JP5263767B2 - 撮像装置及びモード適否判定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、複数の撮影モードを有する撮像装置及び当該撮像装置において設定された撮像モードが適切であるか否かを判定するモード適否判定方法に関する。なお、本発明は、複数の撮影モードを有する撮像装置及び当該撮像装置において設定された撮像モードが適切であるか否かを判定するモード適否判定方法のみならず、複数の記録モードを有する他の電子機器(例えば、ICレコーダ等)及び当該電子機器において設定された記録モードが適切であるか否かを判定するモード適否判定方法にも適用可能である。
多くのデジタルビデオカメラは、撮影シーンに応じて「スポーツ」「ポートレート」「風景」「水中」などの複数の撮影モードが用意されており、それぞれのシーンに最適なカメラ制御、画質制御、音声制御が設定できる。撮影者は予め撮影シーンを想定し、その想定した撮影シーンに応じた撮影モードを設定して動画像の撮影を行う。
ところが、撮影者が設定する撮影モードは、必ずしも最適ではなく、例えば予め想定した撮影シーンに応じた撮影モードを撮影前に設定し忘れた場合には、前回設定した撮影モードのまま撮影が行われてしまう。このような失敗を防ぐために、撮影開始直前に、所定の撮影モード(マクロ撮影モードや高感度撮影モード)に設定されているか否かを検知し、前記所定の撮影モードに設定されている場合、撮影シーンに対して前記所定の撮影モードが不適切であるか否かを判定し、不適切であるときには警告表示を行うデジタルカメラ(デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ)が特許文献1及び2において提案されている。
特開2005−260792号公報(段落0028及び0037) 特開2005−260793号公報(段落0029及び0038)
上述した特許文献1及び2で提案されているデジタルカメラでは、撮影開始直前の撮影シーンを解析するだけであるので、動画像の撮影中に撮影シーンが時々刻々と変化した場合に対応することができない。例えば、暗い屋内から明るい屋外へ移動しながら撮影した場合、「屋内」に適したホワイトバランス設定を維持したまま屋外で撮影すると、最適な動画像を記録することができない。また、防水機能を有するデジタルビデオカメラや防水ハウジングに収納可能なデジタルビデオカメラでは、通常、水中を撮影するのに最適な「水中」モードが用意されているが、例えば浅瀬での撮影では、常に水の中で撮影するのではなく、カメラが水面上に出たり入ったりすることがある。この場合、水面上では「水中」モードを解除することが望ましい。
本発明は、上記の状況に鑑み、設定されている撮影モードが適切であるか否かを動画像の撮影中でも判定することができる撮像装置及び当該撮像装置において設定された撮像モードが適切であるか否かを動画像の撮影中でも判定することができるモード適否判定方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明に係る撮像装置は、複数の撮影モードを有する撮像装置であって、動画像の撮影中に、撮影シーンに適した撮影モードを自動的に判定する適切撮影モード自動判定部と、動画像の撮影中に、現在設定されている撮影モードと、前記適切撮影モード自動判定部によって自動的に判定された撮影モードとを比較し、現在設定されている撮影モードが前記適切撮影モード自動判定部によって自動的に判定された撮影モードに含まれているか否かを確認するモード比較部とを備える構成とする。
このような構成によると、設定されている撮影モードが適切であるか否かを動画像の撮影中でも判定することができる。
また、前記モード比較部が、現在設定されている撮影モードが前記適切撮影モード自動判定部によって自動的に判定された撮影モードに含まれていないことを確認した場合に、現在設定されている撮影モードをそのまま維持する処理、前記適切撮影モード自動判定部によって自動的に判定された撮影モードに切り替える処理、又は、現在設定されている撮影モードを解除する処理のいずれかを実行する制御部を備えるようにしてもよい。
また、前記モード比較部が、現在設定されている撮影モードが前記適切撮影モード自動判定部によって自動的に判定された撮影モードに含まれていないことを確認した場合に、現在設定されている撮影モードが前記適切撮影モード自動判定部によって自動的に判定された撮影モードに含まれていない旨の警告を行う警告部を備えるようにしてもよい。これにより、設定されている撮影モードが適切でない場合に、設定されている撮影モードが適切でないことを撮影者が認識することができる。
また、撮影者からの指示が入力される操作部を備え、前記警告部の警告の後に入力された撮影者の指示に基づく前記操作部の出力信号に応じて、前記制御部が、現在設定されている撮影モードをそのまま維持する処理、前記適切撮影モード自動判定部によって自動的に判定された撮影モードに切り替える処理、又は、現在設定されている撮影モードを解除する処理のいずれかを選択して実行するようにしてもよい。これにより、現在設定されている撮影モードが前記適切撮影モード自動判定部によって自動的に判定された撮影モードに含まれていないことを確認した場合に、撮影者がその後の撮影モードをどのように決定するかを選択することができる。この場合、前記警告部の警告の後一定時間経過しても撮影者の指示がない場合は、強制的にいずれかの処理を実行することが望ましい。なお、これとは逆に、警告や警告後の撮影者の指示に応じた処理選択を行わない場合、動画像の撮影中に撮影シーンが切り替わった際に、撮影モードの切り替えや解除にタイムラグが発生して適切撮影モードで撮影が行えない事態を防止することができる。
また、前記複数の撮影モード各々は、例えば、動画像を撮影するためのカメラの制御、動画像の撮影により得られる映像信号の映像処理、及び動画像の撮影により得られる音声信号の音声処理の少なくとも一つを各々異なる撮影シーンに適した設定にするとよい。
また、上記の目的を達成するために、本発明に係るモード適否判定方法は、複数の撮影モードを有する撮像装置において設定された撮像モードが適切であるか否かを判定するモード適否判定方法であって、動画像の撮影中に、撮影シーンに適した撮影モードを自動的に判定する適切撮影モード自動判定ステップと、動画像の撮影中に、現在設定されている撮影モードと、前記適切撮影モード自動判定ステップにおいて自動的に判定された撮影モードとを比較し、現在設定されている撮影モードが前記適切撮影モード自動判定ステップにおいて自動的に判定された撮影モードに含まれているか否かを確認するモード比較ステップとを備えるようにする。
このような方法によると、設定されている撮影モードが適切であるか否かを動画像の撮影中でも判定することができる。
本発明の構成によると、設定されている撮影モードが適切であるか否かを動画像の撮影中でも判定することができる。本発明は、例えば浅瀬での撮影で撮像装置が水面上に出たり入ったりする場合のように、動画像の撮影中に撮影シーンが切り替わる場合に有用である。
本発明の実施形態について図面を参照して以下に説明する。
<撮像装置の基本構成>
まず、撮像装置の基本構成について図1を参照して説明する。図1は、本発明に係る撮像装置の一内部構成例を示すブロック図である。
図1に示す撮像装置は、入射される光を電気信号に変換するCCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complimentary Metal Oxide Semiconductor)センサなどの固体撮像素子(イメージセンサ)1と、被写体の光学像をイメージセンサ1に結像させるズームレンズとズームレンズの焦点距離すなわち光学ズーム倍率を変化させるモータとズームレンズの焦点を被写体に合わせるためのモータとを有するレンズ部2と、イメージセンサ1から出力されるアナログ信号である画像信号をデジタル信号に変換するAFE(Analog Front End)3と、撮像装置の前方の左右方向から入力された音声を独立して電気信号に変換するステレオマイク4と、AFE3からのデジタル信号となる画像信号に対して、階調補正等の各種画像処理を施す画像処理部5と、ステレオマイク4からのアナログ信号である音声信号に対してデジタル信号に変換するとともに音声補正処理を施す音声処理部6と、画像処理部5から出力される画像信号及び音声処理部6から出力される音声信号のそれぞれに対してMPEG(Moving Picture Experts Group)圧縮方式などの圧縮符号化処理を施す圧縮処理部7と、圧縮処理部7で圧縮符号化された圧縮符号化信号をSDカードなどの外部メモリ22に記録するドライバ部8と、ドライバ部8で外部メモリ22から読み出した圧縮符号化信号を伸長して復号する伸長処理部9と、伸長処理部9で復号されて得られた画像信号をアナログ信号に変換するビデオ出力回路部10と、ビデオ出力回路部10で変換された信号を出力するビデオ出力端子11と、ビデオ出力回路部10からの信号に基づく画像の表示を行うLCD(Liquid Crystal Display)等を有するディスプレイ部12と、伸長処理部9からの音声信号をアナログ信号に変換する音声出力回路部13と、音声出力回路部13で変換された信号を出力する音声出力端子14と、音声出力回路部13からの音声信号に基づいて音声を再生出力するスピーカ部15と、各ブロックの動作タイミングを一致させるためのタイミング制御信号を出力するタイミングジェネレータ(TG)16と、撮像装置内全体の駆動動作を制御するCPU(Central Processing Unit)17と、各動作のための各プログラムを記憶するとともにプログラム実行時のデータの一時保管を行うメモリ18と、撮影者からの指示が入力される操作部19と、CPU17と各ブロックとの間でデータのやりとりを行うためのバス回線20と、メモリ18と各ブロックとの間でデータのやりとりを行うためのバス回線21と、モード適否判定部23とを備える。なお、CPU17は、画像処理部5で検出した画像信号に応じて、レンズ部2内の各モータを駆動して焦点、絞りの制御を行う。
<撮像装置の基本動作>
次に、図1に示す撮像装置の動画像撮影時の基本動作について図1を参照して説明する。まず、撮像装置は、レンズ部2より入射される光をイメージセンサ1において光電変換することによって、電気信号である画像信号を取得する。そして、イメージセンサ1は、タイミングジェネレータ16から入力されるタイミング制御信号に同期して、所定のフレーム周期(例えば、1/60秒)で順次AFE3に画像信号を出力する。なお、CPU17は、設定された撮影モードに応じたカメラ制御(AF、AE、ISO感度等)をイメージセンサ1及びレンズ部2に対して行う。
そして、AFE3によってアナログ信号からデジタル信号へと変換された画像信号は、画像処理部5に入力される。画像処理部5は、入力される画像信号を、輝度信号と色差信号とからなる画像信号に変換するとともに、階調補正や輪郭強調等の各種画像処理を施す。また、メモリ18はフレームメモリとして動作し、画像処理部5が処理を行う際に画像信号を一時的に保持する。なお、画像処理部5は、設定された撮影モードに応じた画像処理を行う。
また、このとき画像処理部5に入力される画像信号に基づき、レンズ部2において、各種レンズの位置が調整されてフォーカスの調整が行われたり、絞りの開度が調整されて露出の調整が行われたりする。このフォーカスや露出の調整は、それぞれ最適な状態となるように所定のプログラムに基づいて自動的に行われたり、撮影者の指示に基づいて手動で行われたりする。
一方、ステレオマイク4において電気信号に変換される音声信号は、音声処理部6に入力される。音声処理部6は、入力される音声信号をデジタル信号に変換するとともにノイズ除去や音声信号の強度制御などの音声補正処理を施す。なお、音声処理部6は、設定された撮影モードに応じた音声処理を行う。
そして、画像処理部5から出力される画像信号と、音声処理部6から出力される音声信号とがともに圧縮処理部7に入力され、圧縮処理部7において所定の圧縮方式で圧縮される。このとき、画像信号と音声信号とが時間的に関連付けられ、再生時に画像と音とがずれないように構成される。そして、圧縮された画像信号及び音声信号はドライバ部8を介して外部メモリ22に記録される。
外部メモリ22に記録された圧縮符号化信号は、撮影者の指示に基づく操作部19の出力信号に応じて、伸長処理部9に読み出される。伸長処理部9は、圧縮符号化信号を伸長及び復号し、画像信号及び音声信号を生成する。そして、画像信号をビデオ出力回路部10、音声信号を音声出力回路部13にそれぞれ出力する。そして、ビデオ出力回路部10や音声出力回路部13において、画像信号及び音声信号がディスプレイ部12やスピーカ部15において再生可能な形式に変換されて出力される。
また、画像信号の記録を行わずにディスプレイ部12に表示される画像を撮影者が確認する、所謂プレビューモードである場合に、圧縮処理部7が圧縮処理を行わないようにし、画像処理部5が圧縮処理部7ではなくビデオ出力回路部10に画像信号を出力するようにしてもよい。また、画像信号を記録する際に、ドライバ部8を介して外部メモリ22に記録する動作と並行して、ビデオ出力回路10を介してディスプレイ部12に画像信号を出力するようにしても構わない。
なお、図1に示す構成では、ディスプレイ部12やスピーカ部15が撮像装置に搭載されているが、ディスプレイ部12やスピーカ部15を撮像装置と別体とし、撮像装置に設けられる端子(ビデオ出力端子11、音声出力端子14)とケーブル等を用いて接続されるような構成であっても構わない。
<モード適否判定部の第1実施例>
次に、モード適否判定部23の第1実施例について図2を参照して説明する。図2は、モード適否判定部23の第1実施例の構成を示すブロック図である。
図2に示すモード適否判定部23は、適切撮影モード自動判定部231と、モード比較部232と、警告発信部233とを備えている。
適切撮影モード自動判定部231は、撮影中の音声信号と映像信号を解析し、どのようなシーンで撮影しているのかを判定し、撮影シーンに適した撮影モード(以下、適切撮影モードという)を自動的に判定する。適切撮影モードは単数であっても複数であってもよい。適切撮影モード自動判定部231は、例えば、例えば音声の反響特性や周波数特性を解析して、どのような場所(屋外/屋内、水中など)で撮影しているかを判定し、また、映像情報の輝度やヒストグラムなどの基本特性を解析するほか、人物が映っているかどうかなどの情報も解析して、撮影シーンを判定する。なお、本実施例では音声信号と映像信号をソフトウェアによって解析する例を示したが、圧力センサや照度センサなどのハードウェアを用いてどのようなシーンで撮影しているのかを判定してもよい。例えば、圧力センサを用いた場合、水中で撮影しているか空気中で撮影しているかの判別が可能であり、照度センサを用いた場合、室内で撮影しているか屋外で撮影しているかの判別や夜間に撮影しているか日中に撮影しているかの判別が可能である。
モード比較部232は、設定されている撮影モード(以下、設定撮影モードという)と、適切撮影モード自動判定部231によって自動的に判定された適切撮影モードとを比較し、設定撮影モードが適切撮影モードに含まれているか否かを警告発信部233に知らせる。警告発信部233は、設定撮影モードが適切撮影モードに含まれていなければ、警告信号を発信する。例えば、屋内で撮影しているのに「風景」モードになっていたり、人物が映っていないのに「ポートレート」モードになっていたりする場合に、警告発信部233が警告信号を発信する。
<警告の例>
図3は警告の例である。図3に示す四つの例(警告音等の再生、警告メッセージ等のモニタ表示、警告用ランプの発光、筐体の振動)及び撮影者に対して警告を発する他の手段は、単独で実施されても複数組み合わせて実施されてもよい。
警告音等の再生により警告する場合、警告発信部233は、警告音又は警告メッセージに対応する音声信号を警告信号として音声出力回路部13に出力する。これにより、スピーカ部15から警告音又は警告メッセージが再生される。ただし、これらの音が撮影データとして録音されないように、音声処理部6が音声信号に対してノイズキャンセリングなどの処理を施すことが望ましい。
警告メッセージ等のモニタ表示により警告する場合、警告発信部233は、警告メッセージ等に対応する映像信号を警告信号としてビデオ出力回路部10に出力する。これにより、ディスプレイ部12の表示画面に警告メッセージ等が表示される。図3では、ディスプレイ部12の表示画面全体に警告メッセージを表示しているが、撮影中のプレビュー表示を邪魔しないように、表示画面の端に小さく表示してもよい。また、警告メッセージ表示ではなく、警告マークを点灯もしくは点滅させてもよい。
警告用ランプの発光により警告する場合、撮像装置本体に警告用ランプ24及び警告用ランプ24を駆動するランプ駆動部を設置しておき、警告発信部233は、ランプ発光信号を警告信号としてランプ駆動部に出力する。これにより、警告用ランプ24が発光(点灯又は点滅)する。警告用ランプ24は、警告専用のものを設置してもよいし、普段は別の用途で使用しているランプを用いて、警告時だけ点灯色や点滅パターンを変更してもよい。
筐体(撮像装置本体)の振動により警告する場合、撮像装置本体の内部に振動用モータ及び振動用モータを駆動するモータ駆動部を設置し、警告発信部233は、モータ駆動信号を警告信号としてモータ駆動部に出力する。これにより、撮像装置本体が振動する。このとき、手ブレが生じるため、画像処理部5が手ブレを補正する処理を施すことが望ましい。
<警告後の処理>
設定撮影モードが適切撮影モードに含まれていない場合、上述した警告が行われた後、現在の設定撮影モードを維持するか、設定撮影モードを適切撮影モードに切り替えるか、現在の設定撮影モードを解除してデフォルトの撮影モードにするかのいずれかの処理を行う。
図4は、モニタ表示による警告及びモード切り替え提示の例である。撮影モードが適切でないことを警告するとともに、設定撮影モードを変更するかどうかを撮影者に問いかける。撮影者は、操作部19を操作して「Yes」又は「No」を選択する。
「Yes」が選択された場合、適切撮影モード自動判定部231によって自動的に判定された適切撮影モードに切り替えるように、例えば、「屋内」モードに設定して屋外で撮影していれば「屋外」モードへ切り替えるようにしてもよく、また、現在の設定撮影モードを解除してデフォルトの撮影モード(例えばAutoモード)にするように、例えば、「水中」モードに設定して水面上で撮影していれば、「水中」モードを解除してデフォルトの撮影モードにするようにしてもよい。
なお、図4に示す表示には時間制限を設けておき、図4に示すように表示画面の右上に制限時間(秒単位)をカウントダウンしながら表示する。カウントが0になるまでに撮影者が「Yes」と「No」のいずれも選択しなかった場合は、「Yes」を選択したとみなして強制的に適切撮影モードに切り替えてもよく、撮影者にモード切り替えの意思がないと想定し、「No」を選択したとみなして現在の設定撮影モード設定を維持してもよい。
<撮影時の処理フロー>
図5は、モード適否判定部23の第1実施例を採用した図1に示す撮像装置の撮影時の処理フローチャートである。
撮影者が操作部19に対して撮影開始操作を行うと、図5に示すフロー処理が開始される。なお、CPU17は、操作部19の出力に基づいて、撮影者が操作部19に対して撮影終了操作を行ったか否かを常時監視しており、撮影者が操作部19に対して撮影終了操作を行うと、直ちに図5に示すフロー処理が中断され、撮影が終了する。
まず、適切撮影モード自動判定部231が、適切撮影モードを自動的に判定する(ステップS10)。その後、モード比較部232が、設定撮影モードと適切撮影モードとを比較し、設定撮影モードが適切撮影モードに含まれているか否かを判定する(ステップS20)。
設定撮影モードが適切撮影モードに含まれていれば(ステップS20のYES)、ステップS10に戻る。一方、設定撮影モードが適切撮影モードに含まれていなければ(ステップS20のNO)、警告発信部233が警告信号を発信し、その警告信号に基づいて撮影者に対して警告を発し(ステップS30)、その後ステップS40に移行する。
ステップS40において、CPU17は、撮影者の処理選択操作に応じた操作部19の出力に基づいて、現在の設定撮影モードを維持するか、設定撮影モードを適切撮影モードに切り替えるか、現在の設定撮影モードを解除してデフォルトの撮影モードにするかのいずれかの処理を行い、設定撮影モードを変更した場合は変更後の設定撮影モードをメモリ18に記憶させる。
そして、ステップS40の処理が終了すると、ステップS10に戻り、一連のフロー処理を短時間毎に繰り返す。上述したステップS10及びステップS20の処理により、設定されている撮影モードが適切であるか否かを動画像の撮影中でも判定することができる。
<モード適否判定部の第2実施例>
防水機能を有するデジタルビデオカメラや防水ハウジングに収納可能なデジタルビデオカメラでは、通常、水中を撮影するのに最適な「水中」モードが用意されており、このモードでは、水中で最適なホワイトバランス制御や、水中特有の音声雑音を低減する処理が施される。しかし、浅瀬などで撮影する場合、常に水中で撮影するのではなく、撮像装置が水面上に出たり入ったりして撮影するケースが想定される。この場合、水面上では水中モードを解除した方がより最適な撮影となる。
上述した図5に示すフロー処理では、撮影者に対して警告を発し、その後、撮影者の処理選択操作に応じて、現在の設定撮影モードを維持するか、設定撮影モードを適切撮影モードに切り替えるか、現在の設定撮影モードを解除してデフォルトの撮影モードにするかのいずれかの処理を行うため、撮影モードの切り替えや解除にタイムラグが発生し、撮像装置が頻繁に水中を出たり入ったりする場合には、適切撮影モードで撮影が行えない可能性がある。
モード適否判定部23の第2実施例は、上記の懸念を解消することができる実施例である。モード適否判定部23の第2実施例について図6を参照して説明する。図6は、モード適否判定部23の第2実施例の構成を示すブロック図である。なお、図6において図2と同一の部分には同一の符号を付す。
図6に示すモード適否判定部23は、図2に示すモード適否判定部23から警告発信部233を取り除いた構成である。モード比較部232は比較結果信号(設定撮影モードが適切撮影モードに含まれているか否かを示す信号)をCPU17(図1参照)に送出する。
CPU17は、設定撮影モードが適切撮影モードに含まれていないという内容の比較結果信号を受けとった場合、メモリ18に予め記憶されている処理選択の設定に応じて、現在の設定撮影モードを維持するか、設定撮影モードを適切撮影モードに切り替えるか、現在の設定撮影モードを解除してデフォルトの撮影モードにするかのいずれかの処理を自動的に行い、設定撮影モードを変更した場合は変更後の設定撮影モードをメモリ18に記憶させる。メモリ18に予め記憶されている処理選択の設定は操作部19によって変更可能とすることが望ましい。
したがって、モード適否判定部23の第2実施例を採用した図1に示す撮像装置の撮影時の処理フローチャートは図7に示すようになる。なお、図7において図5と同一のステップには同一の符号を付す。
図7に示すフローチャートは、図5に示すフローチャートからステップS30を取り除き、ステップS40をステップS50に変更したたものである。
ステップS50において、CPU17は、メモリ18に予め記憶されている処理選択の設定に応じて、現在の設定撮影モードを維持するか、設定撮影モードを適切撮影モードに切り替えるか、現在の設定撮影モードを解除してデフォルトの撮影モードにするかのいずれかの処理を行い、設定撮影モードを変更した場合は変更後の設定撮影モードをメモリ18に記憶させる。なお、ステップS50において、設定撮影モードを適切撮影モードに切り替える処理、又は、現在の設定撮影モードを解除してデフォルトの撮影モードにする処理を行った場合、設定撮影モードが変更された旨をディスプレイ部12による表示やスピーカ部15による音声再生で撮影者に知らせてもよく、知らせなくてもよい。
図7に示すフロー処理により、撮影者への警告や警告後の撮影者の指示に応じた処理選択が行われなくなるので、動画像の撮影中に撮影シーンが切り替わった際に、撮影モードの切り替えや解除にタイムラグが発生して適切撮影モードで撮影が行えない事態を防止することができる。
<水中撮影に対応可能な実施例>
次に、モード適否判定部23の第2実施例を採用した場合の水中撮影に対応可能な実施例について説明する。
図8は、「水中」モードであるか否かによってホワイトバランス調整を切り替える場合の撮像装置の要部構成を示す図であり、モード適否判定部23と、画像処理部5と、CPU17とを図示している。なお、CPU17は、メモリ18(図8において不図示)に予め記憶されている処理選択の設定に応じて、設定撮影モードを適切撮影モードに切り替えるものとする。
モード適否判定部23内の適切撮影モード自動判定部231は、水中判定部231Aと、適切撮影モード決定部232Bとを有している。また、画像処理部5は、空気中ホワイトバランス調整部51と、水中ホワイトバランス調整部52と、切り替え部53及び54と、各種画像処理部55とを有している。なお、各種画像処理部55は設けられていなくても構わない。
水中判定部231Aによって撮影環境が水中であると判定された場合、適切撮影モード決定部232Bが適切撮影モードを「水中」モードとし、CPU17が、比較結果信号に基づいて、切り替え部53及び54に水中ホワイトバランス調整部52を選択させる。水中ホワイトバランス調整部52は、水の屈折特性などを考慮したホワイトバランス調整を行う。
逆に、水中判定部231Aによって撮影環境が水中でないと判定された場合、撮影環境は空気中であることが想定されるため、適切撮影モード決定部232Bが適切撮影モードを「通常(非水中)」モードとし、CPU17が、比較結果信号に基づいて、切り替え部53及び54に空気中ホワイトバランス調整部51を選択させる。空気中ホワイトバランス調整部51は、例えばオート設定でホワイトバランスを調整する。
図9は、「水中」モードであるか否かによって音声処理を切り替える場合の撮像装置の要部構成を示す図であり、モード適否判定部23と、音声処理部6と、CPU17とを図示している。なお、CPU17は、メモリ18(図9において不図示)に予め記憶されている処理選択の設定に応じて、設定撮影モードを適切撮影モードに切り替えるものとする。
モード適否判定部23内の適切撮影モード自動判定部231は、水中判定部231Aと、適切撮影モード決定部232Bとを有している。また、音声処理部6は、水中雑音低減部61と、切り替え部62及び63と、各種音声処理部64とを有している。なお、各種音声処理部64は設けられていなくても構わない。
水中判定部231Aによって撮影環境が水中であると判定された場合、適切撮影モード決定部232Bが適切撮影モードを「水中」モードとし、CPU17が、比較結果信号に基づいて、切り替え部62及び63に水中雑音低減部61を選択させる。水中雑音低減部61は、水中特有の音響特性を考慮した雑音低減処理を行う。
逆に、水中判定部231Aによって撮影環境が水中でないと判定された場合、撮影環境は空気中であることが想定されるため、適切撮影モード決定部232Bが適切撮影モードを「通常(非水中)」モードとし、CPU17が、比較結果信号に基づいて、切り替え部62及び63にスルー経路を選択させる。
<水中判定部の第1実施例>
次に、水中判定部231Aの第1実施例について説明する。水中判定部231Aの第1実施例では、水中判定部231Aが圧力判定部を備えている。また、水中判定部231Aの第1実施例を採用する場合、図1に示す撮像装置に新たに圧力センサを設ける。水中判定部231Aの圧力判定部が、圧力センサの検出信号を入力し、撮像装置外部の圧力が予め設定した閾値以上である場合に、撮影環境が水中であると判定し、撮像装置外部の圧力が予め設定した閾値未満である場合に、撮影環境が水中でないと判定する。
<水中判定部の第2実施例>
次に、水中判定部231Aの第2実施例について説明する。水中判定部231Aの第2実施例では、水中判定部231Aが周波数特性判定部を備えている。
ここで、空気中で白色雑音を再生し、それを空気中で集音した場合の周波数特性を図10に示す。また、空気中で白色雑音を再生し、それを水中で集音した場合の周波数特性を図11に示す。
空気中で集音した場合の周波数特性は、図10に示す通りほぼフラットな特性となる。一方、水中で集音した場合の周波数特性は、一般的に、信号レベルが大きければ、図11に示す通り高周波帯域の信号が大きく減衰する。これは、伝搬されてくる音が、空気中−水中、水中−集音機器の筐体内部(空気中)の2つの境界において反射により減衰し、水中で新たに発生した波の音や筐体内部で新たに発生した音などの一般的に低い音が残るためである。
このように、撮像装置を水中で使用している場合には、撮像装置を空気中で使用している場合では起こりえないような、低帯域の音と中帯域の音及び高帯域の音とのレベル差が生じるため、そのレベル差を利用して判定を行う。
以下、水中判定部231Aの周波数特性判定部が実行する判定方法について説明する。Rch音声信号及びLch音声信号を対象として、低帯域(例えば、数十(70)Hz〜3kHz)、中帯域(例えば、6kHz〜9kHz)、高帯域(例えば、12kHz〜15kHz)の各帯域で信号レベルの平均値を算出する。なお、各帯域の具体的数値は上記の例に限らず、各帯域相互の大小関係が正しければ問題ない。また、低帯域と中帯域が一部重複していてもよく、中帯域と高帯域が一部重複していてもよい。
その各帯域における信号レベルの平均値から算出することが可能な、高帯域に対する低帯域の信号レベル比(低帯域/高帯域)R1、中帯域に対する低帯域の信号レベル比(低帯域/中帯域)R2、及び、高帯域に対する中帯域の信号レベル比(中帯域/高帯域)R3は、ステレオマイク4を空気中から水中に挿入し再び空気中に戻した場合図12に示すような時間変化を示す。図12中の期間T1及びT3はステレオマイク4が空気中に位置する期間であり図12中の期間T2はステレオマイク4が水中に位置する期間である。高帯域に対する中帯域の信号レベル比(中帯域/高帯域)R3は、空気中、水中に関係なく、ほぼ一定値である。これに対し、高帯域に対する低帯域の信号レベル比(低帯域/高帯域)R1及び中帯域に対する低帯域の信号レベル比(低帯域/中帯域)R2は、空気中では小さい値であるが、水中では受音感度が変化し、空気中の場合と比べて大幅に大きな値になる。
このことを利用して、水中判定部231Aの周波数特性判定部は、高帯域に対する低帯域の信号レベル比(低帯域/高帯域)R1及び中帯域に対する低帯域の信号レベル比(低帯域/中帯域)R2を各帯域における信号レベルの平均値から算出し、高帯域に対する低帯域の信号レベル比(低帯域/高帯域)R1及び中帯域に対する低帯域の信号レベル比(低帯域/中帯域)R2が予め設定した閾値以上に大きくなった場合に、撮影環境が水中であると判定する。判定精度は劣ることになるが、中帯域における信号レベルの平均値及び中帯域に対する低帯域の信号レベル比(低帯域/中帯域)R2を算出せず、高帯域に対する低帯域の信号レベル比(低帯域/高帯域)R1が予め設定した閾値以上に大きくなった場合に撮影環境が水中であると判定すること、或いは、高帯域における信号レベルの平均値及び高帯域に対する低帯域の信号レベル比(低帯域/高帯域)R1を算出せず、中帯域に対する低帯域の信号レベル比(低帯域/中帯域)R2が予め設定した閾値以上に大きくなった場合に撮影環境が水中であると判定することも可能である。
なお、水中においても、気泡の音や筐体のこすれ音によって突発的なノイズが発生し、中帯域及び高帯域の信号レベルが瞬間的に大きくなり、高帯域に対する低帯域の信号レベル比(低帯域/高帯域)R1及び中帯域に対する低帯域の信号レベル比(低帯域/中帯域)R2が瞬間的に小さな値になる可能性がある。そのため、水中判定部231Aの周波数特性判定部が判定に使用する高帯域に対する低帯域の信号レベル比(低帯域/高帯域)R1及び中帯域に対する低帯域の信号レベル比(低帯域/中帯域)R2は、一定時間において平均をとった値を用いることが望ましい。
また、閾値に関しては、ヒステリシス特性を持たせ、空気中であると判定している間は閾値を高く、水中であると判定している間は閾値を低く設定することが望ましい。
<水中雑音低減部の第1実施例>
次に、水中雑音低減部61の第1実施例について説明する。水中雑音低減部61の第1実施例では、図13に示すように、水中雑音低減部61が、入力される音声信号をA/D変換するA/D変換部611と、A/D変換部611から出力される音声信号中の所定の周波数以下となる低周波帯域成分を抽出して出力するLPF(Low Pass Filter)612と、A/D変換部611から出力される音声信号中の所定の周波数以上となる高周波帯域成分を抽出して出力するHPF(High Pass Filter)613と、LPF612から出力される低周波帯域成分を減衰させる減衰部614と、減衰部614から出力される低周波帯域成分とHPF613から出力される高周波帯域成分とを合成して音声信号を出力する合成部615とを備えている。
図10及び図11に示したように、空気中で集音された音声信号の周波数特性と、水中で集音された音声信号の周波数特性とは異なる。特に、水中で集音される音声信号は、空気中で集音される音声信号と比較して低周波帯域に強度が集中する。そのため、再生時に非常に聞き取り難くなったり耳障りになったりするなどして、撮影者の意図する音声信号とかけ離れたものとなる場合がある。
しかしながら、本実施例のように水中雑音低減部61を構成すると、水中で集音された音声信号の低周波帯域を減衰させることができる。したがって、水中で集音された音声信号から、水中の音の集音特性による影響を低減することが可能となる。即ち、効果的に撮影者の意図する音声信号に近づけることが可能となる。
なお、LPF612及びHPF613のカットオフ周波数をある周波数λ1としても構わない。また、周波数λ1を例えば2kHzとしても構わない。また、減衰部614による利得減衰量を、例えば20dBとしても構わない。
また、本例ではLPF612、HPF613を用いて、周波数λ1以下の成分を全て減衰させる構成としたが、所定の周波数帯域の成分を減衰させる構成としても構わない。このような構成とするために、例えば、LPF612を、上限の周波数λ1、下限の周波数λaとした周波数帯域の成分を通過させるBPF(Band Pass Filter)に置き換え、このBPFを通過した成分を減衰部614で減衰させる構成としても構わない。さらに、この場合、例えば、HPF613を、周波数λ1以上及び周波数λa以下の成分を通過させるBPF(Band Pass Filter)に置き換えても構わない。
<水中雑音低減部の第2実施例>
次に、水中雑音低減部61の第2実施例について説明する。水中雑音低減部61の第2実施例では、図14に示すように、水中雑音低減部61が、FFT(Fast Fourier Transform)部616R及び616Lと、ノイズ判定情報生成部617と、処理部618R及び618Lと、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform)部619R及び619Lとを備えている。
FFT部616Rは、ステレオマイク4の右側マイクから入力されるRch音声信号を48kHzでサンプリングしてデジタル信号に変換した後、2048サンプル毎にFFT処理にて周波数領域の信号SR[F]に変換する。また、FFT部616Lは、ステレオマイク4の左側マイクから入力されるLch音声信号を48kHzでサンプリングしてデジタル信号に変換した後、2048サンプル毎にFFT処理にて周波数領域の信号SL[F]に変換する。
ノイズ判定情報生成部617は、FFT部616Rから出力される周波数領域の信号SR[F]及びFFT部616Lから出力される周波数領域の信号SL[F]を用いて、撮像装置本体が発するノイズであるか否かの判定に必要な情報を生成する。
処理部618Rは、ノイズ判定情報生成部617から出力される情報を用いて、周波数領域の信号SR[F]に対して、集音時に撮像装置本体から到来するノイズの影響を低減する音声処理を行い、処理部618Lは、ノイズ判定情報生成部617から出力される情報を用いて、周波数領域の信号SL[F]に対して、集音時に撮像装置本体から到来するノイズの影響を低減する音声処理を行う。
<ノイズ判定情報生成部の第1実施例>
ノイズ判定情報生成部617の第1実施例について図15を参照して説明する。ノイズ判定情報生成部617の第1実施例では、ノイズ判定情報生成部617が相対位相差情報生成部を備えている。また、図15は、撮像装置本体のノイズ源及び本来の集音対象である音源からの音の伝搬の様子を示す図である。
2つのマイクロホンでそれぞれ集音した2つの音声信号の相対位相差を一意に決定するためには、2つのマイクロホンの間隔が半波長に相当する周波数以下の音声信号である必要がある。そのため、2つのマイクロホン4R及び4Lの間隔が図15に示すように2cmの場合、空気中での音速を340m/sとすれば、ノイズ判定情報生成部617の相対位相差情報生成部は、8.5kHz以下の帯域の音声信号についてのみ相対位相差情報を生成することができる。
撮像装置本体が発するモータ音などのノイズは、撮像装置の筐体内の空洞(空気中)を伝搬して、マイクロホン4R及び4Lそれぞれに到達する。このとき、右側マイクロホン4Rに到達したノイズの位相と左側マイクロホン4Lに到達したノイズの位相との差である相対位相差Δφ0は、下記の(1)式で表すことができる。ただし、Freqは、相対位相差を求めているノイズの周波数である。
Δφ0=2π×(Freq×20/340000) …(1)
一方、水中を伝搬して右側マイクロホン4Rに到達した音の位相と左側マイクロホン4Lに到達した音の位相との差(相対位相差)は、図15に示すように水中を伝搬してくる音が撮像装置の側面から到来した場合に最も大きくなり、その場合の相対位相差Δφ1は、水中での音速が空気中での音速の約5倍であるため、下記の(2)式で表すことができる。ただし、Freqは、相対位相差を求めている音の周波数である。また、水中を伝搬した音は、その後、モニタユニット25に入りマイクロホン4R及び4Lに到達するまでに空気中を伝搬することになるが、このモニタユニット25に入りマイクロホン4R及び4Lに到達するまでの伝搬経路長は2つの経路でほぼ同じであり、また、モニタユニット25内(空気中)での伝搬経路長が水中での伝搬経路長に比べて極めて短いため、水中を伝搬してくる音の相対位相差を考える上では、モニタユニット25内(空気中)での伝搬経路を無視して構わない。また、図15(a)に示すように、本来の集音対象である音源が空気中に有る場合もあるが、音源から空気中−水中の境界面までの伝搬経路長は2つの経路でほぼ同じであるため、水中を伝搬してくる音の相対位相差を考える上では、音源から空気中−水中の境界面までの伝搬経路を無視して構わない。
Δφ1=2π×{Freq×20/(340000×5)} …(2)
ノイズ判定情報生成部617の相対位相差情報生成部は、周波数領域の信号SR[F]と周波数領域の信号SL[F]との位相差を比較して、右側マイクロホン4Rに到達した音の位相と左側マイクロホン4Lに到達した音の位相との差である相対位相差の情報を生成する。なお、ノイズ判定情報生成部617の相対位相差比較部は、FFT部616R及び616Lの解像度である2048/48000[Hz]毎に相対位相差を得ている。
水中を伝搬してくる音の相対位相差はΔφ1以下であり、撮像装置本体が発するノイズの相対位相差はΔφ0(=5×Δφ1)であるため、ノイズ判定情報生成部617の相対位相差情報生成部によって得られた相対位相差がΔφ1以下である周波数成分は水中を伝達してくる音の周波数成分であると判定することができる。
<ノイズ判定情報生成部の第2実施例>
次に、ノイズ判定情報生成部617の第2実施例について説明する。ノイズ判定情報生成部617の第2実施例では、ノイズ判定情報生成部617が相対レベル差情報生成部を備えている。
水中では音の減衰が非常に小さい事が知られている。また、一般的に音源に近いほど音の距離減衰は大きい事が知られている。そのため、水中を伝搬してマイクロホン4R及び4Lそれぞれに到達する外部からの音に対する減衰は小さく、右側マイクロホン4Rと左側マイクロホン4Lとの間での信号レベル差は殆ど生じない。一方、撮像装置の筐体内の空洞(空気中)を伝搬してマイクロホン4R及び4Lそれぞれに到達するノイズは、空気中を伝搬する事、ノイズ源とマイクロホン4R及び4Lとが近距離であること、筐体内部での反射時の吸音による減衰などがある事から、右側マイクロホン4Rと左側マイクロホン4Lとの間での信号レベル差が大きくなる。
ノイズ判定情報生成部617の相対レベル差情報生成部は、周波数領域の信号SR[F]と周波数領域の信号SL[F]とのレベル差を比較して、右側マイクロホン4Rに到達した音のレベルと左側マイクロホン4Lに到達した音のレベルとの差である相対レベル差の情報を生成する。なお、ノイズ判定情報生成部617の相対レベル差情報生成部は、FFT部616R及び616Lの解像度である2048/48000[Hz]毎に相対レベル差を得ている。
水中を伝搬してくる音の相対レベル差は大きく、撮像装置本体が発するノイズの相対レベル差は小さいため、ノイズ判定情報生成部617の相対レベル差情報生成部によって得られた相対レベル差が予め設定した閾値以上である周波数成分は水中を伝達してくる音の周波数成分であると判定することができる。
なお、ノイズ判定情報生成部617の第1実施例と第2実施例の組み合わせも可能である。すなわち、ノイズ判定情報生成部617が、相対位相差及び相対レベル差の情報を生成することも可能である。相対位相差、相対レベル差の両方を用いて判定を行うことで判定の精度を上げることが可能となる。
<処理部の第1実施例>
次に、処理部618R及び618Lの第1実施例について説明する。処理部618R及び618Lの第1実施例では、処理部618R及び618Lがそれぞれ低減処理部を備えている。
処理部618R及び618Lの各低減処理部は、ノイズ判定情報生成部617からのノイズ判定情報と閾値(例えばノイズ判定情報生成部617の第1実施例を採用した場合は 上述した(2)式のΔφ1)とを比較して周波数領域の信号SR[F]及びSL[F]が撮像装置本体が発するノイズであるか否かを、FFT部616R及び616Lの解像度である2048/48000[Hz]毎に判定し、撮像装置本体が発するノイズであると判定された周波数成分を−20dB低減し、撮像装置本体が発するノイズであると判定されなかった周波数成分を低減しない処理を行う。
処理部618R及び618Lの第1実施例を採用する場合、ノイズ判定情報生成部617の第1実施例を採用すると、周波数領域の信号SR[F]及びSL[F]間で位相差の大きい周波数成分に対してのみ低減処理が行われるため、仮に水中判定部231Aが誤判定しても、撮影している正面方向の音を低減することなく、集音環境の誤判定による悪影響が小さいという利点がある。
<処理部の第2実施例>
次に、処理部618R及び618Lの第2実施例について説明する。処理部618R及び618Lの第2実施例では、処理部618R及び618Lがそれぞれ強調処理部を備えている。
処理部618R及び618Lの各強調処理部は、ノイズ判定情報生成部617からのノイズ判定情報と閾値(例えばノイズ判定情報生成部617の第1実施例を採用した場合は 上述した(2)式のΔφ1)とを比較して周波数領域の信号SR[F]及びSL[F]が撮像装置本体が発するノイズであるか否かを、FFT部616R及び616Lの解像度である2048/48000[Hz]毎に判定し、撮像装置本体が発するノイズであると判定されなかった周波数成分を強調(増幅)し、撮像装置本体が発するノイズであると判定された周波数成分を強調しない処理を行う。なお、強調の度合いは、周波数にかかわらず一律としてもよく、周波数に応じて変化する(図11の周波数特性を考慮し低帯域では強調を弱め、中帯域/高帯域では強調を強める)ようにしてもよい。
処理部618R及び618Lがノイズと判定した周波数成分以外は、水中を伝搬してきた本来の水中音の周波数成分である。水中を伝搬してきた本来の水中音は水と空気との境界面で反射し、音は大きく減衰している。そのため、処理部618R及び618Lの第2実施例を採用し、ノイズと判定した周波数成分以外を強調(増幅)することにより、本来の水中音を有るべきレベルに近づけることができる。
なお、処理部618R及び618Lの第1実施例と第2実施例の組み合わせも可能である。すなわち、撮像装置本体が発するノイズであると判定された周波数成分を低減し、撮像装置本体が発するノイズであると判定されなかった周波数成分を強調(増幅)する処理を行うようにすることも可能である。
<変形例>
なお、上述した図1に示す撮像装置では、ステレオマイク4を用いたが、複数のマイクロホンで構成される他のマイク(例えば、5.1chサラウンド録音対応マイク)を用いても構わない。
また、本発明に係る撮像装置は、防水構造であることが望ましいが、防水構造でなくても例えば防水ハウジングに収納し防水仕様の外部マイクによって集音した音声信号を入力するというような使用法を採用することが可能である。
また、本発明は、複数の撮影モードを有する撮像装置及び当該撮像装置において設定された撮像モードが適切であるか否かを判定するモード適否判定方法のみならず、複数の記録モードを有する他の電子機器(例えば、ICレコーダ等)及び当該電子機器において設定された記録モードが適切であるか否かを判定するモード適否判定方法にも適用可能であり、設定されている記録モードが適切であるか否かを記録中でも判定することができる。
は、本発明に係る撮像装置の一内部構成例を示すブロック図である。 は、モード適否判定部の第1実施例の構成を示すブロック図である。 は、警告の例である。 は、モニタ表示による警告及びモード切り替え提示の例である は、モード適否判定部の第1実施例を採用した図1に示す撮像装置の撮影時の処理フローチャートである。 は、モード適否判定部の第2実施例の構成を示すブロック図である。 は、モード適否判定部の第2実施例を採用した図1に示す撮像装置の撮影時の処理フローチャートである。 は、「水中」モードであるか否かによってホワイトバランス調整を切り替える場合の撮像装置の要部構成を示す図である。 は、「水中」モードであるか否かによって音声処理を切り替える場合の撮像装置の要部構成を示す図である。 は、空気中における音声の周波数特性を示す図である。 は、水中における音声の周波数特性を示す図である。 は、空気中と水中における音声の周波数特性の相違を示す図である。 は、水中雑音低減部の第1実施例を示す図である。 は、水中雑音低減部の第2実施例を示す図である。 は、撮像装置本体のノイズ源及び本来の集音対象である音源からの音の伝搬の様子を示す図である。
符号の説明
1 固体撮像素子(イメージセンサ)
2 レンズ部
3 AFE
4 ステレオマイク
4L、4R マイク
5 画像処理部
6、6a、6b 音声処理部
7 圧縮処理部
8 ドライバ部
9 伸長処理部
10 ビデオ出力回路部
11 ビデオ出力端子
12 ディスプレイ部
13 音声出力回路部
14 音声出力端子
15 スピーカ部
16 タイミングジェネレータ(TG)
17 CPU
18 メモリ
19 操作部
20、21 バス回線
22 外部メモリ
23 モード適否判定部
24 警告用ランプ
25 モニタユニット
51 空気中ホワイトバランス調整部
52 水中ホワイトバランス調整部
53、54 切り替え部
55 各種画像処理部
61 水中雑音低減部
62、63 切り替え部
64 各種音声処理部
231 適切撮影モード自動判定部
232 モード比較部
233 警告発信部
611 A/D変換部
612 LPF(Low Pass Filter)
613 HPF(High Pass Filter)
614 減衰部
615 合成部
616R、616L FFT部
617 ノイズ判定情報生成部
618R、618L 処理部
619R、619L IFFT部

Claims (6)

  1. 複数の撮影モードを有する撮像装置において、
    撮影者からの指示が入力される操作部と、
    動画像の撮影中に、撮影シーンに適した撮影モードを自動的に判定する適切撮影モード自動判定部と、
    撮影者の指示に基づく前記操作部の出力信号に応じて前記複数の撮影モードの中から選択され現在設定されている撮影モードと、前記適切撮影モード自動判定部によって自動的に判定された撮影モードとを動画像の撮影中に比較し、前記現在設定されている撮影モードが前記適切撮影モード自動判定部によって自動的に判定された撮影モードに含まれているか否かを確認するモード比較部とを備えることを特徴とする撮像装置。
  2. 前記モード比較部が、前記現在設定されている撮影モードが前記適切撮影モード自動判定部によって自動的に判定された撮影モードに含まれていないことを確認した場合に、
    前記現在設定されている撮影モードをそのまま維持する処理、前記適切撮影モード自動判定部によって自動的に判定された撮影モードに切り替える処理、又は、前記現在設定されている撮影モードを解除する処理のいずれかを実行する制御部を備える請求項1に記載の撮像装置。
  3. 前記モード比較部が、前記現在設定されている撮影モードが前記適切撮影モード自動判定部によって自動的に判定された撮影モードに含まれていないことを確認した場合に、
    前記現在設定されている撮影モードが前記適切撮影モード自動判定部によって自動的に判定された撮影モードに含まれていない旨の警告を行う警告部を備える請求項1又は請求項2に記載の撮像装置。
  4. 記警告部の警告の後に入力された撮影者の指示に基づく前記操作部の出力信号に応じて、前記制御部が、前記現在設定されている撮影モードをそのまま維持する処理、前記適切撮影モード自動判定部によって自動的に判定された撮影モードに切り替える処理、又は、前記現在設定されている撮影モードを解除する処理のいずれかを選択して実行する請求項3に記載の撮像装置。
  5. 前記複数の撮影モード各々は、動画像を撮影するためのカメラの制御、動画像の撮影により得られる映像信号の映像処理、及び動画像の撮影により得られる音声信号の音声処理の少なくとも一つを各々異なる撮影シーンに適した設定にしている請求項1〜4のいずれか1項に記載の撮像装置。
  6. 複数の撮影モードを有する撮像装置において設定された撮像モードが適切であるか否かを判定するモード適否判定方法であって、
    動画像の撮影中に、撮影シーンに適した撮影モードを自動的に判定する適切撮影モード自動判定ステップと、
    撮影者からの指示に基づいて前記複数の撮影モードの中から選択され現在設定されている撮影モードと、前記適切撮影モード自動判定ステップにおいて自動的に判定された撮影モードとを動画像の撮影中に比較し、前記現在設定されている撮影モードが前記適切撮影モード自動判定ステップにおいて自動的に判定された撮影モードに含まれているか否かを確認するモード比較ステップとを備えることを特徴とするモード適否判定方法。
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