JP2010170457A - 車両 - Google Patents

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Abstract

【課題】センサの計測値を取得することができない場合には、駆動輪の回転状態及び駆動トルクから車体の傾斜状態を推定することによって、車体傾斜状態を取得することができない状況下であっても倒立姿勢での走行を維持することができるようにする。
【解決手段】回転可能に車体に取り付けられた駆動輪12と、該駆動輪12に付与する駆動トルクを制御して前記車体の姿勢を制御する車両制御装置とを有し、該車両制御装置は、前記駆動輪12の回転状態及び前記駆動トルクによって前記車体の傾斜角を推定する傾斜推定手段を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、倒立振り子の姿勢制御を利用した車両に関するものである。
従来、倒立振り子の姿勢制御を利用した車両に関する技術が提案されている。例えば、同軸上に配設された2つの駆動輪を有し、運転者の重心移動による車体の姿勢変化を感知して駆動する車両、球体状の単一の駆動輪に取り付けられた車体の姿勢を制御しながら移動する車両等の技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
この場合、センサで車体のバランスや動作の状態を検出しながら、駆動輪の動作を制御して車両を停止又は移動させるようになっている。
特開2004−129435号公報
しかしながら、前記従来の車両においては、センサによって取得した車体の傾斜状態の計測値によって車体の姿勢を制御しているが、センサの故障や通信の不良によって前記計測値を取得できないときや異常な計測値を取得したときには、車体の倒立姿勢制御を続行できないため、即時に制御を中断し、車体を傾けて接地させることを強いられる。
もっとも、このような事態に備えて、あらかじめ複数のセンサや通信手段を用意しておくことが考えられる。しかし、複数のセンサや通信手段を用意すると、高価で複雑なシステムになってしまう。つまり、安価で簡素なシステムによって、十分な安全性や利便性を保障することは、困難である。
本発明は、前記従来の車両の問題点を解決して、センサの計測値を取得することができない場合には、駆動輪の回転状態及び駆動トルクから車体の傾斜状態を推定することによって、車体の傾斜状態を取得することができない状況下であっても倒立姿勢での走行を維持することができ、より安全で便利で安価な車両を提供することを目的とする。
そのために、本発明の車両においては、回転可能に車体に取り付けられた駆動輪と、該駆動輪に付与する駆動トルクを制御して前記車体の姿勢を制御する車両制御装置とを有し、該車両制御装置は、前記駆動輪の回転状態及び前記駆動トルクによって前記車体の鉛直軸に対する傾斜角を推定する傾斜推定手段を備える。
本発明の他の車両においては、さらに、前記車両制御装置は、前記傾斜推定手段によって推定された前記車体の傾斜角の推定値によって、前記駆動輪に付与する駆動トルクを決定する。
本発明の更に他の車両においては、さらに、前記車両制御装置は、前記車両の目標とする動作に応じて前記車体の傾斜角の目標値を決定する目標値決定手段、を更に備え、前記傾斜推定手段によって推定された前記推定値と前記目標値決定手段によって決定された前記目標値との差に比例した大きさの前記駆動トルクを付与する。
本発明の更に他の車両においては、さらに、前記車両制御装置は、前記車体の傾斜角を計測する傾斜計測手段と、前記傾斜計測手段による計測値を取得すること及び/又は前記計測値を前記車両の制御に使用することが可能であるかを判定する判定手段と、を更に備え、前記傾斜推定手段は、前記判定手段が不可能であると判定した場合に前記車体の傾斜角を推定する。
本発明の更に他の車両においては、さらに、前記車両制御装置は、前記判定手段が可能であると判定した場合には前記車体の傾斜角の計測値によって前記駆動トルクを決定し、前記判定手段が不可能であると判定した場合には前記車体の傾斜角の推定値によって前記駆動トルクを決定する。
本発明の更に他の車両においては、さらに、前記車両制御装置は、前記判定手段が可能であると判定した場合には前記車体の傾斜角の計測値と前記目標値との差に比例した大きさの前記駆動トルクを付与し、前記判定手段が不可能であると判定した場合には前記車体の傾斜角の推定値と前記目標値との差に比例した大きさの前記駆動トルクを付与する。
本発明の更に他の車両においては、さらに、前記車両制御装置は、前記車体の重心位置のずれ量を取得する重心ずれ量取得手段を更に備え、前記傾斜推定手段は、前記重心ずれ量取得手段によって取得された重心ずれ量によって前記車体の傾斜角の推定値を補正する。
本発明の更に他の車両においては、さらに、前記重心ずれ量取得手段は、前記駆動輪の回転状態及び/又は前記駆動トルク及び/又は前記車体の傾斜角の計測値によって前記重心ずれ量を推定する。
本発明の更に他の車両においては、さらに、前記重心ずれ量取得手段は、前記判定手段が可能であると判定した場合の最新の前記重心ずれ量を、前記判定手段が不可能であると判断した場合の前記重心ずれ量とする。
本発明の更に他の車両においては、さらに、前記車両制御装置は、前記駆動輪の回転状態及び前記駆動トルクによって前記車体の傾斜角の加速度を推定する傾斜角加速度推定手段を備え、前記傾斜角加速度推定手段によって推定された前記傾斜角加速度の推定値によって前記車体の傾斜角の推定値を補正する。
本発明の更に他の車両においては、さらに、前記車両制御装置は、前記車両の走行抵抗に関するパラメータを取得する抵抗パラメータ取得手段を更に備え、前記傾斜推定手段は、前記抵抗パラメータ取得手段によって取得された抵抗パラメータによって前記傾斜角加速度の推定値を補正する。
本発明の更に他の車両においては、さらに、前記抵抗パラメータ取得手段は、前記駆動輪の回転状態及び/又は前記駆動トルク及び/又は前記車体の傾斜角の計測値によって前記抵抗パラメータを推定する。
本発明の更に他の車両においては、さらに、前記抵抗パラメータ取得手段は、前記判定手段が可能であると判定した場合の最新の前記抵抗パラメータを、前記判定手段が不可能であると判断した場合の前記抵抗パラメータとする。
請求項1の構成によれば、力学モデルに基づいて、駆動輪の回転状態や駆動トルクから車体傾斜角を推定することで、車体姿勢のセンサによる計測値を用いることなく、倒立姿勢での走行を維持することができる。
請求項2の構成によれば、車体傾斜角の推定値に応じて駆動トルクの大きさを決定することで、倒立姿勢の維持に適切な大きさの駆動トルクを付与することができる。
請求項3の構成によれば、車体姿勢のセンサを用いた一般的なフィードバック制御と同様の簡単な手法を用いることで、制御時の演算負荷を低減できるのと共に、制御系の設計が容易になる。
請求項4の構成によれば、センサの故障や通信の不良等によって車体傾斜角の計測値を取得することが突然不可能になっても、倒立姿勢での走行を維持することができる。また、計測値取得可能時の不要な推定値取得処理による計算コストの増加を防ぐことができる。
請求項5の構成によれば、推定値が必要な状況を適切に把握して計測値から推定値に切り替えることで、一般に計測値より精度が低い推定値を用いることによる制御精度の低下、すなわち、乗り心地や操縦性の低下を防ぐことができる。
請求項6の構成によれば、車体の姿勢制御において、計測値使用時と推定値使用時で共通の制御手法を適用することで、制御手法が簡素化され、制御系の設計に要する工数を低減できる。
請求項7の構成によれば、車体の重心位置のずれを考慮することで、搭乗者の体重や搭乗姿勢あるいは積載物の重量や積載位置の違いに伴う車体傾斜角の推定精度の低下を防ぐことができる。
請求項8の構成によれば、車体の重心位置のずれ量を推定手段によって取得することで、重心位置の計測装置を追加することなく、重心位置のずれによる影響を補償できる。
請求項9の構成によれば、車体の重心位置が急激に変化しないという仮定の下で、車体傾斜角の計測値の取得が不可能になった時点で重心ずれの推定値を固定することで、車体傾斜角の計測値が無いと困難な重心ずれ量の取得を行うことなく、重心位置のずれによる影響をある程度低減できる。
請求項10の構成によれば、車体傾斜角の加速度を別の力学モデルから推定することで、車体傾斜角の推定計算をより安定化及び簡素化できる。
請求項11の構成によれば、走行抵抗の特性の変化を考慮することで、路面状況の変化に伴う車体傾斜角加速度および車体傾斜角の推定精度の低下を防ぐことができる。
請求項12の構成によれば、走行抵抗の特性を推定手段によって取得することで、路面形状等の計測装置を追加することなく、路面状況の変化による影響を補償できる。
請求項13の構成によれば、路面状況が急激に変化しないという仮定の下で、車体傾斜角の計測値の取得が不可能になった時点で走行抵抗パラメータの推定値を固定することで、車体傾斜角の計測値が無いと困難な走行抵抗パラメータの取得を行うことなく、路面状況の変化による影響をある程度低減できる。
本発明の第1の実施の形態における車両の構成を示す概略図であり乗員が搭乗した状態で加速前進している状態を示す図である。 本発明の第1の実施の形態における車両の制御システムの構成を示すブロック図である。 本発明の第1の実施の形態における車両の走行及び姿勢制御処理の動作を示すフローチャートである。 本発明の第1の実施の形態における車両の力学モデル及びそのパラメータを示す図である。 本発明の第1の実施の形態における状態量の取得処理の動作を示すフローチャートである。 本発明の第1の実施の形態における主状態量取得処理の動作を示すフローチャートである。 本発明の第1の実施の形態における目標走行状態の決定処理の動作を示すフローチャートである。 本発明の第1の実施の形態における目標車体姿勢の決定処理の動作を示すフローチャートである。 本発明の第1の実施の形態におけるアクチュエータ出力の決定処理の動作を示すフローチャートである。 本発明の第2の実施の形態における主状態量取得処理の動作を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態における車両の構成を示す概略図であり乗員が搭乗した状態で加速前進している状態を示す図、図2は本発明の第1の実施の形態における車両の制御システムの構成を示すブロック図である。
図において、10は、本実施の形態における車両であり、車体の本体部11、駆動輪12、支持部13及び乗員15が搭乗する搭乗部14を有し、倒立振り子の姿勢制御を利用して車体の姿勢を制御する。そして、前記車両10は、車体を前後に傾斜させることができるようになっている。図1に示される例においては、車両10は矢印Aで示される方向に加速中であり、車体が進行方向である前方に向かって傾斜した状態が示されている。
前記駆動輪12は、車体の一部である支持部13によって回転可能に支持され、駆動アクチュエータとしての駆動モータ52によって駆動される。なお、駆動輪12の軸は図1の図面に垂直な方向に延在し、駆動輪12はその軸を中心に回転する。また、前記駆動輪12は、単数であっても複数であってもよいが、複数である場合、同軸上に並列に配設される。本実施の形態においては、駆動輪12が2つであるものとして説明する。この場合、各駆動輪12は個別の駆動モータ52によって独立して駆動される。なお、駆動アクチュエータとしては、例えば、油圧モータ、内燃機関等を使用することもできるが、ここでは、電気モータである駆動モータ52を使用するものとして説明する。
また、車体の一部である本体部11は、支持部13によって下方から支持され、駆動輪12の上方に位置する。そして、本体部11には、車両10の運転者である乗員15が搭乗する搭乗部14が取り付けられている。
本実施の形態においては、説明の都合上、搭乗部14に乗員15が搭乗した例について説明するが、搭乗部14には必ずしも乗員15が搭乗している必要はなく、例えば、車両10がリモートコントロールによって操縦される場合には、搭乗部14に乗員15が搭乗していなくてもよいし、乗員15に代えて、貨物が積載されていてもよい。なお、前記搭乗部14は、乗用車、バス等の自動車に使用されるシートと同様のものであり、座面部14a、背もたれ部14b及びヘッドレスト14cを備える。
前記搭乗部14の脇(わき)には、目標走行状態取得装置としてのジョイスティック31を備える入力装置30が配設されている。乗員15は、操縦装置であるジョイスティック31を操作することによって、車両10を操縦する、すなわち、車両10の加速、減速、旋回、その場回転、停止、制動等の走行指令を入力するようになっている。なお、乗員15が操作して走行指令を入力することができる装置であれば、ジョイスティック31に代えて他の装置、例えば、ジョグダイヤル、タッチパネル、押しボタン等の装置を目標走行状態取得装置として使用することもできる。
なお、車両10がリモートコントロールによって操縦される場合には、前記ジョイスティック31に代えて、コントローラからの走行指令を有線又は無線で受信する受信装置を目標走行状態取得装置として使用することができる。また、車両10があらかじめ決められた走行指令データに従って自動走行する場合には、前記ジョイスティック31に代えて、半導体メモリ、ハードディスク等の記憶媒体に記憶された走行指令データを読み取るデータ読取り装置を目標走行状態取得装置として使用することができる。
また、車両10は、車両制御装置としての制御ECU(Electronic Control Unit)20を有し、該制御ECU20は、主制御ECU21及び駆動輪制御ECU22を備える。前記制御ECU20並びに主制御ECU21及び駆動輪制御ECU22は、CPU、MPU等の演算手段、磁気ディスク、半導体メモリ等の記憶手段、入出力インターフェイス等を備え、車両10の各部の動作を制御するコンピュータシステムであり、例えば、本体部11に配設されるが、支持部13や搭乗部14に配設されていてもよい。また、前記主制御ECU21及び駆動輪制御ECU22は、それぞれ、別個に構成されていてもよいし、一体に構成されていてもよい。
そして、主制御ECU21は、駆動輪制御ECU22、駆動輪センサ51及び駆動モータ52とともに、駆動輪12の動作を制御する駆動輪制御システム50の一部として機能する。前記駆動輪センサ51は、レゾルバ、エンコーダ等から成り、駆動輪回転状態計測装置として機能し、駆動輪12の回転状態を示す駆動輪回転角及び/又は回転角速度を検出し、主制御ECU21に送信する。また、該主制御ECU21は、駆動トルク指令値を駆動輪制御ECU22に送信し、該駆動輪制御ECU22は、受信した駆動トルク指令値に相当する入力電圧を駆動モータ52に供給する。そして、該駆動モータ52は、入力電圧に従って駆動輪12に駆動トルクを付与し、これにより、駆動アクチュエータとして機能する。
また、主制御ECU21は、駆動輪制御ECU22、車体傾斜センサ41及び駆動モータ52とともに、車体の姿勢を制御する車体制御システム40の一部として機能する。前記車体傾斜センサ41は、加速度センサ、ジャイロセンサ等から成り、傾斜計測手段として機能し、車体の傾斜状態を示す車体傾斜角及び/又は傾斜角速度を検出し、主制御ECU21に送信する。そして、該主制御ECU21は、駆動トルク指令値を駆動輪制御ECU22に送信する。
加えて、主制御ECU21には、入力装置30のジョイスティック31から走行指令が入力される。そして、該主制御ECU21は、駆動トルク指令値を駆動輪制御ECU22に送信する。
さらに、主制御ECU21は、車体の傾斜状態を推定する傾斜推定手段として機能するとともに、目標とする車体の傾斜状態を決定する目標値決定手段、車体の傾斜状態の計測値を取得すること及び計測値を制御に使用することが可能であるかを判定する判定手段、車体の傾斜角加速度を推定する傾斜角加速度推定手段、走行抵抗パラメータを推定する抵抗パラメータ取得手段、及び、車体重心ずれ量を推定する重心ずれ量取得手段としても機能する。
なお、各センサは、複数の状態量を取得するものであってもよい。例えば、車体傾斜センサ41として加速度センサとジャイロセンサとを併用し、両者の計測値から車体傾斜角と傾斜角速度とを決定するようにしてもよい。
次に、前記構成の車両10の動作について説明する。まず、走行及び姿勢制御処理の概要について説明する。
図3は本発明の第1の実施の形態における車両の走行及び姿勢制御処理の動作を示すフローチャートである。
本実施の形態においては、車体傾斜センサ41による車体傾斜状態の取得が不可能である場合、駆動輪12の回転状態と駆動トルクから車体の傾斜状態を推定し、それを制御する。具体的には、駆動輪回転角加速度と駆動トルクの時間履歴から車体傾斜角を推定する。そして、車体傾斜角の推定値を計測値と置き換えて、状態フィードバック制御を実行する。また、正常時における車体重心ずれ量の推定値によって、車体傾斜角の推定値を補正する。さらに、車体傾斜角加速度を別の力学モデルにより推定し、正常時における走行抵抗パラメータの推定値を用いて補正する。これにより、車体傾斜状態を取得できない状況下でも倒立姿勢の維持を可能とし、より安全で便利で安価な倒立型の車両10を提供することができる。
走行及び姿勢制御処理において、制御ECU20は、まず、状態量の取得処理を実行し(ステップS1)、各センサ、すなわち、駆動輪センサ51及び車体傾斜センサ41、並びに、状態量推定手段によって、駆動輪12の回転状態及び車体の傾斜状態を取得する。
次に、制御ECU20は、目標走行状態の決定処理を実行し(ステップS2)、ジョイスティック31の操作量に基づいて、車両10の加速度の目標値、及び、駆動輪12の回転角速度の目標値を決定する。
次に、制御ECU20は、目標車体姿勢の決定処理を実行し(ステップS3)、目標走行状態の決定処理によって決定された車両10の加速度の目標値と駆動輪12の回転角速度の目標値に基づいて、車体姿勢の目標値として、車体傾斜角の目標値を決定する。
最後に、制御ECU20は、アクチュエータ出力の決定処理を実行し(ステップS4)、状態量の取得処理によって取得された各状態量、目標走行状態の決定処理によって決定された目標走行状態、及び、目標車体姿勢の決定処理によって決定された目標車体姿勢に基づいて、各アクチュエータの出力、すなわち、駆動モータ52の出力を決定する。
次に、走行及び姿勢制御処理の詳細について説明する。まず、状態量の取得処理について説明する。
図4は本発明の第1の実施の形態における車両の力学モデル及びそのパラメータを示す図、図5は本発明の第1の実施の形態における状態量の取得処理の動作を示すフローチャートである。
本実施の形態においては、状態量、入力、パラメータ、物理定数等を次のような記号によって表す。なお、図4には状態量やパラメータの一部が示されている。
θW :駆動輪回転角〔rad〕
θ1 :車体傾斜角(鉛直軸基準)〔rad〕
τW :駆動トルク(2つの駆動輪の合計)〔Nm〕
W :駆動輪質量(2つの駆動輪の合計)〔kg〕
W :駆動輪接地半径〔m〕
W :駆動輪慣性モーメント(2つの駆動輪の合計)〔kgm2
1 :車体質量〔kg〕
1 :車体重心距離(車軸から)〔m〕
1 :車体慣性モーメント(重心周り)〔kgm2
g:重力加速度〔m/s2
状態量の取得処理において、主制御ECU21は、まず、主たる状態量である駆動輪回転状態量及び車体傾斜状態量をそれぞれ取得するための主状態量取得処理を実行する(ステップS1−1)。
Figure 2010170457
次に、主状態量取得処理について説明する。
図6は本発明の第1の実施の形態における主状態量取得処理の動作を示すフローチャートである。
Figure 2010170457
続いて、主制御ECU21は、傾斜角の取得が可能であるか否かを判断する(ステップS1−1−2)。具体的には、車体傾斜状態量としての車体傾斜角θ1 を車体傾斜センサ41から取得することが可能であるか否か、及び、取得可能である場合にはその計測値を制御に使用することが可能であるか否かを判断する。例えば、データの未受信、故障状態報知信号の受信、受信データの異常等の状態が発生したときには不可であると判断する。
Figure 2010170457
続いて、主制御ECU21は、車体重心ずれ量を推定する(ステップS1−1−4)。具体的には、各状態量と駆動トルクの時間履歴から、次の式(1)により車体重心ずれ量δ1 を推定する。
Figure 2010170457
なお、駆動トルクτW の値には、前回の制御処理時に決定した値を使用する。また、車体傾斜角加速度及び駆動輪回転角加速度の値は、車体傾斜角θ1 及び駆動輪回転角θW の計測値を2回時間微分(差分)することによって得られる。
本実施の形態においては、駆動輪回転状態と車体傾斜状態と駆動トルクの時間履歴に基づいて、車体の傾斜運動に関する力学モデルとの偏差として、車体重心ずれ量を推定する。具体的には、車体の回転慣性、車両10の加減速に伴う慣性力、重力トルク、及び、駆動トルクの反トルクを考慮し、考慮していない作用が車体重心ずれによるものであると仮定して、車体重心ずれ量を推定する。従って、例えば、車体傾斜センサ41の機械的及び電気的なオフセットも車体重心ずれ量として自動的に考慮できる。
また、ローパスフィルタによって、外乱による影響を除く。例えば、乗員15の一時的な動作や路面の凹凸、センサ信号のノイズ等の影響を除く。本実施の形態においては、これを実現するために、車体重心ずれ量の推定のローパスフィルタ時定数を5秒程度に設定する。
なお、本実施の形態においては、簡単な線形モデルにより車体重心ずれ量を推定しているが、より厳密なモデルによって推定してもよい。例えば、非線形的な作用や車体の回転に対する粘性抵抗等の要素を考慮したモデルを用いて、より厳密に推定してもよい。また、より簡単なモデルによって推定してもよい。例えば、特性時間の短い車体の回転慣性や加減速に伴う慣性力を無視したモデルを用いて推定してもよい。さらに、車体傾斜角加速度や駆動輪回転角加速度が大きい場合には推定値を固定することで、推定値の精度を保つようにしてもよい。
また、本実施の形態においては、1次のローパスフィルタによって推定値を補正しているが、より高次のフィルタを用いてもよい。
さらに、本実施の形態においては、推定によって車体重心ずれ量を取得しているが、他の方法を用いてもよい。例えば、乗員15や搭載物を含む搭乗部14の荷重分布を計測する複数の荷重センサを具備し、その計測値に基づいて搭乗部14及び車体重心ずれ量を推定してもよい。これにより、推定の精度や信頼性を更に高めることができる。また、この場合において、力学モデルで考慮していない他の要素、例えば、車体傾斜センサ41のオフセット等を本実施の形態と同様の手法によって推定してもよい。
さらに、本実施の形態においては、車体の傾斜運動に関する力学モデルとの偏差を車体重心ずれ量として推定しているが、他の物理量によって偏差を評価してもよい。例えば、偏車体に作用する外トルクを偏差とし、その推定値を後述の車体傾斜角推定に利用してもよい。すなわち、車体重心ずれ量は力学モデルとの偏差に相当する物理量の一つであり、その限りでは無い。
続いて、主制御ECU21は、走行抵抗パラメータを推定する(ステップS1−1−5)。具体的には、各状態量と駆動トルクの時間履歴から、次の式(2)により走行抵抗パラメータを推定する。
Figure 2010170457
本実施の形態においては、駆動輪回転状態と車体傾斜状態と駆動トルクの時間履歴に基づいて、駆動輪12の回転運動に関する力学モデルとの偏差として、走行抵抗トルクを推定する。具体的には、駆動トルク、車両10の加減速に対する慣性、及び、車体傾斜による重心移動の作用を考慮し、考慮していない作用が走行抵抗によるものであると仮定して、走行抵抗トルクを推定する。従って、例えば、路面勾(こう)配の影響等も走行抵抗トルクとして自動的に考慮できる。
また、走行抵抗トルクと駆動輪回転角速度との関係から、最小二乗法によって、走行抵抗パラメータを推定する。具体的には、駆動輪回転角速度と走行抵抗トルクとの間に線形関係を仮定し、その比例係数と定数項を走行抵抗パラメータとして推定する。また、最小二乗法はローパスフィルタの役割も果たし、乗員15の一時的な動作や路面の凹凸、センサ信号のノイズ等の影響を除く。本実施の形態においては、これを実現するために、走行抵抗パラメータ推定のローパスフィルタ時定数を5秒程度に設定する。
なお、本実施の形態においては、簡単な線形モデルによって走行抵抗トルクを推定しているが、より厳密なモデルによって推定してもよい。例えば、非線形的な作用を考慮したモデルを用いて、より厳密に推定してもよい。また、より簡単なモデルによって推定してもよい。例えば、特性時間の短い車体の回転慣性を無視したモデルを用いて推定してもよい。さらに、車体傾斜角加速度や駆動輪回転角加速度が大きい場合には推定値を固定することで、推定値の精度を保つようにしてもよい。
また、本実施の形態においては、走行抵抗トルクが駆動輪回転角速度の一次関数で表されるという仮定の下で、そのパラメータを走行抵抗パラメータとして推定しているが、より高次の非線形関数を仮定してもよい。また、走行抵抗トルクが駆動輪回転角速度に依らない定数であると仮定して扱ってもよい。
さらに、本実施の形態においては、推定によって走行抵抗トルクを取得しているが、他の方法を用いてもよい。例えば、車両周辺の路面状況を計測する路面形状センサを具備し、その計測値に基づいて路面勾配や走行抵抗の程度を推定することで走行抵抗トルクを推定してもよい。これにより、推定の精度や信頼性を更に高めることができる。また、この場合において、力学モデルで考慮していない他の要素、例えば、平坦(たん)路における転がり抵抗等を本実施の形態と同様の手法によって推定してもよい。
さらに、本実施の形態においては、駆動輪12の回転運動に関する力学モデルとの偏差を走行抵抗トルクとして推定しているが、他の物理量によって偏差を評価してもよい。例えば、路面勾配を偏差とし、その推定値を後述の車体傾斜角推定に利用してもよい。すなわち、走行抵抗トルクは力学モデルとの偏差に相当する物理量の一つであり、その限りでは無い。
一方、傾斜角の取得が可能であるか否かを判断して、傾斜角の取得が不可である場合、主制御ECU21は、車体傾斜状態量を推定する(ステップS1−1−6)。具体的には、各状態量と駆動トルクの時間履歴、及び、各推定パラメータから、次の式(3)により車体傾斜角を推定する。
Figure 2010170457
本実施の形態においては、駆動輪回転状態と駆動トルクの時間履歴、及び、パラメータ推定値を用いて、車体の傾斜運動に関する力学モデルに基づいて、車体傾斜角を推定する。その際、重力トルク、車体の回転慣性、車両の加減速に伴う慣性力、及び、駆動トルクの反トルクを考慮し、それらの大きさの関係、及び、重力トルクと車体傾斜角との比例関係から、車体傾斜角を推定する。このように、力学モデルにおける各状態とトルクの理論的な関係を利用することで、未知の車体傾斜角を推定できる。
また、正常時(車体傾斜センサによる車体傾斜状態の計測値が取得可能及び使用可能であるとき)における車体重心ずれ量の推定値によって、車体傾斜角の推定値を補正する。具体的には、車体の傾斜運動に関する力学モデルとの偏差に相当する車体重心ずれ量が、車体傾斜角計測値の取得が不可能になる直前から変化していないという仮定の下で、その時点での推定値を用いて車体傾斜角の推定値を補正する。このように、推定前に準備しておくことで、力学モデルでは考慮できない車体重心ずれの影響をある程度考慮できる。つまり、力学モデルによる推定を行う前に、真値である計測値を用いて力学モデルの誤差を推定しておくことで、実際の推定時にその誤差を考慮することができる。
さらに、車体傾斜角加速度を別の力学モデルによって推定する。具体的には、車体傾斜角加速度を車体傾斜角とは独立な状態量とみなし、駆動輪12の回転運動に関する力学モデルによって推定する。その際、駆動トルク、車両の加減速に対する慣性、及び、車体傾斜による重心移動の作用を考慮する。このように、車体傾斜角速度を別のモデルから推定することにより、加速度の積分に伴う誤差の蓄積、及び、推定計算の不安定化を回避し、安定で高精度な車体傾斜角の推定を実現する。
さらに、正常時における走行抵抗パラメータの推定値によって、車体傾斜角加速度の推定値を補正する。具体的には、駆動輪12の回転運動に関する力学モデルとの偏差に相当する走行抵抗の特性が、車体傾斜角計測値の取得が不可能になる直前から変化していないという仮定の下で、その時点でのパラメータ推定値を用いて車体傾斜角加速度の推定値を補正する。このように、推定前に準備しておくことで、力学モデルでは考慮できない走行抵抗の影響をある程度考慮できる。
さらに、ローパスフィルタによって、ノイズ等による影響を除く。その際、推定値の遅れが車体姿勢制御(倒立制御)に影響することを防ぐため、フィルタの時定数を車体傾斜の特性時間よりも短く設定する。
なお、本実施の形態においては、簡単な線形モデルにより車体傾斜角を推定しているが、より厳密なモデルによって推定してもよい。例えば、非線形的な作用や車体回転に対する粘性抵抗等の要素を考慮したモデルを用いて、より厳密に推定してもよい。また、より簡単なモデルによって推定してもよい。
次に、目標走行状態の決定処理について説明する。
図7は本発明の第1の実施の形態における目標走行状態の決定処理の動作を示すフローチャートである。
目標走行状態の決定処理において、主制御ECU21は、まず、操縦操作量を取得する(ステップS2−1)。この場合、乗員15が、車両10の加速、減速、旋回、その場回転、停止、制動等の走行指令を入力するために操作したジョイスティック31の操作量を取得する。
続いて、主制御ECU21は、取得したジョイスティック31の操作量に基づいて、車両加速度の目標値を決定する(ステップS2−2)。例えば、ジョイスティック31の前後方向への操作量に比例した値を車両加速度の目標値とする。
続いて、主制御ECU21は、決定した車両加速度の目標値から、駆動輪回転角速度の目標値を算出する(ステップS2−3)。例えば、車両加速度の目標値を時間積分し、駆動輪接地半径RW で除した値を駆動輪回転角速度の目標値とする。
次に、目標車体姿勢の決定処理について説明する。
図8は本発明の第1の実施の形態における目標車体姿勢の決定処理の動作を示すフローチャートである。
目標車体姿勢の決定処理において、主制御ECU21は、まず、車体傾斜角の目標値を決定する(ステップS3−1)。この場合、目標走行状態の決定処理によって決定された車両加速度の目標値から、次の式(4)により車体傾斜角の目標値を決定する。
Figure 2010170457
なお、α* は、車両加速度の目標値である。このように、車両加速度に伴って車体に作用する慣性力と駆動トルクの反トルクとを考慮して、車体傾斜角の目標値を決定する。
続いて、主制御ECU21は、残りの目標値を算出する(ステップS3−2)。すなわち、各目標値を時間微分又は時間積分することによって、駆動輪回転角及び車体傾斜角速度の目標値を算出する。
次に、アクチュエータ出力の決定処理について説明する。
図9は本発明の第1の実施の形態におけるアクチュエータ出力の決定処理の動作を示すフローチャートである。
アクチュエータ出力の決定処理において、主制御ECU21は、まず、各アクチュエータのフィードフォワード出力を決定する(ステップS4−1)。この場合、各目標値から、次の式(5)により駆動モータ52のフィードフォワード出力を決定する。
Figure 2010170457
このように、目標車両加速度を実現するのに必要な駆動トルクを付加することで、車両10の走行及び姿勢制御を高精度に実行する。
続いて、主制御ECU21は、各アクチュエータのフィードバック出力を決定する(ステップS4−2)。この場合、各目標値と実際の状態量又は推定値との偏差から、次の式(6)により駆動モータ52のフィードバック出力を決定する。
Figure 2010170457
ここで、各フィードバックゲインKW1〜KW4の値には、例えば、最適レギュレータの値をあらかじめ設定しておく。
なお、スライディングモード制御などの非線形のフィードバック制御を導入してもよい。また、より簡単な制御として、KW2及びKW3を除くゲインのいくつかを零にしてもよい。さらに、定常偏差をなくすために、積分ゲインを導入してもよい。
本実施の形態においては、車体傾斜センサ41による車体傾斜角の計測値に基づいて制御する場合でも、傾斜推定手段による車体傾斜角の推定値に基づいて制御する場合でも、換言すれば、車体傾斜角計測値の取得が可能でも不可能でも、式(6)に示す同一の制御則によって走行及び姿勢制御を実行する。これにより、制御則が簡素化されるため、制御系の設計時やプログラミング時に費やす労力や制御動作時の演算コストを大幅に低減できる。
最後に、主制御ECU21は、各要素制御システムに指令値を与える(ステップS4−3)。この場合、主制御ECU21は、前述のように決定したフィードフォワード出力とフィードバック出力との和を駆動トルク指令値として、駆動輪制御ECU22に送信する。
このように、本実施の形態においては、車体傾斜センサ41による車体傾斜状態の取得が不可能である場合、駆動輪回転角加速度と駆動トルクの時間履歴から車体傾斜角を推定する。そして、車体傾斜角の推定値を計測値と置き換えて、状態フィードバック制御を実行する。また、正常時における車体重心ずれ推定値によって、車体傾斜角の推定値を補正する。さらに、車体傾斜角加速度を別の力学モデルにより推定し、正常時における走行抵抗パラメータの推定値を用いて補正する。これにより、車体傾斜状態を取得できない状況下でも倒立姿勢の維持を可能とし、より安全で便利で安価な倒立型の車両10を提供することができる。
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、前記第1の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
図10は本発明の第2の実施の形態における主状態量取得処理の動作を示すフローチャートである。
本実施の形態においては、車体傾斜角を推定する際に、駆動輪の回転運動に関する力学モデル、及び、走行抵抗トルクの推定値を用いずに、車体の傾斜運動に関する力学モデル、及び、車体重心ずれ量の推定値のみを用いて、車体傾斜角推定値を補正する。
車体傾斜状態の計測値が取得不可能になった後に、路面状況(路面勾配等)が変化すると、車体傾斜角の推定の精度及び制御の精度が低下する場合がある。例えば、車体傾斜状態の計測値が取得不可能になる直前の走行抵抗パラメータ推定値を用いる場合、その後の路面状況の変化(坂路や悪路への進入や脱出等)に伴って走行抵抗パラメータが変化すると、それを用いた車体傾斜角の推定にも誤差が生じる。したがって、路面状況が急変するような走行環境でも高い安全性や利便性を保障できることが望ましい。
そこで、本実施の形態においては、車体重心ずれ推定値のみを用いて、車体傾斜角推定値を補正する。具体的には、車体傾斜の角度と角加速度の関係に基づいて、車体傾斜角を推定する。したがって、走行抵抗パラメータを用いる車体傾斜角加速度の推定を行う必要がない。
これにより、車体傾斜状態の計測値が取得不可能になった後に路面状況が変化した場合に制御の精度が低下することを防止できる。したがって、路面状況が急変するような走行環境下でも安全で便利な倒立型の車両10を提供することができる。
次に、本実施の形態における主状態量取得処理について説明する。なお、走行及び姿勢制御処理の概要、状態量の取得処理、目標走行状態の決定処理、目標車体姿勢の決定処理、並びに、アクチュエータ出力の決定処理については、前記第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
Figure 2010170457
続いて、主制御ECU21は、傾斜角の取得が可能であるか否かを判断する(ステップS1−1−12)。具体的には、車体傾斜状態量としての車体傾斜角θ1 を車体傾斜センサ41から取得することが可能であるか否か、及び、取得可能である場合にはその計測値を制御に使用することが可能であるか否かを判断する。例えば、データの未受信、故障状態報知信号の受信、受信データの異常等の状態が発生したときには不可であると判断する。
Figure 2010170457
続いて、主制御ECU21は、車体重心ずれ量を推定する(ステップS1−1−14)。具体的には、各状態量と駆動トルクの時間履歴から、前記第1の実施の形態において説明した前記式(1)により車体重心ずれ量δ1 を推定する。
一方、傾斜角の取得及び使用が可能であるか否かを判断して、傾斜角の取得が不可である場合、主制御ECU21は、車体傾斜状態量を推定する(ステップS1−1−15)。具体的には、各状態量と駆動トルクの時間履歴、及び、各推定パラメータから、次の式(7)により車体傾斜角を推定する。
Figure 2010170457
本実施の形態においては、駆動輪回転状態と駆動トルクの時間履歴、及び、パラメータ推定値を用いて、車体の傾斜運動に関する力学モデルに基づいて、車体傾斜角を推定する。その際、重力トルク、車体の回転慣性、車両の加減速に伴う慣性力、及び、駆動トルクの反トルクを考慮し、それらの大きさの関係、及び、重力トルクと車体傾斜角との比例関係から、車体傾斜角を推定する。このように、力学モデルにおける各状態とトルクの理論的な関係を利用することで、未知の車体傾斜角を推定できる。
また、正常時(車体傾斜センサによる車体傾斜状態の計測値が取得可能及び使用可能であるとき)における車体重心ずれ量の推定値によって、車体傾斜角の推定値を補正する。具体的には、車体の傾斜運動に関する力学モデルとの偏差に相当する車体重心ずれ量が、車体傾斜角計測値の取得が不可能になる直前から変化していないという仮定の下で、その時点での推定値を用いて車体傾斜角の推定値を補正する。このように、推定前に準備しておくことで、力学モデルでは考慮できない車体重心ずれの影響をある程度考慮できる。つまり、力学モデルによる推定を行う前に、真値である計測値を用いて力学モデルの誤差を推定しておくことで、実際の推定時にその誤差を考慮することができる。
さらに、車体傾斜の角度と角加速度の関係に基づいて車体傾斜角を推定する。その際、車体傾斜角の2階時間微分(差分)として車体傾斜角加速度を与える。つまり、車体傾斜角推定値のそれまでの時間履歴に基づいて、そのときの車体傾斜角を推定する。換言すれば、加速度を含む車体傾斜角の2階微分方程式を数値的に積分して解くことで、車体傾斜角の推定値を求める。なお、初期値には、最後に取得した車体傾斜角計測値を用いる。このように、走行抵抗パラメータが関係する力学モデル、すなわち、駆動輪12の回転に関する力学モデルを使用しないため、車体傾斜角の推定値が走行抵抗の推定誤差に影響を受けない。したがって、車体傾斜状態計測値の取得が不可能になった後に路面状況の変化(坂路や悪路への進入や脱出)が発生しても、同様の精度で車体傾斜角を推定できる。
さらに、ローパスフィルタによって、ノイズ等による影響を除く。この際、推定値の遅れが車体姿勢制御(倒立制御)に影響することを防ぐため、フィルタの時定数を車体傾斜の特性時間よりも短く設定する。
なお、本実施の形態においては、簡単な線形モデルにより車体傾斜角を推定しているが、より厳密なモデルによって推定してもよい。例えば、非線形的な作用や車体回転に対する粘性抵抗等の要素を考慮したモデルを用いて、より厳密に推定してもよい。また、より簡単なモデルによって推定してもよい。
また、本実施の形態においては、過去のデータのみを用いた後退差分によって車体傾斜角加速度を評価しているが、現在のデータを含む差分式を用いてもよい。また、数値的な時間積分に別の計算法を用いてもよい。例えば、4次のルンゲ・クッタ法を用いることで、より高精度に車体傾斜角を推定することができる。
このように、本実施の形態においては、車体重心ずれ推定値のみを用いて、車体傾斜角推定値を補正する。これにより、走行抵抗パラメータを用いる車体傾斜角加速度の推定を行う必要がないので、車体傾斜状態の計測値が取得不可能になった後に路面状況が変化しても、倒立姿勢での走行を維持できる。したがって、路面状況が急激に変化するような走行環境下でも安全で便利な倒立型の車両10を提供することができる。
なお、車体傾斜角加速度の決定方法について、前記第1の実施の形態においては、走行抵抗を含む駆動輪回転運動モデルを用いて推定することで、加速度の積分による誤差の蓄積を回避し、また、本第2の実施の形態においては、車体傾斜角の時間履歴から評価することで、路面抵抗の変化による影響を回避しているが、両者の方法を走行状況などに応じて使い分けてもよい。
例えば、屋内等の路面変化が少ない環境で使用する場合には前記第1の実施の形態における方法を用い、屋外等の路面変化が大きい環境で使用する場合には本第2の実施の形態における方法を用いてもよい。また、車体傾斜角の取得が不可能になってから、比較的長時間走行を維持する必要がある場合には前記第1の実施の形態における方法を用い、短時間で車両を停止できる場合には本第2の実施の形態における方法を用いてもよい。さらに、乗員15による切替装置の操作に応じて、両者を切り替えるようにしてもよい。
このような方法を用いることで、両者の長所を両立させ、安全性や快適性を更に高めることができる。
なお、以上の実施の形態においては、車体の傾斜状態を計測する車体傾斜センサ41を具備し、その計測値の取得が不可能になった場合にのみ傾斜推定手段による車体傾斜状態の取得を実行しているが、車体傾斜センサ41を備えず、車体の傾斜状態を常に傾斜推定手段によって取得してもよい。さらに、推定値の検証に車体傾斜センサ41を用いてもよい。
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
本発明は、倒立振り子の姿勢制御を利用した車両に適用することができる。
10 車両
12 駆動輪
20 制御ECU
21 主制御ECU
41 車体傾斜センサ

Claims (13)

  1. 回転可能に車体に取り付けられた駆動輪と、
    該駆動輪に付与する駆動トルクを制御して前記車体の姿勢を制御する車両制御装置とを有し、
    該車両制御装置は、前記駆動輪の回転状態及び前記駆動トルクによって前記車体の鉛直軸に対する傾斜角を推定する傾斜推定手段を備えることを特徴とする車両。
  2. 前記車両制御装置は、前記傾斜推定手段によって推定された前記車体の傾斜角の推定値によって、前記駆動輪に付与する駆動トルクを決定する請求項1に記載の車両。
  3. 前記車両制御装置は、前記車両の目標とする動作に応じて前記車体の傾斜角の目標値を決定する目標値決定手段、を更に備え、
    前記傾斜推定手段によって推定された前記推定値と前記目標値決定手段によって決定された前記目標値との差に比例した大きさの前記駆動トルクを付与する請求項2に記載の車両。
  4. 前記車両制御装置は、前記車体の傾斜角を計測する傾斜計測手段と、
    前記傾斜計測手段による計測値を取得すること及び/又は前記計測値を前記車両の制御に使用することが可能であるかを判定する判定手段と、を更に備え、
    前記傾斜推定手段は、前記判定手段が不可能であると判定した場合に前記車体の傾斜角を推定する請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両。
  5. 前記車両制御装置は、前記判定手段が可能であると判定した場合には前記車体の傾斜角の計測値によって前記駆動トルクを決定し、前記判定手段が不可能であると判定した場合には前記車体の傾斜角の推定値によって前記駆動トルクを決定する請求項4に記載の車両。
  6. 前記車両制御装置は、前記判定手段が可能であると判定した場合には前記車体の傾斜角の計測値と前記目標値との差に比例した大きさの前記駆動トルクを付与し、前記判定手段が不可能であると判定した場合には前記車体の傾斜角の推定値と前記目標値との差に比例した大きさの前記駆動トルクを付与する請求項5に記載の車両。
  7. 前記車両制御装置は、前記車体の重心位置のずれ量を取得する重心ずれ量取得手段を更に備え、
    前記傾斜推定手段は、前記重心ずれ量取得手段によって取得された重心ずれ量によって前記車体の傾斜角の推定値を補正する請求項1〜6のいずれか1項に記載の車両。
  8. 前記重心ずれ量取得手段は、前記駆動輪の回転状態及び/又は前記駆動トルク及び/又は前記車体の傾斜角の計測値によって前記重心ずれ量を推定する請求項7に記載の車両。
  9. 前記重心ずれ量取得手段は、前記判定手段が可能であると判定した場合の最新の前記重心ずれ量を、前記判定手段が不可能であると判断した場合の前記重心ずれ量とする請求項7又は8に記載の車両。
  10. 前記車両制御装置は、前記駆動輪の回転状態及び前記駆動トルクによって前記車体の傾斜角の加速度を推定する傾斜角加速度推定手段を備え、前記傾斜角加速度推定手段によって推定された前記傾斜角加速度の推定値によって前記車体の傾斜角の推定値を補正する請求項1〜9のいずれか1項に記載の車両。
  11. 前記車両制御装置は、前記車両の走行抵抗に関するパラメータを取得する抵抗パラメータ取得手段を更に備え、
    前記傾斜推定手段は、前記抵抗パラメータ取得手段によって取得された抵抗パラメータによって前記傾斜角加速度の推定値を補正する請求項10に記載の車両。
  12. 前記抵抗パラメータ取得手段は、前記駆動輪の回転状態及び/又は前記駆動トルク及び/又は前記車体の傾斜角の計測値によって前記抵抗パラメータを推定する請求項11に記載の車両。
  13. 前記抵抗パラメータ取得手段は、前記判定手段が可能であると判定した場合の最新の前記抵抗パラメータを、前記判定手段が不可能であると判断した場合の前記抵抗パラメータとする請求項11又は12に記載の車両。
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