上記した第1従来技術及び第2従来技術はいずれも開口部にテーパ面を形成することが可能であるが、上記した第1従来技術及び第2従来技術は、以下に示すような課題がある。
すなわち、開口部が矩形であるような場合は、カッタヘッドは2点(切断始点と切断終点)を結ぶ直線に沿って進行するように動作し、切断刃はカッタヘッドの動作によってマット材を直線に切断して行くはずであるが、このとき、切断刃がカッタヘッドに斜めに取り付けられていると、マット材の厚みや切断刃の進行速度などによっては、切断刃に撓みが生じ、この撓みによって、開口部の主に外側に膨らみを持った曲線的な切断軌跡が描かれてしまうという現象が生じる場合がある。このような切断刃の撓みは、斜めに取り付けられた薄い平板状の切断刃が進行する際にマット材からの抵抗を受けて撓むものと考えられる。
上記した第1従来技術及び第2従来技術は、このような現象を考慮したカッタヘッド制御は行っていないため、マット材の厚みや切断刃の進行速度などによっては、実際の切断軌跡が所望とする切断軌跡に対して、わずかではあるが、ふくらみを持った曲線的な切断軌跡となってしまう場合もある。所望とする切断軌跡が直線である場合、実際の切断軌跡が高精度な直線にならないと、額縁用マットとしての品質が低下してしまうという問題が生じる。
そこで本発明は、切断面がテーパ面となるように切断する際に切断軌跡を高精度な直線とすることができ、それによって、高品質な画材マットを製造することができる画材マット製造装置を提供することを目的とする。
(1)本発明の画材マット製造装置は、画材マットの素材となるマット材を載せるベースプレートと、前記ベースプレートの平面において互いに直交する2軸のうち一方の軸をx軸、他方の軸をy軸、前記ベースプレートの平面に直交する軸をz軸としたとき、x軸及びy軸に沿って往復動可能でz軸を中心に回転可能なカッタヘッドと、前記カッタヘッドを制御するカッタヘッド制御装置とを有する画材マット製造装置であって、前記カッタヘッドは、前記マット材を切断したときの切断面が当該マット材の平面に対して斜めとなるように前記マット材を切断するための第1切断刃を有する第1カッタユニットを有し、前記カッタヘッド制御装置は、前記カッタヘッドをx軸及びy軸に沿って移動させるための制御及び前記カッタヘッドをz軸を中心に回転させるための制御を行うカッタヘッド制御プログラムと、前記第1カッタユニットを前記z軸に沿った方向に移動させるための制御及び前記第1切断刃を斜め方向に移動させるための制御を行う第1カッタユニット制御プログラムと、前記マット材に所望とする切断軌跡が描かれるように前記カッタヘッドを前記x軸又はy軸に沿って移動させる際に、前記カッタヘッドの移動に伴って前記第1切断刃が撓むことによって生じる前記所望とする切断軌跡に対する切断軌跡のずれの補正を行う切断軌跡補正制御プログラムが含まれることを特徴とする。
本発明の画材マット製造装置によれば、マット材を切断したときの切断面をテーパ面とすることができる。また、第1カッタユニットをz軸に沿った方向に往復動させる制御を行うことにより、切り込み深さも自在に設定することができる。
また、本発明の画材マット製造装置は、所望とする切断軌跡に対する切断軌跡のずれ補正を行う補正制御プログラムを有しているので、テーパ面を有した切断面を形成する際に、所望とする切断軌跡に対する切断軌跡のずれを補正することができる。特に、直線の切断軌跡を形成しようとする場合、切断軌跡を高精度な直線とすることができるので、高品質な画材マットを製造することができる。
(2)本発明の画材マット製造装置においては、前記所望とする切断軌跡に対する実際の切断軌跡のずれ補正は、前記所望とする切断軌跡に対する実際の切断軌跡のずれ量に基づいて作成される補正曲線に沿って前記第1カッタユニットが進行するように前記カッタヘッドを制御することが好ましい。
このような補正曲線に沿って第1カッタユニットが進行するようにカッタヘッドを制御することにより、第1切断刃が撓むことによって生じる切断軌跡のずれ補正を適切に行うことができ、切断軌跡を高精度な直線とすることができる。なお、補正曲線としては、スプライン曲線を例示することができる。
(3)本発明の画材マット製造装置においては、前記第1切断刃は、刃の先端部の向きが前記マット材の平面上において前記補正曲線の法線方向を保持した状態で進行することが好ましい。
第1切断刃がこのような動作を行うことにより、補正曲線に沿って高精度に切断することができる。
(4)本発明の画材マット製造装置においては、前記第1切断刃は、当該第1切断刃の進行方向に対して直交する方向から見たとき、先端部が90度の頂角を有し、該頂角を形成する2つの等辺に刃が形成されていることが好ましい。
第1切断刃をこのような形状とすることによって、例えば、第1切断刃によって矩形の開口部を形成するような場合、開口部の各角部においてx軸方向のテーパ面の端部とy軸方向のテーパ面の端部とを適切に合致させることができる。
(5)本発明の画材マット製造装置においては、前記第1カッタユニットは、前記マット材に対し所定の押圧力を与えることによって前記マット材を押えるマット押さえ部を有することが好ましい。
第1カッタユニットにこのようなマット押さえ部を設けることにより、第1切断刃によって切断動作中にマット材が浮き上がるのを防止できる。特に、第1カッタユニットに取り付けられている第1切断刃は、切断面をテーパ面とするようにマット材の切断を行うものであるため、マット材1を適切な状態に保持して切断する必要があるので、マット押さえ部の存在は重要である。
(6)本発明の画材マット製造装置においては、前記マット押さえ部は、前記マット材に対して所定の押圧力を与えた状態を保持しながら前記z軸に沿った方向の動きが自在となるように前記第1カッタユニットに取り付けられ、前記カッタヘッドが移動する際は、前記マット材に対して所定の押圧力を与えながら前記マット材の表面をなぞるように移動することが好ましい。
マット押さえ部がこのような構成となっていることにより、マット材にz軸に沿った方向の歪みや凹凸などが生じていたとしても、マット押さえ部はその歪みを吸収しながらx軸又はy軸に沿って移動することがきる。
(7)本発明の画材マット製造装置においては、前記第1切断刃は、前記マット押さえ部の前記z軸に沿った方向の動きに連動することが好ましい。
このように、第1切断刃がマット押さえ部のz軸に沿った方向の動きに連動するのは、マット押さえ部が第1カッタユニットに取り付けられているためである。このように、第1切断刃が前記マット押さえ部の前記z軸に沿った方向の動きに連動することにより、切断動作を行っているときに、マット材にz軸方向の歪みや凹凸などが存在していたとしても、第1カッタユニットもマット押さえ部とともにz軸に沿って動く。このため、マット押さえ部と第1切断刃とは、それぞれの設定状態を保持したまま動作することができる。すなわち、マット材にz軸方向の歪みや凹凸などが存在していても、第1切断刃による切り込み深さは、常に設定された値を保持することができる。
(8)本発明の画材マット製造装置においては、前記カッタヘッドは、前記マット材を切断したときの切断面が当該マット材の平面に対して直角となるように前記マット材を切断するための第2切断刃を有する第2カッタユニットをさらに有し、前記カッタヘッド制御部は、前記第2カッタユニットを前記z軸に沿った方向に移動させるための制御を行う第2カッタユニット制御プログラムをさらに有することが好ましい。
このように構成された第2カッタユニットを第1カッタユニットとは別に設けることにより、例えば、テーパ面を有する開口部を形成するための切断作業(第1カッタユニットによる切断作業)と、外形寸法に沿って切断する一般的な切断作業(切断面がマット材の平面に対して直角となる切断作業)とを行う場合、第1カッタユニットと第2カッタユニットとを選択的に動作させるような制御を行えばよい。このため、切断刃の角度の変更や切断刃の取り換えなどを行う必要がないので、画材マットの製造を効率的に行うことができる。
また、第2カッタユニットに対しz軸に沿った方向に移動させるための制御が可能であるため、第2切断刃の切り込み深さを自在に設定することができる。
(9)本発明の画材マット製造装置においては、前記第2カッタユニットは、段ボール、ベニヤ板、アクリル板などに対応した切断刃の取り付けが可能であることが好ましい。
このように、第2カッタユニットに様々な部材を切断するための切断刃の取り付けを可能とすることによって、マット材以外の様々な部材の切断が可能となる。
(10)本発明の画材マット製造装置においては、前記カッタヘッドは、前記マット材の表面に文字、模様などを描画可能な描画手段の取り付けが可能な描画ユニットをさらに有し、前記カッタヘッド制御装置は、前記描画ユニットを前記z軸に沿った方向に移動させるための制御を行う描画ユニット制御プログラムをさらに有することが好ましい。
描画ユニットは、例えば、ペンなどの描画手段を装着することができるものであって、このような描画ユニットを設けることにより、マット材に文字や模様などを自在に描くことができる。なお、描画手段としては様々な種類のものを装着することができる。これにより、本発明の画材マット製造装置は、単に開口部を有する画材マットの製造だけでなく、画材マットに模様や文字などを描くことができ、看板などの製造も可能となる。
(11)本発明の画材マット製造装置においては、前記描画ユニットは、カッタの取り付けを可能とすることが好ましい。
このように、描画ユニットにカッタの取り付けを可能とすることにより、例えば、カッティングシートから文字や模様を切り抜いて、切り抜いた文字や模様を他の台紙に貼るといった使い方もできる。また、マット材上で文字や模様を切り抜くことも可能となり、これにより、文字や模様が立体的に描かれた看板などを製造することもできる。
(12)本発明の画材マット製造装置においては、前記ベースプレートには、前記マット材を真空吸引するための複数のマット材吸引孔が設けられるとともに、該マット材吸引孔を前記マット材以外の所定範囲の領域において覆う吸引孔被覆用シートが設けられ、前記吸引孔被覆用シートは、前記カッタヘッドの移動に応じて被覆範囲を変化させるように巻き取り及び引き出し自在に取り付けられていることが好ましい。
このように、吸引孔被覆用シートによってマット材吸引孔を所定範囲で覆うことによりマット材を吸引する効果をより高めることができ、切断動作中にマット材が動いてしまうといった不具合を未然に防止することができる。また、カッタヘッドの移動に応じて吸引孔被覆用シートの巻き取り及び引き出しが自在となっているので、カッタヘッドの位置に応じて効率的に被覆範囲を変化させることができ、また、吸引孔被覆用シートの存在が切断作業の邪魔になるのを防止することができる。
(13)本発明の画材マット製造装置は、画材マットの素材となるマット材を載せるベースプレートと、前記ベースプレートの平面において互いに直交する2軸のうち一方の軸をx軸、他方の軸をy軸、前記ベースプレートの平面に直交する軸をz軸としたとき、x軸及びy軸に沿って往復動可能なカッタヘッドと、前記カッタヘッドを制御するカッタヘッド制御装置とを有する画材マット製造装置であって、前記カッタヘッドは、前記マット材を切断したときの切断面が当該マット材の平面に対して斜めとなるように前記マット材を切断するための第1切断刃を有し、z軸を中心に回転可能な第1カッタユニットを有し、前記カッタヘッド制御装置は、前記カッタヘッドをx軸及びy軸に沿って移動させるための制御及び前記カッタヘッドをz軸を中心に回転させるための制御を行うカッタヘッド制御プログラムと、前記第1カッタユニットを前記z軸に沿った方向に移動させるための制御及び前記第1切断刃を斜め方向に移動させるための制御を行う第1カッタユニット制御プログラムと、前記マット材に所望とする切断軌跡が描かれるように前記カッタヘッドを前記x軸又はy軸に沿って移動させる際に、前記カッタヘッドの移動に伴って前記第1切断刃が撓むことによって生じる前記所望とする切断軌跡に対する切断軌跡のずれの補正を行う切断軌跡補正制御プログラムとを有することを特徴とする。
本発明の画材マット製造装置は、第1カッタユニットをz軸を中心に回転可能としたものであり、このような構成としても前記(1)に記載の画材マット製造装置と同様の効果が得られる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は、実施形態に係る画材マット製造装置100の外観構成を示す斜視図である。また、図2は、画材マット製造装置100の平面図である。実施形態に係る画材マット製造装置100は、図1及び図2に示すように、切断テーブル110と、切断テーブル110の天板としての機能を有し、切断対象となるマット材1を載せるベースプレート200と、ベースプレート200の対向する2つの辺に沿って設けられたガイドレール310,320と、ガイドレール310,320をx軸に沿って往復動可能なスライダ410,420を両端に有するカッタヘッド取り付けバー400と、カッタヘッド取り付けバー400上をy軸に沿って往復動可能であるとともにz軸を中心に回転可能なカッタヘッド500(詳細は図3参照。)と、カッタヘッド500を覆うカッタヘッドカバー600と、電源スイッチなど各種操作ボタンなどが設けられる操作盤700と、カッタヘッド500を制御するための各種の制御プログラムが格納されたカッタヘッド制御装置(パーソナルコンピュータなど)800とを有している。
ベースプレート200には、マット材1の位置決めを行うための位置決め用プレート201,202と、前記マット材1を真空吸引するための複数のマット材吸引孔203が設けられている。また、ベースプレート200には、マット材吸引孔203をマット材1以外の所定範囲の領域において覆う吸引孔被覆用シート900が設けられる。
吸引孔被覆用シート900は、一端部がベースプレート200の端部(図2において右端部)に固定され、他端部が巻き取りロール910に巻き取り/引き出し可能に取り付けられており、この巻き取りロール910はカッタヘッド取り付けバー400に取り付けられている。このような構成において、カッタヘッド取り付けバー400がベースプレート200のx軸に沿った一方の端部側(図2において右端部側)に位置しているときは、吸引孔被覆用シート900の殆どは巻き取りロール910に巻き取られた状態となっており、カッタヘッド取り付けバー400がx軸に沿って左端部側に進行するにつれて、吸引孔被覆用シート900は、巻き取りロール910から引き出されて行き、ベースプレート200を覆う面積を増加させて行く。また、逆に、カッタヘッド取り付けバー400がベースプレート200の右端部側に戻るにつれて、吸引孔被覆用シート900は、巻き取りロール910に巻き取られて行く。
このように、吸引孔被覆用シート900は、カッタヘッド500の移動に応じて被覆範囲を変化させるように巻き取り及び引き出し自在となっている。特に、カッタヘッド500がベースプレート200の左端部側に進行したときは、吸引孔被覆用シート900によってベースプレート200を広い範囲で覆うこととなり、マット材1に対する吸引力をより強くすることができる。したがって、ベースプレート200の左端部側に位置したマット材1が小面積であるほど、吸引孔被覆用シート900によって覆われる面積が広くなるので、マット材1がより効果的に吸引される。
また、カッタヘッド500は、ベースプレート200上でx軸及びy軸に沿った往復動が可能となっている。カッタヘッド500のx軸に沿った往復動は、スライダ410,420がガイドレール310,320上を往復動することによって可能となり、y軸に沿った往復動は、カッタヘッド500がカッタヘッド取り付けバー400上を往復動することによって可能となる。また、カッタヘッド500は、回転機構(図示せず。)によってz軸を中心とした回転も可能となっている(図2参照。)。カッタヘッド500のこのようなx軸及びy軸に沿った往復動、z軸を中心とした回転は、カッタヘッド制御装置800によって高精度に制御可能となっている。
カッタヘッド500がz軸を中心に回転する際は、回転軸500a(図2参照。)を中心にして行う。この回転軸500aは、第1切断刃511の刃の先端部T(図3、図4及び図5参照。)に一致している。すなわち、カッタヘッド500のz軸を中心とした回転は、第1切断刃511の刃の先端部Tを中心に回転する。
なお、カッタヘッド500のx軸及びy軸に沿った方向の往復動を行うための機構などは、大型プロッタなどに用いられている公知の機構を応用することができるので、その構成については説明を省略し、本発明を説明するに必要な構成のみについて説明する。
図3は、カッタヘッド500の構成を示す図である。カッタヘッド500は、図3に示すように、第1切断刃511を有する第1カッタユニット510と、第1カッタユニット510のカッタユニット取り付け板512に取り付けられたマット押さえ部520と、マット材1の表面に文字や模様などを描画可能な描画ユニット530と、第2切断刃542を有する第2カッタユニット540とを有し、これら第1カッタユニット510、描画ユニット530及び第2カッタユニット540は、カッタヘッド500のヘッドベース550に取りつけられている。
第1切断刃511は、マット材1を切断したときの切断面がマット材1の平面に対して45度傾斜したテーパ面となるようにマット材1を切断する切断刃である(形状などについては図4参照)。また、第2切断刃542は、マット材1を切断したときの切断面がマット材1の平面に対して直角となるようにマット材1を切断する切断刃である。なお、第2切断刃542は、切断刃ホルダ541(図7参照)に取り付けられた状態で第2カッタユニット540に取り付けられる。図3においては、第2カッタユニット540は、切断刃ホルダ541が取り外された状態が示されている。
また、第1カッタユニット510、描画ユニット530、第2カッタユニット540は、z軸に沿って往復動が可能となっている。なお、マット押さえ部520は、第1カッタユニット510のカッタユニット取り付け板512に取り付けられているため、第1カッタユニット510と連動する。このため、マット押さえ部520は、第1カッタユニット510と連動してz軸方向に沿った往復動を行う。
また、第1カッタユニット510、描画ユニット530及び第2カッタユニット540のz軸に沿った往復動は、例えば圧縮空気などによって個々に動作可能となっている。すなわち、第1カッタユニット510、描画ユニット530及び第2カッタユニット540は、それぞれが非動作状態にあるときは、マット材1から所定量だけ離隔した位置にあり、それぞれが動作状態に移行する際は、個々に動作位置に下降するようになっている。そして、それぞれが動作状態から非動作状態に移行する際は、個々に元の位置(非動作状態の位置)に復帰するというような動作を行う。
図4は、第1切断刃511を取り出して示す図である。第1切断刃511は、図4に示すように、先端部Tが90度の頂角を有し、該頂角を形成する2つの等辺511a,511bにそれぞれ刃が形成されている。また、位置決め用孔511cが例えば2箇所に設けられている。なお、第1切断刃511は、図4に示す例では両端が同様の構成となっており、一方の端部側の刃の切れ味が悪くなった場合には、他方の端部側の刃を使用することができる。
図5は、第1カッタユニット510と第1カッタユニット510のカッタユニット取り付け板512に取り付けられたマット押さえ部520とを取り出して示す図である。第1カッタユニット510には、互いに重なり合う2枚の押さえ板513a,513bを有する第1切断刃装着部514が設けられている。そして、2枚の押さえ板513a,513bには位置決め用ピン515が設けられている。
このような構成の第1切断刃装着部514に第1切断刃511を取り付ける際は、第1切断刃511の一方の位置決め用孔511cを位置決め用ピン515に合わせて、スペーサ516を介して2枚の押さえ板513a,513bに挟み込むようにして取り付けて、固定用ネジ517を締め付ける。このように、第1切断刃511は、2枚の押さえ板513a,513bに固定用ネジ517によって固定するものであるため、第1切断刃511の交換は容易に行うことができる。
また、第1切断刃装着部514は、エアースライドテーブル518に対してスライド可能に取り付けられ、このエアースライドテーブル518は、カッタユニット取り付け板512に固定されている。
また、第1切断刃装着部514は、基準となる面(図1に示すベースプレート200の平面)に対して45度の角度をなすようにエアースライドテーブル518に取り付けられる。これにより、第1切断刃511も、基準となる面に対して45度の角度となる。このため、ベースプレート200に載せられたマット材1を第1切断刃511によって切断すると、その切断面はマット材1の平面に対して45度傾斜したテーパ面となる。
また、第1切断刃装着部514は、エアースライドテーブル518上で矢印a−a’方向に往復動可能となっており、動作状態に移行する際は、圧縮空気などにより矢印a方向に勢いよくスライドする。これにより、第1切断刃511は、その先端部Tが基準面に対して45度の角度でマット材1に突き刺さる。そして、動作状態から非動作状態に移行する際は、矢印a’方向に戻る。
また、マット押さえ部520は、マット材1に当接してマット材を押える円盤状のマット当接部521と、マット当接部521が取り付けられるマット押さえ軸522と、マット押さえ軸522をz軸(図5における上下方向)に沿って往復動可能に支持するマット押さえ軸装着部523とを有している。なお、マット当接部521の直径は、実施形態においては25mm程度としている。
また、第1カッタユニット510とマット押さえ部520は、スプリング519(図3参照)によってz軸に沿った方向に弾力を有した状態で懸架されている。これにより、マット材1にz軸方向の歪みや凹凸などが存在していても、第1カッタユニット510とマット押さえ部520は、マット材1の歪みや凹凸を吸収しながら歪や凹凸をなぞるようにx軸及びy軸に沿った方向に移動する。
このため、第1カッタユニット510に取り付けられた第1切断刃511とマット押さえ部520とは、それぞれの設定状態を保持したまま動作することができる。すなわち、マット材1にz軸方向の歪みや凹凸などが存在していても、第1切断刃511による切り込み深さは、常に設定された値を保持することができる。
例えば、マット材1の厚みが3mmであった場合の第1切断刃511のマット材1に対する切り込み深さが、鉛直方向(z軸に沿った方向)に3.1mmとなるように設定しておいたとすると、マット押さえ部520のマット当接部521がマット材1に当接した状態においては、第1切断刃511のマット材1に対する切り込み深さは常に3.1mmに保持される。
図6は、描画ユニット530について説明する図である。描画ユニット530は、ペンなどの描画手段531を保持する描画手段ホルダ532、リニアソレノイド533、描画手段531のz軸方向(図6における上下方向)の動きに弾力を持たせるためのスプリング534などを有している。なお、前述した図3において示されている描画ユニット530は、描画手段ホルダ532が取り外された状態である。
また、描画手段ホルダ532は、様々な種類の描画手段を保持することができるものである。このように構成された描画ユニット530は、カッタヘッド制御装置800の制御によって、マット材1上に文字や模様を自在に描くことができる。また、描画手段ホルダ532は、カッティングシートなどを切断するためのカッタを保持することも可能であり、このようなカッタを装着することにより、カッティングシートから文字や模様を切り取ることも可能となる。
図7は、第2カッタユニット540に取り付けられる切断刃ホルダ541の一例を示す図である。なお、前述した図3において示されている第2カッタユニット540は、切断刃ホルダ541が取り外された状態である。切断刃ホルダ541は、図7に示すように、その先端部に第2切断刃542の取り付けが可能となっている。
第2切断刃542は、マット材1を切断したときの切断面がマット材1の平面に対して直角となるようにマット材1を切断するための切断刃である。この第2切断刃542は、主に、マットM1(図9参照)の外形寸法に沿った切断を行う際に用いられるもののである。また、切断刃ホルダ541には、段ボールを切断する切断刃、ベニヤ板を切断する切断刃、アクリル板を切断する切断刃など様々な切断刃を取り付けることが可能となっている。
ところで、上記した第1カッタユニット510(マット押さえ部520を含む。)、描画ユニット530及び第2カッタユニット540の動作制御は、カッタヘッド制御装置800に格納された制御プログラムによって行われる。たとえば、ユーザによってマット材1の外形サイズ及び開口部サイズなどが入力されると、カッタヘッド制御装置800では入力された値に基づいてそれぞれ対応するプログラムが動作し、それぞれのプログラムに基づいた制御を行う。
図8は、カッタヘッド制御装置800の構成を模式的に示す図である。カッタヘッド制御装置800は、図8に示すように、切断データなどの各種データの入力が可能なユーザインタフェース部(キーボード、マウスなど)810と、入力された各種データを記憶する入力データ記憶部820と、切断動作、描画動作及び切断軌跡補正動作(切断軌跡補正動作については後述する。)などを実行するための制御プログラムを記憶している制御プログラム記憶部830と、全体的な制御を行う制御部840とを有している。なお、制御プログラムとしては、カッタヘッド制御プログラム831、第1カッタユニット制御プログラム832、描画ユニット制御プログラム833、第2カッタユニット制御プログラム834、切断軌跡補正プログラム835などが含まれる。
図9は、実施形態に係る画材マット製造装置100によって製造されたマットM1の一例を示す図である。図9(a)は平面図であり、図9(b)は図9(a)のA−A’線の矢視断面図である。図9に示すマットM1は、マットの外形サイズ(マット外形サイズという。)が横方向(x軸方向)200mm、縦方向(y軸方向)150mmとし、開口部11のサイズ(開口部サイズという。)は、横方向(x軸方向)120mm、縦方向(y軸方向)80mmとしている。また、マット材1は3mmの厚みのものを使用しているものとする。図9に示すようなマットM1は、次のような手順によって製造される。
まず、ユーザ(作業者)はマット材1をベースプレート200の位置決め用プレート201,202に正確に合わせた状態でベースプレート200上に載せる。なお、マット材1は表側(額縁に入れた場合の表となる側)が上面となるようにベースプレート200上に載せる。これは、当該マットの発注者からマットに文字や模様を入れて欲しいといった要求がある場合には、最初に描画を行い、その後、切断作業を行うことが作業のし易さという観点で好ましいからである。したがって、マット材1を表側が上面となるようにベースプレート200に載せるようにすれば、最初に描画を行って、描画が終了したら、そのまま切断作業に移行することができるので、効率的な描画及び切断作業が可能となる。
また、マット材1をベースプレーと200に載せる際、ベースプレート200に捨てマット(図示せず)を載せてその上にマット材1を載せる。捨てマットは、マット材1を切断する際に第1切断刃511や第2切断刃542などがベースプレート200にまで達しないようにする下敷きとしての役目を果たすものであり、使用するマット材1と同じ材質であることが好ましい。
そして、切断に必要な各種のデータ(切断データという。)をカッタヘッド制御装置800に入力する。この切断データは、例えば、製造すべきマットM1のマット外形サイズ、開口部11の開口部サイズ、マットM1を製造するために使用するマット材1の厚み、x軸方向及びy軸方向の各切断始点位置及び切断終点位置、切断刃などの指定(第1切断刃511、第2切断刃542及び描画手段のいずれかの指定)などである。なお、図9に示した例では、マット外形サイズは、横方向(x軸方向)が200mm、縦方向(y軸方向)が150mmであり、開口部サイズは、横方向(x軸方向)が120mm、縦方向(y軸方向)が80mmであり、また、マット材1は3mmの厚みとしているので、これらの切断データを入力する。
このように、マットM1を製造する際に必要な各種の切断データを入力して、まずは開口部11を形成するための動作を選択してスタートボタン(図示せず)を押すと開口部11を形成するための切断動作が開始する。このとき、ベースプレート200に設けられたマット材吸引孔203によってマット材1がベースプレート200に真空吸引された状態となる。なお、マット材1とベースプレーと200との間には捨てマットが介在されているが、吸引力は、捨てマットを通過してマット材1にまで達するためにマット材1はベースプレート200に吸引される。
そして、開口部11を形成するための切断作業が開始されると、まずは、カッタヘッド500が指定された位置に移動したのち、マット押さえ部520が下降してマット当接部521がマット材1に当接するとともに、第1切断刃装着部514が矢印a方向に移動する。これにより、第1切断刃511の先端部Tがマット材1における切断始点位置(図9におけるP1の位置とする。)に突き刺ささる。この状態で、カッタヘッド500は、x軸に沿って右方向に進行して行き、マット材1はx軸に沿って切断されて行く。このときの切断面はマット材1の平面に対して45度傾斜したテーパ面となる。
そして、第1切断刃511が位置P2に達すると、マット当接部521と第1切断刃511がマット材1から離隔し、その位置でカッタヘッド500がz軸を中心に反時計方向に90度回転する。
続いて、位置P2においてマット押さえ部520が下降してマット当接部521がマット材1に当接するとともに、第1切断刃装着部514が矢印a方向に移動することにより、第1切断刃511の先端部Tがマット材1における位置P2(図9参照)に突き刺ささる。この状態で、カッタヘッド500は、y軸に沿って図9における上方向に進行して行く。これにより、マット材1がy軸に沿って切断されて行く。このときの切断面もマット材1の平面に対して45度傾斜したテーパ面となる。また、位置P2における角部におけるテーパ面の端部は、第1切断刃511の先端部の角度が図4に示すようになっているので、既に切断されているx軸方向のテーパ面の端部に合致するようになる。
そして、第1切断刃511位置P3に達すると、マット当接部521と第1切断刃511がマット材1から離隔し、その位置でカッタヘッド500がz軸を中心に反時計方向に90度回転する。
このような切断動作を繰り返すことによって、マット材1は、x軸方向の2つの辺がそれぞれ120mmずつ切断されるとともに、y軸方向の2つの辺がそれぞれ80mmずつ切断される。また、それぞれの辺の切断面はマット材1の平面に対して45度傾斜したテーパ面となる(図9参照。)。
続いて、マット外形の切断動作を行う。マット外形の切断動作は、第2切断刃542を用いて行うものである。各辺の切断動作は上記した開口部11を形成するための切断動作と同様に行うことができるので、その説明は省略する。なお、第2切断刃542により切断された切断面は、マット材1の平面に対して直角となる。
ところで、斜めに取り付けられた第1切断刃511を用いて切断動作を行う際、直線であるべき切断軌跡が直線とならない場合がある。すなわち、前述したように、開口部11が矩形であるような場合は、カッタヘッド500は2点を結ぶ直線に沿って進行し、第1切断刃511はカッタヘッド500の進行に伴って当該直線に沿ってマット材1を切断して行くはずである。しかしながら、斜めに取り付けられた第1切断刃511は、マット材1の厚み寸法の大きさやカッタヘッド500の進行速度などによっては、切断しながら進行する際にマット材1からの抵抗を受けて撓みが生じ、この撓みによって、開口部11の主に外側にわずかに膨らみを持った曲線的な切断軌跡が描かれてしまうという現象が生じる場合がある。すなわち、所望とする切断軌跡に対して実際の切断軌跡にずれが生じてしまう現象が生じる場合がある。
このような切断軌跡のずれが生じると、本来、直線であるべき切断軌跡が直線とはならずマットの品質を低下させるものとなる。このため、本発明においては、上記した現象が生じることを考慮した切断軌跡のずれ補正制御を行う。この切断軌跡のずれ補正制御は、カッタヘッド制御装置800の制御プログラム記憶部830に記憶されている切断軌跡補正制御プログラム835に基づいて行われる。
図10は、切断軌跡のずれの補正について説明する図である。なお、図10(a)は切断軌跡のずれの補正の具体例について説明する図であり、図10(b)は切断軌跡のずれの補正を行う際の第1切断刃511の動作を説明するために図10の一部を拡大して示す図である。また、図10においては、開口部11のみを示している。図10(a)において、例えば、開口部11の切断始点となる位置P1の座標を(0,0)、x軸方向の切断終点となる位置P2の座標を(120,0)とし、x軸に沿った座標を、(1.0),(2,0),(3,0),・・・というように1mm単位で表すものとする。
図10(a)において、第1切断刃511を位置P1と位置P2とを結ぶ直線に沿ってカッタヘッド500を移動させて第1切断刃511により切断すると、その切断軌跡(開口部11の内側のラインに注目するものとする)は、開口部11の外側に膨らんだ曲線的な切断軌跡(図10(a)における破線で示す切断軌跡)となってしまう。これを補正するためには、図10(a)における一点鎖線で示すような曲線(補正曲線という。)に沿って第1カッタユニット510が進行するようにカッタヘッド500の動きを制御する。図10(a)に示す補正曲線は、スプライン曲線として求めることができる。すなわち、補正曲線は、x軸上の各座標点におけるy軸方向のずれ量d1,d2,d3,・・・を求めて、そのずれ量を補正量d1’,d2’,d3’,・・・として、これら各補正量のy軸上の座標点を曲線で結んだものである。
なお、図10(a)の例は説明をわかりやすくするため、ずれ量d1,d2,d3,・・・と、それに対応する補正量d1’,d2’,d3’,・・・及びx軸上における各座標点が拡大されて示されているが、実際には、120mm程度の切断長さであれば、ずれ量はせいぜい0.5mm〜1.5mm程度である。切断軌跡のずれ量は、マット材1の材質、厚み、切断速度などによっても異なってくる。
また、図10(a)の例では、座標点(1.0)におけるずれ量d1に対する補正量d1’は1mm、座標点(2.0)におけるずれ量d2に対応する補正量d2’は2mm、座標点(3.0)におけるずれ量d3に対応する補正量d3’は3mmというように補正量が順次増加して行き、その後、補正量は3mmで一定となっている。これは、ずれ量は第1切断刃511による切断開始の直後に増大し、その後、第1切断刃511がある位置に達したところで、ずれ量が飽和するためであり、この場合は、第1切断刃511が座標点(3,0)においてずれ量が飽和した例である。
このようにして補正曲線(図10(a)における一点鎖線)が得られると、この補正曲線に沿って第1カッタユニット510を進行させるようにカッタヘッド500を制御する。これにより、第1切断刃511による実際の切断軌跡は、図10(a)の太線Lで示すような所望とする切断軌跡となる。このとき、第1切断刃511は、図10(b)に示すように、刃の先端部Tの向きがマット材1の平面上において補正曲線の法線h方向を保持した状態で進行する。このような制御は、カッタヘッド500のz軸を中心とした回転角度の制御を行うことにより可能となる。
そして、所定距離(120mm)だけ切断した時点(位置P2)で、第1切断刃511をマット材1から離隔させ、カッタヘッド500を90度回転させて、次の切断動作(位置P2からy軸に沿った切断動作)に入る。このとき、カッタヘッド500は座標点(120,3)の位置にあるので、座標点(120,0)に戻した状態として、y軸方向に沿った切断動作を行う。なお、y軸に沿った切断動作においても上記同様の切断軌跡のずれ補正制御を行う。
このようにして、すべての辺について同様の切断軌跡のずれ補正制御を行うことにより、切断動作後に形成される開口部11は、4つの辺の切断軌跡は所望とする切断軌跡となり、高精度な直線の切断軌跡が得られる。
以上説明した図9及び図10においては、1枚のマット材に開口部を形成する例について説明したが、マット材1を2枚重ねてそれぞれのマット材1において異なる大きさの開口部を形成することによって2枚重ねマットを製造することもできる。
図11は、2枚重ねマットM2の一例を示す図である。図11(a)は平面図であり、図11(b)はA−A’線の矢視断面図である。図11に示す2枚重ねマットM2は、大きな開口部11a(大開口部11aという。)を有するマットM2aと、小さな開口部(小開口部11bという。)を有するマットM2bから構成されている。また、図11に示す2枚重ねマットM2は、図11(a),(b)に示すように、上側のマットM2aの大開口部11aは、その切断面が直角となっており、下側のマットM2bの小開口部11bは、その切断面が45度のテーパ面となっている例である。図11に示す2枚重ねマットM2を額縁に用いることによって、より高級感のある額縁とすることができる。
図11に示すような2枚重ねマットM2を製造する際は、図1に示すベースプレート200にマット材を2枚重ねた状態とし(上側のマット材をマット材1a、下側のマット材をマット材1bとする)、最初に、上側のマット材1aに対して第2切断刃542を用いて大開口部11aを形成する。このとき、第2切断刃542のz軸に沿った方向の到達距離が上側のマット材1aの厚みとなるように設定する。
上側のマット材1aにおいて大開口部11aが形成されたら、次に、下側のマット材1bに対して第1切断刃511を用いて小開口部11bを形成する。そして、外形のサイズに沿って第2切断刃542によって2枚のマット材1a,1bを同時に切断する。このとき、第2切断刃542によって2枚のマット材(上側のマット材1a及び下側のマット材1b)を同時に切断できるように第2カッタユニット540のz軸に沿った移動量を設定して切断を行う。このような手順で切断動作を行うことによって、図11に示すような2枚重ねマットM2を形成することができる。
なお、図11のような2枚重ねマットM2を製造する場合であっても、大開口部11a及び小開口部11bを形成する際は、図10で説明したような切断軌跡のずれ補正制御を行うことにより、大開口部11a及び小開口部11bの切断軌跡を高精度な直線とすることができる。
図11で示したような2枚重ねマットM2以外にも様々な2枚重ねマットを製造することができる。例えば、図示は省略するが、図11に示した2枚重ねマットM2とは逆に、上側のマット材1aに形成される大開口部11aの切断面をテーパ面とし、下側のマット1aに形成される小開口部11bの切断面を直角の切断面とした2枚重ねマットも可能である。また、2枚重ねマットの両方のマットとも同じ切断面を有する開口部が形成されるようにしてもよい。また、開口部は矩形でなくてもよく、各種の形状の開口部を有した2枚重ねマットを製造することができる。
次に、描画ユニット530の動作について説明する。描画ユニット530には、描画用の各種のペンの取り付けが可能であるとともに、カッティングシートから文字や模様を切り取ったりする際のカッティングシート用カッタの取り付けが可能である。描画ユニット530を用いることにより、例えば、額縁用のマット(例えば図9及び図11参照)の表面に文字や模様を書き込むことが可能である。
例えば、額縁用のマットに文字や模様を書き込む際には、前述したように、まずは、描画ユニット530を用いて、所望とする文字や模様を描画し、描画作業の終了後に、図9〜図11において説明したような切断作業を行うことにより、文字や模様入りのマットを製造することができる。また、描画ユニット530は、額縁用のマット以外にも例えば看板などに文字や模様を描画する場合にも使用することができる。
図12は、描画ユニット530を額縁用のマット以外に使用した例について説明する図である。図12に示すように、マット材(他の部材であってもよい。)に文字を描いたり、カッティングシートをカッティングして文字を作成したりすることも可能である。図12(a)は所定の大きさに切断したマット材1に描画ペンにより文字を描いた例を示すものであり、また、図12(b)はカッティングシートをカッティングして作成された文字を所定の大きさに切断したマット材1に張り付けた例を示すものである。また、図示しないが、マット材にカッタを用いて立体的な文字や模様を描くことも可能である。
なお、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能となるものである。たとえば、上記した実施形態では、開口部は矩形である場合について、開口部11は矩形に限られるものではない。
図13は、楕円形の開口部12を有するマットM3の平面図である。マット材1に図13に示すような楕円形の開口部12を形成する際には、第1切断刃511による切断動作は、一筆書きのような動作を行う。例えば、切断始点をP1の位置とした場合、位置P1から第1切断刃511を一筆書きで楕円を描くように進行させたのちに位置P1に戻るようにカッタヘッド500を制御する。このとき、第1切断刃511は、常に楕円の軌跡に沿うように回転角度が制御される。図13に示すような楕円の開口部12を形成するには、形成すべき楕円のサイズなどの切断データをカッタヘッド制御装置800に与えておけばよい。
また、円形の開口部(図示せず)の形成も楕円の開口部と同様に行うことができる。すなわち、ある位置から第1切断刃511を一筆書きで円を描くように進行させたのちに当該位置に戻るようにカッタヘッド500を制御することによって円形の開口部を形成することができる。
この他、図示は省略するが、カッタヘッド制御装置800に所定の切断データを与えることによって、例えば、ハート型、ひし形、星形など様々な形状の開口部を形成することができる。
また、上記した実施形態においては、マット材を切断する例について説明したが、マット材のみでなく、ベニヤ板、段ボール、アクリル板など様々な部材を切断対象とすることができる。また、切断するのではなく切り込みを入れることもが可能である。
このように、ベニヤ板、段ボール、アクリル板などを切断対象とする場合、必要に応じて専用の切断刃を用いることとなるが、第2カッタユニット540に各専用の切断刃が取り付けられた切断刃ホルダ541を装着することによって、様々な部材を切断したり、様々な部材に切り込みを入れたりすることが可能となる。具体的な使用例としては、段ボールで箱を作成する場合などにおいては、段ボールを所定の寸法に切断するとともに、折り線に沿って切り込みを入れるというような場合にも使用することができる。
また、上記した実施形態では、第1切断刃511の切断方向の変化は、カッタヘッド500の回転角度を制御することにより行っていたが、第1カッタユニット510を回転可能とするような構成として、第1カッタユニット510を回転制御することによって第1切断刃511の切断方向を変化させるようにしてもよい。同様に、描画ユニット530、第2カッタユニット540も個々に回転可能とするような構成とすることもできる。