JP2010171204A - 有機電界発光素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】外部量子効率を低下させることなく低電圧化が可能な有機電界発光素子の提供。
【解決手段】陽極及び陰極の間に、第一の電子輸送層、第二の電子輸送層、及び前記第一の電子輸送層と前記第二の電子輸送層の間に中間層を含む有機層を有してなり、前記中間層が、金属非含有錯体を含有する有機電界発光素子である。該中間層の厚みが、0.5nm〜20nmである態様などが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、有機電界発光素子(以下、「有機エレクトロルミネッセント素子」、「有機EL素子」と称することもある)に関する。
有機EL素子は、自発光、高速応答などの特長を持ち、フラットパネルディスプレイへの適用が期待されており、特に、正孔輸送性の有機薄膜(正孔輸送層)と電子輸送性の有機薄膜(電子輸送層)とを積層した2層型(積層型)のものが報告されて以来、10V以下の低電圧で発光する大面積発光素子として関心を集めている。積層型の有機EL素子は、正極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/負極、を基本構成とし、このうち発光層は、前記2層型の場合のように前記正孔輸送層又は前記電子輸送層にその機能を兼ねさせてもよい。
このような有機EL素子において、金属でドーピングした有機層を用いると低駆動電圧を実現することができる。例えば、特許文献1には、対向する陽極電極と陰極電極の間に、有機化合物から構成される少なくとも一層の発光層を有してなり、前記陰極電極との界面に、ドナー(電子供与性)ドーパントとして機能する金属でドーピングした有機化合物層を有する有機エレクトロルミネッセント素子が提案されている。しかし、金属をドーピングした電子輸送層を、金属錯体を含む層に隣接させると、金属と金属錯体とが反応して、駆動電圧が高くなり、効率が低下してしまうという問題がある。
このため、特許文献2では、少なくとも陽極層、発光域、電子注入域及び陰極層を順次に積層した構造を有してなり、前記電子注入域に、窒素原子を含まない芳香族環化合物と、還元性ドーパントとを含有し、かつ該電子注入域の電子親和力を1.8〜3.6eVの範囲内の値とする有機EL素子が提案されている。
この提案では、金属と金属錯体との反応による性能低下を防止するため、窒素非含有芳香族環を用いているが、十分満足できる素子性能は得られていないのが現状である。
特開平10−270171号公報 特開平11−354283号公報
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、外部量子効率を低下させることなく低電圧化が可能な有機電界発光素子を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、第一の電子輸送層と第二の電子輸送層の間に中間層を挿入することにより、第二の電子輸送層の金属ドーパントと第一の電子輸送層の金属錯体間の相互作用や置換反応を抑制することができ、電子の流れがスムーズになり、外部量子効率を低下させることなく低電圧化が可能となることを知見した。
本発明は、本発明者による前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては以下の通りである。即ち、
<1> 陽極及び陰極の間に、第一の電子輸送層、第二の電子輸送層、及び前記第一の電子輸送層と前記第二の電子輸送層の間に中間層を含む有機層を有してなり、
前記中間層が、金属非含有錯体を含有することを特徴とする有機電界発光素子である。
<2> 第二の電子輸送層が、アルカリ金属及びその塩、並びにアルカリ土類金属及びその塩から選択される少なくとも1種を含有する前記<1>に記載の有機電界発光素子である。
<3> 中間層の厚みが、0.5nm〜20nmである前記<1>から<2>のいずれかに記載の有機電界発光素子である。
<4> 中間層における金属非含有錯体が、下記一般式(1)で表される前記<1>から<3>のいずれかに記載の有機電界発光素子である。
ただし、前記一般式(1)中、Rは、水素原子及び置換基のいずれかを表し、縮合環のどの炭素原子に置換してもよい。nは、0〜8の整数を表し、nが2以上の場合、複数のRは、互いに同一であってもよいし異なっていてもよく、また、隣接する複数のR基同士で結合して、炭素環式脂肪族環、炭素環式芳香族環、又は芳香族複素環を形成していてもよい。
<5> 第一の電子輸送層が金属錯体を含有し、該金属錯体が下記一般式(2)及び下記一般式(3)のいずれかである前記<1>から<4>のいずれかに記載の有機電界発光素子である。
ただし、前記一般式(2)及び(3)中、Rは、水素原子及び置換基のいずれかを表す。nは、0〜6の整数を表し、nが2以上の場合、複数のRは、互いに同一であってもよいし異なっていてもよく、また、隣接する複数のR基同士で結合して、炭素環式脂肪族環、炭素環式芳香族環、又は芳香族複素環を形成していてもよい。n及びnは、いずれも1〜3の整数を表す。Mは、12族〜14族の金属を表す。Lは、配位子を表す。
<6> 有機層が、陽極側から、発光層、第一の電子輸送層、中間層、及び第二の電子輸送層をこの順に有する前記<1>から<5>のいずれかに記載の有機電界発光素子である。
本発明によると、従来における問題を解決することができ、外部量子効率を低下させることなく低電圧化が可能な有機電界発光素子を提供することができる。
図1は、本発明の有機電界発光素子の層構成の一例を示す概略図である。
(有機電界発光素子)
本発明の有機電界発光素子は、陽極及び陰極の間に、第一の電子輸送層、第二の電子輸送層、及び前記第一の電子輸送層と前記第二の電子輸送層の間に中間層を含む有機層を有し、目的に応じてその他の層を有していてもよい。
前記第一の電子輸送層は、正孔ブロック層(HBL)と称することもあり、前記第二の電子輸送層は、電子輸送層(ETL)と称することもある。
前記有機層は、第一の電子輸送層、第二の電子輸送層、中間層、発光層を有し、更に必要に応じて、正孔輸送層、電子ブロック層、正孔注入層、などを有していてもよい。
<中間層>
前記中間層は、前記第一の電子輸送層と前記第二の電子輸送層の間に設けられ、第二の電子輸送層の金属ドーパントと第一の電子輸送層の金属錯体間の相互作用や置換反応を抑制する機能を有する層である。
前記中間層は、金属非含有錯体を含有する。
前記金属非含有錯体としては、金属を含まない錯体であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、下記一般式(1)で表される錯体が好適である。
ただし、前記一般式(1)中、Rは、水素原子及び置換基のいずれかを表し、縮合環のどの炭素原子に置換してもよい。nは、0〜8の整数を表し、nが2以上の場合、複数のRは、互いに同一であってもよいし異なっていてもよく、また、隣接する複数のR基同士で結合して、炭素環式脂肪族環、炭素環式芳香族環、又は芳香族複素環を形成していてもよい。
前記置換基としては、例えば、ハロゲン原子、又は、アルキル基、アルキルスルホニル基、アラルキル基、アルケニル基、水酸基、シアノ基、アミノ基、アミド基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシル基、アルコキシカルボニル基、アリール基、アリールオキシ基、芳香族炭化水素基若しくは芳香族複素環基などが好適に挙げられ、これらは更に置換基で置換されていてもよい。
前記一般式(1)で表される金属非含有錯体の具体例として、以下の化合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。

前記中間層は、公知の方法に従って形成することができるが、例えば、蒸着法、湿式製膜法、MBE(分子線エピタキシー)法、クラスターイオンビーム法、分子積層法、LB法、印刷法、転写法、などにより好適に形成することができる。
前記中間層の厚みは、0.5nm〜20nmであることが好ましく、1nm〜5nmがより好ましい。前記厚みが、0.5nm未満であると、中間層を設けることによる効果が得られなくなることがあり、20nmを超えると、低電圧化の効果が得られなくなることがある。
前記第一の電子輸送層と前記第二の電子輸送層の間に中間層が存在していることは、例えばTOF−SIMS(飛行時間型二次イオン質量分析法)やESCA(X線光電子分光分析法)などの解析手段と、斜め切削法やArイオン又はフラーレンイオンを用いた掘削技術などのサンプル加工技術を組み合わせることにより分析することができる。
<第一の電子輸送層(正孔ブロック層)>
前記第一の電子輸送層は、陽極側から発光層に輸送された正孔が陰極側に通り抜けることを防止する機能を有する層である。
前記第一の電子輸送層は、金属錯体を含有する。
前記金属錯体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、下記一般式(2)及び下記一般式(3)のいずれかが好適である。
ただし、前記一般式(2)及び(3)中、Rは、水素原子及び置換基のいずれかを表す。nは、0〜6の整数を表し、nが2以上の場合、複数のRは、互いに同一であってもよいし異なっていてもよく、また、隣接する複数のR基同士で結合して、炭素環式脂肪族環、炭素環式芳香族環、又は芳香族複素環を形成していてもよい。
前記置換基としては、例えば、ハロゲン原子、又は、アルキル基、アルキルスルホニル基、アラルキル基、アルケニル基、水酸基、シアノ基、アミノ基、アミド基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシル基、アルコキシカルボニル基、アリール基、アリールオキシ基、芳香族炭化水素基若しくは芳香族複素環基などが好適に挙げられ、これらは更に置換基で置換されていてもよい。
及びnは、いずれも1〜3の整数を表す。
Mは、12族〜14族の金属を表し、Al、Zn、Ga、Ge、Siなどが挙げられる。
Lは、配位子を表し、例えば1,1'-Biphenyl-4-olato、1,1'-Biphenyl-4’-fluoro-4-olato、1,1'-Biphenyl-4’-chloro-4-olato、triphenylsilanolateなどが挙げられる。
前記一般式(2)又は(3)で表される金属錯体の具体例として、以下の化合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
前記第一の電子輸送層は、公知の方法に従って形成することができるが、例えば、蒸着法、湿式製膜法、MBE(分子線エピタキシー)法、クラスターイオンビーム法、分子積層法、LB法、印刷法、転写法、などにより好適に形成することができる。
前記第一の電子輸送層の厚みは、1nm〜50nmであることが好ましく、5nm〜20nmがより好ましい。
<第二の電子輸送層(電子輸送層)>
前記第二の電子輸送層は、陰極から電子を受け取り陽極側に輸送する機能を有する層である。
前記第二の電子輸送層は、アルカリ金属及びその塩、並びにアルカリ土類金属及びその塩から選択される少なくとも1種と、金属非含有錯体を含有する。
前記アルカリ金属又はその塩としては、例えばLi、Na、K、Cs、又はこれらの塩などが挙げられる
前記アルカリ土類金属又はその塩としては、例えばカルシウム、ストロンチウム、バリウム、又はこれらの塩などが挙げられる。
前記アルカリ金属及びその塩、並びにアルカリ土類金属及びその塩から選択される少なくとも1種の添加量は、材料の種類によって異なるが、第二の電子輸送層材料に対して0.01質量%〜99質量%であることが好ましく、0.1質量%〜10質量%であることが更に好ましく、0.5質量%〜5質量%であることが特に好ましい。
前記金属非含有錯体としては、前記中間層の金属非含有錯体と同様のものを用いることができる。
前記第二の電子輸送層は、公知の方法に従って形成することができるが、例えば、蒸着法、湿式製膜法、MBE(分子線エピタキシー)法、クラスターイオンビーム法、分子積層法、LB法、印刷法、転写法、などにより好適に形成することができる。
前記第二の電子輸送層の厚みは、1nm〜200nmであることが好ましく、10nm〜100nmがより好ましい。
<発光層>
前記発光層は、電界印加時に、陽極、正孔注入層、又は正孔輸送層から正孔を受け取り、陰極、電子注入層、又は電子輸送層から電子を受け取り、正孔と電子の再結合の場を提供して発光させる機能を有する層である。
前記発光層は、発光材料を含む。該発光層は発光材料のみで構成されていてもよいし、ホスト材料と発光材料の混合層でもよい(後者の場合、発光材料を「発光性ドーパント」もしくは「ドーパント」と称する場合がある)。
更に、前記発光層中に電荷輸送性を有さず、発光しない材料を含んでいてもよい。
−発光材料−
前記発光材料は、蛍光発光材料でも燐光発光材料であってもよく、2種以上が混合されていてもよい。
前記発光性ドーパントは、ホスト化合物との間で、イオン化ポテンシャルの差(ΔIp)と電子親和力の差(ΔEa)が、1.2eV>△Ip>0.2eV、及び/又は1.2eV>△Ea>0.2eVの関係を満たすドーパントであることが、駆動耐久性の観点で好ましい。
前記発光層中の発光性ドーパントの含有量は、発光層中に一般的に発光層を形成する全化合物質量に対して、0.1質量%〜50質量%が好ましく、耐久性、外部量子効率の観点から1質量%〜50質量%がより好ましく、2質量%〜40質量%が更に好ましい。
−−燐光発光材料−−
前記燐光発光材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、遷移金属原子又はランタノイド原子を含む錯体、などが挙げられる。
前記遷移金属原子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばルテニウム、ロジウム、パラジウム、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、金、銀、銅、白金、などが挙げられる。これらの中でも、レニウム、イリジウム、白金が好ましく、イリジウム、白金が特に好ましい。
前記錯体の配位子としては、例えば、G.Wilkinson等著,Comprehensive Coordination Chemistry, Pergamon Press社1987年発行、H.Yersin著,「Photochemistry and Photophysics of Coordination Compounds」 Springer−Verlag社1987年発行、山本明夫著「有機金属化学−基礎と応用−」裳華房社1982年発行等に記載の配位子、などが挙げられる。
前記錯体は、化合物中に遷移金属原子を1つ有してもよいし、2つ以上有するいわゆる複核錯体であってもよい。なお、異種の金属原子を同時に含有していてもよい。
前記燐光発光材料としては、例えば、米国特許第6303238号明細書、米国特許第6097147号明細書、WO00/57676号パンフレット、WO00/70655号パンフレット、WO01/08230号パンフレット、WO01/39234号パンフレット、WO01/41512号パンフレット、WO02/02714号パンフレット、WO02/15645号パンフレット、WO02/44189号パンフレット、WO05/19373号パンフレット、WO2004/108857号パンフレット、WO2005/042444号パンフレット、WO2005/042550号パンフレット、特開2001−247859号公報、特開2002−302671号公報、特開2002−117978号公報、特開2003−133074号公報、特開2002−235076号公報、特開2003−123982号公報、特開2002−170684号公報、EP1211257号明細書、特開2002−226495号公報、特開2002−234894号公報、特開2001−247859号公報、特開2001−298470号公報、特開2002−173674号公報、特開2002−203678号公報、特開2002−203679号公報、特開2004−357791号公報、特開2006−93542号公報、特開2006−261623号公報、特開2006−256999号公報、特開2007−19462号公報、特開2007−84635号公報、特開2007−96259号公報等に記載の燐光発光化合物などが挙げられる。
これらの中でも、Ir錯体、Pt錯体、Cu錯体、Re錯体、W錯体、Rh錯体、Ru錯体、Pd錯体、Os錯体、Eu錯体、Tb錯体、Gd錯体、Dy錯体、Ce錯体が好ましく、Ir錯体、Pt錯体、Re錯体がより好ましく、金属−炭素結合、金属−窒素結合、金属−酸素結合、金属−硫黄結合の少なくとも一つの配位様式を含むIr錯体、Pt錯体、Re錯体が更に好ましく、発光効率、駆動耐久性、色度等の観点から、3座以上の多座配位子を含むIr錯体、Pt錯体、Re錯体が特に好ましい。
本発明に用いることができる燐光発光材料の具体例として、以下の化合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
−−蛍光発光材料−−
前記蛍光発光材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばベンゾオキサゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール、スチリルベンゼン、ポリフェニル、ジフェニルブタジエン、テトラフェニルブタジエン、ナフタルイミド、クマリン、ピラン、ペリノン、オキサジアゾール、アルダジン、ピラリジン、シクロペンタジエン、ビススチリルアントラセン、キナクリドン、ピロロピリジン、チアジアゾロピリジン、シクロペンタジエン、スチリルアミン、芳香族ジメチリディン化合物、縮合多環芳香族化合物(例えばアントラセン、フェナントロリン、ピレン、ペリレン、ルブレン、又はペンタセン等)、8−キノリノールの金属錯体;ピロメテン錯体や希土類錯体に代表される各種金属錯体;ポリチオフェン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン等のポリマー化合物;有機シラン、又はこれらの誘導体、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−ホスト材料−
前記ホスト材料は、電荷輸送材料であることが好ましい。該ホスト材料は1種であっても2種以上であってもよい。
前記電荷輸送材料としては、正孔輸送性に優れる正孔輸送性ホスト材料、及び電子輸送性に優れる電子輸送性ホスト材料を用いることができる。
−−正孔輸送性ホスト材料−−
前記正孔輸送性ホスト材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ピロール、インドール、カルバゾール、アザインドール、アザカルバゾール、トリアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、ピラゾール、イミダゾール、チオフェン、ポリアリールアルカン、ピラゾリン、ピラゾロン、フェニレンジアミン、アリールアミン、アミノ置換カルコン、スチリルアントラセン、フルオレノン、ヒドラゾン、スチルベン、シラザン、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、ポルフィリン系化合物、ポリシラン系化合物、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマー、有機シラン、カーボン膜、又はそれらの誘導体、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、インドール誘導体、カルバゾール誘導体、芳香族第三級アミン化合物、チオフェン誘導体が好ましく、分子内にカルバゾール基を有するものがより好ましく、t−ブチル置換カルバゾール基を有する化合物が特に好ましい。
−−電子輸送性ホスト材料−−
前記電子輸送性ホスト材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばピリジン、ピリミジン、トリアジン、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾ−ル、オキサゾ−ル、オキサジアゾ−ル、フルオレノン、アントラキノジメタン、アントロン、ジフェニルキノン、チオピランジオキシド、カルボジイミド、フルオレニリデンメタン、ジスチリルピラジン、フッ素置換芳香族化合物、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物;フタロシアニン又はこれらの誘導体(他の環と縮合環を形成してもよい)、8−キノリノ−ル誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾ−ルやベンゾチアゾ−ルを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、耐久性の点から金属錯体化合物が好ましく、金属に配位する少なくとも1つの窒素原子又は酸素原子又は硫黄原子を有する配位子をもつ金属錯体がより好ましい。
前記金属錯体化合物としては、例えば特開2002−235076号公報、特開2004−214179号公報、特開2004−221062号公報、特開2004−221065号公報、特開2004−221068号公報、特開2004−327313号公報等に記載の化合物、などが挙げられる。
本発明に用いることができる正孔輸送性ホスト材料及び電子輸送性ホスト材料としては、以下の化合物、及びこれらの重水素化体を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
前記発光層は、公知の方法に従って形成することができるが、例えば、蒸着法、スパッタ法等の乾式製膜法、湿式塗布方式、転写法、印刷法、インクジェット方式、などにより好適に形成することができる。
前記発光層の厚さは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、2nm〜500nmが好ましく、外部量子効率の観点から、3nm〜200nmがより好ましく、5nm〜100nmが更に好ましい。また、前記発光層は1層であっても2層以上であってもよく、それぞれの層が異なる発光色で発光してもよい。
<正孔注入層、正孔輸送層>
前記正孔注入層及び正孔輸送層は、陽極又は陽極側から正孔を受け取り陰極側に輸送する機能を有する層である。該正孔注入層及び正孔輸送層は、単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
これらの層に用いられる正孔注入材料、正孔輸送材料は、低分子化合物であっても高分子化合物であってもよい。
前記正孔注入材料及び正孔輸送材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばピロール誘導体、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、フタロシアニン系化合物、ポルフィリン系化合物、チオフェン誘導体、有機シラン誘導体、カーボン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記正孔注入層及び正孔輸送層には、電子受容性ドーパントを含有させることができる。
前記電子受容性ドーパントとしては、電子受容性で有機化合物を酸化する性質を有すれば、無機化合物でも有機化合物でも使用できる。
前記無機化合物としては、例えば塩化第二鉄、塩化アルミニウム、塩化ガリウム、塩化インジウム、五塩化アンチモン等のハロゲン化金属;五酸化バナジウム、三酸化モリブデン等の金属酸化物、などが挙げられる。
前記有機化合物としては、例えば置換基としてニトロ基、ハロゲン、シアノ基、トリフルオロメチル基等を有する化合物;キノン系化合物、酸無水物系化合物、フラーレン、などが挙げられる。
これらの電子受容性ドーパントは、単独で用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
前記電子受容性ドーパントの使用量は、材料の種類によって異なるが、正孔輸送層材料に対して0.01質量%〜50質量%が好ましく、0.05質量%〜20質量%がより好ましく、0.1質量%〜10質量%が更に好ましい。
前記正孔注入層及び正孔輸送層は、公知の方法に従って形成することができるが、例えば、蒸着法、スパッタ法等の乾式製膜法、湿式塗布方式、転写法、印刷法、インクジェット方式、などにより好適に形成することができる。
前記正孔注入層及び正孔輸送層の厚さは、1nm〜500nmが好ましく、5nm〜200nmがより好ましく、10nm〜100nmが更に好ましい。
<電子ブロック層>
前記電子ブロック層は、陰極側から発光層に輸送された電子が陽極側に通り抜けることを防止する機能を有する層であり、通常、発光層と陽極側で隣接する有機化合物層として設けられる。
前記電子ブロック層を構成する化合物としては、例えば前述の正孔輸送材料として挙げたものが利用できる。
前記電子ブロック層は、公知の方法に従って形成することができるが、例えば、蒸着法、スパッタ法等の乾式製膜法、湿式塗布方式、転写法、印刷法、インクジェット方式、などにより好適に形成することができる。
前記電子ブロック層の厚さは、1nm〜500nmが好ましく、5nm〜200nmがより好ましく、10nm〜100nmが更に好ましい。また電子ブロック層は、上述した材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
<電極>
本発明の有機電界発光素子は、一対の電極、即ち陽極と陰極とを含む。前記有機電界発光素子の性質上、陽極及び陰極のうち少なくとも一方の電極は透明であることが好ましい。通常、陽極は有機化合物層に正孔を供給する電極としての機能を有していればよく、陰極は有機化合物層に電子を注入する電極としての機能を有していればよい。
前記電極としては、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、有機電界発光素子の用途、目的に応じて公知の電極材料の中から適宜選択することができる。
前記電極を構成する材料としては、例えば、金属、合金、金属酸化物、導電性化合物、又はこれらの混合物等が好適に挙げられる。
−陽極−
前記陽極を構成する材料としては、例えば、アンチモンやフッ素等をドープした酸化錫(ATO、FTO)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)等の導電性金属酸化物;金、銀、クロム、ニッケル等の金属;これらの金属と導電性金属酸化物との混合物又は積層物;ヨウ化銅、硫化銅等の無機導電性物質;ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール等の有機導電性材料、又はこれらとITOとの積層物、などが挙げられる。これらの中でも、導電性金属酸化物が好ましく、生産性、高導電性、透明性等の点からはITOが特に好ましい。
−陰極−
前記陰極を構成する材料としては、例えば、アルカリ金属(例えばLi、Na、K、Cs等)、アルカリ土類金属(例えばMg、Ca等)、金、銀、鉛、アルミニウム、ナトリウム−カリウム合金、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−銀合金、インジウム、イッテルビウム等の希土類金属、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいが、安定性と電子注入性とを両立させる観点からは、2種以上を好適に併用することができる。
これらの中でも、電子注入性の点で、アルカリ金属やアルカリ土類金属が好ましく、保存安定性に優れる点で、アルミニウムを主体とする材料が好ましい。
前記アルミニウムを主体とする材料とは、アルミニウム単独、アルミニウムと0.01質量%〜10質量%のアルカリ金属又はアルカリ土類金属との合金若しくはこれらの混合物(例えば、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金など)をいう。
前記電極の形成方法については、特に制限はなく、公知の方法に従って行うことができ、例えば印刷方式、コーティング方式等の湿式方式;真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的方式;CVD、プラズマCVD法等の化学的方式、などが挙げられる。これらの中でも、前記電極を構成する材料との適性を考慮し、適宜選択した方法に従って前記基板上に形成することができる。例えば、陽極の材料としてITOを選択する場合には、直流又は高周波スパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等に従って形成することができる。陰極の材料として金属等を選択する場合には、その1種又は2種以上を同時又は順次にスパッタ法等に従って形成することができる。
なお、前記電極を形成する際にパターニングを行う場合は、フォトリソグラフィー等による化学的エッチングによって行ってもよいし、レーザー等による物理的エッチングによって行ってもよく、また、マスクを重ねて真空蒸着やスパッタ等をして行ってもよいし、リフトオフ法や印刷法によって行ってもよい。
<基板>
本発明の有機電界発光素子は、基板上に設けられていることが好ましく、電極と基板とが直接接する形で設けられていてもよいし、中間層を介在する形で設けられていてもよい。
前記基板の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばイットリア安定化ジルコニア(YSZ)、ガラス(無アルカリガラス、ソーダライムガラス等)等の無機材料;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリイミド、ポリシクロオレフィン、ノルボルネン樹脂、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)等の有機材料、などが挙げられる。
前記基板の形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、発光素子の用途、目的等に応じて適宜選択することができる。一般的には、基板の形状としては、板状であることが好ましい。基板の構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、また、単一部材で形成されていてもよいし、2以上の部材で形成されていてもよい。基板は透明でも不透明でもよく、透明な場合は無色透明でも有色透明でもよい。
前記基板には、その表面又は裏面に透湿防止層(ガスバリア層)を設けることができる。
前記透湿防止層(ガスバリア層)の材料としては、例えば窒化珪素、酸化珪素等の無機物などが挙げられる。
前記透湿防止層(ガスバリア層)は、例えば高周波スパッタリング法などにより形成することができる。
<保護層>
有機電界発光素子全体は、保護層によって保護されていてもよい。
前記保護層に含まれる材料としては、水分や酸素等の素子劣化を促進するものが素子内に入ることを抑止する機能を有しているものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばIn、Sn、Pb、Au、Cu、Ag、Al、Ti、Ni等の金属;MgO、SiO、SiO、Al、GeO、NiO、CaO、BaO、Fe、Y、TiO等の金属酸化物;SiNx、SiNxOy等の金属窒化物;MgF、LiF、AlF、CaF等の金属フッ化物;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、ポリウレア、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリジクロロジフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンとジクロロジフルオロエチレンとの共重合体、テトラフルオロエチレンと少なくとも1種のコモノマーとを含むモノマー混合物を共重合させて得られる共重合体、共重合主鎖に環状構造を有する含フッ素共重合体、吸水率1%以上の吸水性物質、吸水率0.1%以下の防湿性物質、などが挙げられる。
前記保護層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、MBE(分子線エピタキシ)法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法(高周波励起イオンプレーティング法)、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、ガスソースCVD法、コーティング法、印刷法、転写法などが挙げられる。
−封止容器−
本発明の有機電界発光素子は、封止容器を用いて素子全体が封止されていてもよい。更に、前記封止容器と有機電界発光素子の間の空間には、水分吸収剤又は不活性液体を封入してもよい。
前記水分吸収剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば酸化バリウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、五酸化燐、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化銅、フッ化セシウム、フッ化ニオブ、臭化カルシウム、臭化バナジウム、モレキュラーシーブ、ゼオライト、酸化マグネシウム、などが挙げられる。
前記不活性液体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばパラフィン類、流動パラフィン類;パーフルオロアルカン、パーフルオロアミン、パーフルオロエーテル等のフッ素系溶剤;塩素系溶剤、シリコーンオイル類、などが挙げられる。
−樹脂封止層−
本発明の有機電界発光素子は、大気からの酸素や水分による素子性能劣化を樹脂封止層により封止することで抑制することが好ましい。
前記樹脂封止層の樹脂素材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばアクリル樹脂、エポキシ樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、ゴム系樹脂、エステル系樹脂、などが挙げられる。これらの中でも、水分防止機能の点からエポキシ樹脂が特に好ましい。前記エポキシ樹脂の中でも熱硬化型エポキシ樹脂、又は光硬化型エポキシ樹脂が好ましい。
前記樹脂封止層の作製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、樹脂溶液を塗布する方法、樹脂シートを圧着又は熱圧着する方法、蒸着やスパッタリング等により乾式重合する方法、などが挙げられる。
−封止接着剤−
本発明に用いられる封止接着剤は、端部よりの水分や酸素の侵入を防止する機能を有する。
前記封止接着剤の材料としては、前記樹脂封止層で用いる材料と同じものを用いることができる。これらの中でも、水分防止の点からエポキシ系の接着剤が好ましく、光硬化型接着剤あるいは熱硬化型接着剤が特に好ましい。
前記封止接着剤にフィラーを添加することも好ましい。前記フィラーとしては、例えばSiO、SiO(酸化ケイ素)、SiON(酸窒化ケイ素)、SiN(窒化ケイ素)等の無機材料が好ましい。該フィラーの添加により、封止接着剤の粘度が上昇し、加工適正が向上し、及び耐湿性が向上する。
前記封止接着剤は、乾燥剤を含有してもよい。前記乾燥剤としては、例えば酸化バリウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、などが挙げられる。前記乾燥剤の添加量は、前記封止接着剤に対し0.01質量%〜20質量%が好ましく、0.05質量%〜15質量%がより好ましい。前記添加量が、0.01質量%未満であると、乾燥剤の添加効果が薄れることになり、20質量%を超えると、封止接着剤中に乾燥剤を均一分散させることが困難になることがある。
本発明においては、前記乾燥剤の入った封止接着剤をディスペンサー等により任意量塗布し、塗布後第2基板を重ねて、硬化させることにより封止することができる。
図1は、本発明の有機電界発光素子の層構成の一例を示す概略図である。有機EL素子10は、ガラス基板1上に形成された陽極2(例えばITO電極)と、正孔注入層3と、正孔輸送層4と、発光層5と、第一の電子輸送層6と、中間層7と、第二の電子輸送層8と、陰極9(例えばAl−Li電極)とをこの順に積層してなる層構成を有する。なお、陽極2(例えばITO電極)と陰極9(例えばAl−Li電極)とは電源を介して互いに接続されている。
−駆動−
本発明の有機電界発光素子は、陽極と陰極との間に直流(必要に応じて交流成分を含んでもよい)電圧(通常2ボルト〜15ボルト)、又は直流電流を印加することにより、発光を得ることができる。
本発明の有機電界発光素子は、薄膜トランジスタ(TFT)によりアクティブマトリックスへ適用することができる。薄膜トランジスタの活性層としてアモルファスシリコン、高温ポリシリコン、低温ポリシリコン、微結晶シリコン、酸化物半導体、有機半導体、カーボンナノチューブ等を適用することができる。
本発明の有機電界発光素子は、例えばWO2005/088726号パンフレット、特開2006−165529号公報、米国特許出願公開2008/0237598A1明細書などに記載の薄膜トランジスタを適用することができる。
本発明の有機電界発光素子は、特に制限はなく、種々の公知の工夫により、光取り出し効率を向上させることができる。例えば、基板表面形状を加工する(例えば微細な凹凸パターンを形成する)、基板、ITO層、有機層の屈折率を制御する、基板、ITO層、有機層の膜厚を制御すること等により、光の取り出し効率を向上させ、外部量子効率を向上させることが可能である。
本発明の有機電界発光素子からの光取り出し方式は、トップエミッション方式であってもボトムエミッション方式であってもよい。
本発明の有機電界発光素子は、共振器構造を有してもよい。例えば、透明基板上に、屈折率の異なる複数の積層膜よりなる多層膜ミラー、透明又は半透明電極、発光層、及び金属電極を重ね合わせて有する。発光層で生じた光は多層膜ミラーと金属電極を反射板としてその間で反射を繰り返し共振する。
別の好ましい態様では、透明基板上に、透明又は半透明電極と金属電極がそれぞれ反射板として機能して、発光層で生じた光はその間で反射を繰り返し共振する。
共振構造を形成するためには、2つの反射板の有効屈折率、反射板間の各層の屈折率と厚みから決定される光路長を所望の共振波長の得るのに最適な値となるよう調整される。第一の態様の場合の計算式は、特開平9−180883号公報に記載されている。第2の態様の場合の計算式は、特開2004−127795号公報に記載されている。
−用途−
本発明の有機電界発光素子は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、表示素子、ディスプレイ、バックライト、電子写真、照明光源、記録光源、露光光源、読み取り光源、標識、看板、インテリア、光通信等に好適に利用できる。
前記有機ELディスプレイをフルカラータイプのものとする方法としては、例えば「月刊ディスプレイ」、2000年9月号、33〜37ページに記載されているように、色の3原色(青色(B)、緑色(G)、赤色(R))に対応する光をそれぞれ発光する有機EL素子を基板上に配置する3色発光法、白色発光用の有機電界発光素子による白色発光をカラーフィルターを通して3原色に分ける白色法、青色発光用の有機電界発光素子による青色発光を蛍光色素層を通して赤色(R)及び緑色(G)に変換する色変換法、などが知られている。また、上記方法により得られる異なる発光色の有機電界発光素子を複数組み合わせて用いることにより、所望の発光色の平面型光源を得ることができる。例えば、青色及び黄色の発光素子を組み合わせた白色発光光源、青色、緑色、赤色の発光素子を組み合わせた白色発光光源、などが挙げられる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(比較例1)
−有機電界発光素子の作製−
0.5mm厚み、2.5cm角のガラス基板を洗浄容器に入れ、2−プロパノール中で超音波洗浄した後、30分間UV−オゾン処理を行った。このガラス基板上に真空蒸着法にて以下の各層を蒸着した。なお、以下の実施例及び比較例における蒸着速度は、特に断りのない場合は0.2nm/秒である。蒸着速度は水晶振動子を用いて測定した。また、以下の各層厚は水晶振動子を用いて測定した。
まず、ガラス基板上に、陽極としてITO(Indium Tin Oxide)を厚み100nmに蒸着した。
次に、陽極(ITO)上に、正孔注入層として2−TNATA(4,4’,4”−Tris(N−(2−naphtyl)−N−phenyl−amino)−triphenylamine)を厚み40nmに蒸着した。
次に、正孔注入層上に、正孔輸送層としてα−NPD(Bis[N−(1−naphthyl)−N−pheny]benzidine)を厚み7nmに蒸着した。
次に、正孔輸送層上に、第二正孔輸送層として下記構造式で表される正孔輸送材料1を厚み3nmに蒸着した。
次に、第二正孔輸送層上に、発光層として下記構造式で表されるホスト材料1と、該ホスト材料1に対して燐光発光材料である下記構造式で表される白金錯体1を10質量%ドープした発光層を30nmの厚みに蒸着した。
次に、発光層上に、第一の電子輸送層としてBAlq(Bis−(2−methyl−8−quinolinolato)−4−(phenyl−phenolate)−aluminium (III))を厚み10nmとなるように蒸着した。
次に、第一の電子輸送層上に、第二の電子輸送層として下記構造式で表されるBCP(2,9−dimethyl−4,7−diphenyl−1,10−phenanthroline)を0.2nm/秒の蒸着速度と、Liを0.15nm/分の蒸着速度で共蒸着することにより、厚み30nmに成膜した。
次に、第二の電子輸送層上に、電子注入層としてLiFを厚み1nmとなるように蒸着した。
次に、電子注入層上に、陰極としてパタ−ニングしたマスク(発光領域が2mm×2mmとなるマスク)を設置し、金属アルミニウムを厚み100nmとなるように蒸着した。
以上により作製した積層体を、アルゴンガスで置換したグローブボックス内に入れ、ステンレス製の封止缶、及び紫外線硬化型の接着剤(XNR5516HV、長瀬チバ株式会社製)を用いて封止した。以上により、比較例1の有機電界発光素子を作製した。
(比較例2)
−有機電界発光素子の作製−
比較例1において、第一の電子輸送層のBAlqの代わりにAlq3(Tris(8−hydroxyquinolinato)aluminum(III))を用いた以外は、比較例1と同様にして、有機電界発光素子を作製した。
(比較例3)
−有機電界発光素子の作製−
比較例1において、第二の電子輸送層のBCPの代わりに下記構造式で表されるBphen(4,7−diphenyl−1,10−phenanthroline)を用いて共蒸着した以外は、比較例1と同様にして、有機電界発光素子を作製した。
(比較例4)
−有機電界発光素子の作製−
比較例1において、第二の電子輸送層のLiの代わりにCsを用いて共蒸着した以外は、比較例1と同様にして、有機電界発光素子を作製した。
(比較例5)
比較例1において、第一の電子輸送層のBAlqの代わりにSalq〔Bis−(2−methyl−8−quinolinolato)(triphenyl−sinolate)−aluminium(III)〕を用いた以外は、比較例1と同様にして、有機電界発光素子を作製した。
(実施例1)
−有機電界発光素子の作製−
比較例1において、中間層として第一の電子輸送層と第二の電子輸送層の間にBCPを厚み1nmとなるように蒸着した以外は、比較例1と同様にして、有機電界発光素子を作製した。
(実施例2)
−有機電界発光素子の作製−
比較例1において、中間層として第一の電子輸送層と第二の電子輸送層の間にBCPを厚み5nmとなるように蒸着した以外は、比較例1と同様にして、有機電界発光素子を作製した。
(実施例3)
−有機電界発光素子の作製−
比較例1において、中間層として第一の電子輸送層と第二の電子輸送層の間にBCPを厚み15nmとなるように蒸着した以外は、比較例1と同様にして、有機電界発光素子を作製した。
(比較例6)
−有機電界発光素子の作製−
比較例1において、中間層として第一の電子輸送層と第二の電子輸送層の間にBCPを厚み25nmとなるように蒸着した以外は、比較例1と同様にして、有機電界発光素子を作製した。
(実施例4)
−有機電界発光素子の作製−
比較例1において、中間層として第一の電子輸送層と第二の電子輸送層の間に、上記構造式で表されるBphenを厚み1nmとなるように蒸着した以外は、比較例1と同様にして、有機電界発光素子を作製した。
(実施例5)
−有機電界発光素子の作製−
比較例1において、中間層として第一の電子輸送層と第二の電子輸送層の間に、下記構造式で表されるE1を厚み1nmとなるように蒸着した以外は、比較例1と同様にして、有機電界発光素子を作製した。
(実施例6)
−有機電界発光素子の作製−
比較例1において、中間層として第一の電子輸送層と第二の電子輸送層の間に、下記構造式で表されるE2を厚み1nmとなるように蒸着した以外は、比較例1と同様にして、有機電界発光素子を作製した。
(実施例7)
−有機電界発光素子の作製−
比較例1において、中間層として第一の電子輸送層と第二の電子輸送層の間に、下記構造式で表されるE3を厚み1nmとなるように蒸着した以外は、比較例1と同様にして、有機電界発光素子を作製した。
(実施例8)
−有機電界発光素子の作製−
実施例1において、第一の電子輸送層のBAlqの代わりにAlq3を用いた以外は、実施例1と同様にして、有機電界発光素子を作製した。
(実施例9)
−有機電界発光素子の作製−
比較例5において、中間層として第一の電子輸送層と第二の電子輸送層の間に、上記構造式で表されるBCPを厚み1nmとなるように蒸着した以外は、比較例5と同様にして、有機電界発光素子を作製した。
(実施例10)
−有機電界発光素子の作製−
比較例4において、中間層として第一の電子輸送層と第二の電子輸送層の間に、上記構造式で表されるBCPを厚み1nmとなるように蒸着した以外は、比較例4と同様にして、有機電界発光素子を作製した。
(実施例11)
−有機電界発光素子の作製−
比較例3において、中間層として第一の電子輸送層と第二の電子輸送層の間に、上記構造式で表されるBCPを厚み1nmとなるように蒸着した以外は、比較例4と同様にして、有機電界発光素子を作製した。
(実施例12)
−有機電界発光素子の作製−
比較例1において、中間層として第一の電子輸送層と第二の電子輸送層の間に、BCPとBphenをともに0.2nm/秒の蒸着速度で共蒸着することにより、厚み1nmに成膜したこと以外は、比較例4と同様にして、有機電界発光素子を作製した。
次に、作製した実施例1〜12及び比較例1〜6について、以下のようにして、駆動電圧、及び外部量子効率を測定した。結果を表1に示す。
<駆動電圧の測定>
KEITHLEY社製ソースメジャーユニット2400型を用いて、直流電圧を発光素子に印加し発光させた。輝度(トプコン社製輝度計BM−8にて測定)が、1000cd/mとなる時の電圧を測定した。
<外部量子効率の測定>
KEITHLEY社製ソースメジャーユニット2400型を用いて、直流電圧を各素子に印加し、発光させた。その輝度をトプコン社製輝度計BM−8を用いて測定した。発光スペクトルと発光波長は、浜松ホトニクス株式会社製スペクトルアナライザーPMA−11を用いて測定した。これらの数値をもとに、輝度が1000cd/m付近の外部量子効率を輝度換算法により算出した。
表1の結果から、中間層がない比較例1に対して、各種の中間層を挿入した実施例1〜7は、いずれも比較例1より低電圧化、高効率化していることが分かった。
また、比較例2と実施例8を対比すると、第一の電子輸送層をAlqにした場合も中間層挿入により低電圧化、高効率化していることが分かった。
また、比較例5と実施例9を対比すると、第一の電子輸送層をSAlq〔Bis−(2−methyl−8−quinolinolato)(triphenyl−sinolate)−aluminium(III)〕にした場合も中間層挿入により低電圧化、高効率化していることが分かった。
また、比較例3と実施例11を対比すると、第二の電子輸送層をBphen:Liにした場合も中間層挿入により低電圧化、高効率化していることが分かった。
また、比較例4と実施例10を比較すると、第二の電子輸送層にLiだけでなくCsを用いた場合も、中間層挿入による効果が見られることが分かった。
以上のことから、中間層の挿入により、第二の電子輸送層の金属ドーパントと第一の電子輸送層の金属錯体間の相互作用や置換反応を中間層の挿入により抑制することができ、低電圧化、高効率化が可能となった。
本発明の有機電界発光素子は、外部量子効率を低下させることなく低電圧化が可能であり、例えば表示素子、ディスプレイ、バックライト、電子写真、照明光源、記録光源、露光光源、読み取り光源、標識、看板、インテリア、光通信などに好適に用いられる。
1 基板
2 陽極
3 正孔注入層
4 正孔輸送層
5 発光層
6 第一の電子輸送層
7 中間層
8 第二の電子輸送層
9 陰極
10 有機電界発光素子

Claims (6)

  1. 陽極及び陰極の間に、第一の電子輸送層、第二の電子輸送層、及び前記第一の電子輸送層と前記第二の電子輸送層の間に中間層を含む有機層を有してなり、
    前記中間層が、金属非含有錯体を含有することを特徴とする有機電界発光素子。
  2. 第二の電子輸送層が、アルカリ金属及びその塩、並びにアルカリ土類金属及びその塩から選択される少なくとも1種を含有する請求項1に記載の有機電界発光素子。
  3. 中間層の厚みが、0.5nm〜20nmである請求項1から2のいずれかに記載の有機電界発光素子。
  4. 中間層における金属非含有錯体が、下記一般式(1)で表される請求項1から3のいずれかに記載の有機電界発光素子。
    ただし、前記一般式(1)中、Rは、水素原子及び置換基のいずれかを表し、縮合環のどの炭素原子に置換してもよい。nは、0〜8の整数を表し、nが2以上の場合、複数のRは、互いに同一であってもよいし異なっていてもよく、また、隣接する複数のR基同士で結合して、炭素環式脂肪族環、炭素環式芳香族環、又は芳香族複素環を形成していてもよい。
  5. 第一の電子輸送層が金属錯体を含有し、該金属錯体が下記一般式(2)及び下記一般式(3)のいずれかである請求項1から4のいずれかに記載の有機電界発光素子。
    ただし、前記一般式(2)及び(3)中、Rは、水素原子及び置換基のいずれかを表す。nは、0〜6の整数を表し、nが2以上の場合、複数のRは、互いに同一であってもよいし異なっていてもよく、また、隣接する複数のR基同士で結合して、炭素環式脂肪族環、炭素環式芳香族環、又は芳香族複素環を形成していてもよい。n及びnは、いずれも1〜3の整数を表す。Mは、12族〜14族の金属を表す。Lは、配位子を表す。
  6. 有機層が、陽極側から、発光層、第一の電子輸送層、中間層、及び第二の電子輸送層をこの順に有する請求項1から5のいずれかに記載の有機電界発光素子。
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