JP2010167537A - 遠隔操作型アクチュエータ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 細長形状のスピンドルガイド部3と、その先端に姿勢変更自在に取付けられ工具1を回転自在に支持する先端部材2と、スピンドルガイド部3の基端が結合された駆動部ハウジング4aとを備える。スピンドルガイド部3は内部に、駆動部ハウジング4a内の工具回転用駆動源の回転を工具に伝達する回転軸22と、駆動部ハウジング4a内の姿勢変更用駆動源の駆動により先端部材2を姿勢変更させる姿勢操作部材31とを有する。先端部材2と姿勢操作部材31の接触点Pにおける接線に対し垂直な垂線PLと回転軸22の中心線CL2とがなす角度をαとした場合、α>0°である。
【選択図】 図2
Description
姿勢操作部材が先端部材を押す力をFとした場合、静止摩擦力の最大値はμFcos(α)、接線方向の力はFsin(α)でそれぞれ表される。先端部材と姿勢操作部材の接触点で滑りが生じるのは、μFcos(α)<Fsin(α)の関係にあるときであるから、μ<tan(α)とすれば先端部材が姿勢変更可能である。予め静摩擦係数μを測定しておけば、先端部材の姿勢変更動作可能な角度αの値が求められる。一般的に、静摩擦力は動摩擦力よりも大きいため、静摩擦力に打ち勝って動作することが可能であれば、動摩擦力に打ち勝って動作することも可能である。0<μ<1であるため、上記関係はすべての摩擦面に対応する。
角度αが45°以上であると、姿勢操作部材が先端部材に与える力を軸方向力と径方向力に分割した場合に、軸方向力よりも径方向力の方が大きくなるため、先端部材に駆動力を十分に伝達できないからである。また、径方向力が大きくなると、姿勢操作部材とその案内面となる前記ガイド孔の内面間で生じる摩擦力も大きくなり、大きな駆動力が必要となる。
先端部材の姿勢操作部材との接触面の断面形状が直線状である場合は、加工が比較的簡単であるため、製造コストを低減できる。
先端部材の姿勢操作部材との接触面の断面形状が姿勢操作部材側に凸となる円弧状である場合は、先端部材がどのような姿勢になっても、角度αがほとんど一定であるように設計することができ、先端部材の姿勢に関係なく先端部材のスムーズな動作が実現できる。
溝部の底面を姿勢操作部材の接触面とすれば、姿勢操作部材の先端が溝部に挿入された状態となり、先端部材が中心線回りに回転するのを防止する効果が得られる。これにより、姿勢操作部材を進退させる機構やその制御装置の故障等により工具が制御不能となった場合でも、先端部材が中心線回りに回転して加工箇所の周りを傷つけたり、工具自体が破損したりすることを防止できる。先端部材の一部に加工を施すだけで溝部を形成することができるため、コスト低減に繋がる。
この構成であれば、外郭パイプによりスピンドルガイド部の内部を保護しつつ、スピンドルガイド部を中空状にして軽量化を図れる。
外郭パイプの断面2次モーメントを同外径である中実軸の断面2次モーメントの1/2以上とすることにより、スピンドルガイド部の剛性が高くなり、先端部材の位置決め精度が向上させられるとともに、切削性を向上させられる。また、外郭パイプの内周面に設けた溝状部にガイドパイプを挿入したことにより、ガイドパイプの円周方向の位置決めを容易に行え、組立性が良好である。
加工の仕上がりを良くするには、スピンドルを高速回転させて加工するのがよい。スピンドルを高速回転させると、工具に作用する切削抵抗を低減させる効果もある。スピンドルはワイヤ等からなる細い回転軸を介して回転力が伝達されるので、スピンドルの高速回転を実現させるため、回転軸を支持する転がり軸受に予圧をかけておくことが必要となる。この予圧のためのばね要素を隣合う転がり軸受間に設ければ、スピンドルガイド部の径を大きくせずにばね要素を設けられる。
姿勢操作部材を可撓性とすることにより、スピンドルガイド部に湾曲した箇所があっても、姿勢操作部材をガイド孔内で進退させることができる。
先端部材連結部15は、先端部材2を姿勢変更自在に支持する手段であり、球面軸受からなる。具体的には、先端部材連結部15は、ハウジング11の基端の内径縮径部からなる被案内部11aと、スピンドルガイド部3の先端に固定された抜け止め部材21の鍔状部からなる案内部21aとで構成される。両者11a,21aの互いに接する各案内面F1,F2は、スピンドル13の中心線CL1上に曲率中心Oが位置し、基端側ほど径が小さい球面とされている。スピンドル13の中心線CL1は、先端部材2の中心線でもある。これにより、スピンドルガイド部3に対して先端部材2が抜け止めされるとともに、姿勢変更自在に支持される。先端部材2の姿勢が中立状態にあるとき(図2(A)の状態)、スピンドル13の中心線CL1は、回転軸22の中心線CL2の延長線上に位置する。この例は、曲率中心Oを通るX軸回りに先端部材2が姿勢変更する構成であるため、案内面F1,F2が、点Oを通るX軸を軸心とする円筒面であってもよい。
工具回転用駆動機構4bは、コントローラ5により制御される工具回転用駆動源41を備える。工具回転用駆動源41は、例えば電動モータであり、その出力軸41aが前記回転軸22の基端に結合させてある。
工具回転用駆動源41を駆動すると、その回転力が回転軸22を介してスピンドル13に伝達されて、スピンドル13と共に工具1が回転する。工具1を回転させて骨等を切削加工する際に先端部材2に作用する荷重は、供給電力計47の検出値から、荷重検出手段48によって検出される。このように検出される荷重の値に応じて遠隔操作型アクチュエータ全体の送り量や後記先端部材2の姿勢変更を制御することにより、先端部材2に作用する荷重を適正に保った状態で骨の切削加工を行える。
角度αが45°以上であると、姿勢操作部材31が先端部材2に与える力を軸方向力と径方向力に分解した場合に、軸方向力よりも径方向力の方が大きくなるため、先端部材2に駆動力を十分に伝達できない。また、径方向力が大きくなると、姿勢操作部材31とその案内面であるガイドパイプ30のガイド孔30aの内面との間で生じる摩擦力も大きくなり、大きな駆動力を必要となる。したがって、計算上、前記角度αが、0°<α<45°であるのが良い。実際には、静摩擦係数μが0,7以上となることは少ないため、0°<α<35°の範囲に設定すれば、十分である。
例えば、図6における上側の姿勢操作部材31を先端側へ進出させ、かつ下側の姿勢操作部材31を後退させると、上側の姿勢操作部材31によって先端部材2のハウジング11が押されることにより、先端部材2は図6(A)において先端側が下向きとなる側へ案内面F1,F2に沿って姿勢変更する。逆に、両姿勢操作部材31を逆に進退させると、下側の姿勢操作部材31によって先端部材2のハウジング11が押されることにより、先端部材2は図6(A)において先端側が上向きとなる側へ案内面F1,F2に沿って姿勢変更する。その際、先端部材連結部15には、上下2つの姿勢操作部材31の圧力、および抜け止め部材21からの反力が作用しており、これらの作用力の釣り合いにより先端部材2の姿勢が決定される。
この構成では、2つの姿勢操作部材31で先端部材2のハウジング11に加圧されるため、1つ姿勢操作部材31だけで加圧される前記実施形態に比べ、先端部材2の姿勢安定性を高めることができる。
例えば、図7における上側の1つの姿勢操作部材31Uを先端側へ進出させ、かつ他の2つの姿勢操作部材31L,31Rを後退させると、上側の姿勢操作部材31Uによって先端部材2のハウジング11が押されることにより、先端部材2は図7(A)において先端側が下向きとなる側へ案内面F1,F2に沿って姿勢変更する。このとき、各姿勢操作部材31の進退量が適正になるよう、各姿勢変更用駆動源42が制御される。各姿勢操作部材31を逆に進退させると、左右の姿勢操作部材31L,31Rによって先端部材2のハウジング11が押されることにより、先端部材2は図7(A)において先端側が上向きとなる側へ案内面F1,F2に沿って姿勢変更する。
また、上側の姿勢操作部材31Uは静止させた状態で、左側の姿勢操作部材31Lを先端側へ進出させ、かつ右側の姿勢操作部材31Rを後退させると、左側の姿勢操作部材31Lによって先端部材2のハウジング11が押されることにより、先端部材2は右向き、すなわち図7(A)において紙面の裏側向きとなる側へ案内面F1,F2に沿って姿勢変更する。左右の姿勢操作部材31L,31Rを逆に進退させると、右の姿勢操作部材31Rによって先端部材2のハウジング11が押されることにより、先端部材2は左向きとなる側へ案内面F1,F2に沿って姿勢変更する。
このように姿勢操作部材31を円周方向の3箇所に設けることにより、先端部材2を上下左右の2軸(X軸、Y軸)の方向に姿勢変更することができる。その際、先端部材連結部15には、3つの姿勢操作部材31の圧力、および抜け止め部材21からの反力が作用しており、これらの作用力の釣り合いにより先端部材2の姿勢が決定される。この構成では、3つの姿勢操作部材31で先端部材2のハウジング11に加圧されるため、さらに先端部材2の姿勢安定性を高めることができる。姿勢操作部材31の数をさらに増やせば、先端部材2の姿勢安定性をより一層高めることができる。
2…先端部材
3…スピンドルガイド部
4a…駆動部ハウジング
5…コントローラ
11…ハウジング
11b…基端面(接触面)
12…軸受
13…スピンドル
15…先端部材連結部
22…回転軸
25…外郭パイプ
26…転がり軸受
27A,27B…ばね要素
30…ガイドパイプ
30a…ガイド孔
31…姿勢操作部材
41…工具回転用駆動源
42…姿勢変更用駆動源
CL1…スピンドルの中心線
CL2…回転軸の中心線
P…接触点
PL…垂線
α…角度
Claims (11)
- 細長形状のスピンドルガイド部と、このスピンドルガイド部の先端に先端部材連結部を介して姿勢変更自在に取付けられた先端部材と、前記スピンドルガイド部の基端が結合された駆動部ハウジングとを備え、
前記先端部材は、工具を保持するスピンドルを回転自在に支持し、前記スピンドルガイド部は、前記駆動部ハウジング内に設けられた工具回転用駆動源の回転を前記スピンドルに伝達する回転軸と、両端に貫通したガイド孔とを内部に有し、先端が前記先端部材に接して進退動作することにより前記先端部材を姿勢変更させる姿勢操作部材を前記ガイド孔内に進退自在に挿通し、前記姿勢操作部材を進退させる姿勢変更用駆動源を前記駆動部ハウジング内に設け、
前記先端部材と前記姿勢操作部材の接触点における接線に対し垂直な垂線と前記回転軸の中心線とがなす角度をαとした場合、α>0°であることを特徴とする遠隔操作型アクチュエータ。 - 請求項1において、前記先端部材は、筒状のハウジングと、このハウジングの内周に配置された前記スピンドルと、前記ハウジングに対し前記スピンドルを回転自在に支持する軸受とを備え、前記先端部材の姿勢が中立状態にあるとき、前記スピンドルの中心線と前記回転軸の中心線の延長線上に位置し、かつ前記姿勢操作部材は、前記回転軸の中心線から偏心して位置し、その先端が前記先端部材のハウジングの端面に接した状態で前記回転軸の中心線と平行な方向に進退するものであり、前記ハウジングの端面は外径側ほど姿勢操作部材側に近い傾斜面とされている遠隔操作型アクチュエータ。
- 請求項1または請求項2において、前記先端部材と前記姿勢操作部材の接触部の静摩擦係数をμとした場合、この静摩擦係数μと前記角度αとの間に、μ<tan(α)の関係が成り立つ遠隔操作型アクチュエータ。
- 請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、前記角度αが、0°<α<45°である遠隔操作型アクチュエータ。
- 請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、前記先端部材の前記姿勢操作部材との接触面の断面形状が直線状である遠隔操作型アクチュエータ。
- 請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、前記先端部材の前記姿勢操作部材との接触面の断面形状が姿勢操作部材側に凸となる円弧状である遠隔操作型アクチュエータ。
- 請求項1ないし請求項6のいずれか1項において、前記先端部材は、前記姿勢操作部材との対向面に1つ以上の径方向に沿う溝部を有し、この溝部の底面を、前記姿勢操作部材との接触面とした遠隔操作型アクチュエータ。
- 請求項1ないし請求項7のいずれか1項において、前記スピンドルガイド部が、このスピンドルガイド部の外郭となる外郭パイプを有し、前記ガイド孔が、前記外郭パイプ内に設けられたガイドパイプの内径孔である遠隔操作型アクチュエータ。
- 請求項8において、前記外郭パイプは、その断面2次モーメントが同外径である中実軸の断面2次モーメントの1/2以上であり、かつ内周面に前記ガイドパイプが挿入される溝状部を有する遠隔操作型アクチュエータ。
- 請求項1ないし請求項9のいずれか1項において、前記スピンドルガイド部内の前記回転軸を回転自在に支持する複数の転がり軸受を設け、隣合う転がり軸受間に、これら転がり軸受に対して予圧を与えるばね要素を設けた遠隔操作型アクチュエータ。
- 請求項1ないし請求項10のいずれか1項において、前記スピンドルガイド部は湾曲した箇所を有する遠隔操作型アクチュエータ。
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