JP2010167746A - シャープペンシル - Google Patents

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Abstract

【課題】 腕の負担の少ない振り動作によって鉛芯を繰り出すことができるシャープペンシルを提供する。
【解決手段】 軸筒10に相対し進退部21が軸筒軸方向へ進退運動されることで鉛芯を繰り出すシャープペンシルにおいて、軸筒軸方向に対する交差方向へ往復運動するように錘体50を設け、この錘体50の前記交差方向への往復運動を軸筒軸方向の進退運動に変換して前記進退部21に伝達する。
【選択図】図1

Description

本発明は、軸筒を振る動作によって鉛芯を繰り出すようにしたシャープペンシルに関するものである。
従来、この種のシャープペンシルには、例えば特許文献1に記載されたもののように、軸筒(1)内に、軸方向へ進退するように錘体(重量体11)を具備し、該錘体の軸筒軸方向への進退運動によって鉛芯が繰り出されるようにしたものがある。
ところで、本願発明者の行動観察によれば、前記構造のシャープペンシルを軸筒軸方向へ振って鉛芯を繰り出す場合、使用者は、腕の肘を曲げてその肘から先の部分を大きく振るようにして、軸筒に対し軸方向の強い振幅を与える必要がある。そのため、使用者の腕に対する負担が大きく、例えば使用者が子供や高齢者等のように比較的腕力の弱い者である場合には、鉛芯がスムーズに繰り出されないという問題を生じる場合があった。
実開平4−111487号公報
本発明は上記従来事情に鑑みてなされたものであり、その課題とする処は、腕の負担の少ない振り動作によって鉛芯を繰り出すことができるシャープペンシルを提供することにある。
上記課題を解決するための技術的手段は、軸筒に相対し進退部が軸筒軸方向へ進退運動されることで鉛芯を繰り出すシャープペンシルにおいて、軸筒軸方向に対する交差方向へ往復運動するように錘体を設け、この錘体の前記交差方向への往復運動を軸筒軸方向の進退運動に変換して前記進退部に伝達するようにしたことを特徴とする。
この構成によれば、錘体が軸筒軸方向に対する交差方向へ往復運動すると、その往復運動が軸筒軸方向の進退運動に変換されて進退部に伝達する。そのため、進退部の進退運動により鉛芯が繰り出されることになる。
更なる技術的手段では、軸筒の後端側に設けられた支持体と、該支持体に支持されて後端部を前記交差方向へ往復運動させる揺動部材とを備え、前記揺動部材の後端部に前記錘体を固定するようにしたシャープペンシルであって、
前記揺動部材には、前記支持体によって回動可能に抱持される球状部が設けられ、前記支持体には、前記球状部の前寄りの部分を受ける前側受部と、同球状部の後寄りの部分を受ける後側受部とが設けられていることを特徴とする。
この構成によれば、揺動部材の後端側が回動する際に、揺動部材の球状部が前側受部と後側受部との間で回転する構造であるため、その回転運動の際にガタツキを生じ難く、ひいては、揺動部材の揺動を引っかかり等なくスムーズに行うことができる。
更なる技術的手段では、前記揺動部材の前端側と前記進退部の後端側との内の一方に突起を有する当接部を設けるとともに、その他方には前記突起に対し傾斜した状態で当接可能な傾斜面を有する被当接部を設け、前記突起と前記傾斜面とを摺接させて、前記交差方向への往復運動を軸筒軸方向への進退運動に変換することを特徴とする。
この構成によれば、当接し合う突起と傾斜面との摺接により、揺動部材後端側の錘体の軸筒交差方向への往復運動を、軸筒軸方向への進退運動に変換して進退部に伝達することができる。
なお、前記傾斜面には、平坦状の傾斜面、及び曲面状の傾斜面を含む。
更なる技術的手段では、前記当接部の突起は、軸心側に中空部を有する環状に形成され、前記被当接部は、前記中空部に内在されるように前記傾斜面によって形成された円錐突部と、該円錐突部の周囲に設けられて前記環状の突起の略全周に対し当接する環状平坦部とからなることを特徴とする。
この構成によれば、軸筒を振らない状態では、当接部の環状の突起の略全周と、被当接部の環状平坦部とが当接して、揺動部材及び錘体が容易に揺れることのない状態に維持される。よって、筆記者は、安定した筆記姿勢を維持して筆記に集中することができる。
また、軸筒を横に振った際には、当接部の環状の突起が、円錐突部の傾斜面に摺接するため、錘体の軸筒交差方向の往復運動が、進退部の軸筒軸方向の進退運動に変換され、鉛芯が繰り出される。この際、突起および傾斜面が環状であるため、軸筒を横に振る際の方向性に拘わらず、鉛芯の繰り出しがスムーズに行われる。
更なる技術的手段では、前記支持体は、前記軸筒に対し所定量進退するように係合するとともに、前記進退部によって後方へ押圧されることで該支持体の進退範囲の後端側に位置し、前記進退部は、前記支持体に対し所定量進退するように係合するとともに、軸筒に支持された付勢部材によって後方へ付勢されることで該進退部の進退範囲の後端側に位置していることを特徴とする。
この構成によれば、錘体が軸筒交差方向へ往復運動すると、その往復運動が軸筒軸方向の進退運動に変換されて進退部に伝達し、進退部が支持体及び軸筒に相対して軸筒軸方向へ進退運動する。そのため、進退部の進退運動により鉛芯が繰り出されることになる。
また、支持体が軸筒に相対し軸方向へ前進した際には、該支持体と共に進退部も前進する。その後、支持体を前進させる力が除去されれば、付勢部材の付勢力によって進退部が軸筒に相対して後退し、該進退部に押圧されて支持体が進退範囲の後端側まで後退する。すなわち、支持体の進退運動により進退部を軸筒軸方向へ進退させて、鉛芯を繰り出すことができる。
よって、錘体の軸筒交差方向への往復運動により鉛芯を繰り出せる上、軸筒を縦に振って錘体及び支持体を進退させる動作や、ノック操作によって錘体及び支持体を進退させる動作によっても、鉛芯を繰り出すことができる。
本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されるような作用効果を奏する。
軸筒をその軸方向に対する交差方向に振る動作(例えば団扇であおぐような動作)によって鉛芯を繰り出すことができるため、軸筒を振る腕の負担が少ない。ひいては、例えば子供や高齢者等、比較的腕力の小さな者であっても、負担の少ない動作で簡単に鉛芯を繰り出すことができる。
本発明に係るシャープペンシルの一例を示す縦断面図である。 同シャープペンシルの動作を説明する要部縦断面図であり、(a)は進退部が前進する前の状態を示し、(b)は錘体及び揺動部材の揺動により進退部が前進した状態を示し、(c)は支持体の前方への押動により進退部が前進した状態を示す。 本発明に係るシャープペンシルの他例を(a)〜(c)の各々に示す要部縦断面図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
このシャープペンシル1は、軸筒10と、進退部21の軸筒軸方向(図1によれば上下方向)への進退運動により軸筒10前端から鉛芯xを繰り出す鉛芯繰出機構20と、軸筒10の後端側に進退可能に設けられた支持体30と、該支持体30内に揺動可能に支持された揺動部材40と、該揺動部材40の後端側に固定された錘体50とを備え、錘体50における軸筒軸方向に対する交差方向(以降軸筒交差方向と称する)への往復運動を、軸筒軸方向の進退運動に変換して進退部21に伝達するようにしている。
なお、本実施の形態において前とは、鉛芯xが繰り出される方向(図1によれば下方)を意味し、後とは前記前に対する逆方向を意味する。
軸筒10は、略筒状の長尺体であり、図示例によれば前軸11と該前軸11の後端側に接続された後軸12とから構成される。この軸筒10の前端側には、前方へ向かって先細筒状の先口13が接続されている。
この軸筒10の他例としては、前軸11及び後軸12を一体化した単一の部材からなる態様や、更に前記先口13を一体化した態様等とすることが可能である。
前軸11は、その外面を把持部11aとするとともに、その内面に後述する付勢部材の前端部を受ける受け突部11bを有する。
また、後軸12は、その内部に、後述する支持体30の前端側の係合部31b1を係止するための係合突部11cを有する。
受け突部11bと係合突部11cの各々は、例えば、軸筒求心方向へ突出するとともに周方向へ連続する一体環状に形成すればよいが、他例としては、軸筒周方向にわたって複数設けられる突起とすることも可能である。
また、鉛芯繰出機構20は、進退部21及び該進退部21と一体的な芯タンク22の進退運動により鉛芯xを繰り出すようにした周知のシャープペンシル用鉛芯繰出機構である。
より詳細に説明すれば、この鉛芯繰出機構20は、後方からの押圧力により進退部21及び芯タンク22が付勢部材23の付勢力に抗して前進すると、チャック24が鉛芯xを挟持した状態で前進する。前進したチャック24は、その周囲のクラッチリング25から外れることで、弾性的に拡径し、挟持していた鉛芯xを解放する。
次に、前記後方からの押圧力が解除されると、進退部21及び芯タンク22は付勢部材23の付勢力により後退し、その後退に伴ってチャック24も後退する。そのため、チャック24は、クラッチリング25に嵌まり合うことで弾性的に縮径し、鉛芯xを再度挟持することになる。
よって、進退部21及び芯タンク22の進退運動の繰り返しにより、チャック24の前端から鉛芯xが繰り出され、更に、この鉛芯xは先口13から前方へ繰り出されることになる。
付勢部材23は、図示例によればコイルスプリングであり、その前端座部が前軸11内の受け突部11bに受けられた状態で、その後端座部によって芯タンク22を後方へ付勢している。芯タンク22には、その外周に、付勢部材23の後端座部を受けるための突起22aが設けられている。
進退部21は、筒部21aと、該筒部21aの後端開口を閉鎖するように設けられた被当接部21bとを具備し、付勢部材23によって後方へ付勢されることで、前記被当接部21bを揺動部材40前端の当接部42に当接する。
筒部21aは、その内周面を芯タンク22の後端外周面に嵌合している。そして、この筒部21aの外周面には、スライド規制部31b2に対し、前後方向へ所定量スライドするように係合するスライド係合部21a1が設けられる。
スライド係合部21a1は、筒部21aの外周面から鉛芯方向へ突出して、スライド規制部31b2内に遊嵌される突起である。
スライド係合部21a1及びスライド規制部31b2の数は、図示例によればそれぞれ二つとしているが、他例として、単数や三以上とすることも可能である。
また、他例としては、スライド係合部21a1とスライド規制部31b2との凹凸関係を逆にしてもよい。
被当接部21bは、後述する揺動部材40における環状の当接部42に内在される円錐突部21b1と、該円錐突部21b1の周囲に設けられた環状平坦部21b2とから構成される。
円錐突部21b1は略円錐状に形成される。この円錐突部21b1は、揺動部材40が軸筒交差方向へ揺動した際に、その揺動した揺動部材40の当接部42を、環状に連続する傾斜面によって受ける。
環状平坦部21b2は、軸筒軸方向に対し略直交する環状の平坦面であり、揺動前の揺動部材40における当接部42に対し、略全周にわたって略直角に当接する。
なお、鉛芯繰出機構20は、少なくとも進退部21の進退運動によって鉛芯xを繰り出す構造であればよく、前述した以外の構成とすることも可能である。
また、支持体30は、図示した好ましい一例によれば、軸筒10の後端側部分に対し進退可能に係合する係合部材31と、該係合部材31の後端側部分と協働して揺動部材40を揺動可能に抱持する抱持部材32とから構成される。
係合部材31は、軸筒10に対し所定量進退するように係合している。
より具体的に説明すれば、この係合部材31は、軸筒10の後端側に挿入されて軸筒10に相対し前後方向へスライド可能なスライド筒部31aと、該スライド筒部31aの前端から略二股状に分かれて前方へ突出する二つの係止片部31b,31bと、前記スライド筒部31aの後端側から後方へ延設されて揺動部材40を前方側から受ける受筒部31cとから構成され、例えば、弾性的に撓むことが可能な合成樹脂材料等から形成される。
スライド筒部31aは、その外周面を後軸12の後端側内周面にならう円筒状に形成するとともに、その内周面を後述する進退部21の外周面にならう円筒状に形成している。したがって、このスライド筒部31aは、軸筒10に対し前後方向へスライドするように係合し、且つ、内在する進退部21を前後方向へスライドするように係合する。
二つの係止片部31b,31bの各々は、弾性的に軸筒求心方向へ撓むことが可能な片状に形成され、その最先端部に軸筒10内の係合突部11cに係止可能な係合部31b1を有するとともに、該係合部31b1よりも後方側に、鉛芯繰進退部21を所定量スライドさせるためのスライド規制部31b2を有する。
係合部31b1は、係止片部31bの前端部分を軸筒鉛芯方向へ突出させた突起であり、後軸12内周面の係合突部11cに対し、その前方側から当接して、係合部材31が軸筒10後方へ抜けないように保持している。
したがって、組み立て作業の際、係止片部31bは、軸筒求心方向へ弾性的に撓まされた状態で、軸筒10後端部内に挿入され、係合部31b1が係合突部11cよりも前方側に位置した時点で弾性的に復元される。
スライド規制部31b2は、例えば軸筒軸方向へわたる略矩形状の長孔であり、後述する進退部21を嵌合して所定量進退させるように係合する。
このスライド規制部31b2の他例としては、溝や切欠部等とすることも可能である。
また、受筒部31cは、その外周面に抱持部材32を嵌合接続するとともに、その内部に揺動部材40前端側を挿入した略筒状の部材であり、その後端部に、揺動部材40における球状部41の前寄りの部分を受ける前側受部31c1を形成している。
前側受部31c1は、受筒部31cの後端側内周面に、軸筒軸方向へ延びる突リブを周方向へ間隔を置いて複数配設している。そして、その各突リブの後端側には、後述する球状部41の中心よりも前側の外周面に接触する傾斜面が形成されている。前記傾斜面は、球状部41との摩擦抵抗を小さくする観点より、球状部41外周面に近接又は点接触する平坦面状(換言すれば縦断面略直線状)の傾斜面とするのが好ましい。
また、抱持部材32は、その前端側内周面を係合部材31の後端側に嵌合するとともに、内部に揺動部材40を挿通させる略筒状に形成され、その後端側内周面に、球状部41の後寄りの部分を受ける後側受部32aを形成している。
後側受部32aは、抱持部材32の後端側内周面に、軸筒軸方向へ延びる突リブを周方向へ間隔を置いて複数配設している。そして、その各突リブの前端側には、後述する球状部41の中心よりも後側の外周面に接触する傾斜面が形成される。前記傾斜面は、球状部41との摩擦抵抗を小さくする観点より、球状部41外周面に点接触する平坦面状(換言すれば縦断面略直線状)の傾斜面とするのが好ましい。
なお、前側受部31c1又は後側受部32aの他例としては、前記各突リブの後端側に球状部41外周面にならう凹曲面を形成した態様や、受筒部31c後端側又は抱持部材32後端側に、軸筒周方向へわたって球状部41の外周面を受ける環状の凹曲面を形成した態様等とすることも可能である。
また、揺動部材40は、錘体50が装着された後端部を、軸筒軸方向に対する交差方向へ往復運動させる部材であり、支持体30に支持されている。
詳細に説明すれば、この揺動部材40は、支持体30によって回動可能に抱持される球状部41と、該球状部41から前方へ突出して進退部21に当接する当接部42と、球状部41の後端側で後述する錘体50を接続する接続部43とを具備し、例えば硬質合成樹脂材料等によって成形されている。
球状部41は、前端側の当接部42及び後端側の接続部43を除く外面を略球面状に形成した部位であり、その略球面状の外面の前寄り部分を、支持体30の前側受部31c1に対し近接又は接触させるとともに、同外面の後寄り部分を、支持体30の後側受部32aに対し近接又は接触させている。
したがって、球状部41は、前側受部31c1と後側受部32aとの間で所定量自在に回動することになる。この球状部41の回動量は、後述する当接部42外面が、支持体30の係合部材31内周面に当接することで制限される。
また、当接部42は、球状部41から前方へ突出する環状の突起であり、その軸心側の中空部に進退部21の円錐突部21b1を内在するようにして、該当接部42の略全周を、円錐突部21b1外周の環状平坦部21b2に当接することで、後方へ付勢された進退部21の環状平坦部21b2を略垂直に受けている。
より詳細に説明すれば、当接部42は、その周壁の先端部が、断面略半円状に形成されており、その半円状部分を、円錐突部21b1の基端側と、環状平坦部21b2の内周側との双方に当接させている。
また、接続部43は、球状部41後端側に設けられて、後述する錘体50の前端側を嵌合接続する凹部である。なお、他例としては、この接続部43を凸部とするとともに、錘体50の前端側を凹部としてもよい。
錘体50は、合成樹脂材料からなるケース部51と、該ケース部51内に収納された錘部52とから構成される。
ケース部51は、図示例によれば、揺動部材40後端に嵌合可能な凸部を有する半球中空状の前部51aと、該前部51aの後端側に接続された後部51bとからなる中空球状に形成される。
錘部52は、例えば鉛や真鍮等、比較的比重の大きな金属材料から略球状に形成され、ケース部51に内在されている。
次に上記構成のシャープペンシル1について、その特徴的な作用効果を詳細に説明する。
先ず、当該シャープペンシル1に何も外力が加えられていない状態では、進退部21に対し付勢部材23による後方への付勢力が作用しているため、図2(a)に示すように、支持体30,揺動部材40,及び錘体50が、進退部21によって後方へ押圧される。
この押圧状態においては、揺動部材40における環状の当接部42の略全周が、進退部21の円錐突部21b1を内在するようにして、環状平坦部21b2の内周側の部分に対し、略垂直に当接する。よって、揺動部材40は、軸筒軸方向に略沿った略直線状に維持される。なお、この当接状態をより詳細に説明すれば、当接部42は、その周壁の前端側における略半円状の部分を、円錐突部21b1と環状平坦部21b2との双方に当接させる。
よって、例えば、軸筒10が把持されて筆記が行われている際には、その筆記動作による若干の振動が発生したとしても、その筆記時の振動により錘体50及び揺動部材40が揺動することなく、安定した筆記姿勢を得ることができる。
また、シャープペンシル1が例えば団扇を扇ぐようにして軸筒交差方向へ積極的に振られた場合には、揺動部材40及び錘体50が慣性力によって軸筒10に相対し揺動し、その揺動中、図2(b)に示すように、揺動部材40及び錘体50が傾いた際に、当接部42が、軸筒交差方向へ回動しながら、進退部21の円錐突部21b1の傾斜面に摺接し、進退部21を軸筒軸方向へ前進させる。
また、揺動部材40及び錘体50の揺動中、これら揺動部材40及び錘体50が軸筒軸方向に沿うように位置した際には、前進した進退部21が、付勢部材23の付勢力によって後退して元の位置(図2(a)に示す状態)に戻される。
よって、進退部21が進退運動して、鉛芯繰出機構20の前端側から鉛芯xが繰り出されることになる。
また、シャープペンシル1の後端部に押圧力が加わった場合には、図2(c)に示すように、軸筒10に相対して、支持体30と揺動部材40と錘体50とが一体的に前進し、これに伴って、揺動部材40に当接されている進退部21も前進する。そして、その後、シャープペンシル1後端部に対する前記押圧力が解除された場合には、支持体30と揺動部材40と錘体50とが一体的に後退し、これに伴って、揺動部材40に当接されている進退部21も後退する。
よって、シャープペンシル1後端部(具体的には支持体30と揺動部材40と錘体50)を進退させるノック操作、あるいはシャープペンシル1を軸方向に振って前記後端部を振動させる操作により、進退部21等を進退させて、鉛芯繰出機構20の前端側から鉛芯xを繰り出すことができる。
次に、他の態様のシャープペンシルについて説明する。なお、以下に示すシャープペンシルについては、上述したシャープペンシル1に対し、一部の構成を変更したものであるため、上記シャープペンシル1と略同様の構成部分については同一の符号を付けることで重複する詳細説明を省略する。
図3に示すシャープペンシル2は、揺動部材40の上記当接部42を当接部45に置換するとともに、進退部21の上記被当接部21bを被当接部21cに置換した構成とされる。
当接部45は、その前端面(換言すれば被当接部21cとの当接面)が、環状に連続する傾斜面からなる略円錐凹状に形成される。
また、被当接部21cは、進退部21の後端部の略中心から後方へ突出する突起であり、その後端部を略半球状に形成している。
このシャープペンシル2によれば、外力が加わっていない状態(図3に示す状態)では、略円錐凹状の当接部45の中心側に被当接部21cの半球状の後端部が当接することで、揺動部材40及び錘体50が軸筒軸方向に沿った状態に維持される。すなわち、この状態では、通常筆記時の若干の振動で揺動部材40及び錘体50が振れてしまうようなことを防ぐことができる。
また、シャープペンシル2が例えば団扇を扇ぐようにして軸筒交差方向へ積極的に振られた場合には、揺動する揺動部材40における当接部45の傾斜面が被当接部21cに摺接することで、進退部21が進退運動を繰り返すため、鉛芯繰出機構20前端側から鉛芯xが繰り出されることになる。
また、シャープペンシル2の後端側がノック操作された場合には、シャープペンシル1の場合と略同様に作用して、鉛芯繰出機構20前端側から鉛芯xが繰り出されることになる。
次に、図4に示すシャープペンシル3は、揺動部材40の上記当接部42を当接部46に置換するとともに、進退部21の上記被当接部21bを被当接部21dに置換した構成とされる。
当接部46は、揺動部材40の前端部において軸筒軸心に沿って前方へ突出する突起であり、その前端部を略半球状に形成している。
また、被当接部21dは、進退部21の後端部を、前記当接部46に対し遊嵌する凹曲面状に形成してなる。この被当接部21dは、その凹曲面の略中心を軸筒軸心に沿わせるようにして配置される。そして、この被当接部21dの前記凹曲面の曲率は、当接部46前端部の曲率よりも大きく設定されている。
このシャープペンシル3によれば、外力が加わっていない状態(図4に示す状態)では、略半球状の当接部46が凹曲面状の被当接部21dに当接することで、揺動部材40及び錘体50が軸筒軸方向に沿った状態に維持される。すなわち、この状態では、通常筆記時の若干の振動で揺動部材40及び錘体50が振れてしまうようなことを防ぐことができる。
また、シャープペンシル3が例えば団扇を扇ぐようにして軸筒交差方向へ積極的に振られた場合には、揺動する揺動部材40における半球状の当接部46が凹曲面状の被当接部21dに摺接することで、進退部21が進退運動を繰り返すため、鉛芯繰出機構20前端側から鉛芯xが繰り出されることになる。
また、シャープペンシル3の後端側がノック操作された場合にも、シャープペンシル1の場合と略同様に作用して、鉛芯繰出機構20前端側から鉛芯xが繰り出されることになる。
次に、図5に示すシャープペンシル4は、シャープペンシル1における揺動部材40と進退部21との凹凸関係を逆にした一例である。
すなわち、このシャープペンシル4は、揺動部材40の上記当接部42を当接部47に置換するとともに、進退部21の上記被当接部21bを被当接部21eに置換した構成とされる。
当接部47は、上記シャープペンシル1における被当接部21bと略同様に、後述する環状の被当接部21eに内在される円錐突部47aと、該円錐突部47a周囲に設けられた環状平坦部47bとから構成される。
また、被当接部21eは、上記シャープペンシル1における上記当接部42と略同様の環状の突起である。この被当接部21eは、その周壁部分の突端を断面半円状に形成しており、その半円状部分を円錐突部47aの基端側と環状平坦部47bの内周側との双方に接触させている。
このシャープペンシル4によれば、外力が加わっていない状態(図5に示す状態)では、進退部21における環状の被当接部21eが、円錐突部47aを内在するようにして環状平坦部47bに対し略全周にわたって当接することで、揺動部材40及び錘体50が軸筒軸方向に沿った略直線状に維持される。すなわち、この状態では、通常筆記時の若干の振動で揺動部材40及び錘体50が振れてしまうようなことを防ぐことができる。
また、シャープペンシル4が例えば団扇を扇ぐようにして軸筒交差方向へ積極的に振られた場合には、揺動する揺動部材40における円錐突部47aの傾斜面が進退部21における環状の被当接部21eに摺接することで、進退部21が進退運動を繰り返すため、鉛芯繰出機構20前端側から鉛芯xが繰り出されることになる。
また、シャープペンシル4の後端側がノック操作された場合にも、シャープペンシル1の場合と略同様に作用して、鉛芯繰出機構20前端側から鉛芯xが繰り出されることになる。
10:軸筒 20:鉛芯繰出機構
21:進退部 21b1:円錐突部
21b2:環状平坦部 23:付勢部材
30:支持体 31c1:前側受部
32a:後側受部 40:揺動部材
41:球状部 42:当接部
50:錘体

Claims (5)

  1. 軸筒に相対し進退部が軸筒軸方向へ進退運動されることで鉛芯を繰り出すシャープペンシルにおいて、
    軸筒軸方向に対する交差方向へ往復運動するように錘体を設け、この錘体の前記交差方向への往復運動を軸筒軸方向の進退運動に変換して前記進退部に伝達するようにしたことを特徴とするシャープペンシル。
  2. 軸筒の後端側に設けられた支持体と、該支持体に支持されて後端部を前記交差方向へ往復運動させる揺動部材とを備え、前記揺動部材の後端部に前記錘体を固定するようにしたシャープペンシルであって、
    前記揺動部材には、前記支持体によって回動可能に抱持される球状部が設けられ、前記支持体には、前記球状部の前寄りの部分を受ける前側受部と、同球状部の後寄りの部分を受ける後側受部とが設けられていることを特徴とする請求項1記載のシャープペンシル。
  3. 前記揺動部材の前端側と前記進退部の後端側との内の一方に突起を有する当接部を設けるとともに、その他方には前記突起に対し傾斜した状態で当接可能な傾斜面を有する被当接部を設け、前記突起と前記傾斜面とを摺接させて、前記交差方向への往復運動を軸筒軸方向への進退運動に変換することを特徴とする請求項2記載のシャープペンシル。
  4. 前記当接部の突起は、軸心側に中空部を有する環状に形成され、
    前記被当接部は、前記中空部に内在されるように前記傾斜面によって形成された円錐突部と、該円錐突部の周囲に設けられて前記環状の突起の略全周に対し当接する環状平坦部とからなることを特徴とする請求項3記載のシャープペンシル。
  5. 前記支持体は、前記軸筒に対し所定量進退するように係合するとともに、前記進退部によって後方へ押圧されることで該支持体の進退範囲の後端側に位置し、
    前記進退部は、前記支持体に対し所定量進退するように係合するとともに、軸筒に支持された付勢部材によって後方へ付勢されることで該進退部の進退範囲の後端側に位置していることを特徴とする請求項2乃至4何れか1項記載のシャープペンシル。
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