JP2010171176A - 半導体素子用基板およびその製造方法 - Google Patents

半導体素子用基板およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】熱伝導率が低くかつ表面の平滑性に優れた断熱層を備え、半導体素子作製の際の熱処理に耐え得る半導体素子用基板を提供する。
【解決手段】高分子基板と、前記高分子基板上に設けられ、無機物を主成分とするマトリックスと無機物の中空粒子とを含む、空隙率5%以上60%以下の断熱層と、を有する半導体素子用基板である。
【選択図】なし

Description

本発明は、半導体素子用基板およびその製造方法に関する。
低温で成膜可能な透明酸化物半導体IGZOが東工大・細野らによって報告されて以降、フレキシブルかつ透明な、TFT(薄膜トランジスタ)付き基板(以下、単に「フレキシブル・透明TFT」ともいう)の実用化が現実味を帯びている。
例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)基板上に、基板温度25℃でIGZOを成膜してTFTを作製し、曲率半径30mmで曲げても、曲げなかった場合のトランジスタ特性と大幅な変化がなかったことが報告されている(例えば、特許文献1参照)。
また、PET上に密着層を形成し、その上にIGZOを成膜してTFTを作製することにより、可とう性を向上させる技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
一方、フレキシブル・透明TFTの実用化にあたっては、電子移動度の向上・信頼性の向上を目的とした熱処理が不可欠である。
一般的に熱処理温度は200℃以上であり、この温度に耐えられる高分子基板として、ポリイミド(ガラス転移温度410℃)、ポリエーテルイミド(ガラス転移温度212℃)、ポリフェニレンサルファイド(ガラス転移温度220℃)、ポリエーテルサルフォン(ガラス転移温度225℃)、東レのアラミドフィルム(ガラス転移温度300℃以上)、新日鐵化学のシルプラス(ガラス転移温度数百℃)等がある。
しかしながら、高コスト、有色、表面が粗いといった理由で、フレキシブル・透明TFTの用途には向かない。また、ステンレス・チタン等の金属は、耐熱性が高く、フレキシブル基板としての可能性が考えられるが、不透明である。
上記のような背景から、比較的安価なポリエチレンテレフタレート(PET;ガラス転移温度105℃)やポリエチレンナフタレート(PEN;ガラス転移温度155℃)を基板としたTFTが望まれる。このような高分子フィルムは、TFTの熱処理温度に耐えられないため、基板を昇温させずに、TFTのみを加熱する方法が好ましい。すなわち、TFT側からのみ、ヒーター・赤外線ランプ・レーザー等で加熱し、TFTに蓄えられた熱を基板側に伝えない構造を工夫することによって、耐熱性の低い基板上にTFTを形成することが可能になる。具体的には、TFT部分と基板部分の間に、熱を遮断する働きをする層を導入することによって達成できる。
例えば、ポリエチレンテレフタレート上にポリエチレンナフタレートを塗布し、熱によるオリゴマー析出を抑制する方法が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
しかし、ポリエチレンナフタレートを用いても、スパッタ法で一般的な温度である200℃までフィルムを加熱するとオリゴマー析出による表面性の劣化を生じやすい。
また、より耐熱性の高いポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂を高分子フィルム上に塗布する方法が開示されている(例えば、特許文献4参照)。
このような材料を用いると、耐熱性をフィルムに付与することが可能ではある。
しかしポリアミド樹脂やポリイミド樹脂は汎用溶剤に対する溶解性が低く、扱いにくい溶剤を使用する必要がある。また、樹脂が汎用溶剤に可溶性であっても、溶液の粘度が高いため、薄くて均一な被膜が得られず、表面性を高めることは困難である。さらにこのような方法では、溶剤を十分に乾燥することが難しく、塗膜中の溶剤残留量が多くなるため、フィルムの巻き取り時に塗膜とフィルムのバック面が接着してしまうブロッキングを引き起こしやすく、また無機酸化物を真空成膜する際に揮発する残留溶剤が真空槽内を汚染する可能性もある。
金属酸化物は、耐熱性が高く、かつ、熱伝導率が比較的低いため、熱遮断層として機能する。たとえば、フィルム上に、レーザーアブレーションや光CVD法によって、比較的低温で金属酸化物を形成し、熱遮断層として用いる技術が知られている(例えば、特許文献5参照)。
しかしながら、気相による成膜手法は生産性の点で不利である。
そこで、例えば、シラン化合物の加水分解で得られるシリカ膜や金属アルコキシドから得られる金属酸化物の被膜を形成することが考えられる。
しかしながらそのような無機物の緻密な被膜では、一般的には、高分子の線熱膨張係数のほうが金属酸化物の線熱膨張係数より大きいため、高分子フィルムの熱変化についていけず、得られるフィルム基板には反りが発生したり、被膜表面に割れが生じてその上に成膜される磁性膜にクラックが発生したり、という問題がある。
一般的に、無機物は、高分子よりも熱伝導率が高い。
以下に、代表的な物質の室温付近での熱伝導率を示す。一般的なセラミックスは1W/mK以上の熱伝導率を有する。アルミナ(33W/mK)、ベリリア(272W/mK)、酸化カルシウム(17W/mK)、酸化銅(3.8W/mK)、マグネシア(94W/mK)、石英(10W/mK)、チタニア(8.4W/mK)、酸化亜鉛(54W/mK)、ジルコニア(3.1W/mK)、炭化ケイ素(490W/mK)、ムライト(5.9W/mK)、炭化ホウ素(30W/mK)、石英ガラス(1.4W/mK)である。一方、一般的な高分子は0.1〜0.5W/mK程度である。ポリエチレン(0.46〜0.53W/mK)、ポリプロピレン(0.09W/mK)、スチレン樹脂(0.13W/mK)、アクリル樹脂(0.21W/mK)、フッ素系樹脂(0.25W/mK)、ポリアミド樹脂(0.21W/mK)、ポリエチレンテレフタレート(0.08〜0.17W/mK)、ポリフェニレンサルファイド(0.29W/mK)、ポリスルホン(0.13W/mK)、ポリイミド樹脂(0.23〜0.29W/mK)。また、空気の熱伝導率は非常に低い(0.024W/mK)。
そこで、無機物の中空粒子を用いることによって、極めて高い断熱効果が得られる。
無機物の中空粒子を用いて断熱効果を得る例として、シリカ中空粒子を樹脂と混合し、フィルムに塗布することによって断熱性を付与する技術が知られている(例えば、特許文献6参照)。
また、シリカ中空粒子の分散した無機物膜をフィルム等の基板上に成膜し、反射防止フィルムを得る技術が知られている(例えば、特許文献7又は特許文献8参照)。
国際公開第2005/088726号パンフレット 特開2007−214319号公報 特開平7−225934号公報 特開平6−208717号公報 特開平5−326402号公報 特開2007−70458号公報 特開2002−79616号公報 特開2006−96861号公報
しかしながら、上記特許文献6の技術では、断熱層が樹脂である場合等、断熱層自体の耐熱性が低い場合がある。そのため、断熱層の上に形成した金属酸化物層を、例えば200℃以上で熱処理する必要のある半導体素子の基板として用いることは難しい。
また、上記特許文献7及び上記特許文献8の技術では、表面の平滑性が低下する場合があり、nmオーダーの平滑さが必要な半導体デバイス基板として用いることは難しい。
本発明は上記に鑑みなされたものであり、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明の目的は、熱伝導率が低くかつ表面の平滑性に優れた断熱層を備え、半導体素子作製の際の熱処理に耐え得る半導体素子用基板およびその製造方法を提供することである。
前記課題を解決するための具体的手段は以下のとおりである。
<1> 高分子基板と、前記高分子基板上に設けられ、無機物を主成分とするマトリックスと無機物の中空粒子とを含む、空隙率5%以上60%以下の断熱層と、を有する半導体素子用基板である。
<2> 前記中空粒子の数平均粒子径が、10nm以上1000nm以下である<1>に記載の半導体素子用基板である。
<3> 前記無機物を主成分とするマトリックスが、金属アルコキシドの重合物である<1>又は<2>に記載の半導体素子用基板である。
<4> 前記金属アルコキシドが、アルコキシシランである<3>に記載の半導体素子用基板である。
<5> 前記断熱層が、更に、前記中空粒子以外の無機微粒子を含む<1>〜<4>のいずれか1つに記載の半導体素子用基板である。
<6> 前記無機微粒子の数平均粒子径が、1nm以上100nm以下である<5>に記載の半導体素子用基板である。
<7> 高分子基板上に、無機物を主成分とするマトリックスの前駆体と無機物の中空粒子とを含む塗布液を塗布して塗膜を形成する塗布工程と、形成された前記塗膜を加熱して空隙率5%以上60%以下の断熱層を形成する加熱工程と、を有する半導体素子用基板の製造方法である。
<8> 前記中空粒子の数平均粒子径が、10nm以上1000nm以下である<7>に記載の半導体素子用基板の製造方法である。
<9> 前記前駆体が、金属アルコキシドであり、前記加熱工程は、前記塗膜の加熱により前記金属アルコキシドの重合を行う<7>又は<8>に記載の半導体素子用基板の製造方法である。
<10> 前記金属アルコキシドが、アルコキシシランである<9>に記載の半導体素子用基板の製造方法である。
<11> 前記塗布液が、更に、前記中空粒子以外の無機微粒子を含む<7>〜<10>のいずれか1つに記載の半導体素子用基板の製造方法である。
<12> 前記無機微粒子の数平均粒子径が、1nm以上100nm以下である<11>に記載の半導体素子用基板の製造方法である。
本発明によれば、熱伝導率が低くかつ表面の平滑性に優れた断熱層を備え、半導体素子作製の際の熱処理に耐え得る半導体素子用基板およびその製造方法を提供することができる。
実施例1の半導体素子用基板の断面を示すSEM写真である。 実施例2の半導体素子用基板の断面を示すSEM写真である。 比較例1の半導体素子用基板の断面を示すSEM写真である。
≪半導体素子用基板≫
本発明の半導体素子用基板は、高分子基板と、前記高分子基板上に設けられ、無機物を主成分とするマトリックス(母材)と無機物の中空粒子とを含む、空隙率5%以上60%以下の断熱層と、を有して構成される。
本発明の半導体素子用基板では、上記構成としたことにより、該半導体素子用基板の断熱層側に半導体素子を作製する際に熱処理が施された場合でも、断熱層により熱が緩和され、高分子基板の損傷が抑制される。しかも、断熱層の空隙率を5%以上60%以下としたため、断熱層の熱伝導率が低く、かつ、断熱層表面の平滑性に優れる。更に、断熱層のマトリックス(母材)の主成分を無機物としたことにより、断熱層自体の耐熱性も優れる。
従って、本発明によれば、熱伝導率が低くかつ表面の平滑性に優れた断熱層を備え、半導体素子作製の際の熱処理に耐え得る半導体素子用基板が提供される。
また、本発明の半導体素子用基板では、中空粒子により容易に多孔質構造が得られる。 このため、前記マトリックスとして金属アルコキシド(例えばアルコキシシラン)の重合物を用いる場合には、金属アルコキシドの重合に伴う収縮が抑えられ、半導体素子用基板の反りが抑制されるとともに、断熱層のヤング率が減少し、断熱層の耐クラック性が向上する。
また、本発明の半導体素子用基板では、断熱層(マトリックス(母材))が無機物主体であるため、断熱層(マトリックス(母材))が有機物(樹脂)主体である場合と比較して、断熱層と半導体素子の金属酸化膜との密着性にも優れている。
また、本発明の半導体素子用基板では、断熱層(マトリックス(母材))が無機物主体であるため、断熱層(マトリックス(母材))が有機物(樹脂)主体である場合と比較して、無機物の中空粒子の分散性にも優れている。
本発明の半導体素子用基板は、断熱層側に半導体素子を形成するためのフレキシブル基板(例えば、透明なフレキシブル基板)として特に好適に用いられる。
本発明の半導体素子用基板は、半導体素子作製の際の熱処理に耐え得るものであるため、本発明の半導体素子用基板の断熱層側には、良好な特性を有し、信頼性に優れた半導体素子を作製することができる。
本発明において、断熱層の空隙率は5%以上60%以下であることが必要である。
本発明における空隙率は、断熱層の断面SEM像(走査型電子顕微鏡写真:倍率10,000〜500,000倍)を画像解析し、断熱層断面における空隙の占める割合(面積比;単位%)として算出された値を指す。
具体的には、空隙率の測定は以下のようにして行う。
フィルム状の試料(即ち、本発明の半導体素子用基板)表面にカーボン蒸着とPtコートを施した後、FIB−SEM複合機を用いて、FIB加工により断面を切り出し、加速電圧1kVで断面SEM反射電子像(倍率10,000〜500,000倍)を観察する。ここで、断面SEM反射電子像の倍率は上記の範囲で適宜調整できるが、特に、中空粒子の数平均粒子径が500nm以下の場合は65000倍が好ましく、中空粒子の数平均粒子径が500nm以上の場合は、10000倍が好ましい。
次に、得られた断面像を、画像解析ソフトWinroof(三谷商事製)を用いてノイズ等を除去した後、判別分析法により、自動2値化を行う。
自動2値化された断面像のうち、一定面積中に占める暗部の割合(面積比)を空隙率と規定する。
前記空隙率が5%未満であると、断熱層の熱伝導率が高くなる。即ち、中空粒子を添加した効果が十分に得られない。更には、特に膜厚が厚い場合に断熱層にクラックが入りやすくなり、半導体素子用基板としては適さない。
前記空隙率が60%を超えると、断熱層表面の平滑性が低下する(即ち、断熱層表面が粗くなる)。即ち、マトリックス中で中空粒子をうまく分散させることができず、平滑性が失われるため、半導体素子用基板としては適さない。
本発明による効果をより効果的に得る観点からは、断熱層の空隙率は、5%以上50%以下が好ましく、5%以上40%以下がより好ましく、5%以上30%以下が更に好ましく、10%以上30%以下が特に好ましい。
以下、本発明の半導体素子用基板を構成する各要素について説明する。
<高分子基板>
本発明に用いられる高分子基板としては、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、シンジオタクチックポリスチレンン(SPS)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート(PAr)、ポリスルホン(PSF)、ポリエステルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、環状ポリオレフィン、ポリイミド(PI)等が挙げられる。好ましくは、ポリエチレンナフタレート(PEN)である。
前記高分子基板としては、熱膨張係数が30ppm/℃以下のものが好ましい。このような高分子基板を用いることにより本発明の上記効果が顕著となる。ここでいう熱膨張係数は、TMA8310(理学電気株式会社製、Thermo Plusシリーズ)にて測定した値である。このような要件を満たす高分子基板として、例えば、PET(東レルミラー、15ppm/℃)、PEN(DuPont−Teijin Q65A 20ppm/℃),PI(宇部興産ユーピレックス、20ppm/℃)、アラミド樹脂(帝人、2ppm/℃)等が挙げられる。
また、以下に挙げるような、ガラス転移点(Tg)が120℃以上の樹脂に、ゾル・ゲル法、ガラスクロス、ガラスファイバー等の無機物を添加して、30ppm/℃以下の熱膨張係数を達成しても良い。
ガラス転移点(Tg)が120℃以上の樹脂の好ましい例としては(括弧内はTgを示す)、ポリカーボネート樹脂(PC:140℃)、脂環式ポリオレフィン樹脂(例えば日本ゼオン(株)製 ゼオノア1600:160℃、JSR(株)製 アートン:170℃)、ポリアリレート樹脂(PAr:210℃)、ポリエーテルスルホン樹脂(PES:220℃)、ポリスルホン樹脂(PSF:190℃)、ポリエステル樹脂(例えば鐘紡(株)製 O−PET:125℃、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、シクロオレフィンコポリマー(COC:特開2001−150584号公報の実施例1の化合物:162℃)、フルオレン環変性ポリカーボネート樹脂(BCF−PC:特開2000−227603号公報の実施例−4の化合物:225℃)、脂環変性ポリカーボネート樹脂(IP−PC:特開2000−227603号公報の実施例−5の化合物:205℃)、アクリロイル化合物(特開2002−80616号公報の実施例−1の化合物:300℃以上)のものが挙げられる。
また、下記式(A)で表されるビスフェノール(下記式(A)中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子又は置換若しくは無置換のアルキル基である。Xは、置換又は無置換のアルキレン基である)をビスフェノール成分とするポリカーボネート樹脂も好ましい例として挙げられる。

本発明における高分子基板として使用される樹脂の構造単位はそれぞれ1種類だけであっても2種類以上が混合されていてもよい。また本発明の効果を損なわない範囲で他の構造単位を含んでいてもよい。このような他の構造単位は、好ましくは全体の50モル%以下であり、より好ましくは10モル%以下である。
また、本発明における高分子基板として使用される樹脂には、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、他の樹脂がブレンドされていてもよく、2種以上の樹脂から構成されていてもよい。
本発明における高分子基板として使用される樹脂の分子量は、数平均分子量で10000〜300000(ポリスチレン換算)であることが好ましく、より好ましくは20000〜200000、さらに好ましくは30000〜150000である。このような分子量の範囲とすることにより、高分子基板の機械的強度をより好ましいものとすることができる。
本発明における高分子基板として、耐溶剤性、耐熱性等の観点から架橋樹脂も好ましく用いることができる。架橋樹脂の種類としては熱硬化性樹脂、放射線硬化樹脂のいずれも種々の公知のものを特に制限なく用いることができる。
前記熱硬化性樹脂の例としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、フラン樹脂、ビスマレイミド樹脂、シアネート樹脂等が挙げられる。架橋方法としては共有結合を形成する反応であれば特に制限なく用いることができ、ポリアルコール化合物とポリイソシアネート化合物を用いて、ウレタン結合を形成するような室温で反応が進行する系も特に制限なく使用できる。ただし、このような系は製膜前のポットライフが問題になる場合が多く、通常、製膜直前にポリイソシアネート化合物を添加するような2液混合型として用いられる。一方で1液型として用いる場合、架橋反応に携わる官能基を保護しておくことが有効であり、ブロックタイプ硬化剤として市販もされている。市販されているブロックタイプ硬化剤として、三井武田ケミカル(株)製B−882N、日本ポリウレタン工業(株)製コロネート2513(以上ブロックポリイソシアネート)、三井サイテック(株)製サイメル303(メチル化メラミン樹脂)等が知られている。また、エポキシ樹脂の硬化剤として用いることのできるポリカルボン酸を保護した下記B−1で表されるようなブロック化カルボン酸も知られている。

前記放射線硬化樹脂としては、ラジカル硬化性樹脂、カチオン硬化性樹脂に大別される。
前記ラジカル硬化性樹脂の硬化性成分としては分子内に複数個のラジカル重合性基を有する化合物が用いられ、代表的な例として分子内に2〜6個のアクリル酸エステル基を有する多官能アクリレートモノマーと称される化合物やウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレートと称される分子内に複数個のアクリル酸エステル基を有する化合物が用いられる。ラジカル硬化性樹脂の代表的な硬化方法として、電子線を照射する方法、紫外線を照射する方法が挙げられる。通常、紫外線を照射する方法においては紫外線照射によりラジカルを発生する重合開始剤を添加する。なお、加熱によりラジカルを発生する重合開始剤を添加すれば、熱硬化性樹脂として用いることもできる。
前記カチオン硬化性樹脂の硬化性成分としては分子内に複数個のカチオン重合性基を有する化合物が用いられ、代表的な硬化方法として紫外線の照射により酸を発生する光酸発生剤を添加し、紫外線を照射して硬化する方法が挙げられる。カチオン重合性化合物の例としては、エポキシ基等の開環重合性基を含む化合物やビニルエーテル基を含む化合物を挙げることができる。
本発明における高分子基板において上記で挙げた熱硬化性樹脂、放射線硬化樹脂のそれぞれ複数種を混合して用いてもよく、熱硬化性樹脂と放射線硬化樹脂を併用しても良い。また、架橋性樹脂と架橋性基を有さないポリマーと混合して用いてもよい。
さらに、前記高分子基板として使用される樹脂にこれら架橋性樹脂を混合して用いた場合、得られた高分子基板の耐溶剤性、耐熱性、光学特性、強靭性を両立でき好ましい。また、前記高分子基板として使用される樹脂に架橋性基を導入することも可能であり、ポリマー主鎖末端、ポリマー側鎖、ポリマー主鎖中のいずれの部位に架橋性基を有していてもよい。この場合、上記で挙げた汎用の架橋性樹脂を併用せずに高分子基板を作製しても良い。
本発明における高分子基板は延伸されていても良い。
延伸により耐折強度等機械的強度が改善され、取扱性が向上する利点がある。特に延伸方向のオリエンテーションリリースストレス(ASTM D1504、以下ORSと略記する)が0.3〜3GPaであるものは機械的強度が改善され好ましい。ORSは延伸フィルムまたはシートに凍結されている、延伸により生じた内部応力である。延伸は、公知の方法が使用でき、例えば樹脂のガラス転移温度(Tg)より10℃高い温度から、50℃高い温度の間の温度で、ロール一軸延伸法、テンター一軸延伸法、同時二軸延伸法、逐次二軸延伸法、インフレーション法により延伸できる。延伸倍率は1.1〜3.5倍が好ましく用いられる。
本発明における高分子基板の厚みは、特に規定されないが30μm〜700μmが好ましく、より好ましくは40μm〜500μm、さらに好ましくは50μm〜250μmである。さらにいずれの場合もヘイズは3%以下が好ましく、より好ましくは2%以下、さらに好ましくは1%以下、全光透過率は70%以上が好ましく、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上である。
本発明における高分子基板には、必要により本発明の効果を損なわない範囲で、可塑剤、染顔料、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、無機微粒子、剥離促進剤、レベリング剤および潤滑剤等の樹脂改質剤を添加しても良い。
前記高分子基板は光透過性および非光透過性のいずれであってもよい。前記高分子基板として、非光透過性の高分子基板を用いる場合には、光反射性を有する白色の高分子基板を用いることができる。白色高分子基板としては、酸化チタン、酸化亜鉛等の無機顔料を添加した高分子基板が挙げられる。なお、前記高分子基板が表示面を構成する場合は、可視域の光に対して光透過性を有することが好ましい。
<断熱層>
本発明における断熱層は、前記高分子基板上に設けられる層であり、かつ、無機物を主成分とするマトリックス(母材)と無機物の中空粒子とを含む、空隙率5%以上60%以下の層である。
空隙率については既述のとおりである。
以下、断熱層の成分である、無機物を主成分とするマトリックス、無機物の中空粒子、その他の成分等について説明する。
(無機物を主成分とするマトリックス)
本発明における断熱層は、無機物を主成分とするマトリックス(母材)を含む。
ここで「主成分」とは、マトリックスを構成する成分のうち最も質量比率の高い成分を指す。特に、本発明では、マトリックスの全質量中に占める無機物の質量の比率が、40質量%以上100質量%以下であることが好ましく、70質量%以上100質量%以下であることがより好ましい。
前記無機物として、具体的には、シリカ(SiO)、酸化亜鉛(ZnO)、チタニア(TiO)、ジルコニア(ZrO)、アルミナ(Al)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化バナジウム(V等)、酸化マンガン(MnO等)、酸化鉄(Fe等)、酸化コバルト(CoO)、酸化ニッケル(NiO)、酸化銅(CuO等)、等の金属酸化物、あるいは複合金属酸化物;炭化ケイ素(SiC)等の金属炭化物、窒化ケイ素(Si)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ガリウム(GaN)等の金属窒化物;等が挙げられるが、半導体素子用基板として用いる観点からは、安定性、絶縁性、誘電率の点から、シリカ(SiO)、酸化亜鉛(ZnO)、チタニア(TiO)、ジルコニア(ZrO)、アルミナ(Al)が好ましく、シリカ(SiO)が特に好ましい。
また、前記「無機物を主成分とするマトリックス」としては、具体的には、金属アルコキシドの重合物や、無機物粒子の堆積物(有機物バインダーを含んでいてもよい)、等が挙げられるが、均質なマトリックスを得やすい点からは、金属アルコキシドの重合物が好ましい。
なお、ここでいう、金属アルコキシドは、広義の金属元素(ケイ素等の半導体元素を含む)のアルコキシドを指す。
前記金属アルコキシドとしては、アルコキシシラン、チタンアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド、アルミニウムアルコキシド、等が挙げられるが、クラックがなく、均質なマトリックスを得やすい点からは、アルコキシシランが好ましい。
前記アルコキシシランとしては、アルコキシ基を4個有するテトラアルコキシシラン、アルコキシ基を3個有するトリアルコキシシラン、アルコキシ基を2個有するジアルコキシシランを用いることができる。これらのアルコキシ基の種類は特に制限されないが、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等、アルコキシ基中の炭素原子の数が比較的少ないもの(炭素数として1〜4程度のもの)が反応性の点から有利である。また、トリアルコキシシランやジアルコキシシランを用いる場合は、アルコキシシラン中のケイ素原子には有機基、水酸基等が結合していてもよく、当該有機基はエポキシ基、アミノ基、メルカプト基、ビニル基、等の官能基をさらに有していてもよい。
前記テトラアルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン等が挙げられる。
前記トリアルコキシシランとしては、メチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、シアノプロピルトリメトキシシラン、3−ブロモプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシジロキシプロピルトリメトキシシラン、3−イオドプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、トリメトキシ[2−(7−オキサビシクロ[4,1,0]ヘプト−3−イル)エチル]シラン、1−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ウレア、N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アニリン、トリメトキシ[3−フェニルアミノプロピル]シラン、アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、トリメトキシ[2−フェニルエチル]シラン、トリメトキシ(7−オクテン−1−イル)シラン、トリメトキシ(3,3,3−トリフルオロプロピル)シラン、3−[2−(2−アミノエチルアミノ)エチルアミノ]プロピルトリメトキシシラン、[3−(2−アミノエチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、ビス(3−メチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、N,N−ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、トリメトキシ(3−メチルアミノ)プロピルシラン、
メチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、(1−ナフチル)トリエトキシシラン、[2−(シクロヘキセニル)エチル]トリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−[ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]プロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−グリシジロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、4−クロロフェニルトリエトキシシラン、(ビシクロ[2,2,1]ヘプト−5−エン−2−イル)トリエトキシシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、ペンタフルオロフェニルトリエトキシシラン、3−(トリエトキシシリル)プロピオニトリル、3−(トリエトキシシリル)プロピルイソシアネート、ビス[3−トリエトキシシリルプロピル]テトラスルフィド、トリエトキシ(3−イソシアナトプロピル)シラン、トリエトキシ(3−チオイソシアナトプロピル)シラン等が挙げられる。
前記ジアルコキシシランとしては、ジメトキシジメチルシラン、ジエトキシジメチルシラン、ジエトキシ−3−グリシドキシプロピルメチルシラン、ジメトキシジフェニルシラン、ジメトキシメチルフェニルシラン等が挙げられる。
このようなアルコキシシランは、単独で用いることもできるが2種類以上を組み合わせて用いることも可能である。また、上記のアルコキシ基を2〜4個有するアルコキシシランは、アルコキシ基を1個有するモノアルコキシシランと組み合わせて使用することも可能である。このようにして用いることのできるモノアルコキシシランとしては、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、3−クロロプロピルジメチルメトキシシラン等が挙げられる。
これらのアルコキシシランの重合によって得られるシリカ膜の厚さは、高い断熱効果を得る観点から、なるべく厚いほうが好ましい。ただし、クラックが入ったり、平滑性が失われたりしない範囲であることが好ましい。このような特性を有するシリカ膜の成膜方法として、例えば、特開平9−251629記載の処方がある。
この処方の特徴としては、エポキシ基を有する有機残基を含んだアルコキシシランを原料として用いる点にある。このようなアルコキシシランの重合物からなる重合膜は、シロキサン結合およびエポキシ基の開環による結合からなっているため、従来のポリエステル樹脂等と比較して平滑性、耐熱性、耐ブロッキング性に優れている。またこの重合膜は、テトラエトキシシラン等を出発原料としたゾル・ゲル法によって作製されるシリカ膜と比較して耐クラック性に優れている。これらの点から、上記処方は、断熱層のマトリックスとして適している。
本発明で用いられることがあるアルコキシシランは、例えば下記一般式(1)で表される化合物である。

但し、Aはアルキレン基等2価の有機残基を表し、Eは水素またはアルキル基等の1価の有機残基を表し、Rはアルキル基等の1価の有機残基を表し、Xはアルコキシ基、水酸基、ハロゲン、水素から選択される1価の基を表す。また、L、M、及びNは、それぞれ独立に、0〜4の整数である。但し、L+M+N=4である。
前記一般式(1)において、Eは好ましくは水素である。
Rは好ましくはメチル基、エチル基等1価のアルキル基である。
Xは反応性や磁性膜への腐食性を考慮すると好ましくはアルコキシ基であり、重合反応を容易とするため、特にメトキシ基等炭素数4以下のアルコキシ基が好ましい。Mは好ましくは1または2であるが、重合反応を容易とするため、特に1で有ることが好ましい。Lは好ましくは0または1であるが、重合反応を容易とするため、特に好ましくは0である。従ってNは特に3であることが好ましい。
Aは、アルキレン基を含む2価の基であることが好ましく、アルキレン基と酸素原子とが組み合わされた2価の基(例えば、「−(CHO(CH−」で表される基(m及びnはそれぞれ独立に1〜6の整数である)、等)がより好ましい。
このような化合物としては、

等が挙げられる。これらの化合物は、特開昭51−11871号、特開昭63−23224号に記載されている。
上記エポキシ基を有する有機残基を含んだアルコキシシランのアルコキシシラン等の部分は後述の方法によって塗布乾燥することによって加水分解、重合してシロキサン結合を生成する。一方、エポキシ基は熱によって開環重合する。この加水分解速度と重合速度は必要に応じて塩酸等の酸を添加することによって調整できる。
より低温から重合を開始させるため、硬化剤の併用が好ましく、例えば金属キレート化合物、有機酸およびその塩、過塩素酸塩等、様々な化合物が知られているが、特に硬化剤としては硬化の低温化、腐食性の理由から金属キレート化合物が好ましい。例えば3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランにアルミニウムアセチルアセトネートを硬化触媒として加えた場合100℃前後で短時間加熱するだけで硬化できるため、ポリエチレンテレフタレート等耐熱性の低い基板上でも硬化できる。従ってグラビア連続塗布法を用いてブロッキングを生じること無く、巻き取ることができる。このような硬化剤としては、アルミニウムアネチルアセトネート、ジルコニウムアネチルアセトネート、チタニウム等のβ−ジケトン類と金属のキレート化合物が特に有効である。
また、エポキシ基を有する有機残基を含んだアルコキシシランは一般に高価であるので、エポキシ基を有する有機残基を含んだアルコキシシランと例えばメチル基等の炭化水素基を含んだアルコキシシランを混合して用いることが、低コスト化の点で好ましい。炭化水素を含んだアルコキシシランを併用すると断熱層の耐熱性を向上させることもできる。具体的にはこの炭化水素基を含んだアルコキシシランは下記のような構造である。
R−Si(OR’)
但し、R、R’は、それぞれ独立に、炭素数1〜12の炭化水素基を表す。
Rの炭素数は少ないほど断熱層の向上に効果的であり、好ましい炭素数は1〜6である。
(無機物の中空粒子)
本発明における断熱層は、無機物の中空粒子を含有する。
断熱層に中空粒子を含むことで、断熱層の熱伝導率を下げることができる。
本発明における無機物の中空粒子としては、シリカ中空粒子、アルミナ中空粒子、チタニア中空粒子、炭酸カルシウム中空粒子、酸化亜鉛中空粒子、等が挙げられる。
中でも、マトリックスへの分散性の観点からは、シリカ中空粒子が特に好ましい。
中空粒子の好ましい粒子径は、10nm以上1000nm以下である。粒子径は断熱層の膜厚に応じて選ばれる。粒子径が10nm以上であれば、中空構造の粒子を得ることがより容易となり、断熱効果をより効果的に得ることができる。一方、粒子径が1000nm以下であれば、断熱層の平滑性がより向上する。
前記中空粒子の粒子径は、10nm以上500nm以下がより好ましく、10nm以上100nm以下が特に好ましい。
なお、本発明において粒子径は、数平均粒子径を表し、加速電圧80kVで観察したTEM電子像(倍率10,000〜500,000倍)を、画像解析ソフトWinroof(三谷商事製)を用いてノイズ等を除去した後、円相当径を算出することにより測定された値を指す。後述の無機微粒子の粒子径も同様である。ここで、TEM電子像の倍率は上記範囲内で観察対象により適宜調整できる。
後述の無機微粒子の粒子径も同様である。
前記無機物の中空粒子は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、断熱層中における中空粒子の比率は、断熱層の空隙率が5%以下60%以下になる範囲となる範囲で選択される。
具体的には、断熱層中における中空粒子(中空粒子が2種以上の場合には合計量)の比率は、断熱層のマトリックス全量に対し、5質量%以上200質量%以下であることが好ましく、10質量%以上100質量%以下であることがより好ましい。
シリカ中空粒子は、特開2002−79616号公報記載の手法や、特開2007−70458号公報記載の手法、特開2005−263550号公報記載のコアシェル粒子を利用する方法によって、合成することができる。
アルミナ中空粒子は、特開平11−116211号公報記載のエマルジョン燃焼プロセス等によって、合成することができる。
炭酸カルシウム中空粒子は、特願2006−301117号公報のバブルテンプレート法等によって、合成することができる。
(中空粒子以外の無機微粒子)
断熱層は、平滑性をより向上させる観点から、前記中空粒子以外の無機微粒子(以下、単に「前記無機微粒子」ともいう)を含有してもよい。
前記無機微粒子としては、特に、数平均粒子径が1nm以上100nm以下(より好ましくは1nm以上50nm以下、特に好ましくは1nm以上10nm以下)の無機物のナノ粒子が好ましい。ナノ粒子を用いることで、中空粒子同士の隙間にナノ粒子が入り込む効果によって、平滑性を更に向上させることができる。
前記無機微粒子としては、ジルコニア粒子、チタニア粒子、シリカ粒子等が用いられる。特に好ましくは、これらのナノ粒子である。
前記無機微粒子は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
断熱層中における前記無機微粒子(前記無機微粒子が2種以上の場合には合計量)の比率は、断熱層のマトリックス全量に対し、0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましく、1質量%以上5質量%以下であることがより好ましい。
(その他の成分等)
また、本発明における断熱層は、必要に応じ、上述した成分以外のその他の成分を含んでいてもよい。
その他の成分(添加剤)としては、耐熱性ならびに塗膜の硬度を調整するための金属アルコキシド、高分子基板との密着を改善するためのカップリング剤等が挙げられる。
耐熱性ならびに塗膜の硬度を調整するための金属アルコキシドとしてはテトラエトキシシラン、テトラプロポキシジルコニウム等が挙げられ、これらの添加によって耐熱性と硬度を向上させることができる。
また、本発明における断熱層の厚さは、好ましくは100nm以上30μm以下であり、500nm以上15μm以下がより好ましい。
断熱層が100nm以上であると、断熱効果をより効果的に得ることができ、断熱層が30μm以下であると、熱膨張率の違いにより基板が反る現象や、基板を曲げた際に断熱層にクラックが入る現象を、より効果的に抑制できる。
以上で説明した本発明の半導体素子用基板を製造する方法については特に限定はないが、下記の本発明の半導体素子用基板の製造方法が好適である。
≪半導体素子用基板の製造方法≫
本発明の半導体素子用基板の製造方法は、高分子基板上に、無機物を主成分とするマトリックスの前駆体と無機物の中空粒子とを含む塗布液を塗布して塗膜を形成する塗布工程と、形成された前記塗膜を加熱して空隙率5%以上60%以下の断熱層を形成する加熱工程と、を有して構成される。
上記製造方法は、ゾルゲル法とも呼ばれる方法であり、該製造方法により、既述の本発明の半導体素子用基板が作製される。
本発明の半導体素子用基板の製造方法は、必要に応じその他の工程を有していてもよい。
また、高分子基板、断熱層、空隙率等の各要素については、既述の本発明の半導体素子用基板で説明したとおりであり、好ましい形態も同様である。
以下、各工程について説明する。
(塗布工程)
本発明における塗布工程は高分子基板上に、無機物を主成分とするマトリックスの前駆体と無機物の中空粒子とを含む塗布液を塗布して塗膜を形成する。
−塗布液−
本発明における塗布液に含まれる、無機物を主成分とするマトリックスの前駆体は、加熱により、前述の「無機物を主成分とするマトリックス」となる成分であれば特に限定はなく、例えば、金属アルコキシド、金属酸化物等のセラミックス粒子のコロイド(有機物のバインダーを含んでいてもよい)、等が挙げられるが、均質で平滑性の高いマトリックスを得やすい点からは、金属アルコキシド(最も好ましくはアルコキシシラン)が特に好ましい。
本発明において、前駆体として金属アルコキシドを用いる場合は、後述の加熱工程において、金属アルコキシドの重合を行うことが好ましい。
なお、前記塗布液中における、無機物の中空粒子や金属アルコキシドについては、既述の本発明の半導体素子用基板で説明したとおりであり、好ましい形態も同様である。
また、形成される断熱層表面の平坦性の観点からは、前記塗布液は、更に、前記無機微粒子(好ましくは数平均粒子径1nm以上100以下の無機微粒子)を含むことが好ましい。
また、本発明において塗布液は、アルコール分散した中空粒子ゾルや酸性水溶液分散した中空粒子ゾル等が特に好適である。
即ち、前記塗布液は溶剤を含むことが好ましく、溶剤としては、例えば、エタノール、メタノール等を用いることができる。またこれらにイソプロピルアルコールやメチルエチルケトン等を混合した混合溶剤を使用することもできる。また、溶剤として水を用いてもよい。
また、前記塗布液は、無機物を主成分とするマトリックスの前駆体、無機物の中空粒子、及び溶剤以外にも、各種酸(例えば、塩酸、酢酸、硫酸、硝酸、リン酸、等)、各種塩基(例えば、アンモニア、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等)、前述の硬化剤(例えば、金属キレート化合物等)、粘度調整剤(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等)等、その他の成分を含有していてもよい。
また、前記塗布液は、塗布前に濾過することが好ましい。濾過のフィルターは、塗布液中の成分が除去されない範囲でできるだけ孔径の小さいものを使うことが好ましい。濾過には絶対濾過精度が0.1〜10μmのフィルターが用いられ、さらには絶対濾過精度が0.1〜5μmであるフィルターを用いることが好ましく用いられる。フィルターの厚さは、0.1〜10mmが好ましく、更には0.2〜2mmが好ましい。その場合、ろ過圧力は15kg/cm以下、より好ましくは10kg/cm以下、更には2kg/cm以下で濾過することが好ましい。
ろ過フィルター部材は、塗布液に影響を及ぼさなければ特に限定されない。具体的には、前記した無機化合物の湿式分散物のろ過部材と同様のものが挙げられる。
また、濾過した塗布液を、塗布直前に超音波分散して、脱泡、分散物の分散保持を補助することも好ましい。
−塗布方法−
前記塗布液を高分子基板上に塗布する方法としては特に限定はなく、例えば、ドクターブレード法、ワイヤーバー法、グラビア法、スプレー法、ディップコート法、スピンコート法等の手法を用いることができる。
(加熱工程)
本発明における加熱工程は、前記塗布工程で形成された前記塗膜を加熱して空隙率5%以上60%以下の断熱層を形成する工程である。
該加熱により、塗膜の乾燥及び硬化が行われる。
ここで、塗膜の硬化とは、例えば、塗膜が金属アルコキシドを含む場合には該金属アルコキシドの重合を指す。
前記乾燥は、塗布液に含まれ得る溶剤を揮発させために行われるものであるが、この時点で同時に硬化を行うこともできる。
即ち、前記加熱工程における加熱は、一段階の加熱により乾燥及び硬化を同時に行う形態であってもよいし、二段階以上の加熱により乾燥と硬化とを別個独立に行う形態であってもよいし、前記二形態が組み合わされた形態であってもよい。
乾燥方法としては一般的に行われている熱風乾燥、赤外線乾燥等が使用できる。このときの乾燥温度は60℃〜150℃程度が好ましい。
塗膜の乾燥の後、さらに硬化を促進させる焼成方法としては、熱風加熱、赤外線加熱、熱ローラー加熱等を使用できる。このときの加熱温度としては塗膜の厚みと後のTFTの作製温度にもよるが、塗膜の厚みが1μm前後の場合には、好ましくは100℃〜250℃、より好ましくは120℃〜200℃の範囲である。前記温度が100℃以上であると重合反応をより進行させることができる。前記温度が250℃以下であると高分子基板の変形をより抑制でき、また、生産性をより向上できる。
(その他の工程)
本発明の半導体素子用基板の製造方法は、前記塗布工程及び前記加熱工程以外のその他の工程を有していてもよい。
また加熱による重合(硬化)以外にも紫外線照射、電子線照射等による重合(硬化)を併用してもよい。
また、断熱層と高分子基板との密着性を更に向上させるために、アルコキシシラン等の添加剤の添加や、表面グラフト化等による高分子基板の表面処理;酸素プラズマ、アルゴンプラズマ、紫外線照射、電子線照射、火炎、オゾン等による処理;等の処理を施してもよい。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
〔実施例1〕
<半導体素子用基板の作製>
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン10部、フェニルトリエトキシシラン10部、アルミニウムアセチルアセトネート0.2部、塩酸2部、及び水5部を混合した溶液に、合成されるポリシルセスキオキサン(マトリックスであるアルコキシシラン重合物)に対して12.5質量%となる量のシリカ中空粒子(触媒化成製「スルーリア−60」、平均粒子径60nm)を分散させて、断熱層用塗布液を調製した。
調製された断熱層用塗布液を、最大突起厚さが0.01μm、厚さ100μmのポリエチレンナフタレートフィルム(PEN;高分子基板)上にドクターブレード法で塗布して塗膜を形成し、形成された塗膜を100℃で乾燥させた。続いて塗膜を170℃で1時間乾燥し、硬化及び脱溶媒処理を行い、断熱層とした。
以上により、高分子基板上に断熱層を有する構成の半導体素子用基板を得た。
図1は、実施例1の半導体素子用基板の断面を示すSEM写真である。
図1に示すように、実施例1の半導体素子用基板では、高分子基板であるPEN上に、断熱層である多孔質のシリカ層(層厚0.3μm)が形成されていた。
<測定及び評価>
上記で得られた半導体素子用基板について、以下の測定及び評価を行った。
評価結果を下記表1に示す。
(断熱層の空隙率)
上記で得られた半導体素子用基板の試料表面にカーボン蒸着とPtコートを施した後、FIB−SEM複合機を用いて、FIB加工により断面を切り出し、加速電圧1kVで断面SEM反射電子像(倍率65,000倍)を観察した。
次に、得られた断面像を、画像解析ソフトWinroofを用いてノイズ等を除去した後、判別分析法により、自動2値化を行った。
自動2値化された断面像のうち、一定面積中に占める暗部の割合(面積比)を測定し、空隙率とした。
(断熱層の熱伝導率)
上記で得られた半導体素子用基板の断熱層の熱拡散率を、熱拡散率測定装置(アルバック理工製LaserPIT)を用いて測定し、下記式1〜式5により熱伝導率を算出した。この熱伝導率は、0.90W/m・K以下であれば実用上許容範囲内である。
密度ρ[gcm−3]=1.3 … 式1
比熱c[Jkg−1−1]=0.7 … 式2
体積あたり熱容量C[JK−1−3]=ρc … 式3
熱拡散率α[m−1] … 式4
熱伝導率λ[Wm−1−1]=Cα … 式5
(断熱層表面の平滑性)
上記で得られた半導体素子用基板の断熱層表面の平滑性を目視で観察した。
目視観察により断熱層表面の平坦性が良好だった場合には、更に、断熱層の表面粗さを光学式非接触3次元表面形状測定装置(Veeco製Wyko NT1100)を用いて測定した。
ここで表面粗さは、JIS B0601(1994)に規定されている算術平均粗さ(Ra)を指す。
上記表面粗さは、0.05μm以下であれば実用上許容範囲内である。
(半導体素子用基板の反り)
上記で得られた半導体素子用基板の反りの曲率半径を、以下のようにして測定した。
即ち、基板を10mm角に切り出し、光学式非接触3次元表面形状測定装置(Veeco製Wyko NT1100)を用いて、曲率半径を測定した。反りの曲率半径が大きい程、半導体素子用基板の反りが小さいことを示す。
(断熱層のクラック)
まず、光を吸収させる目的で半導体素子用基板の断熱層側を黒く着色し、レーザーにより表面温度200℃程度まで加熱を行った。
次に、上記レーザーによる加熱後の半導体素子用基板における断熱層のクラックの有無を、原子間力顕微鏡(視野50μm四方)を用いて確認した。
(半導体素子用基板におけるオリゴマーの析出)
まず、光を吸収させる目的で半導体素子用基板の断熱層側を黒く着色し、レーザーにより表面温度200℃程度まで加熱を行った。
次に、上記レーザーによる加熱後の半導体素子用基板について、断熱層側表面(後述の比較例5では高分子基板表面)におけるオリゴマー析出の有無を、光学顕微鏡(倍率1000倍)にて観察した。
〔実施例2〕
実施例1において、断熱層用塗布液中のシリカ中空粒子(触媒化成製スルーリア−60)の量を、合成されるポリシルセスキオキサン(マトリックスであるアルコキシシラン重合物)に対して125質量%となる量に変更した以外は実施例1と同様にして半導体素子用基板を作製し、実施例1と同様の測定及び評価を行った。
測定及び評価の結果を下記表1に示す。
図2は、実施例2の半導体素子用基板の断面を示すSEM写真である。
図2に示すように、実施例2の半導体素子用基板では、高分子基板であるPEN上に、断熱層である多孔質のシリカ層(層厚1.1μm)が形成されていた。
〔実施例3〕
実施例2において、断熱層用塗布液中に、更に、合成されるポリシルセスキオキサン(マトリックスであるアルコキシシラン重合物)に対して10質量%となる量のジルコニア粒子(数平均粒子径3nm)を添加した以外は実施例2と同様にして半導体素子用基板を作製し、実施例2と同様の測定及び評価を行った。
測定及び評価の結果を下記表1に示す。
〔比較例1〕
実施例1において、シリカ中空粒子(触媒化成製「スルーリア−60」、平均粒子径60nm)を用いなかったこと以外は実施例1と同様にして半導体素子用基板を作製し、実施例1と同様の測定及び評価を行った。
測定及び評価の結果を下記表1に示す。
図3は、比較例1の半導体素子用基板の断面を示すSEM写真である。
図3に示すように、比較例1の半導体素子用基板では、高分子基板であるPEN上に、多孔質ではないシリカ層(層厚1.9μm)が形成されていた。
〔比較例2〕
実施例1において、断熱層用塗布液中のシリカ中空粒子(触媒化成製スルーリア−60)の量を、合成されるポリシルセスキオキサン(マトリックスであるアルコキシシラン重合物)に対して2質量%となる量に変更した以外は実施例1と同様にして半導体素子用基板を作製し、実施例1と同様の測定及び評価を行った。
測定及び評価の結果を下記表1に示す。
〔比較例3〕
実施例1において、断熱層用塗布液中のシリカ中空粒子(触媒化成製スルーリア−60)の量を、合成されるポリシルセスキオキサン(マトリックスであるアルコキシシラン重合物)に対して500質量%となる量に変更した以外は実施例1と同様にして半導体素子用基板を作製し、実施例1と同様の測定及び評価を行った。
測定及び評価の結果を下記表1に示す。
比較例3の半導体素子用基板は、乾燥によって、断熱層表面に多数のブツが発生し、目視観察により平滑性が極めて悪い(即ち、粗い)ことが確認された。
〔比較例4〕
実施例1において、断熱層用塗布液中のシリカ中空粒子(触媒化成製スルーリア−60)を、合成されるポリシルセスキオキサン(マトリックスであるアルコキシシラン重合物)に対して10質量%となる量の、平均粒子径60μmの中空ガラスビーズ(PQコーポレーション製)に変更した以外は実施例1と同様にして半導体素子用基板を作製し、実施例1と同様の測定及び評価を行った。
測定及び評価の結果を下記表1に示す。
比較例4の半導体素子用基板は、目視観察により平滑性が極めて悪い(即ち、粗い)ことが確認された。
〔比較例5〕
最大突起厚さが0.01μm、厚さ100μmのポリエチレンナフタレートフィルム(PEN;高分子基板)を半導体素子用基板(断熱層無し)とし、実施例1と同様の測定及び評価を行った。
測定及び評価の結果を下記表1に示す。
表1に示すように、中空粒子を含み、かつ、空隙率5%以上60%以下である断熱層を有する実施例1〜実施例3の半導体素子用基板では、断熱層の熱伝導率が低く、断熱層表面の平滑性に優れていた。具体的には、中空粒子を入れても表面の平滑性はほとんど損なわれなかった。更に、実施例1〜実施例3の半導体素子用基板は反りも小さく、熱処理による損傷(即ち、断熱層のクラック及びオリゴマーの析出)が抑制されており、半導体素子作製の際の熱処理に耐え得る基板であることが確認された。中でも、空隙率が比較的高い実施例2及び3では、熱伝導率が特に低かった。
一方、中空粒子を含まない比較例1、空隙率が5%未満である比較例2では、熱伝導率が上昇した。
また、空隙率が60%を超える比較例3及び4では、表面の平滑性が極めて悪かった。
また、断熱層を有しない比較例5では、熱処理によりオリゴマーが析出し、半導体素子作製の際の熱処理に耐えられないことが確認された。
以上、無機物を主成分とするマトリックスとしてアルコキシシランの重合物を用い、無機物の中空粒子としてシリカ中空粒子を用いた実施例について説明したが、アルコキシシランの重合物以外の重合物や、シリカ中空粒子以外の無機物の中空粒子を用いた場合にも、断熱層の空隙率が5%以上60%以下である限り上記実施例と同様に、熱伝導率が低くかつ表面の平滑性に優れた断熱層を備え、半導体素子作製の際の熱処理に耐え得る半導体素子用基板を作製できることはもちろんである。

Claims (12)

  1. 高分子基板と、
    前記高分子基板上に設けられ、無機物を主成分とするマトリックスと無機物の中空粒子とを含む、空隙率5%以上60%以下の断熱層と、
    を有する半導体素子用基板。
  2. 前記中空粒子の数平均粒子径が、10nm以上1000nm以下である請求項1に記載の半導体素子用基板。
  3. 前記無機物を主成分とするマトリックスが、金属アルコキシドの重合物である請求項1又は請求項2に記載の半導体素子用基板。
  4. 前記金属アルコキシドが、アルコキシシランである請求項3に記載の半導体素子用基板。
  5. 前記断熱層が、更に、前記中空粒子以外の無機微粒子を含む請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の半導体素子用基板。
  6. 前記無機微粒子の数平均粒子径が、1nm以上100nm以下である請求項5に記載の半導体素子用基板。
  7. 高分子基板上に、無機物を主成分とするマトリックスの前駆体と無機物の中空粒子とを含む塗布液を塗布して塗膜を形成する塗布工程と、
    形成された前記塗膜を加熱して空隙率5%以上60%以下の断熱層を形成する加熱工程と、
    を有する半導体素子用基板の製造方法。
  8. 前記中空粒子の数平均粒子径が、10nm以上1000nm以下である請求項7に記載の半導体素子用基板の製造方法。
  9. 前記前駆体が金属アルコキシドであり、
    前記加熱工程は、前記塗膜の加熱により前記金属アルコキシドの重合を行う請求項7又は請求項8に記載の半導体素子用基板の製造方法。
  10. 前記金属アルコキシドが、アルコキシシランである請求項9に記載の半導体素子用基板の製造方法。
  11. 前記塗布液が、更に、前記中空粒子以外の無機微粒子を含む請求項7〜請求項10のいずれか1項に記載の半導体素子用基板の製造方法。
  12. 前記無機微粒子の数平均粒子径が、1nm以上100nm以下である請求項11に記載の半導体素子用基板の製造方法。
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