JP2010169103A - 変速機の同期装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】スリーブと変速ギヤとの噛合開始位置の個体差の影響を排除して同期所要時間を短縮し、かつコストの上昇を抑制した変速機の同期装置を提供する。
【解決手段】回転軸の外周に配設されたスリーブを軸線方向に入り操作することにより、シンクロナイザリングの摺動面を変速ギヤの被摺動面に摩擦係合させ、次いでスリーブの内歯スプラインをシンクロナイザリングの外歯スプラインおよび変速ギヤの外歯スプラインに噛合させて、回転軸と変速ギヤとを同期回転させる変速機の同期装置において、操作制御部は、前記スリーブの内歯スプラインが前記変速ギヤの前記外歯スプラインに噛合し始める噛合開始位置P2を実測により求め、入り操作時に内歯スプラインが噛合開始位置に到達するまでスリーブを低速V0で操作し、内歯スプラインが噛合開始位置を通過した直後からスリーブを高速V1で操作する。
【選択図】図4

Description

本発明は、車両などに用いられる同期噛合式変速機の同期装置に関する。
車両用変速機の一種に、所定の変速比を実現する複数組の変速ギヤ対と、いずれかの変速ギヤ対を選択し駆動側と従動側とを同期させた後に動力を伝達するように結合する同期装置と、同期装置を操作する操作部と、を備えた同期噛合式変速機がある。この種の変速機では、電子制御装置によりモータや油圧機構などのアクチュエータを制御して操作を自動で行うようにしたオートマティックトランスミッションが普及している。
一般的に同期装置では、まず回転軸と遊転する変速ギヤとの間で摩擦係合により回転速度を同期させ、次いで両者が一体的に回転するように噛合結合する構成が採用されている。特許文献1に開示されるシンクロメッシュ機構は一例であり、主要な構成部材として、回転シャフト、変速ギヤ、シンクロナイザハブ、シンクロスリーブ、シンクロナイザリング、を備えている。シンクロナイザハブは回転シャフトに対して相対回転不能に取り付けられ、シンクロスリーブ及びシンクロナイザリングはシンクロナイザハブと共に回転しかつ軸方向に摺動するように構成されている。そして、シンクロスリーブに押されたシンクロナイザリングのテーパ状の押圧面が変速ギヤのテーパ状のコーン部に摺動して摩擦することにより同期が達成されるようになっている。また、シンクロスリーブのクラッチギヤは、まずシンクロナイザリングの外周に噛合し次いで変速ギヤのクラッチギヤに噛合して、回転シャフトと変速ギヤとが一体的に回転するようになっている。
上述の一連の動作は、シンクロスリーブが軸線方向に操作されることで行われる。そして、シンクロスリーブがシンクロナイザリングおよび変速ギヤに噛合するときに、その移動速度を小さくすることで、噛合の瞬間のノイズや振動が低減されている。また、この噛合時や摩擦同期時を除いては、シンクロスリーブの移動速度を大きくすることで、同期所要時間の短縮化が図られている。
特開2007−292151号公報
ところで、スリーブの移動速度を制御するとき、クラッチギヤ同士が噛合する瞬間は低速とし、噛合開始の後は速やかに高速にすることが、ノイズや振動を低減しかつ同期所要時間を短縮するために理想的である。しかしながら、クラッチギヤ同士が実際に噛合し始める噛合開始位置は、変速機それぞれによりばらついており個体差がある。この個体差は、各部品の設計公差や、製造上のばらつきにより生じるものであり、無くすことはできない。このため、噛合開始までのスリーブの移動ストローク長が最大となる最悪条件を考慮し、低速でシンクロスリーブを操作する範囲を設計している。このような設計では、最悪条件でない大多数の変速機において、シンクロスリーブが噛合開始位置を通過しても低速が維持され、いたずらに同期所要時間が増加する弊害を招いていた。
噛合位置の個体差への対応策として、各変速機にノイズや振動を検出するNVセンサを設け、ノイズや振動が増加し始めたときにスリーブの移動速度を低下させることが考えられる。しかしながら、NVセンサは高価であり、変速機のコストを上昇させるため好ましくない。
本発明は上記背景に鑑みてなされたものであり、スリーブと変速ギヤとの噛合開始位置の個体差の影響を排除して同期所要時間を短縮し、かつコストの上昇を抑制した変速機の同期装置を提供する。
本発明の変速機の同期装置は、回転軸と、該回転軸と一体的に回転するクラッチハブの外周に形成された外歯スプラインに噛合する内歯スプラインを有して軸線方向に移動可能なスリーブと、前記回転軸に相対回転自在に支持されて外周に変速用歯を有しかつ軸方向の一側に外歯スプライン及び円錐面状の被摺動面を有する変速ギヤと、前記クラッチハブと前記変速ギヤとの間に回転可能にかつ軸方向移動可能に支持され前記変速ギヤの前記被摺動面に摩擦係合可能な摺動面を有し外周に外歯スプラインが形成されたシンクロナイザリングと、前記スリーブを操作する操作制御部とを備えており、前記スリーブを軸線方向に入り操作することにより前記シンクロナイザリングを軸線方向に移動させて前記摺動面を前記変速ギヤの前記被摺動面に摩擦係合させ、次いで前記スリーブの前記内歯スプラインを前記シンクロナイザリングの前記外歯スプラインおよび前記変速ギヤの前記外歯スプラインに噛合させて、前記回転軸と前記変速ギヤとを同期回転させる変速機の同期装置において、前記操作制御部は、前記スリーブの内歯スプラインが前記変速ギヤの前記外歯スプラインに噛合し始める噛合開始位置を求める実測手段を有し、入り操作時に前記内歯スプラインが前記噛合開始位置に到達するまで前記スリーブを低速で操作し、前記内歯スプラインが前記噛合開始位置を通過した直後から前記スリーブを高速で操作することを特徴とする。
噛合開始位置の前記実測手段は、次に挙げる3手段のいずれかとすることができる。
前記操作制御部の前記実測手段は、前記スリーブを入り操作してその前記内歯スプラインを前記変速ギヤの前記外歯スプラインに噛合させながら前記スリーブの移動速度を求め、該移動速度が変化したときの前記スリーブの位置を前記噛合開始位置とする、ようにしてもよい。
前記操作制御部の前記実測手段は、前記スリーブを入り操作してその前記内歯スプラインを前記変速ギヤの前記外歯スプラインに噛合させながら入り操作に要する荷重を求め、該荷重が変化したときの前記スリーブの位置を前記噛合開始位置とする、ようにしてもよい。
前記操作制御部の前記実測手段は、前記スリーブを抜き操作してその前記内歯スプラインを前記変速ギヤの前記外歯スプラインに噛合した状態から抜き外しながら前記変速ギヤと前記回転軸との回転数差を求め、該回転数差が変化したときの前記スリーブの位置を前記噛合開始位置とする、ようにしてもよい。
また上述の3手段において、前記操作制御部は、測定パラメータに依存する関数として前記噛合開始位置を求める、ようにしてもよい。
測定パラメータとしては、例えば、スリーブを操作するときの荷重や移動速度などがある。これらの測定パラメータの条件を変更して実測を行うと、噛合開始位置は変動する。なぜなら、荷重による部材のたわみや各種センサの検出遅れ、信号処理時間や判定時間などが影響するからである。噛合開始位置を測定パラメータに依存する関数として求めたとき、実際の同期操作おいて操作条件に対応する噛合開始位置を用いることは当然である。
本発明の変速機の同期装置では、個々の変速機で実測により求められたそれぞれの噛合開始位置を用いて、スリーブを入り操作するときの移動速度を制御することができる。つまり、スリーブが変速ギヤに噛合し始める瞬間は移動速度を低速としてノイズ及び振動の発生を抑止し、スリーブが噛合開始位置を通過した直後から移動速度を高速にすることができる。したがって、最悪条件の噛合開始位置をすべての変速機に共通にあてはめて移動速度を制御する従来技術と比較し、スリーブが噛合開始位置を通過した後に低速が維持されることがなくなり、同期所要時間を短縮することができる。
また、測定パラメータに依存する関数として噛合開始位置を求める態様では、実際の同期操作時の操作条件に対応した噛合開始位置を用いることができるため、噛合開始位置の精度が一層向上する。
さらに、本発明は、変速機に標準的に装備されているスリーブ用ストロークセンサや回転軸用回転数センサなどを利用するとともに、操作制御部のソフトウェアを変更して実現することができる。したがって、変速機のコストは上昇しない。
本発明の実施形態の変速機の同期装置の構造を説明する断面図である。 図1の実施形態において、スリーブと変速ギヤとの噛合開始位置を模式的に説明する図である。 図1の実施形態において、噛合開始位置を求める移動速度判定法を説明する図である。 図1の実施形態において、実測により求めた噛合開始位置を利用した入り操作方法を説明する図である。 噛合開始位置を求める荷重判定法を説明する図である。 噛合開始位置を求める抜き操作判定法を説明する図である。
本発明を実施するための形態を、図1〜図4を参考にして説明する。図1は、本発明の実施形態の変速機の同期装置の構造を説明する断面図である。実施形態の同期装置1は、回転軸2と変速ギヤ4とを同期させるものであり、軸線AXを中心として概ね軸対称に構成されている。同期装置1は、回転軸2及び変速ギヤ4の他に、スリーブ3、シフティングキー35、ギヤピース45、シンクロナイザリング5、操作制御部を構成するシフトフォーク61とアクチュエータ62と電子制御装置63、で構成されている。実際には、スリーブ3は図中の左右に移動して、左右いずれかの変速ギを選択的に同期させるものであるが、図1では左側の変速ギヤ4を代表として説明する。
回転軸2は、変速機内の一般的な入力軸、出力軸、または副軸である。回転軸2の外周には、回転軸2にスプライン嵌合されて一体的に回転する略環状のクラッチハブ21が形成されている。クラッチハブ21の外周には、軸線AX方向に図略の外歯スプラインが形成され、またクラッチハブ21の外側の周方向3箇所にはシフティングキー35を軸線AX方向に移動可能に収容するスペースが確保されている。
スリーブ3は、略環状でクラッチハブ21の外側に配置されている。スリーブ3の内周には軸線AX方向に内歯スプライン31が形成され、内歯スプライン31はクラッチハブ21の外周の外歯スプラインと噛合している。つまり、スリーブ3は、クラッチハブ21とともに回転し、かつ軸線AX方向に移動可能となっている。内歯スプライン31の図中左側端面は、エッジが面取りされてスリーブ側チャンファ32が形成されている。また、スリーブ3の外周には、周方向に操作溝33が形成されている。スリーブ3とクラッチハブ21との間の3箇所のスペースには、それぞれシフティングキー35が配設されている。シフティングキー35は、クラッチハブ21との間に介挿された図略の付勢ばねにより外側のスリーブ3に押圧され、スリーブ3とともに軸線AX方向に移動できるようになっている。後述するように、シフティングキー35はシンクロナイザリング5に当接した後に径方向内側に変位して、スリーブ3のみが軸線AX方向に移動するようになっている。
変速ギヤ4は、回転軸2の外周でクラッチハブ21の図中左側に、軸受22を介して相対回転自在に支持されている。変速ギヤ4の外周には、別の変速ギヤの歯と噛合する変速用歯41が形成されている。変速ギヤ4の図中右側には、ギヤピース45が一体的に設けられている。ギヤピース45の外周には外歯スプライン46が形成され、外歯スプライン46の図中右側端面は、エッジが面取りされてギヤ側チャンファ47が形成されている。外歯スプライン46は移動してきたスリーブ3の内歯スプライン31と噛合し、ギヤ側チャンファ47及びスリーブ側チャンファ32は噛合を円滑化する役割を有している。ギヤピース45の図中右側の外周には、右側ほど径の小さい円錐外面状の被摺動面48が形成されている。
シンクロナイザリング5は、クラッチハブ21とギヤピース45との間に配置され、スリーブ3に対して一定の角度範囲内で回転可能、かつ軸方向移動可能に支持されている。シンクロナイザリング5の外周には外歯スプライン51が形成され、外歯スプライン51の図中右側端面は、エッジが面取りされてリング側チャンファ52が形成されている。外歯スプライン51は移動してきたスリーブ3の内歯スプライン31と噛合し、リング側チャンファ52及びスリーブ側チャンファ32は噛合を円滑化する役割を有している。シンクロナイザリング5の内周には、ギヤピース45の被摺動面48に対向するとともに摩擦係合可能な円錐内面状の摺動面53が形成されている。
シフトフォーク61は、スリーブ3の外周の操作溝33に嵌入しており、スリーブ3を軸線AX方向に操作する。アクチュエータ62は、シフトフォーク61を駆動するものであり、モータや油圧装置が用いられる。アクチュエータ62とシフトフォーク61の間には、適宜動力を伝達する機構が設けられる。電子制御装置63は、アクチュエータ62を制御するものであり、噛合開始位置を求める実測手段はソフトウェアで実現されている。また、図には示されていないが、回転軸2及び変速ギヤ4の回転数をそれぞれ検出する図略の回転数センサと、シフトフォーク61の軸線AX方向の移動ストロークを検出する図略のストロークセンサとが設けられている。これらのセンサの検出結果は電子制御装置63に取り込まれている。
次に、上述のように構成された実施形態の同期装置1の基本的な同期操作について説明する。図1において、スリーブ3はニュートラル位置PNにある(以降では、スリーブ側チャンファ32の先端位置に符号を付して、スリーブ3の位置を記載する)。同期指令が入力されると、電子制御装置63はアクチュエータ62を制御してシフトフォーク61を図中左方に操作し、スリーブ3を左方に移動させる。スリーブ3とともにシフティングキー35も左方に移動して、シンクロナイザリング5を左方に押圧する。すると、スリーブ側チャンファ32はリング側チャンファ52に向かうが、未だ同期していないので両者は嵌入できずに周方向の荷重を受けて当接する。同時に、シンクロナイザリング5の摺動面53がギヤピース45の被摺動面48に摩擦係合して、両者の間の回転数差が徐々に減少する。摩擦係合の間、スリーブ3の移動速度は殆どゼロで、摩擦係合位置P1に留まる。同期が達成されると、スリーブ側チャンファ32とリング側チャンファ52との間で周方向の荷重が消失して前者32が後者52に嵌入し、スリーブ3の内歯スプライン31とシンクロナイザリング5の外歯スプライン51とが噛合する。
さらに、スリーブ3が図中左方に移動すると、図2に示されるように、スリーブ側チャンファ32とギヤ側チャンファ47とが対面する噛合開始位置P2に達する。図2は、スリーブ3と変速ギヤ4との噛合開始位置P2を模式的に説明する図である。図2の状態において、スリーブ3及び変速ギヤ4は既に同期されているが周方向の位相までは一致していない。したがって、この状態からスリーブ3を高速で移動させると、スリーブ3が変速ギヤ4に噛合し始める瞬間にチャンファ32、47同士が衝突して大きなノイズや振動が発生する。このため、スリーブ3がシンクロナイザリング5を通り抜けてから噛合開始位置P2を通過するまでの間は、移動速度を低速とする必要がある。スリーブ側チャンファ32がギヤ側チャンファ47を押して位相が揃うと、前者32が後者47に嵌入する。スリーブ側チャンファ32が噛合開始位置P2を通過してしまえば、その直後から移動速度を高速としてもよい。最終的に、スリーブ3は噛合完了位置P3まで移動し、スリーブ3の内歯スプライン31とギヤピース45の外歯スプライン46とが噛合して、同期操作が終了する。
上述のように、噛合開始位置P2はスリーブ3の移動速度を制御する上での重要ポイントであり、本実施形態では実測手段として移動速度判定法を用い、すべての変速機で噛合開始位置P2を求める。
図3は、図1の実施形態において、噛合開始位置P2を求める移動速度判定法を説明する図である。図中の横軸は時間Tであり、縦軸は上から順番に、回転軸2と変速ギヤ4との回転数差RD、スリーブ3の位置P、スリーブ3の移動速度VS、を示している。移動速度判定法では、電子制御装置63は通常の入り操作を行い、スリーブ3の位置Pをシフトフォーク61に設けられたストロークセンサで継続的に求め、位置Pの時間的変化の割合(差分あるいは微分)を演算により求めて移動速度VSとしている。
今、時刻T0で同期指令が入力されると、電子制御装置63はニュートラル位置PNにあるスリーブ3を一定荷重F0で操作する。すると、スリーブ3は比較的高速VS1で移動して時刻T1で摩擦係合位置P1に達し、摩擦係合により回転数差RDが減少する間は移動速度VSは殆どゼロになる。時刻T2で同期が達成されると、スリーブ3は速度VS2で移動してシンクロナイザリング5の外歯スプライン51を通過する。スリーブ3のスリーブ側チャンファ32がギヤ側チャンファ47に対面すると、チャンファ32、47同士が衝突するため、移動速度VSは再度減少する。このとき、しきい値速度VXを設定し、移動速度VSがしきい値速度VXよりも小さくなった時刻T3を求めると、そのときのスリーブの位置Pが噛合開始位置P2となる。スリーブ側チャンファ32及びギヤ側チャンファ47の位相が揃って、時刻T4で前者32が後者47に嵌入すると、スリーブ3は高速VS3で移動し、時刻T5で噛合完了位置P3に達する。
上記実測において、スリーブ側チャンファ32とギヤ側チャンファ47の位相が最初から揃いスムーズに嵌入して移動速度VSがしきい値速度VXよりも小さくならなかった場合には、再度入り操作を行って再度実測することができる。また、一定荷重F0を測定パラメータとして大きさを変更して繰り返して実測を行い、噛合開始位置P2を一定荷重F0の関数として求めることができる。このようにして、変速機の各変速段の同期装置で噛合開始位置P2を求める。
次に、求めた噛合開始位置P2の利用方法を、図4を参照して説明する。図4は、図1の実施形態において、実測により求めた噛合開始位置P2を利用した入り操作方法を説明する図である。図中の横軸は時間Tであり、縦軸はスリーブ3の位置Pを示している。また、太い点線は実施形態における指示ストロークS0、太い破線は実施形態における実動ストロークS1、細い点線は従来方法における指示ストロークS2、細い実線は従来方法における実動ストロークS3、をそれぞれ示している。
本実施形態において、電子制御装置63は、指示ストロークS0のグラフに示されるように、時刻T2で同期が達成されたのち低速移動速度V0で時刻T30に噛合開始位置P2まで達し、その後高速移動速度V1で時刻T50に噛合完了位置P3に達するように、アクチュエータ62に指示を与えて制御する。実際には時間遅れが生じるため、実動ストロークS1のグラフに示されるように、スリーブ3は低速で移動して時刻T3に噛合開始位置P2に達し、その後高速で移動して時刻T5で噛合完了位置P3に達する。本実施形態によれば、スリーブ3がギヤピース35に噛合し始める噛合開始位置P2に達するまでは移動速度VSを低速としてノイズ及び振動の発生を抑止し、スリーブ3が噛合開始位置P2を通過した直後から移動速度VSを高速にすることができる。
一方、従来方法では、電子制御装置63は噛合開始位置P2を実測していない。図4中に表示されるように、噛合開始位置P2は個体差により最小位置P2Sから最大位置P2Lまでばらつくので、電子制御装置63は最悪条件を考慮して最大位置P2Lを用いて入り操作を行う。したがって、従来方法における指示ストロークS2は、低速移動速度V0の時間が時刻T40まで長引き、その後高速移動速度V1で時刻T60に噛合完了位置P3に達する制御になっている。実際には時間遅れが生じるため、従来方法の実動ストロークS3のグラフに示されるように、スリーブ3は低速で移動して時刻T4に最大位置P2Lまで達し、その後高速で移動して時刻T6で噛合完了位置P3に達する。
図から明らかなように、従来方法では、実際の噛合開始位置P2を通過した後の時刻T3と時刻T4の間、スリーブ3を高速移動速度V1で移動させることができない。本実施形態では、この間スリーブ3を高速移動速度V1で移動させ、結果として同期所要時間を(時刻T6−時刻T5)分だけ短縮することができる。実際の噛合開始位置P2が最大位置P2Lとなっている変速機にはこの効果は生じないが、大多数の変速機において程度の差はあっても効果的となる。
なお、噛合開始位置P2は、実測時に加えた一定荷重F0の関数として求められている。したがって、スリーブ3が一定の移動速度V0で移動しているときのアクチュエータ62の出力から荷重を求め適正な噛合開始位置P2を用いることで、より高精度にスリーブ3の移動速度VSを制御することができる。
また、噛合開始位置P2を求める実測は、工場出荷前や定期点検時などに安定した雰囲気中で行うことができ、仮にノイズや振動が発生しても問題なく、高精度に噛合開始位置P2を求めることができる。一方、上述の移動速度判定法を応用することにより、道路走行時の変速操作に重畳して実測を行うことも可能である。これによれば、実使用条件下で噛合開始位置P2を逐次更新して、経時変化に対応することができる。つまり、実測手段による実測の頻度は、随意に設定することができる。
次に、噛合開始位置P2を求める実測手段の別の形態として、荷重判定法及び抜き操作判定法を説明する。
図5は、噛合開始位置P2を求める荷重判定法を説明する図である。図中の横軸は時間Tであり、縦軸は上側がスリーブ3の位置P、下側がスリーブ3の移動に要する荷重F、を示している。荷重判定法では、電子制御装置63は通常の入り操作を行い、スリーブ3の移動に要する荷重Fをアクチュエータ62の出力から継続的に求めている。今、時刻T2で同期が達成されて、スリーブ3がシンクロナイザリング5を通過し、スリーブ側チャンファ32がギヤ側チャンファ47に対面すると、チャンファ32、47同士が衝突するため、荷重Fが増加する。このとき、しきい値荷重FXを設定し、荷重Fがしきい値荷重FXを越えた時刻T3を求めると、そのときのスリーブの位置Pが噛合開始位置P2となる。なお。荷重Fは、シフトフォーク61に荷重センサを設けて、実測するようにしてもよい。
図6は、噛合開始位置P2を求める抜き操作判定法を説明する図である。図中の横軸は時間Tであり、縦軸は上から順番に、スリーブ3の位置P、回転軸2と変速ギヤ4との回転数差RD、回転数差RDの変化率DD、を示している。抜き操作判定法では、電子制御装置63は噛合結合状態から抜き操作を行い、スリーブ3の位置Pをシフトフォーク61に設けられたストロークセンサで継続的に求め、また、回転数センサの検出結果から回転数差RDを演算により求め、その時間的変化の割合(差分あるいは微分)を変化率DDとしている。今、時刻T7でスリーブ3の抜き操作が始まりギヤピース35から抜け出ると、回転軸2と変速ギヤ4との同期が解消されて回転数差RDが生じる。このとき、しきい値変化率DXを設定し、回転数差RDの変化率DDが増加し始める時刻T8を求めると、そのときのスリーブの位置Pが噛合開始位置P2となる。
以上説明した、移動速度判定法、荷重判定法、抜き操作判定法のいずれによっても、全ての変速機の各変速段の同期装置について、個別に噛合開始位置P2を求めることができる。
1:変速機の同期装置
2:回転軸 21:クラッチハブ
3:スリーブ
31:内歯スプライン 32:スリーブ側チャンファ 33:操作溝
35:シフティングキー
4:変速ギヤ
41:変速用歯 45:ギヤピース 46:外歯スプライン
47:ギヤ側チャンファ 48:被摺動面
5:シンクロナイザリング
51:外歯スプライン 52:リング側チャンファ 53:摺動面
61:シフトフォーク 62:アクチュエータ 63:電子制御装置
PN:ニュートラル位置 P1:摩擦係合位置
P2:噛合開始位置 P3:噛合完了位置
V0:低速移動速度 V1:高速移動速度

Claims (5)

  1. 回転軸と、該回転軸と一体的に回転するクラッチハブの外周に形成された外歯スプラインに噛合する内歯スプラインを有して軸線方向に移動可能なスリーブと、前記回転軸に相対回転自在に支持されて外周に変速用歯を有しかつ軸方向の一側に外歯スプライン及び円錐面状の被摺動面を有する変速ギヤと、前記クラッチハブと前記変速ギヤとの間に回転可能にかつ軸方向移動可能に支持され前記変速ギヤの前記被摺動面に摩擦係合可能な摺動面を有し外周に外歯スプラインが形成されたシンクロナイザリングと、前記スリーブを操作する操作制御部とを備えており、前記スリーブを軸線方向に入り操作することにより前記シンクロナイザリングを軸線方向に移動させて前記摺動面を前記変速ギヤの前記被摺動面に摩擦係合させ、次いで前記スリーブの前記内歯スプラインを前記シンクロナイザリングの前記外歯スプラインおよび前記変速ギヤの前記外歯スプラインに噛合させて、前記回転軸と前記変速ギヤとを同期回転させる変速機の同期装置において、
    前記操作制御部は、前記スリーブの内歯スプラインが前記変速ギヤの前記外歯スプラインに噛合し始める噛合開始位置を求める実測手段を有し、入り操作時に前記内歯スプラインが前記噛合開始位置に到達するまで前記スリーブを低速で操作し、前記内歯スプラインが前記噛合開始位置を通過した直後から前記スリーブを高速で操作することを特徴とする変速機の同期装置。
  2. 前記操作制御部の前記実測手段は、前記スリーブを入り操作してその前記内歯スプラインを前記変速ギヤの前記外歯スプラインに噛合させながら前記スリーブの移動速度を求め、該移動速度が変化したときの前記スリーブの位置を前記噛合開始位置とする請求項1に記載の変速機の同期装置。
  3. 前記操作制御部の前記実測手段は、前記スリーブを入り操作してその前記内歯スプラインを前記変速ギヤの前記外歯スプラインに噛合させながら入り操作に要する荷重を求め、該荷重が変化したときの前記スリーブの位置を前記噛合開始位置とする請求項1に記載の変速機の同期装置。
  4. 前記操作制御部の前記実測手段は、前記スリーブを抜き操作してその前記内歯スプラインを前記変速ギヤの前記外歯スプラインに噛合した状態から抜き外しながら前記変速ギヤと前記回転軸との回転数差を求め、該回転数差が変化したときの前記スリーブの位置を前記噛合開始位置とする請求項1に記載の変速機の同期装置。
  5. 前記操作制御部の前記実測手段は、測定パラメータに依存する関数として前記噛合開始位置を求める請求項2〜4のいずれか一項に記載の変速機の同期装置。
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