JP2010171206A5 - - Google Patents
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Description
本発明は、基板を真空状態で加熱する加熱処理装置に関する。
液晶ディスプレイ等の各種装置を製造する際には、例えば、基板の脱気処理等、真空下で基板を加熱処理する工程が必要となる。近年の各種装置の大型化に伴って、処理する基板の大型化が進んでいる。例えば、液晶ディスプレイの場合、11世代(3000mm×3320mm)サイズのガラス基板が用いられるようになってきている。このため、基板を加熱処理する加熱処理装置の真空チャンバも大型化する必要がある。
ここで、真空チャンバは、例えば、アルミニウムブロックの削り出しによって形成される。しかしながら、大型の基板に対応した真空チャンバをアルミニウムブロックによって形成すると、専用の大型切削加工装置が必要になる等、真空チャンバ自体の制作費が高くなる。
このような製造コストの高騰を抑えるべく、例えば、分割された複数個の構成部材が溶接により接合された枠状の側壁部と、この側壁部に対してボルトにより固定される底板および蓋板から構成される真空チャンバが知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、大気状態と低圧状態とを繰り返して行うための加熱処理装置に、特許文献1のように構成部材が溶接によって接合された構造の真空チャンバを採用した場合、溶接部分からリークが発生し易いという問題がある。
また、枠状の側壁部のみを複数に分割したとしても、底板および蓋板を処理装置の設置場所まで輸送するためには、大型のトレーラなどの輸送手段が必要になって不便であり、また、そのサイズや重量によっては法令等の制限を受けて輸送できないという問題がある。
ところで、基板の脱気処理等を行う加熱処理装置では、多数枚の大型基板を同時に処理するために、一つの処理空間を有する各真空チャンバを積み上げて固定して、多段の処理空間を有するように構成した真空チャンバを用いることがある。この場合、各真空チャンバの壁部は、真空状態にした処理空間内と外部との圧力差によるゆがみが生じない程度に厚く形成する必要があるため、真空チャンバの高さが高くなってしまう。このため、多段の真空チャンバは設置場所が限定され、また作製材料が多くなるという問題もある。
さらに加熱処理装置においては、例えば、真空チャンバ内に設けられたホットプレート等の加熱手段上に基板を載置して加熱している。このような真空チャンバ内への基板の搬送は、一般的に、ロボットハンド等によって行われるが、このために、例えば、基板を昇降させる昇降機構等の特殊な機構が必要となり、コストが増加してしまうという問題がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、低コストで製造することができ、高効率に基板を良好に加熱処理することができる加熱処理装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明は、基板を挿入可能に形成された貫通穴を有するブロック状の複数のチャンバ部材からなり、隣接するチャンバ部材の少なくとも一方に、他方との当接面の前記貫通穴の開口部の周囲に亘って連続して溝部が設けられ、各チャンバ部材が、前記溝部に装着されたシール部材を介してそれぞれ密接した状態で固定されて、複数の貫通穴で構成される処理空間を有するチャンバ本体と、前記処理空間の一方の開口を密封する壁面部材と、前記処理空間の他方の開口を開閉可能に塞ぐ蓋部材とを具備する真空チャンバと、前記処理空間内に配されて前記基板を支持する支持部材と、該支持部材に支持された前記基板に相対向して設けられて当該基板を放射熱によって加熱する加熱手段と、を有することを特徴とする加熱処理装置にある。
かかる本発明では、真空チャンバを構成するチャンバ部材がコンパクト化されるため、搬送や設置が容易となる。また、支持部材に支持された基板が加熱手段の放射熱によって加熱されるため、基板の搬送が容易となり、加熱処理のスループットが向上する。
ここで、前記チャンバ部材のそれぞれには、その高さ方向に沿って前記貫通穴が所定間隔で複数設けられていることが好ましい。これにより、真空チャンバがよりコンパクト化されるため、作製材料が少なくて済み、コストの削減を図ることができる。
また前記加熱手段の表面に放射効率を高める材料を含む被覆膜が形成されているか、或いは前記加熱手段上に放射効率を高める材料で形成された被覆板が設けられていることが好ましい。これにより、加熱手段の放射熱による基板の加熱効果が高まり、基板を良好に加熱することができる。
さらに前記加熱手段が、加熱源としてのシースヒータを有することが好ましい。これにより、加熱手段の放射熱によって基板をより良好に加熱することができる。
前記支持部材は、例えば、前記チャンバ部材に棒状のベース部材と該ベース部材上に立設された複数の基板支持ピンとで構成されている。このような構成とすることで、処理空間内で基板を良好に支持することができる。
また支持部材がベース部材と基板支持ピンとで構成されている場合、前記ベース部材が、その軸方向の複数箇所に屈曲可能なヒンジ部を有するようにしてもよい。これにより、支持部材の取扱いが容易になり、メンテナンス作業等における安全性や作業性が向上する。
以上説明したように、本発明の加熱処理装置は、比較的低コストで製造することができる。また、加熱処理のスループット、つまり処理効率を向上しつつ基板を良好に加熱処理することができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、一実施形態に係る加熱処理装置の断面図である。図2は、チャンバ本体の構成を示す模式的斜視図であり、図3は、チャンバ部材の構成を示す模式図であり、図4は、処理空間の内部を示す模式図である。
図1に示すように、加熱処理装置10は、基板Sを加熱処理するための処理空間Aを有する真空チャンバ20と、処理空間A内で基板Sを支持する支持部材30と、基板Sを加熱する加熱手段40とを具備する。この加熱処理装置10は、例えば、基板Sを加熱処理することにより脱気処理を行う際に用いられる。
真空チャンバ20は、処理空間Aが形成されたチャンバ本体21と、処理空間Aの開口を塞ぐ壁面部材22及び蓋部材23とで構成されている。
チャンバ本体21は、基板Sを挿入可能に形成された貫通穴24を有するブロック状(略直方体状)の複数のチャンバ部材25で構成されている。貫通穴24は、チャンバ本体21の相対向する一対の壁面にそれぞれ開口する。これらのチャンバ部材25は、貫通穴24が開口する壁面同士をそれぞれ密接した状態で固定されている。そして、各チャンバ部材25に形成された貫通穴24がそれぞれ連通され、これら複数の貫通穴24で処理空間Aが画成されている。
各チャンバ部材25のそれぞれには、複数(本実施形態では、5つ)の貫通穴24がチャンバ部材25の高さ方向(図中上下方向)に沿って所定間隔で複数設けられている。つまりチャンバ本体21は、処理空間Aを多段に有する。
図2に示す例では、貫通穴24が形成されたチャンバ部材25を横に6個ずつ並べてそれぞれ固定することで6つの貫通穴24で構成される処理空間Aが5段に形成されている。そして、このように処理空間Aが5段に形成された各チャンバ部材25を縦に2個積み重ねることで10段の処理空間Aを有するチャンバ本体21が形成されている。すなわち、本実施形態に係るチャンバ本体21は、全部で12個のチャンバ部材25からなる。なお積み重ねられた各チャンバ部材25同士は、必ずしも固定されている必要はないが、ずれ防止のためにボルト等で固定されていることが好ましい。
このような真空チャンバ20を構成する各チャンバ本体21は、例えば、横×奥行き(基板搬送方向)×高さが3200mm×3600mm×2200mm程度であるのに対し、各チャンバ部材25は、例えば、横×奥行き×高さが3200mm×600mm×2200mm程度と極めてコンパクトであり重量も比較的軽くなる。したがって、大型で特殊な輸送手段を用いることなくチャンバ本体21(チャンバ部材25)を比較的容易に輸送することができる。つまり、所定数のチャンバ部材25を加熱処理装置10の設置場所まで輸送し、そこで組み立てることで任意の大型のチャンバ本体21を作製することができる。
なおチャンバ部材25の製造方法は、特に限定されないが、チャンバ部材25は、例えば、アルミニウムやステンレス等の金属ブロックを削り出すことで製造される。
壁面部材22は、チャンバ本体21の処理空間Aが開口する一方の壁面21aに固定され、蓋部材23は、チャンバ本体21の処理空間Aが開口する他方の壁面21bに開閉可能に固定されている。本実施形態では、これら壁面部材22及び蓋部材23は、各処理空間Aに対応してそれぞれ設けられている。
さらに、これら各壁面部材22及び蓋部材23とチャンバ本体21(チャンバ部材25)との間、並びに各チャンバ部材25の間には、Oリング等のシール部材26が設けられている。具体的には、図3に示すように、各チャンバ部材25の貫通穴24が開口する少なくとも一方の壁面には、貫通穴24の周囲に亘って連続する溝部27が設けられており、この溝部27にシール部材26が装着されている。これにより、壁面部材22及び蓋部材23とチャンバ本体21(チャンバ部材25)との間、並びに各チャンバ部材25の間が確実に密封される。
上述のように真空チャンバ20を構成するチャンバ本体21、壁面部材22及び蓋部材23は、処理空間Aを密封可能にそれぞれ固定されている。すなわち、処理空間Aを画成する各部材は、溶接により固定されるのではなく、シール部材26を挟んでねじ等の締結部材によって固定されることで、処理空間Aを密封可能に構成されている。これにより、処理空間A内を大気状態と真空状態とに繰り返し変化させたとしても、処理空間Aを画成する各部材間でのリークの発生が抑えられる。
またチャンバ部材25は、処理空間Aの内部を所望の圧力(例えば1Pa)とした場合に周囲の壁部の歪みを抑制するために、各壁部の厚さを所定の厚さ以上に設定する必要がある。ただし、各処理空間Aの圧力が略一定であれば、各貫通穴24間の隔壁部28にはほとんど撓みが生じることはないため、隔壁部28の厚さは、最上部の貫通穴24の天井壁部及び最下部の貫通穴24の底壁部の厚さよりも薄くすることができる。これにより、チャンバ部材25をよりコンパクトに形成することができるため、搬送や設置がさらに容易になる。また、作製材料が少なくて済み、コストの削減を図ることもできる。
以下、このような真空チャンバ20の処理空間A内に設置される支持部材30及び加熱手段40について詳細に説明する。
加熱手段40は、例えば、加熱源としてのシースヒータを有し、放射熱によって基板を、例えば120〜150℃程度に加熱するものである。本実施形態では、図4に示すように、加熱手段40は、ブロック状のチャンバ部材25毎に並設されてそれぞれ固定されている。すなわち、加熱手段40は、各チャンバ部材25の貫通穴24内にそれぞれ設置されている。
加熱手段40の表面には、表面処理として、放射効率を高める材料、例えば、金属材料等を含む被覆膜41が形成されている。これにより、加熱手段40の放射効率が高められるため、加熱手段40の放射熱によって基板Sを効率的に加熱することができる。被覆膜41は、例えば、加熱手段40の表面に材料を溶射することによって形成される。被覆膜41に用いる材料としては、金属材料、例えば、チタン又はクロム、或いはこれらを含む合金やこれらの酸化物等が好適に用いられる。勿論、被覆膜41に用いる材料は、放射効率を高めることができるものであれば特に限定されない。ただし、真空加熱処理室の観点からして、放出ガスの少ない材料を用いるのが望ましい。
なお、上述した材料からなる被覆膜41を形成したアルミ無垢板からなる試料に熱電対を設けて20mm離れた位置で放射温度計により、ヒーターの温度を測定し熱電対の温度と比較して放射効率を調べたところ、酸化チタンを溶射した場合の放射効率は0.89であり、酸化クロム膜を形成した場合の放射効率は0.9であった。なお、同様にして測定したアルミ無垢板の放射効率は0.3であったことから、これらの表面処理としての被覆膜41の形成を行うことにより、放射効率が高まることが分かった。
また本実施形態では、加熱手段40の表面に被覆膜41を形成して放射効率を高めるようにしたが、例えば、被覆膜41の代わりに、加熱手段40とは別部材である金属材料からなる被覆板を、加熱手段40の表面に接触させた状態に設けるようにしてもよい。被覆板を形成する金属材料としては、被覆膜と同様の材料を用いればよい。このような構成としても、加熱手段40の放射効率を高めることができる。
支持部材30は、加熱手段40から所定距離だけ離れた位置で基板Sを支持する。本実施形態では、支持部材30は、加熱手段40上に配されており、基板Sの搬送方向に沿って設けられた棒状の複数のベース部材31(図4中では例として8本)と、ベース部材31に所定の間隔で立設された複数の基板支持ピン32とからなる。そして、支持部材30は、これら複数の基板支持ピン32の先端で基板Sを支持する。
ここで、基板Sは、例えば、ロボットハンドによって処理空間A内に搬送される。このとき、基板Sはロボットハンドによって蓋部材23側から処理空間A内に挿入されて、基板支持ピン32上に載置される。その後、ロボットハンドはこの基板Sと加熱手段40との隙間を移動して蓋部材23側から外部に引き抜かれる。
本発明の加熱処理装置10では、このようにロボットハンドによって支持部材30の基板支持ピン32上に基板Sを載置すると、その状態で基板Sを加熱手段40の放射熱によって加熱処理することができる。例えば、加熱手段としてホットプレート等を採用している従来の加熱処理装置では、基板支持ピン上に基板を載置した後、さらに加熱手段に接触させるために基板を移動させる必要があるが、本発明の加熱処理装置では、このような基板の移動が必要なくスループットが向上する。
また、基板を移動して加熱手段に接触させるためには、例えば、基板支持ピンを昇降可能とさせるための機構等を設ける必要があるが、本発明の加熱処理装置にはこのような機構は必要ないため、加熱処理装置を比較的安価に製造することもできる。
以上本発明にかかる加熱処理装置の一例について説明したが、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
例えば、上述の実施形態では、1本の棒状のベース部材31上に基板支持ピン32が立設された支持部材30を例示したが、支持部材30の構成は、これに限定されるものではない。例えば、図5(a)に示すように、支持部材30は、複数の分割ベース部材33と、各分割ベース部材33を接続するヒンジ部34と、各分割ベース部材33上に所定の間隔を空けて立設された基板支持ピン32とで構成されていてもよい。ヒンジ部34は軸35を中心にして屈曲可能であるように構成されている。また隣接するヒンジ部34は、図5(b)に示すように、それぞれ逆方向に折れ曲がるように配されていることが好ましい。これにより、各ヒンジ部34の軸35を中心として支持部材30を折りたたむことができるため、取扱いが容易となる。例えば、装置のメンテナンス時に支持部材30を処理空間Aから取り外す場合には、長い支持部材30を折りたたんで短くしながら取り出すことが可能であるので、取り扱いが容易となる。
また本実施形態では、チャンバ本体21を構成する各チャンバ部材25に複数(5つ)の貫通穴24を形成した例を説明したが、チャンバ本体21の構成は、これに限定されるものではない。例えば、図6に示すように、チャンバ本体21Aは、1つの貫通穴24が形成されたチャンバ部材25Aが所定数だけ積み上げられたものであってもよい。
さらに本実施形態では加熱手段をチャンバ部材25に合わせて一つの処理空間Aに対して6つ設けたが、処理空間Aの大きさに合わせた大型の加熱手段を設けてもよい。また本実施形態では、処理空間A内に支持部材30と加熱手段40とを別々に設けるようにしたが、これらは一体的に設けられていてもよい。具体的には、例えば、加熱手段40上に基板支持ピン32が直接設けられていてもよい。
また本実施形態では、各チャンバ部材25の貫通穴24が開口する少なくとも一方の壁面に貫通穴24の周囲に亘って連続する溝部27を設けたが、このような溝部27は、隣接する各チャンバ部材25の壁面にそれぞれ設けられていてもよい。
10 加熱処理装置
20 真空チャンバ
21 チャンバ本体
22 壁面部材
23 蓋部材
24 貫通穴
25 チャンバ部材
26 シール部材
27 溝部
28 隔壁部
30 支持部材
31 ベース部材
32 基板支持ピン
33 分割ベース部材
34 ヒンジ部
35 軸
40 加熱手段
41 被覆膜
A 処理空間
S 基板
20 真空チャンバ
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22 壁面部材
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