JP2010166016A - 熱電材料及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高価な重元素(特に、Hf)を用いることなく、TiNiSn系化合物又はZrNiSn系化合物の熱伝導度を低減することができ、しかも熱電特性を低下させる原因となる異相の割合が少ない熱電材料及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】(Ti1-aa)1+x(Ni1-bb)1+y(Sn1-cc)で表される組成を有するハーフホイスラー化合物を含む熱電材料及びその製造方法。但し、0≦a<0.1、0≦b<0.1、0≦c<0.1。−0.1≦x≦0.2、0<y≦0.2。Aは、IIIa族元素、IVa族元素(Tiを除く)、Va族元素及び希土類元素から選ばれる1種以上の元素。Bは、VIIIa族元素(Niを除く)及びIb族元素から選ばれる1種以上の元素。Cは、IIIb族元素、IVb族元素(Snを除く)及びVb族元素から選ばれる1種以上の元素。前記ハーフホイスラー化合物のTiサイトへのZr置換量及びHf置換量は、それぞれ、1at%未満。
【選択図】図5

Description

本発明は、熱電材料及びその製造方法に関し、さらに詳しくは、ハーフホイスラー化合物を主成分とする熱電材料及びその製造方法に関する。
熱電変換とは、ゼーベック効果やペルチェ効果を利用して、電気エネルギーを冷却や加熱のための熱エネルギーに、また逆に熱エネルギーを電気エネルギーに直接変換することをいう。熱電変換は、
(1)エネルギー変換の際に余分な老廃物を排出しない、
(2)排熱の有効利用が可能である、
(3)材料が劣化するまで継続的に発電を行うことができる、
(4)モータやタービンのような可動装置が不要であり、メンテナンスの必要がない、
等の特徴を有していることから、エネルギーの高効率利用技術として注目されている。
熱エネルギーと電気エネルギーとを相互に変換できる材料、すなわち、熱電材料の特性を評価する指標としては、一般に、性能指数Z(=S2σ/κ、但し、S:ゼーベック係数、σ:電気伝導度、κ:熱伝導度)、又は、性能指数Zと、その値を示す絶対温度Tの積として表される無次元性能指数ZTが用いられる。また、熱電材料の特性を評価する指標として、出力因子PF(=S2σ)が用いられることもある。
ゼーベック係数は、1Kの温度差によって生じる起電力の大きさを表す。熱電材料は、それぞれ固有のゼーベック係数を持っており、ゼーベック係数が正であるもの(p型)と、負であるもの(n型)に大別される。
また、熱電材料は、通常、p型の熱電材料とn型の熱電材料とを接合した状態で使用される。このような接合対は、一般に、「熱電素子」と呼ばれている。熱電素子の性能指数は、p型熱電材料の性能指数Z、n型熱電材料の性能指数Z、並びに、p型及びn型熱電材料の形状に依存し、また、形状が最適化されている場合には、Z及び/又はZが大きくなるほど、熱電素子の性能指数が大きくなることが知られている。従って、性能指数の高い熱電素子を得るためには、性能指数Z、Zの高い熱電材料を用いることが重要である。
このような熱電材料としては、
(1)Bi−Te系、Pb−Te系、Si−Ge系等の化合物半導体、
(2)Zn−Sb系、Co−Sb系、Fe−Sb系等のスクッテルダイト化合物、
(3)TiNiSn等のハーフホイスラー化合物、
などが知られている。
これらの内、Bi−Te系、Pb−Te系の化合物半導体は、低温域では高いZTを示すが、中・高温域では使用できず、かつ、Pb、Te、Sb等の環境負荷の大きい元素を多量に含むという問題がある。また、Ge−Si系の化合物半導体は、高価なGeを大量に用いている。
スクッテルダイト化合物は、中・低温域において相対的に高い熱電特性を示すp型熱電材料である。また、ある種のスクッテルダイト化合物は、527℃(800K)においてZT>1となることが知られている。例えば、自動車の排ガス温度は約800Kであるので、このようなスクッテルダイト化合物を使用した熱電素子を用いれば、高効率の排熱回収システムを得ることも可能になると期待されている。しかしながら、中・低温域において高い熱電特性を示すスクッテルダイト化合物の多くは、Sb等の環境負荷の大きい元素を多量に含むという問題がある。
これに対し、TiNiSn系又はZrNiSn系のハーフホイスラー化合物は、中・低温域で高い熱電特性を示し、しかも環境負荷元素を含まないという特徴がある。ここで、「ハーフホイスラー化合物」とは、ホイスラー合金CuAlMnのCuサイト原子の半分が欠損した構造を持つ一連の化合物をいう。しかしながら、TiNiSn化合物及びZrNiSn化合物は、いずれも、本質的に高い出力因子を有しているにもかかわらず、熱伝導度が高いために、到達可能な性能指数に限界があるという問題がある。
そこでこの問題を解決するために、従来から種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1には、(Ti0.98Zr0.01Hf0.01)NiSnで表される組成を有する熱電材料が開示されている。
同文献には、
(1)一般式:ABXで表されるハーフホイスラー化合物の一種であるMNiSnのAサイトにTi、Zr及びHfのすべてを含ませると、熱伝導度を低減できる点、
(2)(Ti0.98Zr0.01Hf0.01)NiSn組成を有する材料の300Kにおける格子熱伝導率は3.71W/mK、300Kにおける無次元性能指数は0.05である点、及び
(3)TiNiSnの300Kにおける格子熱伝導率は9.75W/mKである点、
が記載されている。
特許文献2には、(Ti0.25Zr0.45Hf0.30)33Ni34(Sn0.996Sb0.004)33で表される組成を有し、Ti−X(Xは、Sn及びSbから選ばれる少なくとも1種の元素)相の存在比率が8.5%である熱電材料が開示されている。
同文献には、
(1)母合金を1200℃で処理すると、Ti−X相の存在比率が低下し、熱電特性が向上する点、及び
(2)Tiの一部をZrやHfで置換すると、熱伝導率を低減できる点、
が記載されている。
特許文献3、4には、(Ti0.3Zr0.35Hf0.35)NiSnで表される組成を有する熱電材料が開示されている。
同文献には、一般式:Mαβで表されるハーフホイスラー化合物のMサイトにTi、Zr及びHfの2つ以上の元素を用いると、熱伝導率を大幅に低減できる点が記載されている。
非特許文献1には、Snフラックス法により合成されたTiNiSn単結晶が記載されている。同文献には、TiNiSn単結晶の300Kにおける無次元性能指数ZTは0.09である点が記載されている。また、特許文献5には、一方向凝固法により合成されたTiNiSn単結晶が記載されている。
特許文献6には、Ti0.95Hf0.05NiSn0.99Sb0.01で表される組成を有する熱電材料が開示されている。
同文献には、TiNiSnの700Kにおける出力因子は1.8mW/mK2であるのに対し、Ti0.95Hf0.05NiSn0.99Sb0.01の700Kにおける出力因子は、4.1mW/mK2になる点が記載されている。
非特許文献2、3には、TiNiSnの室温における熱伝導度は、7〜8W/mKである点が記載されている。
また、非特許文献4には、高周波溶解炉で溶解・鋳造し、鋳塊を再溶解・急冷凝固することにより得られるTiNi1.5Snが開示されている。同文献には、このような方法により、ハーフホイスラー相とフルホイスラー相の混合相が得られる点が記載されている。
さらに、非特許文献5には、ZrNiSnのNiサイトの一部をPdで置換することにより、熱伝導度の低減を実現できる点が記載されている。また、非特許文献6には、Niサイトの一部をPtで置換することによる熱伝導度低減効果が報告されている。
特開2004−356607号公報 特開2006−269731号公報 特開2005−286228号公報 特開2007−158191号公報 特開2006−228912号公報 特開2005−019713号公報
W.Kafer et al., Inst.Phys.Conf.Ser. No.152, 185(1997) S.Bhattacharya et al., Phys.Rev. B77, 184203(2008) S.W.Kim et al., Sci. and Tech. of Adv.Matter. 5, 485(2004) T.Morimura et al., J.Alloys and Compounds 416, 155(2006) Q.Shen et al., Appl.Phys Letter 79(2001)4165-4167 S.Culp et al., Proceeding of ICT2005
TiNiSn系化合物は、相対的に高い出力因子PFを持つが、熱伝導度κが高いという問題がある。一方、TiNiSn系化合物のTiサイトの一部をZrやHfのような重元素で置換する方法は、TiNiSn系化合物の熱伝導度κを低減する方法として有効である。しかしながら、ZrやHfなどの重元素(特に、Hf)は、Tiに比べて高価であるため、コスト面に問題がある。
また、TiNiSn系化合物を合成する場合において、組成や製造条件によっては、フルホイスラー相やTi6Sn5などの異相が生成する場合がある。異相が金属相である場合には、異相の析出は、熱電特性を低下させる原因となる。
これらの点は、ZrNiSn系化合物も同様である。
本発明が解決しようとする課題は、ZrやHfのような高価な重元素(特に、Hf)を用いることなく、TiNiSn系化合物又はZrNiSn系化合物の熱伝導度を低減することができ、これによって無次元性能指数を向上させることが可能な熱電材料及びその製造方法を提供することにある。
また、本発明が解決しようとする他の課題は、熱電特性を低下させる原因となる異相の割合が少ない熱電材料及びその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係る熱電材料の1番目は、次の(1)式で表される組成を有するハーフホイスラー化合物を含むことを要旨とする。
(Ti1-aa)1+x(Ni1-bb)1+y(Sn1-cc) ・・・(1)
但し、
0≦a<0.1、0≦b<0.1、0≦c<0.1。
−0.1≦x≦0.2、0<y≦0.2。
Aは、IIIa族元素、IVa族元素(Tiを除く)、Va族元素及び希土類元素から選ばれる1種以上の元素。
Bは、VIIIa族元素(Niを除く)及びIb族元素から選ばれる1種以上の元素。
Cは、IIIb族元素、IVb族元素(Snを除く)及びVb族元素から選ばれる1種以上の元素。
前記ハーフホイスラー化合物のTiサイトへのZr置換量及びHf置換量は、それぞれ、1at%未満。
(1)式中、yは、0.015≦y≦0.145が好ましい。
また、最強線ピーク強度比(IFULL(220)×100/IHALF(220))は、18%未満が好ましい。
但し、
HALF(220)は、ハーフホイスラー相のX線回折における最強線ピーク強度、
FULL(220)は、フルホイスラー相のX線回折における最強線ピーク強度。
本発明に係る熱電材料の2番目は、次の(2)式で表される組成を有するハーフホイスラー化合物を含むことを要旨とする。
(Zr1-aa)1+x(Ni1-bb)1+y(Sn1-cc) ・・・(2)
但し、
0≦a<0.1、0≦b<0.1、0≦c<0.1。
−0.1≦x≦0.2、0<y≦0.2。
Aは、IIIa族元素、IVa族元素(Zrを除く)、Va族元素及び希土類元素から選ばれる1種以上の元素。
Bは、VIIIa族元素(Niを除く)及びIb族元素から選ばれる1種以上の元素。
Cは、IIIb族元素、IVb族元素(Snを除く)及びVb族元素から選ばれる1種以上の元素。
前記ハーフホイスラー化合物のZrサイトへのHf置換量は、1at%未満。
本発明に係る熱電材料の製造方法は、
本発明に係るハーフホイスラー化合物となるように配合された原料を溶解し、又は前記ハーフホイスラー化合物となるように配合された原料を溶解・鋳造した鋳塊を再溶解させることにより得られる溶湯を急冷凝固させる急冷工程
を備えている。
TiNiSn系ハーフホイスラー化合物又はZrNiSn系ハーフホイスラー化合物において、Snサイト原子に対するNiサイト原子の比(=1+y)を1より大きくする(y>0)と、過剰のNiサイト原子が格子間(4dサイト)に導入される。そのため、ZrやHfのような高価な元素(特に、Hf)を多量に用いることなく、熱伝導度κを低減することができる。
また、過剰のNiサイト原子を格子間に導入することに加えて、Tiサイト(又はZrサイト)、Niサイト及び/又はSnサイトに適当なドーパントを添加すると、熱伝導度κを低く維持したまま、出力因子PFをさらに増大させることができる。
さらに、フルホイスラー相/ハーフホイスラー相の最強線ピーク強度比が所定値未満となるように組成や製造条件を最適化すると、フルホイスラー相の析出に起因する熱電特性の低下を抑制することができる。
AgAsMg型結晶構造の単位胞を示す図である。 Ti−Ni−Sn焼結体のX線回折パターンである。 Ti−Ni−Snハーフホイスラー相の格子定数に及ぼすNi/Sn比の影響を示す図である。 Ti−Ni−Sn焼結体のNi/Sn比と、673Kにおける電気伝導度σ、ゼーベック係数S及び出力因子PFとの関係を示す図である。 Ti−Ni−Sn焼結体のNi/Sn比と、300Kにおける出力因子PF、熱伝導度κ及び無次元性能指数ZTとの関係を示す図である。 第一原理計算に用いた欠陥モデルである。図6左上図は欠陥のないTiNiSnの結晶格子、図6(a)はSnの点欠陥(格子空孔)を入れたモデル、図6(b)はSnサイトをTiで置換したモデル、図6(c)はTiサイトをNiで置換したモデル、図6(d)はSnサイトをNiで置換したモデル、図6(e)はNiを格子間に侵入させた侵入型固溶体のモデルである。 図6に示す欠陥モデルの欠陥の形成エネルギー(FE)と、欠陥を導入することによる格子定数の伸び(Δa/a)を示す図である。 試料6(Ni/Sn=1.099)を母材とし、Sb置換、Cu置換、又はY−Sb同時置換を行ったTi−Ni−Snハーフホイスラー相の格子定数に及ぼす置換量の影響を示す図である。 試料6(Ni/Sn=1.099)を母材とし、Sb置換、Cu置換、又はY−Sb同時置換を行った焼結体の673Kにおける電気伝導度σ、ゼーベック係数S、及び出力因子PFに及ぼす置換量の影響を示す図である。
ZrNi1+ySn焼結体のX線回折パターンである。 ZrNi1+ySn焼結体の最強線ピーク近傍のX線回折パターンである。 ZrNi1+ySn焼結体のy値(Ni/Sn比)と格子定数との関係を示す図である。 ZrNi1+ySn焼結体のy値(Ni/Sn比)と熱伝導度κとの関係を示す図である。 ZrNi1+ySn焼結体のy値(Ni/Sn比)と電気伝導度σとの関係を示す図である。 ZrNi1+ySn焼結体のy値(Ni/Sn比)と無次元性能指数ZT*との関係を示す図である。 ZrNi1+ySn焼結体及び(Zr0.990.01)Ni1.01Sn0.99Sb0.01焼結体の出力因子PFの温度依存性を示す図である。 (Zr1-aa)Ni1.05(Sn1-aSba)焼結体のa値と出力因子PFとの関係を示す図である。
以下に本発明の一実施の形態につて詳細に説明する。
[1. 熱電材料(1)]
本発明の第1の実施の形態に係る熱電材料は、所定の組成を有するハーフホイスラー化合物を含む。
[1.1. 結晶構造]
図1に、AgAsMg型結晶構造の単位胞の模式図を示す。ハーフホイスラー化合物は、AgAsMg型結晶構造(空間群F43m)を有し、一般式:XYZで表される。本実施の形態に係る熱電材料の主相を構成するTiNiSn系化合物は、AgAsMg型結晶構造を有するハーフホイスラー化合物の一種である。
図1において、X原子及びZ原子は、それぞれ、4a(0、0、0)サイト(以下、単に「Tiサイト」又は「Zrサイト」という。)及び4b(1/2、1/2、1/2)サイト(以下、単に、「Snサイト」という。)に位置しており、X原子及びZ原子は岩塩構造を形成している。TiサイトとSnサイトは、等価である。
Y原子は、八面体状に配位したポケット(X原子及びZ原子で構成される立方体の中心)、すなわち、4c(1/4、1/4、1/4)サイト(以下、単に「Niサイト」という。)に位置している。他のポケット、すなわち、4d(3/4、3/4、3/4)サイト(以下、単に「4dサイト」という。)は、通常、空になっている。
後述するように、Snサイト原子に対してNiサイト原子を過剰にすると、過剰のNiサイト原子は、4dサイトに入る。
[1.2. 価電子数]
ドーパントを含まないハーフホイスラー化合物XYZの原子当たりの価電子数は、6である。原子当たりの価電子数が6(又は、総価電子数が18)であるハーフホイスラー化合物は、半導体的特性を示し、適度な大きさのゼーベック係数Sと電気抵抗率ρを持つことが知られている。
なお、ハーフホイスラー化合物XYZは、X:Y:Z=1:1:1の化合物であるので、原子当たりの価電子数#eは、次の(a)式で表される。
#e=(#e+#e+#e)/3 ・・・(a)
ここで、#e、#e及び#eは、それぞれ、X原子、Y原子及びZ原子の価電子数である。また、各サイトが複数種類の原子で占められている場合には、#e、#e及び#eは、それぞれ、各サイトを占める原子の平均の価電子数である。
また、本発明において、「価電子数」とは、化学結合に寄与する電子の数をいう。次の表1に、各原子の価電子数を示す。
Figure 2010166016
原子当たりの価電子数が6であるハーフホイスラー化合物XYZのいずれか1以上のサイトにおいて、価電子数の等しい同族元素をドーピングすると、フォノン散乱が増大する。その結果、熱伝導度κが低下する。
一方、原子当たりの価電子数が6であるハーフホイスラー化合物XYZのいずれか1以上のサイトにおいて、価電子数の異なる元素をドーピングすると、原子当たりの価電子数が変化する。その結果、電気伝導度σが増大し、ゼーベック係数Sが増大し、あるいは熱伝導度κが低下する。
ドーピングは、1つのサイトの構成元素のみを置換するものであっても良く、あるいは、2以上のサイトの構成元素を同時に置換するものであっても良い。また、ドーピングは、1又は2以上の各サイトにおいて、構成元素の一部を価電子数が同一又は異なる2種以上の元素で置換するものであっても良い。
ハーフホイスラー化合物は、一般に、原子当たりの価電子数が6であっても、電子が優勢キャリアとなり、n型熱電材料となる場合が多い。このようなハーフホイスラー化合物の構成元素の一部を、それより価電子数の大きな元素(以下、これを「n型ドーパント」という。)で置換すると、原子当たりの価電子数が6より大きいハーフホイスラー化合物が得られる。原子当たりの価電子数が6を超えると、電子がドープされ、電気伝導度がより大きいn型熱電材料となる。
一方、原子当たりの価電子数が6であるハーフホイスラー化合物の構成元素の一部を、それより価電子数の小さな元素(以下、これを「p型ドーパント」という。)で置換すると、原子当たりの価電子数が6より小さいハーフホイスラー化合物が得られる。原子当たりの価電子数が6より小さくなると、ホールがドープされる。また、p型ドーパントの量がある一定量を超えると、ゼーベック係数Sが正に転じ、p型熱電材料となる。
さらに、ドーピングは、n型ドーパントとp型ドーパントとを同時に添加するものであっても良い。すなわち、同一又は異なるサイトにおいて、主要構成元素より価電子数の大きな元素と、小さな元素を同時に添加しても良い。また、原子当たりの価電子数が6に維持されるように、少なくとも2つのサイトを占める原子の一部を価電子数の異なる原子で置換した場合であっても、熱電特性が向上する。これは、
(1) 元素置換によって熱伝導度κが小さくなるため、
(2) 電子構造が変化し、フェルミレベル近傍の状態密度のエネルギーに対する傾きが急峻になることにより、ゼーベック係数Sが増大するため、あるいは、
(3) p型ドーパントとn型ドーパントが局所的なダイポールを形成するため、ドーパントによるクーロン力を遮蔽し、キャリア移動度の低下を抑制するため、
と考えられる。
但し、キャリアの増加は、主として、n型ドーパントによる価電子数の増加の寄与分と、p型ドーパントによる価電子数の増加の寄与分の差に依存する。そのため、キャリアを増加させるという点では、n型ドーパントとp型ドーパントの同時添加は実益がなく、いずれか一方を添加するのが好ましい。
ハーフホイスラー化合物へのドーピングは、ドーピング後の原子当たりの価電子数が5.9以上6.1以下となるように行うのが好ましい。原子当たりの価電子数が5.9未満である場合、及び、6.1を超える場合は、いずれも、ハーフホイスラー化合物が金属的となり、高い熱電特性は得られない。
一般に、熱電特性を支配するゼーベック係数S、電気伝導度σ及び熱伝導度κは、いずれもキャリア濃度の関数となる。従って、高い熱電特性を得るためには、原子当たりの価電子数は、ハーフホイスラー化合物の組成に応じて、最適な値を選択するのが好ましい。
[1.3. 構成元素]
本実施の形態において、ハーフホイスラー化合物(以下、「TiNiSn系ハーフホイスラー化合物」という)は、次の(1)式で表される組成を有する。
(Ti1-aa)1+x(Ni1-bb)1+y(Sn1-cc) ・・・(1)
但し、
0≦a<0.1、0≦b<0.1、0≦c<0.1。
−0.1≦x≦0.2、0<y≦0.2。
Aは、IIIa族元素、IVa族元素(Tiを除く)、Va族元素及び希土類元素から選ばれる1種以上の元素。
Bは、VIIIa族元素(Niを除く)及びIb族元素から選ばれる1種以上の元素。
Cは、IIIb族元素、IVb族元素(Snを除く)及びVb族元素から選ばれる1種以上の元素。
TiNiSn系ハーフホイスラー化合物のTiサイトへのZr置換量及びHf置換量は、それぞれ、1at%未満。
「A」は、Tiサイトを置換する元素(ドーパント)を表す。元素Aは、IIIa族元素(21Sc、39Y)、Tiを除くIVa族元素(72Zr、72Hf、90Th)、Va族元素(23V、41Nb、73Ta、92Pa)、又は希土類元素(57La〜71Lu)のいずれであっても良い。
「B」は、Niサイトを置換する元素(ドーパント)を表す。元素Bは、Niを除くVIIIa族元素(26Fe、27Co、44Ru、45Rh、46Pd、76Os、77Ir、78Pt、94Pu、95Am)、又はIb族元素(29Cu、47Ag、79Au)のいずれであっても良い。
「C」は、Snサイトを置換する元素(ドーパント)を表す。元素Cは、IIIb族元素(5B、13Al、31Ga、49In、81Tl)、Snを除くIVb族元素(6C、14Si、32Ge、82Pb)、又はVb族元素(7N、15P、33As、51Sb、83Bi)のいずれであっても良い。
これらの中でも、元素Aは、39Yが好ましい。また、元素Bは、27Co及び29Cuから選ばれるいずれか1種以上が好ましい。さらに、元素Cは、13Al、14Si及び51Sbから選ばれるいずれか1種以上が好ましい。
これらの元素は、比較的安価であり、しかも熱伝導度κを大幅に増大させることなく、出力因子PFを増大させる効果が大きいので、各サイトを置換する元素として好適である。
「a」は、元素AによるTiサイトの置換量を表す。「b」は、元素BによるNiサイトの置換量を表す。「c」は、元素CによるSnサイトの置換量を表す。
一般に、各サイトを価電子数が同一又は異なる元素で置換すると、キャリア濃度が増大し、あるいは、フォノン散乱が増大する。しかしながら、各サイトの置換量が過剰になると、異相の生成割合が増大し、かえって熱電特性が低下する。従って、a、b、cは、それぞれ、0.1未満とする必要がある。a、b、cは、それぞれ、さらに好ましくは、0.05以下である。
なお、元素AとしてZr又はHfを用いる場合、これらの置換量は、それぞれ、0.01(1at%)未満に制限される。
「x」は、Tiサイトを占める元素(Ti+A)の化学量論組成からのずれを表す。(Ti+A)量が化学量論組成からずれても、ハーフホイスラー相の格子欠陥や熱電特性に与える影響は、比較的少ない。
しかしながら、(Ti+A)量が化学量論組成に比べて少なくなり過ぎると、フルホイスラーTiNi2Sn、Sn、Ni、Ni−Sn合金などの異相が析出するという問題がある。従って、xは、−0.1以上である必要がある。xは、さらに好ましくは、−0.05以上、さらに好ましくは、−0.01以上である。
一方、(Ti+A)量が化学量論組成に比べて過剰になると、過剰なTiを主成分とする異相(例えば、金属Ti相、Ti6Sn5など)が材料中に析出する。従って、xは、0.2以下である必要がある。xは、さらにこのましくは、0.15以下、さらに好ましくは、0.1以下である。
「y」は、Niサイトを占める元素(Ni+B)の化学量論組成からのずれを表す。Snサイトを占める元素(Sn+C)の量に対して、(Ni+B)量が過剰になると、過剰な(Ni+B)が4dサイトに導入される。4dサイトに導入された(Ni+B)は、出力因子PFを低下させることなく、ハーフホイスラー相の熱伝導度κを低下させる作用がある。従って、yは、0より大きいことが必要である。yは、さらに好ましくは、0.015以上、さらに好ましくは、0.047以上である。
一方、(Ni+B)量が化学量論組成に比べて過剰になると、フルホイスラー相が材料中に析出する。フルホイスラー相は金属的であるため、フルホイスラー相の析出は、熱電特性を低下させる原因となる。従って、yは、0.2以下である必要がある。yは、さらの好ましくは、0.145以下、さらに好ましくは、0.123以下である。
(1)式で表されるハーフホイスラー化合物の中でも、0.015≦y≦0.145であるものが好ましい。
[1.4. TiNiSn系ハーフホイスラー化合物の格子定数]
(Ni+B)量を化学量論組成よりも過剰とし、製造条件を最適化すると、過剰の(Ni+B)が4dサイトに入る。その結果、TiNiSn系ハーフホイスラー化合物の格子定数が増加する。すなわち、格子定数の増加は、4dサイトに導入された(Ni+B)量と相関がある。
出力因子PFを低下させることなく、熱伝導度κを低下させるためには、TiNiSn系ハーフホイスラー化合物(主相)の格子定数は、0.5933nm以上が好ましい。格子定数は、さらに好ましくは、0.5937nm以上である。
例えば、ドーパントを含まないTi−Ni−Sn焼結体の場合、Ni/Sn比を制御すると、ハーフホイスラー相の格子定数を変化させることができる。具体的には、y値を変化させることにより、格子定数が0.5929nm以上0.5942nm以下であるTiNiSn系ハーフホイスラー化合物が得られる。
一方、出力因子PFを向上させるために行ったY−Sb置換材では、格子定数が0.5947nmの材料を合成できる。従って、出力因子PFの高いTiNiSn系ハーフホイスラー化合物の格子定数の上限は、0.5947nmとなる。
[1.5. 不純物]
本発明に係る熱電材料は、上述したTiNiSn系ハーフホイスラー化合物のみからなることが望ましいが、不可避的不純物(異相)が含まれていても良い。但し、熱電特性に悪影響を与える異相は、少ない方が好ましい。
さらに、本実施の形態に係る熱電材料は、上述したTiNiSn系ハーフホイスラー化合物と、他の材料(例えば、樹脂、ゴム等)との複合体であっても良い。
ここで、「異相」とは、TiNiSn系ハーフホイスラー化合物とは異なる相をいう。異相の中でも電気伝導度σの高いものは、系全体の電気伝導度σを高める原因となる。一般に、電気伝導度σと熱伝導度κとは正の相関があり、電気伝導度σが高くなるほど、熱伝導度κも高くなる。そのため、電気伝導度σの高い異相の含有量が多くなり、電気伝導度σの増分に比べて熱伝導度κの増分が大きくなると、系全体の性能指数Zが低下する。
上述したように、(Ni+B)量が過剰になると、材料中にフルホイスラー相が析出する場合がある。フルホイスラー相は金属相であるため、フルホイスラー相の析出は熱電特性を低下させる原因となる。
高い熱電特性を得るためには、最強線ピーク強度比は、18%未満が好ましい。最強線ピーク強度比は、さらに好ましくは、10%以下、さらに好ましくは、5%以下である。
ここで、最強線ピーク強度比とは、次の(b)式で表される値をいう。
最強線ピーク強度比=IFULL(220)×100/IHALF(220) ・・・(b)
但し、IHALF(220)は、熱電材料中に含まれるハーフホイスラー相のX線回折における最強線ピーク強度である。IFULL(220)は、熱電材料中に含まれるフルホイスラー相のX線回折における最強線ピーク強度である。
[1.6. 熱電特性]
上述したように、(Ni+B)/(Sn+C)比を1より大きくし(y>0)、あるいは、これに加えてTiサイト、Niサイト及びSnサイトのいずれか1以上にドーパントを添加すると、高い熱電特性が得られる。
具体的には、y>0とすることによって、ZrやHfのような重元素を添加しなくても、室温における熱伝導度κを4W/mK以下にすることができる。また、Tiサイト、Niサイト及びSnサイトのいずれにもドーパントを添加しない場合であっても、室温でのZT値を0.05以上にすることができる。さらに、ZT値を0.07以上にすることも可能となる。
[2. 熱電材料の製造方法(1)]
本発明の第1の実施の形態に係る熱電材料の製造方法は、TiNiSn系ハーフホイスラー化合物を含む熱電材料の製造方法であって、溶解・鋳造工程と、急冷工程と、焼結工程とを備えている。
[2.1. 溶解・鋳造工程]
溶解・鋳造工程は、本実施の形態に係るTiNiSn系ハーフホイスラー化合物となるように配合された原料を溶解し、鋳造する工程である。
原料の溶解方法は、特に限定されるものではなく、種々の方法を用いることができる。溶解方法としては、具体的には、アーク溶解法、高周波溶解法、ガラス管封入アニール法などがある。また、原料の溶解は、酸化を防ぐために、不活性雰囲気下で行うのが好ましい。
なお、予め溶解・鋳造された鋳塊を再溶解することなく、溶湯を直接、急冷凝固させても良い。このような場合には、溶解・鋳造工程を省略することができる。
[2.2. 急冷工程]
急冷工程は、本実施の形態に係るTiNiSn系ハーフホイスラー化合物となるように配合された原料を溶解することにより得られる溶湯を急冷凝固させる工程である。単に原料を溶解・鋳造するだけでも本実施の形態に係るTiNiSn系ハーフホイスラー化合物は得られるが、急冷を行うと、結晶粒が微細化され、熱伝導度κを低減することができる。また、急冷によって、異相の析出も抑制することができる。
ここで、「溶湯」は、溶解・鋳造工程において製造された鋳塊を再溶解したものでも良く、あるいは、成分元素の混合物を溶解させることにより得られるものでも良い。
急冷凝固は、ノズルを用いて溶湯を冷却媒体に噴霧又は滴下することにより行う。急冷凝固において、ノズルには、一般に石英ノズルが用いられるが、本発明においては、窒化ホウ素製ノズルを用いるのが好ましい。窒化ホウ素製ノズルは溶湯との反応性に乏しいので、これを用いて急冷凝固を行うと、組成ズレや不純物の混入、及びこれらに起因する熱電特性の低下を抑制することができる。
急冷凝固方法としては、具体的には、
(1) 窒化ホウ素製ノズル内で溶融させた溶湯を、回転する銅ロール(冷却媒体)上に噴霧又は滴下する方法(銅ロール法)、
(2) 窒化ホウ素製ノズル内で溶融させた溶湯をノズル穴から噴霧又は滴下させ、溶湯の流れに周囲からジェット流体を吹きつけ、生成した液滴を落下させながら凝固させる方法(アトマイズ法)、
などがある。
急冷凝固方法としてアトマイズ法を用いる場合、溶湯の酸化を防ぐために、ジェット流体には、不活性ガス(例えば、Arなど)を用いるのが好ましい。
窒化ホウ素製ノズルは、そのまま使用しても良いが、原料を溶解する前に、予め不活性ガス雰囲気下(例えば、Ar、N2など)において600℃以上で加熱処理したものを用いるのが好ましい。製造直後の窒化ホウ素には、ガスや水分が吸着しているが、これを所定の条件下で熱処理すると、吸着ガスや吸着水が除去されるので、不純物(特に、O)の混入を最小限に抑制することができる。
急冷時の冷却速度は、100℃/sec以上が好ましい。冷却速度が100℃/sec未満であると、成分元素が偏析し、均一な固溶体が得られない場合がある。均一な固溶体を得るためには、冷却速度は、速いほどよい。
[2.3. 焼結工程]
焼結工程は、溶解・鋳造工程で得られた鋳塊又は急冷工程で得られた凝固物を粉砕、成形及び焼結させる工程である。鋳塊又は凝固物は、必要に応じて適度に粉砕した後、そのまま各種の用途に用いることができる。従って、焼結工程は、必ずしも必要な工程ではないが、バルクの状態で使用するときには、通常、焼結を行う。
粉末状のTiNiSn系ハーフホイスラー化合物を焼結させる場合、その焼結方法には、種々の方法を用いることができる。焼結方法としては、具体的には、常圧焼結法、ホットプレス、HIP、放電プラズマ焼結法(SPS)などがある。これらの中でも、放電プラズマ焼結法は、短時間で緻密な焼結体が得られるので、焼結方法として特に好適である。
焼結条件(例えば、焼結温度、焼結時間、焼結時の加圧力、焼結時の雰囲気等)は、TiNiSn系ハーフホイスラー化合物の組成、使用する焼結方法等に応じて、最適なものを選択する。
例えば、放電プラズマ焼結法を用いる場合、焼結温度は、TiNiSn系ハーフホイスラー化合物の融点以下が好ましく、加圧力は、20MPa以上が好ましい。また、加圧力を20MPa以上とすると、緻密な焼結体を得ることができる。焼結時間は、緻密な焼結体が得られるように、焼結温度に応じて最適な時間を選択する。
[2.4. その他の工程]
粉末を焼結した後、焼結体を所定の温度に保持するアニール処理を行っても良い。焼結体に対してアニール処理を施すと、成分元素の偏析、析出した異相等を除去することができる。
アニール処理の温度は、700℃以上TiNiSn系ハーフホイスラー化合物の融点以下が好ましい。アニール処理温度が700℃未満であると、十分な効果が得られない。
アニール処理時間は、アニール処理温度に応じて、最適な時間を選択する。一般に、アニール処理温度が高くなるほど、短時間で偏析等を除去することができる。通常は、数時間〜数十時間である。
[3. 熱電材料(2)]
本発明の第2の実施の形態に係る熱電材料は、所定の組成を有するハーフホイスラー化合物を含む。
[3.1. 結晶構造]
ハーフホイスラー化合物の結晶構造の詳細については、第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
[3.2. 価電子数]
ハーフホイスラー化合物の価電子数の詳細については、第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
[3.3. 構成元素]
本実施の形態において、ハーフホイスラー化合物(以下、「ZrNiSn系ハーフホイスラー化合物」という)は、次の(2)式で表される組成を有する。
(Zr1-aa)1+x(Ni1-bb)1+y(Sn1-cc) ・・・(2)
但し、
0≦a<0.1、0≦b<0.1、0≦c<0.1。
−0.1≦x≦0.2、0<y≦0.2。
Aは、IIIa族元素、IVa族元素(Zrを除く)、Va族元素及び希土類元素から選ばれる1種以上の元素。
Bは、VIIIa族元素(Niを除く)及びIb族元素から選ばれる1種以上の元素。
Cは、IIIb族元素、IVb族元素(Snを除く)及びVb族元素から選ばれる1種以上の元素。
ZrNiSn系ハーフホイスラー化合物のZrサイトへのHf置換量は、1at%未満。
「A」は、Zrサイトを置換する元素(ドーパント)を表す。元素Aは、IIIa族元素(21Sc、39Y)、Zrを除くIVa族元素(22Ti、72Hf、90Th)、Va族元素(23V、41Nb、73Ta、92Pa)、又は希土類元素(57La〜71Lu)のいずれであっても良い。
「B」は、Niサイトを置換する元素(ドーパント)を表す。元素Bは、Niを除くVIIIa族元素(26Fe、27Co、44Ru、45Rh、46Pd、76Os、77Ir、78Pt、94Pu、95Am)、又はIb族元素(29Cu、47Ag、79Au)のいずれであっても良い。
「C」は、Snサイトを置換する元素(ドーパント)を表す。元素Cは、IIIb族元素(5B、13Al、31Ga、49In、81Tl)、Snを除くIVb族元素(6C、14Si、32Ge、82Pb)、又はVb族元素(7N、15P、33As、51Sb、83Bi)のいずれであっても良い。
これらの中でも、元素Aは、Y、Sc、Nb、V、Ta及び希土類元素から選ばれるいずれか1以上が好ましい。
また、元素Bは、Cu、Ag、Au、Pd及びPtから選ばれるいずれか1種以上が好ましい。
さらに、元素Cは、Al、Si及びSbから選ばれるいずれか1種以上が好ましい。
これらの元素は、比較的安価であり、しかも熱伝導度κを大幅に増大させることなく、出力因子PFを増大させる効果が大きいので、各サイトを置換する元素として好適である。
「a」は、元素AによるZrサイトの置換量を表す。「b」は、元素BによるNiサイトの置換量を表す。「c」は、元素CによるSnサイトの置換量を表す。
一般に、各サイトを価電子数が同一又は異なる元素で置換すると、キャリア濃度が増大し、あるいは、フォノン散乱が増大する。しかしながら、各サイトの置換量が過剰になると、異相の生成割合が増大し、かえって熱電特性が低下する。従って、a、b、cは、それぞれ、0.1未満とする必要がある。a、b、cは、それぞれ、さらに好ましくは、0.05以下である。
なお、元素AとしてHfを用いる場合、これらの置換量は、それぞれ、0.01(1at%)未満に制限される。
「x」は、Zrサイトを占める元素(Zr+A)の化学量論組成からのずれを表す。(Zr+A)量が化学量論組成からずれても、ハーフホイスラー相の格子欠陥や熱電特性に与える影響は、比較的少ない。
しかしながら、(Zr+A)量が化学量論組成に比べて少なくなり過ぎると、フルホイスラーZrNi2Sn、Sn、Ni、Ni−Sn合金などの異相が析出するという問題がある。従って、xは、−0.1以上である必要がある。xは、さらに好ましくは、−0.05以上、さらに好ましくは、−0.01以上である。
一方、(Zr+A)量が化学量論組成に比べて過剰になると、過剰なZrを主成分とする異相(例えば、金属Zr相、Zr6Sn5など)が材料中に析出する。従って、xは、0.2以下である必要がある。xは、さらにこのましくは、0.15以下、さらに好ましくは、0.1以下である。
「y」は、Niサイトを占める元素(Ni+B)の化学量論組成からのずれを表す。Snサイトを占める元素(Sn+C)の量に対して、(Ni+B)量が過剰になると、過剰な(Ni+B)が4dサイトに導入される。4dサイトに導入された(Ni+B)は、出力因子PFを低下させることなく、ハーフホイスラー相の熱伝導度κを低下させる作用がある。従って、yは、0より大きいことが必要である。yは、さらに好ましくは、0.01以上、さらに好ましくは、0.031以上、さらに好ましくは、0.04以上である。
一方、(Ni+B)量が化学量論組成に比べて過剰になると、フルホイスラー相が材料中に析出する。フルホイスラー相は金属的であるため、フルホイスラー相の析出は、熱電特性を低下させる原因となる。従って、yは、0.2以下である必要がある。yは、さらの好ましくは、0.10以下、さらに好ましくは、0.06以下、さらに好ましくは、0.05以下である。
[3.4. ZrNiSn系ハーフホイスラー化合物の格子定数]
(Ni+B)量を化学量論組成よりも過剰とし、製造条件を最適化すると、過剰の(Ni+B)が4dサイトに入る。その結果、ZrNiSn系ハーフホイスラー化合物の格子定数が増加する。すなわち、格子定数の増加は、4dサイトに導入された(Ni+B)量と相関がある。
出力因子PFを低下させることなく、熱伝導度κを低下させるためには、ZrNiSn系ハーフホイスラー化合物(主相)の格子定数は、0.6110nm以上が好ましい。格子定数は、さらに好ましくは、0.6115nm以上、さらに好ましくは、0.6118nm以上である。
一方、出力因子PFを向上させるために、Zrサイト、Niサイト及びSnサイトのいずれか1以上のサイトにドーピングを施すと、格子定数が最大で0.6130nmであるZrNiSn系ハーフホイスラー化合物が得られる。
例えば、ドーパントを含まないZr−Ni−Sn焼結体の場合、Ni/Sn比を制御すると、ハーフホイスラー相の格子定数を変化させることができる。具体的には、y値を変化させることにより、格子定数が0.6110nm以上0.6130nm以下であるZr系ハーフホイスラー化合物が得られる。
[3.5. 不純物]
本実施の形態に係る熱電材料は、上述したZrNiSn系ハーフホイスラー化合物のみからなることが望ましいが、不可避的不純物(異相)が含まれていても良い。但し、熱電特性に悪影響を与える異相は、少ない方が好ましい。
さらに、本実施の形態に係る熱電材料は、上述したZrNiSn系ハーフホイスラー化合物と、他の材料(例えば、樹脂、ゴム等)との複合体であっても良い。
ここで、「異相」とは、ZrNiSn系ハーフホイスラー化合物とは異なる相をいう。異相の中でも電気伝導度σの高いものは、系全体の電気伝導度σを高める原因となる。一般に、電気伝導度σと熱伝導度κとは正の相関があり、電気伝導度σが高くなるほど、熱伝導度κも高くなる。そのため、電気伝導度σの高い異相の含有量が多くなり、電気伝導度σの増分に比べて熱伝導度κの増分が大きくなると、系全体の性能指数Zが低下する。
上述したように、(Ni+B)量が過剰になると、材料中にフルホイスラー相が析出する場合がある。フルホイスラー相は金属相であるため、フルホイスラー相の析出は熱電特性を低下させる原因となる。
高い熱電特性を得るためには、最強線ピーク強度比は、6%未満が好ましい。最強線ピーク強度比は、さらに好ましくは、5%以下、さらに好ましくは、4%以下である。
ここで、最強線ピーク強度比とは、次の(b)式で表される値をいう。
最強線ピーク強度比=IFULL(220)×100/IHALF(220) ・・・(b)
但し、IHALF(220)は、熱電材料中に含まれるハーフホイスラー相のX線回折における最強線ピーク強度である。IFULL(220)は、熱電材料中に含まれるフルホイスラー相のX線回折における最強線ピーク強度である。
[3.6. 熱電特性]
上述したように、(Ni+B)/(Sn+C)比を1より大きくし(y>0)、あるいは、これに加えてZrサイト、Niサイト及びSnサイトのいずれか1以上にドーパントを添加すると、高い熱電特性が得られる。
具体的には、y>0とすることによって、Hfのような重元素を添加しなくても、室温における熱伝導度κを6.7W/mK以下にすることができる。
また、Zrサイト、Niサイト及びSnサイトのいずれにもドーパントを添加しない場合であっても、773〜873KでのZT値を0.35以上にすることができる。
[4. 熱電材料の製造方法(2)]
本発明の第2の実施の形態に係る熱電材料の製造方法は、ZrNiSn系ハーフホイスラー化合物を含む熱電材料の製造方法であって、溶解・鋳造工程と、急冷工程と、焼結工程とを備えている。
本実施の形態に係る熱電材料の製造方法は、(2)式で表される組成を有するZrNiSn系ハーフホイスラー化合物が得られるように出発原料を配合する以外は、第1の実施の形態に係る製造方法と同様であるので、説明を省略する。
[5. 熱電材料及びその製造方法の作用]
一般に、熱電材料の変換効率は、無次元性能指数ZTと1対1の対応関係があり、ZTが大きいほど熱電変換効率は大きくなる。性能指数ZTは、以下の式で表される。
ZT=[(σ×S2)/κ]×T=PF/κ×T
(σ:電気伝導度、S:ゼーベック係数、κ:熱伝導度、T:絶対温度)
この式より、ZTを向上させるためには、PF(出力因子)を向上させるか、κを低減すれば良いことが分かる。
通常、熱伝導率κは、以下のようにキャリアからの寄与(κcarr)と格子振動からの寄与(κph)の和で与えられる。
κ=κcarr+κph
但し、熱電材料では、通常、ZTが最高となるようなキャリア濃度が選択されるが、そのキャリア濃度では、κcarr≪κphとなるため、結局、熱伝導度は、κphの大きさに依存する。格子熱伝導度は、物質の種々の不完全性(不純物、構造欠陥等)で散乱される。
熱伝導度κを低減する方法として、その化合物を構成する元素の一部を重元素で置換する方法が知られている。例えば、TiNiSnのTiの一部をZrやHfで置換する方法、ZrNiSnのNiの一部をPdやPtで置換する方法などが知られている。しかしながら、重元素は、一般に希少かつ高価であるため、重元素置換による熱伝導度の低減は、熱電材料の高コスト化を招く。
これに対し、TiNiSn(ZrNiSn)は、Ti−Sn(Zr−Sn)が岩塩型の格子を形成し、その体心位置の内の半分をNiが占有し、残りの半分が非占有の空孔として存在する結晶構造を有する。化学量論組成であるTiNiSn(ZrNiSn)に対してNiを過剰にすると、過剰なNiは、その空孔をランダムに占有する。Niが占有した格子は、占有しない格子に比べて格子定数が増大する。そのため、格子定数の不一致(即ち、結晶の不完全性)により、フォノンが散乱されてκphが低減される。
このような不完全性は、同時にキャリアを散乱させて、電気伝導度を低下させる可能性もある。しかしながら、一般に、キャリアの平均自由行程は、フォノンのそれと比べて小さいので、フォノン減少の度合いの方が大きく、無次元性能指数は増大する。
さらに、Niサイトに欠陥を導入する方法は、高価な重元素を多量に用いることなく熱伝導度κを低減できるので、低コストである。
しかも、空孔(4dサイト)へのNiサイト原子の導入は、ゼーベック係数S及び電気伝導度σにも影響を与える。そのため、y値を最適化すると、熱伝導度κを低減すると同時に、出力因子PFも増大させることができる。特に、ZrNiSn系ハーフホイスラー化合物にNi侵入型欠陥を導入した場合には、キャリア濃度の最適化により、TiNiSn系ハーフホイスラー化合物の出力因子(3.8mW/K2m)に比べて高い出力因子(4.6mW/K2m)が得られる。
また、過剰のNiサイト原子を格子間に導入することに加えて、Tiサイト(又は、Zrサイト)、Niサイト及び/又はSnサイトに適当なドーパントを添加すると、熱伝導度κを低く維持したまま、出力因子PFをさらに増大させることができる。
さらに、フルホイスラー相/ハーフホイスラー相の最強線ピーク強度比が所定値未満となるように組成や製造条件を最適化すると、フルホイスラー相の析出に起因する熱電特性の低下を抑制することができる。
(実施例1)
[1. 試料の作製]
仕込み値がTi1-αNi1+αSn(−0.05≦α≦0.05)、又はTiNi1+βSn(−0.01≦β≦0.03)となるように、Ti(純度:99.9%以上)、Ni(純度:99.9%)、及びSn(純度:99.9%以上)を秤量した。これを窒化ホウ素製るつぼにいれ、高周波炉内にセットした。炉内を10-3Pa台の真空にした後、チャンバー内圧力が0.34×105PaになるまでArガスを導入した。次いで、コイルに高周波を印加し、るつぼ内の原料を溶解させた。溶解後、溶湯を炉冷し、鋳塊を得た。
得られた鋳塊を窒化ホウ素製の管内で再び溶解し、溶湯を3000rpmで回転するCuロール面で急冷し、リボン状試料を得た。これを粉砕し、放電プラズマ焼結装置で1100℃×15分、50MPaの条件で焼結させた。
[2. 実験方法]
[2.1. 組成分析]
得られた焼結体のICP組成分析を行った。
[2.2. X線回折]
得られた焼結体のX線回折パターンを測定した。
[2.3. 熱電特性]
焼結体から試料を切り出し、ゼーベック係数S、電気伝導度σ及び熱伝導度κを測定した。また、測定されたゼーベック係数S、電気伝導度σ及び熱伝導度κを用いて、出力因子PF及び無次元性能指数ZTを算出した。
[2.4. バンド計算]
電子計算構造プログラムVASP(密度汎関数法を用いた平面波−PAW法)により形成エネルギーを計算し、TiNiSnにおける構造欠陥の安定性を評価した。交換相関ポテンシャルには、GGAを用いた。形成エネルギー(FE)の定義は、FE(AB→AC)=E(AC)−[E(AB)+E(C)−E(B)]である。Eは、全エネルギーであり、FEが低いほど、物質ABから物質ACを合成しやすいことを意味する。
[3. 結果]
[3.1. Ni/Sn比、及びTi/Sn比]
合成したTi−Ni−Sn焼結体のNi/Sn比及びTi/Sn比は、ICP組成分析から求めた(表2)。
Figure 2010166016
[3.2. 格子定数]
図2に、Ti−Ni−Sn焼結体のX線回折パターンを示す。また、図3に、X線回折パターンから求めたTi−Ni−Snハーフホイスラー相の格子定数とNi/Sn比との関係を示す。
試料2〜6では、異相のX線回折ピークはほとんどなく、格子定数もNi/Sn比の増大に伴い増大する。また、格子定数は、Ti量にあまり依存せず、主としてNi/Sn比で決まる。
[3.3. 熱電特性]
[3.3.1 出力因子PF]
図4に、Ti−Ni−Sn焼結体の673Kでの電気伝導度σ、ゼーベック係数S及び出力因子PFを示す。試料2〜6では、異相の影響があまりないため、Ni/Sn比が増大しても、出力因子PFは、比較的高い値(2.89〜3.29×10-3W/mK2)を示す。
Ni/Sn=1.155(試料7)では、フルホイスラー相の析出が顕著になるため、出力因子PFが他の材料に比べて低い。この時、最強線ピーク強度比(=IFULL(220)×100/IHALF(220))は18%であった。従って、高い無次元性能指数を実現するためには、最強線ピーク強度比を18%未満に抑える必要がある。
[3.3.2 無次元性能指数ZT]
図5に、Ti−Ni−Sn焼結体の300Kでの出力因子PF、熱伝導度κ、及び無次元性能指数ZTを示す。熱伝導度κを低減できたことにより、無次元性能指数ZTは向上した。Ni/Sn比が1.015以上1.145以下であるとき、無次元性能指数ZTは、特許文献6に記載されている最大値を超える。また、Ni/Sn比が1.047以上1.123以下であるとき、ZTは0.07以上となる。
主相であるハーフホイスラー相の格子定数で考えると、格子定数が0.5933nm以上であるとき、無次元性能指数ZTは、従来の熱電材料より高くなる。特に、格子定数が0.5937nm以上となると、ZTは0.07より高くなる。熱伝導度の低減は、過剰に導入したNiが結晶構造の欠陥を形成し、フォノンを散乱させるためと考えられる。
どのような欠陥が導入されたかを調べるために、Snに対してNiが過剰な欠陥モデルをたて、形成エネルギーFEを第一原理計算により評価した。
欠陥モデルは、
(a)Snの点欠陥(格子空孔)を入れたモデル(図6(a))、
(b)SnサイトをTiで置換したモデル(図6(b))、
(c)TiサイトをNiで置換したモデル(図6(c))、
(d)SnサイトをNiで置換したモデル(図6(d))、
(e)Niを格子間に侵入させた侵入型固溶体のモデル(図6(e))、
とした。Ti32Ni32Sn32の超格子に1個の上記欠陥を導入してバンド計算を行った。
図7に、各欠陥モデルの形成エネルギー及び欠陥を導入したときの格子定数の伸び(Δa/a)を示す。その結果、格子間にNiが侵入した欠陥(格子間Ni欠陥)の形成エネルギーが低く、格子間Ni欠陥が容易に形成されることが示唆された。また、格子間Ni欠陥だけが格子定数を増大させ、実験結果と一致した。従って、過剰に導入されたNiが格子間Ni欠陥を形成し、熱伝導度κの大幅な低減に寄与していると考えられる。
(実施例2)
[1. 試料の作製]
実施例1の試料6を母材として、
(1)SnサイトにSb置換(〜1%)、
(2)NiサイトにCu置換(〜0.5%)、又は
(3)SnサイトにSbを置換して、かつ同じ量だけTiサイトにYを置換(〜3%)
するように秤量した。用いたSb、Cu、及びYの純度は、それぞれ99.9%以上である。
これを窒化ホウ素製るつぼに入れ、高周波炉内にセットした。炉内を10-3Pa台の真空にした後、チャンバー内圧力が0.34×105PaになるまでArガスを導入した。次いで、コイルに高周波を印加し、るつぼ内の原料を溶解させた。溶解後、溶湯を炉冷し、鋳塊を得た。得られた鋳塊を窒化ホウ素製の管内で再び溶解し、溶湯を3000rpmで回転するCuロール面で急冷し、リボン状試料を得た。これを粉砕し、放電プラズマ焼結装置で1100℃×15分、50MPaの条件で焼結させた。
[2. 実験方法]
[2.1. X線回折]
得られた焼結体のX線回折パターンを測定した。
[2.2. 熱電特性]
焼結体から試料を切り出し、ゼーベック係数S、電気伝導度σ、及び熱伝導度κを測定した。また、測定されたゼーベック係数S、電気伝導度σ、及び熱伝導度κを用いて、出力因子PF及び無次元性能指数ZTを算出した。
[3. 結果]
[3.1. 格子定数]
図8に、各種元素置換を行ったTi−Ni−Snハーフホイスラー相の格子定数を示す。格子定数は、X線回折パターンから求めた。各種元素置換によって格子定数が大きく変化することはなく、0.5935nm以上0.5947nm以下であった。
[3.2. 熱電特性]
図9に、各種元素置換を行ったTi−Ni−Sn焼結体の673Kでの電気伝導度σ、ゼーベック係数S、及び出力因子PFを示す。Sb置換材、Cu置換材、及びY−Sb同時置換材で、キャリア濃度の最適化により、出力因子PFが向上した。
表3に、Y−Sb同時置換を行ったTi−Ni−Sn焼結体の300Kでの出力因子PF、熱伝導度κ、及び無次元性能指数ZTを示す。Y−Sb同時置換材では、出力因子PFの増大に起因して、無次元性能指数ZTがノンドープ試料より向上した。
Figure 2010166016
(実施例11)
[1. 試料の作製]
Zr、Ni、Snとを全体の組成がZrNi1+ySn(0≦y≦0.10)となるように秤量し、窒化ホウ素製の坩堝を用いて高周波溶解した。
得られたインゴットを再び高周波溶解し、溶湯を3000rpmで回転するCuロール面上で急冷し、リボン状試料を得た.これを粉砕し、放電プラズマ装置で1100℃×15min、50MPaの条件で焼結した。
[2. 試験方法]
[2.1. 粉末X線回折]
得られた焼結体を粉砕し、X線回折パターンを測定した。
[2.2. 熱電特性]
焼結体から試料を切り出し、ゼーベック係数S、電気伝導度σ及び熱伝導度κを測定した。また、測定されたゼーベック係数S、電気伝導度σ及び熱伝導度κを用いて、出力因子PF及び無次元性能指数ZTを算出した。
[3. 結果]
[3.1. 粉末X線回折]
図10に、ZrNi1+ySn焼結体の粉末X線回折パターンを示す。また、図11に、ZrNi1+ySn焼結体の最強線ピーク近傍の粉末X線回折パターンを示す。0≦y≦0.05では、目的相であるハーフホイスラー相単相であることが確認された。一方、0.05<yでは、目的相であるハーフホイスラー相以外に、ホイスラー相の(220)面に由来する回折ピーク(図10及び図11中、「▼」で表示)が確認された。その強度は、yが増大するに従い、増加することが分かった。ピーク強度比からホイスラー相の存在割合を算出すると、y=0.06では3%であり、y=0.10では5.5%と、yの増加に従い、ホイスラー相の割合も増加する傾向が見られた。
ハーフホイスラー相の回折ピークから格子定数を求めた。図12に、ZrNi1+ySn焼結体のy値(Ni/Sn比)と格子定数との関係を示す。0≦y<0.06の範囲では、yの増加に従って、格子定数が0.6110nmから0.6130nmの範囲で増加する傾向が確認された。ハーフホイスラー相単相である点、及び、格子定数が増大している点から考えて、0≦y≦0.05の範囲では、過剰なNiが空孔サイトをランダムに占有したNi侵入型の欠陥が生成していると推測される。
[3.2. 熱電特性]
[3.2.1. 熱伝導度κ]
レーザーフラッシュ法によって、ZrNi1+ySn焼結体の室温での熱伝導度を評価した。図13に、その結果を示す。y=0.05を境にして、熱伝導度のy依存性のグラフには、不連続が見られた。格子定数がyに依存して増加し、かつ、単相であった0≦y≦0.05の組成では、熱伝導度は、yの増加に伴って低下した。これは、Ni侵入型欠陥量の増大に由来すると思われる。
一方、y=0.06では、一旦、熱伝導度が増大し、更にyを増やすと、熱伝導度がyの増加に伴い低下する傾向が確認された。この熱伝導度のグラフの不連続性は、ホイスラー相の生成に由来すると思われる。
[3.2.2. ゼーベック係数、電気伝導度及び出力因子]
ZrNi1+ySn焼結体を3×3×10mmの角柱状に加工し、ZEM−IIIを用いて373Kから973Kの範囲で、ゼーベック係数及び電気伝導度の測定を行い、出力因子を評価した。図14に、773Kでの電気伝導度及び出力因子のy依存性を示す。
格子定数がyに依存して増加し、かつ単相であった0≦y≦0.05の組成では、電気伝導度は、yの増加に従って増大した。これは、Ni侵入欠陥の導入で不純物準位が生成し、キャリア濃度が増大した結果と解釈できる。さらに、y=0.06では、一旦、電気伝導度が低下するが、yを増やして行くと、再び電気伝導度は増大する傾向を示した。この不連続性は、異相の生成に由来すると解釈できる。
出力因子も組成に依存して変化した。格子定数がyに依存して増加し、かつ単相であった0≦y≦0.05の組成では、yの増加に従って、出力因子が増大した。
[3.2.3. 擬似的な無次元性能指数]
高温でも室温での熱伝導度が維持されると仮定して、以下の定義により擬似的な無次元性能指数ZT*を算出した。図15に、その結果を示す。
ZT*=(PF@H.T./κ@R.T.)×T
但し、PF@H.T.=高温(773K又は873K)での出力因子、
κ@R.T.=室温での熱伝導度
この無次元性能指数ZT*は、単相かつ格子定数が増加した0≦y≦0.05の組成では、yの増加に従い、増加する傾向が見られた。0.06≦yの組成では、熱伝導度と出力因子の低下が相殺されて、ZT*は、ほぼ一定値になった。
(実施例12)
[1. 試料の作製]
キャリア濃度を最適化する目的で、ZrNi1+ySnを母材としてYとSbを同時置換した試料を作製した。すなわち、Y、Ni、Sbを全体の組成がYNiSbとなるように秤量し、窒化ホウ素製の坩堝に入れ、高周波溶解し、YNiSbのインゴットを得た。作製したYNiSbと、Zr、Ni、Snとを全体の組成が(Zr1-aa)Ni1+y(Sn1-aSba)(0≦a≦0.02、0≦y≦0.10)となるように秤量し、窒化ホウ素製の坩堝を用いて高周波溶解した。以下、実施例11と同様の手順に従い、焼結体を作製した。
[2. 試験方法]
実施例11と同様の手順に従い、電気的特性の評価を行った。
[3. 結果]
図16に、(Zr1-aa)Ni1+y(Sn1-aSba)焼結体の出力因子を示す。なお、図16には、ZrNi1+ySn焼結体の結果も併せて示した。a=0の試料では、yの増加に伴って、出力因子が増大した(図16の1→2→3)。また、ZrNi1.01SnにYNiSbを1mol%固溶させることで、キャリア濃度が最適化され、出力因子が約50%向上することが分かった(図16の2→4)。
図17に、(Zr1-aa)Ni1+y(Sn1-aSba)焼結体のa値と出力因子との関係を示す。ZrNi1.05Snに対して、Y、Sbを固溶させていくと、キャリア濃度の増加に伴って、出力因子が向上した。図17より、aを0.005(0.5mol%)以上にすると、出力因子が4.0mW/K2m以上になることがわかる。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
本発明に係る熱電材料及びその製造方法は、太陽熱発電器、海水温度差熱電発電器、化石燃料熱電発電器、工場排熱や自動車排熱の回生発電器等の各種の熱電発電器、光検出素子、レーザーダイオード、電界効果トランジスタ、光電子増倍管、分光光度計のセル、クロマトグラフィーのカラム等の精密温度制御装置、恒温装置、冷暖房装置、冷蔵庫、時計用電源等に用いられる熱電素子を構成する熱電材料及びその製造方法として使用することができる。

Claims (16)

  1. 次の(1)式で表される組成を有するハーフホイスラー化合物を含む熱電材料。
    (Ti1-aa)1+x(Ni1-bb)1+y(Sn1-cc) ・・・(1)
    但し、
    0≦a<0.1、0≦b<0.1、0≦c<0.1。
    −0.1≦x≦0.2、0<y≦0.2。
    Aは、IIIa族元素、IVa族元素(Tiを除く)、Va族元素及び希土類元素から選ばれる1種以上の元素。
    Bは、VIIIa族元素(Niを除く)及びIb族元素から選ばれる1種以上の元素。
    Cは、IIIb族元素、IVb族元素(Snを除く)及びVb族元素から選ばれる1種以上の元素。
    前記ハーフホイスラー化合物のTiサイトへのZr置換量及びHf置換量は、それぞれ、1at%未満。
  2. 0.015≦y≦0.145である請求項1に記載の熱電材料。
  3. 前記ハーフホイスラー化合物(主相)の格子定数が、0.5933nm以上0.5947nm以下である請求項1又は2に記載の熱電材料。
  4. 最強線ピーク強度比(IFULL(220)×100/IHALF(220))が18%未満である請求項1から3までのいずれかに記載の熱電材料。
    但し、
    HALF(220)は、ハーフホイスラー相のX線回折における最強線ピーク強度、
    FULL(220)は、フルホイスラー相のX線回折における最強線ピーク強度。
  5. 前記Aは、Yであり、
    前記Bは、Co及びCuから選ばれるいずれか1種以上であり、
    前記Cは、Al、Si及びSbから選ばれるいずれか1種以上である
    請求項1から4までのいずれかに記載の熱電材料。
  6. 無次元性能指数ZTが室温で0.05以上である請求項1から5までのいずれかに記載の熱電材料。
  7. 請求項1から6までのいずれかに記載のハーフホイスラー化合物となるように配合された原料を溶解し、又は前記ハーフホイスラー化合物となるように配合された原料を溶解・鋳造した鋳塊を再溶解させることにより得られる溶湯を急冷凝固させる急冷工程
    を備えた熱電材料の製造方法。
  8. 前記急冷工程で得られた粉末を焼結させる焼結工程をさらに備えた請求項7に記載の熱電材料の製造方法。
  9. 次の(2)式で表される組成を有するハーフホイスラー化合物を含む熱電材料。
    (Zr1-aa)1+x(Ni1-bb)1+y(Sn1-cc) ・・・(2)
    但し、
    0≦a<0.1、0≦b<0.1、0≦c<0.1。
    −0.1≦x≦0.2、0<y≦0.2。
    Aは、IIIa族元素、IVa族元素(Zrを除く)、Va族元素及び希土類元素から選ばれる1種以上の元素。
    Bは、VIIIa族元素(Niを除く)及びIb族元素から選ばれる1種以上の元素。
    Cは、IIIb族元素、IVb族元素(Snを除く)及びVb族元素から選ばれる1種以上の元素。
    前記ハーフホイスラー化合物のZrサイトへのHf置換量は、1at%未満。
  10. 0.01≦y≦0.10である請求項9に記載の熱電材料。
  11. 前記ハーフホイスラー化合物(主相)の格子定数が、0.6110nm以上0.6130nm以下である請求項9又は10に記載の熱電材料。
  12. 最強線ピーク強度比(IFULL(220)×100/IHALF(220))が6%未満である請求項9から11までのいずれかに記載の熱電材料。
    但し、
    HALF(220)は、ハーフホイスラー相のX線回折における最強線ピーク強度、
    FULL(220)は、フルホイスラー相のX線回折における最強線ピーク強度。
  13. 前記Aは、Y、Sc、Nb、V、Ta及び希土類元素から選ばれるいずれか1種以上であり、
    前記Bは、Cu、Ag、Au、Pd及びPtから選ばれるいずれか1種以上であり、
    前記Cは、Al、Si及びSbから選ばれるいずれか1種以上である
    請求項9から12までのいずれかに記載の熱電材料。
  14. 請求項9から13までのいずれかに記載のハーフホイスラー化合物となるように配合された原料を溶解し、又は前記ハーフホイスラー化合物となるように配合された原料を溶解・鋳造した鋳塊を再溶解させることにより得られる溶湯を急冷凝固させる急冷工程
    を備えた熱電材料の製造方法。
  15. 前記急冷工程は、冷却速度が100℃/sec以上である請求項14に記載の熱電材料の製造方法。
  16. 前記急冷工程で得られた粉末を焼結させる焼結工程をさらに備えた請求項14又は15に記載の熱電材料の製造方法。
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