しかし、特許文献1に記載の表示装置は、表示装置内で文字や絵を表示したり表示しなかったりしており、その表示態様の変化は意外性に乏しく、遊技者が飽きやすいおそれがある。また、近年、画像表示手段が大型化しており、この大型化に伴い画像表示手段の周囲に配置された遊技部品のスペースが減少する傾向がある。これに伴い表示装置も小型化する傾向があり、表示する文字や絵の視認性を十分に確保できないおそれがある。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、文字や絵柄等所定の識別情報の視認性を向上させるとともに、所定の識別情報に対する遊技者の関心を高めることができる遊技機を提供することを例示的課題とする。
上記の課題を解決するために、本発明の例示的側面としての遊技機は、球の流下による遊技を実現する遊技領域を有する遊技盤と、遊技盤に設けられ、遊技に関する画像を表示する画像表示手段と、画像表示手段に隣接して配置された遊技役物と、遊技役物に設けられ、所定の識別情報の一部となる役物識別情報部と、画像表示手段の画像表示制御を実行する遊技制御手段と、を有する遊技機であって、画像表示手段は、所定の識別情報の一部となる画像識別情報部を表示可能に構成されており、役物識別情報部は、画像表示手段の前方において画像表示手段に近い側が後方となるように遊技者から見た前後方向に傾斜して配置されており、役物識別情報部と画像識別情報部とによって所定の識別情報を構成する。
画像表示手段は、所定の識別情報の一部を構成する画像識別情報部を表示可能に構成されている。また、所定の識別情報の一部を構成する役物識別情報部が設けられている。画像識別情報部と役物識別情報部とが協働することによって所定の識別情報を構成する。画像表示手段と遊技役物とによって所定の識別情報を表示することにより、遊技役物のみによって所定の識別情報を示す構成と比べて所定の識別情報の配置面積を容易に拡大して、視認性を高めるとともに遊技者の関心を高めることができる。また、近年における画像表示手段のサイズ拡大によって遊技役物が小型化しても、画像識別情報部によって識別情報の表示サイズを確保することができ、識別情報の表示サイズを維持することが可能となる。
画像表示手段と遊技役物とは隣接して配置されており、遊技役物が役物識別情報部を有している。役物識別情報部は、画像表示手段側に位置する方が後方となるように遊技者から見た前後方向に傾斜して配置されている。斜めに配置された役物識別情報部と画像表示手段とによって所定の識別情報が構成されており、所定の識別情報は、役物識別情報部と画像表示手段とに跨って配置される。所定の識別情報は遊技者から見て奥行方向にずれて配置されるため、立体感のある識別情報となり、迫力のある識別情報を示すことができる。
更に、役物識別情報部を画像表示手段の前方に配置して、役物識別情報部における画像表示手段側に位置する側を画像表示手段と近くなるように配置することにより、画像表示手段と役物識別情報部とが実質的に連なっているかのように遊技者に視認させることができ、画像識別情報部と役物識別情報部の一体感を高め、識別情報の視認性を向上させることができる。
ここで画像表示手段は、遊技に関する画像を表示可能なものであり、例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、7セグメントディスプレイを例示できる。また、遊技に関する画像とは、遊技の進行に伴い遊技者の興趣を高めるような画像や大当り抽選の過程やその結果に関する画像を例示することができ、遊技に関するあらゆる画像を含む概念である。
遊技役物は、画像表示手段に隣接して設けられていればよく、画像表示手段の周囲を囲むように設けられていてもよいし、画像表示手段の一側面に隣接して設けられていてもよい。また、役物識別情報部は、遊技役物に設けられ、所定の識別情報の一部を構成する。役物識別情報部は、所定の識別情報の一部となる部分(例えば、特定の面)が前後方向に傾斜していればよればよい概念であり、遊技者が視認する面(例えば、文字が表示された前面)が少なくとも前後方向に傾斜して配置されていればよく、役物識別情報部全体が必ずしも傾斜して配置されていなくてもよい。
また、役物識別情報部は、常に所定の識別情報の一部として機能しており、遊技者が常に所定の識別情報を認識可能に構成されていてもよいし、通常時はカバー部材で覆われていたり発光部が消灯していたりすることにより所定の識別情報の一部として機能せず、カバー部材が外されたり発光部が発光することによって所定の識別情報の一部として機能するようにしていてもよい。
更に、役物識別情報部は、画像表示手段側が画像表示手段と連なるように隣接して配置されていてもよいし、画像表示手段側が画像表示手段と離間して配置されていてもよく、画像表示手段と協働して構成する所定の識別情報が視認し易い態様であればよい。ここで所定の識別情報とは、遊技者が認識可能な情報であり、例えば、数字や文字、絵柄、及びこれらの組合せ等、遊技者に何らかの情報を伝達できるものを含む概念である。
遊技制御手段は、画像表示手段の画像表示制御を少なくとも実行可能であればよく、画像表示制御と併せて遊技の制御も実行可能であってもよい。遊技の制御とは、遊技に関するあらゆる制御であり、具体的には、抽選手段によって大当り抽選を行い、大当りとなることによって遊技者に利益を付与するように構成された遊技機においては、抽選手段による抽選の実行や、その抽選結果に基づく大当り遊技の実行や、大当り遊技に基づく遊技者への利益付与の実行の各制御を例示できる。
役物識別情報部は、レンズ部と、レンズ部の後方に配置された発光部と、レンズ部の側面に配置され、遮光性を有する壁部と、を備え、壁部の前端面は、役物識別情報部の輪郭となるように構成されており、遊技制御手段は、発光部の発光制御を実行可能に構成されている。
役物識別情報部が発光部を有することにより、役物識別情報部の輝度を高め、所定の識別情報の視認性を更に向上させることができる。また、レンズ部の側面に遮光性を有する壁部が設けられているため、発光部の光が周囲に拡散することを抑制することができるとともに、周囲に他の発光部が配置されていても周囲の発光部の光と役物識別情報部内の光とが混ざることを防止できる。更に、壁部の前端面が役物識別情報部の輪郭を構成するため、周囲の遊技役物と役物識別情報部とを仕切り、所定の識別情報の視認性を更に向上させることができる。
なお、壁部は、少なくともレンズ部の一側面に設けられていればよく、レンズ部の外周を囲むように設けられていてもよいし、レンズ部の側面と併せて内側に設けられていてもよい。また、壁部は、レンズ部の側面から発光部の側方まで延設して配置されていることが望ましい。壁部が発光部の側方まで延設することにより、発光部の光が側方に拡散することを効果的に抑制することができ、発光効率を高めることができる。
なお、発光部の発光色と壁部の前端面の色とは、近似色(実質的に同じ色を含む。)としてもよいし、非近似色(実質的に異なる色)としてもよい。例えば、発光部の発光色と前端面の色とを近似色とすることにより、壁部の前端面と発光部との一体感を高めることができ、迫力のある表示態様を実現することができる。一方、発光部の発光色と壁部の前端面の色とを非近似色とすることにより、輪郭となる前端面を目立たせることが可能となる。また、壁部の前端面の色と役物識別情報部外の遊技役物の色とを非近似色にすることによって、役物識別情報部と周囲の遊技役物とを区別し易くすることができる。
加えて、レンズ部の表面に二次加工を施して、二次加工によって役物識別情報部が構成する識別情報の輪郭を形成するように構成してもよい。壁部の前端面は、レンズ部の側方に配置されており、役物識別情報部の輪郭を構成している。しかし、例えば、役物識別情報部の内部に識別情報を構成する文字等の輪郭が配置されている場合には、その輪郭を壁部の前端面によって構成することができないことがある。このような場合には、レンズ部の表面にホットスタンプ加工等の二次加工を施し、この二次加工によって識別情報の輪郭を構成することが望ましい。二次加工を併せて設けることにより、識別情報の視認性を更に向上させることができる。ここで二次加工とは、ホットスタンプ加工の他に、塗装、メッキ等を用いることができる。
発光部は、画像識別情報部の近似色で発光する第1発光部を有し、遊技制御手段は、画像識別情報部が表示されるように画像表示手段を表示制御する際に第1発光部が発光するように遊技役物を発光制御するように構成されていてもよい。
遊技制御手段が、第1発光部を発光するように発光制御する際に、画像識別情報部が表示されるように画像表示手段を表示制御することにより、画像表示手段に表示される画像識別情報と役物識別情報とを近似色で発光させて、異なる部材である画像表示手段と遊技役物とに分離して配置された所定の識別情報の一体感を高めることができる。遊技者は、一連の所定の識別情報であることを認識し易くなり、識別情報の視認性を更に向上させることができる。
更に、遊技制御手段は、第1発光部を消灯するように発光制御するとともに、画像識別情報部を表示しないように画像表示手段を表示制御することにより、遊技者が所定の識別情報を認識し難い状態となる。このように、所定の識別情報を表示する場合と、表示しない場合と、の表示態様を変化することにより、所定の識別情報を表示した際のインパクトを高め、遊技者の所定の識別情報に対する関心を高めることができる。
遊技役物は、役物識別情報部外に設けられ、発光部の近似色で発光する第2発光部を有しており、遊技制御手段は、発光部が発光する際に第2発光部が発光するように遊技役物を発光制御するように構成されていてもよい。
発光部が発光する際に第2発光部が発光するように遊技役物を発光制御することにより、役物識別情報部内の発光部と役物識別情報部外の第2発光部とを近似色で発光して、役物識別情報部と周囲の遊技役物との一体感を高めることができる。例えば所定の識別情報を表示しない場合等に役物識別情報部を周囲の遊技役物との一体感を高めることにより、役物識別情報部を目立たなくして、遊技者が所定の識別情報を認識し難くすることができる。また、所定の識別情報を認識し難くすることにより、所定の識別情報を示した際に所定の識別情報をより目立たせることができる。なお、第2発光部は、役物識別情報部内に設けられた発光部と近似色であればよく、第1発光部と同色であってもよいし、非近似色であってもよい。
遊技制御手段は、発光部を発光するとともに第2発光部を発光するステップと、発光部を消灯するとともに第2発光部を消灯するステップと、画像識別情報を表示するとともに第1発光部を発光するステップと、を順次実行することが望ましい。
発光部を発光するとともに第2発光部を発光するステップを実行することにより、役物識別情報部と役物識別情報部外の遊技役物との一体感を高めて、所定の識別情報を目立たなくすることができる。次いで、発光部を消灯するとともに第2発光部を消灯するステップを実行することにより、役物識別情報部と役物識別情報外の遊技役物とを一体感を高めつつ遊技役物の輝度を低くして、所定の識別情報を遊技者が視認し難い状態とすることができる。
そして、画像識別情報部を表示するとともに第1発光部を発光するステップを実行することにより、画像識別情報部と役物識別情報部とが近似色で発光して、画像識別情報表示部と役物識別情報表示部の協働により一体感のある所定の識別情報を示すことができる。また、一旦低くなった輝度が高まるため、遊技者の注意を効果的に引きつけることができる。
このように、役物識別情報部と遊技役物とを近似色で発光したり、役物識別情報部を画像識別情報部の近似色で発光したりすることにより、所定の識別情報の一部として役物識別情報部を目立たせたり、所定の識別情報の一部として役物識別情報部を用いずに他の演出効果を発揮するように用いたりすることができ、演出のバリエーションを増やすことができる。
本発明の更なる目的又はその他の特徴は、以下添付図面を参照して説明される好ましい実施の形態によって明らかにされるであろう。
本発明に係る遊技機によれば、画像識別情報部と役物識別情報部とが協働することによって所定の識別情報を構成することができる。遊技役物のみによって所定の識別情報を示す構成と比べて所定の識別情報の配置面積を容易に拡大することでき、識別情報の視認性を高めるとともに遊技者の関心を高めることができる。また、役物識別情報部における画像表示手段側に位置する側を画像表示手段と近くなるように配置することにより、画像識別情報部と役物識別情報部の一体感を高め、識別情報の視認性を更に向上させることができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る遊技機としてのパチンコ機2の正面図である。このパチンコ機2は、遊技機枠3、遊技盤ユニット5、前面ガラス(前面透明板)10、発射ユニット(不図示)、貯留皿14を有している。発射ユニットは、1個ずつ球23を遊技盤ユニット5に構成される遊技領域16に向けて発射可能である。
パチンコ機2は、遊技者が後述する発射ハンドル15を操作することによって、遊技領域16に向けて球が発射ユニットによって発射され、球の流下による遊技が実現される。なお、遊技機は、パチンコ機2の他にパチンコ式スロットマシン機、コインゲーム機等のアーケードマシン、各種ゲーム機を概念することができ、要するに、遊技媒体の流下による遊技を実現する遊技領域を有するあらゆる遊技機が含まれる。なお、パチンコ機においても、アレンジボール機、雀球機等の組合せ式パチンコ機、いわゆるデジパチタイプ(1種タイプ)やハネモノタイプ(2種タイプ)のパチンコ機等のあらゆるパチンコ機が概念できるが、本実施の形態においては、デジパチ遊技(1種遊技、図柄変動遊技ともいう。)を実現するいわゆる1種タイプのパチンコ機について例示説明する。なお、図柄変動遊技については後述する。
パチンコ機2の遊技機枠3は、後述する遊技盤ユニットを保持するためのもので、このパチンコ機2の周囲側面及び前方又はそれに加えて後方を囲むように構成される。遊技機枠3の内部側には、遊技盤ユニットの他にも後述する各種制御基板や遊技媒体用の経路等各種機構部品が配置され、遊技機枠3によって周囲側面及び前方又はそれに加えて後方からのパチンコ機2内部側への不正アクセスが防止されるようになっている。
パチンコ機2の周囲を囲む筐体枠4、その内側にヒンジ部22によって前方開閉可能に揺動支持されて遊技盤ユニットを保持する機枠9、機枠9の前方にヒンジ部22によって前方開閉可能に揺動支持され前面ガラス10及びその周囲を装飾する装飾部材32を保持する装飾枠12、を有して遊技機枠3が構成される。なお、前面ガラス10は、遊技機枠3内部側に保持された遊技盤(遊技装置体)6を前方から遊技者が視認することができるようにするための透明部材である。
前面ガラス10は、遊技盤6に対して一定距離以上離間して配置された透明板である。前面ガラス10は透明平板ガラスで形成されて装飾枠12の裏面側に保持され、遊技盤6との間に球23が流下する流下空間を形成する機能、遊技者が前面ガラス10を通して遊技盤6を視認できるように視認性を確保する機能、遊技者が遊技盤6に不正にアクセス(接触)できないように不正アクセスを防止する機能、を発揮する。
貯留皿14は、遊技者の持ち球を貯留するためにパチンコ機2の前面に配置された皿部材であって、本実施の形態においては上皿14aと下皿14bとを有している。上皿14aは、球排出ボタン14cを有して遊技盤6の下方、すなわち装飾枠12の下方部分に配置され、下皿14bは、その上皿14aの更に下方に配置されている。
発射ユニットは、球供給装置(不図示)によって貯留皿14の一部としての上皿14aから発射位置に送り出された球23を遊技領域16の上部に向けて発射(弾球)するためのものである。発射ユニットは、例えば発射位置の球23を弾球する発射杆、その発射杆を駆動する発射モータ、発射杆を付勢して弾球力を発生させる発射バネ等を有してユニット構成され、機枠9に取り付けられている。その発射ユニットによる球発射のため、遊技者の操作に基づいて球発射のオンオフ及びその発射強度調整を実現する発射ハンドル15がパチンコ機2の前面下方に設けられている。
遊技盤ユニットは、遊技盤面6a側の略中央に遊技役物としてのセンター役物7が配置された遊技盤6を有しており、その遊技盤面6aには多数のゲージ(遊技釘)27も配置されている。センター役物7の中央部には、画像表示手段としての演出表示装置7aが配置されるとともに、この演出表示装置7aの表示画面7bを露出させるための表示開口部7dが形成されている。センター役物7と演出表示装置7aとによって所定の識別情報を示すことができるように構成されており、その詳細については後述する。
遊技盤6は、その表面側に球23の流下による遊技を実現するための遊技領域16を構成するための盤状部材であり、遊技盤6を前方から遊技者にとって視認可能となるように遊技機枠3(本実施の形態においては、遊技機枠3の一部としての機枠9。)に保持されている。その遊技盤6の表面には略円形状に周囲を囲むようにレール飾り26が取り付けられており、レール飾り26の内側面26aが遊技盤に対して立設するように配置されている。そして、レール飾り26の内側面26aによって画定され、内側面26aに面した略円形状の領域が遊技領域16となっている。
ゲージ27は、遊技領域16を流下する球23と衝突してその流下方向を変更させる流下変更部材であり、多数が遊技領域16内に配置されている。また、遊技領域16には、普通入賞口28、始動入賞口29、中央大入賞口31等の入球部材及びアウト口30が配置されている。更に、遊技領域16には、通過ゲート33、風車34等が配置されており、流下する球23が各入球部材に流入したり、通過ゲート33を通過したり、風車34を回転させたりすることによって、球23による流下遊技を楽しむことができるようになっている。
センター役物7は、演出表示装置7aの周囲を覆うように構成されており、図柄変動遊技(1種遊技)を実現するものである。センター役物7の上部には、図柄表示手段としての第1図柄表示装置17が配置されるとともに、センター役物7の中央部には、演出表示装置7aが配置されている。
第1図柄表示装置17には、抽選手段の抽選結果である第1図柄17aの変動が表示される。第1図柄17aは、始動入賞口29への球23の入球を契機として実行される第1抽選の結果に対応した図柄である。第1図柄17aの変動表示が所定の当選態様で停止することにより第1特別遊技としての大当りが発生する。
演出表示装置7aは、例えば、液晶表示装置・有機ELディスプレイ・LED等により構成されて遊技者が遊技盤面6a側から視認可能となるように配置され、その表示画面7b上に映像表示を行うものである。この演出表示装置7aの表示画面7bには、第1図柄17aに連動する第1装飾図柄7c及び画像識別情報部としての画像文字7eを含む演出表示がなされる。第1装飾図柄7cは、第1抽選手段の抽選結果を視覚的に演出するための図柄であり、第1の遊技に対応する。また、例えば、キャラクター等によるストーリー仕立ての映像としての演出映像も表示画面7b上に表示されるようになっている。画像文字7eは、後述する役物識別情報部40と協働して所定の識別情報を構成する文字である。演出表示装置7aには、遊技制御手段としての演出制御基板120が中継基板を介して電気的に接続されており、演出制御基板120によって画像表示が制御される。
遊技盤6の裏面側には、パチンコ機2の全体の制御を行う遊技制御手段としての主制御基板100を収容した主制御基板ケース35と、演出表示装置7aの画像表示等演出の制御及びセンター役物7の発光制御を行う演出制御基板120を収容した演出制御基板ケース36と、景品球の払出しを制御する払出制御基板(図示せず)を収容した払出制御基板ケース37と、電源基板(図示せず)を収容した電源基板ケース38と、が配置されている。この各制御基板ケースに収容された各制御基板によって遊技が実現される。更に、遊技盤6の裏面側には、パチンコ機2の遊技状態等の遊技情報を外部に出力するための外部出力端子板39が設けられている。
次いで、図3から図6に基づいて、所定の識別情報の構成について詳細に説明する。図3は、遊技機枠3から取り外したセンター役物7の正面図であり、図4は、図3に示すA−A断面図である。図5は、センター役物7の役物識別情報部40としての第1文字役物41を右前方から視認した分解図であり、図6は、第1文字役物41の分解図である。図6(a)は、後方から見た分解図であり、(b)は、左側方から見た分解図である。なお、図6においては、説明のために第1文字役物41以外の部品を省略している。
センター役物7は、中央に表示開口部7dが形成されており、表示開口部7dの右上方と左下方とに役物識別情報部40としての第1文字役物41と第2文字役物42が設けられている。本実施の形態では、第1文字役物41について詳細に説明する。第1文字役物41は、前方に配置された前レンズ部41aと、前レンズ部41aの側面を覆うように配置された壁部41bと、前レンズ部41aの後方に配置された後レンズ部41cと、後レンズ部41cの後方に配置され、発光部としてのLED41dが設けられたLED基板41eと、LED基板41eと後レンズ部41cとの間に配置された囲い部41fと、を有する。
前レンズ部41aは、識別表示を構成する第1文字が表面に設けられており、この表面は前後方向において傾斜している。第1文字役物41の後方には、演出表示装置7aが設けされている。演出表示装置7aのうち遊技者が視認可能な部分(表示開口部7dの内側部分)は、第1文字役物41の左下方に位置している。この左下方側を第1文字役物41の演出表示装置7aに近い側として、前レンズ部41aの表面は左下方側が後方となるように傾斜している。前レンズ部41aの表面が傾斜していることにより、表示画面7bに表示された画像文字7eと第1文字との一体感が高まり、識別情報全体があたかも連なっているかのように構成することができる。また、画像文字7eと第1文字とが奥行方向にずれているため、迫力のある識別情報を示すことができる。
壁部41bは、遮光性を有し、前レンズ部41aの側方を覆うように設けられている。壁部41bは、LED41dの光が周囲に拡散することを抑制しつつ、前レンズ部41aに向けて光を導く。壁部41bの前端面41gは、第1文字役物41の輪郭となっている。
後レンズ部41cは、壁部41bの後端面に隣接して配置されており、LED41dの光を拡散しつつ前レンズ部41aに向けて光を放射する。前レンズ部41aとLED41dとの間に後レンズ部41cが設けられていることにより、各々点発光する複数のLED41dの光を効果的に拡散しつつ前方に導き、前レンズ部41aの表面全体を発光することができる。囲い部41fは、LED41dと後レンズ部41cとの間においてLED41dの光が周囲に拡散することを抑制するように前後方向に立設している。
LED41dは、画像文字7eと同色で発光する第1発光部としての赤色LEDと、周囲に配置されたセンター役物7の遊技部品7fと同色で発光する青色LEDと、を有する。第1文字役物41の周囲に配置された遊技部品7fには、第1発光部としての青色LED(図示せず)が設けられている。
次いで、パチンコ機2の遊技の流れについて説明する。図示しない球発射装置により球23が発射されると、球23はレール飾りの内周面に沿いつつ進行して遊技領域16内の上部に至る。その後、球23は、複数の通過軌跡に沿って移動し、遊技釘に衝突しつつ遊技領域16を下方に流下する。あるものは普通入賞口28に流入して一定数の景品球払出しの契機となり、あるものはいずれの入賞口にも流入せずに遊技領域内最下部に位置するアウト口30に流入してアウト球としてパチンコ機2の外部側へと排出される。
この始動入賞口29に球23が入球すると、第1図柄表示装置17において第1図柄17aが表示される。また、第1図柄17aの表示に伴って、演出表示装置7aの表示画面7bにおける画像演出表示がなされたり、センター役物7における発光演出がなされたりする。
第1図柄17a及び第1装飾図柄7cの表示は、変動開始から予め定められた所定時間を経過した後に停止する。第1図柄17a及び第1装飾図柄7cが所定の当選態様で停止すると、遊技者に有利な遊技状態である第1特別遊技に移行し、中央大入賞口31の開閉動作が開始される。そして、中央大入賞口31が開放して多量の入賞球を受け入れ、多量の景品球が貯留皿14へと払い出されるようになっている。
次いで、このパチンコ機2のシステム構成について詳細に説明する。図7は、パチンコ機2の機能ブロックを示した図である。パチンコ機2は、主制御基板100と演出制御基板120とを有する制御手段がパチンコ機2の動作制御、演出表示装置7a等の演出制御、センター役物7の発光制御、遊技の進行制御を行う。制御手段には、入賞口としての普通入賞口28、始動入賞口29、及び中央大入賞口31、表示装置としての第1図柄表示装置17及び演出表示装置7a、及びセンター役物7の役物識別表示部40に配置されたLED41d等の発光部等、各種部品が電気的に接続されている。
主制御基板100は、第1抽選手段101と、第1図柄決定手段103と、保留記憶手段104と、図柄表示制御手段105と、パターン記憶手段107と、入球判定手段108と、特別遊技制御手段109と、を備える。演出制御基板120は、演出決定手段121、演出制御手段122と、演出パターン記憶手段123と、を備える。なお、主制御基板100に含まれる各機能は、演出制御基板120に搭載されるように構成してもよいし、演出制御基板120に含まれる各機能は、主制御基板100に搭載されるように構成してもよい。
第1抽選手段101は、始動入賞口29への球23の入球を契機として、通常遊技より遊技者に有利な状態である第1特別遊技へ移行するか否かを判定するための第1乱数値を取得する。第1抽選手段101は、乱数値に基づいて第1特別遊技へ移行するか否かを判定する当否判定において参照する複数の当否判定テーブルを保持する。複数の当否判定テーブルには、当り又は外れという抽選結果と乱数値とが対応付けられており、当りと対応付けられた乱数値の範囲設定に応じて当否確率が定まる。第1抽選手段は、第1乱数値に基づいて抽選結果を取得する。取得した抽選結果は、保留記憶手段104において一時的に記憶される。
第1抽選手段101は、通常時には通常確率の当否判定テーブルを参照し、通常より当選確率が高い確率変動時には通常確率より当りの確率が高い当否判定テーブルを参照する。第1抽選手段101は、複数の当否判定テーブルのうちいずれかの当否判定テーブルを適宜選択して参照し、乱数値が当りであるか否かを判定する。
第1乱数値は、例えば、「0」から「65535」までの範囲の値から取得されるように構成できる。なお、乱数は、数学的に発生させる乱数でなくてもよく、ハードウエア乱数やソフトウエア乱数などにより発生させる疑似乱数でもよい。
保留記憶手段104は、第1抽選手段101の抽選結果を記憶する。保留記憶手段104における保留数は上限があり、抽選結果は、保留記憶手段104における保留数が所定の上限に達するまで記憶される。本実施の形態では、保留記憶手段104の保留数の上限を4とする。保留手段により保留された保留数は、ランプ等で表示して、遊技者が保留数を確認できるように構成されている。
第1抽選手段101の抽選結果である第1抽選結果は、第1図柄表示装置17において第1図柄17aとして表示される。また、第1図柄17aに連動して、演出表示装置7aの表示画面7bにおいて第1装飾図柄7cを含む演出表示がなされる。第1図柄決定手段103は、第1図柄表示装置17に表示する第1図柄17a、演出表示装置7aに表示する第1装飾図柄7c、及び各図柄の変動表示パターンを第1抽選手段101の抽選結果に応じて決定する。
パターン記憶手段107は、第1図柄17aの停止図柄パターンを決定するために参照すべき第1図柄パターンテーブルを備える。第1図柄パターンテーブルには、第1図柄17a、抽選結果、及び第1図柄の変動表示パターンが関連付けられた第1図柄パターンが複数記憶されている。
各第1図柄パターンは、図柄を変動表示させるときの変動開始から停止までの変動態様が定められている。変動態様は、図柄変動の態様と変動時間を含んでいる。変動時間は、図柄が変動を開始してから図柄が停止するまでの時間であり、図柄変動の終了条件として定められている。変動時間の経過時に図柄の変動が停止される。第1図柄パターン毎に変動時間は異なるように設定されている。
第1図柄決定手段103は、第1抽選手段101の抽選結果を取得し、第1図柄パターンテーブルを参照し、第1図柄17aの停止図柄を決定する。第1図柄決定手段103は、決定した停止図柄及び第1図柄パターンを示す情報を図柄表示制御手段105及び演出制御手段122に送る。
入球判定手段108は、各入賞口への球の入球を判定する。入球判定手段108は、始動入賞口29内に設けられた始動入賞口センサ29aの入球検出情報を受け取ると、始動入賞口29に球23が入賞したと判定する。入球判定手段108は、中央大入賞口31内に設けられた大入賞センサの入球検出情報を受け取ると、中央大入賞口31に入賞したと判定する。
図柄表示制御手段105は、第1抽選手段101による抽選結果を第1図柄決定手段103により決定された変動表示パターンに基づいて第1図柄表示装置17に第1図柄17aを変動表示させる。図柄表示制御手段105は、第1図柄17aの変動表示を開始するタイミングと停止するタイミングにおいて、変動開始コマンドと変動停止コマンドを演出制御手段122に送信する。このコマンドを送ることにより、図柄表示制御手段105及び演出制御手段122による変動表示が同期して、連動を保つことが可能となる。
特別遊技制御手段109は、第1抽選手段101による抽選結果が当りである場合に、中央大入賞口31を開放させることにより第1特別遊技を実行する。特別遊技は、中央大入賞口31の開閉動作を複数回数連続して継続する遊技であり、1回の開閉を単位とした1回又は複数回の単位遊技で構成される。単位遊技は例えば15回を上限として繰り返され、1回の単位遊技において中央大入賞口31を約30秒間開放させる。特別遊技制御手段109は、所定回数単位遊技を消化したときに特別遊技を終了させる。
演出決定手段121は、第1装飾図柄7cの停止図柄と装飾図柄変動表示パターンとを、第1図柄17aと第1図柄の変動表示パターンとに基づいて決定する。演出パターン記憶手段123は、装飾図柄変動表示パターンを決定するために参照すべき装飾図柄変動表示パターンテーブル123aと、識別情報の表示態様を決定するために参照すべき識別情報表示パターンテーブル123bと、を備える。装飾図柄変動表示パターンは、第1図柄17a及び第1図柄17aの図柄変動表示パターンと関連付けられている。
各装飾図柄変動表示パターンは、装飾図柄を変動表示させるときの変動開始から停止までの変動態様が定められた変動表示パターンである。変動態様は、図柄変動の態様、変動時間、及び演出表示の演出表示態様を含んでいる。演出決定手段121は、第1図柄決定手段103によって決定された図柄変動表示パターンに応じて、図柄変動表示パターンと等しい変動時間が設定された装飾図柄変動表示パターンを選択する。演出決定手段121は、決定した装飾図柄変動表示パターンの情報を演出制御手段122に送る。
演出決定手段121は、第1抽選手段101による第1乱数値が所定の値の場合等、所定の契機により、識別情報表示パターンテーブル123bから識別情報表示パターンを選択する。なお、識別情報表示パターンは、識別情報の表示時間や、識別情報の表示態様(点滅表示するか否か、いずれの色で表示するか等)パターンを含む。演出決定手段121は、決定した識別情報表示パターンの情報を演出制御手段122に送る。
演出制御手段122は、演出決定手段121によって決定された識別情報表示パターンに基づいて第1文字役物41のLED41d及び第2文字役物42の発光部(図示せず)を発光するとともに、演出表示装置7aの表示画面7bに画像文字7eを表示する。具体的な表示態様の一例について説明する。まず、演出制御手段122は、センター役物7の遊技部品7fに設けられた青色LEDと、第1文字役物41及び第2文字役物42の青色LEDと、を発光する。青色LEDを発光することにより、遊技部品7f、第1文字役物41及び第2文字役物42の一体感を高めつつ全体を発光して、遊技者が識別情報を認識し難い状態とすることができる。
次いで、演出制御手段122は、青色LEDを消灯するとともに、演出表示装置7aの表示画面7bを暗転する。青色LEDの消灯及び表示画面7bの暗転を行うことにより、センター役物7と表示画面7bの全体の輝度を低下させ、遊技者の注意を引くことができる。そして、演出制御手段122は、第1文字役物41及び第2文字役物42の赤色LEDを発光するとともに、表示画面7bに画像文字7eを表示する。図3に示すように、画像文字7eは左上方から右下方に並んでおり、第1文字役物41及び第2文字役物42と協働して、遊技者が認識可能な識別情報となる。
このように構成された識別情報は、第1文字役物41及び第2文字役物42が前後方向において斜めに配置されており、その後方に画像文字7eが配置されているため、立体的で迫力のある表示となる。また、一旦暗転した後に識別情報を示すため、遊技者は突然文字が浮かび上がったような感覚を受け、遊技者にとってインパクトのある演出を実現することができる。
このように、本実施の形態に係るパチンコ機2によれば、遊技状態に応じてインパクトのある態様で識別情報を示すことができる。また、識別情報を示さない場合には、役物識別情報部40と周囲の遊技部品7fとを同色で発光することにより、役物識別情報部40を目立たなくすることができ、識別情報を示した際のインパクトを高めることができる。
なお、実施の形態では、図柄変動表示パターン等に応じて識別情報表示パターンを決定するように構成しているが、この構成に限らず、第1抽選手段101が参照する当否判定テーブルの別(確率変動時であるか通常確率時であるか)や、識別情報を表示する際の保留球数(保留がない状態か上限数保留している状態であるか、保留した抽選結果に基づく先読み演出を行うか否か等)や、第1図柄17a及び/又は第1装飾図柄7cに基づいて識別情報表示パターンを決定するように構成してもよい。
以上、本発明の好ましい実施の形態を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、その要旨の範囲内で様々な変形や変更が可能である。