JP2010167870A - 乗物用シート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】乗物用シートSは、シートバックフレーム1と、ヘッドレストS3と、シートバックフレーム1に連結部材22を介して連結される受圧部材20と、両側のサイド部15の少なくとも一方側に配設され連結部材22と連結され、回動軸を中心に回動する回動部材30と、回動部材30とシートバックフレーム1とに取付けられたばね35を備えている。そして、ばね35の両端を結ぶ線が、回動部材30の作動前から作動後にかけて常に回動軸より乗物前方側に位置するよう構成されている。
【選択図】図9
Description
しかし、ばね係数を小さくする技術や、低反発クッション部材による技術では、乗物の後方への身体の沈み込みを大きくする(即ち、移動量を大きくする)ことができないという不都合があった。
しかし、特許文献2で示される技術は、固定フレームと可動フレームが、下部の取付軸で固定されているため、下部位置近傍での固定フレームと可動フレームの可動が非常に少なく、着座している身体の全体を乗物の後方側へ沈み込ませることができないという不都合がある。また特許文献2のばねは、大きく移動するに従って反力が大きくなって動きにくくなるだけでなく、固定フレームと可動フレームとの可動範囲は、極めて限定された移動範囲となり、大きく沈み込ませる移動量を確保することが難しいという問題があった。そして、可動フレームを用いているため、全体として装置が大きくなり、軽量化が困難であるという不都合もあった。
また特許文献3の技術は、第一リンク杆の下部に、一端を背凭フレーム側に係止したばねの他端を係止し、ヘッドレストが常時後側に位置するように上側リンクを付勢する戻りばねが配設されており、上方に配置していた背中の戻りのばねの存在によって、背凭フレームの径が大きくなると、上記ばねの存在が障害となり、設計の自由度を阻害することになっていた。
このように、複数のリンク杆からなる上側リンクを含めて多数の部材を用いてリンク機構を構成しているために、部品点数が多くなるだけでなく、リンク機構自体が大型化してしまうという不都合があった。
しかし、ばねを用いてリンク部材の位置の保持をする技術においては、作動時に、ばねの両端を結んだ線上にリンク部の軸の中心が重なってしまうと、ばねが元に戻ろうとしても作動軸が必ずしも戻る方向へ回動しないため、スタック(動かなくなる)してしまう恐れがあった。
また、本発明の他の目的は、小型化が可能で、必要以上の剛性が不要で、部品点数が少なく、後面衝突時に乗物の後方への身体の沈み込み(移動)量を大きくでき、ヘッドレストと独立して後面衝突時に乗員に加わる衝撃を効果的に低減することのできる乗物用シートを提供することにある。
さらに、付勢手段の両端を結ぶ線が、衝撃低減部材の作動前から作動後にかけて常に衝撃低減部材の回動軸より乗物前方側に位置するように構成しているので、付勢手段が回動軸の支点を越えることがなく、伸びる方向と逆方向の反力を確保でき、スタックを防止できるだけでなく、付勢手段を回動軸の乗物前方側の配置しやすい箇所に配設することが可能となり、組付作業効率を向上させることが可能となる。
このように、衝撃低減部材は、ヘッドレストと独立して可動されるので、受圧部材に加わる荷重をヘッドレストに伝達する機構等が不要となり、単純化が図れると共に、軽量化を図ることが可能となる。しかも、衝撃低減部材は、両側のサイド部に配設され、各々が独立して可動されるので、乗員の姿勢や衝突の方向等の違いにより偏ったねじれ荷重が発生しても、効率よくねじれを吸収しながら、乗員の移動量を確保できる。
また、小型化が可能で、必要以上の剛性が不要で、部品点数が少なく、後面衝突時に乗物の後方への身体の沈み込み(移動)量を大きくでき、ヘッドレストと独立して後面衝突時に乗員に加わる衝撃を効果的に低減できる。
さらに、衝撃荷重によって回動する衝撃低減部材のスタックを防止し、回動を確実且つ安定させることができる。
着座フレーム2は、上述のようにクッションパッド2aを載置して、クッションパッド2aの上から表皮材2bによって覆われており、乗員を下部から支持する構成となっている。着座フレーム2は脚部で支持されており、この脚部には、図示しないインナレールが取り付けられ、車体フロアに設置されるアウタレールとの間で、前後に位置調整可能なスライド式に組み立てられている。
また着座フレーム2の後端部は、リクライニング機構11を介してシートバックフレーム1と連結されている。
なお、本実施形態のシートバックフレーム1は、サイドフレーム15と上部フレーム16と下部フレーム17との別部材で形成されているが、一体のパイプフレーム、一体の板状フレーム等で形成することもできる。
また、前縁部15bの、突起部15dの下方から付勢手段としての引張りコイルばね35が配設される位置に対向する部分にかけて、乗物前方側に切り欠いて幅を少なくした切り欠き部15eが形成されている。この切り欠き部15eにより、引張りコイルばね35との干渉を防止することができる。
そして、本実施形態の回動部材30は、回動可能な軸部32と、この軸部32から所定距離の位置に形成された連結部材の係止部31と、付勢手段の係止部(係止孔33)と、回動を阻止する回動阻止部39(ストッパ部39a,39b)と、を備えている。
本実施形態では、回動部材30が、両側のサイドフレーム15に取付けられているが、これら両側に取り付けられた回動部材30は、互いに独立して回動するように構成されている。このため、荷重が偏って生じた場合において、荷重に合わせて両側のサイド部で回動部材30が、各々独立して回動することになり、衝撃荷重の大きさに応じて、乗員の身体を沈み込ませることができる。
ここで、回動部材30が回動を始める力の閾値について、通常着座している状態(ここでは、着座衝撃や乗物の急発進によって生じる小さな衝撃は除いている)でシートバックS1にかかる荷重は150N程度であるので、閾値は150Nより大きい値が好ましい。この値より小さいと、通常の着座時に移動してしまい、安定性に欠けるため、好ましくない。
さらに通常の着座時に生じる着座衝撃や、乗物の急発進等によって生じる加速時の荷重を考慮して、250Nより大きな値に設定することが好ましく、このようにすると、後面衝突以外では回動部材30が作動せず、安定した状態を維持することができる。
回動部材30の回動前の初期位置においては、ワイヤ22を係止する係止部31と引張りコイルばね35の下端部を係止する係止孔33は、軸部32よりも乗物前方に位置するように配置されており、引張りコイルばね35の上端部は回動部材30の上方に位置するサイドフレーム15の突起部15dに形成された係止孔34に係止されている。また、引張りコイルばね35の係止孔33は、ワイヤ22の係止部31よりも乗物前方に位置している。
すなわち、回動部材30の回動量と、引張りコイルばね35の引張り荷重(たわみ量)は比例しない構成となっており、さらに換言すれば、回動部材30の回動角度と、引張りコイルばね35により与えられる前方回動方向のトルク(回転力)は単純に比例しない関係となっている。
このため、回動部材30が回動を始める時の、ワイヤ22を介して生じる張力に対して、ストッパ39bに当接して回動が抑止されるとき(回動が終了するとき)に生じる張力は、略同じ値となっている。
M1=F2×a、M1′=F2′×a′
M1,M1′回転モーメント
F1,F1′後方への荷重
F2,F2′ばねの引張り力
a,a′回動中心と付勢手段(ばね)の固定位置との距離であり、詳しくは付勢手段の両端を結ぶ第1仮想線L1と、この第1仮想線L1に平行で回動中心を通る第2仮想線L2との間の距離で、aは回動前の距離、a′は回動後の距離、
b,b′回動中心と連結部材(ワイヤ)との距離であり、衝撃低減部材と連結部材(ワイヤ)の連結部分を通る水平線と平行な第3仮想線L3と、この第3仮想線L3に平行で回動中心を通る第4仮想線L4との間の距離で、bは回動前の距離、b′は回動後の距離、
x,x′ばねの伸び、
F2′=F2+Δx×k、ここでk:ばね定数、Δx=x′−xである。
例えば、ばねの引張り力F2′が2倍で、回動中心とばねの固定位置との距離a′が半分より少なくなっていれば、衝撃低減部材を回動させる力が弱くなっていることが理解できる。
F1×b≦F2×a ・・・(式1)
F1′×b′≧F2′×a′ ・・・(式2)
また、引張りコイルばね35が回動部材30を初期状態に復帰させる力が、回動部材30が回動するにしたがって低下していく。
そのため、後面衝突により回動部材30が回動を始めるとストッパ39bで制止されるまで、途中で停止することなく回動することになり、確実に乗員をシートバックS1の内部に沈み込ませることができる。
このとき、乗員の背部がシートバックS1に沈み込むことで後方に移動しているが、ヘッドレストS3の位置は相対的に変わらないため、ヘッドレストS3と頭部の隙間が縮まり、ヘッドレストS3で頭部を支持することができるため、頸部へ加わる衝撃を効果的に軽減する効果を奏する。
S1 シートバック
S2 着座部
S3 ヘッドレスト
F シートフレーム
1 シートバックフレーム
2 着座フレーム
1a,2a,3a クッションパッド(パッド材)
1b,2b,3b 表皮材
11 リクライニング機構
15 サイドフレーム
15a 側板
15b 前縁部
15c 後縁部
15d 突起部
15e 切り欠き部
16 上部フレーム
16a 側面部
17 下部フレーム
17a 延長部
17b 中間部
18 ピラー支持部
19 ヘッドレストピラー
20 受圧部材
21,22 ワイヤ(連結部材)
21a,22a 凹凸部
22c 鈎部
24 爪部
30 回動部材(衝撃低減部材)
30a ベース部
30b 第1立上り部
30c 形成部
30d 第2立上り部
31 係止部
32 軸部
32a 軸部材
32b 軸孔
32c 孔部
32d 嵌め合わせ部材
33,34 係止孔
35 引張りコイルばね(付勢手段)
35a フック
37 取付けフック
39 回動阻止部
39a,39b ストッパ部
Claims (6)
- 両側に位置するサイド部と、上方に配設されたアッパー部とを少なくとも備えたシートバックフレームと、
該シートバックフレームの上方に配設されるヘッドレストと、
前記シートバックフレームに連結部材を介して連結される受圧部材と、
前記シートバックフレームの両側のサイド部の少なくとも一方側に配設されると共に、前記連結部材と連結され、回動軸を中心に回動する衝撃低減部材と、
該衝撃低減部材に形成された取付部と前記シートバックフレームに形成された取付部に端部を取付けて配設された付勢手段と、を備え、
前記付勢手段の両端を結ぶ線が、前記衝撃低減部材の作動前から作動後にかけて常に前記衝撃低減部材の回動軸より乗物前方側に位置することを特徴とする乗物用シート。 - 前記衝撃低減部材は、前記ヘッドレストと独立して可動すると共に、両側の前記サイド部に配設され、各々独立して可動することを特徴とする請求項1記載の乗物用シート。
- 前記付勢手段の配置位置に対向する前記シートバックフレームの乗物前方側のサイド部には、切り欠きが形成されていることを特徴とする請求項1記載の乗物用シート。
- 前記衝撃低減部材に形成された前記付勢手段の取付部が、前記衝撃低減部材に形成された前記連結部材の取付部よりも、前記シートバックフレームの乗物前方側に配置してなることを特徴とする請求項1記載の乗物用シート。
- 前記衝撃低減部材の回動軸を中心とした前記付勢手段の取付部の回動軌跡の前記回動軸側に、前記連結部材の取付部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の乗物用シート。
- 前記衝撃低減部材には、前記シートバックフレームに当接する回動阻止部が形成され、該回動阻止部は、前記衝撃低減部材の回動軸に対して前記付勢手段の反対側に位置していることを特徴とする請求項1記載の乗物用シート。
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