JP2010173156A - 硬化樹脂フィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】光学部材等に用いるために充分光沢度が低い樹脂フィルムを効率よく製造することができる硬化樹脂フィルムの製造方法、光散乱性フィルム、遮光性フィルム、及び、該遮光性フィルムを備えるレンズユニットを提供する。
【解決手段】硬化性樹脂組成物から形成される硬化性樹脂膜3の少なくとも一方の表面に、転写により表面凹凸形状を形成し、硬化性樹脂膜3を硬化させて硬化樹脂フィルムを製造する方法であって、該製造方法は、表面凹凸形状を形成するための鋳型フィルム4を用い、硬化性樹脂膜3と鋳型フィルム4とを積層した状態で加圧及び加熱をする工程を有する硬化樹脂フィルムの製造方法である。
【選択図】図1

Description

本発明は、硬化樹脂フィルムの製造方法、その製造方法によって製造される硬化樹脂フィルム、その用途に関する。より詳しくは、特に光学用途やオプトデバイス用途、表示デバイス用途等に好適であり、その他、機械部品、電気・電子部品等として用いることができ、レンズユニット等に装着される光散乱性フィルム、それに遮光性を更に付与した遮光性フィルムとして有用な硬化樹脂フィルムの製造方法、その製造方法によって製造される硬化樹脂フィルム、並びに、その用途としての光散乱性フィルム、遮光性フィルム及びレンズユニットに関する。
複数の微小な表面凹凸を有する樹脂フィルムは、凹凸形状による光散乱性を有し、光沢度を低くすることができ、そのような特性を利用して種々の光学部材等において用いることが検討されている。例えば、光散乱によって遮光性フィルムの遮光性を高めることができることから、近年では、光学部材としてのレンズユニットに装着する遮光性フィルム等の新たな用途が期待されている。遮光性フィルムは、デジタルカメラや携帯電話用カメラのカメラモジュール等において、レンズユニット内部での光学ノイズの発生及び拡大を抑えるために用いられている。
ところで、光学部材等においては、デジタルカメラモジュールが携帯電話に搭載される等、近年急激に小型化が進み、光学部材の小型化、薄型化、軽量化が一層求められ、高機能化、高付加価値化が急速に進められている。それにともなって、デジタルカメラモジュール等に用いられる遮光性フィルムや、レンズ等を有するレンズユニットも同様に小型化、薄型化、軽量化が望まれ、また、それだけではなく、低コスト化も求められている。
このような高機能化、高付加価値化の中で、製造工程における一層の低コスト化等を図るため、リフロー工程によってデジタルカメラモジュールやレンズユニット等の光学・電子部材を組み立てることが検討されている。リフロー工程(ハンダリフロー工程ともいう)は、従来のようなハンダ付け工程ではなく、部材を組み立てた後に部材全体に熱を加えることによってハンダ付けが行われるようにする工程であり、これによって自動実装化が可能となり、製造コストをより低く抑えることができることとなる。この場合、耐熱性に優れ、耐リフロー性を有する(リフローアブル仕様に耐える)複数の微小な表面凹凸を有する遮光性フィルム等の光学部材が求められることになる。
このような表面凹凸を有する樹脂フィルムの製造方法としては、製造工程において樹脂フィルム表面を処理したり、樹脂フィルムを形成する原料に表面凹凸を発現することになるものを用いたりすることが検討されている。例えば、カーボンブラックを混入させたポリエステルフィルムをサンドブラスト処理する方法(例えば、特許文献1参照。)、有機フィラー(マット剤)をバインダー樹脂により基材黒色フィルムの表面に結着させ微粒子に基づく凹凸を形成する方法(例えば、特許文献2参照。)、有機フィラー、黒色微粒子をバインダー樹脂により基材透明フィルムの表面に結着させ微粒子に基づく凹凸を形成するとともに黒色化する製造方法(例えば、特許文献3参照。)が開示されている。また、表面凹凸形状を有する光情報記録媒体を製造することを目的として、光硬化性転写シートと凹凸形状を有するニッケル板とを積層し、ローラーを用いて光硬化性転写シートに荷重をかけて押圧し、凹凸形状を形成する製造方法(例えば、特許文献4参照。)が公開されている。
特開平1−120503号公報 特開2003−147275号公報 特開2003−266580号公報 特開2003−272228号公報
従来技術における製造工程のように、樹脂フィルム表面をサンドブラスト処理する場合、工程上煩雑となり、安定的な品質を得ることはできない。また、樹脂フィルムを形成する原料として微粒子を用いて表面凹凸を形成する場合、微粒子が樹脂フィルムの性能に影響を及ぼすことになり、例えば、耐熱性等の性能を低下させることが考えられる。
更に、表面凹凸形状を形成するために光硬化性転写シートを用いる技術においても、光硬化性のものに制約されてしまうことから、耐熱性等の性能が要求される種々の用途に好適に適用できるようにするための工夫の余地があった。また、この技術においては、表面凹凸を形成するために、凹凸を有する金属製のスタンパが用いられているが、微細で且つ大きさが均一に制御された表面凹凸を形成することは、経済的に困難であり、工業的生産工程においては、できないといってよい。光拡散フィルム等の(半)透明な光散乱性フィルムや遮光フィルム、特に撮像用レンズユニットに用いる等、光学素子用として使用されるものにおいては、可視光に対する光散乱性能(透明体でも遮光体でも)に優れることが要求されるが、微細で且つ大きさが均一に制御された表面凹凸を形成することができなければ、そのような用途のフィルムを作製することはできないといえる。また、このようなスタンパを用いて表面凹凸を形成することは、いわゆるバッチ生産しかできず、連続的に効率よく生産することはできない。更に、スタンパ自体も高価であり、工業的に有利な方法といえるものではなかった。
これらのことから、鋳型フィルムを用いる技術において光学部材等の用途における高い品質の樹脂フィルムを経済的に安価に製造することが求められるところであった。すなわち、鋳型フィルムを用いると、種々の態様の凹凸形状を硬化樹脂フィルム表面に連続的に形成することが可能となり、この点が工業的な生産工程において有用であるが、後述するような鋳型フィルムを用いる際の不具合を抑制するための工夫の余地があった。更に、鋳型フィルムからの表面凹凸の転写が充分に行われるようにすることによって、凹凸形状の付与による光沢低下性能を有するフィルムを高い品質で提供することができる技術が期待されるところであった。
先ず、本発明者等は、安定的な品質の樹脂フィルムを製造する方法として、樹脂組成物から形成される樹脂膜の表面に、転写により表面凹凸形状を形成して樹脂フィルムを製造する方法に着目した。また、このように製造される樹脂フィルムの中でも、耐熱性等の基本性能を有し、リフローアブル仕様に耐えるものとしては、硬化性樹脂組成物から形成された硬化樹脂フィルムとすることが有効であることに着目した。
ところで、硬化性樹脂組成物から表面凹凸形状が形成された樹脂フィルムを製造するための製法としては、表面凹凸形状を形成するための鋳型フィルムを用い、硬化性樹脂組成物を鋳型フィルムに塗布し(溶剤キャスト法)、転写処理した後に硬化させることが考えられる。鋳型フィルムを用いれば、種々の態様の凹凸形状をフィルム表面に付与することができ、工業的な生産工程において有用である。このように硬化樹脂フィルムを製造する場合、転写処理した後に硬化させなければ、すなわち、硬化性樹脂組成物が実質的に完全に硬化する前に転写処理しなければ、充分な転写を行うことはできない。
しかしながら、このような製法によっては、製造された樹脂フィルムに反り(カール)が発生する等の不具合が生じる。樹脂フィルムがカールしてしまえば、高い光学性能等が要求される光学部材等に好適に適用することはできない。例えば、転写処理した後に硬化させて得られた樹脂フィルムを鋳型フィルムから剥離するときにカールが発生することになる。したがって、表面凹凸形状による光沢低下効果を良好に保ったうえで、種々の用途に好適に適用できる、安定的で高い品質の樹脂フィルムを得ることは困難であった。
例えば、以下の方法によれば、カールした樹脂フィルムが得られることとなる。
すなわち、マットフィルムに硬化性樹脂組成物を塗布し、乾燥させて成膜し、剥離した表面凹凸が形成された硬化性樹脂フィルムを加熱によって硬化させる方法、基材フィルムに硬化性樹脂組成物を塗布し、乾燥させて成膜し、マットロール処理を行った表面凹凸が形成された硬化性樹脂フィルムを剥離し、加熱によって硬化させる方法、基材フィルムに硬化性樹脂組成物を塗布し、乾燥させて成膜し、剥離し、マットロール処理を行った表面凹凸が形成された硬化性樹脂膜を加熱によって硬化させる方法によっては、カールすることを充分に抑制して樹脂フィルムを製造することはできなかった。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、耐熱性等の基本性能を有し、リフローアブル仕様に耐えることができ、光学部材等の種々の用途に有用な表面凹凸形状を有する硬化樹脂フィルムを製造するに際し、安価に、カール発生を抑制(カール等の製造上の不具合の発生を抑制)して効率的に製造することができる樹脂フィルムの製造方法、そのような製造方法によって製造され、カールがなく、平坦性に優れながら、微細な凹凸形状を有し、耐熱性に優れるという高い性能、品質が求められる光拡散フィルム、遮光性フィルム等の光学部材に好適な樹脂フィルム、並びに、その用途としての光散乱性フィルム、遮光性フィルム及びレンズユニットを提供することを目的とするものである。
本発明者等は、硬化性樹脂組成物から、鋳型フィルムを用いて表面凹凸形状を有する硬化樹脂フィルムを製造し、カールの発生が抑制された製造方法について種々検討したところ、硬化性樹脂組成物から形成される硬化性樹脂膜と鋳型フィルムとを積層した状態で加圧、加熱処理することにより表面凹凸形状を形成した後、硬化する(硬化してから剥離又は剥離してから硬化する)ことによって、硬化にともなう不具合であるカールが生じない又はカールが抑制された硬化樹脂フィルムを得ることができることを見いだした。硬化性樹脂膜としては、鋳型フィルムによる凹凸形状の形成前に完全硬化したものを用いると、凹凸形状の転写が困難となることから、通常は、完全硬化していない、後工程で硬化が必要な膜(フィルム)が用いられることになる。カールが生じるのは、硬化性樹脂膜の硬化収縮によるものと考えられる。カールの発生の原因は定かではないが、たとえば硬化性樹脂膜の2つの表面における表面の形状の違い、表面積の違いに基づく硬化収縮と応力緩和性の違いによるのではないかと考えられる。また、硬化性樹脂膜が揮発分(溶媒)を含む場合には、硬化性樹脂膜の両表面で溶剤が揮発する速度が異なるために収縮率の違いをもたらしこれも相乗的に作用するものと考えられる。その結果、カールが生じるものと考えられる。本発明においては、積層フィルムの状態で加圧、加熱処理することによって、後に硬化性樹脂を硬化させる場合においてもカールの発生を抑制することができることを見いだしたものである。
従来の技術においては、樹脂フィルムの製造工程においてカールの発生を充分に抑制することはできなかったが、硬化性樹脂膜と鋳型フィルムとの積層フィルムを加圧するだけではなく、積層フィルムの状態で加熱処理し、好ましくは、このような処理を硬化性樹脂膜の硬化工程の前に行うことにより、転写性を改善して表面凹凸形状付与による光沢低下効果を良好に保ち、しかも製造工程におけるカール等の不具合の発生を充分に抑制するという、予期せぬ効果を奏することを見いだし、上記課題をみごとに解決することができ本発明に想到したものである。このように本発明の製造方法においては、鋳型フィルムを用いることによって、種々の態様の凹凸形状を硬化樹脂フィルム表面に連続的に形成することを可能としつつ、凹凸形状の転写を充分なものとして光沢低下性能を高め、しかもカールの発生を抑制して光学部材等の高い品質が要求される用途に好適な樹脂フィルムを提供することが可能となる。
また本発明の好ましい形態としては、硬化性樹脂膜に揮発分がある状態で加圧及び加熱をする形態、表面温度が特定された加熱媒体を用い、硬化性樹脂膜側の加熱媒体の温度が鋳型フィルム側の加熱媒体の温度よりも高くする形態、ロールを加圧及び加熱媒体として用いる形態、少なくとも2本のロールを用い、表面層を弾性体としたロールを必須とし、硬化性樹脂膜側が弾性体ロールの表面層と接する形態、ロール間の線圧を特定する形態、樹脂組成物が黒色材料を含有するようにした形態等が好適であることも見いだしたものである。
すなわち本発明は、硬化性樹脂組成物から形成される硬化性樹脂膜の表面に、転写により表面凹凸形状を形成し、硬化性樹脂膜を硬化させて硬化樹脂フィルムを製造する方法であって、該製造方法は、表面凹凸形状を形成するための鋳型フィルムを用い、硬化性樹脂膜と鋳型フィルムとを積層した状態で加圧及び加熱をする工程を有する硬化樹脂フィルムの製造方法である。
本発明はまた、上記製造方法により製造される硬化樹脂フィルムでもあり、上記硬化樹脂フィルムを備える光散乱性フィルムでもある。更に、上記光散乱性フィルムからなる遮光性フィルムであって、上記遮光性フィルムは、波長550nmの光に対する透過率が1%未満である遮光性フィルムでもある。
本発明はそして、上記遮光性フィルムとレンズとを備えるレンズユニットであって、上記レンズユニットは、撮像素子用レンズユニットであるレンズユニットでもある。
以下に本発明を詳述する。
本発明の製造方法においては、表面凹凸形状を形成するための鋳型フィルムを用い、硬化性樹脂膜と鋳型フィルムとを積層した状態で加圧及び加熱をすることになる。
上記加圧及び加熱工程において、加圧及び/又は加熱を行う好ましい実施形態は、加熱媒体を硬化性樹脂膜と鋳型フィルムとに接触させることによって加熱する形態である。より好ましくは、ロールを加圧及び加熱媒体として用いて加圧及び加熱をする形態、更に好ましくは、硬化性樹脂膜と鋳型フィルムとを積層した状態で少なくとも2本のロール間を通過させることによって加圧及び加熱する形態である。
上記工程において、樹脂膜と鋳型フィルムとを積層した状態とするのは、少なくとも転写処理を行うまでに、すなわち、加圧及び加熱をするまでにそのような状態とすればよい。例えば、加熱媒体を硬化性樹脂膜と鋳型フィルムとに接触させるときに、ロールによって加圧及び加熱をするときにそのような状態となっていればよい。少なくとも2本のロールを用いて転写処理する形態においては、少なくとも2本のロール間を通過させるときにそのような状態とすればよく、例えば、あらかじめ硬化性樹脂膜と鋳型フィルムとを積層したフィルムを2本のロール間に供給してもよく、硬化性樹脂膜と鋳型フィルムとを2本のロール間に別々に供給しロール間を通過するときに積層と転写とが同時に起こるようにしてもよい。通常は、凹凸形状を付与する硬化性樹脂膜表面に鋳型フィルムが積層されるようにすればよく、硬化性樹脂膜の片面に凹凸形状を付与する場合には、凹凸形状を付与する硬化性樹脂膜の片面表面に鋳型フィルムが積層された状態とし、硬化性樹脂膜の両面に凹凸形状を付与する場合には、硬化性樹脂膜の両面に同一又は異なった鋳型フィルムが積層された状態とすることになる。
次に、本発明における好ましい転写条件、すなわち積層フィルムと加圧及び/又は加熱媒体との関係、加圧及び/又は加熱媒体における設定について説明する。
上記積層フィルムは、上記のとおり、硬化性樹脂膜(硬化性樹脂膜Aともいう)及び鋳型フィルム(表面凹凸フィルムBともいう)を必須として積層されてなるものであり、それ以外のフィルム(他のフィルムCともいう)が積層されていてもよい。ここで、図2に示されるように、硬化性樹脂膜Aがある積層フィルムの片側、すなわち、硬化性樹脂膜Aが積層フィルムの片側にくる場合は「硬化性樹脂膜A側」(図2(a))、又は、他のフィルムCが硬化性樹脂膜Aの上(積層フィルムの表層側)にある場合は硬化性樹脂膜Aの上にある他のフィルムC側(図2(b))を「硬化性樹脂膜A側」とし、表面凹凸フィルムBがある積層フィルムの片側、すなわち、表面凹凸フィルムBが積層フィルムの片側にくる場合は「表面凹凸フィルムB側」(図2(c))、又は、他のフィルムCが表面凹凸フィルムBの上(積層フィルムの表層側)にある場合は表面凹凸フィルムBの上にある他のフィルムC側(図2(d))を「表面凹凸フィルムB側」とする。
上記加圧及び加熱処理は、加圧と加熱とが実質的に同時に行われるようにすることが好ましい。加圧と加熱とが実質的に同時に行われることになる限り、加圧時間を加熱時間よりも長くしたり、逆に加熱時間を加圧時間よりも長くしたりしてもよい。この加圧及び加熱処理によって、硬化性樹脂膜への鋳型フィルムにおける凹凸形状の転写が行われることになるが、加熱によってある程度の硬化性樹脂膜の硬化反応が進むこともある。
上記加圧及び加熱処理の方法としては、加圧及び/又は加熱媒体が用いられることになる。
例えば、硬化性樹脂膜と鋳型フィルムとの積層フィルム又はその他のフィルムも含む積層フィルムの片面又は両面に加圧及び/又は加熱媒体を接触させることになる。好ましくは、硬化性樹脂膜A側及び表面凹凸フィルムB側の両側から加圧及び/又は加熱媒体を挟むようにして加圧及び加熱処理を行う。
上記片側から加圧及び/又は加熱媒体を用いて加圧及び加熱処理を行う形態としては、上記積層フィルム固定し、片側からローラー等の押圧機器を用いて行う形態が挙げられ、上記両側から加圧及び/又は加熱媒体を用いて加圧及び加熱処理を行う形態としては、少なくとも2本のロール間を通過させることによって行う形態が挙げられる。
上記加圧及び加熱工程においては、硬化性樹脂膜に揮発分がある状態で加圧及び加熱をすることが好ましい。例えば、後述するような溶剤キャスト法によって硬化性樹脂組成物を鋳型フィルム上に塗布して硬化性樹脂膜を調製する場合、樹脂フィルムの製造工程として簡便で効率的であり好ましいが、通常では塗布するために硬化性樹脂組成物が溶剤等の揮発分を含むことになる。このような場合、完全に硬化する前の硬化性樹脂膜には溶剤等の揮発分が含まれることになり、硬化性樹脂膜を硬化させる際に溶剤等が揮発し、これに起因して、また、硬化性樹脂が硬化することによる影響と相まってカール等の不具合が発生することになるが、本発明においては、これを充分に抑制することができる。したがって、上記好ましい形態においては、塗布による硬化性樹脂膜の調製にも対応しつつ、本発明の有利な効果を奏することができる。
上記揮発分の含有割合としては、硬化性樹脂膜を100質量%とすると、1〜40質量%であることが好ましい。好ましくは、上記揮発分の下限に関しては、5質量%以上であり、より好ましくは、10質量%以上である。また、上限に関しては、35質量%以下であり、より好ましく、30質量%以下である。これによって、塗布によって硬化性樹脂膜を調製する場合にも本発明を好適に適用することができる。また、硬化性樹脂組成物を塗布、乾燥して硬化性樹脂膜を得る場合、適度な乾燥状態とすることができる。
本発明の製造方法においては、積層フィルムを加圧及び加熱するために加圧及び/又は加熱媒体を用いることが好ましい。このような媒体は、加圧と加熱とを実質的に同時に行えるものであることが好ましいが、加圧を主体的に行う媒体や加熱を主体的に行う媒体を用いてもよい。例えば、硬化性樹脂膜と鋳型フィルムとの積層フィルムを加圧及び/又は加熱媒体で挟むようにして加圧及び加熱を行うことが好ましい。
上記加圧及び/又は加熱媒体としては、積層フィルムを加圧及び/又は加熱媒体で挟む場合、挟むように配置された加圧及び/又は加熱媒体のいずれかが回転ロール(単に「ロール」ともいう)であることが好ましい。より好ましくは、加圧及び/又は加熱媒体のいずれもが回転ロールであることである。ロールの曲率半径としては、0.05m以上であることが好ましい。このように設定することによって、鋳型フィルムを用いる本発明の製造方法を工業的生産工程に好適なものとし、本発明の効果が充分に発揮されることになる。
なお、以下では、「加圧媒体」、「加熱媒体」という用語を用いる場合があるが、これらは、加圧を行う媒体、加熱を行う媒体であってもよく、加圧及び加熱を行う媒体であってもよい。回転ロールの表面は平坦であることが好ましい。
上記加圧及び/又は加熱媒体を用いる形態においては、硬化性樹脂膜A側と接する加圧及び/又は加熱媒体を「加圧及び/又は加熱媒体A」とし、表面凹凸フィルムB側と接する加圧及び/又は加熱媒体を「加圧及び/又は加熱媒体B」とすると、加圧及び/又は加熱媒体A、加圧及び/又は加熱媒体Bの少なくとも一方が弾性体であることが好ましい。この場合、いずれが弾性体であってもよいし、非弾性体であってもよいが、加圧及び/又は加熱媒体Aの表面層は、弾性体である形態とすることが好ましい。これによって、転写される硬化性樹脂膜A側表面に弾力を与え、転写ムラ等が発生するのを各段に抑制することができる。加圧及び/又は加熱媒体Bの表面層は、転写における圧力をより効率的に積層フィルムに伝達することができ、転写性をより改善することができる点で加圧及び/又は加熱媒体Bの表面層は、非弾性体であることが好ましい。
したがって、一方の加圧及び/又は加熱媒体の表面層が弾性体であり、他方の加圧及び/又は加熱媒体が非弾性体である場合は、加圧及び/又は加熱媒体A、加圧及び/又は加熱媒体Bのいずれを弾性体としてもよいが、硬化性樹脂膜A側が接する加圧及び/又は加熱媒体Aを弾性体とすること、言い換えれば、硬化性樹脂膜が弾性体である加圧及び/又は加熱媒体の表面層と接するようにすることが好ましい。加圧及び/又は加熱媒体A、加圧及び/又は加熱媒体Bのいずれもが弾性体によって構成され、弾性率が高い加圧及び/又は加熱媒体と低い加圧及び/又は加熱媒体とがある場合は、加圧及び/又は加熱媒体Aを弾性率が低い加圧及び/又は加熱媒体とし、加圧及び/又は加熱媒体Bを弾性率が高い加圧及び/又は加熱媒体とすることが好ましい。
上記加圧及び/又は加熱媒体の構成、弾性率、材料等の好ましい形態は、下記硬化性樹脂膜と鋳型フィルムとを積層した状態で少なくとも2本のロール間を通過させることによって加圧及び加熱する形態において説明されるのと同様である。
また上記加圧及び加熱工程の好ましい形態としては、上記においても言及したが、(1)表面温度が50℃以上の加熱媒体を硬化性樹脂膜と鋳型フィルムとに接触させながら加熱し、硬化性樹脂膜と接する加熱媒体の表面温度が鋳型フィルムと接する加熱媒体の表面温度よりも高くなるようにする形態、(2)ロールを加圧及び加熱媒体として用いて加圧及び加熱をする形態、(3)硬化性樹脂膜と鋳型フィルムとを積層した状態で少なくとも2本のロール間を通過させることによって加圧及び加熱し、2本のロールのうち少なくとも一方のロールの表面層を弾性体とし、硬化性樹脂膜が弾性体であるロールの表面層と接するようにする形態、(4)ロール間の線圧を1〜100N/mmとする形態が挙げられる。これら(1)〜(4)の形態を単独で又は組み合わせて本発明に適用することができる。
先ず、上記加熱媒体の表面温度は、50℃以上であることが好ましい。このようにすることにより、凹凸形状の転写が更に充分なものとなり、本発明の効果がより発揮されることとなる。上記表面温度は、50℃以上の範囲において、実質的に一定温度となるように設定することが好ましい。
次に、硬化性樹脂膜A側と接する加熱媒体を「加熱媒体A」とし、表面凹凸フィルムB側と接する加熱媒体を「加熱媒体B」とすると、硬化性樹脂膜A側と接する加熱媒体Aの表面温度(以下、Taと表す)は、加熱媒体Bの表面温度(以下、Tbと表す)より高いことが好ましい。加熱媒体Aの表面温度Taを加熱媒体Bの表面温度Tbよりも高くすることで、凹凸形状の転写が行われることになる硬化性樹脂膜A側に効率よく伝熱することができる。これによって、転写性が向上し、得られる樹脂フィルムの表面の光沢度をさらに低くすることができる。なお、表面凹凸フィルムB側と接する加熱媒体Bの表面温度Tbを更に高温にすると、鋳型フィルムに耐熱性の高いものを使用することが必要となることから、製造コストを考慮すれば、上記のようにTa>Tbとすることが好ましい。より好ましい形態としては、TaがTbよりも20℃以上高い状態とすることであり、更に好ましくは、TaがTbよりも40℃以上高い状態とすることであり、更に好ましくは、TaがTbよりも60℃以上高い状態とすることである。また、Taの上限に関しては、Tbよりも200℃高い温度以下とすることが好ましい。より好ましくは、Tbより150℃高い温度以下とすることである。また、上記表面凹凸フィルムB側と接する加熱媒体Bの表面温度Tbは、鋳型フィルムを構成する材料のガラス転移点以下とすることが好ましい。より好ましくは、110℃以下である。
なお、上記加熱媒体の加熱は、少なくとも1つの加熱媒体を加熱することによって、それが積層フィルムを介して他の加熱媒体に伝熱されるようにすることにより行ってもよい。例えば、加熱媒体A側のみから熱を付与し、その表面温度を50℃以上とするような形態であってもよいが、このような場合も加熱媒体Bの表面温度が50℃以上となるようにすることが好ましい。
上記加熱媒体の加熱条件に関し、Ta及びTbについては、(1)硬化性樹脂膜Aを形成する樹脂として下記する硬化性樹脂を用いる場合、Ta及びTbが該硬化性樹脂の分解温度以下となるようにすることが好ましく、硬化性樹脂の硬化温度を考慮してTaとTbとの温度差が上述した範囲となるようにTa及びTbを決定することが好ましい。Taは通常、300℃以下が好ましく、さらに250℃以下が好ましく、200℃以下がより好ましい。下限は100℃以上が好ましい。
Tbは、通常、50℃以上が好ましく、100℃以下が好ましい。
上記加圧媒体(加熱加圧媒体又は加圧媒体)を用いる形態においては、加圧媒体Aと加圧媒体Bとの間には圧力がかかり、これによって転写が行われることになるが、この加熱媒体間にかかる圧力は、0.1〜10N/mmの間で実質的に一定となるように調整して行うことが好ましい。
また加熱媒体が曲面形状をもつものである場合、好ましくは、ロール形状である場合には、通常、線圧で表わされることになる。線圧は、ロール形状の場合、2本のロールが接するところにかかる圧力、すなわち、2本のロールが接しているロールの横方向(ロールの回転方向に対して垂直方向)の線上にかかる圧力である。このような形態においては、ロール間の線圧を1〜200N/mmの間で調整することが好適である。安定的に均一性を有する転写を行うためには、線圧を1〜200N/mmの間で実質的に一定となるように調整して行うことが好ましい。
上記圧力が上記範囲を超えると、転写材である鋳型フィルムの表面凹凸形状が損なわれ、転写性が充分とはならなくなるおそれがあり、上記範囲未満であると、硬化後のカール抑制効果及び転写性が充分とはならなくなるおそれがある。更に好ましくは、上記線圧の上限に関しては、100N/mm以下であり、また、下限に関しては、5N/mm以上である。
上記線圧は、ロールとロールにかける荷重より計算することができる。
具体的には、ロール有効幅(ロール同士の接触長さ)にかかる荷重より計算できる。
例えば、1000kg重の荷重(かけた荷重は装置の設定次第)がロール有効幅350mmにかかっていれば、以下のようになる。
1000kg重をNに換算すると、9800Nである。9800N÷350mm=28N/mmとなる。
なお、薄いフィルムの場合、例えば今回のような50μmほどのフィルムでは、ロールとロールの間に挟んでもロール同士が接触すればフィルム幅ではなくなる。そのため、ロールの有効幅より計算する。
また上記加圧加熱工程においては、加熱媒体を積層フィルムに押し当てた状態とすることになるが、その際に該積層フィルムにシワ等の不具合が生じることが充分に抑制されるようにするために、通常では張力をかけることが好ましい。その際には、樹脂膜及び鋳型フィルムをあらかじめ積層して加熱媒体に押し当てた状態とする場合は、積層フィルムにかかる張力、また、樹脂膜及び鋳型フィルムを別々に加熱媒体に押し当てた状態とし、転写時に積層する場合には、樹脂膜及び/又は鋳型フィルムにかかる張力は、0.5〜50kgであることが好ましい。この範囲内で実質的に一定となるように調整することが好ましい。好ましい形態としては、樹脂膜及び鋳型フィルムに対して上記範囲内で実質的に一定となるようにすることである。0.5kg未満であると、硬化後のカール抑制効果が充分とはならなくなるおそれがあり、また、樹脂膜と鋳型フィルムとの積層がうまくいかず、きれいに積層されずに転写に不具合を起こす等のおそれがある。50kgを超えると、張力がかかり過ぎて樹脂膜や鋳型フィルムが破断するおそれがあり、また、微細又は繊細な表面凹凸の転写が困難となるおそれがある。上記張力の上限に関しては、20kg以下であることがより好ましく、また、下限に関しては、1kg以上であることがより好ましい。
以下では、上記本発明の好ましい形態について、硬化性樹脂膜と鋳型フィルムとを積層した状態で少なくとも2本のロール間を通過させることによって加圧及び加熱する形態を例にして詳述する。
上記加圧加熱工程で用いるロールは、少なくとも2本のロールを有し、その2本のロールによって樹脂膜と鋳型フィルムとが積層されたフィルムに対して凹凸形状の転写を行うことができるものであることが好ましい。更に、本発明においては、2本のロールのうち少なくとも一方のロールの表面層が弾性体であり、両方のロールの表面を加熱された状態とすることができるものを用いることが好ましい。加熱及び又は加圧媒体としてのロール(転写ロール)は、少なくとも2本必要となり、これを1対とするが、更にロール本数が多いものを用いてもよい。例えば、転写ロールの本数が更に多くてもよく、また、樹脂膜、鋳型フィルム、積層フィルム、その他のフィルムを転写ロールに導いたり、凹凸形状の転写が行われたフィルムを転写ロールから引っ張り出したり等するロールが組み合わされていてもよい。
なお、少なくとも2本のロールによって構成される転写ロールを1対だけとし、凹凸形状の転写を実質的に1回だけ行うようにしてもよく、転写ロールを複数対とし、凹凸形状の転写を実質的に複数回行うようにしてもよい。このように、転写回数が制限されるものではない。
上記好ましい形態においては、上記2本のロール(転写ロール)に対して、上述した加圧及び/又は加熱媒体における弾性体、非弾性体の好ましい形態をあてはめることができる。
上記弾性体は、弾力性があると評価され得るものであり、樹脂膜及び鋳型フィルムの積層フィルムを加圧したときに該積層フィルムとロール間にかかる圧力を緩衝することができるものであればよい。なお、ロールの表面層に弾性が発現するようにすればよく、例えば、弾性ロール自体が弾性体によって構成された形態、弾性ロールの表面層だけが弾性体によって構成された形態であることが好ましいが、弾性ロールの表面層が非弾性体であっても弾性ロールの表面層が極薄い金属層によって構成され、表面層の内側に弾性体が配置されることによって積層フィルムとロール間にかかる圧力を緩衝することができると評価される形態であってもよい。
また上記非弾性体は、弾性体とは逆に弾力性がないと評価され得るものであり、樹脂膜及び鋳型フィルムの積層フィルムを加圧したときに該積層フィルムとロール間にかかる圧力を緩衝することができないものである。
上記弾性体の好ましい形態としては、弾性率で評価される場合、常温(25℃)における弾性率が5×10MPa未満の材料によって構成される形態である。弾性率の測定方法は特に限定されないが、基本的には、日本工業規格(JIS)JIS K 7171:2008(プラスチック 曲げ特性の求め方)に記載の3点曲げによる曲げ特性の求め方に従って評価される曲げ弾性率を弾性率とし、弾性体(弾性率<5×10MPa)であるか、非弾性体(弾性率≧5×10MPa)であるかの判定は同法により行うことができる。なお、測定に際して転写ロールを直接評価することは困難であるため、ロールと同じ材質の試験片を準備しこれを測定した値をロールの弾性率とすればよい。試験片は、通常、長さ80mm、幅10mm、厚さ4mmの板を試験片とすることが好ましい。
ゴムなどのように弾性率が小さく(例えば10MPa未満)、上記方法で精度の高い弾性率の値を求め難い場合は、JIS規格 JIS K 6254:2003(加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−低変形における応力・ひずみ特性の求め方)に従って、20%圧縮ひずみを与えたときの力の値より圧縮弾性率を求め、これを弾性率とすることができる。試験片は同規格推奨の円柱状とすることが好ましい。
なお、弾性率の測定方法は材質によりJIS規格が異なるが、精度の問題はあるとしても方法による値の相違は大きくなく、弾性体であるか、非弾性体であるかは、硬化性樹脂、熱可塑性樹脂に適用されるJIS K 7171で判定することとし(本発明で通常、対象とする、ゴムや樹脂、金属、セラミックが5×10MPa未満か、それ以上かは判定できる)、ゴムのように同法では5×10MPa未満であることは確認できても正確な値が測定し難い場合は、ゴムに適した測定法で求めることとすればよい。
上記弾性体は、エラストマーや高分子化合物として称される樹脂材料が好適であるが、非弾性体が含まれていても全体として弾性体であればよい。なお、弾性ロール表面の実質的に全部が弾性体であるとされることが好ましいが、本発明に効果を奏する限り、弾性ロール表面の一部が非弾性体であってもよい。
例えば、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリアミド、(メタ)アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリエステル、アラミド樹脂、シリコーン樹脂等の熱可塑性、熱硬化性樹脂;天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリルゴム、エピクロロヒドリンゴム、ウレタンゴム、多硫化ゴム、エチレン−プロピレンゴム、アクリルゴム、塩素化ポリエチレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、フッ素ゴム、シリコーンゴム、ホスファゼンゴム等を原料とする、ゴム架橋体、熱可塑性エラストマー、未架橋ゴム等のゴム等によって構成されたものが好適である。また上記の樹脂、又は、ゴムに、各種充填剤を含有させてなるものであってもよい。各種充填剤としては、カーボンブラック、グラファイト等の炭素粉末、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム等の金属塩粉末、クレー、タルク、シリカ、酸化チタン、酸化亜鉛、フェライト等の金属酸化物粉末、金属粉末;樹脂粉末、加硫ゴム粉末等の粒子やフレーク;ガラス繊維、セラミックス繊維、炭素繊維、金属繊維、セルロース、ナイロン、ポリエステル等の樹脂繊維等の単繊維等が挙げられる。
なお、上記弾性ロールは、上述したように表面層が弾性体であればよく、いわゆるロールの芯材の材質は特に限定されるものではない。上記芯材の材質としては、後述する金属等の非弾性体が挙げられる。金属ロール(円筒)の表面に樹脂シートが被着されてなる形態等が例示される。
上記非弾性体の好ましい形態としては、弾性率で評価される場合、常温(25℃)における弾性率が5×10MPa以上の材料である。このように、非弾性体は、厳密に全く弾性がないというものでなくてもよく、あくまでも弾性体とは逆に積層フィルムとロール間にかかる圧力を緩衝することができないと評価され得るものである。例えば、無機ガラス、金属酸化物、金属(酸)窒化物、金属(酸)炭化物、金属(酸)硫化物等のセラミックス、炭素材料、SUS等の金属材料等が挙げられる。
次に、本発明の好ましい形態における好適な転写条件、すなわち積層フィルムと転写ロールとの関係、転写ロールにおける設定について説明する。
上記加圧加熱工程の好ましい形態においては、転写ロール間には圧力がかかり、これによって転写が行われることになるが、この転写ロール間にかかる圧力、すなわち、線圧は、少なくとも2本のロールのそれぞれを加熱媒体A、加熱媒体Bとし、上述した加熱媒体間の圧力の好ましい形態をあてはめればよい。また転写ロールに樹脂膜及び鋳型フィルムを必須として積層されてなる積層フィルムを供給することになるが、これについても、上述した加熱媒体の圧力の好ましい形態をあてはめればよい。
上記加圧加熱工程における樹脂膜及び/又は鋳型フィルムの転写ロールへの供給速度、積層フィルムの転写ロールへの供給速度としては、0.3〜10m/min.(分)であることが好ましい。この範囲内で実質的に一定となるように調整することが好ましい。好ましい形態としては、樹脂膜及び鋳型フィルムに対して実質的に同じ速度となり、上記範囲内で実質的に一定となるようにすることである。10m/min.を超えると、速度が速過ぎて転写が充分に行なえず、転写性が悪く、きれいに転写しないおそれがある。0.3m/min.未満であると、生産性に劣るおそれがある。より好ましくは、上記速度の上限に関しては、8m/分以下であり、また、下限に関しては、0.5m/分である。
上記本発明の好ましい形態においては、両方のロールの表面を加熱された状態とすることになる。このような形態は、少なくとも2本のロールのそれぞれを加熱媒体A、加熱媒体Bとし、上述した加熱媒体の加熱方法等をあてはめればよい。なお、転写ロールが更に多くのロールによって構成される場合には、最も転写に寄与する少なくとも2本のロールを加熱することが好ましいが、本発明の効果が奏されるように、加熱される2本のロール又は更に多くのロールを適宜選択して設定すればよい。
なお、上記好ましい形態においては、2本のロールの両方の表面温度を50℃以上とし、樹脂膜と接するロールの表面温度が鋳型フィルムと接するロールの表面温度よりも高くなるようにすることが好適である。転写ロールが2本のロールによって構成される場合には、該2本のロールの両方がそのように設定されることが好ましく、また、複数のロールによって構成される場合には、少なくとも2本のロールの表面温度を上記のように設定することが好ましい。転写するのに最も重要な複数の転写ロール又はすべての転写ロールの表面温度を上記のように設定すればよい。
なお、ここでのロールの表面温度は、表面温度を表面温度計等で実際に測定した温度である。上記表面温度の測定方法としては、例えば、接触式表面温度計である。
本発明の好ましい形態としてはまた、ロールAの表面層が弾性体であり、ロールBの表面層が非弾性体であり、かつ、ロールAの表面温度がロールBの表面温度よりも高く、ロールBの表面温度が50℃以上である形態を挙げることができる。
このような本発明の樹脂フィルムの製造方法の一例を図1に示す。図1においては、ロールの表面層が弾性体であるロールとして、ゴムロール1を用い、2本のロールのうちもう一方のロールとしてSUSロール2を用いている。硬化性樹脂膜3がゴムロールと接し、鋳型フィルムとして用いるマットフィルム4がSUSロールと接する状態とし、硬化性樹脂膜3とマットフィルム4とが2本のロール間を積層した状態で通過している。このとき、図1に示したように、硬化性樹脂膜3とマットフィルム4とが2本のロール間を通過する時点で積層されるようにしてもよく、ロール間を通過する前にあらかじめ積層された状態としてもよい。
また2本のロール間を通過後、図1のように硬化性樹脂膜3とマットフィルム4とがすぐに剥離される形態であってもよい。
この形態において、転写ロール間にかかる圧力である線圧、硬化性樹脂膜及び鋳型フィルムにかかる張力、硬化性樹脂膜及び鋳型フィルムの転写ロールへの供給速度、転写ロールの表面温度を上記好ましい形態のように設定すれば、本発明の効果を格段なものとすることができる。
以下では、樹脂フィルムを形成する構成要素、硬化性樹脂膜、鋳型フィルム、樹脂フィルムの用途等について詳述する。
本発明の製造方法において製造される硬化樹脂フィルムを構成する樹脂は、硬化性樹脂硬化物である。本発明によって製造される硬化樹脂フィルムの技術分野においては、特に光学部材等においては、小型化、薄型化、軽量化による高機能化、高付加価値化の要求が高まる中で、製造工程における一層の低コスト化等を図るため、リフロー工程によってデジタルカメラモジュールやレンズユニット等の光学・電子部材を組み立てることが検討されている。上述したように、リフロー工程は、部材を組み立てた後に部材全体に熱を加えることによってハンダ付けが行われるようにする工程であり、これによって自動実装化が可能となり、製造コストをより低く抑えることができる。この場合、耐熱性に優れ、耐リフロー性を有する(リフローアブル仕様に耐える)複数の微小な表面凹凸を有する遮光性フィルム等の光学部材が求められることになる。
このようにリフローアブル仕様に耐える硬化樹脂フィルムを得るためには、耐熱性等の高い性能を有する硬化性樹脂組成物から形成された硬化樹脂フィルムとすることが有効である。本明細書中で、硬化性樹脂硬化物は、硬化性樹脂が硬化又は半硬化したものであり、例えば、硬化性樹脂を架橋させることによって形成された架橋構造を有する形態が好ましい形態の一つである。
なお、レンズユニット等の光学部材の分野においては、ガラスレンズの樹脂化が進み、無機ガラスに代わってPMMA・PCやポリシクロオレフィン等のプラスチックレンズの採用が進んでいる。リフローアブル仕様に耐える耐熱性に優れるプラスチックレンズとすることが求められるところであるが、これに伴って、複数の微小な表面凹凸を有する遮光性フィルム等の各種の部材の耐熱性を向上することができれば、カメラモジュール等にリフロー工程を施すことが可能となり、光学部材の小型化、薄型化、軽量化を達成することができる。これによってガラスレンズの樹脂化がより一層促進されるものと期待できる。
本発明の製造方法においては、硬化性樹脂組成物から形成される硬化性樹脂膜の表面に、転写により表面凹凸形状を形成して硬化性樹脂フィルムを製造することになるが、硬化性樹脂膜は、硬化性樹脂組成物を組成的に中間状態(半乾燥、半固化、半硬化又は未反応・半反応の状態)としたものを用いる。
上記硬化性樹脂膜は、例えば、通常の塗布方法により基材に硬化性樹脂組成物を塗布した後、又は、溶融押出成形等の膜(フィルム)の形成方法によりフィルム状に成形した後、乾燥、固化、硬化、又は反応(前駆体若しくは単量体から樹脂の状態にする反応)させることによって得ることができる。例えば、ポリアミック酸溶液、エポキシ化合物等の硬化性樹脂溶液を基材に塗布、乾燥した後基材から剥離し、未硬化・半硬化の硬化性樹脂からなる単層フィルムとしたものを硬化性樹脂膜として用いることができる。
上記硬化性樹脂膜A(硬化性樹脂フィルムAともいう)としては、また、硬化性樹脂組成物(硬化性樹脂溶液ともいう)を基材に成膜して得られたものを用いることができる。具体的には、硬化性樹脂組成物を、基材に塗布して乾燥させ、基材から剥離して未硬化、半硬化の硬化性樹脂からなる単層フィルムとしたもの、又は、基材と剥離せずに、未硬化、半硬化の硬化性樹脂と基材フィルムとの積層フィルムとしたものが挙げられる。
上記硬化性樹脂組成物としては、例えば、ポリアミック酸溶液や、多官能エポキシ化合物とカチオン硬化剤とを含有する組成物等が挙げられる。これらの硬化性樹脂組成物を硬化させることにより、得られる硬化樹脂フィルムが、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、又は、カチオン硬化樹脂を含有することとなる。
本発明の製造方法においては、転写を行うことになり、凹凸を有する鋳型フィルムに硬化性樹脂組成物を接触させて凹凸形状を形成することになる。例えば、鋳型フィルムに硬化性樹脂組成物を塗布後、成膜するか、任意で乾燥・固化、又は、硬化若しくは反応(例えば、ポリアミック酸を反応させてポリイミドにする反応)して成膜し、凹凸形状を形成する方法(転写法1)が挙げられる。この場合、鋳型フィルムとしては、マットフィルム(表面凹凸PET等)が好ましい。また、あらかじめ硬化性樹脂組成物をフィルム状に形成し、フィルムが化学的、組成的に中間状態のもの、又は、半乾燥、半硬化、若しくは、未反応・半反応の状態にした後に、フィルム状に形成したものを鋳型フィルムに接触させて凹凸を形成する方法(転写法2)が挙げられる。この場合、鋳型フィルムとしては、マットフィルム(表面凹凸PET等)が好ましい。すなわち、転写法2のように、あらかじめ硬化性樹脂組成物をフィルム状に形成したものを鋳型フィルムに接触させて凹凸を形成する方法も好ましい転写の一つである。
上記転写法1においては、硬化性樹脂組成物を乾燥・固化、又は、硬化若しくは反応させる前又はその過程で凹凸形状を形成することになる。
上記転写法1、及び、2のいずれにおいても、液状組成物も好適に用いることができる。すなわち、転写法1で行われるように、表面凹凸形成工程が、鋳型フィルムに硬化性樹脂組成物からなる被膜を形成する工程を含むものであることが好ましい形態の一つである。
上記転写法1における凹凸形状形成に際し、並びに、転写法2における転写に供するフィルムの形成における膜形成方法としては、溶剤キャスト法、スピンコーティング法、バーコーター法、ロールコーター法、グラビアコーター法、ナイフコーティング法等の従来公知の塗布方法を採用し得る。
上記転写法2においては、あらかじめ硬化性樹脂組成物をフィルム状に形成し、フィルムが化学的、組成的に中間状態のもの、又は、半乾燥、半硬化、若しくは、未反応・半反応の状態にした後に、フィルム状に形成したものを転写層に接触させて凹凸形状を形成することになる。したがって、凹凸形状を形成する過程で乾燥・固化又は硬化工程が必ずしも必要ではない。また転写法2においては、凹凸形状を形成した後に乾燥・固化又は硬化させてもよく、凹凸形状を形成しながら乾燥・固化又は硬化を行ってもよい。転写層の凹凸形状をより追随させるという観点から、凹凸形状を形成しながら乾燥・固化又は硬化を行うことが好ましい。なお、転写法2において、あらかじめ硬化性樹脂組成物を半乾燥、半硬化させたとは、転写法2に供与する硬化性樹脂組成物が転写層と接触することで凹凸形状を形成できる状態であればよいことをいう。
上記転写法2では、あらかじめ半乾燥、半硬化させる際に、上述した基材上に硬化性樹脂組成物を塗布して半乾燥、半硬化させてもよい。
上記転写法1及び上記転写法2を組み合わせた形態(転写法3ともいう。)も好ましく、これによってフィルム両面に凹凸形状を形成することができる。例えば、転写法1によって鋳型フィルムに硬化性樹脂組成物を塗布して硬化性樹脂膜を調製した後、転写法2によって該硬化性樹脂膜のもう一方の片面を鋳型フィルムに接触させて硬化樹脂フィルムの両面を凹凸化することができる。また、転写法2によって硬化性樹脂膜を調製して鋳型フィルムに接触させた後、更に転写法2によって該硬化性樹脂膜のもう一方の片面を鋳型フィルムに接触させて行うこともできる。このような両面凹凸形成法においては、硬化性樹脂膜の片側の面が鋳型フィルムと積層した状態で、好ましくは、硬化性樹脂膜の両側の面が鋳型フィルムと積層した状態で加圧及び加熱が施されることになる。
上記転写法3において、転写法1と2とを連続して行う場合、一方の転写法を行った後に直ちに他方の転写法を行う形態が好適であるが、一方の転写法を行った後に他方の転写法を行うまでの期間がある程度あいてもよい。このような時間間隔としては、用いる材料等により適宜選択することができ、硬化樹脂フィルムの両表面に連続して凹凸を作る場合に、通常用いられている製造方法における時間間隔を好適に用いることができる。
上記転写法1と2とを連続して行う場合、転写法1を行った後に転写法2を行う形態が好ましい。例えば、転写法1により、硬化樹脂フィルムの一方の表面に凹凸を形成するとともに硬化性樹脂組成物を半乾燥、半硬化した状態、又は、乾燥・固化若しくは硬化が完了した状態とし、続いて転写法2により、他方の表面に凹凸形状を形成することができる。このように、上記表面凹凸形成工程が、転写法3によるものである形態もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記転写法1〜3は、硬化性樹脂組成物や製造する硬化樹脂フィルム等に応じて1又は2以上を適宜選択して用いることができる。これらの中でも、安定した凹凸形状形成(ふれが少ない)、均一、微細な凹凸形状が形成でき、凹凸形状の大きさ、形態の制御性に優れる点、平坦性に優れながらマット性を付与できる点で、3の方法が好ましい。
上記転写法1〜3においては、基材及び/又は鋳型フィルムが凹凸形状を形成する工程において硬化性樹脂組成物と一体化する場合があるが、このような基材及び/又は鋳型フィルムは、硬化樹脂フィルムと積層されていてもよく、基材及び/又は鋳型フィルムを除去してもよい。通常、鋳型フィルムは除去する(剥がす)こととなり、基材は必要に応じて除去することとなる。上記転写法1又は3において、基材を除去すると、硬化樹脂フィルム単層で、かつ、表面に凹凸形状を有する硬化樹脂フィルムが得られることとなり、塗布法でありながら単層で凹凸形状の制御された凹凸形状形成フィルムを実現できることとなる。
上記基材を除去する場合、凹凸形成後、硬化樹脂フィルムと分離するために、離型性に優れることが好ましい。また、平滑な基材に硬化性樹脂組成物を塗布し、半乾燥から乾燥、半固化から固化、半硬化から硬化、又は、前駆体から硬化性樹脂膜の状態となったものを剥離し、転写法2により凹凸形状を形成することも好ましい。
上記鋳型フィルムは、上述した転写において、硬化性樹脂膜表面に表面凹凸形状を形成するものであり、その形態としては、表面凹凸形状が表面に形成されてなるものであれば特に限定されないが、例えば、フィルム状(例えば、マットフィルム)等の種々の形態を用いることができる。上記鋳型フィルムの材質としては、すりガラス;マット処理PETフィルム(マットペットフィルム)、マット処理PPフィルム、マットPCフィルム等のマットフィルム(マット処理高分子フィルム)が好適である。上記マットフィルムの凹凸特性としては、好ましくはRaが1.0μm以上、Ryが10μm以上、Rzが10μm以上、Sが3μm以下であり、より好ましくはRaが1.5μm以上、Ryが20μm以上、Rzが15μm以上、Sが2μm以下である。
本発明の好適な製造プロセスとしては、また、以下のような形態が挙げられる。すなわち、硬化性樹脂膜の成膜後の基材等からの剥離は、表面凹凸形状を形成した後に行ってもよいし、表面凹凸形状を形成する前に行ってもよい。すなわち、硬化性樹脂膜の単層フィルムに本発明における凹凸形成を行う形態でもよいし、本発明における凹凸形成を行った後に単層フィルムとしてもよい。具体的には、(1)硬化性樹脂組成物(硬化性樹脂溶液ともいう)を基材等に成膜し、硬化性樹脂膜を基材等から剥離して単層フィルムとした後、未硬化、又は、半硬化の硬化性樹脂膜(硬化樹脂フィルムA)の表面に、上述した工程により表面凹凸形状を形成(ラミネート処理ともいう)し、加熱や光を照射することにより硬化させて硬化樹脂フィルムを得る形態、(2)硬化性樹脂組成物を基材等に成膜し、未硬化、又は、半硬化の硬化性樹脂膜の表面に、上述した工程により表面凹凸形状を形成した後、基材等から剥離し、単層フィルムを得て、加熱や光を照射することにより硬化させて硬化樹脂フィルムを得る形態である。
本発明の好ましい形態としてはまた、転写により鋳型フィルムと接する面の反対側の硬化性樹脂膜表面に凹凸形状が形成されるようにすることが好ましい。これは、下記(A)、(B)又は(C)の形態を含むものである。
上述したように、本発明の製造方法によって樹脂フィルムの片面に凹凸形状を形成してもよく、両面に凹凸形状を形成してもよいが、両面に凹凸形状を形成する場合には、樹脂フィルムの両面に対して本発明の製造方法を適用する製造方法、樹脂フィルムの片面に対して本発明の製造方法を適用し、もう片面には他の製造方法によって凹凸形状を形成する製造方法が挙げられる。いずれにしても、樹脂フィルムの少なくとも片面は、本発明の製造方法によって凹凸形状が形成され、本発明における効果を奏することができる。このように、両面に凹凸形状を形成することによって、得られる硬化樹脂フィルムの光散乱性を高め、光沢度をより低くすることができ、遮光性フィルムとした場合に遮光性を高めることができる。
本発明の製造方法に係る表面凹凸形成方法を必須として両面に凹凸形状を形成する具体的な方法としては、(A)本発明の製造方法のみで行う方法(両面凹凸形成方法A)、(B)本発明の製造方法を実施した後に、後工程を行う方法(両面凹凸形成方法B)、(C)本発明とは別法により、一方の表面に任意の方法で凹凸形状を形成した樹脂膜の他方の面に対し、本発明の製造方法を適用する方法(両面凹凸形成方法C)、を挙げることができる。これら両面凹凸形成方法について下記に説明する。
更に、両面凹凸形成方法について具体的な形態を挙げれば、次のようになる。
本発明に係る転写法のみで両面凹凸化する場合には、転写法3の形態として、塗布法により鋳型フィルムaに硬化性樹脂膜形成されたもの(鋳型フィルムaが積層されたまま)に反対面に鋳型フィルムbを積層した状態で、加圧加熱媒体に供する形態(転写法1と2とを同時に行う形態、転写法3−1ともいう)が好適な方法である。また、鋳型フィルムaに塗布法により硬化性樹脂膜形成されたもの(鋳型フィルムaが積層されたまま)を、加圧加熱媒体に供し(転写法1)、次に、反対面に鋳型フィルムbを積層した状態で、加圧加熱媒体に供する(転写法2)形態(転写法3−2ともいう)が挙げられる。
また、転写法2を両面に同時に適用する形態として、硬化性樹脂膜を鋳型フィルムでサンドイッチした状態で加圧・加熱媒体に供する形態(転写法2−1ともいう)、が好適な方法である。
更に、転写法2を片面ずつ順次適用する形態として、硬化性樹脂膜を形成した後、鋳型フィルムaを積層した状態で、加圧加熱媒体に供し(転写法2)次に、反対面に鋳型フィルムbを積層した状態で、加圧加熱媒体に供する(転写法2)形態(転写法2−2ともいう)が挙げられる。
一方で、転写法1又は2と別法とを組み合わせる形態としてもよく、別法としては、好ましくはマットロールを用いる形態が挙げられる。
本発明における表面凹凸形成工程においては、凹凸形成に鋳型フィルムを転写層に用いることが必須であるが、上記のようにフィルム両面に凹凸形状を形成する形態においては、一方の面をマットロールによって凹凸形成してもよい。マットロールを用いる形態としては、鋳型フィルムを用いた転写法1又は2と組み合わせる形態が挙げられる。
例えば、鋳型フィルムに塗布により成膜(転写法1)した状態のものを加熱・加圧のロール間に通過させる際に、鋳型フィルム非接触面側のロールをマットロールとする方法、鋳型フィルムに塗布により成膜(転写法1)した状態のものを加熱・加圧のロール間に通過させた後(転写法1)に、次工程として、好ましくは連続的な次工程として、鋳型フィルム非接触面側をマットロール処理する方法、転写法2で得られた硬化性樹脂膜に凹凸形成されていない面をマットロール処理する方法などが具体例として挙げられる。
両面に凹凸形成を行う上記方法の中で、段階的に凹凸形成を行う形態(1段目の表面凹凸形成から2段目の表面凹凸形成、たとえば転写法3−2、2−2、マットロールを組み合わせる方法等)において、2段目の表面凹凸形成に供する硬化性樹脂膜の形態としては、既に鋳型フィルムによる凹凸形成を行った側の鋳型フィルムが積層された状態のままであっても、鋳型フィルムが分離(剥離)された単層の状態であってもよい。
本発明の製造方法を必須とし、両面とも微細な大きさで且つある程度大きさの揃った凹凸形状を付与するのに適しているのは、鋳型フィルムを用いる方法、すなわち、上述した転写法3−1、転写法2−1と考えられる。より好ましくは、転写法2−1よりは、転写法3−1を適用した形態が好ましい。
また転写法1又は2と別法とを組み合わせた形態は、上記の意味でも、また生産性に優れる意味でも好ましい形態である。
これらは、両面凹凸形成方法の実施態様を例示したものであり、両面凹凸形成において本発明の製造方法と組み合わせる好ましい形態である。
なお、両面に凹凸形成がなされることが好ましいとされる技術背景及びそれに起因する好ましい形態については、下記1)〜3)のようである。
すなわち、1)光拡散フィルム等の(半)透明な光散乱性フィルムにおいては、両面に凹凸形成されていることにより、各表面での光の散乱(拡散)効果が相乗的に作用するため、片面のみ凹凸表面となっているフィルムに比べて光散乱(拡散)性能に優れるようになる。
遮光フィルムにおいては、特に撮像用レンズユニットに用いる等、光学素子用として使用されることが求められているが、このような光学素子用においては、両面とも低光沢度であることが必要である。
2)表面凹凸が微細で且つ大きさが均一に制御されていることは、可視光に対する光散乱性能(透明体でも遮光体でも)に優れることになる。
3)上記2)の理由から、両面とも微細な大きさで且つある程度大きさの揃った凹凸形状を付与するのに適しているのは、両面とも鋳型フィルムを用いる方法であり、具体的には、上述した転写法2−1、2−2、3−1、3−2の方法である。
したがって、フィルム表面の両面に凹凸形状を形成する場合も、鋳型フィルムを用いる本発明の製造方法を両面に適用したり、上述した鋳型フィルムを用いる方法と組み合わせたりすることが好ましい。
本発明の製造方法の好ましい形態としては、また、得られる硬化樹脂フィルムに遮光性を付与することができる点で、硬化性樹脂組成物が黒色材料を含有することが好ましい。硬化性樹脂組成物が黒色材料を含有することにより、該硬化性樹脂組成物から形成される硬化性樹脂膜Aが黒色フィルムとなる。得られる硬化樹脂フィルムが遮光性フィルムであり、該遮光性フィルムが、撮像素子用のレンズユニットに使用されるものである製造方法も本発明の製造方法の好ましい形態の一つである。なお、黒色材料、遮光性フィルム、撮像素子用のレンズユニットについては、後に詳述する。
上記硬化樹脂フィルムの製造方法により製造される硬化樹脂フィルムは、フィルム表面に表面凹凸形状を有するものであるので、硬化樹脂フィルムの光沢をなくし、光の反射を防ぎ、遮光することができる。このような、上記製造方法により製造される硬化樹脂フィルムも本発明の一つである。上記硬化樹脂フィルムは、フィルム表面の少なくとも片面が凹凸構造を有するものであることが好ましい。このような凹凸構造を有することにより、硬化樹脂フィルムの光沢をなくし、光の反射を防ぎ、遮光することができる。このように、上記硬化樹脂フィルム表面の少なくとも片面に凹凸構造を有することが、該硬化樹脂フィルムの少なくとも片面の光沢度を20以下に制御するために有効である。上記硬化樹脂フィルムは、光沢度が20以下であることが好ましい。硬化樹脂フィルムの光沢度が20を超えると、遮光が充分とならず、例えば、レンズユニットとして用いた場合にノイズとして誤作動の原因となるおそれがある。より好ましくは、10以下であり、更に好ましくは、5以下である。上記光沢度は、日本電色工業社製 光沢計 VG−2000を用いて、測定角度(θ)60度で測定する。
上記硬化樹脂フィルムの凹凸構造としては、例えば、入射光が鏡面反射せずに散乱される程度に表面が平滑でなければよい。また、表面の凹凸は遮光したい光を散乱するのに適当な大きさであることが好ましい。例えば、硬化樹脂フィルムをレンズユニットに用いる場合には、可視光領域、紫外線領域及び赤外領域等の光を効果的に散乱するものである。
凹凸形状の高さの好ましい形態は、フィルムの線粗さ(JIS B0601−1994)のRa(算術平均粗さ)が、0.3μm以上である。より好ましくは、0.5μm以上であり、更に好ましくは、1.0μm以上であり、特に好ましくは、2.0μm以上である。上記Raの上限に関しては、10μm以下であることが好ましい。より好ましくは、8μm以下であり、更に好ましくは、5μm以下である。上記凹凸形状の十点平均粗さRzに関しては、下限が5μm以上であることが好ましい。より好ましくは、10μm以上であり、更に好ましくは、15μm以上であり、特に好ましくは、20μm以上である。上記Rzの上限に関しては、100μm以下であることが好ましい。より好ましくは、70μm以下であり、更に好ましくは、50μm以下である。また凹凸形状における局部山頂の平均間隔Sに関しては、上限については、20μm以下であることが好ましい。より好ましくは、10μm以下であり、更に好ましくは、5μm以下である。また、下限の好ましい形態については、0.1μm以上、0.5μm以上、1μm以上が挙げられる。
次に、上記算術平均粗さ、十点平均粗さ、平均間隔の決定方法等について図3を用いて説明する。図3は、フィルム表面の凹凸形状のモデル的な断面図であり、X軸がフィルム表面に対して水平方向に引いた線であり、Y軸がフィルム表面に対して垂直方向に引いた線であり、このY軸が高さ方向を表すことになる。この図において、凹凸形状に沿った線を粗さ曲線fといい、基準長さ(l)において粗さ曲線fのY軸における高さの平均値のところにフィルム表面に沿って引いた線を平均線mといい、これがX軸となっている。このことは、図4、及び、図5においてもあてはまる。
上記算術平均粗さRaは、図3に示すように、粗さ曲線fからその平均線mの方向に基準長さ(l)だけを抜き取り、この抜き取り部分の平均線mの方向にX軸を、X軸と直交する方向にY軸を取り、粗さ曲線fを
y=f(x)
で表したときに、次の式によって求められる値をマイクロメートル(μm)で表したものである。
Figure 2010173156
式中、lは、基準長さを示す。ここで、図3中の複数の縦線で示された領域は、粗さ曲線fと平均線mとで囲まれた領域(X=0やX=lの直線と粗さ曲線fとが交わる部分では、粗さ曲線fと、平均線mと、X=0又はX=lと、で囲まれた領域であって、Y軸のマイナス方向にある谷部の領域)を示している。
図3中の複数の斜線で示された領域は、複数の縦線で示された領域の合計面積と等しくなるようにしたものである。このとき、複数の斜線で示された領域は、X=0、X=l、Y=Ra、Y=0の直線で囲まれたものとなっている。
上記十点平均粗さRzとしては、図4に示すように、粗さ曲線fからその平均線mの方向に基準長さ(l)だけを抜き取り、この抜き取り部分の平均線mと直交する方向に測定した、最も高い山頂から高さ順(Y軸のプラスの数値が大きい順)で5番目の山頂までの標高(Yp)の絶対値の平均値と、最も低い谷底から低さ順(Y軸のマイナスの数値が大きい順)で5番目までの谷底の標高(Yv)の絶対値の平均値との和を求め、この値をマイクロメートル(μm)で表したものである。すなわち、下記式:
Rz=(|Yp1+Yp2+Yp3+Yp4+Yp5|+|Yv1+Yv2+Yv3+Yv4+Yv5|)/5
で求められる。なお、式中、Yp1+Yp2+Yp3+Yp4+Yp5は、基準長さ(l)に対する抜き取り部分の最も高い山頂から5番目までの山頂の標高の合計を示し、Yv1+Yv2+Yv3+Yv4+Yv5は、基準長さ(l)に対する抜き取り部分の最も低い谷底から5番目までの谷底の標高の合計を示す。
上記局部山頂の平均間隔(S)としては、図5に示すように、粗さ曲線fからその平均線mの方向に基準長さ(l)だけ抜き取り、この抜き取り部分において隣り合う局部山頂間に対応する平均線mの長さ(局部山頂の間隔という。)を求め、この多数の局部山頂の間隔の算術平均値を表したものである。日本工業規格(JIS)B0601−1994では、上記(S)についてミリメートル(mm)単位で表しているが、本発明においては、マイクロメートル(μm)単位で求めたものである。すなわち、下記式で求められる。
Figure 2010173156
なお、式中、Siは、局部山頂の間隔を示し、nは、基準長さ内での局部山頂の間隔の個数を示す。
上記凹凸構造としては、上述した構造の凹凸を有する限り特に限定されないが、黒色微粒子以外の微粒子を硬化樹脂フィルムに含有させずに凹凸が形成されていることが好ましい。微粒子を含有させて凹凸を形成する場合は、通常、微粒子が白色又は淡色微粒子であることから、硬化樹脂フィルムの表面近傍に存在する該微粒子が光透過路となる。硬化樹脂フィルムを耐熱性に優れたものとする場合、用いる微粒子にも耐熱性が求められることとなるが、球状シリカ、シリコーン樹脂粒子等耐熱性の高い白色(又は淡色)微粒子を用いると、優れた遮光性を得るための黒色化の阻害要因とり得る。さらに充分な遮光性を得るために、多量の黒色微粒子の添加が必要となることから、表面の均一な凹凸形成には不利である。また、微粒子を用いて凹凸を形成する場合、均一な凹凸形成のためには粒度分布が揃った粒子が必要であり高価になるおそれがある。
上記硬化樹脂フィルムは、少なくとも片面に凹凸構造を有していることが好ましい。より好ましくは、両面に凹凸構造を有するものである。両面に凹凸構造を有することにより、上述した効果が充分に発揮されることとなる。
以下、本発明の硬化樹脂フィルムの製造方法に用いられる硬化性樹脂組成物並びに硬化樹脂フィルムを構成する硬化樹脂を形成する原料である硬化性樹脂組成物(硬化前の硬化性樹脂原料とその他の成分とを含む組成物)について更に詳述する。上述したように、本発明の硬化樹脂フィルムの製造方法において、必須として含まれる硬化樹脂としては、硬化性樹脂硬化物が挙げられる。
上記硬化性樹脂組成物における硬化性樹脂原料は、硬化樹脂フィルムを構成する硬化樹脂とは異なり、前駆体又は単量体である。例えば、硬化性樹脂原料が、硬化性樹脂であるエポキシ樹脂の場合、次のような形態が挙げられる。上記硬化樹脂フィルムを構成する硬化性樹脂がカチオン硬化エポキシ樹脂である場合、多官能エポキシ化合物が硬化性樹脂原料として挙げられる。また、硬化性樹脂組成物中に、多官能エポキシ化合物等の硬化性樹脂原料に加えて、酸無水物、多価アミン、多価フェノール等の硬化剤が含まれる場合、これらの硬化剤も硬化性樹脂原料である。なお、硬化性樹脂組成物にカチオン硬化触媒が含まれていることも硬化性樹脂組成物として好ましい形態である。
上記硬化性樹脂としては、紫外線の照射により硬化する樹脂(紫外線硬化性樹脂)、加熱により硬化する樹脂(熱硬化性樹脂)、電子線の照射により硬化する樹脂(電子線硬化性樹脂)、光の照射により硬化する樹脂(光硬化性樹脂)等であればよい。中でも、熱硬化性樹脂が好ましく、これによってリフローアブル特性を充分なものとすることができる。この場合、熱硬化性樹脂の硬化時に大きな熱収縮をともなうこととなるが、本発明の製造方法によってこのような熱収縮に起因するカールの生成や通常熱硬化性樹脂に含有される揮発分の影響によるカールの生成を充分に抑制することができる。
このような硬化性樹脂の硬化前における分子量としては、特に限定されず、高分子量からオリゴマー程度の樹脂を使用できる。硬化性樹脂を含有する樹脂原料の形態としては、例えば、(1)液状又は固形の硬化性樹脂からなる形態、(2)液状又は固形の硬化性樹脂と、該硬化性樹脂よりも低分子量の硬化性化合物若しくは溶剤(非硬化性)等とを含有する形態、及び、(3)液状又は固形の非硬化性樹脂と、該非硬化性樹脂よりも低分子量の硬化性化合物とを含有する形態等が挙げられる。上記(3)液状又は固形の非硬化性樹脂と該非硬化性樹脂よりも低分子量の硬化性化合物を含有する形態としては、例えば、PMMA等のアクリル樹脂のオリゴマー成分と(メタ)アクリレートモノマー等を含有する形態を挙げることができる。
上記硬化性樹脂として、例えば、エポキシ基を少なくとも1つ有する化合物、多価フェノール化合物、重合性不飽和結合を有する化合物等を好適に使用することができ、これらの化合物を単独、又は、2種以上の混合物として使用することもできる。これらの中でも、エポキシ基を少なくとも一つ有するものであることが好ましい。エポキシ基を少なくとも一つ有することにより、無機ガラスに匹敵する耐熱性を示し、成形、加工性に優れるといった優れた特性を発揮することができる。なお、本発明の硬化性樹脂として好適に用いることができるエポキシ基を少なくとも1つ有する化合物、多価フェノール化合物、重合性不飽和結合を有する化合物については、後に詳述する。
なお、上記エポキシ基は、オキシラン環を持つ有機基であり、グリシジル基等のオキシラン環を有する有機基の中にはエポキシ基が含まれている。そのため、エポキシ基を有する化合物の中には、グリシジル基を有する化合物が含まれているものとする。また、エポキシ基を少なくとも一つ有する化合物が、グリシジル基を少なくとも一つ有する化合物であることも好ましい形態の一つである。更に、複数のエポキシ基を有していてもよく、グリシジル基の他に、グリシジル基が有するエポキシ基とは別のエポキシ基が共存していてもよい。
硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂原料、ポリ(アミド)イミド樹脂原料等も好適に用いることができる。エポキシ樹脂は、Tgが高い耐熱性樹脂である点、光学特性、特に透過率の波長依存性が低い点から好ましく、また、ポリ(アミド)イミド樹脂は、Tgが150℃以上の耐熱性樹脂である点から好ましい。なお、エポキシ樹脂、ポリ(アミド)イミド樹脂等の硬化性樹脂硬化物のTgとは、硬化後の硬化物におけるTgをいう。上記硬化性樹脂を硬化させた後の硬化性樹脂硬化物のTgは特に限定されないが、耐熱性の点からは、100℃以上が好ましい。より好ましくは120℃以上であり、更に好ましくは150℃以上である。
なお、ポリ(アミド)イミド樹脂は、硬化性樹脂硬化物である場合と、熱可塑性樹脂である場合の両方があり、適宜熱可塑性樹脂としても、硬化性樹脂としても用いることができる。ポリ(アミド)イミド樹脂については、後に詳述する。
本発明において、樹脂フィルムの樹脂として好ましいポリ(アミド)イミド樹脂は、400℃以下の温度で加熱しても溶融しないものと、溶融し得るものがある。本願明細書におけるポリ(アミド)イミド樹脂では、前者(400℃以下の温度で加熱しても溶融しないもの)を硬化性樹脂硬化物、後者(400℃以下の温度で加熱して溶融し得るもの)を熱可塑性樹脂と称する。また、ポリ(アミド)イミド樹脂の説明において、硬化性樹脂、硬化性樹脂硬化物の原料といえば、前者の(400℃以下の温度で加熱しても溶融しない)ポリ(アミド)イミド樹脂を得るための原料を意味し、熱可塑性樹脂の原料といえば、後者の熱可塑性ポリ(アミド)イミド樹脂を得るための原料を意味する。
本発明の硬化樹脂フィルムの製造方法により製造された硬化樹脂フィルムは、耐熱性の点で、ポリ(アミド)イミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、及び、カチオン硬化樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種を含有することが好ましい。
本発明の硬化樹脂フィルムの製造方法により製造される硬化樹脂フィルムは黒色材料を含有するものであることが好ましい。上記黒色材料は、本発明の硬化樹脂フィルムの製造方法により製造される硬化樹脂フィルムに遮光性を付与するものであり、種々の黒色材料を用いることができる。上記硬化樹脂フィルム中の黒色材料の含有量としては、黒色材料と硬化樹脂との合計100質量%中、1〜50質量%であることが好ましい。1質量%未満であると、遮光性が充分とはならないおそれがあり、50質量%を超えると、硬化性樹脂組成物の粘度が高すぎるために扱いにくく、フィルム化後に、該フィルムが割れるおそれがある。より好ましくは、3〜40質量%であり、更に好ましくは、5〜30質量%である。
上記黒色材料は、硬化性樹脂組成物に分散又は溶解されて存在することが好ましい。分散又は溶解された状態で存在しない場合、硬化樹脂フィルムが均一に黒色とならず、充分に優れた遮光性を発揮しないおそれがある。すなわち、本発明の硬化樹脂フィルムは、黒色材料を硬化性樹脂原料(樹脂バインダー)に分散又は溶解含有されてなる硬化性樹脂組成物を原料として得られることが好ましい。
上記黒色材料としては、カーボンブラック、黒鉛等の炭素系黒色微粒子;チタンブラック等の金属酸化物系黒色微粒子等の無機系黒色微粒子;アニリンブラック等の黒色系有機微粒子(有機系黒色微粒子);等の黒色微粒子や、アントラキノン、インジゴイド、ジアゾ系黒色系有機染料等を好適に使用し得る。上記無機系黒色微粒子(無機系黒色材料)としては、上記のチタンブラック以外でも、マグネタイト、酸化第一銅(亜酸化銅)、銅とクロムとを主金属成分とする複合酸化物黒色微粒子、銅とマンガンとを主金属成分とする複合酸化物黒色微粒子、銅と鉄とマンガンとを主金属成分とする複合酸化物黒色微粒子、コバルトとクロムと鉄とを主金属成分とした複合酸化物黒色微粒子等も好ましい形態の一つである。
上記黒色材料の中でも微粒子状の黒色材料(黒色微粒子)が好ましく、種々の黒色の微粒子を用いることができる。黒色微粒子の中でも、耐熱性に優れる点で、炭素系黒色微粒子、無機系黒色微粒子が好ましい。可視光領域に対する遮光性能に優れる点では、炭素系微粒子等の炭素系材料が好ましく、超微粒子状であり硬化樹脂中での分散性に優れることにより、硬化樹脂フィルムに均質な黒色を付与できる点でカーボンブラックがより好ましい。また、カーボンブラックは、優れた耐熱性に加え、黒色の程度が高く、安価である点においても好ましい。
上記黒色微粒子としては、1次粒子径が1μm以下であることが好ましい。より好ましくは、0.1μm以下である。また、2次凝集の抑制された粒子が好ましい。更に、黒色微粒子を硬化樹脂中で分散させた場合に、黒色微粒子の粒径が1μm以下で分散してなることが好ましい。硬化樹脂中で分散させた場合の黒色微粒子の粒径としてより好ましくは、0.5μm以下であり、更に好ましくは、0.1μm以下である。硬化樹脂中で黒色微粒子を分散する場合、黒色微粒子が微細な粒子径で分散した方が、色相(黒色)が均一となる。また、硬化樹脂フィルムの表面に凹凸を形成する処理を行う時に、黒色微粒子の粒径が1μm以下で分散してなるものであると、黒色微粒子の粗大粒子による欠点の生成がなく、加工性に優れる。
上記1次粒子径は、透過型電子顕微鏡像により測定することができる。
黒色微粒子は、1次粒子が2次凝集や会合することなく独立して存在する場合も、1次粒子が1次元、2次元又は3次元に凝集した構造を形成して存在する場合もある。上記1次粒子径とは、いずれの場合においても1次粒子の大きさを意味する。例えば、上記黒色微粒子がカーボンブラックの場合、1次粒子がほぼ球状又は粒状(微結晶による輪郭を有し、それ以上、分割が困難である。)の形態である場合の粒子径をいう。
1次粒子の大きさは、通常、透過型電子顕微鏡像により測定することができ、その個数平均値(平均1次粒子径)が上述の範囲であることが更に好ましい。平均1次粒子径を求めるにあたっては、20個以上の1次粒子の大きさを測定しそれらの測定値の平均を求めることが好ましい。
また、透過型電子顕微鏡像により、1次粒子の大きさを測定することが困難である場合は、B.E.T.法により測定される比表面積値により下記式によって算出される比表面積径を平均一次粒子径として代用し得る
比表面積径(μm)=6/(ρ×S)
(式中、ρは、真比重を表す。Sは、比表面積(m/g)を表す。)
また、硬化樹脂組成物中に分散させた場合の黒色微粒子の粒径は、動的光散乱式粒径分布測定装置、例えば、LB−500(堀場製作所製)等を使用することにより測定することができ、本発明では、体積基準の算術平均値を採用する。
上記黒色微粒子がカーボンブラックである場合、分散性の指標として、ジブチルフタレート吸油量を用いることができる。吸油量としては、300ml/100g以下であることが好ましい。このように、上記黒色微粒子は、吸油量が300ml/100g以下であるカーボンブラックを含むものである硬化樹脂フィルムもまた、本発明の好ましい形態の一つである。吸油量が300ml/100gを超えると、カーボンブラックの分散性が悪くなり、色相(黒色)が充分には均一とならず、カーボンブラックの粗大粒子が形成され、表面に凹凸を形成する処理を行う際の加工性が充分に優れたものにならないおそれがある。上記吸油量としてより好ましくは、250ml/100g以下であり、更に好ましくは、200ml/100g以下である。なお、上記吸油量は、カーボンブラックそのものの(粉末状態のカーボンブラックの)特性を示すものであり、硬化樹脂等に分散する前の状態のカーボンブラックの特性を示す。また、吸油量は、カーボンブラックが凝集していると高くなり、分散していると低くなる。カーボンブラックがより分散しているほど硬化樹脂フィルム中で均一性が向上していることとなるため、吸油量は小さい方が好ましい。このように、硬化樹脂フィルムは、黒色微粒子が分散されてなる形態が好ましい。すなわち、本発明の硬化樹脂フィルムは、黒色微粒子を硬化性樹脂原料(樹脂バインダー)に分散含有されてなる硬化性樹脂組成物を原料として得られるものであることが好ましい。また、硬化樹脂フィルムにおける黒色材料の含有形態としては、特に限定されるものではない。例えば、後述する黒色材料等が、樹脂等の他の成分に分散含有あるいは複合化されてなる粒子(黒色材料含有粒子)として硬化樹脂フィルムに含有されている形態が挙げられる。また、黒色材料含有粒子を構成する好ましい樹脂としては、特に限定されず、硬化樹脂フィルムを構成する好ましい硬化樹脂として後述する樹脂が挙げられる。更に、具体的な態様としては、黒色材料含有粒子が、硬化樹脂フィルムに含まれる硬化樹脂と同じ種類又は同等の屈折率の硬化樹脂を樹脂成分とする黒色材料含有粒子であることが好ましい。
上記黒色材料(好ましくは、黒色微粒子)を樹脂バインダー(硬化性樹脂原料)に分散又は溶解する手段(方法)としては、特に限定されるものではなく、種々の方法を好適に用いることができる。例えば、樹脂バインダーが溶剤可溶性である場合、硬化性樹脂原料を溶剤に溶解させた樹脂バインダー溶液に黒色材料を混合し分散又は溶解処理する方法、黒色材料を分散させた分散液に樹脂バインダーを溶解する方法、樹脂バインダーを微粒子状に分散した分散体に黒色材料を混合し分散又は溶解処理する方法、樹脂バインダーと黒色微粒子の混合物を溶融、混練処理する方法等の種々の方法等を、黒色微粒子と硬化樹脂に応じて適宜選択し、用いることができる。これらの中でも、硬化性樹脂原料が溶剤可溶性であり、硬化性樹脂原料を溶剤に溶解させた樹脂バインダー溶液に黒色材料を混合し分散又は溶解処理する方法が好ましい。硬化性樹脂原料が溶剤可溶性であると、硬化性樹脂原料と溶剤とからなる混合物(例えば、硬化性樹脂原料溶液)に黒色材料を均一に分散又は溶解させることが容易であるため、黒色材料が均一に分散又は溶解した硬化性樹脂組成物が得られ、結果として黒色材料が均一に分布した、優れた遮光性の硬化樹脂フィルムを得ることができることとなる。このように、硬化性樹脂原料が溶剤可溶性である硬化樹脂を含んでなる硬化樹脂フィルムもまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記溶剤としては、樹脂の種類に応じて適宜選択されるがメチルエチルケトン(2−ブタノン)、メチルイソブチルケトン(4−メチル−2−ペンタノン)、シクロヘキサノン等のケトン類;PGMEA(2−アセトキシ−1−メトキシプロパン)、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート等のグリコール誘導体(エーテル化合物、エステル化合物、エーテルエステル化合物等);N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル類;N−メチル−2−ピロリドン(より具体的には、1−メチル−2−ピロリドン等)等のピロリドン類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジプチルエーテル等のエーテル類等が好適である。
また、上記溶剤としてより好ましくは、メチルエチルケトン(2−ブタノン)、メチルイソブチルケトン(4−メチル−2−ペンタノン)、シクロヘキサノン、PGMEA(2−アセトキシ−1−メトキシプロパン)、N,N−ジメチルアセトアミド、酢酸エチル、1−メチル−2−ピロリドン(NMP)等が挙げられる。
更に、上記硬化性樹脂原料が、ポリ(アミド)イミド樹脂原料であるポリアミック酸等の前駆体ポリマー、若しくは、前駆体ポリマーの原料である、芳香族ジアミン化合物と芳香族テトラカルボン酸二無水物とである場合には、N−メチル−2−ピロリドン、N,N´−ジメチルアセトアミド、芳香族炭化水素類、及び、これらの混合物がより好ましい。上記硬化性樹脂原料が、エポキシ樹脂の原料である多官能エポキシ化合物、若しくは、多官能エポキシ化合物と硬化剤とである場合には、ケトン類、芳香族炭化水素類、グリコール誘導体、又は、これらの混合物であることがより好ましい。
上記溶剤可溶性である硬化性樹脂原料としては、上述した硬化性樹脂原料の中でも、溶剤可溶性の各種エポキシ樹脂原料となるエポキシ化合物、ポリ(アミド)イミド樹脂の前駆体ポリマーが好ましい。
上記溶剤可溶性のエポキシ化合物は、例えば、多官能エポキシ化合物をカチオン硬化触媒の共存下でカチオン硬化させることや、多官能エポキシ化合物を、酸無水物、多価アミン等の硬化剤を用いて硬化させること等により、硬化物(エポキシ樹脂硬化物)とすることができる。いずれの場合においても、好適な態様としては、上記ポリ(アミド)イミド樹脂の前駆体ポリマー、あるいはエポキシ化合物溶液(カチオン硬化触媒又は硬化剤)に黒色材料を分散又は溶解させてなる遮光性樹脂組成物を、塗布、乾燥、加熱(ポリ(アミド)イミド化、硬化)することにより遮光性フィルムが得られる。
上記溶剤の使用量としては、有機樹脂原料100重量部に対して、150重量部以上が好ましく、また、1900重量部以下が好ましい。より好ましくは、200重量部以上であり、また、1400重量部以下である。
上記硬化樹脂フィルムの製造方法により製造される硬化樹脂フィルムは、上述した構成よりなるため、耐熱性に優れるものとなる。硬化樹脂フィルムの耐熱性としては、該フィルムを高温で加熱したときにフィルム形状の変化で評価することができる。フィルム形状の変化としては、加熱した前後におけるフィルムの寸法(面内の縦方向、横方向のそれぞれの長さ、厚み方向の長さ)の変化が小さいほど好ましく、形状保持性に優れたものであることが好ましい。形状保持性に優れる(耐熱性を有する)ことの具体例としては、200℃で1分加熱した際に、加熱前に対する加熱後の各長さの変化率(寸法変化率)が10%以下となることである。寸法変化率を測定するときの試料の大きさは、適宜選択すればよく、本実験では縦50.0mm×横10.0mm×厚さ35〜80μmサイズの試料を用いた。寸法変化率が10%以下であると、上述した用途において、通常使用される条件で硬化樹脂フィルムの特性を充分に発揮することができ、例えば、レンズユニット内部での光学ノイズの発生及び拡大を抑えることができる。寸法変化率としてより好ましくは、5%以下であり、更に好ましくは、3%以下であり、特に好ましくは、1%以下である。
上記寸法変化率の測定条件としては、より厳しい条件で行ってもよく、加熱温度としては、250℃であることが好ましい。また、加熱保持時間としては、2分であることが好ましい。より好ましくは、5分であり、更に好ましくは、10分である。このような厳しい条件で、寸法変化率が上記範囲であるような硬化樹脂フィルムがより好ましい。
また、寸法変化率としてより好ましくは、260℃で2分加熱した際に、加熱前に対する加熱後の各長さの変化率(寸法変化率)が10%以下であることが好ましい。測定条件としては、空気雰囲気下で行うことが好ましい。すなわち、上記硬化樹脂フィルムは、該フィルムを空気雰囲気下で260℃で2分間加熱したときに、加熱前に対する加熱後における縦、横、厚みのそれぞれの寸法変化率が10%以下であることが好ましい。260℃2分間の加熱により、寸法変化が小さい(寸法変化率が10%以下である)ことによって、上記硬化樹脂フィルムをレンズユニットに用いる場合に、半田リフロー工程に充分に耐え得るものとすることができる。この場合における寸法変化率として、より好ましくは、5%以下であり、更に好ましくは、3%以下であり、特に好ましくは、1%以下である。
以下、本発明の硬化樹脂フィルムの製造方法に用いられる硬化性樹脂組成物並びに硬化樹脂フィルムを構成する硬化樹脂を形成する原料である硬化性樹脂組成物(硬化前の硬化性樹脂原料とその他の成分とを含む組成物)について更に詳述する。上述したように、本発明の硬化樹脂フィルムの製造方法において、必須として含まれる硬化樹脂としては、硬化性樹脂硬化物であり、具体的には、上述した硬化樹脂が好適に使用できる。硬化性樹脂硬化物を形成するための硬化性樹脂に関しては、エポキシ基を少なくとも1つ有する化合物、多価フェノール化合物、重合性不飽和結合を有する化合物、ポリ(アミド)イミド樹脂等が好適である。以下でこれらの化合物について更に説明する。
上記硬化樹脂フィルムに含まれる硬化樹脂が、エポキシ樹脂、ポリ(アミド)イミド樹脂等の硬化性樹脂硬化物である場合には、硬化性樹脂原料としてはそれぞれに対応する硬化性樹脂を用いることができる。
本発明の硬化樹脂フィルムの製造方法に用いられる硬化性樹脂原料として好適に用いることができるエポキシ基を少なくとも1つ有する化合物について説明する。上記エポキシ基を少なくとも1つ有する化合物としては、好ましくは、分子内にエポキシ基を2個以上有する多官能エポキシ化合物である。
上記エポキシ基を少なくとも1つ有する化合物としては、以下のような化合物等が好適である。ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール等のビスフェノール類とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られるエピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、及び、これらを上記ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール等のビスフェノール類と更に付加反応させることにより得られる高分子量エピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;フェノール、クレゾール、キシレノール、ナフトール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール等のフェノール類とホルムアルデヒド、アセトアルテヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド、ジシクロペンタジエン、テルペン、クマリン、パラキシリレングリコールジメチルエーテル、ジクロロパラキシリレン、ビスヒドロキシメチルビフェニル等を縮合反応させて得られる多価フェノール類を更にエピハロヒドリンと縮合反応することにより得られるノボラック・アラルキルタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;テトラメチルビフェノール、テトラメチルビスフェノールF、ハイドロキノン、ナフタレンジオール等とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られる芳香族結晶性エポキシ樹脂、及び、更に上記ビスフェノール類やテトラメチルビフェノール、テトラメチルビスフェノールF、ハイドロキノン、ナフタレンジオール等を付加反応させることにより得られる芳香族結晶性エポキシ樹脂の高分子量体;上記ビスフェノール類やテトラメチルビフェノール、テトラメチルビスフェノールF、ハイドロキノン、ナフタレンジオール等の芳香族骨格を水素化した脂環式グリコール類やエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、PEG600、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、PPG、グリセロール、ジグリセロール、テトラグリセロール、ポリグリセロール、トリメチロールプロパン及びその多量体、ペンタエリスリトール及びその多量体、グルコース、フルクトース、ラクトース、マルトース等の単/多糖類等とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られる脂肪族グリシジルエーテル型エポキシ樹脂;(3,4−エポキシシクロヘキサン)メチル3´,4´−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート等のエポキシシクロへキサン骨格を有するエポキシ樹脂;テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、安息香酸とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂;ヒンダトインやシアヌール酸、メラミン、ベンゾグアナミンとエピハロヒドリンとの縮合反応により得られる室温で固形の3級アミン含有グリシジルエーテル型エポキシ樹脂。中でも、上記脂肪族グリシジルエーテル型エポキシ樹脂やエポキシシクロヘキサン骨格を有するエポキシ樹脂が光照射時の外観劣化抑制を目的とした場合はより好適に用いられる。
上記エポキシ基を少なくとも1つ有する化合物としては、可とう性を有する化合物であることも好ましい。可とう性を有する化合物を含むことによって、例えば、加工、成形等の工程において取り扱い性が優れたものとなる。可とう性を有する化合物を用いることによって、例えば、フィルム形状等へ成形する場合等に特に好適である。可とう性を有するエポキシ基を少なくとも1つ有する化合物としては、具体的には、−〔−(CH−O−〕−で表されるオキシアルキレン骨格を有する化合物(nは2以上、mは1以上の整数である。好ましくは、nは2〜12、mは1〜1000の整数である。より好ましくは、nは3〜6、mは1〜20の整数である。);高分子エポキシ樹脂(例えば、水添ビスフェノール型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、YL−7170、エポキシ当量1000、固形水添エポキシ樹脂);オキシアルキレン骨格がオキシブチレンであるエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、YL−7217、エポキシ当量437、液状エポキシ樹脂(10℃以上)や、ジャパンエポキシレジン社製のYED−216D);フェノキシ樹脂(例えば、ジャパンエポキシレジン社製、YX−8100BX、YX6954BX等);脂環式固形エポシキ樹脂(ダイセル工業社製、EHPE−3150);脂環式液状エポキシ樹脂(ダイセル工業社製、セロキサイド2081)等が好ましい。これらの中でもより好ましくは、末端や側鎖や主鎖骨格等にエポキシ基を含む化合物である。このように、エポキシ基を少なくとも1つ有する化合物が、可とう性を有するものであることも、本発明の好ましい形態の一つである。
本発明では、硬化性樹脂として、熱可塑性樹脂等の非硬化性成分と低分子量の硬化性化合物とを含有するものを使用することもできる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレンからなるABS樹脂、塩化ビニル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、アセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキシド、ポリエステル、ポリ(アミド)イミド等を挙げることができる。上記硬化性化合物としては、多価フェノール化合物、重合性不飽和結合を有する化合物、ポリ(アミド)イミド樹脂、及び、エポキシ基を少なくとも1つ有する化合物について例示した中から、適宜選択して使用すればよい。
本発明の硬化性樹脂組成物として、硬化性樹脂原料がエポキシ基を少なくとも一つ有するものである場合、硬化樹脂は、熱潜在性カチオン発生剤を用いてカチオン硬化されてなるものであることが好ましい。すなわち、上記硬化性樹脂原料は、エポキシ基を少なくとも一つ有するものであり、上記硬化性樹脂組成物は、熱潜在性カチオン発生剤を必須とするものであるカチオン硬化性樹脂組成物も本発明の好ましい形態の一つである。
上記熱潜在性カチオン発生剤としては、下記一般式(1)
(R Z)+m(MXn)−m(1)
(式中、Zは、S、Se、Te、P、As、Sb、Bi、O、N及びハロゲン元素からなる群より選ばれる少なくとも一つの元素を表す。R、R、R及びRは、同一又は異なって、有機基を表す。b、c、d及びeは、0又は正数であり、b、c、d及びeの合計はZの価数に等しい。カチオン(R Z)+mはオニウム塩を表す。Mは、ハロゲン化物錯体の中心原子である金属又は半金属(metalloid)を表し、B、P、As、Al、Ca、In、Ti、Zn、Sc、V、Cr、Mn、Coからなる群より選ばれる少なくとも一つである。Xは、ハロゲン元素を表す。mは、ハロゲン化物錯体イオンの正味の電荷である。nは、ハロゲン化物錯体イオン中のハロゲン元素の数である。)で表されるものであることが好ましい。
上記一般式(1)の陰イオン(MXn)−mの具体例としては、テトラフルオロボレート(BF4−)、ヘキサフルオロホスフェート(PF6−)、ヘキサフルオロアンチモネート(SbF6−)、ヘキサフルオロアルセネート(AsF6−)、ヘキサクロロアンチモネート(SbCl6−)等が挙げられる。
更に一般式MXn(OH)で表される陰イオンも用いることができる。また、その他の陰イオンとしては、過塩素酸イオン(ClO )、トリフルオロメチル亜硫酸イオン(CFSO )、フルオロスルホン酸イオン(FSO )、トルエンスルホン酸イオン、トリニトロベンゼンスルホン酸イオン等が挙げられる。
上記熱潜在性カチオン発生剤の具体的な商品としては、ジアゾニウム塩タイプ:AMERICUREシリーズ(アメリカン・キャン社製)、ULTRASETシリーズ(アデカ社製)、WPAGシリーズ(和光純薬社製)、ヨードニウム塩タイプ:UVEシリーズ(ゼネラル・エレクトリック社製)、FCシリーズ(3M社製)、UV9310C(GE東芝シリコーン社製)、Photoinitiator 2074(ローヌプーラン社製)、WPIシリーズ(和光純薬社製)、スルホニウム塩タイプ:CYRACUREシリーズ(ユニオンカーバイド社製)、UVIシリーズ(ゼネラル・エレクトリック社製)、FCシリーズ(3M社製)、CDシリーズ(サトーマー社製)、オプトマーSPシリーズ・オプトマーCPシリーズ(アデカ社製)、サンエイドSIシリーズ(三新化学工業社製)、CIシリーズ(日本曹達社製)、WPAGシリーズ(和光純薬社製)、CPIシリーズ(サンアプロ社製)等が挙げられる。なお、これらは全て商品名である。
また、熱潜在性カチオン発生剤以外の硬化剤としては、例えば、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルヘキサヒドロフタル酸、無水ピロメリット酸、メチルナジック酸等の酸無水物類;フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂、テルペンフェノール樹脂等の種々のフェノール樹脂類;種々のフェノール類とヒドロキシベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、グリオキザール等の種々のアルデヒド類との縮合反応で得られる多価フェノール樹脂等の各種のフェノール樹脂類;BF錯体、スルホニウム塩類、イミダゾール類等の1種又は2種以上を用いることができる。
上記エポキシ基を少なくとも1つ有する化合物を含有する硬化性樹脂組成物の硬化においては、硬化促進剤を用いることができ、例えば、トリフェニルホスフィン、トリブチルヘキサデシルホスフォニウムブロマイド、トリブチルホスフィン、トリス(ジメトキシフェニル)ホスフィン等の有機リン化合物等の1種又は2種以上が好適である。
上記硬化温度としては、70〜200℃が好ましい。より好ましくは、80〜150℃である。硬化時間としては、30秒〜1時間が好ましい。より好ましくは、1〜3分である。
本発明の硬化樹脂フィルムの製造方法に好適に用いられる硬化樹脂としては、ポリ(アミド)イミド樹脂が挙げられ、具体的には、熱硬化性ポリ(アミド)イミド樹脂硬化物が挙げられる。これらは、イミド環を持っているものであれば、原料とする化合物は限定されるものではないが、本発明の硬化樹脂フィルムに用いる場合、製造の生産性、コスト、耐熱性の面から、熱硬化性ポリ(アミド)イミド樹脂が好ましく、更に、芳香族系熱硬化性ポリ(アミド)イミド樹脂が好ましい。
上記ポリ(アミド)イミド樹脂とは、狭義のポリイミド樹脂(イミド結合を含み、アミド結合を含まない樹脂)、及び、ポリアミドイミド樹脂(アミド結合とイミド結合とを含む樹脂)を意味する。このようなポリ(アミド)イミド樹脂には、熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂の2種類があるが、本発明では、熱硬化性ポリ(アミド)イミド樹脂が好適であり、より好ましくは、芳香族系熱硬化性ポリ(アミド)イミド樹脂である。
上記ポリ(アミド)イミド樹脂は、多価カルボン酸化合物と、多価アミン化合物及び/又は多価イソシアネート化合物との反応により得られるポリ(アミド)イミド樹脂の原料(以下、前駆体ポリマーともいう)を、イミド化反応して得ることができるが、上記硬化性樹脂組成物がこのような前駆体ポリマーを含む形態は、本発明の好適な形態の1つである。より好ましくは、上記前駆体ポリマーが芳香環を有する形態である。
上記前駆体ポリマーにおいて、多価カルボン酸化合物とは、分子中に2個以上のカルボキシル基又はカルボキシル基の誘導基を有する化合物であり、その無水物も含むものとする。カルボキシル基の誘導基とは、COXで表され、Xがハロゲン元素又はORで表される基(Rは、炭素数1〜6のアルキル基又はフェニル基を表す。)をいう。
上記多価カルボン酸化合物としては、テトラカルボン酸化合物(その無水物を含む)や、トリカルボン酸化合物(その無水物を含む)が好適である。また、これらをメタノール、エタノール等のアルコール類と反応させてエステル化合物としてもよい。
上記テトラカルボン酸化合物としては、以下に示す芳香族テトラカルボン酸二無水物が好適である。
ピロメリット酸二無水物(PMDA)、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2´,3,3´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3´,4´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3´,4,4´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、2,2´,3,3´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3´,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3´,4,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、2,2−ビス[3,4−(ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物(BPADA)、4,4´−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、オキシジフタル酸無水物(ODPA)、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホキシド二無水物、チオジフタル酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物、9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン二無水物及び9,9−ビス[4−(3,4´−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]フルオレン二無水物等。
これらの中でも、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、3,3´,4,4´−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、3,3´,4,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、2,2−ビス[3,4−(ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物(BPADA)、オキシジフタル酸無水物(ODPA)、2,3,3´,4−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2´−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、エチレンテトラカルボン酸二無水物等が好適である。
上記トリカルボン酸化合物(トリカルボン酸一無水物も含む)としては、脂肪族環状炭化水素、芳香族環又は芳香族複素環を含むものが好適であり、例えば、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフタレン基、ペリレン基、ジフェニルエーテル基、ジフェニルスルホン基、ジフェニルプロパン基、ベンゾフェノン基、ビフェニルトリフルオロプロパン基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の基に、3個のカルボキシル基又はその誘導基が結合してなる化合物等が挙げられる。中でも、芳香族環を含むものが好ましく、トリメリット酸や水素化トリメリット酸、その無水物や誘導体がより好ましい。
上記多価アミン化合物とは、分子内に2以上のアミノ基を有する化合物であり、特に分子内に2つのアミノ基を有する化合物(ジアミン化合物)であることが好適である。ジアミン化合物としては、2つのアミノ基間に芳香族環を含む芳香族ジアミンや、2つのアミノ基間が脂肪族基で構成される脂肪族ジアミン、2つのアミノ基間にシロキサン結合を含む構造単位を有するシロキサンジアミン等を用いることができる。
上記芳香族ジアミンとしては、具体的には、パラフェニレンジアミン(PPD)、メタフェニレンジアミン(MPDA)、2,5−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、4,4´−ジアミノビフェニル、3,3´−ジメチル−4,4´−ビフェニル、3,3´−ジメトキシ−4,4´−ビフェニル、2,2−ビス(トリフルオロメチル)−4,4´−ジアミノビフェニル、4,4´−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、3,3´−ジアミノジフェニルメタン、4,4´−ジアミノジフェニルメタン(MDA)、2,2−ビス−(4−アミノフェニル)プロパン、3,3´−ジアミノジフェニルスルホン(33DDS)、4,4´−ジアミノジフェニルスルホン(44DDS)、3,3´−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4´−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3´−ジアミノジフェニルエーテル、3,4´−ジアミノジフェニルエーテル(34ODA)、4,4´−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)、1,5−ジアミノナフタレン、4,4´−ジアミノジフェニルジエチルシラン、4,4´−ジアミノジフェニルシラン、4,4´−ジアミノジフェニルエチルホスフィンオキシド、
1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン(133APB)、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(134APB)、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン(BAPSM)、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン(BAPS)、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)、2,2−ビス(3−アミノフェニル)1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン及び9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、3,3´−ジクロロベンジジン、1,5−ジアミノナフタレン、3,3´−ジメチル−4,4´−ビフェニルジアミン、ベンジジン、3,3´−ジメチルベンジジン、3,3´−ジメトキシベンジジン、4,4´−ジアミノジフェニルプロパン、2,4−ビス(β−アミノ−t−ブチル)トルエン、ビス(p−β−アミノ−t−ブチルフェニル)エーテル、ビス(p−β−メチル−δ−アミノフェニル)ベンゼン、ビス−p−(1,1−ジメチル−5−アミノ−ペンチル)ベンゼン、1−イソプロピル−2,4−m−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン等が挙げられる。
これらの中でも、パラフェニレンジアミン(PPD)、メタフェニレンジアミン(MPDA)、4,4´−ジアミノジフェニルメタン(MDA)、3,3´−ジアミノジフェニルスルホン(33DDS)、4,4´−ジアミノジフェニルスルホン(44DDS)、3,4´−ジアミノジフェニルエーテル(34ODA)、4,4´−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン(133APB)、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(134APB)、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン(BAPSM)、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン(BAPS)、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)等が好適である。
上記脂肪族ジアミンとしては、例えば、ジ(p−アミノシクロヘキシル)メタン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ジアミノプロピルテトラメチレン、3−メチルへプタメチレンジアミン、4,4−ジメチルヘプタメチレンジアミン、2,11−ジアミノドデカン、1,2−ビス−3−アミノプロポキシエタン、2,2−ジメチルプロピレンジアミン、3−メトキシヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘプタメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、2,17−ジアミノエイコサデカン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,10−ジアミノ−1,10−ジメチルデカン、1,12−ジアミノオクタデカン、ピペラジン、HN(CHO(CHOCHNH、HN(CHS(CHNH、HN(CHN(CH(CHNH等が挙げられる。
上記シロキサンジアミンとしては、例えば、ポリジメチルシロキサンジアミン(シリコーンオイルX−22−161AS(アミン当量450)、X−22−161A(アミン当量840)、X−22−161B(アミン当量1500)、X−22−9409(アミン当量700)、X−22−1660B−3(アミン当量2200)、KF−8010(アミン当量415)(以上、信越化学工業社製))等が挙げられる。
上記多価イソシアネート化合物とは、分子内に2以上のイソシアナート基を有する化合物であり、特に分子内に2つのイソシアナート基を有する化合物(ジイソシアネート化合物)であることが好適である。
上記ジイソシアネート化合物としては、例えば、メチレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、p−キシレンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、4,4´−ビス(3−トリレン)ジイソシアネート、3,3´−ジクロロ−4,4´−ジイソシアネートビフェニル、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルエーテルジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート等が挙げられる。
上記多価カルボン酸化合物と、多価アミン化合物及び/又は多価イソシアネート化合物との反応において、これらの成分割合は、上記前駆体ポリマー等に推奨される分子量の調整等によって適宜設定すればよいが、例えば、カルボキシル基及びその誘導基の総量を1モルとすると、アミノ基及びイソシアナート基の合計モル量が0.7〜1.5モルとなるように設定することが好適である。1.5モルより多いと、未反応の多価アミン化合物や多価イソシアネート化合物が残存しやすく、成膜性が充分とはならないおそれがあり、0.7モル未満であると、ゲル化を引き起こしやすく、この場合も成膜性が充分とはならないおそれがある。より好ましくは、アミノ基及びイソシアナート基の合計モル量を0.9〜1.3モルとすることである。
上記反応は、通常の手法により行えばよく、例えば、反応温度は、80〜210℃とすることが好適である。これにより、反応時間を短く、かつゲル化を充分に抑制することが可能になる。より好ましくは100〜190℃であり、更に好ましくは120〜180℃である。また、反応時間は、30分〜15時間とすることが好適であり、より好ましくは1〜10時間である。
上記反応はまた、必要に応じ、有機溶媒や触媒の存在下で行ってもよい。
上記有機溶媒としては、有機極性溶媒が好ましく、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルカプロラクタム、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、1,2−ジメトキシエタン、ジグライム及びトリグライム等が挙げられる。中でも、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)が好適である。これらの溶媒は、単独で又は混合物として使用することもできるし、また、トルエンやキシレン等の芳香族炭化水素等の他の溶媒と混合して用いることもできる。
上記触媒としては、例えば、三級アミン類、アルカリ金属、アルカリ土類金属、錫、亜鉛、チタニウム、コバルト等の金属又は半金属化合物等が挙げられる。
上記前駆体ポリマー(ポリ(アミド)イミド樹脂の原料)としては、下記式(2);
Figure 2010173156
(式中、Rは、同一若しくは異なって、少なくとも2個以上の炭素原子を有する3価又は4価の有機基を表す。Rは、同一又は異なって、少なくとも2個以上の炭素原子を有する2価の有機基を表す。Xは、同一若しくは異なって、ハロゲン元素又はORで表される基を表す。Rは、同一若しくは異なって、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又はフェニル基を表す。rは、1〜2の数である。nは、繰り返し単位の存在数を表し、1〜1000の整数である。)で表される構成単位(2)を有するものが好適である。
上記式(2)において、Rは、耐熱性の観点からは、脂肪族環状炭化水素、芳香族環又は芳香族複素環を含有するものであることが好ましい。より好ましくは、Rは、脂肪族環状炭化水素、芳香族環又は芳香族複素環を含有し、かつ炭素数4〜30の3価又は4価の基である。具体的には、例えば、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフタレン基、ペリレン基、ジフェニルエーテル基、ジフェニルスルホン基、ジフェニルプロパン基、ベンゾフェノン基、ビフェニルトリフルオロプロパン基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基等が挙げられるが、特に限定されるものではなく、種々の有機基を用いることができる。
また上記Rは、耐熱性の観点からは、脂肪族環状炭化水素、芳香族環又は芳香族複素環を含有するものであることが好ましい。より好ましくは、Rは、脂肪族環状炭化水素、芳香族環又は芳香族複素環を含有し、かつ炭素数6〜30の2価の基である。具体的には、例えば、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフタレン基、ペリレン基、ジフェニルエーテル基、ジフェニルスルホン基、ジフェニルプロパン基、ベンゾフェノン基、ビフェニルトリフルオロプロパン基、ジフェニルメタン基、ジシクロヘキシルメタン基等が挙げられるが、特に限定されるものではなく、種々の有機基を用いることができる。
更に上記COX基は、カルボキシル基又はその誘導基を表す。Xは、同一若しくは異なって、ハロゲン元素又はORで表される基を表し、Rは、同一若しくは異なって、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又はフェニル基を表す。ハロゲン元素としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましい。
上記一般式(2)中、nは、上記前駆体ポリマー中の上記一般式(2)で表される構成単位の繰り返し数を表し、1〜1000の整数である。好ましくは、2以上であり、また、粘性が高くなり過ぎると黒色材料との相溶性が充分にはならないおそれがあるため、500以下であることが好適である。
上記構成単位(2)を含む前駆体ポリマーにおいて、構成単位(2)の含有割合は、該ポリマー100質量%に対して、30〜100質量%であることが好ましい。より好ましくは、50〜100質量%である。
上記一般式(2)中、r=2である構造単位(2)を主成分とする前駆体ポリマーとしては、例えば、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとにより合成されたポリアミック酸(ポリイミド前駆体ポリマー)が好適なものとして挙げられる。また、r=1である構造単位(2)を主成分とする前駆体ポリマーとしては、例えば、トリカルボン酸化合物を含む多価カルボン酸化合物と、多価アミン化合物及び/又は多価イソシアネート化合物との反応により得られるポリアミドイミド前駆体ポリマーが好適なものとして挙げられる。
本発明の硬化性樹脂原料の好ましい形態の一つである重合性不飽和結合を有する化合物について詳述する。
上記重合性不飽和結合を有する化合物としては、重合性不飽和結合を有するものであればよいが、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、フマレート基及びマレイミド基からなる群より選択される1種以上の基を有する化合物であることが好ましい。すなわち、(メタ)アクリロイル基を有する化合物、ビニル基を有する化合物、フマレート基を有する化合物及びマレイミド基を有する化合物よりなる群から選択される1種以上の化合物であることが好ましい。なお、本発明においては、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基とメタクリロイル基とを意味するものであり、アクリロイル基を有する場合、アクリロイル基中にビニル基を有することになるが、この場合には、アクリロイル基とビニル基とを有することとはせず、アクリロイル基を有することとする。また、フマレート基とは、フマレート構造を有する基、すなわちフマル酸エステルの構造を有する基を意味する。
本発明の硬化性樹脂原料が多価フェノール化合物を含有する場合は、硬化剤を用いて熱硬化することにより、硬化物とすることができる。上記硬化剤としては、エポキシ基を少なくとも2つ有する化合物を挙げることができ、上記エポキシ基を少なくとも2個以上有する化合物としては、1分子内に平均2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂が好適であり、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のビスフェノール類とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られるエピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等のフェノール類とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド、ジシクロペンタジエン、テルペン、クマリン、パラキシリレンジメチルエーテル、ジクロロパラキシレン等を縮合反応させて得られる多価フェノールを、更にエピハロヒドリンと縮合反応することにより得られるノボラック・アラルキルタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;テトラヒドロフタル酸、へキサヒドロフタル酸、安息香酸とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂;水添ビスフェノールやグリコール類とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;ヒンダトインやシアヌール酸とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られる含アミングリシジルエーテル型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂等の芳香族多環式エポキシ樹脂等が好適である。また、これらエポキシ樹脂と多塩基酸類及び/又はビスフェノール類との付加反応により分子中にエポキシ基を有する化合物であってもよい。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
上記多価フェノール化合物とエポキシ樹脂系硬化剤との配合質量比(多価フェノール化合物/エポキシ樹脂系硬化剤)としては、30/70以上となるようにすることが好ましく、また、70/30以下となるようにすることが好ましい。30/70未満であると、形成される硬化物の機械物性等が低下するおそれがあり、70/30を超えると、難燃性が不充分となるおそれがある。より好ましくは、35/65以上であり、また、65/35以下である。上記硬化には硬化促進剤を使用してもよく、上記硬化促進剤としては、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類;2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ベンジルメチルアミン、DBU(1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセン)、DCMU(3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチル尿素)等のアミン類;トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(ジメトキシフェニル)ホスフィン等の有機リン化合物等が好適である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、上述した硬化性樹脂原料の他に、表面調整剤を含むことが好ましい。上記表面調整剤は、遮光層の膜の均一性の改善、具体的には、穴の解消やゆず肌の解消の為に好適に使用し得るものである。表面調整剤としては、表面張力低下能の高い化合物が穴をなくす効果が高い点で好ましい。また、極性が高い化合物がゆず肌の解消効果が高い点で好ましい。表面調整剤としては、例えば、シリコン系表面調整剤(シリコン系添加剤)が好ましい。シリコン系表面調整剤としては、ビックケミー・ジャパン社製のBYK−300、BYK−301、BYK−302、BYK−306、BYK−307、BYK−310、BYK−315、BYK−320、BYK−322、BYK−323、BYK−325、BYK−330、BYK−331、BYK−333、BYK−337、BYK−341、BYK−344、BYK−345、BYK−346、BYK−347、BYK−348、BYK−349、BYK−370、BYK−375、BYK−377、BYK−378、BYK−UV3500、BYK−UV3510、BYK−UV3570等が挙げられる。これらの中でも、極性が高い点から、BYK−306、BYK−310、BYK−333、BYK−370、BYK−375等が好ましい。表面張力低下能が高い点からは、BYK−306、BYK−307、BYK−330、BYK−333、BYK−370、BYK−377、BYK−341、BYK−375等が好ましい。また、極性が高く、かつ表面張力低下能が高いことから、BYK−306、BYK−333、BYK−375が特に好ましい。なお、これらは全て商品名である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、上述した硬化性樹脂原料、黒色材料、表面調整剤等の他に、硬化促進剤、反応性希釈剤、不飽和結合をもたない飽和化合物、顔料、染料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、非反応性化合物、連鎖移動剤、熱重合開始剤、嫌気重合開始剤、重合禁止剤、無機充填剤や有機充填剤、カップリング剤等の密着向上剤、熱安定剤、防菌・防カビ剤、難燃剤、艶消し剤、消泡剤、レベリング剤、湿潤・分散剤、沈降防止剤、増粘剤・タレ防止剤、色分かれ防止剤、乳化剤、スリップ・スリキズ防止剤、皮張り防止剤、乾燥剤、防汚剤、帯電防止剤、導電剤(静電助剤)等を含有してもよい。
本発明の硬化樹脂フィルムの製造方法により製造された硬化樹脂フィルムは、上述した構成よりなるので、光の正反射を抑制し、光散乱性に優れ、光沢度の低いフィルムとなるため、光散乱性フィルムに好適に用いることができる。このような、上記硬化樹脂フィルムを備える光散乱性フィルムもまた、本発明の一つである。上記光散乱性フィルムは、例えば、a)硫酸バリウムや酸化チタン等の白色顔料を含有する場合は、光を拡散反射する光拡散反射フィルムとして、b)カーボンブラック、黒鉛等の炭素系黒色微粒子;チタンブラック等の金属酸化物系黒色微粒子等の無機系黒色微粒子;アニリンブラック等の黒色系有機微粒子(有機系黒色微粒子);等の黒色微粒子や、アントラキノン、インジゴイド、ジアゾ系黒色系有機染料等の黒色材料を含有する場合は、遮光性フィルムとして、c)透明、又は、半透明な場合は透過光の拡散性と反射光の散乱性を兼ね備えた光拡散性フィルムとして有用である。
また、上記遮光性フィルムは、本発明の光散乱性フィルムを用いることにより、波長550nmの光に対する透過率が1%未満とすることができる。このように、上記光散乱性フィルムからなる遮光性フィルムであって、該遮光性フィルムは、波長550nmの光に対する透過率が1%未満である遮光性フィルムも本発明の一つである。
上記透過率は、紫外可視分光光度針(Shimadzu UV−3100(島津製作所製))を用いて、380〜780nmにおける透過率を測定することにより得られる値である。以下に、上記遮光性フィルムの形態について説明するが、上述した光散乱性フィルムについても同様の形態をとり得る。
上記遮光性フィルムは、本発明の硬化樹脂フィルムを備えるものであれば特に限定されないが、必要に応じてその他の構成要素が含まれていてもよい。硬化樹脂フィルムが充分な強度を持たない薄膜である場合は、充分な強度とするために、基材を含むことが好適である。このように、遮光性フィルムとしては、(1)基材と硬化樹脂フィルム(片面)よりなる積層フィルムである形態、(2)基材と硬化樹脂フィルム(両面)よりなる積層フィルムである形態、(3)硬化樹脂フィルム単層である形態が好適である。これらの形態の模式図を図6に示す。図6(a)は(1)の形態を、(b)は(2)の形態を、(c−1)及び(c−2)は(3)の形態を示す。なお、上記遮光性フィルムには、その他の機能を有する層を適宜設定してもよい。
(1)及び(2)の形態においては、基材により遮光性フィルムの強度を得ることができるため、硬化樹脂フィルムを薄くすることができる。硬化樹脂フィルムを薄くすることによって、硬化性樹脂組成物を塗布する際の膜厚制御を行いやすく、乾燥する際に該組成物に含まれる溶剤の蒸発除去を短時間で行うことができ、溶剤蒸発に伴う泡の生成等、遮光性能の低下をもたらす膜中の欠陥生成が抑制された硬化樹脂フィルムが得られやすいという利点を有する。
(1)及び(2)の基材と硬化樹脂フィルムよりなる積層フィルムの形態において、硬化樹脂フィルムの厚みは、5μm以上であることが好ましい。より好ましくは、10μm以上である。また、硬化樹脂フィルムの厚みの上限としては、80μm以下であることが好ましく、より好ましくは、50μm以下であり、更に好ましくは、30μm以下である。また、特に好ましい範囲としては、10〜30μmである。
(3)の遮光性フィルムが硬化樹脂フィルム単層からなる形態においては、硬化樹脂フィルムの厚みは、硬化樹脂フィルムの硬化樹脂にもよるが、フィルムの後加工が行い易く、機械的強度に優れる点から、20μm以上が好ましく、更に好ましくは、30μm以上である。硬化樹脂フィルムの厚みの上限としては、硬化樹脂フィルムの材質にもよるが、遮光性能が充分となること、薄型化の要求の高いレンズユニットへの適用を踏まえれば200μm以下が好ましく、更に好ましくは100μm以下である。特に好ましい範囲としては、30〜80μmである。
上記遮光性フィルムは、さらに硬化樹脂フィルム、及び、基材以外の層を有する形態であってもよい。遮光性フィルムの厚みは、遮光性フィルムの形態、適用する用途によっても異なるが、1〜1000μmであることが好ましい。上記遮光性フィルムの厚みとしてより好ましくは、10〜200μmであり、更に好ましくは、20〜100μmである。ここで、遮光性フィルムの厚みとは、マイクロメーターで遮光性フィルムを測定した厚みである。上記遮光性フィルムの厚みを1〜1000μmとすることにより、例えば、該遮光性フィルムを光学部材に用いた場合に、光路を短縮することができる。これにより、この光学部材(例えば、カメラモジュール等)を薄型化することができる。
上記遮光性フィルムが硬化樹脂フィルム、基材以外の層を有する場合、本発明の複数の凹凸形状によって構成される表面形状は、上記層(硬化樹脂フィルム以外の層)が形成されている面とは反対側の硬化樹脂フィルム表面に形成されていることが好ましい。より好ましくは、遮光性フィルムの両表面が上記表面形状を有することである。
上記遮光性フィルムにおいて、基材を有する場合の硬化樹脂フィルム、基材の配置は特に限定されず、いずれが入射光表面であっても本発明の作用効果を発揮するため特に限定されないが、反射防止のため、硬化樹脂フィルムが入射光表面に配置する形態が好ましい。
上記遮光性フィルムの形状としては、用途に応じて適宜選択することができ、レンズユニットに装着する場合には、レンズを固定する淵に貼ることにより、効果的に光路以外の光の透過、光の反射を抑え、光学ノイズを低くすることができる。すなわち、レンズユニットにおいては、図7に模式的に示すように、遮光性フィルム(中でも、硬化樹脂フィルム)がレンズを固定する淵に貼られることが好ましい。すなわち、レンズユニットにおけるレンズと硬化樹脂フィルムとの位置関係としては、レンズユニットの断面図として見ると、図8に模式的に示したものであることが好ましい。したがって、遮光性フィルムの硬化樹脂フィルムは、レンズユニット入射光側からみると、図9に模式的に示すような平面形状(輪の形状)であることが好ましい。輪の中心は空洞でもよく、可視光を透過する透明フィルムであってもよく、レンズであってもよい。好ましくは、輪の中心は空洞であることである。
上記遮光性フィルムは、単層構造であることが好ましい。すなわち、硬化樹脂フィルム単独で構成される形態が好適である。このような形態とすることにより、遮光性フィルムの厚みを薄くすることができ、光学用途(レンズユニット)に用いる場合に、光路を短縮でき、レンズユニットの小型化、薄型化を達成することができる。単層構造の遮光性フィルムの模式図を図6(c)に示す。図6(c−1)は凹凸が片面に形成された形態であり、(c−2)は凹凸が両面に形成された形態である。
上記遮光性フィルムは、基材を有する形態の場合(図6(a),(b))、遮光性フィルムの強度を充分なものとすることができる。上記基材を構成する材料としては、有機材料、無機材料、有機・無機複合材料、金属材料のいずれであってもよく、これらは1種又は2種以上を用いてもよい。上記有機材料(例えば熱可塑性樹脂組成物、硬化性樹脂組成物)は、取り扱いやすい点、無機材料(例えば、ガラス)は、熱膨張率に優れる点、有機・無機複合材料は、両者の特徴を備える点から好適である。これらの材料は、いずれも好適に用いることができるが、耐リフロー性を有する材料であることが好ましい。
上記遮光性フィルムを構成する基材の材料としては、耐リフロー性を有する材料であることが好ましく、具体的には、(1)フッ素化芳香族ポリマー、(2)多環芳香族ポリマー、(3)ポリ(アミド)イミド樹脂、(4)含フッ素高分子化合物、(5)ガラスフィルム及び(6)ポリエーテルケトン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一つを含むことが好ましい。このように、上記遮光性フィルムは、フッ素化芳香族ポリマー、多環芳香族ポリマー、ポリ(アミド)イミド樹脂、含フッ素高分子化合物、ガラスフィルム及びポリエーテルケトン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一つの材料を含んで構成されたものである遮光性フィルムもまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記基材としては、上述した材料であればいずれも好適に用いることができる。上記基材の材料として、2種以上を混合したり、積層したりして用いることができる。中でも、2種以上を積層させて基材が多層構造を有する形態とすると、用いる材料の複数の特性が発揮されて、基材として好適に用いることができる。例えば、遮光性フィルムを100μm未満に薄膜化が必要なカメラモジュール等の用途においては、ガラス等の無機材料を薄膜化(例えば30μm〜100μm)すると割れ易いという問題があるために、有機材料及び/又は有機・無機複合材料と積層することにより、遮光層を基材の上に更に積層させる場合に、基材の変形や割れが生じず、光学部材として好適な基材となる。より好ましくは、ガラス薄膜の片面又は両面に有機樹脂を形成する形態であり、特に好ましくは、両面に有機樹脂を形成する形態である。また、割れを防ぐという観点では、遮光層を形成した後に有機物を積層させてもよい。
上記基材の厚みとしては、遮光性フィルムの厚みに応じて適宜選択することができ、例えば、基材としてガラスを用いる場合は、ガラスの厚みは30〜500μmであることが好ましく、より好ましくは100μmを超える厚みである。樹脂を用いる場合は、例えば、ポリ(アミド)イミド、カプトン等は厚みが100μm程度のシートを好ましく使用し得るが、厚みが100μm未満のフィルム状のものが好ましい。
上記遮光性フィルムを構成する硬化樹脂フィルムの耐熱温度としては、10%分解温度が200℃以上であることが好ましく、250℃以上がより好ましく、300℃以上が更に好ましく、350℃以上が最も好ましい。また、Tgは、80℃以上であることが好ましく、150℃以上がより好ましく、200℃以上が更に好ましく、250℃以上が最も好ましい。このような耐リフロー性を有する硬化樹脂フィルムを用いることで、遮光性フィルムの自動実装化に好適に適用することができる。
本明細書中で「耐熱性を有する」とは、熱に対する高い耐性を有することであり、例えば、有機樹脂等の材料においては、Tgが高いこと、分解温度が高い(好ましくは、10%分解温度が高い)ことの少なくともいずれかを満たすことが好ましく、基材、光散乱性フィルム(特に遮光性フィルム)、該フィルムを用いた用途(例えば、レンズユニット)においては、形状保持性に優れること、寸法変化率が低いこと、分解温度が高い(好ましくは、10%分解温度が高い)ことの少なくともいずれかを満たすことが好ましい。「耐リフロー性を有する」については、リフロー工程で用いられる温度に対して充分な耐性を有することであり、耐熱性を有するという場合と同様に、例えば、有機樹脂等の材料においては、Tgが高いこと、分解温度が高い(好ましくは、10%分解温度が高い)ことの少なくともいずれかを満たすことが好ましく、基材、光散乱性フィルム(特に遮光性フィルム)、該フィルムを用いた用途(例えば、レンズユニット)においては、形状保持性に優れること、分解温度が高い(好ましくは、10%分解温度が高い)ことの少なくともいずれかを満たすことが好ましい。Tg、分解温度、形状保持性等についての好ましい要件としては、上述した各特性についての好ましい要件を満たすことが好適である。
本発明はまた、上記遮光性フィルムとレンズとを備えるレンズユニットであって、該レンズユニットは、撮像素子用レンズユニットであるレンズユニットでもある。本発明のレンズユニットは、光学用途やオプトデバイス用途に有用であり、その他、表示デバイス用途、機械部品、電気・電子部品等として用いることができるものである。
上記レンズユニットにおいて、遮光性フィルムは、カメラモジュールにおいて、レンズユニット内部での光学ノイズの発生及び拡大を抑え、生じた光学ノイズを除去する遮光層を有するフィルムである。上記レンズユニットにおける遮光性フィルムとしては、上述した遮光性フィルムが好ましい。すなわち、遮光性フィルムに必須として含まれる樹脂は、上述したものであることが好ましい。樹脂が上述したものであることにより、遮光性フィルムが耐リフロー性を有するものとなり、耐リフロー性を有するレンズユニットに好適に用いられることとなる。遮光性フィルムのその他の好適な例、好ましい形態等は、上述したとおりである。なお、上記レンズユニットにおいては、遮光性フィルムとレンズとを備えることとなるが、これらの数としては、それぞれ一つ以上備えられていればよく、レンズユニットの用途等に応じて、装着する数を適宜設定することができ、複数備えていてもよい。なお、本明細書中で「耐リフロー性を有するレンズユニット」とは、少なくとも遮光性フィルムの形状保持性が優れるレンズユニットである。好ましい形態としては、上述した遮光性フィルムにおける形状保持性と同様に、200℃で1分加熱した際に、各長さの変化率(寸法変化率)が10%以下、更に好ましくは、260℃で2分加熱した際に、各長さの変化率(寸法変化率)が10%以下となる形態である。いずれの条件下においても、より好ましくは、寸法変化率が5%以下であり、更に好ましくは、3%以下であり、特に好ましくは、1%以下である。
上記レンズユニットにおいて、レンズは、可視光領域の波長を透過し、成形可能な材料であればよく、有機材料、無機材料、有機・無機複合材料のいずれであってもよく、これらは1種又は2種以上を用いてもよい。上記有機材料(例えば、熱可塑性樹脂組成物、硬化性樹脂組成物)は、加工性に優れ、無機材料(例えば、ガラス)は、透明性・熱膨張率に優れ、有機・無機複合材料(例えば、有機無機複合樹脂組成物)は、両者の特徴を備えたものが好適である。レンズは、いずれの材料からなるものも好適に用いることができるが、耐リフロー性を有する材料(耐熱材料)が好ましい。
このように、レンズユニットを構成する遮光性フィルム及びレンズが、耐リフロー性を有するものである形態は、本発明の好ましい形態の一つである。遮光性フィルム及びレンズの両方が、充分な耐熱性を有することにより、自動実装化が可能となり、実装コストが充分に低減され、カメラモジュール等の光学用途に好適に用いることができる。このように、本発明の遮光性フィルムは、カメラモジュールに用いられる撮像用レンズユニットに好適であり、特に、半田リフロー工程に供されるカメラモジュールに用いられる撮像用レンズユニットに好適である。すなわち、上記レンズユニットは、カメラモジュールに用いられる撮像用レンズユニットであることが好ましく、特に、半田リフロー工程に供されるカメラモジュールに用いられる撮像用レンズユニットであることが好ましい。
上記レンズの材質として、有機材料からなる好ましい具体例としては、無色透明性と耐熱性に優れる点から、エポキシ基を少なくとも1つ有する化合物を主たる樹脂(原料)とする硬化性樹脂組成物を硬化してなる材料、重合性不飽和結合を有する化合物を主たる樹脂(原料)とする硬化性樹脂組成物を硬化してなる材料等の硬化性樹脂硬化物;フェノール樹脂を主たる樹脂(原料)とする硬化性樹脂組成物を硬化してなる材料、及び、シリコーン樹脂を主たる樹脂(原料)として硬化してなる材料、シリコーン樹脂からなる熱可塑性樹脂、ポリシクロオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂等のTgが150℃以上の熱可塑性樹脂である。なお、硬化とは、熱による硬化又は活性エネルギー線照射による硬化等従来公知の硬化を意味し、硬化性樹脂組成物には上記の主たる化合物に、更に、硬化を促進するための硬化触媒、硬化促進剤、又は、硬化剤といった従来公知の材料が併用される。また、上記で「主たる」とは、樹脂(原料)総量に対して70質量%以上であることをいう。
上記材料として、特に好ましくは、エポキシ基含有化合物を主たる樹脂(原料)とする硬化性樹脂組成物を硬化してなる材料である。エポキシ基含有化合物、及び、重合性不飽和結合を有する化合物については、硬化樹脂フィルム用の硬化性樹脂組成物における同種の化合物に関する態様を適用し得る。
上記有機・無機複合材料の有機材料成分としては、上記好ましい有機材料であることが好ましい。
上記レンズは、硬化性樹脂組成物を硬化させて得られるものであることが好ましい。硬化性樹脂組成物を用いることで、無機材料(例えば、ガラス)にはできない複雑な加工を安価に行うことができ、熱可塑性樹脂組成物を用いた場合には達成できない耐熱性を有するレンズとすることができ、加工(成形)、レンズユニットへの実装において、工業的な生産工程に適し、効率よく行うことができるという利点がある。なお、上記レンズは硬化性樹脂組成物を硬化させて得られるものであることが好ましいが、硬化性樹脂組成物としては、有機樹脂成分としてエポキシ基を少なくとも1つ有する化合物を含むものが好ましい。また、硬化性樹脂組成物は無機成分を有する有機無機複合樹脂組成物であってもよい。
本発明においては、上述したように、レンズは硬化性樹脂組成物を硬化させて得られるものであることが好ましい。このように、本発明の遮光性フィルムとレンズとを備えるレンズユニットであって、該レンズユニットは、耐リフロー性を有するものであり、該レンズは、硬化性樹脂組成物を硬化させて得られるものであるレンズユニットもまた、本発明の好ましい形態の一つである。中でも、エポキシ基含有化合物を主たる樹脂原料とし、熱硬化性硬化剤等のカチオン硬化触媒を含む硬化性樹脂組成物をカチオン硬化してなるレンズが好ましい。
上記エポキシ基を少なくとも1つ有する化合物としては、硬化樹脂フィルムに含まれる硬化樹脂の例示として後述するエポキシ基含有化合物に記載の化合物を好適に用いることができる。中でも、エピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;ノボラック・アラルキルタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;芳香族結晶性エポキシ樹脂;脂肪族グリシジルエーテル型エポキシ樹脂;エポキシシクロへキサン骨格を有するエポキシ樹脂;グリシジルエステル型エポキシ樹脂;3級アミン含有グリシジルエーテル型エポキシ樹脂等が好ましい。また、硬化性樹脂として、熱可塑性樹脂等の非硬化性成分と低分子量の硬化性化合物とを含有するものを使用することもできる。上記レンズに用いる硬化性樹脂組成物(熱硬化性エポキシ樹脂組成物)の使用形態としては、後述する硬化樹脂フィルムとして説明する形態を好適に用いることができ、特に、熱潜在性硬化剤を用いる形態が好ましい。なお、硬化性樹脂組成物は、レンズ用途として用いることから、黒色微粒子は含まないことが好ましい。
上記有機無機複合樹脂組成物としては、有機樹脂と、無機微粒子又はオルガノポリシロキサンと、を含むものであることが好適である。有機樹脂としては、高アッベ数のものについては、アッベ数が45以上のものである形態、硬化性樹脂である形態、脂環式エポキシ化合物を必須として含む形態、分子量が700以上のものである形態が好ましい。無機微粒子としては、湿式法により得られたものである形態、平均粒径が400nm以下のものである形態、溶液中に分散させたときの25℃におけるpHが3.4〜11のものである形態が好ましい。有機無機複合樹脂組成物としては、不飽和結合が10質量%以下である形態、可とう性成分を含む形態が好ましい。
上記レンズは、厚みが1mm未満であることが好ましい。レンズの厚み(像を写す領域の最大厚み)を1mm未満とすることにより、遮光性フィルムを用いることとあいまって、光路長を短くすることができ、レンズユニットをより小さくすることができる。レンズの厚みとしてより好ましくは、800μm未満であり、更に好ましくは、500μm未満である。
上記レンズのアッベ数としては、特に限定されないが、例えば、アッベ数を45以上とすることにより、光の波長分散が小さくなり、解像度があがり、光学特性に優れたものとすることができる。45未満であると、例えば、にじみがみられるおそれがあり、充分な光学特性を発揮せず、レンズユニットに好適な材料とはならないおそれがある。上記アッベ数として、より好ましくは、50以上であり、更に好ましくは、55以上であり、特に好ましくは、58以上であり、最も好ましくは、60以上である。
上記レンズユニットを構成するレンズは目的とする解像度に応じて、レンズの光学物性(アッベ数、屈折率等)、レンズの形状(凹状、凸状、曲率等)を制御したものを1枚で又は複数組み合わせて用いられる。使用するレンズの個数としては、1枚であってもよく、2枚以上であってもよい。1枚である場合、光の波長分散が小さくなり、解像度があがり、光学特性に優れたものとすることができる点でアッベ数の高いレンズを用いることが好ましく、2枚以上組み合わせて用いる場合は、その組み合わせは任意であり、多様な組み合わせが適用可能であるが、例えば、アッベ数の高いレンズと低いレンズとを組み合わせて用いることが好ましい。
上記レンズユニットにおいては、遮光性フィルムとレンズとを備えるものであれば特に限定されないが、赤外カットフィルター、シーモスセンサー、バレル、接着剤等の他の部材を有する形態が好ましい。なお、接着剤は、レンズ、遮光性フィルム等の部材をユニットに固定させるために用いるものである。
上記レンズユニットの各構成要素の配置としては、レンズユニットとしての特性が発揮される限り特に限定されないが、遮光性フィルムは、上述したように、遮光層がレンズを固定する淵(コバ)に貼られる配置であることが好ましい。遮光性フィルムとレンズとの位置関係としては、レンズが入射光側である形態と、遮光性フィルムが入射光側である形態とがあるが、レンズ表面での反射光を吸収するため、少なくとも1つの遮光性フィルムがレンズより入射光側に配置されていることが好ましい。
上記遮光性フィルムの形状としては、上述したように、遮光層が輪の形状で、輪の中心は空洞であることが好ましい。このような配置・形状とすることで、遮光機能を充分に発揮することができる。具体的には、図10(b)に模式的に示すように、中心部が透明フィルムであると、該遮光性フィルムを有することで光路長が長くなる。一方、中心部が空洞であると、図10(a)に模式的に示すように、光路長が長くなることはない。レンズユニットにおいては、小型化が求められていることから、上記レンズユニットにおいて、遮光層を輪状に有し、中心は空洞とする形態が好ましい。遮光性フィルムの場合、レンズとシーモスセンサーとの間に遮光性フィルムを有すると、レンズとシーモスセンサーとの間に位置する遮光性フィルムの厚みを薄くすることにより、光路長を短くすることができ、レンズユニットを小さく、ユニットの厚みを薄くすることができる。
上記レンズユニットにおいて、遮光性フィルムとレンズの配置としては、図7のように、入射光の進行方向に沿って、遮光性フィルム、1枚又は2枚以上のレンズ、シーモスセンサーの順に配置される形態が好ましい。レンズが2枚以上ある場合は、それぞれのレンズに遮光性フィルムが設けられる形態がより好ましい。このように、遮光性フィルムを複数枚用いると、不要な光を充分に遮断することができる。また、遮光性フィルムはレンズの間に配置されていてもよい。なお、後述する赤外カットフィルター等その他の機能層を用いる場合は、それらの効果が充分に発揮される形態に設けることが好ましい。図7においては、赤外カットフィルターをシーモスセンサーに最も近い位置に配置している。なお、赤外カットフィルターがレンズユニットの入射光表面に位置するように配置されてもよい。
本発明のレンズユニットの大きさとしては、種々の用途に好適に用いることができるため、レンズユニットは小型であることが好ましい。上記レンズユニットの厚みとしては、50mm以下であることが好ましい。このような厚みとすることにより、カメラモジュール等の種々の光学部材に好適に用いることができる。レンズユニットの厚みとしてより好ましくは、30mm以下であり、更に好ましくは、10mm以下である。
中心部が透明フィルムである遮光性フィルムを用いる場合、上記レンズユニットの長さとしては、レンズとシーモスセンサーとの間に位置する遮光性フィルムが薄い程小さくすることができる。具体的には、カメラモジュールにおいては、遮光性フィルムとレンズとシーモスセンサーとを有することとなる。図7及び図10に、カメラモジュールの一例を、模式的に示した。なお、これらの図は、エレクトロニックジャーナル第81回テクニカルセミナー(Electronic Journal 第81回 Technical Seminar)資料を参照した。カメラモジュールに遮光性フィルムを図10(b)のように配置すると、焦点距離が伸びるため、バックフォーカスが伸張し、モジュールが大きくなる。図10(b)に示すように、遮光性フィルムが入射光表面及びレンズとシーモスセンサーとの間に位置し、遮光性フィルムの厚みがtで屈折率nが1.5程度の場合、バックフォーカスが約t/3伸張し、モジュールが大きくなるが、遮光性フィルムを薄くして、焦点距離を短くし、モジュールを小さくすることができる。それにより、例えば、1/10インチの光学サイズの光路長としては、遮光性フィルムなしの場合の120%以下とすることが好ましい。より好ましくは、110%以下であり、更に好ましくは、105%以下である。
本発明は、上述の構成よりなり、耐熱性に優れ、耐リフロー性を有する複数の微小な表面凹凸を有する遮光性フィルム等の光学部材を製造することができ、硬化前の硬化性樹脂膜、又は、該硬化性樹脂膜を硬化して得られる硬化樹脂フィルムにカールが発生するという製造上の不具合の発生を抑制することができる硬化樹脂フィルムの製造方法、そのような製造方法によって製造され、高い性能、品質が求められる光拡散フィルム、遮光性フィルム等の光学部材に好適な樹脂フィルム、並びに、その用途としての光散乱性フィルム、遮光性フィルム及びレンズユニットであり、該レンズユニットは、オプトデバイス用途、表示デバイス用途、機械部品、電気・電子部品等の様々な用途に好適に用いられるものである。
図1は、本発明の硬化樹脂フィルムの製造方法の一例を示す模式図である。 図2は、本発明の製造方法における積層フィルムの形態を示す模式図である。 図3は、本発明の製造方法により製造される硬化樹脂フィルムの線粗さ(Ra)を求める場合の硬化樹脂フィルムの断面模式図の一つを示す。 図4は、本発明の製造方法により製造される硬化樹脂フィルムの十点平均粗さ(Rz)を求める場合の硬化樹脂フィルムの断面模式図の一つを示す。 図5は、本発明の製造方法により製造される硬化樹脂フィルムの局部山頂の平均間隔(S)を求める場合の硬化樹脂フィルムの断面模式図の一つを示す。 図6は、本発明の遮光性フィルムの好ましい形態の一つを示す断面模式図である。 図7は、本発明のレンズユニットの好ましい形態の一つであるカメラモジュールの構成を示す断面模式図である。 図8は、本発明のレンズユニットにおける遮光性フィルムとレンズとの関係を示す断面模式図である。 図9は、本発明のレンズユニットにおける遮光性フィルムの好ましい形態の一つを示す平面模式図である。 図10は、遮光性フィルムの有無によるバックフォーカスの伸張を示す模式図である。 図11は、樹脂膜のカールの測定方法を示す模式図である。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
下記の実施例等において、得られた硬化樹脂フィルムについて、以下の測定項目について、評価を行った。測定項目、及び、測定方法については以下のとおりである。
(光沢度の測定)
得られたフィルム(硬化性樹脂膜としての転写フィルム、および転写硬化フィルム)に関し、転写処理した表面の光沢度を測定した。
光沢度は、日本電色工業社製 光沢度計(VG−2000)を用いて、測定角度(θ)60度における光沢度を測定することにより求めた。
(フィルムの固形分含有量)
転写に供する前駆体フィルム(硬化性樹脂膜)における固形分含有量は次のようにして求めた。すなわち、フィルム小片を試料とし、TG−DTA(BRUKER AXS社製、TG−DTA 2000SA)を用い、昇温速度10度/分で常温から350度までの重量減少量を測定し、この重量減少量を溶剤含有量とし、残分を固形分含有量とした。
(耐熱性試験)
作製した硬化樹脂フィルムを、以下の大きさに切り出し試験片として耐熱性試験を行った。
試験片の大きさは、50mm×10mmである。
上記試験片について、加熱試験を行い、試験前後の試験片の長さ方向の寸法変化を測定し評価した。加熱試験は、260℃で2分間加熱処理(260℃に加熱保持された熱風乾燥機内に試験片を投入し2分後に取り出す)することにより行った。このとき、加熱試験前と加熱試験後の長さ方向における寸法変化率が3%未満をランクA、3%以上をランクBとした。
(可視光透過率)
得られた硬化樹脂フィルムについて、紫外可視分光光度針(Shimadzu UV−3100(島津製作所製))を用いて、380〜780nmにおける透過率を測定した。
(表面凹凸形状の評価)
得られたフィルム(硬化性樹脂膜としての転写フィルム、および、硬化樹脂フィルムとしての転写硬化フィルム)における転写面の表面形状は、レーザー顕微鏡(KEYENCE社製 カラー3Dレーザー顕微鏡(VK−9700))を用いての顕微鏡像の観察並びに日本工業規格(JIS)B0601−1994に準じた線粗さ測定により評価した。線粗さの測定条件は以下のとおりである。なお、測定数値は測定点数を3点とし平均化した値である。
得られたフィルム(硬化性樹脂膜としての転写フィルム、および、硬化樹脂フィルムとしての転写硬化フィルム)における転写面の表面の線粗さの測定条件は以下のとおりである。
対物レンズ:20倍 ズーム:1.0倍
測定ピッチ:RPD
測定モード:表面形状
測定エリア:面
測定品質:超高精細
解析ソフト:VK−9700/VK−8700 形状解析アプリケーション VK−HIAI
解析表面(画像)の傾き補正:2次曲面補正(自動)
解析長さ(基準長さl:500μm
解析線の傾き補正:直線(自動)
(転写ロールの弾性率)
実施例、比較例で用いた転写ロールの材質と同じ材質の試験片(長さ80mm、幅10mm、厚さ4mm)を準備し、JIS K 7171 2008記載の方法により曲げ弾性率を測定し、これをロール材質の弾性率とした。
各実施例、比較例で用いたゴムからなるロールのゴムについては、弾性率が5×10MPa未満、SUSからなるロールのSUSについては弾性率が5×10MPa以上であることは確認した。
(カールの評価方法)
図11に示すように、幅30cm、長さ30cmの硬化性樹脂膜をテーブルに置き、カールするかどうかを評価した。直径(R)2cm以下の筒状にカールするものをカールありとし、端部の高さ(h)5cm以下のカール状態をカールなしとした。
調製例1
〔ポリアミック酸溶液の調製〕
温度計、冷却管、ガス導入管、及び、攪拌機を備えた反応器を準備した。この反応器に、ポリアミック酸として、I.S.T社製ポリ(アミド)イミドワニスPyre−ML RC5083(商品名、固形分含有量:18.5%)、黒色材料として、日本触媒社製グラフトカーボンブラック溶液エポトーンLY(商品名、カーボンブラック濃度7.8%)、表面調整剤として、ビックケミー・ジャパン社製BYK−306(商品名、固形分:12.5%)を、表1に示す割合(質量%)で仕込み、2段パドルの攪拌羽根を用いて、窒素雰囲気下で60分間混合した後、加圧濾過器(ADVANTEC社製、KST−293−10−JA、商品名)を用いてSUS製300メッシュにして加圧濾過することにより、熱硬化性樹脂組成物としてのポリアミック酸溶液を得た。
〔硬化性樹脂膜の作製〕
上記調製例1によって得たポリアミック酸溶液を次の作製例1)〜3)に記載した成膜方法により成膜し、それぞれ硬化性樹脂膜を得た。得られた硬化性樹脂膜の揮発分含有量を測定した結果を表1に示す
作製例1)表面が平滑なPETフィルムを基材とし、ポリアミック酸溶液を該基材上に塗布し、130℃の温度で10分間乾燥させて離型し、硬化性樹脂膜を得た。
作製例2)表面が平滑なPETフィルムを基材とし、ポリアミック酸溶液を該基材上に塗布し、120℃の温度で10分間乾燥させて離型し、硬化性樹脂膜を得た。
作製例3)表面に凹凸形状が形成されたマットPETフィルム(鋳型フィルム)を基材とし、ポリアミック酸溶液を該基材上に塗布し、145℃の温度で10分間乾燥させて離型し、硬化性樹脂膜を得た。
Figure 2010173156
実施例1〜3、比較例1〜2
作製例1)〜3)で得られたそれぞれの硬化性樹脂膜と鋳型フィルムとを積層させ、加圧及び加熱媒体として2本ロールを用い、該2本ロールの間を通過させることによって、表2に示した転写条件で硬化性樹脂膜の片側表面に表面凹凸形状を形成した。鋳型フィルム(転写材)としては、PET−1(帝人デュポン社製マットペットフィルム、銘柄:PSG〔商品名〕、厚さ100μm)を用いた。加圧及び加熱媒体としての2本ロールの構成としては、硬化性樹脂膜に接する側に表面層がゴム製のロールを用い、鋳型フィルムに接する側にSUSロールを用いた。
表面凹凸形状の転写後に離型し、得られた樹脂フィルムを、280℃で60分間加熱して硬化させた。カールの生成を観察し、表面光沢度を測定した。その結果を表2に示す。
Figure 2010173156
なお、上記実施例3は、本願の転写法3(1と2を組み合わせた)であり、得られる硬化性樹脂フィルムが両面凹凸形状となっている。
比較例3
マットフィルムを基材とした以外は作製例1と同様にして、ポリアミック酸溶液を用い、硬化性樹脂膜を成膜し、剥離することにより、表面凹凸形状が形成された硬化性樹脂膜を得た。該硬化性樹脂膜を280℃で1時間加熱して硬化させることにより、硬化樹脂フィルムを得た。その結果、カールが顕著であった。
比較例4
作製例2で得られた硬化性樹脂膜を、加熱式エンボス機を用いてマットロール処理することにより、表面凹凸形状が形成された硬化性樹脂膜を得た。基材から剥離した後、280℃で1時間加熱して硬化させることにより、硬化樹脂フィルムを得た。その結果、カールが顕著であった。
表2の結果から、硬化性樹脂膜と鋳型フィルムとを積層した状態で加圧及び加熱をする工程を実施した実施例1〜3は、硬化樹脂フィルムのカールの生成が充分に抑制されることがわかった。実質的に加圧が行われなかった比較例1、及び、実質的に加熱が行われなかった比較例2は、得られた硬化樹脂フィルムにカールの発生が顕著であることがわかった。これらの比較例は、凹凸形状の転写が充分なものとはいえず、凹凸形状の転写にともなう光沢低下効果が充分に発揮されなかった。また、加圧及び加熱が行われなかった比較例3や、鋳型フィルムを用いず、マットロール処理によって硬化樹脂フィルムを得た比較例4もカールの発生が顕著であった。
このように、硬化性樹脂膜と鋳型フィルムとを積層した状態で加圧及び加熱を行わない場合、すなわち加圧を行わない場合、加熱を行わない場合、両方とも行わない場合は、その後に行う硬化性樹脂膜の硬化時に顕著なカールが発生することになる。また、転写性にも影響し、凹凸形状の転写による光沢低下効果が損なわれることになる。これは、硬化性樹脂膜の硬化収縮や溶剤揮発による影響が前工程において行われる積層フィルムに対する加圧及び加熱によって緩和され、それによって製造工程上の不具合の発生が抑制されたものと考えられる。
上記実施例においては、硬化性樹脂膜と鋳型フィルムとを積層した状態で加圧及び加熱をすることによって初めて本発明の有利な効果が奏されることが示されている。少なくとも、鋳型フィルムを硬化性樹脂膜に積層させ、表面凹凸形成処理を行うものであれば、どのような方法であろうと硬化の際の収縮や揮発分に起因する影響を受けるものと考えられるが、本発明の製造方法であれば、硬化性樹脂膜を硬化させることによってもたらされる不具合を抑制することが可能となる。
なお、上記実施例においては、硬化性樹脂膜とマットペットフィルムとを積層し、ロールを用いて加圧及び加熱し、ロール間の線圧が5N/mm以上、ロールの温度を50℃としているが、各種の形態において鋳型フィルムを用い、加圧及び/又は加熱媒体を用いる転写における作用機構は同様であることから、本明細書において開示した種々の形態において本発明の製造方法が適用でき、有利な作用効果を発揮することができるといえる。
1:ゴムロール
2:SUSロール
3:硬化性樹脂膜
4:マットフィルム
5:マットロール
6:基材
7:硬化樹脂フィルム
8:遮光性フィルム
9:レンズ
10:赤外カットフィルター
11:バレル
12:センサーレンズ
13:コバ
14:樹脂膜A
15:表面凹凸フィルムB
16:他のフィルムC
f:粗さ曲線
m:平均線
R:筒状にカールした樹脂膜の直径
h:樹脂膜の端部の高さ

Claims (12)

  1. 硬化性樹脂組成物から形成される硬化性樹脂膜の少なくとも一方の表面に、転写により表面凹凸形状を形成し、硬化性樹脂膜を硬化させて硬化樹脂フィルムを製造する方法であって、
    該製造方法は、表面凹凸形状を形成するための鋳型フィルムを用い、硬化性樹脂膜と鋳型フィルムとを積層した状態で加圧及び加熱をする工程を有することを特徴とする硬化樹脂フィルムの製造方法。
  2. 前記製造方法は、硬化性樹脂膜に揮発分がある状態で加圧及び加熱をすることを特徴とする請求項1に記載の硬化樹脂フィルムの製造方法。
  3. 前記製造方法は、表面温度が50℃以上の加熱媒体を硬化性樹脂膜と鋳型フィルムとに接触させることによって加熱し、硬化性樹脂膜と接する加熱媒体の表面温度が鋳型フィルムと接する加熱媒体の表面温度よりも高くなるようにすることを特徴とする請求項1又は2に記載の硬化樹脂フィルムの製造方法。
  4. 前記製造方法は、ロールを加圧及び加熱媒体として用いて加圧及び加熱をすることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の硬化樹脂フィルムの製造方法。
  5. 前記製造方法は、硬化性樹脂膜と鋳型フィルムとを積層した状態で少なくとも2本のロール間を通過させることによって加圧及び加熱し、2本のロールのうち少なくとも一方のロールの表面層を弾性体とし、硬化性樹脂膜が弾性体であるロールの表面層と接するようにすることを特徴とする請求項4に記載の硬化樹脂フィルムの製造方法。
  6. 前記製造方法は、ロール間の線圧を1〜100N/mmとすることを特徴とする請求項4又は5に記載の硬化樹脂フィルムの製造方法。
  7. 前記硬化樹脂組成物は、黒色材料を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の硬化樹脂フィルムの製造方法。
  8. 前記硬化樹脂フィルムは、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂及びカチオン硬化樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種を含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の硬化樹脂フィルムの製造方法。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法により製造されることを特徴とする硬化樹脂フィルム。
  10. 請求項9に記載の硬化樹脂フィルムを備えることを特徴とする光散乱性フィルム。
  11. 請求項10に記載の光散乱性フィルムを備える遮光性フィルムであって、
    該遮光性フィルムは、波長550nmの光に対する透過率が1%未満であることを特徴とする遮光性フィルム。
  12. 請求項11記載の遮光性フィルムとレンズとを備えるレンズユニットであって、
    該レンズユニットは、撮影素子用レンズユニットであることを特徴とするレンズユニット。
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