JP2010166516A - 音響処理装置及びそれを備えた電子機器並びに音響処理方法 - Google Patents

音響処理装置及びそれを備えた電子機器並びに音響処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】音響信号に対して強調処理及び適切な音量制御処理を施す音響処理装置を提供する。
【解決手段】音響信号の強調すべき成分を強調すべきでない成分に対して相対的に強調する強調部61と、前記音響信号に音量制御処理を施す音量制御部62とを備え、音量制御部62が、強調部61の処理内容に応じて前記音量制御処理の内容を切り替える音響処理装置。
【選択図】図3

Description

本発明は、音響信号に対して強調処理及び音量制御処理を施す音響処理装置及びそれを備えた電子機器(例えば、撮像装置やICレコーダ等)並びに音響処理方法に関する。
従来より、雑音環境下において音響の再生をする際に、再生場所のノイズレベルに応じて再生音響信号に対して音量制御を施す音響処理装置が種々提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
特許文献1において提案されている音声入出力装置及びプログラムは、送話信号に対してノイズキャンセル処理を施し、そのキャンセルしたノイズレベルに応じて受話信号に対して音量制御処理を施すことで、受話信号の再生場所のノイズレベルに応じて受話信号に対して音量制御処理を施している。
また、特許文献2において提案されている自動音量制御装置は、音響の再生場所におけるノイズレベルを騒音検出マイクにより別途検出し、そのノイズレベルに応じて、拡声信号入力手段から入力された音響信号に対して人間の聴覚特性を考慮した音量制御処理を施している。
特開20008−34928号公報(段落0030、第1図) 特開平9−116361号公報(段落0018、第1図)
特許文献1において提案されている音声入出力装置及びプログラムでは、送話信号に含まれるノイズのレベルと、受話信号に含まれ得るノイズのレベルとは無関係であり、受話信号に対して音量制御処理は施されるが、雑音低減処理は施されておらず、また、送話信号に対してアンプによる一定増幅処理及びノイズキャンセラによる雑音低減処理は施されるが、音量制御処理は施されていない。すなわち、特許文献1では、或る音響信号に対して強調処理及び音量制御処理を施す音響処理装置は開示も示唆もされていない。
特許文献2において提案されている自動音量制御装置では、騒音検出マイクにより検出されるノイズのレベルと、拡声信号入力手段から入力された音響信号に含まれ得るノイズのレベルとは無関係であり、拡声信号入力手段から入力された音響信号に対して音量制御処理は施されるが、雑音低減処理は施されていない。すなわち、特許文献2では、或る音響信号に対して強調処理及び音量制御処理を施す音響処理装置は開示も示唆もされていない。
また、特許文献2において提案されている自動音量制御装置は、音響の再生場所におけるノイズレベルを検出するための専用の騒音検出マイクが必要である構成であるため、装置のサイズやコストが増大してしまっていた。
一方、音響信号に対して強調処理及び音量制御処理を施す音響処理装置では、不適切な音量制御処理によって、音響処理装置の出力信号に強調処理の効果が十分反映されないおそれがあった。例えば、強調処理が音響信号の非雑音成分を雑音成分に対して相対的に強調する雑音低減処理である場合、低減された雑音成分が音量制御処理によって再び大きくなる可能性があった。
本発明は、上記の状況に鑑み、音響信号に対して強調処理及び適切な音量制御処理を施す音響処理装置及びそれを備えた電子機器並びに音響処理方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明に係る音響処理装置は、強調部と、音量制御部とを備え、前記強調部が、入力音響信号若しくは前記音量制御部から出力される音響信号の強調すべき成分を強調すべきでない成分に対して相対的に強調し、及び/又は、前記入力音響信号若しくは前記音量制御部から出力される音響信号の所定帯域成分を信号復元処理して復元信号を生成することで前記入力音響信号若しくは前記音量制御部から出力される音響信号に含まれる所定の要素(例えば、人の声のピッチ)を強調し、前記音量制御部が、前記強調部の処理内容に応じて前記音量制御処理の内容を切り替えるようにする。具体的には、前記音量制御部が、前記強調部での強調処理の効果を損なわないように、前記強調部の処理内容に応じて音量制御処理の内容を切り替えるようにするとよい。
本発明に係る音響処理装置によると、前記音量制御部が、前記強調部の処理内容に応じて前記音量制御処理の内容を切り替えるので、例えば、強調処理が音響信号の非雑音成分を雑音成分に対して相対的に強調する雑音低減処理である場合に、低減された雑音成分が音量制御処理によって再び大きくなることを抑制することができる。したがって、本発明に係る音響処理装置は、音響信号に対して強調処理及び適切な音量制御処理を施すことができる。
なお、本明細書において、「強調すべき成分を強調すべきでない成分に対して相対的に強調」には、強調すべき成分を強調し強調すべきでない成分に対して強調も抑圧もしない処理、強調すべき成分に対して強調も抑圧もせず強調すべきでない成分を抑圧する処理、及び強調すべき成分を強調し強調すべきでない成分を抑圧する処理のいずれもが該当する。また、本明細書において、「前記強調部での強調処理の効果を損なわないように」とは、前記強調部での強調処理の効果を100%維持する場合のみを意味するのではなく、前記強調部の処理内容に応じて前記音量制御処理の内容を切り替えない場合に比べて前記強調部での強調処理の効果損失が改善されている場合も含むものとする。
また、前記音量制御部が、例えば、前記強調部で処理した周波数帯域、制御量、及び時間の少なくとも一つに応じて前記音量制御処理の内容を切り替えるようにしてもよい。
また、前記音量制御部が、前記強調部の処理内容に応じて、例えば、音量制御を施す周波数帯域、周波数帯域別の音量制御量、及び音量制御量の単位時間当たりの変化量の少なくとも一つを切り替えるようにしてもよい。
また、上記目的を達成するために本発明に係る電子機器は、上記いずれかの構成の音響処理装置を備え、音響の記録及び/又は再生機能を有している。
また、上記電子機器の一例としては、映像を撮影するカメラを備える撮像装置が挙げられる。
また、上記目的を達成するために本発明に係る音響処理方法は、強調ステップと、音量制御ステップとを備え、前記強調ステップにおいて、入力音響信号若しくは前記音量制御ステップを実行して得られる音響信号の強調すべき成分が強調すべきでない成分に対して相対的に強調され、及び/又は、前記入力音響信号若しくは前記音量制御ステップを実行して得られる音響信号の所定帯域成分を信号復元処理して復元信号を生成することで前記入力音響信号若しくは前記音量制御ステップを実行して得られる音響信号に含まれる所定の要素(例えば、人の声のピッチ)が強調され、前記音量制御ステップにおいて、前記音量制御処理の内容が、前記強調ステップでの処理内容に応じて切り替わるようにする。具体的には、前記音量制御処理の内容が、前記強調ステップでの強調処理の効果を損なわないように、前記強調ステップでの処理内容に応じて切り替わるようにするとよい。なお、本明細書において、「前記強調ステップでの強調処理の効果を損なわないように」とは、前記強調ステップでの強調処理の効果を100%維持する場合のみを意味するのではなく、前記強調ステップでの処理内容に応じて前記音量制御処理の内容を切り替えない場合に比べて前記強調ステップでの強調処理の効果損失が改善されている場合も含むものとする。
本発明に係る音響処理装置及びそれを備えた電子機器によると、音量制御部が、強調部の処理内容に応じて音量制御処理の内容を切り替えるので、例えば、強調処理が音響信号の非雑音成分を雑音成分に対して相対的に強調する雑音低減処理である場合に、低減された雑音成分が音量制御処理によって再び大きくなることを抑制することができる。したがって、本発明に係る音響処理装置及びそれを備えた電子機器は、音響信号に対して強調処理及び適切な音量制御処理を施すことができる。また、本発明に係る音響処理方法によると、音量制御処理の内容が、強調ステップでの処理内容に応じて切り替わるので、例えば、強調ステップでの処理が音響信号の非雑音成分を雑音成分に対して相対的に強調する雑音低減処理である場合に、低減された雑音成分が音量制御処理によって再び大きくなることを抑制することができる。したがって、本発明に係る音響処理方法は、音響信号に対して強調処理及び適切な音量制御処理を施すことができる。
は、本発明に係る撮像装置の一内部構成例を示すブロック図である。 は、図1に示す撮像装置を装置上面から見た概略外観図である。 は、音響処理部の基本構成を示す図である。 は、音響処理部の第1実施例の構成を示すブロック図である。 は、音響処理部の第2実施例の構成を示すブロック図である。 は、水中雑音について示す図である。 は、音量抑制開始及び音量抑制終了における増幅度の遷移時間について示す図である。 は、集音環境判定部の第1実施例の構成を示すブロック図である。 は、空気中における音響の周波数特性を示す図である。 は、水中における音響の周波数特性を示す図である。 は、空気中と水中における音響の周波数特性の相違を示す図である。 は、集音環境判定部の第2実施例の構成を示すブロック図である。 は、集音環境判定部の第3実施例の構成を示すブロック図である。 は、ステレオマイクの模式図である。 は、集音環境判定部の第4実施例の構成を示すブロック図である。 は、集音環境判定部の第5実施例の構成を示すブロック図である。 は、音響処理部の第3実施例の構成を示すブロック図である。 は、音響処理部の第3実施例での音量制御の概要を示す図である。 は、音響処理部の第4実施例の構成を示すブロック図である。 は、音響処理部の第4実施例での音量制御の概要を示す図である。 は、本発明に係る撮像装置の他の内部構成例を示すブロック図である。
本発明の実施形態について図面を参照して以下に説明する。ここでは、本発明に係る電子機器として、音響信号の記録・再生とともに画像信号の記録・再生も可能な撮像装置を例に挙げて説明する。
<<撮像装置の基本構成>>
まず、撮像装置の基本構成について図1を参照して説明する。図1は、本発明に係る撮像装置の一内部構成例を示すブロック図である。
図1に示す撮像装置は、入射される光を電気信号に変換するCCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complimentary Metal Oxide Semiconductor)センサなどの固体撮像素子(イメージセンサ)1と、被写体の光学像をイメージセンサ1に結像させるズームレンズとズームレンズの焦点距離すなわち光学ズーム倍率を変化させるモータとズームレンズの焦点を被写体に合わせるためのモータとを有するレンズ部2と、イメージセンサ1から出力されるアナログ信号である画像信号をデジタル信号に変換するAFE(Analog Front End)3と、撮像装置の前方の左右方向から入力された音響を独立して電気信号に変換するステレオマイク4と、AFE3からのデジタル信号となる画像信号に対して、階調補正等の各種画像処理を施す画像処理部5と、ステレオマイク4からのアナログ信号である音響信号に対してデジタル信号に変換するとともに音響補正処理を施す音響処理部6と、画像処理部5から出力される画像信号及び音響処理部6から出力される音響信号のそれぞれに対してMPEG(Moving Picture Experts Group)圧縮方式などの圧縮符号化処理を施す圧縮処理部7と、圧縮処理部7で圧縮符号化された圧縮符号化信号をSDカードなどの外部メモリ22に記録するドライバ部8と、ドライバ部8で外部メモリ22から読み出した圧縮符号化信号を伸長して復号する伸長処理部9と、伸長処理部9で復号されて得られた画像信号をアナログ信号に変換するビデオ出力回路部10と、ビデオ出力回路部10で変換された信号を出力するビデオ出力端子11と、ビデオ出力回路部10からの信号に基づく画像の表示を行うLCD(Liquid Crystal Display)等を有するディスプレイ部12と、伸長処理部9からの音響信号をアナログ信号に変換する音響出力回路部13と、音響出力回路部13で変換された信号を出力する音響出力端子14と、音響出力回路部13からの音響信号に基づいて音響を再生出力するスピーカ部15と、各ブロックの動作タイミングを一致させるためのタイミング制御信号を出力するタイミングジェネレータ(TG)16と、撮像装置内全体の駆動動作を制御するCPU(Central Processing Unit)17と、各動作のための各プログラムを記憶するとともにプログラム実行時のデータの一時保管を行うメモリ18と、ユーザからの指示が入力される操作部19と、CPU17と各ブロックとの間でデータのやりとりを行うためのバス回線20と、メモリ18と各ブロックとの間でデータのやりとりを行うためのバス回線21と、を備える。なお、CPU17は、画像処理部5で検出した画像信号に応じて、レンズ部2内の各モータを駆動して焦点、絞りの制御を行う。
<<撮像装置の基本動作>>
次に、図1に示す撮像装置の動画撮影時の基本動作について図1を参照して説明する。まず、撮像装置は、レンズ部2より入射される光をイメージセンサ1において光電変換することによって、電気信号である画像信号を取得する。そして、イメージセンサ1は、タイミングジェネレータ16から入力されるタイミング制御信号に同期して、所定のフレーム周期(例えば、1/60秒)で順次AFE3に画像信号を出力する。
そして、AFE3によってアナログ信号からデジタル信号へと変換された画像信号は、画像処理部5に入力される。画像処理部5は、入力される画像信号を、輝度信号と色差信号とからなる画像信号に変換するとともに、階調補正や輪郭強調等の各種画像処理を施す。また、メモリ18はフレームメモリとして動作し、画像処理部5が処理を行う際に画像信号を一時的に保持する。
また、このとき画像処理部5に入力される画像信号に基づき、レンズ部2において、各種レンズの位置が調整されてフォーカスの調整が行われたり、絞りの開度が調整されて露出の調整が行われたりする。このフォーカスや露出の調整は、それぞれ最適な状態となるように所定のプログラムに基づいて自動的に行われたり、ユーザの指示に基づいて手動で行われたりする。
一方、ステレオマイク4において電気信号に変換される音響信号は、音響処理部6に入力される。音響処理部6は、入力される音響信号をデジタル信号に変換するとともにノイズ除去や音響信号の強度制御などの音響補正処理を施す。なお、音響処理部6の構成については後述するが、入力される音響信号をデジタル信号に変換するA/D変換部の及び図示は適宜省略する。
そして、画像処理部5から出力される画像信号と、音響処理部6から出力される音響信号とがともに圧縮処理部7に入力され、圧縮処理部7において所定の圧縮方式で圧縮される。このとき、画像信号と音響信号とが時間的に関連付けられ、再生時に画像と音とがずれないように構成される。そして、圧縮された画像信号及び音響信号はドライバ部8を介して外部メモリ22に記録される。
また、音響のみを記録する場合であれば、音響信号が圧縮処理部7において所定の圧縮方式で圧縮され、外部メモリ22に記録されることとなる。
外部メモリ22に記録された圧縮符号化信号は、ユーザの指示に基づく操作部19の出力信号に応じて、伸長処理部9に読み出される。伸長処理部9は、圧縮符号化信号を伸長及び復号し、画像信号及び音響信号を生成する。そして、画像信号をビデオ出力回路部10、音響信号を音響出力回路部13にそれぞれ出力する。そして、ビデオ出力回路部10や音響出力回路部13において、画像信号及び音響信号がディスプレイ部12やスピーカ部15において再生可能な形式に変換されて出力される。
また、画像信号の記録を行わずにディスプレイ部12に表示される画像をユーザが確認する、所謂プレビューモードである場合に、圧縮処理部7が圧縮処理を行わないようにし、画像処理部5が圧縮処理部7ではなくビデオ出力回路部10に画像信号を出力するようにしてもよい。また、画像信号を記録する際に、ドライバ部8を介して外部メモリ22に記録する動作と並行して、ビデオ出力回路10を介してディスプレイ部12に画像信号を出力するようにしても構わない。
なお、図1に示す構成では、ディスプレイ部12やスピーカ部15が撮像装置に搭載されているが、ディスプレイ部12やスピーカ部15を撮像装置と別体とし、撮像装置に設けられる端子(ビデオ出力端子11、音響出力端子14)とケーブル等を用いて接続されるような構成であっても構わない。
<<ステレオマイクの配置>>
次に、図1に示す撮像装置が備えるステレオマイク4の配置例について図面を参照して説明する。図2は、図1に示す撮像装置を装置上面から見た概略外観図である。モニタユニット23に、ディスプレイ部12と、ステレオマイク4を構成している右側マイク4R及び左側マイク4Lとが設けられ、本体部分の前面にレンズ部2が設けられている。右側マイク4R及び左側マイク4Lは、ディスプレイ部12の背面にマイク間隔約2cmで設けられている。
<<音響処理部の基本構成>>
音響処理部6の基本構成を図3に示す。音響処理部6は、入力音響信号の強調すべき成分を強調すべきでない成分に対して相対的に強調し、及び/又は、入力音響信号の所定帯域成分を信号復元処理して復元信号を生成することで入力音響信号に含まれる所定の要素を強調する強調部61と、強調部61の出力信号を入力し、その入力した信号に音量制御処理を施す音量制御部62とを備えている。強調部61は強調部61の強調処理内容に関する情報を音量制御部62に送り、音量制御部62は、強調部61の強調処理内容に応じて音量制御処理の内容を切り替える。
このような構成によると、音量制御部62が、強調部61の強調処理内容に応じて音量制御処理の内容を切り替えるので、例えば、強調処理が音響信号の非雑音成分を雑音成分に対して相対的に強調する雑音低減処理である場合に、低減された雑音成分が音量制御処理によって再び大きくなることを抑制することができる。したがって、音響処理部6は、音響信号に対して強調処理及び適切な音量制御処理を施すことができる。より具体的には、音響処理部6では、強調部61での強調処理の効果を損なわないように音量制御処理を行うことが可能となる。また、音響処理部6では、特許文献2のようにノイズレベルを検出するための専用の騒音検出マイクを設ける必要がないため、装置のサイズやコストが増大することがない。
<<音響処理部の第1実施例>>
音響処理部6の第1実施例について図4を参照して説明する。図4は、音響処理部6の第1実施例を採用した場合の音響処理部6の構成を示すブロック図である。音響処理部6の第1実施例では、音響処理部6が、ステレオマイク4によって集音された音響信号(Rch音響信号、Lch音響信号)に風雑音低減処理を施す風雑音低減部611と、風雑音低減部611の出力信号を入力し、その入力した信号に音量制御処理を施す音量制御部621とを備えている。
風雑音低減部611は風雑音低減処理内容に関する情報(風雑音の存在する帯域、風雑音の低減処理前後のレベル差などの情報)を音量制御部621に送る。音量制御部621は、イコライザ機能を有しており、風雑音低減処理内容に応じて音量制御処理の内容(各帯域の音量制御の度合い)を切り替える。例えば、風雑音が200Hz〜300Hzに存在している場合、同帯域の風雑音の低減処理前後のレベル差に応じて音量制御の内容を切り替える。同帯域の風雑音の低減処理前後のレベル差が所定値以下の場合は、風の影響が少ないため、通常と同等の音量制御を行う。一方、同帯域の風雑音の低減処理前後のレベル差が所定値より大きい場合は、風の影響が多いため、音量の持ち上げ幅を通常よりも小さくする。これにより、風雑音低減処理の効果を損なうことなく、音量制御を行うことができる。
なお、図1に示す撮像装置の各種設定において風雑音低減処理がオフ設定になっている場合には、ステレオマイク4によって集音された音響信号は、風雑音低減部611をスルーして、音量制御部621に入力される。
<風雑音低減部の実施例>
風雑音低減部611の実施例として、以下に3つの例を挙げる。
風雑音が存在する周波数帯域は比較的低く、通常、風雑音は300Hz以下程度の帯域に集中して存在する。風雑音低減部611の第1実施例では、このような特性を利用し、低帯域信号を中心に風雑音の低減を図るようにする。すなわち、入力されるRch音響信号、Lch音響信号それぞれに関して、ハイパスフィルタ(HPF)とローパスフィルタ(LPF)を用いて音響信号を低帯域成分とそれ以上の帯域成分とに分離し、低帯域の信号を低減させてから(又はカットしてから)両者を再度足し合わせるという手法をとる。
風雑音低減部611の第2実施例では、「風雑音が左右のチャンネル信号間で相互相関がない」という特徴を利用して風雑音の有無を判定する。具体的には、入力されるRch音響信号、Lch音響信号間で相互相関を求め、相互相関を表す相関値が或る閾値以下である場合に、音響信号に風雑音が含まれていると判断する。また、単に風雑音の有無を判断するだけでなく、求められた相関値は風雑音の強さを表す指標としても利用してもよい。例えば、相関値に応じて低帯域信号の低減度合いを変動させる手法をとってもよい(例えば、特開平11−69480号公報参照)。
風雑音低減部611の第3実施例では、300Hzを境界として取り扱い、300Hzより小さい周波数帯域を「低帯域」として取り扱って、低帯域に対して風雑音を低減するための処理を施す。但し、強度は比較的小さいものの、300Hz以上であって且つ低帯域に近い周波数帯域にも風雑音は存在する。そこで、風雑音低減部611の第3実施例では、300Hz以上の周波数帯域を、更に、中帯域及び高帯域に分割して取り扱い、中帯域に対しても風雑音を低減するための処理を施す。具体的な数値例として、300Hz以上であって且つ1.5kHzよりも小さい周波数帯域を「中帯域」として取り扱い、1.5kHz以上の周波数帯域を「高帯域」として取り扱うこととする。
低帯域は、風雑音の周波数帯域を含み、風雑音の影響を多く受けるが、低帯域には音の重要な要素が含まれている。特に、人間の声に関しては、その声のピッチ(ピッチ周波数)が男性で90〜160Hz、女性で230〜370Hz程度であり、音質を決定する上で非常に重要な要素が低帯域に含まれている。ピッチとは、声帯振動による信号の基本周波数のことである。このような重要要素を含む帯域の成分を、単純に低減したりカットしたりすると風雑音とは異なる信号成分の要素まで低減又はカットされてしまい、歪んだ音になってしまう。人間の声の場合では、その声が小さくなったり声色が変化してしまったりする。
そこで、風雑音低減部611の第3実施例では、風雑音を低減するための処理を2段に分割し、各処理を異なる帯域に対して適用する。2段の処理の内、一方の処理は、風雑音を含まない信号を復元する信号復元処理であり、他方の処理は、信号レベルを低減することによって風雑音を低減する信号低減処理である。
信号復元処理は、低帯域の信号に適用する。低帯域には強い風雑音とともに音の重要な要素が含まれているため、信号レベルを低減させるのではなく、風雑音を含まない信号を復元することで雑音除去を図る。信号復元処理を行えば、信号レベルを低減させる必要がなくなるため、音の歪みが生じにくくなる。
信号復元処理では、音声や楽器音の調波性を利用し、原信号の中帯域信号から低帯域に対する復元信号を生成する。
調波性とは、周波数スペクトルが倍音構造で成り立っているという性質であり、音声や楽器音の多くはこの性質を有している。つまり、或る音の周波数スペクトルにおいて、最も低域側の成分の周波数をf0とすると、その音の周波数スペクトルは、f0と、その倍音成分であるf0×2、f0×3、f0×4、・・・の周波数成分から形成される。この場合、f0の周波数成分は基本波成分と呼ばれ、f0×2、f0×3、f0×4、・・・の周波数成分は、夫々、2次、3次、4次、・・・の高調波成分と呼ばれる。
調波性のある信号では、高次の高調波成分から基本波成分又は低次の高調波成分を復元できることが知られており、この復元に二乗処理、全波整流、半波整流などの非線形処理を利用できることが知られている(例えば、特開平8−130494号公報、特開平8−278800号公報、特開平9−55778号公報)。
信号低減処理は、中帯域の信号に適用する。中帯域に対する風雑音の影響は小さいが、低帯域にのみ風雑音を低減するための処理を施して中帯域に対して風雑音低減対策を何ら施さなければ、比較的高い周波数の風雑音(コロコロといった音)が残存し、ユーザは違和感を覚える。但し、風雑音の影響が小さいが故に信号低減による音の歪みは少ないと想定され、音の要素に着目しても中帯域はピッチの高調波が存在する帯域であるので信号低減を行っても低帯域ほど歪みの影響を受けない。従って、上述の如く、中帯域の信号には信号低減処理を適用するようにする。
尚、中帯域に対しても信号復元処理を適用することが考えられるが、風雑音を含まない中帯域の信号を復元するためには、高帯域の信号中の高調波成分が必要となる。このような高調波成分は微弱であるため、良好な復元は困難である。故に、中帯域の信号には信号低減処理が適している。
信号復元処理と信号低減処理を、どちらを先に行っても構わないし、夫々を並列に実行させてもよい。また、信号復元処理と信号低減処理の夫々は、時間軸上でも周波数軸上でも行うことができる。尚、風雑音低減部611の第3実施例を採用する場合、音量制御部621が、音声強調部611からの信号復元処理した周波数帯域及び信号低減処理した周波数帯域に関する情報に応じて、信号復元処理で得られた信号を音量抑制しない或いは音量増幅し、信号低減処理で得られた信号を音量増幅しない或いは音量抑制するように、音量制御を行ことが望ましい。
また、風雑音の有無や強さを判定する風雑音判定部を設けるようにしても良い。風雑音判定部は、例えば、左右チャンネル間の相互相関を求めることにより風雑音の有無や強さを判定し、判定結果は、信号復元処理及び/又は信号低減処理に利用される。1つの風雑音判定部を、信号復元処理と信号低減処理で共有してもよいし、2つの風雑音判定部を設け、信号復元処理と信号低減処理の夫々に対して独立に風雑音判定部を割り当てるようにしてもよい。信号復元処理と信号低減処理の夫々に対して独立に風雑音判定部を割り当てる場合、各判定結果を相互利用することも可能である。
<<音響処理部の第2実施例>>
音響処理部6の第2実施例について図5〜図16を参照して説明する。図5は、音響処理部6の第2実施例を採用した場合の音響処理部6の構成を示すブロック図である。音響処理部6の第2実施例では、音響処理部6が、ステレオマイク4によって集音された音響信号に水中雑音低減処理を施す水中雑音低減部612と、水中雑音低減部612の出力信号を入力し、その入力した信号に音量制御処理を施す音量制御部622と、音響信号が水中で集音されたものであるか否かを判定する集音環境判定部63とを備えている。
図1に示す撮像装置の各種設定において水中雑音低減処理がオフ設定になっている場合や音響処理部6に入力される2つの音響信号が水中で集音されたものでないと集音環境判定部63が判定した場合には、ステレオマイク4によって集音された音響信号は、水中雑音低減部612をスルーして、音量制御部622に入力される。一方、水中雑音低減がオン設定になっており且つ音響処理部6に入力される2つの音響信号が水中で集音されたものであると集音環境判定部63が判定した場合には、ステレオマイク4によって集音された音響信号は、水中雑音低減部612に入力される。
音量制御部622は、入力された音響信号のレベルが所定値より大きい場合に、自動的に音量を抑制する機能を有している。
通常、水中雑音は、自己発生駆動音(レンズ部2内の光学ズーム倍率を変化させるモータの駆動音)や図1に示す撮像装置の筐体での擦れ音であり、低帯域に集中し、図6に示すようにインパルスノイズであることが多い。そのため、水中雑音がある場合の音量制御としては、音量抑制開始及び音量抑制終了における増幅度の遷移時間を通常よりも短くすることが望ましい。そこで、水中雑音低減部612は水中雑音の存在する時間に関する情報を音量制御部622に送り、音量制御部622はその水中雑音の存在する時間に関する情報に応じて水中雑音がある場合に音量抑制開始及び音量抑制終了における音量制御量の単位時間当たりの変化量を通常よりも大きくして音量抑制開始及び音量抑制終了における増幅度の遷移時間を通常よりも短くする。
図7は、音量抑制開始及び音量抑制終了における増幅度の遷移時間について示す図である。通常の音量抑制設定では、水中雑音に対して音量抑制開始及び音量抑制終了における増幅度の遷移時間が長すぎるため、通常の音量抑制設定で水中雑音を処理した場合、レベルの大きい水中雑音が入った直後に信号レベルが抑制しきれず、レベルの大きい水中雑音がなくなった直後には信号レベルが小さくなってしまう。これに対して、音量制御部622のように、水中雑音が存在する場合は通常の音量抑制設定から水中雑音用の音量抑制設定に切り替えて水中雑音を処理すると、インパルス的な信号レベルの変化に応じて適切な音量制御することができる。このように、水中雑音がある場合に音量抑制開始及び音量抑制終了における増幅度の遷移時間を通常よりも短くすることで、水中雑音をより抑制する効果が得られる。
<水中雑音低減部の実施例>
水中雑音低減部612は、例えば、平滑化処理により水中雑音(インパルスノイズ)を低減する。平滑化処理として、加算平均値を用いた方法を利用することができる。この方法で用いられる加算平均値x´[f]は、周波数f(Hz)を中心としたある周波数幅Fa(Hz)に含まれる各周波数i(Hz)の信号値x[i]を加算して、合計値をFaで除算することによって求められる。具体的には、以下の式(1)に示す計算式によって求められる。
Figure 2010166516
そして、得られる加算平均値x´[f]が、信号値x[f]よりも小さくなる場合に、周波数fにおける信号値として加算平均値x´[f]の値の方を採用する。一方、加算平均値x´[f]が信号値x[f]よりも大きくなる場合には、信号値x[f]の値の方をそのまま採用する。
なお、式(1)において、x´[f]を算出する際にx[f−(Fa/2)+1]〜x[f+(Fa/2)]のFa(個)の各値を合計することとしているが、x[f−(Fa/2)]〜x[f+(Fa/2)−1]の各値を合計することとしても構わない。また、上述した例はFaが偶数である場合のものであるが、Faを奇数として、x[f−(Fa/2)+1/2]〜x[f+(Fa/2)−1/2]の各値を合計するとともにFaで除算して加算平均値x´[f]を算出することとしても構わない。
さらに、周波数軸上に現れるノイズだけでなく、時間軸方向に現れるノイズに対しても、平滑化処理を行うことによって対処することが可能である。この場合、上述した式(1)と同様の、加算平均値を用いた処理を適用することが可能である。ただし、この場合は時間軸方向に対して加算平均値をとることとする。
求める加算平均値x´[t]は、時間t(sec)を中心としてある時間幅Ta(sec)に含まれる各時間k(sec)の信号値x[k]を加算して、合計値をTaで除算することによって求められる。具体的には、以下の式(2)に示す計算式によって求められる。
Figure 2010166516
上述した周波数軸方向に現れるノイズを低減する場合と同様に、得られる加算平均値x´[t]が、信号値x[t]よりも小さくなる場合に、時間tにおける信号値として加算平均値x´[t]の値の方を採用する。一方、加算平均値x´[t]が信号値x[t]よりも大きくなる場合には、信号値x[t]の値の方をそのまま採用する。
なお、式(2)において、x´[t]を算出する際にx[t−(Ta/2)+1]〜x[t+(Ta/2)]のTa(個)の各値を合計することとしているが、x[t−(Ta/2)]〜x[t+(Ta/2)−1]の各値を合計することとしても構わない。また、上述した例はTaが偶数である場合のものであるが、Taを奇数として、x[t−(Ta/2)+1/2]〜x[t+(Ta/2)−1/2]の各値を合計するとともにTaで除算して加算平均値x´[t]を算出することとしても構わない。
また、周波数軸方向、時間軸方向に対して行う平滑化処理の例として、加算平均値を利用する場合について示したが、この方法に限らず、平滑化処理を実行できるものであれば、他の方法を用いても構わない。
<集音環境判定部の第1実施例>
次に、集音環境判定部63の第1実施例について図8を参照して説明する。図8は、集音環境判定部63の第1実施例を採用した場合の集音環境判定部63の構成を示すブロック図である。集音環境判定部63の第1実施例では、集音環境判定部63が周波数特性判定部631を備えている。
ここで、空気中で白色雑音を再生し、それを空気中で集音した場合の周波数特性を図9に示す。また、空気中で白色雑音を再生し、それを水中で集音した場合の周波数特性を図10に示す。
空気中で集音した場合の周波数特性は、図9に示す通りほぼフラットな特性となる。一方、水中で集音した場合の周波数特性は、一般的に、信号レベルが大きければ、図10に示す通り高周波帯域の信号が大きく減衰する。これは、伝搬されてくる音が、空気中−水中、水中−集音機器の筐体内部(空気中)の2つの境界において反射により減衰し、水中で新たに発生した波の音や筐体内部で新たに発生した音などの一般的に低い音が残るためである。
このように、撮像装置を水中で使用している場合には、撮像装置を空気中で使用している場合では起こりえないような、低帯域の音と中帯域の音及び高帯域の音とのレベル差が生じるため、そのレベル差を利用して判定を行う。
周波数特性判定部631が、音響信号を対象として、低帯域(例えば、数十(70)Hz〜3kHz)、中帯域(例えば、6kHz〜9kHz)、高帯域(例えば、12kHz〜15kHz)の各帯域で信号レベルの平均値を算出する。なお、各帯域の具体的数値は上記の例に限らず、各帯域相互の大小関係が正しければ問題ない。また、低帯域と中帯域が一部重複していてもよく、中帯域と高帯域が一部重複していてもよい。
その各帯域における信号レベルの平均値から算出することが可能な、高帯域に対する低帯域の信号レベル比(低帯域/高帯域)R1、中帯域に対する低帯域の信号レベル比(低帯域/中帯域)R2、及び、高帯域に対する中帯域の信号レベル比(中帯域/高帯域)R3は、マイクを空気中から水中に挿入し再び空気中に戻した場合図11に示すような時間変化を示す。図11中の期間T1及びT3はマイクが空気中に位置する期間であり図11中の期間T2はマイクが水中に位置する期間である。高帯域に対する中帯域の信号レベル比(中帯域/高帯域)R3は、空気中、水中に関係なく、ほぼ一定値である。これに対し、高帯域に対する低帯域の信号レベル比(低帯域/高帯域)R1及び中帯域に対する低帯域の信号レベル比(低帯域/中帯域)R2は、空気中では小さい値であるが、水中では受音感度が変化し、空気中の場合と比べて大幅に大きな値になる。
このことを利用して、周波数特性判定部631は、高帯域に対する低帯域の信号レベル比(低帯域/高帯域)R1及び中帯域に対する低帯域の信号レベル比(低帯域/中帯域)R2を各帯域における信号レベルの平均値から算出し、高帯域に対する低帯域の信号レベル比(低帯域/高帯域)R1及び中帯域に対する低帯域の信号レベル比(低帯域/中帯域)R2が予め設定した閾値以上に大きくなった場合に、音響処理部6に入力される音響信号が水中で集音されたものであると判定する。判定精度は劣ることになるが、中帯域における信号レベルの平均値及び中帯域に対する低帯域の信号レベル比(低帯域/中帯域)R2を算出せず、高帯域に対する低帯域の信号レベル比(低帯域/高帯域)R1が予め設定した閾値以上に大きくなった場合に音響処理部6に入力される音響信号が水中で集音されたものであると判定すること、或いは、高帯域における信号レベルの平均値及び高帯域に対する低帯域の信号レベル比(低帯域/高帯域)R1を算出せず、中帯域に対する低帯域の信号レベル比(低帯域/中帯域)R2が予め設定した閾値以上に大きくなった場合に音響処理部6に入力される音響信号が水中で集音されたものであると判定することも可能である。
なお、水中においても、気泡の音や筐体のこすれ音によって突発的なノイズが発生し、中帯域及び高帯域の信号レベルが瞬間的に大きくなり、高帯域に対する低帯域の信号レベル比(低帯域/高帯域)R1及び中帯域に対する低帯域の信号レベル比(低帯域/中帯域)R2が瞬間的に小さな値になる可能性がある。そのため、周波数特性判定部631が判定に使用する高帯域に対する低帯域の信号レベル比(低帯域/高帯域)R1及び中帯域に対する低帯域の信号レベル比(低帯域/中帯域)R2は、一定時間において平均をとった値を用いることが望ましい。
また、閾値に関しては、ヒステリシス特性を持たせ、空気中であると判定している間は閾値を高く、水中であると判定している間は閾値を低く設定することが望ましい。
<集音環境判定部の第2実施例>
次に、集音環境判定部63の第2実施例について図12を参照して説明する。図12は、集音環境判定部63の第2実施例を採用した場合の集音環境判定部63の構成を示すブロック図である。集音環境判定部63の第2実施例では、集音環境判定部63が伝搬特性判定部632を備えている。伝搬特性判定部632は、空気中で集音された音響信号の伝搬特性と、水中で集音された音響信号の伝搬特性との差異に基づいて、入力される音響信号が集音された環境を判定する。
伝搬特性判定部632が判定に用いる音響信号の伝搬特性として、例えば、音速の差異がある。空気中での音速は344m/s程度であり、水中での音速は1500m/s程度となる。本例ではこの音速の差異に基づいて集音環境を判定する。また、このように判定を行う場合、例えば、レンズ部2に備えられる光学ズーム倍率を変化させるモータの駆動音を用いることができる。このように判定を行う場合について以下に説明する。
CPU17は、レンズ部2内の光学ズーム倍率を変化させるモータの駆動を操作部19の出力に応じて制御する。さらにCPU17は、レンズ部2内の光学ズーム倍率を変化させるモータの駆動タイミングについて時間管理を行い、その情報を伝搬特性判定部632に提供する。レンズ部2内の光学ズーム倍率を変化させるモータの駆動音は、図1に示す撮像装置における駆動音(自己発生駆動音)としてステレオマイク4によって集音される。そして、伝搬特性判定部632において、CPU17から提供されたレンズ部2内の光学ズーム倍率を変化させるモータの駆動タイミングに関する時間情報と、ステレオマイク4によって集音された自己発生駆動音(レンズ部2内の光学ズーム倍率を変化させるモータの駆動音)の集音時間とに基づいて、自己発生駆動音の伝達速度が測定される。図1に示す撮像装置において、空気中での自己発生駆動音の伝達速度はあらかじめ得られる事から、空気中で集音されたか水中で集音されたかを判定することが可能である。
<集音環境判定部の第3実施例>
次に、集音環境判定部63の第3実施例について図13を参照して説明する。図13は、集音環境判定部63の第3実施例を採用した場合の集音環境判定部63の構成を示すブロック図である。集音環境判定部63の第3実施例では、集音環境判定部63が伝搬特性判定部633を備えている。伝搬特性判定部633は、入力される音響信号が集音された環境を、空気中及び水中における音響信号の伝搬特性の差異に基づいて判定する。ただし、伝搬特性判定部633は、図12に示す第2実施例の伝搬特性判定部632とは異なる方法で判定を行う。
伝搬特性判定部633の判定方法について、図14を用いて説明する。図14に示すように、音源が発する音(矢印Aの方向からの音)がステレオマイクに集音される際に、左側マイク4Lと右側マイク4Rとの間に行路差dが生じる。そして、この行路差dに起因して到達時間の差(行路差dを音速で除算した値)が生じる。また、この到達時間の差が異なることにより、右側マイク4Rから音響処理部6に入力された音響信号(Rch)と左側マイク4Lから音響処理部6に入力された音響信号(Lch)との間に位相差が生じる。
そして、上述したように空気中と水中とでは音速が異なる。そのため、音響信号(Rch)と音響信号(Lch)との間に生じる位相差が、空気中で集音された音響信号と水中で集音された音響信号とによって異なるものとなる。そこで、伝搬特性判定部633はこの位相差の差異に基づいて、集音環境判定部63に入力される音響信号が水中で集音されたものであるか否かを判定する。
<集音環境判定部の第4実施例>
次に、集音環境判定部63の第4実施例について図15を参照して説明する。図15は、集音環境判定部63の第4実施例を採用した場合の集音環境判定部63の構成を示すブロック図である。集音環境判定部63の第4実施例では、集音環境判定部63が圧力判定部634を備えている。
集音環境判定部63の第4実施例を採用する場合、図1に示す撮像装置に新たに圧力センサを設ける。圧力判定部634は、圧力センサの検出信号を入力し、撮像装置外部の圧力が予め設定した閾値以上である場合に、撮像装置が水中で使用されており、音響処理部6に入力される音響信号が水中で集音されたものであると判定し、撮像装置外部の圧力が予め設定した閾値未満である場合に、撮像装置が空気中で使用されており、音響処理部6に入力される音響信号が空気中で集音されたものであると判定する。
<集音環境判定部の第5実施例>
次に、集音環境判定部63の第5実施例について図16を参照して説明する。図16は、集音環境判定部63の第5実施例を採用した場合の集音環境判定部63の構成を示すブロック図である。集音環境判定部63の第5実施例では、集音環境判定部63が映像判定部635を備えている。
映像判定部635は、画像処理部5から入力した映像信号を解析し、撮像装置が水中で使用されているかを判定する。映像判定部635は、例えば、ホワイトバランス調整前の映像信号を画像処理部5から入力し、そのホワイトバランス調整前の映像信号の色分布を解析して、撮像装置が水中で使用されているかを判定する。
なお、映像判定部635を音響処理部6内に設けるのではなく画像処理部5内に設け、集音環境判定部63が映像判定部635の判定結果を入力するようにしてもよい。
<<音響処理部の第3実施例>>
音響処理部6の第3実施例について図17及び図18を参照して説明する。図17は、音響処理部6の第3実施例を採用した場合の音響処理部6の構成を示すブロック図である。音響処理部6の第3実施例では、音響処理部6が、ステレオマイク4によって集音された音響信号に指向性制御処理を施す指向性制御部613と、指向性制御部613の出力信号を入力し、その入力した信号に音量制御処理を施す音量制御部623とを備えている。
指向性制御処理は、帯域別にステレオ入力信号の位相情報を解析し、特定の位相の信号だけを抽出する処理である。
指向性制御部613は位相情報を音量制御部623に送る。音量制御部623は、イコライザ機能を有しており、指向性制御部613からの位相情報に応じて、指向性制御処理で抽出された帯域の信号を音量抑制しない或いは音量増幅し、指向性制御処理で抽出された帯域の信号を音量増幅しない或いは音量抑制するように、音量制御を行う(図18参照)。これにより、指向性制御処理の効果を損なうことなく、音量制御を行うことができる。また、指向性制御処理で抽出された帯域の信号を音量増幅し、指向性制御処理で抽出されなかった帯域の信号を音量抑制することで、指向性制御の効果をより高めることもできる。
なお、図1に示す撮像装置の各種設定において指向性制御処理がオフ設定になっている場合には、ステレオマイク4によって集音された音響信号は、指向性制御部613をスルーして、音量制御部623に入力される。
<指向性制御部の実施例>
例えば、撮像装置正面方向から左右それぞれ30°以内の方向に指向性を持たせる指向性制御について説明する。
指向性制御部613は、まず、ステレオマイク4の右側マイク4R(図14参照)から入力されるRch音響信号を48kHzでサンプリングしてデジタル信号に変換した後、2048サンプル毎にFFT(Fast Fourier Transform)処理にて周波数領域の信号SR[F]に変換しステレオマイク4の左側マイク4L(図14参照)から入力されるLch音響信号を48kHzでサンプリングしてデジタル信号に変換した後、2048サンプル毎にFFT処理にて周波数領域の信号SL[F]に変換する。
次に、指向性制御部613は、周波数領域の信号SR[F]と周波数領域の信号SL[F]との位相差を比較して、右側マイク4Rに到達した音の位相と左側マイク4Lに到達した音の位相との差である相対位相差の情報を生成する。なお、相対位相差比較部662は、FFT部61R及び61Lの解像度である2048/48000[Hz]毎に相対位相差を得ている。
2つのマイクでそれぞれ集音した2つの音響信号の相対位相差を一意に決定するためには、2つのマイクの間隔が半波長に相当する周波数以下の音響信号である必要がある。そのため、2つのマイクの間隔が図2に示すように約2cmの場合、空気中での音速を340m/sとすれば、相対位相差情報生成部662は、8.5kHz以下の帯域の音響信号についてのみ相対位相差情報を生成することができる。
また、指向性制御部613は、FFT部661R及び661Lの解像度である2048/48000[Hz]毎に、相対位相差情報生成部662からの相対位相差情報と第1の閾値(下記に示す(3)式のΔφ1)とを比較して、相対位相差情報生成部662からの相対位相差情報が第1の閾値(下記に示す(3)式のΔφ1)より大きければ、周波数領域の信号SR[F]及びSL[F]が音源方向角θR又はθL(図14参照)が30°より大きい音源(不要音)によるものであると判定し、音源方向角θR又はθLが30°より大きい音源(不要音)によるものであると判定された周波数成分を−20dB低減し、相対位相差情報生成部662からの相対位相差情報が第1の閾値(下記に示す(3)式のΔφ1)以下であれば、周波数領域の信号SR[F]及びSL[F]が音源方向角θR又はθL(図14参照)が30°以内の音源によるものであると判定し、音源方向角θR又はθLが30°以内の音源によるものであると判定された周波数成分を低減しない処理を行う。ただし、(1)式中のFreqは、相対位相差情報との比較対象の周波数である。
Δφ1=2π×(Freq×20×sin30°/340000) …(3)
ただし、空気中での音速は344m/s程度であるのに対して、水中での音速は1500m/s程度である。そこで、音響処理部の第3実施例においても、音響処理部の第2実施例で設けていた集音環境判定部を設け、音響処理部6に入力される2つの音響信号が水中で集音されたものでないと集音環境判定部が判定した場合には上記(3)式を用い、音響処理部6に入力される2つの音響信号が水中で集音されたものであると集音環境判定部が判定した場合には上記(3)式の代わりに下記に示す(4)を用いるようにするとよい。
Δφ1=2π×(Freq×20×sin30°/1500000) …(4)
なお、音量制御部623は、指向性制御部613から出力された周波数領域の信号を音量制御したのち、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform)処理にて時間領域の信号に変換して出力してもよく、周波数領域の信号のまま出力してもよい。
<<音響処理部の第4実施例>>
音響処理部6の第4実施例について図19及び図20を参照して説明する。図19は、音響処理部6の第4実施例を採用した場合の音響処理部6の構成を示すブロック図である。音響処理部6の第4実施例では、音響処理部6が、ステレオマイク4によって集音された音響信号に音声強調処理を施す音声強調部614と、音声強調部614の出力信号を入力し、その入力した信号に音量制御処理を施す音量制御部624とを備えている。
音声強調処理は、ホルマントと呼ばれる声の共振周波数の信号レベルを大きくし、その他の信号レベルを小さくする処理である。
音声強調部614はホルマント周波数帯域に関する情報を音量制御部624に送る。音量制御部624は、イコライザ機能を有しており、音声強調部614からのホルマント周波数帯域に関する情報に応じて、ホルマント周波数帯域の信号を音量抑制しない或いは音量増幅し、ホルマント周波数でない帯域の信号を音量増幅しない或いは音量抑制するように、音量制御を行う(図20参照)。これにより、音声強調処理の効果を損なうことなく、音量制御を行うことができる。また、ホルマント周波数帯域の信号を音量増幅し、ホルマント周波数でない帯域の信号を音量抑制することで、音声強調の効果をより高めることもできる。
なお、図1に示す撮像装置の各種設定において音声強調処理がオフ設定になっている場合には、ステレオマイク4によって集音された音響信号は、音声強調部614をスルーして、音量制御部624に入力される。
<<変形例>>
上述した音響処理部の第1〜第4実施例では、いずれも音量制御部が強調部(風雑音低減部、水中雑音低減部、指向性制御部、又は音声強調部)の後段にあったが、音量制御部が強調部の前段にある構成でもよい。音量制御部が強調部の前段にある構成では、後段のブロックでの制御情報を、前段の音量制御部にフィードバックさせて音量制御処理を行う。後段の強調部の強調処理内容に関する情報を前段の音量制御部にフィードバックさせ、前段の音量制御部が後段の強調部の強調処理内容に応じて音量制御処理の内容を切り替えるようにすればよい。ただし、音量制御部が強調部の前段にある構成では音量制御処理の内容の切り替えにタイムラグが生じるため、音量制御部が強調部の後段にある構成の方が望ましい。
また、本発明は、上述した音響処理部の第1〜第4実施例のいくつかを組合せた形態で実施してもよい。例えば、風雑音低減処理部の後段に指向性制御部を設け、指向性制御部の後段に音量制御部を設ける構成にしてもよい。
上述した図1に示す撮像装置は、集音した音響信号を記録する際に音響信号に対して強調処理及び音量制御処理を施す音響処理部を備えている。しかしながら、本発明はこれに限定されず、集音した音響信号を再生する際に音響信号に対して強調処理及び音量制御処理を施す音響処理部を備えるようにしてもよい。
集音した音響信号を再生する際に音響信号に対して強調処理及び音量制御処理を施す音響処理部を備える撮像装置を図21に示す。なお、図21において図1と実質上同一の部分には同一の符号を付している。
図21に示す撮像装置が図1に示す撮像装置と異なる点は、音響処理部6の代わりに音響処理部6aを設け、さらに、伸長処理部9と音響出力回路部13との間に音響処理部6bを設けている点である。
音響処理部6aは、音響処理部6と異なり、A/D変換処理は行うが、音響信号に対して強調処理及び音量制御処理を行わない構成である。
音響処理部6bは、A/D変換処理を行わない点を除き、音響処理部6と同様の構成である。音響処理部6bにおいて行われる音響処理は、基本的に音響処理部6において行われる音響処理と同様であるので、ここでは説明を省略する。
なお、集音環境(集音時に図21に示す撮像装置が置かれている環境)と再生環境(再生時に図21に示す撮像装置が置かれている環境)とが異なっている可能性があるため、音響処理部6bの集音環境判定部には、上述した集音環境判定部の第4実施例を採用しないようにする。
また、本発明にかかる電子機器は、音響信号の記録及び/又は再生が可能であればよいので、映像に関連するブロックは特に必要ない。したがって、本発明は、撮像装置以外の電子機器、例えば、音響記録装置、音響再生装置、音響記録再生装置(例えばICレコーダ)等にも適用することができる。
また、集音環境判定装置を搭載した電子機器は、防水構造であることが望ましいが、防水構造でなくても例えば防水ハウジングに収納し外部のハイドロホンによって集音した音響信号を入力するというような使用法を採用することが可能である。
また、例えば、音響処理部6bの各部としてコンピュータを機能させるためのプログラムを含む再生ソフトウェアを、パーソナルコンピュータ上で動作させることで、本発明に係る電子機器を実現することもできる。
また、上述した場合に限らず、図1及び図21の撮像装置や音響処理部6、6a、6bは、ハードウェア、或いは、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせによって実現可能である。また、ソフトウェアを用いて図1及び図21の撮像装置や音響処理部6、6a、6bを構成する場合、ソフトウェアによって実現される部位についてのブロック図は、その部位の機能ブロック図を表すこととする。
また、上述した場合に限らず、ステレオマイク4の代わりに他チャンネルのマイクアレイ(例えば5.1chサラウンド録音対応マイク)を用いても構わない。
また、図1の撮像装置撮において、撮像装置が空気中にあるときに適した撮影モードである通常撮影モードと、撮像装置が水中にあるときに適した撮影モードである水中撮影モードとを、ユーザが操作部19の操作によって手動で切り替えることができる構成としても構わない。この場合においても、集音環境判定部63が、音響処理部6に入力される音響信号が水中で集音されたものであるか否かを判定するようにしてもよく、集音環境判定部63の判定結果により自動設定された撮影モードと操作部19の操作により手動設定された撮影モードのどちらを優先させても構わない。なお、自動設定された撮影モードと手動設定された撮影モードのどちらを優先するかを操作部19の操作によって変更可能にしていることが望ましい。
また、図21の撮像装置撮において、音響処理部6bの集音環境判定部によって水中で集音されたと判定された場合は、水中で集音された音響信号の再生に適した再生モードである水中再生モードとなり、音響処理部6bの集音環境判定部によって空気中で集音されたと判定された場合は、空気中で集音された音響信号の再生に適した再生モードである通常再生モードとなるが、これに代えて、又は、これに加えて、水中再生モードと通常再生モードとをユーザが操作部19の操作によって手動で切り替えることができる構成としても構わない。後者のように、手動切り替えの構成を付加した場合、自動設定された再生モードと操作部19の操作により手動設定された再生モードのどちらを優先させても構わない。なお、自動設定された再生モードと手動設定された再生モードのどちらを優先するかを操作部19の操作によって変更可能にしていることが望ましい。
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実行することができる。
1 固体撮像素子(イメージセンサ)
2 レンズ部
3 AFE
4 ステレオマイク
4L 左側マイク
4R 右側マイク
5 画像処理部
6、6a、6b 音響処理部(音響処理装置の一例)
7 圧縮処理部
8 ドライバ部
9 伸長処理部
10 ビデオ出力回路部
11 ビデオ出力端子
12 ディスプレイ部
13 音響出力回路部
14 音響出力端子
15 スピーカ部
16 タイミングジェネレータ(TG)
17 CPU
18 メモリ
19 操作部
20、21 バス回線
22 外部メモリ
23 モニタユニット
61 強調部
62 音量制御部
63 集音環境判定部
611 風雑音低減部
612 水中雑音低減部
613 指向性制御部
614 音声強調部
621〜624 音量制御部
631 周波数特性判定部
632、633 伝搬特性判定部
634 圧力判定部
635 映像判定部

Claims (6)

  1. 強調部と、音量制御部とを備え、
    前記強調部が、
    入力音響信号若しくは前記音量制御部から出力される音響信号の強調すべき成分を強調すべきでない成分に対して相対的に強調し、及び/又は、
    前記入力音響信号若しくは前記音量制御部から出力される音響信号の所定帯域成分を信号復元処理して復元信号を生成することで前記入力音響信号若しくは前記音量制御部から出力される音響信号に含まれる所定の要素を強調し、
    前記音量制御部が、前記強調部の処理内容に応じて音量制御処理の内容を切り替えることを特徴とする音響処理装置。
  2. 前記音量制御部が、前記強調部での強調処理の効果を損なわないように、前記強調部の処理内容に応じて前記音量制御処理の内容を切り替える請求項1に記載の音響処理装置。
  3. 前記音量制御部が、前記強調部で処理した周波数帯域、制御量、及び時間の少なくとも一つに応じて前記音量制御処理の内容を切り替える請求項1又は請求項2に記載の音響処理装置。
  4. 前記音量制御部が、前記強調部の処理内容に応じて、音量制御を施す周波数帯域、周波数帯域別の音量制御量、及び音量制御量の単位時間当たりの変化量の少なくとも一つを切り替える請求項1〜3のいずれか1項に記載の音響処理装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の音響処理装置を備え、音響の記録及び/又は再生機能を有することを特徴とする電子機器。
  6. 映像を撮影するカメラを備える撮像装置である請求項5に記載の電子機器。
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