から蓋部にかけての部分)とが連続してエアバッグ内面に沿って延在するようになるため、この蓋部のエアバッグ内面への密着性即ちベントホールの閉鎖性が良好なものとなる。
第5の発明は、上記第4の発明において、前記繋ぎ部挿通部は、前記エアバッグの中心側よりも周縁側の方が前記蓋部に近接する配置で設けられていることを特徴とする。
これにより、交差繋ぎ部がエアバッグの乗員対向面と蓋部との間で緊張した際に、ねじれが少なくほぼ平坦な状態で適正に緊張させることができ、強度を維持させることができる。
第6の発明は、上記第1乃至第5の発明のいずれかにおいて、前記エアバッグ内に、前記エアバッグの前記乗員対向面と反乗員側面とを連結した内部部材が設けられており、前記繋ぎ部は、前記内部部材に連結されていることを特徴とする。
これにより、内部部材の長さ、配置、及び繋ぎ部との接続位置を調整することで、エアバッグが最大まで膨張した際の繋ぎ部の張力を適宜調整することができ、蓋部は安定してベントホールを覆った状態を維持することができる。そして、結合手段の破断後、このエアバッグが乗員を受け止めて乗員対向面が後退すると、内部部材が弛んで繋ぎ部の緊張が解除され、蓋部がベントホールから離反する。
第7の発明は、上記第1乃至第6の発明のいずれかのエアバッグを備えるエアバッグ装置において、前記エアバッグにガスを供給するインフレータを備えていることを特徴とする。
これにより、上記第1発明のエアバッグの効果を有するエアバッグ装置を実現することができる。
本発明によれば、エアバッグの内圧が所定以上となるまではベントホールが閉又は小開度となり、エアバッグの内圧が所定以上となり、且つエアバッグに乗員が接触したときにベントホールが完全な開放状態に近い開又は大開度とすることができる。
実施形態に係るエアバッグ装置の分解斜視図である。 図1のエアバッグ装置をリヤパネル側から見た平面図である。 図1のエアバッグ装置の線状結合部によりエアバッグの膨張が規制された状態を示す断面図である。 図1のエアバッグ装置の線状結合部が破断し、且つエアバッグに乗員が接触する前の状態を示す断面図である。 図1のエアバッグ装置の線状結合部が破断した後にエアバッグに乗員が接触した状態を示す断面図である。 交差繋ぎ部を吊り紐に接続する変形例に係るエアバッグ装置の分解斜視図である。 図6のエアバッグ装置の線状結合部によりエアバッグの膨張が規制された状態を示す断面図である。 図6のエアバッグ装置の線状結合部が破断し、且つエアバッグに乗員が接触する前の状態を示す断面図である。 図6のエアバッグ装置の線状結合部が破断した後にエアバッグに乗員が接触した状態を示す断面図である。 図6のエアバッグ装置の変形例で線状結合部が破断し、且つエアバッグに乗員が接触する前の状態を示す断面図である。
以下に、図面を参照して本発明の第1の実施の形態について説明する。
図1は第1の実施の形態に係るエアバッグ及びエアバッグ装置の分解斜視図、図2はこのエアバッグをリヤパネル側から見た平面図である。図3〜図5はこのエアバッグ及びエアバッグ装置の断面図である。なお、図3は線状結合部によりエアバッグの膨張が規制された状態を示し、図4はこの線状結合部が破断し、且つエアバッグに乗員が接触する前の状態を示し、図5は、線状結合部が破断した後にエアバッグに乗員が接触した状態を示している。
この実施の形態では、エアバッグ10は、車両の運転席用エアバッグである。
このエアバッグ10は、乗員対向面を構成するフロントパネル12と、乗員対向面と反対側の反乗員側面を構成するリヤパネル14と、このエアバッグ10の内外を連結するベントホール18と、ベントホール18からのガスの流出を規制するための規制部材を構成する延在体としてのテザー60等を備えている。
フロントパネル12及びリヤパネル14はそれぞれ円形の織布よりなる。フロントパネル12とリヤパネル14とは略同一直径のものであり、これらの外周縁部同士がシーム15(図1、図2中では図示の煩雑を避けるために省略)によって縫合されることにより、袋体状とされている。シーム15は、フロントパネル12及びリヤパネル14の外周に沿って円環状に周設されている。シーム15は、エアバッグ10の内圧が所定以上となっても破断しない高強度シームである。なお、シーム15は縫糸等よりなるが、これに限定されない。
リヤパネル14には、インフレータ用(ガス導入用)開口16と前記ベントホール18とが設けられている。開口16はリヤパネル14の中央に配置されている。開口16の周囲には、ボルト挿通孔20が設けられている。ベントホール18は、リヤパネル14の周縁部(シーム15)からリヤパネル14の中央側に所定距離離隔した位置に設けられている。
テザー60は、このベントホール18を覆う蓋部61と、一端側がエアバッグ10半径方向で蓋部61の端部に直列に連なり、他端側がエアバッグ10の周縁側に延在した一つの直列引き留め部63と、蓋部61と直列引き留め部63とが連なる方向(つまりエアバッグ10の半径方向)に対し略直交する方向で蓋部61に基端側が連なり、逆の先端側が円形状の円形接続部62aを介してフロントパネル12側に接続される2つの交差繋ぎ部62(図3〜図5中では奥側の一つのみ記載)とを有している。これら2つの交差繋ぎ部62は、蓋部61の側方の両側にそれぞれ一つずつ連ねて設けられており、テザー60全体は略十字形状に形成されている。また、直列引き留め部63は、その幅の寸法がベントホール18の直径の寸法より小さく形成されている。
蓋部61は、リヤパネル14の半径方向にベントホール18を横切るように配置されており、エアバッグ10の内部側からベントホール18に重ね合わされている。また、蓋部61のリヤパネル14中心側に位置する端部は、ベントホール18よりリヤパネル14中心側の近傍でリヤパネル14に逢着されている。
2つの交差繋ぎ部62は、エアバッグ10の内部をリヤパネル14側からフロントパネル12側に引き回され、その先端の上記円形接続部62aがフロントパネル12のエアバッグ内側面の中央付近にシーム64により縫着されている。一つの直列引き留め部63は、蓋部61からリヤパネル14のエアバッグ内側面に沿ってリヤパネル14の外周側に引き回されている。
リヤパネル14のエアバッグ内側面に、テザー60の2つの交差繋ぎ部62がそれぞれ挿通される繋ぎ部挿通部70が2つ設けられている。図1及び図2に示すように、2つの繋ぎ部挿通部70は、蓋部61の長手方向に対して直交する方向(つまり各交差繋ぎ部62の長手方向)で、ベントホール18の両側を挟む位置に配置されている。
2つの繋ぎ部挿通部70は、それぞれ略平行四辺形の小クロスよりなる。この平行四辺形の小クロスは、長手方向のエアバッグ周縁側の端部が蓋部61に比較的近接し、長手方向のエアバッグ中心側の端部が蓋部61に比較的離間する配置で設けられており、すなわち図2に示すように2つの繋ぎ部挿通部70で、エアバッグ周縁側で互いに近接する「ハ」の字の配置となっている。そして、これら2つの繋ぎ部挿通部70の小クロスは、長手方向に対向する1対の2辺部分(短辺部分)がそれぞれリヤパネル14にシーム71により縫着されている。2つの交差繋ぎ部62は、この小クロスの幅方向に対向する残りの1対の2辺とリヤパネル14との間を引き通される。
2つの交差繋ぎ部62の長さは、図4に示すように、後述の線状結合部80が破断してエアバッグ10が最大まで膨張したときに、それぞれフロントパネル12とリヤパネル14との間で緊張し、これにより蓋部61のエアバッグ10外部側への移動(エアバッグ10内のガス圧によりベントホール18からエアバッグ10外に押し出されること)が阻止されるようになり、なおかつ、蓋部61が交差繋ぎ部62によって過度にエアバッグ10の内側へ引張られてリヤパネル14のエアバッグ10内側面から浮き上ってしまうこともない寸法とされている。この例では、蓋部61、2つの交差繋ぎ部62、一つの直列引き留め部63、及び円形接続部62aは一本のテザーにより連続して構成されている。
図2及び図3に示すように、リヤパネル14のうちの外周側の領域と、フロントパネル12のうちこれと対面する領域とが、エアバッグ10の周方向に延在する(即ち該インフレータ用開口16の周囲を周回するように延在する)環形状の結合手段としての線状結合部80によって結合解除可能に結合されている。また、図示の通り、蓋部61からエアバッグ10の外周側に引き回された直列引き留め部63の先端側が、該フロントパネル12及びリヤパネル14の間に挟み込まれてこれらと一体に(3枚重ね状に)線状結合部80によって結合されている。
なお、このように線状結合部80によってフロントパネル12とリヤパネル14と直列引き留め部63の先端側とが結合された状態において、直列引き留め部63の線状結合部80から蓋部61側の末端までの長さは、蓋部61がベントホール18を通ってエアバッグ10外に移動することを阻止し、なおかつ蓋部61が各直列引き留め部63により過度にエアバッグ10の内側へ引張られてリヤパネル14の内側面から浮き上ってしまうこともない寸法とされている。
即ち、このように線状結合部80によってフロントパネル12、リヤパネル14及び直列引き留め部63の先端側が結合された状態においては、蓋部61は、これら直列引き留め部63に引き留められて、ベントホール18を覆った状態を維持する。
線状結合部80は、エアバッグ10の内圧が所定以上になると破断して、フロントパネル12とリヤパネル14との結合、並びにこれらと直列引き留め部63との結合を解除するよう構成されている。線状結合部80は、例えば、所定の張力が作用したときに切れる縫糸(テアシーム)等により構成することができるが、これに限定されない。
線状結合部80は、図1及び図2に示す通り、フロントパネル12及びリヤパネル14と略同心状に延設されている。なお、本実施形態では、線状結合部80が1周のみ設けられているが、2周以上設けられてもよい。
線状結合部80の延在方向の途中部には、部分的にフロントパネル12とリヤパネル14との結合を中断し、該線状結合部80よりも内周側と外周側とを連通した連通部81が形成されている。この連通部81は、この線状結合部80によるフロントパネル12、リヤパネル14及び直列引き留め部63の結合部の近傍に配置されている。
図2に示すように、この連通部81に臨む線状結合部80の両端部80a,80bのうち、直列引き留め部63に近い方の端部80aは、エアバッグ10の外周側に向って延在しており、直列引き留め部63から遠い方の端部80bは、エアバッグ中央側に向って延在している。
なお、本発明においては、インフレータ用開口16の周囲を周回するように延設される結合手段としての線状結合部80の形状は、正円形以外の種々の形状、例えば、六角形、八角形等(角の数に特に制限は無い。)の多角形状や、エアバッグ10の周方向において部分的にエアバッグ10の中央側に入り込んでいる部分あるいは部分的にエアバッグの外周側に突出した部分を有する形状であってもよい。あるいは、この結合手段としての線状結合部80は、渦巻き状に延設されてもよい。さらに、この線状結合部80に、エアバッグ10の周方向に位置を異ならせて複数の連通部が形成されてもよい。
このエアバッグ10を取付けるためのリテーナ30には、中央にインフレータ取付口32が設けられ、その周囲にボルト挿通孔34が設けられている。
インフレータ36は略円柱形状のものであり、その筒軸方向の先端側の側周面に複数のガス噴出口36aが設けられている。このインフレータ36の筒軸方向の途中部分(ガス噴出口36aよりも後端側)の側周面からは、インフレータ固定用のフランジ38が突設されている。フランジ38には、ボルト挿通孔40が設けられている。このインフレータ36は、先端側がインフレータ取付口32に嵌装される。
このエアバッグ10をリテーナ30に取り付けるに当っては、リヤパネル14のインフレータ用開口16の周縁部を、リテーナ30のインフレータ取付口32の周縁部に重ね合わせる。そして、押えリング42のスタッドボルト44を、リヤパネル14、リング固定部65、当該リング固定部65と同形状のリング基布90、リテーナ30及びフランジ38の各ボルト挿通孔20,34,40に通し、その先端にナット46を締め込んで、リヤパネル14及びインフレータ36をリテーナ30に固定する。これにより、リヤパネル14、リング固定部65、及びリング基布90は押さえリング41とリテーナ30との間に挟み込まれて固定されることになる。
その後、エアバッグ10を折り畳み、このエアバッグ10の折り畳み体を覆うようにモジュールカバー(特に図示せず)をリテーナ30に取り付けることにより、エアバッグ装置が構成される。ただし、エアバッグ10のリテーナ30への取り付けに先立って、予めエアバッグ10が折り畳まれていてもよい。このエアバッグ装置は、自動車のステアリングホイール50に設置される。
このエアバッグ装置の作動は以下の通りである。
乗員拘束装置の制御装置(特に図示せず)からインフレータ36に作動信号が入力されると、インフレータ36が作動してエアバッグ10内にガスが噴出する。エアバッグ10は、このガスにより膨張してモジュールカバーを押し開き、車両室内に展開して運転席乗員を拘束する。
この場合、エアバッグ10の内圧が所定以上となるまでは、図3に示すように、線状結合部80によるフロントパネル12、リヤパネル14及び直列引き留め部63の結合が解除されないため、エアバッグ10のうち、線状結合部80よりも外周側の部分においては膨張が規制される。また、蓋部61は、各直交繋ぎ部62によりエアバッグ10の外部側への移動を阻止されてベントホール18に重なった状態となっており、これによりベントホール18が閉鎖され、このベントホール18からのエアバッグ10外へのガスの流出が規制されている。そのため、インフレータ36として高出力ものを用いなくても、エアバッグ10の内圧が速やかに上昇する。
このエアバッグ10の内圧による応力は、連通部81に臨む線状結合部80の端部80a,80bのうち、エアバッグ10の中央側に延在した端部80bに集中する。そして、エアバッグ10の内圧が所定以上になると、この端部80bから線状結合部80の破断が開始する。この線状結合部80の破断は、この端部80bを始点として、線状結合部80によるフロントパネル12、リヤパネル14及び直列引き留め部63の結合部から離れていく方向に進行する。従って、これと反対側の端部80aの近傍において線状結合部80によって結合されたフロントパネル12、リヤパネル14及び直列引き留め部63の結合は、この線状結合部80の略全体が破断するまで解除されない。これにより、線状結合部80の略全体が破断する前に直列引き留め部63による蓋部61の引き留めが解除されて蓋部61が開放動作してしまうことが防止される。
この線状結合部80の破断により、フロントパネル12及びリヤパネル14のうち線状結合部80からエアバッグ10の最外周部までの領域が離反可能となり、図4の如くエアバッグ10が最外周部まで膨張するようになる。また、この線状結合部80の破断により、フロントパネル12及びリヤパネル14と直列引き留め部63との結合が解除され、この直列引き留め部63による蓋部61の引き留めも解除される。
その後、このエアバッグ10に乗員が接触するまでは、蓋部61が2つの交差繋ぎ部62によりエアバッグ10の外部側への移動を阻止されてベントホール18に重なり、これによりベントホール18が閉鎖された状態となっている。そのため、この段階においてもベントホール18からのガスの流出が規制され、エアバッグ10の内圧が所定以上に維持される。
そして、このエアバッグ10に乗員が接触した場合には、図5のように、フロントパネル12が乗員に押されてリヤパネル14側へ後退して各交差繋ぎ部62が弛み、その分だけ蓋部61がエアバッグ10の外部側へ移動可能となる。これにより、蓋部61がエアバッグ10内のガス圧によってベントホール18からエアバッグ10外に押し出され、さらに直列引き留め部63の全体がベントホール18を通ってエアバッグ10の外部側へ挿脱するため、直列引き留め部63の自由端がガス圧によって吹き流されてベントホール18から離間する。これにより、ベントホール18は、その前後に何も遮蔽するものがないほぼ完全な開放状態となる。この結果、ベントホール18からエアバッグ10の外部にガスが流出し、乗員がエアバッグ10によってソフトに受け止められるようになる。
なお、図示はしないが、このエアバッグ10の内圧が所定以上となる前、即ち線状結合部80が破断する前に、乗員がこのエアバッグ10に接触した場合には、直列引き留め部63が線状結合部80によってフロントパネル12及びリヤパネル14と結合されているため、フロントパネル12が乗員に押されて後退しても、蓋部61はこの直列引き留め部63に引き留められてエアバッグ10の外部側への移動を阻止され、ベントホール18を覆ったままとなっている。そのため、ベントホール18からエアバッグ10外にガスが流出することがなく、エアバッグ10の内圧が低下しないので、乗員がこのエアバッグ10によって拘束される。
その後、エアバッグ10の内圧が所定以上に達すると、線状結合部80が破断し、エアバッグ10のフロントパネル12、リヤパネル14及び直列引き留め部63の結合が解除され、この直列引き留め部63による蓋部61の引き留めも解除される。このとき、既にフロントパネル12が乗員に押されて後退した状態となっているので、各交差繋ぎ部62は緊張せず、直ちに蓋部61がエアバッグ10内のガス圧によりベントホール18からエアバッグ10外に押し出されるとともに、直列引き留め部63の全体がベントホール18を通ってエアバッグ10の外部側へ挿脱し、ベントホール18がほぼ完全な開放状態となる。これにより、ベントホール18からエアバッグ10外にガスが流出し、乗員がこのエアバッグ10によってソフトに受け止められるようになる。
この結果、本実施形態のエアバッグ10及びエアバッグ装置においては、エアバッグ10の内圧が所定以上となるまではベントホール18が閉又は小開度となっており、エアバッグ10の内圧が所定以上となり、且つエアバッグ10に乗員が接触したときにベントホール18が完全な開放状態に近い開又は大開度となる。
なお、2つの交差繋ぎ部62が、蓋部61と直列引き留め部63とが連なる方向に所定の角度で交差する方向で蓋部61に基端側が連なることにより、エアバッグ10が最大まで膨張した際の各交差繋ぎ部62の張力の合力の大きさや方向を適宜調整することができ、所望する態様で蓋部61を引き留めることができる。
また、本実施形態においては、直列引き留め部63は、その幅がベントホール18の直径より小さいことにより、直列引き留め部63の全体がベントホール18を通ってエアバッグ10の外部側へ挿脱しやすくなり、容易にベントホール18が完全な開放状態に近い開又は大開度となる。
また、本実施形態においては、交差繋ぎ部62は、蓋部61の側方の両側にそれぞれ一つずつ連ねて設けられていることにより、2つの交差繋ぎ部62が蓋部61の側方の両側においてそれぞれバランスよく蓋部61を引き留めるため、蓋部61は安定してベントホール18を覆った状態を維持することができる。
また、本実施形態においては、蓋部61は、エアバッグ10の内側からベントホール18を覆っており、エアバッグ10の内側面のうち、蓋部61が配置する位置から交差繋ぎ部62が延在する方向の近傍に、交差繋ぎ部62が挿通された繋ぎ部挿通部70が設けられており、テザー60の蓋部61側の末端部分が、ベントホール18よりもエアバッグ10の中央側において、エアバッグ10に結合されている。
これにより、エアバッグ10が膨張すると、エアバッグ10の内側からベントホール18を覆う蓋部61と、交差繋ぎ部62のうち蓋部61に連なる部分(繋ぎ部挿通部70から蓋部61にかけての部分)とが連続してエアバッグ10内面に沿って延在するようになるため、この蓋部61のエアバッグ10内面への密着性即ちベントホール18の閉鎖性が良好なものとなる。
また、本実施形態においては、繋ぎ部挿通部70は、エアバッグ10の中心側よりも周縁側の方が蓋部61に近接する配置で設けられていることにより、交差繋ぎ部62がエアバッグ10のフロントパネル12と蓋部61との間で緊張した際に、ねじれが少なくほぼ平坦な状態で適正に緊張させることができ、強度を維持させることができる。
本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨と技術思想の範囲を逸脱しない範囲で以下に示すような種々の変形が可能である。
(1)内部部材を介して交差繋ぎ部とフロントパネルを連結する場合
例えば、エアバッグ10の内部に、エアバッグ10のフロントパネル12とリヤパネル14とを連結してエアバッグ10の膨張時の厚みを規制する吊紐等の内部部材が設けられてもよい。図6〜図9はこの変形例によるエアバッグ及びエアバッグ装置の構成を表した図であり、図6は上記実施形態の図1に対応し、図7〜図9はそれぞれ上記実施形態の図3〜図5に対応している。なお同等の部材には同じ符号を付し、適宜説明を省略する。
この変形例のエアバッグ10Aは、上記実施形態におけるテザー60の円形接続部62aの代わりに、吊り紐接続部91がフロントパネル12のエアバッグ内側面の中央付近にシーム64により縫着されている。この吊り紐接続部91とリング基布90Aは、テザー60Aに近い側に位置する1本の吊り紐92により連なっている。この吊り紐92の長さは、図8のように、線状結合部80が破断してエアバッグ10Aが最大まで膨張したときに、フロントパネル12とリヤパネル14との間で緊張し、これによりエアバッグ10A全体が適正な厚み寸法(フロントパネル12とリヤパネル14とが離間する方向の寸法)に展開形成できる寸法となっている。
そして、テザー60Aの各交差繋ぎ部62A(図7〜図9中では手前側の一つを先端側のみ記載)には上記実施形態の円形接続部62aが設けられておらず、各交差繋ぎ部62Aのそれぞれの先端部をエアバッグ10Aのフロントパネル12に直接的に連結する代わりに、吊り紐92の途中部分に連結し、この吊り紐92を介して蓋部61とフロントパネル12とを繋ぐように構成している。各交差繋ぎ部62Aの長さは、図8のように、線状結合部80が破断してエアバッグ10Aが最大まで膨張したときに、吊り紐92の途中接続部分とリヤパネル14との間で緊張し、これにより蓋部61のエアバッグ10A外部側への移動(エアバッグ10A内のガス圧によりベントホール18からエアバッグ10A外に押し出されること)が阻止されるようになり、なおかつ、蓋部61が各交差繋ぎ部62Aによって過度にエアバッグ10Aの内側へ引張られてリヤパネル14のエアバッグ内側面から浮き上ってしまうこともない寸法とされている。
この変形例によれば、図8に示すようにエアバッグ10Aが最大に膨張することに伴い、吊り紐92が乗員側へ展張されることにより、各交差繋ぎ部62Aもこれら吊り紐92によって乗員側へ引っ張られて緊張し、蓋部61のベントホール18からの離反を阻止するようになる。線状結合部80の破断後、図9に示すように、このエアバッグ10Aが乗員を受け止めてフロントパネル12が後退すると、2本の吊り紐92が弛んで交差繋ぎ部62Aの緊張が解除され、蓋部61がベントホール18から離反する。
この結果、本変形例のエアバッグ10Aも上記実施形態のエアバッグ10と同等の効果を得ることができる。
また、本変形例においては、吊り紐92の長さ、配置、及び各交差繋ぎ部62Aとの接続位置を調整することで、エアバッグ10Aが最大まで膨張した際の各交差繋ぎ部62Aの張力を適宜調整することができ、蓋部61は安定してベントホール18を覆った状態を維持することができる。また、上記の各接続位置を調整することで、エアバッグ10の膨張展開行程における特有のタイミングで、特有の張力の合力を交差繋ぎ部62に付加させることもでき、蓋部61の開放感度を調整することができる。
(2)その他
なお、図10に示すように吊り紐92を2本(又は2本以上)設けるようにしてもよい。これにより、エアバッグ10Bが最大まで膨張した際のフロントパネル12とリヤパネル14との間の張力を分散させて各吊り紐92の強度を維持させることができる。
なお、上述の実施形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。
10、10A エアバッグ
10B エアバッグ
12 フロントパネル(乗員対向面)
14 リヤパネル(反乗員対向面)
18 ベントホール
36 インフレータ
60、60A テザー(延在体)
61 蓋部
62、62A 交差繋ぎ部
63 直列引き留め部
70 繋ぎ部挿通部
80 線状結合部(結合手段)
92 吊り紐(内部部材)

Claims (7)

  1. ベントホールと、当該ベントホールからのガスの流出を規制する規制手段とを有するエアバッグであって、
    前記ベントホールは、膨張した状態における前記エアバッグの乗員対向面と反対側の反乗員側面に設けられており、
    前記規制手段は、
    前記ベントホールを覆う蓋部と、基端側が前記蓋部に連なり、先端側が前記乗員対向面に連結された繋ぎ部とを有した延在体を備えているエアバッグにおいて、
    前記ベントホールよりも前記エアバッグの周縁側において、前記エアバッグを構成する基布のうち少なくとも互いに離隔した第1の部分と第2の部分とが結合手段により結合解除可能に結合されており、
    前記延在体は、
    一端側が前記蓋部に直列に連なり、他端側が前記エアバッグの周縁側に延在した直列引き留め部を有しており、
    前記繋ぎ部は、前記蓋部と前記直列引き留め部とが連なる方向に所定の角度で交差する方向で前記蓋部に前記基端側が連なった交差繋ぎ部であり、
    前記直列引き留め部の前記他端側が、前記第1の部分と第2の部分との間に挟み込まれて前記結合手段によりこれらと結合されており、
    前記エアバッグの内圧が所定圧に達するまでは、前記蓋部が、前記直列引き留め部により前記エアバッグの外部側への移動を阻止されて前記ベントホールに重なり、これにより前記ベントホールが閉又は小開度とされ、
    前記エアバッグの内圧が所定圧以上になったときに、前記第1の部分、第2の部分及び直列引き留め部の結合が解除され、
    その後、前記エアバッグに乗員が接触するまでは、前記蓋部が、前記交差繋ぎ部により前記エアバッグの外部側への移動を阻止されて前記ベントホールに重なり、これにより前記ベントホールが閉又は小開度とされ、
    前記エアバッグに乗員が接触して前記乗員対向面を後退させることにより、前記蓋部が前記エアバッグの内部のガス圧によって前記ベントホールから離反するとともに、前記直列引き留め部の全体が前記ベントホールを通って前記エアバッグの外部側へ挿脱し、これにより前記ベントホールが開又は大開度となることを特徴とするエアバッグ。
  2. 請求項1記載のエアバッグにおいて、
    前記直列引き留め部は、その幅が前記ベントホールの直径より小さいことを特徴とするエアバッグ。
  3. 請求項1又は2記載のエアバッグにおいて、
    前記交差繋ぎ部は、前記蓋部の側方の両側にそれぞれ一つずつ連ねて設けられていることを特徴とするエアバッグ。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載のエアバッグにおいて、
    前記蓋部は、前記エアバッグの内側から前記ベントホールを覆っており、
    前記エアバッグの内側面のうち、前記蓋部が配置する位置から前記交差繋ぎ部が延在する方向の近傍に、前記交差繋ぎ部が挿通された繋ぎ部挿通部が設けられており、
    前記延在体の前記蓋部側の末端部分が、前記ベントホールよりも前記エアバッグの中央側において、前記エアバッグに結合されていることを特徴とするエアバッグ。
  5. 請求項4記載のエアバッグにおいて、
    前記繋ぎ部挿通部は、前記エアバッグの中心側よりも周縁側の方が前記蓋部に近接する配置で設けられていることを特徴とするエアバッグ。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載のエアバッグにおいて、
    前記エアバッグ内に、前記エアバッグの前記乗員対向面と反乗員側面とを連結した内部部材が設けられており、
    前記繋ぎ部は、前記内部部材に連結されていることを特徴とするエアバッグ。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載のエアバッグを備えるエアバッグ装置において、
    前記エアバッグにガスを供給するインフレータを備えていることを特徴とするエアバッグ装置。
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