以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
[第1の実施形態]
まず、第1の実施の形態について説明する。本実施の形態では、本発明をインクジェット方式の画像形成装置に適用した場合について説明する。図1は、本実施の形態に係る画像形成装置10の構成を示す図である。
同図に示されるように、画像形成装置10には、記録媒体である記録用紙Wを給紙搬送する給紙搬送部12が設けられている。この給紙搬送部12の記録用紙Wの搬送方向下流側には記録用紙Wの搬送方向に沿って、記録用紙Wの記録面(表面)に処理液を塗布する処理液塗布部14、記録用紙Wの記録面に画像を形成する画像形成部16、記録面に形成された画像を乾燥させるインク乾燥部18、乾燥した画像を記録用紙Wに定着させる画像定着部20、及び画像が定着した記録用紙Wを排出部22へ搬送する排出搬送部24が設けられている。
給紙搬送部12は、記録用紙Wを収容した収容部26を備えている。また、収容部26にはモータ30が設けられている。更に、収容部26には給紙装置(図示省略)が設けられており、当該給紙装置によって記録用紙Wは収容部26から処理液塗布部14へ送り出される。
処理液塗布部14は、中間搬送ドラム28A及び処理液塗布ドラム36を備えている。中間搬送ドラム28Aは、収容部26と処理液塗布ドラム36との間に回転可能に配設されており、中間搬送ドラム28Aの回転軸とモータ30の回転軸とにベルト32が張架されている。従って、モータ30の回転駆動力がベルト32を介して中間搬送ドラム28Aに伝達されることにより、中間搬送ドラム28Aは円弧矢印A方向に回転する。
また、中間搬送ドラム28Aには、記録用紙Wの先端部を挟持して記録用紙Wを保持する保持部材34が設けられている。従って、収容部26から処理液塗布部14へ送り出された記録用紙Wは、保持部材34を介して中間搬送ドラム28Aの周面に保持され、中間搬送ドラム28Aの回転によって処理液塗布ドラム36へ搬送される。
なお、後述する中間搬送ドラム28B、28C、28D、28E、処理液塗布ドラム36、画像形成ドラム44、インク乾燥ドラム56、画像定着ドラム62、及び排出搬送ドラム68についても、中間搬送ドラム28Aと同様に保持部材34が設けられている。そして、この保持部材34によって、上流側のドラムから下流側のドラムへ記録用紙Wの受け渡しが行われる。
処理液塗布ドラム36は、図示しないギアにより中間搬送ドラム28Aと連結されており、回転力を受けて回転する。
中間搬送ドラム28Aによって搬送された記録用紙Wは、処理液塗布ドラム36の保持部材34を介して処理液塗布ドラム36に受け渡され、処理液塗布ドラム36の周面に保持された状態で搬送される。
処理液塗布ドラム36の上部には、処理液塗布ローラ38が処理液塗布ドラム36の周面に接触した状態で配設されており、処理液塗布ローラ38によって、処理液塗布ドラム36の周面上の記録用紙Wの記録面に処理液が塗布される。なお、上記処理液は、インクと反応して色材(顔料)を凝集し、色材と溶媒を分離促進するものである。
処理液塗布部14により処理液が塗布された記録用紙Wは、処理液塗布ドラム36の回転によって画像形成部16へ搬送される。
画像形成部16は、中間搬送ドラム28B及び画像形成ドラム44を備えている。中間搬送ドラム28Bは、図示しないギアにより中間搬送ドラム28Aと連結されており、回転力を受けて回転する。
処理液塗布ドラム36によって搬送された記録用紙Wは、画像形成部16の中間搬送ドラム28Bの保持部材34を介して中間搬送ドラム28Bに受け渡され、中間搬送ドラム28Bの周面に保持された状態で搬送される。
回転体としての画像形成ドラム44は、図示しないギアにより中間搬送ドラム28Aと連結されており、回転力を受けて回転する。
中間搬送ドラム28Bによって搬送された記録用紙Wは、画像形成ドラム44の保持部材34を介して画像形成ドラム44に受け渡され、画像形成ドラム44の周面に保持された状態で搬送される。
画像形成ドラム44の上方には、画像形成ドラム44の周面に近接して、ヘッドユニット46が配設されている。このヘッドユニット46は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色の各々に対応した4つのインクジェット記録ヘッド48を備えており、これらの記録ヘッド48は、画像形成ドラム44の周方向に沿って配列され、処理液塗布部14で記録用紙Wの記録面に形成された処理液層に重なるように後述するクロック信号に同期して後述するノズル48aからインク滴を吐出することにより画像を形成する。
画像形成ドラム44は、ロータリエンコーダ52を備えている。本実施の形態に係るロータリエンコーダ52は、画像形成ドラム44の回転に伴って、各々位相が異なる複数のパルス信号を発生して出力する。なお、パルス信号の1パルスは、予め定められた回転角度Θ0(例えば、1.257ミリラジアン)に対応している。なお、本実施の形態では、ロータリエンコーダ52はA相、B相の2つのパルス信号を発生する。
画像形成部16により記録面に画像が形成された記録用紙Wは、画像形成ドラム44の回転によってインク乾燥部18へ搬送される。
インク乾燥部18は、中間搬送ドラム28C及びインク乾燥ドラム56を備えている。中間搬送ドラム28Cは、図示しないギアにより中間転写ドラム28Aと連結されており、回転力を受けて回転する。
画像形成ドラム44によって搬送された記録用紙Wは、中間搬送ドラム28Cの保持部材34を介して中間搬送ドラム28Cに受け渡され、中間搬送ドラム28Cの周面に保持された状態で搬送される。
インク乾燥ドラム56は、図示しないギアにより中間転写ドラム28Aと連結されており、回転力を受けて回転する。
中間搬送ドラム28Cによって搬送された記録用紙Wは、インク乾燥ドラム56の保持部材34を介してインク乾燥ドラム56に受け渡され、インク乾燥ドラム56の周面に保持された状態で搬送される。
インク乾燥ドラム56の上方には、インク乾燥ドラム56の周面に近接して、温風ヒータ58が配設されている。温風ヒータ58による温風によって、記録用紙Wに形成された画像における余分な溶媒が除去される。インク乾燥部18により記録面の画像が乾燥された記録用紙Wは、インク乾燥ドラム56の回転によって画像定着部20へ搬送される。
画像定着部20は、中間搬送ドラム28D及び画像定着ドラム62を備えている。中間搬送ドラム28Dは、図示しないギアにより中間転写ドラム28Aと連結されており、回転力を受けて回転する。
インク乾燥ドラム56によって搬送された記録用紙Wは、中間搬送ドラム28Dの保持部材34を介して中間搬送ドラム28Dに受け渡され、中間搬送ドラム28Dの周面に保持された状態で搬送される。
画像定着ドラム62は、図示しないギアにより中間転写ドラム28Aと連結されており、回転力を受けて回転する。
中間搬送ドラム28Dによって搬送された記録用紙Wは、画像定着ドラム62の保持部材34を介して画像定着ドラム62に受け渡され、画像定着ドラム62の周面に保持された状態で搬送される。
画像定着ドラム62の上部には、内部にヒータを有する定着ローラ64が画像定着ドラム62の周面に圧接した状態で配設されている。画像定着ドラム62の周面に保持された記録用紙Wは定着ローラ64と圧接した状態で上記ヒータで加熱されることにより、記録用紙Wの記録面に形成された画像の色材が記録用紙Wに融着し、当該記録用紙Wに画像が定着される。画像定着部20により画像が定着された記録用紙Wは、画像定着ドラム62の回転によって排出搬送部24へ搬送される。
排出搬送部24は、中間搬送ドラム28E及び排出搬送ドラム68を備えている。中間搬送ドラム28Eは、図示しないギアにより中間転写ドラム28Aと連結されており、回転力を受けて回転する。
画像定着ドラム62によって搬送された記録用紙Wは、中間搬送ドラム28Eの保持部材34を介して中間搬送ドラム28Eに受け渡され、中間搬送ドラム28Eの周面に保持された状態で搬送される。
排出搬送ドラム68は、図示しないギアにより中間転写ドラム28Aと連結されており、回転力を受けて回転する。
中間搬送ドラム28Eによって搬送された記録用紙Wは、排出搬送ドラム68の保持部材34を介して排出搬送ドラム68に受け渡され、排出搬送ドラム68の周面に保持された状態で排出部22へ搬送される。
図2は、本実施の形態に係るインクジェット記録ヘッド48のインク吐出口面側の構造を示す図である。
同図に示されるように、インクジェット記録ヘッド48における画像形成ドラム44の周面に対向する面90には各々インク滴を吐出する複数のノズル48aが形成されている。インクジェット記録ヘッド48は、複数のノズル48aを記録用紙Wの画像形成ドラム44による搬送方向(副走査方向)に重なることなく2次元状に(本実施形態では、千鳥状でマトリクス状に)配置させた構造を有し、これにより、ヘッド長手方向(記録用紙Wの画像形成ドラム44による搬送方向(以下、単に「搬送方向」という。)と直交する方向)に沿って並ぶように投影される実質的なノズル間隔(投影ノズルピッチ)の高密度化を達成している。
なお、本実施の形態に係るインクジェット記録ヘッド48では、複数のノズル48aが副走査方向に2列に配列されており、当該2列は副走査方向にL(mm)離れている。以下、搬送方向上流側の列に属する複数のノズル48aをノズル群Aと称し、搬送方向下流の列に属する複数のノズル48aをノズル群Bと称する。
図3は、本実施の形態に係る画像形成装置10の電気系の要部構成を示すブロック図である。
画像形成装置10は、コンピュータ(図示しない)を備えており、このコンピュータは、同図に示されるように、CPU(中央処理装置)70、ROM(Read Only Memory)72、RAM(Random Access Memory)74、NVM(Non Volatile Memory)76、UI(ユーザ・インタフェース)パネル78、FPGA(Field Programmable Gate Array)79、及び通信I/F(通信インタフェース)80を含んで構成されている。なお、本実施の形態では、このコンピュータと、ロータリエンコーダ52とを含む装置を、回転体としての画像形成ドラム44の回転に関する速度を演算する機能を有する速度演算装置とする。
CPU70は、画像形成装置10全体の動作を司るものである。CPU70は、ROM72からプログラムを読み出して画像形成制御処理を実行する。
記憶手段としてのROM72には、詳細を以下で説明する画像形成装置10の作動を制御する画像形成制御処理を実行するためのプログラム、詳細を以下で説明する速度演算処理を実行するためのプログラム、ロータリエンコーダ52から出力されるパルス信号の1パルスが示す回転角度Θ0、画像形成ドラム44の周面(回転体周面)と当該画像形成ドラム44の軸心との距離(以下の本実施の形態では、「距離R0」という。)、隣接するドット間(ここでは、ドットの中心間)の距離(以下の本実施の形態では、「距離X0」という。)、及び各種パラメータ等が予め記憶されている。なお、本実施の形態では、上記予め定められた距離R0として、画像形成ドラム44の半径を適用しているが、これに限らず、他の値を適用しても良い。
RAM74は、各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられるものである。NVM76は、装置の電源スイッチが切られても保持しなければならない各種情報を記憶するものである。
UIパネル78は、ディスプレイ上に透過型のタッチパネルが重ねられたタッチパネルディスプレイ等から構成され、各種情報がディスプレイの表示面に表示されると共に、ユーザがタッチパネルに触れることにより所望の情報や指示が入力される。
FPGA79は、プログラムをROM72から読み出して速度演算処理を実行する。
通信インタフェース80は、パーソナル・コンピュータ等の端末装置82に接続され、端末装置82から記録用紙Wに形成する画像を示す画像情報や各種情報を受信するためのものである。
CPU70、ROM72、RAM74、NVM76、UIパネル78、FPGA79、及び通信インタフェース80は、システムバスBUSを介して相互に接続されている。従って、CPU70は、ROM72、RAM74、NVM76へのアクセスと、UIパネル78への各種情報の表示と、UIパネル78に対するユーザの操作指示内容の把握と、端末装置82からの通信インタフェース80を介した各種情報の受信と、FPGA79の制御と、を各々行うことができる。
また、画像形成装置10は、記録ヘッドコントローラ84、及びモータコントローラ86を備えている。
記録ヘッドコントローラ84は、CPU70の指示に従ってインクジェット記録ヘッド48の作動を制御するものである。モータコントローラ86は、モータ30の作動を制御するものである。
記録ヘッドコントローラ84、及びモータコントローラ86もまた、上述したシステムバスBUSに接続されている。従って、CPU70は、記録ヘッドコントローラ84、及びモータコントローラ86の作動の制御を行うことができる。
また、前述したロータリエンコーダ52もまた、上述したシステムバスBUSに接続されている。従って、CPU70は、ロータリエンコーダ52により発生される複数のパルス信号を受信することができる。
次に、本実施の形態に係る画像形成装置10の作用を説明する。
本実施の形態に係る画像形成装置10では、収容部26から給紙装置によって中間搬送ドラム28へ記録用紙Wが送り出され、当該記録用紙Wが中間搬送ドラム28、処理液塗布ドラム36及び中間搬送ドラム28を介して画像形成ドラム44へ搬送され、当該画像形成ドラム44の周面に保持される。そして、画像情報に基づいてインクジェット記録ヘッド48のノズル48aから画像形成ドラム44上の記録用紙Wに対してインク滴が吐出される。これによって記録用紙Wには上記画像情報により示される画像が形成される。
ところで、画像形成ドラム44の周面に保持された記録用紙Wの搬送速度は、駆動系のギアのかみ合わせや負荷変動、モータ自体の速度変動が原因で、一例として図4のグラフに示されるように変動する。なお、同図のグラフの縦軸は、画像形成ドラム44における記録用紙Wの搬送速度を示し、横軸は、画像形成ドラム44の予め定められた基準位置からの回転角度を示す。また、同図の画像における破線円は、記録用紙Wの搬送速度が速度Vで一定の場合の各ノズル48aから吐出されたインク滴の着弾位置の一例を示しており、同図の画像における実線円は、記録用紙Wの速度変動がある場合の各ノズル48aから吐出されたインク滴の着弾位置の一例を示している。
このように画像形成ドラム44において記録用紙Wの搬送速度が変動した状態で、一定周波数のクロック信号をインクジェット記録ヘッド48に出力し、当該クロック信号に同期させてインクジェット記録ヘッド48に対してノズル48aからインク滴を吐出させた場合、一例として同図に示されるように、当該インク滴によって形成される画像が変形する。
ここで、速度変動に起因する画像の変形を抑制するために、記録用紙Wの搬送速度を検出あるいは演算して搬送速度に応じてクロック信号の周期を変更することが考えられる。記録用紙Wの搬送速度を精度良く検出あるいは演算するためには、画像形成ドラム44の回転速度の変動の追従性を向上させることが必要となる。画像形成ドラム44の回転速度の変動の追従性を向上させるために、ロータリエンコーダ52に、周波数が高いパルス信号を発生するものを用いることが考えられる。周波数が高いパルス信号を発生するロータリエンコーダ52を用いることにより、画像形成ドラム44の回転速度の検出間隔が短くなり、画像形成ドラム44の回転速度の変動の追従性が向上するように考えられるからである。しかしながら、周波数が高くなることにより、ロータリエンコーダ52から出力されるパルス信号の周期は短くなってしまい、測定精度は低下する。
そこで、本実施の形態に係る画像形成装置10では、速度変動に起因する画像の変形を抑制するために、画像形成ドラム44の回転に関する速度の変動の追従性を向上させると共に精度の高い画像形成ドラム44の回転に関する速度を演算するための速度演算処理が実行される。
次に、図5を参照して、画像形成装置10のコントローラのCPU70が実行する画像形成制御処理を説明する。なお、本実施の形態では、この画像形成制御処理は、記録用紙Wに画像形成するための画像形成処理の実行指示、及び画像形成対象の画像情報が、端末装置82から通信I/F80を介して入力され、CPU70が当該実行指示及び当該画像情報が入力されたと判断した場合に実行される。
まず、ステップ100では、FPGA79に速度演算処理の実行を開始する指示を出力することにより、速度演算処理の実行を開始するようにFPGA79を制御する。
ここで、図6を参照してFPGA79が実行する速度演算処理について説明する。
まず、ステップ200で、ROM72から回転角度Θ0、及び距離R0を読み出す。
次のステップ202では、画像形成ドラム44が回転駆動を開始するようにモータコントローラ86を制御する。これにより、モータコントローラ86が、回転駆動を開始するようにモータ30を制御することにより画像形成ドラム44が回転駆動を開始する。
次のステップ204では、画像形成ドラム44が所定回転速度(例えば、500mm/s)に達するまで待機する。なお、画像形成ドラム44が所定回転速度に達したか否かについての判断は、ロータリエンコーダ52からのパルス信号に基づいて判断する。ステップ204で画像形成ドラム44が所定回転速度に達したと判断すると、次のステップ206へ進む。
次のステップ206では、変数i、変数T0、変数T1、変数T2、変数T3、及び変数E1の各変数の値を0に設定することにより各変数を初期化する。
次のステップ208では、詳細を以下で説明するステップ210の処理の前回の検出から今回の検出までの時間を測定するためのタイマーを開始する。これにより、単位時間間隔(例えば10nsec(ナノ秒))で、時間が計測され、計測された時間が更新される毎に計測された時間が変数iに設定される。より具体的には、FPGA79上に実装されたカウンタのクロックカウントによって、時間が演算される。
次のステップ210では、ロータリエンコーダ52から出力されたA相、B相の2つのパルス信号の各々のパルスの立ち上がり及び立ち下がりを検出する。これにより、A相、B相の2つのパルス信号のうち何れかの信号のパルスが立ち上がっている場合にはその信号のパルスの立ち上がりが検出され、A相、B相の2つのパルス信号のうち何れかの信号のパルスが立ち下がっている場合にはその信号のパルスの立ち下がりが検出される。
次のステップ212では、上記ステップ210でパルスの立ち上がりが検出されたか、または、パルスの立ち下がりが検出されたか否かを判定する。ステップ212で、上記ステップ210でパルスの立ち上がりが検出されたか、または、パルスの立ち下がりが検出されたと判定された場合には、次のステップ214へ進む。一方、ステップ212で、上記ステップ210でパルスの立ち上がりが検出されず、かつ、パルスの立ち下がりが検出されなかったと判定された場合には、ステップ210へ戻り、再びロータリエンコーダ52から出力されたA相、B相の2つのパルス信号の各々のパルスの立ち上がり及び立ち下がりを検出する。
ステップ214では、変数T1の値を変数T0に設定することにより変数T0の値を更新し、変数T2の値を変数T1に設定することにより変数T1の値を更新し、変数T3の値を変数T2に設定することにより変数T2の値を更新し、変数iの値を変数T3に設定することにより変数T3の値を更新する。そして、変数T0の値と変数T1の値と変数T2の値と変数T3の値との和(T0+T1+T2+T3)を変数E1に設定することにより変数E1の値を更新する。そして、上記ステップ208で開始されたタイマーを停止して変数iの値を0に設定することにより初期化を行う。なお、本ステップ214で変数T3に設定される変数iの値は、直近の上記ステップ210での処理におけるパルスの立ち上がりの検出、または、パルスの立ち下がりの検出が1回目(初回)である場合には、本速度演算処理が開始されてから1回目の検出までの時間であり、直近の上記ステップ210での処理におけるパルスの立ち上がりの検出、または、パルスの立ち下がりの検出が2回目以降である場合には、前回のステップ210の処理による検出から今回のステップ210の処理による検出までの時間である。すなわち、本ステップ214では、ステップ210で立ち上がりまたは立ち下がりが検出される毎に、ステップ210で検出された今回の立ち上がりまたは立ち下がり以前の予め定められた個数分(T0〜T3の4個分)の検出された立ち上がりまたは立ち下がりの検出間隔を示す時間(T0、T1、T2、T3)の総和の時間E1が演算される。
次のステップ216では、変数T0、変数T1、変数T2、及び変数T3の全ての変数の値が0より大きいか否かを判定することにより、詳細を以下で説明するステップ218で速度を演算する際に必要となる情報が全て揃っているか否かを判断する。
ステップ216で、変数T0、変数T1、変数T2、及び変数T3の全ての変数のうち、値が0となる変数が存在すると判定された場合には、詳細を以下で説明するステップ218で速度を演算する際に必要となる情報が全て揃っていないと判断して、ステップ208へ戻る。一方、ステップ216で、変数T0、変数T1、変数T2、及び変数T3の全ての変数の値が0より大きいと判定された場合には、詳細を以下で説明するステップ218で速度を演算する際に必要となる情報が全て揃っていると判断して、次のステップ218へ進む。
ステップ218では、上記ステップ214で演算された総和の時間E1と、パルス信号の1パルスに対応する画像形成ドラム44の回転角度Θ0とに基づいて、画像形成ドラム44の回転に関する速度を演算する。より具体的には、ステップ218では、以下の式(1)に従って、回転角度Θ0当りの画像形成ドラム44の周面の移動距離(R0Θ0)を総和の時間E1で除して、画像形成ドラム44の周面速度Vを演算する。
V=(R0Θ0)/E1・・・式(1)
次のステップ220では、上記ステップ218で演算された周面速度Vの値をCPU70に出力(通知)する。
次のステップ222では、CPU70から速度演算処理の実行を停止する指示を受信したか否かを判定する。ステップ222で、速度演算処理の実行を停止する指示を受信していないと判定された場合には、ステップ208へ戻る。一方、ステップ222で、速度演算処理の実行を停止する指示を受信したと判定された場合には、本速度演算処理を終了する。
ここで、図5に示す画像形成制御処理の説明に戻る。次のステップ102では、FPGA79から周面速度Vの値を受信したか否かを判定する。ステップ102では、受信したと判定されるまで繰り返し判定処理を行う。ステップ102で受信したと判定された場合には、次のステップ104へ進む。
次のステップ104では、ROM72から距離X0を読み出し、上記速度演算処理で演算された周面速度Vを用いて、以下の式(2)によりノズル48aからインク滴を吐出させるタイミングを規定するクロック信号の周期Pを演算する。
P=X0/V
=X0E1/(R0Θ0)・・・式(2)
次のステップ106では、演算された周期Pのクロック信号を生成して、当該クロック信号に同期させて、受信した画像情報に基づいてノズル48aからインク滴を吐出させる指示を記録ヘッドコントローラ84に出力する。これにより、記録ヘッドコントローラ84が、当該クロック信号に同期させて、受信した画像情報に基づいたインク滴を吐出させるようにノズル48aを制御することにより、記録用紙Wの搬送速度の変化の影響を受けることなく、記録用紙Wの記録面に当該画像情報により示される画像が形成される。
次のステップ108では、受信した画像情報の画像形成が終了したか否かを判定し、否定判定された場合には、ステップ102に戻る。一方、ステップ108で、肯定判定された場合には次のステップ110へ進む。ステップ110では、FPGA79に速度演算処理の実行を停止する指示を出力する。そして、画像形成制御処理を終了する。
以上、説明したように本実施の形態の画像形成装置10の速度演算装置は、回転する回転体としての画像形成ドラム44の回転に応じて、位相が異なる複数のパルス信号(本実施の形態ではA相、B相のパルス信号)を発生する発生手段としてのロータリエンコーダ52を含んで構成されている。本実施の形態の画像形成装置10の速度演算装置は、ロータリエンコーダ52によって発生された複数のパルス信号の各々のパルスの立ち上がり及び立ち下がりをステップ210で検出する。そして、本実施の形態の画像形成装置10の速度演算装置は、ステップ210で立ち上がりまたは立ち下がりが検出される毎に、ステップ210で検出された今回の立ち上がりまたは立ち下がり以前の予め定められた個数分(T0、T1、T2、T3の4個分)の検出された立ち上がりまたは立ち下がりの検出間隔を示す時間(T0、T1、T2、T3)の総和の時間E1をステップ214で演算する。そして、本実施の形態の画像形成装置10の速度演算装置は、総和の時間E1と、ロータリエンコーダ52によって発生されたパルス信号の1パルスに対応する画像形成ドラム44の回転角度Θ0とに基づいて、画像形成ドラム44の回転に関する速度をステップ218で演算する。より具体的には、パルス信号の1パルスに対応する画像形成ドラム44の回転角度Θ0当りの画像形成ドラム44の周面の移動距離(R0Θ0)を総和の時間E1で除して、画像形成ドラム44の周面速度Vをステップ218で演算する。また、本実施の形態の画像形成装置10は、各々画像を構成するドットをクロック信号に同期して所定面に形成する複数の画像形成素子としてのノズル48aが配置された記録ヘッド48を含んで構成されており、画像形成ドラム44は、複数のノズル48aの各々により記録媒体としての記録用紙Wに画像が形成されるように、記録用紙Wを周面に保持した状態で、周面が複数のノズル48aと対向して回転するようになっている。そして、本実施の形態の画像形成装置10は、速度演算装置によって演算された周面速度Vと、隣接するドット間の距離X0とに基づいてクロック信号の周期Pをステップ104で演算する。これにより、例えば、図7(A)に示す実速度V(61)に対する従来の技術のみを備えた画像形成装置によってロータリエンコーダからのパルス信号に基づいて検知された速度62が示す画像形成ドラムの周面速度Vの変動の追従性と、図7(B)に示す実速度V(63)に対する本実施の形態の画像形成装置10の速度演算装置によってロータリエンコーダ52からの複数のパルス信号に基づいて検知された速度64が示す画像形成ドラム44の周面速度Vの変動の追従性とを比較すると、時刻t6以降では本実施の形態の画像形成装置10のほうが良好であることが分かる。
なお、上記では、予め定められた個数分(T0、T1、T2、T3の4個分)の検出された立ち上がりまたは立ち下がりの検出間隔を示す時間(T0、T1、T2、T3)の総和の時間E1を用いて周面速度Vを演算する例について説明したが、検出間隔を示す時間(T0、T1、T2、T3)を用いて周面速度を演算することにより、画像形成ドラム44の実周面速度の変動に近づける方法も考えられる。しかしながら、この方法は次の理由により、演算された周面速度の精度が低下してしまう。ここで、その理由を図8を用いて説明する。図8は、ロータリエンコーダから出力されるA相、B相のパルス信号のパルスと、FPGAのエッジ検出(立ち上がり及び立ち下がり検出)のスレッシュホルド(閾値)を示している。ロータリエンコーダの出力パルスは、微視的には傾きを有しており、例えば同図に示すように、スレッシュホルドがパルス電圧の中間より低い場合には、立ち上がり〜立ち下がり間の方が、立ち下がり〜立ち上がり間よりも短くなってしまう。また、A相とB相の位相は検出器(すなわち、ここではロータリエンコーダの検出器)の位置精度に依存している。そのため、1パルスを4分割しても位相差は正確に90°にならない。すなわち、1パルスが厳密には等分割されない。そのため、上記の方法でクロック信号の周期Pを演算して、演算された周期Pのクロック信号を画像形成の際に用いると精度が低下する。これらの理由から、総和の時間E1を用いて周面速度Vを演算することが好ましい。
また、従来の技術を備えた画像形成装置及び本実施の形態の画像形成装置10において、図9に示すように、主走査方向に単ドットライン(1ライン)を描画して、ドットの位置ずれδを計測した。計測結果を下記の表1に示す。
表1に示すように、従来の技術を備えた画像形成装置では、ドットの位置ずれδは3.3μmであり、本実施の形態の画像形成装置10では、ドットの位置ずれδは2.2μmであった。
なお、このときの条件は下記に示す通りである。
条件
回転速度V0:200[mm/sec]
印字胴(画像形成ドラム)半径R:100[mm]
速度変動ΔV:1%
速度変動周期:5Hz
二次元ヘッドノズル間距離L:4mm
ロータリエンコーダ:500[pulse/revolution]
FPGAクロック周波数:20MHz
[第2の実施形態]
次に第2の実施形態について説明する。なお、本実施の形態において、第1の実施の形態と同一の部分には同一の符号を付し、説明を省略する。
第1の実施の形態では、ROM72に図6に示す速度演算処理を実行するためのプログラムが予め記憶されており、FPGA79が、プログラムをROM72から読み出して図6に示す速度演算処理を実行する例について説明した。本実施の形態では、ROM72に図10に示す速度演算処理を実行するためのプログラムが予め記憶されており、FPGA79が、プログラムをROM72から読み出して図10に示す速度演算処理を実行する。
ここで、図10を参照して本実施の形態のFPGA79が実行する速度演算処理について説明する。
ステップ200、202、204(ステップ200〜204)は第1の実施の形態と同様であるので説明を省略する。本実施の形態では、ステップ204の次にステップ207に進む。ステップ207では、変数i、変数T0、変数T1、変数T2、変数T3、変数T4、変数E1、及び変数E2の各変数の値を0に設定することにより各変数を初期化する。
次のステップ208では、第1の実施の形態と同様に、詳細を以下で説明するステップ210の処理の前回の検出から今回の検出までの時間を測定するためのタイマーを開始する。
次のステップ210では、第1の実施の形態と同様に、ロータリエンコーダ52から出力されたA相、B相の2つのパルス信号の各々のパルスの立ち上がり及び立ち下がりを検出する。
次のステップ212では、第1の実施の形態と同様に、上記ステップ210でパルスの立ち上がりが検出されたか、または、パルスの立ち下がりが検出されたか否かを判定する。ステップ212で、上記ステップ210でパルスの立ち上がりが検出されたか、または、パルスの立ち下がりが検出されたと判定された場合には、次のステップ215へ進む。一方、ステップ212で、上記ステップ210でパルスの立ち上がりが検出されず、かつ、パルスの立ち下がりが検出されなかったと判定された場合には、ステップ210へ戻り、再びロータリエンコーダ52から出力されたA相、B相の2つのパルス信号の各々のパルスの立ち上がり及び立ち下がりを検出する。
ステップ215では、変数T1の値を変数T0に設定することにより変数T0の値を更新し、変数T2の値を変数T1に設定することにより変数T1の値を更新し、変数T3の値を変数T2に設定することにより変数T2の値を更新し、変数T4の値を変数T3に設定することにより変数T3の値を更新し、変数iの値を変数T4に設定することにより変数T4の値を更新する。そして、変数T0の値と変数T1の値と変数T2の値と変数T3の値との和(T0+T1+T2+T3)を変数E1に設定することにより変数E1の値を更新し、変数T1の値と変数T2の値と変数T3の値と変数T4の値との和(T1+T2+T3+T4)を変数E2に設定することにより変数E2の値を更新する。そして、上記ステップ208で開始されたタイマーを停止して変数iの値を0に設定することにより初期化を行う。なお、本ステップ215で変数T4に設定される変数iの値は、直近の上記ステップ210での処理におけるパルスの立ち上がりの検出、または、パルスの立ち下がりの検出が1回目(初回)である場合には、本速度演算処理が開始されてから1回目の検出までの時間であり、直近の上記ステップ210での処理におけるパルスの立ち上がりの検出、または、パルスの立ち下がりの検出が2回目以降である場合には、前回のステップ210の処理による検出から今回のステップ210の処理による検出までの時間である。すなわち、本ステップ215では、ステップ210で立ち上がりまたは立ち下がりが検出される毎に、ステップ210で検出された今回の立ち上がりまたは立ち下がり以前の予め定められた個数分(T0〜T3の4個分)の検出された立ち上がりまたは立ち下がりの検出間隔を示す時間(T0、T1、T2、T3)の総和の時間E1が演算されると共に、ステップ210で検出された今回の立ち上がりまたは立ち下がり以前の予め定められた第1の個数分(T1〜T4の4個分)の検出された立ち上がりまたは立ち下がりの検出間隔を示す時間(T1、T2、T3、T4)の総和の時間E2が演算される。
次のステップ217では、変数T0、変数T1、変数T2、変数T3、及び変数T4の全ての変数の値が0より大きいか否かを判定することにより、詳細を以下で説明するステップ221で速度を演算する際に必要となる情報が全て揃っているか否かを判断する。
ステップ217で、変数T0、変数T1、変数T2、変数T3、及び変数T4の全ての変数のうち、値が0となる変数が存在すると判定された場合には、詳細を以下で説明するステップ221で速度を演算する際に必要となる情報が全て揃っていないと判断して、ステップ208へ戻る。一方、ステップ217で、変数T0、変数T1、変数T2、変数T3、及び変数T4の全ての変数の値が0より大きいと判定された場合には、詳細を以下で説明するステップ221で速度を演算する際に必要となる情報が全て揃っていると判断して、次のステップ219へ進む。
ステップ219では、上記ステップ215で演算された総和の時間E1、E2毎に、予め定められた個数分(本実施の形態ではE1、E2の2個分であり、この個数を第3の個数と呼ぶ)の総和の時間E1、E2を履歴として記憶手段としてのNVM76に記憶させるように制御する。これにより、NVM76には総和の時間E1、E2が記憶される。
次のステップ221では、NVM76に記憶された第3の個数分の総和の時間E1、E2のうち、第2の個数分の総和の時間E1、E2(本実施の形態ではE1、E2の2個分)と、パルス信号の1パルスに対応する画像形成ドラム44の回転角度Θ0とに基づいて、画像形成ドラム44の回転に関する速度を演算する。より具体的には、ステップ221では、NVM76に記憶された予め定められた第3の個数分の総和の時間E1、E2のうち、予め定められた第2の個数分(本実施の形態ではE1、E2の2個分)の総和の時間E1、E2に基づいて、線形外挿によって、次回に演算する画像形成ドラム44の回転に関する速度(本実施の形態では周面速度V)を演算するための時間Eを推定し、以下の式(3)に従って、回転角度Θ0当りの画像形成ドラム44の周面の移動距離(R0Θ0)を推定した時間Eで除して、画像形成ドラム44の周面速度Vを演算する。
V=(R0Θ0)/E・・・式(3)
そして、ステップ220へ進み、第1の実施の形態と同様に、以降の処理を行う。
ここで、図11を参照して、ステップ221の処理について具体的に説明する。
図11に示されるように、直近のロータリエンコーダ52からのパルス信号が示す周期(総和の時間)をE2、そのひとつ前の周期(総和の時間)をE1とする。E1により演算される速度V1(=(R0Θ0)/E1)はt1〜t5間の平均速度、E2により演算される速度V2(=(R0Θ0)/E2)はt2〜t6間の平均速度である。これらの速度V1、速度V2は、それぞれ時刻t3、t4における速度に相当する。
ここで、E1、E2から測定したい速度は、t6〜t7間の速度Vである。ti〜ti+1間隔が略等間隔であるとすれば、t6〜t7間の中間点における速度Vは線形外挿によって以下の式(4)で表される。
V=(R0Θ0)/(3.5*E2−2.5*E1)
=2(R0Θ0)/(7*E2−5*E1)・・・式(4)
なお、「*」は乗算を示す記号である。すなわち、「A*B」は、AとBとの積を表す。
この場合における周面速度Vの変動の追従の様子は図12に示すようになる。
そして、ステップ220へ進み、第1の実施の形態と同様に、以降の処理を行う。
なお、本実施の形態のステップ102で演算されるクロック信号の周期Pは、以下の式(5)に示すものとなる。
P=X0/V
=X0(3.5*E2−2.5*E1)/(R0Θ0)
=X0(7*E2−5*E1)/2(R0Θ0)・・・式(5)
なお、上記ではt6〜t7間の中間点における速度を推測したが、t6における速度を代表速度Vとして推測してもよい。このときステップ221では、NVM76に記憶された予め定められた第3の個数分の総和の時間E1、E2のうち、予め定められた第2の個数分(本実施の形態ではE1、E2の2個分)の総和の時間E1、E2に基づいて、線形外挿によって、次回に以降に演算される総和の時間Eを推定し、回転角度Θ0当りの画像形成ドラム44の周面の移動距離(R0Θ0)を推定した総和の時間Eで除して、画像形成ドラム44の周面速度Vを演算する。このときステップ102で演算されるクロック信号の周期Pは以下の式(6)で表される。
P=X0/V
=X0(3*E2−2*E1)/(R0Θ0)・・・式(6)
同様に、t7における速度を代表速度Vとして推測してもよい。このときステップ221では、NVM76に記憶された予め定められた第3の個数分の総和の時間E1、E2のうち、予め定められた第2の個数分(本実施の形態ではE1、E2の2個分)の総和の時間E1、E2に基づいて、線形外挿によって、次回に以降に演算される総和の時間Eを推定し、回転角度Θ0当りの画像形成ドラム44の周面の移動距離(R0Θ0)を推定した総和の時間Eで除して、画像形成ドラム44の周面速度Vを演算する。このときステップ102で演算されるクロック信号の周期Pは以下の式(7)で表される。
P=X0/V
=X0(4*E2−3*E1)/(R0Θ0)・・・式(7)
また、従来の技術を備えた画像形成装置と本実施の形態の画像形成装置10とにおいて、図9に示すように、主走査方向に単ドットライン(1ライン)を描画して、ドットの位置ずれδを計測した。計測結果を下記の表2に示す。
表2に示すように、従来の技術を備えた画像形成装置では、ドットの位置ずれδは3.3μmであり、本実施の形態の画像形成装置10では、ドットの位置ずれδは1.5μmであった。
なお、このときの条件は表1で説明した条件と同じである。
以上、説明したように本実施の形態の画像形成装置10の速度演算装置は、ステップ210で立ち上がりまたは立ち下がりが検出される毎に、ステップ210で検出された今回の立ち上がりまたは立ち下がり以前の予め定められた第1の個数分(T0、T1、T2、T3の4個分、T1、T2、T3、T4の4個分)の検出された立ち上がりまたは立ち下がりの検出間隔を示す時間(T0〜T3、T1〜T4)の総和E1、E2の時間をステップ215で演算し、演算された総和の時間E1、E2毎に、予め定められた個数分(本実施の形態では2個分)の総和の時間E1、E2を履歴としてNVM76に記憶させるようにステップ219で制御し、NVM76に記憶された予め定められた個数分の総和の時間E1、E2のうち、第2の個数分(本実施の形態では2個分)の総和の時間E1、E2に基づいて時間Eを推定し、回転角度Θ0当りの画像形成ドラム44の周面の移動距離(R0Θ0)を、推定した時間Eで除して、画像形成ドラム44の周面速度Vをステップ221で演算する。
なお、予め定められた第3の個数及び第2の個数を2より大きい複数として、ステップ221で、第2の個数分の総和の時間に基づいて、高次外挿によって時間Eを推定するようにしてもよい。また、予め定められた第3の個数と第2の個数とが同じ数でなくともよく、予め定められた第3の個数が第2の個数以上であればよい。
[第3の実施形態]
次に第3の実施形態について説明する。なお、本実施の形態において、第1の実施の形態と同一の部分には同一の符号を付し、説明を省略する。
第1の実施の形態では、ROM72に図5に示す画像形成制御処理、及び図6に示す速度演算処理を実行するためのプログラムが予め記憶されており、CPU70が、プログラムをROM72から読み出して図5に示す画像形成制御処理を実行すると共に、FPGA79が、プログラムをROM72から読み出して図6に示す速度演算処理を実行する例について説明した。本実施の形態では、ROM72に図13に示す画像形成制御処理、及び図14に示す速度演算処理を実行するためのプログラムが予め記憶されており、CPU70が、プログラムをROM72から読み出して図13に示す画像形成制御処理を実行すると共に、FPGA79が、プログラムをROM72から読み出して図14に示す速度演算処理を実行する。
ここで、図13を参照して本実施の形態のCPU70が実行する画像形成制御処理について説明する。
まず、第1の実施の形態と同様に、ステップ100では、FPGA79に速度演算処理の実行を開始する指示を出力することにより、速度演算処理の実行を開始するようにFPGA79を制御する。
ここで、図14を参照して本実施の形態のFPGA79が実行する速度演算処理について説明する。
まず、ステップ201では、ROM72から回転角度Θ0を読み出す。そして、ステップ202へ進む。
なお、ステップ202、204、206、208、210、212、214、216(ステップ202〜216)は第1の実施の形態と同様であるので説明を省略する。本実施の形態では、ステップ216で、変数T0、変数T1、変数T2、及び変数T3の全ての変数の値が0より大きいと判定された場合(肯定判定された場合)には、詳細を以下で説明するステップ230で速度を演算する際に必要となる情報が全て揃っていると判断して、次のステップ230へ進む。
ステップ230では、上記ステップ214で演算された時間E1と、パルス信号の1パルスに対応する画像形成ドラム44の回転角度Θ0とに基づいて、画像形成ドラム44の回転に関する速度を演算する。より具体的には、ステップ230では、以下の式(8)に従って、回転角度Θ0を時間E1で除して、画像形成ドラム44の角速度Wを演算する。
W=Θ0/E1・・・式(8)
次のステップ232では、上記ステップ230で演算された角速度Wの値をCPU70に出力(通知)する。そして、ステップ222へ進む。
ここで、図13に示す画像形成制御処理の説明に戻る。次のステップ103では、FPGA79から角速度Wの値を受信したか否かを判定する。ステップ103では、受信したと判定されるまで繰り返し判定処理を行う。ステップ103で受信したと判定された場合には、次のステップ105へ進む。
次のステップ105では、ROM72から距離R0及び距離X0を読み出し、上記速度演算処理で演算された角速度Wを用いて、以下の式(9)によりノズル48aからインク滴を吐出させるタイミングを規定するクロック信号の周期Pを演算する。
P=X0/R0W
=X0E1/(R0Θ0)・・・式(9)
そして、ステップ106へ進み、以降の処理を第1の実施の形態と同様に行う。なお、本実施の形態では、ステップ108で否定判定された場合には、ステップ103に戻ることとする。
以上、説明したように本実施の形態の画像形成装置10の速度演算装置は、回転する回転体としての画像形成ドラム44の回転に応じて、位相が異なる複数のパルス信号(本実施の形態ではA相、B相のパルス信号)を発生する発生手段としてのロータリエンコーダ52を含んで構成されている。本実施の形態の画像形成装置10の速度演算装置は、ロータリエンコーダ52によって発生された複数のパルス信号の各々のパルスの立ち上がり及び立ち下がりをステップ210で検出する。そして、本実施の形態の画像形成装置10の速度演算装置は、ステップ210で立ち上がりまたは立ち下がりが検出される毎に、ステップ210で検出された今回の立ち上がりまたは立ち下がり以前の予め定められた個数分(T0、T1、T2、T3の4個分)の検出された立ち上がりまたは立ち下がりの検出間隔を示す時間(T0、T1、T2、T3)の総和の時間E1をステップ214で演算する。そして、本実施の形態の画像形成装置10の速度演算装置は、総和の時間E1と、ロータリエンコーダ52によって発生されたパルス信号の1パルスに対応する画像形成ドラム44の回転角度Θ0とに基づいて、画像形成ドラム44の回転に関する速度をステップ230で演算する。より具体的には、パルス信号の1パルスに対応する画像形成ドラム44の回転角度Θ0を総和の時間E1で除して、画像形成ドラム44の角速度Wをステップ230で演算する。また、本実施の形態の画像形成装置10は、各々画像を構成するドットをクロック信号に同期して所定面に形成する複数の画像形成素子としてのノズル48aが配置された記録ヘッド48を含んで構成されており、画像形成ドラム44は、複数のノズル48aの各々により記録媒体としての記録用紙Wに画像が形成されるように、記録用紙Wを周面に保持した状態で、周面が複数のノズル48aと対向して回転するようになっている。そして、本実施の形態の画像形成装置10は、速度演算装置によって演算された角速度Wと、画像形成ドラム44の軸心と画像形成ドラム44の周面との距離R0と、隣接するドット間の距離X0とに基づいてクロック信号の周期Pをステップ105で演算する。
[第4の実施形態]
次に第4の実施形態について説明する。なお、本実施の形態において、第1の実施の形態、第2の実施の形態、及び第3の実施の形態と同一の部分には同一の符号を付し、説明を省略する。
本実施の形態では、ROM72に図13に示す画像形成制御処理、及び図15に示す速度演算処理を実行するためのプログラムが予め記憶されており、CPU70が、プログラムをROM72から読み出して図13に示す画像形成制御処理を実行すると共に、FPGA79が、プログラムをROM72から読み出して図15に示す速度演算処理を実行する。
ここで、図15を参照して本実施の形態のFPGA79が実行する速度演算処理について説明する。
まず、第3の実施の形態と同様に、ステップ201では、ROM72から回転角度Θ0を読み出す。そして、ステップ202へ進む。
なお、ステップ202、204、207、208、210、212、215、217、219(ステップ202〜219)は第2の実施の形態と同様であるので説明を省略する。本実施の形態では、ステップ219の次にステップ240へ進む。
ステップ240では、予め定められた第2の個数分の総和の時間E1、E2(本実施の形態ではE1、E2の2個分)と、パルス信号の1パルスに対応する画像形成ドラム44の回転角度Θ0とに基づいて、画像形成ドラム44の回転に関する速度を演算する。より具体的には、ステップ240では、NVM76に記憶された総和の時間E1、E2のうち、予め定められた第2の個数分(本実施の形態ではE1、E2の2個分)の総和の時間E1、E2に基づいて、第2の実施の形態と同様に、線形外挿によって、次回に演算する画像形成ドラム44の回転に関する速度(本実施の形態では角速度W)を演算するための時間Eを推定し、以下の式(10)に従って、回転角度Θ0を推定した時間Eで除して、画像形成ドラム44の角速度Wを演算する。
W=Θ0/E
=Θ0/(3.5*E2−2.5*E1)
=2Θ0/(7*E2−5*E1)・・・式(10)
そして、次のステップ242へ進む。ステップ242では、上記ステップ240で演算された角速度Wの値をCPU70に出力(通知)する。そして、ステップ222へ進み、第3の実施の形態と同様に、以降の処理を行う。
なお、上記ではt6〜t7間の中間点における速度を推測したが、t6における速度を代表速度Wとして推測してもよい。このときステップ240で演算される角速度Wは以下の式(11)で表される。
W=Θ0/(3*E2−2*E1)・・・式(11)
同様に、t7における速度を代表速度Wとして推測してもよい。このときステップ240で演算される角速度Wは以下の式(12)で表される。
W=Θ0/(4*E2−3*E1)・・・式(12)
以上、説明したように本実施の形態の画像形成装置10の速度演算装置は、ステップ210で立ち上がりまたは立ち下がりが検出される毎に、ステップ210で検出された今回の立ち上がりまたは立ち下がり以前の予め定められた第1の個数分(T0、T1、T2、T3の4個分、T1、T2、T3、T4の4個分)の検出された立ち上がりまたは立ち下がりの検出間隔を示す時間(T0〜T3、T1〜T4)の総和E1、E2の時間をステップ215で演算し、演算された総和の時間E1、E2毎に、予め定められた個数分(本実施の形態では2個分)の総和の時間E1、E2を履歴としてNVM76に記憶させるようにステップ219で制御し、NVM76に記憶された予め定められた個数分の総和の時間E1、E2のうち、第2の個数分(本実施の形態では2個分)の総和の時間E1、E2に基づいて時間Eを推定し、回転角度Θ0を、推定した時間Eで除して、画像形成ドラム44の角速度Wをステップ240で演算する。
[第5の実施形態]
次に第5の実施形態について説明する。なお、本実施の形態において、第1の実施の形態、第2の実施の形態、第3の実施の形態、及び第4の実施の形態と同一の部分には同一の符号を付し、説明を省略する。
本実施の形態では、ROM72に図5に示す画像形成制御処理、及び図16に示す速度演算処理を実行するためのプログラムが予め記憶されており、CPU70が、プログラムをROM72から読み出して図5に示す画像形成制御処理を実行すると共に、FPGA79が、プログラムをROM72から読み出して図16に示す速度演算処理を実行する。
ここで、図16を参照して本実施の形態のFPGA79が実行する速度演算処理について説明する。
ステップ200、202、204(ステップ200〜204)は第1の実施の形態と同様であるので説明を省略する。本実施の形態では、ステップ204の次にステップ250に進む。
ステップ250では、変数i、変数T0、変数T1、変数T2、変数T3、変数E1、変数V1、及び変数V2の各変数の値を0に設定することにより各変数を初期化する。そして、ステップ208へ進む。ここで、ステップ208、210、212、214、216(ステップ208〜216)は第1の実施の形態と同様であるので説明を省略する。本実施の形態では、ステップ216で肯定判定された場合に、ステップ252へ進む。
ステップ252では、総和の時間E1と、パルス信号の1パルスに対応する画像形成ドラム44の回転角度Θ0とに基づいて、画像形成ドラム44の回転に関する速度Vkを検出する。より具体的には、ステップ252では、以下の式(13)に従って、回転角度Θ0当りの画像形成ドラム44の周面の移動距離(R0Θ0)を総和の時間E1で除して、画像形成ドラム44の周面速度Vkを検出する。
Vk=(R0Θ0)/E1・・・式(13)
なお、ステップ252は、速度演算手段の速度検出部に対応する。
次のステップ254では、変数V2の値を変数V1に設定することにより変数V1の値を更新し、検出されたVkの値を変数V2に設定することにより変数V2の値を更新する。
次のステップ256では、変数V1、及び変数V2の全ての変数の値が0より大きいか否かを判定することにより、詳細を以下で説明するステップ258で速度を演算する際に必要となる情報が全て揃っているか否かを判断する。
ステップ256で、変数V1、及び変数V2の全ての変数のうち、値が0となる変数が存在すると判定された場合には、詳細を以下で説明するステップ258で速度を演算する際に必要となる情報が全て揃っていないと判断して、ステップ208へ戻る。一方、ステップ256で、変数V1、及び変数V2の全ての変数の値が0より大きいと判定された場合には、詳細を以下で説明するステップ258で速度を演算する際に必要となる情報が全て揃っていると判断して、次のステップ258へ進む。
ステップ258では、以下の式(14)に従って、予め定められた第2の個数分(本実施の形態では、V1、V2の2個分)の画像形成ドラム44の回転に関する速度(本実施の形態では周面速度)に基づいて、線形外挿によって、ステップ252で今回検出された画像形成ドラム44の回転に関する速度以降に検出される画像形成ドラム44の回転に関する速度を推定することにより演算する。より具体的には、ステップ258では、以下の式(14)に従って、予め定められた第2の個数分の周面速度V1、V2に基づいて、ステップ252で今回検出された周面速度Vk以降に検出される画像形成ドラム44の周面速度Vを推定することにより演算する。
V=3*V2−2*V1・・・式(14)
なお、ステップ258で、以下の式(15)に従って、周面速度Vを推定するようにしてもよい。
V=4*V2−3*V1・・・式(15)
また、ステップ254、256、258(ステップ254〜258)は、速度演算手段の速度演算部に対応する。
次のステップ260では、上記ステップ258で演算された周面速度Vの値をCPU70に出力(通知)する。そして、ステップ222へ進む。
以上、説明したように本実施の形態の画像形成装置10の速度演算装置は、ステップ210で立ち上がりまたは立ち下がりが検出される毎に、ステップ210で検出された今回の立ち上がりまたは立ち下がり以前の予め定められた第1の個数分(T0、T1、T2、T3の4個分、T1、T2、T3、T4の4個分)の検出された立ち上がりまたは立ち下がりの検出間隔を示す時間(T0〜T3、T1〜T4)の総和E1の時間をステップ214で演算し、演算された総和の時間E1と、回転角度Θ0とに基づいて、画像形成ドラム44の回転に関する速度(本実施の形態では周面速度V)をステップ252で検出し、ステップ252で予め定められた個数分(本実施の形態では、V1、V2の2個分)の画像形成ドラム44の回転に関する速度が検出された以降(ステップ256で肯定判定される場合)に、ステップ252で検出される画像形成ドラム44の回転に関する速度をステップ258で推定することにより演算する。
[第6の実施形態]
次に第6の実施形態について説明する。なお、本実施の形態において、第1の実施の形態、第2の実施の形態、第3の実施の形態、第4の実施の形態、及び第5の実施の形態と同一の部分には同一の符号を付し、説明を省略する。
本実施の形態では、ROM72に図13に示す画像形成制御処理、及び図17に示す速度演算処理を実行するためのプログラムが予め記憶されており、CPU70が、プログラムをROM72から読み出して図13に示す画像形成制御処理を実行すると共に、FPGA79が、プログラムをROM72から読み出して図17に示す速度演算処理を実行する。
ここで、図17を参照して本実施の形態のFPGA79が実行する速度演算処理について説明する。
ステップ201、202、204(ステップ201〜204)は第3の実施の形態と同様であるので説明を省略する。本実施の形態では、ステップ204の次にステップ261に進む。
ステップ261では、変数i、変数T0、変数T1、変数T2、変数T3、変数E1、変数W1、及び変数W2の各変数の値を0に設定することにより各変数を初期化する。そして、ステップ208へ進む。ここで、ステップ208、210、212、214、216(ステップ208〜216)は第1の実施の形態(または第3の実施の形態)と同様であるので説明を省略する。本実施の形態では、ステップ216で肯定判定された場合に、ステップ262へ進む。
ステップ262では、総和の時間E1と、パルス信号の1パルスに対応する画像形成ドラム44の回転角度Θ0とに基づいて、画像形成ドラム44の回転に関する速度Wkを検出する。より具体的には、ステップ262では、以下の式(16)に従って、回転角度Θ0を総和の時間E1で除して、画像形成ドラム44の周面速度Wkを検出する。
Wk=Θ0/E1・・・式(16)
なお、ステップ262は、速度演算手段の速度検出部に対応する。
次のステップ264では、変数W2の値を変数W1に設定することにより変数W1の値を更新し、検出されたWkの値を変数W2に設定することにより変数W2の値を更新する。
次のステップ266では、変数W1、及び変数W2の全ての変数の値が0より大きいか否かを判定することにより、詳細を以下で説明するステップ268で速度を演算する際に必要となる情報が全て揃っているか否かを判断する。
ステップ266で、変数W1、及び変数W2の全ての変数のうち、値が0となる変数が存在すると判定された場合には、詳細を以下で説明するステップ268で速度を演算する際に必要となる情報が全て揃っていないと判断して、ステップ208へ戻る。一方、ステップ266で、変数W1、及び変数W2の全ての変数の値が0より大きいと判定された場合には、詳細を以下で説明するステップ268で速度を演算する際に必要となる情報が全て揃っていると判断して、次のステップ268へ進む。
ステップ268では、以下の式(17)に従って、線形外挿によって、予め定められた第2の個数分(本実施の形態では、W1、W2の2個分)の画像形成ドラム44の回転に関する速度(本実施の形態では角速度)に基づいて、ステップ262で今回検出された画像形成ドラム44の回転に関する速度Wk以降に検出される画像形成ドラム44の回転に関する速度を推定することにより演算する。より具体的には、ステップ268では、以下の式(17)に従って、予め定められた第2の個数分の周面速度W1、W2に基づいて、ステップ262で今回検出された角速度Wk以降に検出される画像形成ドラム44の角速度Wを推定することにより演算する。
W=3*W2−2*W1・・・式(17)
なお、ステップ268で、以下の式(18)に従って、角速度Wを推定するようにしてもよい。
W=4*W2−3*W1・・・式(18)
また、ステップ264、266、268(ステップ264〜268)は、速度演算手段の速度演算部に対応する。
次のステップ270では、上記ステップ268で演算された角速度Wの値をCPU70に出力(通知)する。そして、ステップ222へ進む。
以上、説明したように本実施の形態の画像形成装置10の速度演算装置は、ステップ210で立ち上がりまたは立ち下がりが検出される毎に、ステップ210で検出された今回の立ち上がりまたは立ち下がり以前の予め定められた第1の個数分(T0、T1、T2、T3の4個分、T1、T2、T3、T4の4個分)の検出された立ち上がりまたは立ち下がりの検出間隔を示す時間(T0〜T3、T1〜T4)の総和E1の時間をステップ214で演算し、演算された総和の時間E1と、回転角度Θ0とに基づいて、画像形成ドラム44の回転に関する速度(本実施の形態では角速度Wk)をステップ262で検出し、ステップ262で予め定められた個数分(本実施の形態では、W1、W2の2個分)の画像形成ドラム44の回転に関する速度が検出された以降(ステップ266で肯定判定される場合)に、ステップ262で検出される画像形成ドラム44の回転に関する速度をステップ268で推定することにより演算する。
なお、上記の各実施の形態(第1の実施の形態、第2の実施の形態、第3の実施の形態、第4の実施の形態、第5の実施の形態、及び第6の実施の形態)では、図1に示す構成の画像形成装置10における回転体としての画像形成ドラム44の回転に関する速度(周面速度V、または角速度W)を演算する際に本発明を適用した一例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、回転体の速度を演算する際に本発明を適用することができる。例えば、図18に示すような画像形成装置312における回転体としての駆動ローラ324の速度(周面速度または角速度)を演算することにより、搬送ベルト328の搬送速度を検出して、搬送速度に応じてクロック信号の周期Pを変更する場合等にも本発明を適用できる。
ここで、図18に示す画像形成装置312の概略構成について説明する。図18に示されるように、画像形成装置312の筐体314内の下部には給紙トレイ316が備えられており、給紙トレイ316内に積層された記録用紙Wをピックアップローラ318で1枚ずつ取り出すことができる。取り出された記録用紙Wは、所定の搬送経路322を構成する複数の搬送ローラ対320で搬送される。以下、単に「搬送方向」というときは、記録用紙Wの搬送方向をいい、「上流」、「下流」というときはそれぞれ、搬送方向の上流及び下流を意味するものとする。
給紙トレイ316の上方には、駆動ローラ324及び従動ローラ326に張架された無端状の搬送ベルト328が配置されている。駆動ローラ324は、モータ30の駆動力を受けて回転する。また、駆動ローラ324は、ロータリエンコーダ52を備えている。
搬送ベルト328の上方には記録ヘッドアレイ330が配置されており、搬送ベルト328の平坦部分328Fに対向している。この対向した領域が、記録ヘッドアレイ330からインク滴が吐出される吐出領域SEとなっている。搬送経路322を搬送された記録用紙Wは、搬送ベルト328で保持されてこの吐出領域SEに至り、記録ヘッドアレイ330に対向した状態で、記録ヘッドアレイ330から画像情報に応じたインク滴が付着される。
そして、記録用紙Wを搬送ベルト328で保持した状態で搬送させることで、吐出領域SE内に記録用紙Wを通過させて画像形成を行うことができる。なお、記録用紙Wを搬送ベルト328で保持した状態で周回させることで、吐出領域SE内に複数回通過させて、いわゆるマルチパスによる画像記録を行うこともできる。
記録ヘッドアレイ330は、有効な記録領域が記録用紙Wの幅(搬送方向と直交する方向の長さ)以上とされた長尺状とされ、Y,M,C,Kの4色それぞれに対応した4つのインクジェット記録ヘッド332が搬送方向に沿って配置されており、フルカラーの画像を形成可能になっている。各インクジェット記録ヘッド332は、第1の実施形態で説明したインクジェット記録ヘッド48と同一の構成であり、インクジェット記録ヘッド48と同様にノズル48aを有している。各インクジェット記録ヘッド332は、第1の実施形態で説明した記録ヘッドコントローラ84によって作動が制御される。
記録ヘッドアレイ30の上流側には、図示しない電源が接続された帯電ローラ335が配置される。帯電ローラ335は、駆動ローラ324との間で搬送ベルト328及び記録用紙Wを挟みつつ従動し、記録用紙Wを搬送ベルト328に押圧する押圧位置と、搬送ベルト328から離間した離間位置との間を移動可能とされている。押圧位置では、記録用紙Wに電荷を与えて搬送ベルト328に静電吸着させる。
記録ヘッドアレイ330の下流側には、アルミプレート等で形成された剥離プレート340が配置されており、記録用紙Wを搬送ベルト328から剥離することができる。剥離された記録用紙Wは、剥離プレート340の下流側で排出経路344を構成する複数の排出ローラ対342で搬送され、筐体314の上部に設けられた排紙トレイ346に排出される。
剥離プレート340の下方には、従動ローラ326との間で搬送ベルト328を挟持可能なクリーニングローラ348が配置されており、当該クリーニングローラ348により搬送ベルト328の表面がクリーニングされる。
給紙トレイ316と搬送ベルト328の間には、複数の反転用ローラ対350で構成された反転経路352が設けられており、片面に画像記録された記録用紙Wを反転させて搬送ベルト328に保持させることで、記録用紙Wの両面への画像記録を容易に行えるようになっている。
搬送ベルト328と排紙トレイ346の間には、4色の各インクをそれぞれ貯留するインクタンク354が設けられている。インクタンク354のインクは、インク供給配管(図示省略)によって、記録ヘッドアレイ330に供給される。以上、図18を参照して画像形成装置312の構成について説明した。
また、上記各実施の形態では、A相、B相の2つのパルス信号を発生するロータリエンコーダ52を用いた例について説明したが、測定頻度を向上するためには更に多くのパルス信号を発生するエンコーダを用いてもよい。例えば、図19に示す、コードホイールの周囲に8個のディテクタを備えたエンコーダ55を用いてもよい。このエンコーダ55を用いれば、速度の変動の追従性が更に向上され、印字(画像形成)のためのクロック信号が高精度に生成される。
また、上記各実施の形態では、インクジェット記録ヘッド48,332を複数のノズル48aが副走査方向に2列に並べられた構造としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、インクジェット記録ヘッド48,332の構造は複数のノズル48aを副走査方向に重なることなく2次元に配置させていれば如何なる構造であっても良い。
また、上記各実施の形態では、インクジェット記録ヘッドにより記録用紙Wに直接画像を形成する形態の画像形成装置を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、中間転写体を介して記録用紙Wに画像を形成する形態の画像形成装置であっても良い。この場合、LED等の発光素子を備えた記録ヘッドにより回転体である感光体ドラムの周面(所定面)に潜像を形成し、当該潜像をトナー像にして当該トナー像を記録用紙の表面に転写する形態の画像形成装置が例示できる。
その他、上記各実施の形態で説明した画像形成装置10、312の構成は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において状況に応じて変更可能である。
また、上記各実施の形態で説明した演算式も一例であり、不要なパラメータを削除したり、新たにパラメータを追加しても良い。
また、上記各実施の形態で説明した各種処理プログラムの処理の流れも一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりすることができる。
[第7の実施形態]
図1は、本第7の実施形態に係る画像形成装置10の構成を示す側面図である。同図に示すように、画像形成装置10には、記録媒体としての記録用紙Wを給紙搬送する給紙搬送部12が設けられている。この給紙搬送部12の搬送方向下流側には記録用紙Wの搬送方向に沿って、記録用紙Wの記録面(表面)にインクと反応して色材(顔料)を凝集し、色材と溶媒との分離を促進するための処理液を塗布する処理液塗布部14、記録用紙Wの記録面に画像を形成する画像形成部16、記録面に形成された画像を乾燥させる乾燥部18、乾燥した画像を記録用紙Wに定着させる画像定着部20、及び画像が定着された記録用紙Wを排出部22へ搬送する排出搬送部24が順に設けられている。
給紙搬送部12は、記録用紙Wを収容した収容部26を備えている。また、収容部26にはモータ30が設けられている。更に、収容部26には給紙装置(図示省略)が設けられており、給紙装置によって記録用紙Wは収容部26から処理液塗布部14へ送り出される。
処理液塗布部14は、中間搬送ドラム28A及び処理液塗布ドラム36を備えている。中間搬送ドラム28Aは、収容部26と処理液塗布ドラム36とで挟まれる領域に回転自在に配設されており、中間搬送ドラム28Aの回転軸とモータ30の回転軸とにベルト32が張架されている。従って、モータ30の回転駆動力がベルト32を介して中間搬送ドラム28Aに伝達されることにより、中間搬送ドラム28Aは矢印A方向に回転する。
また、中間搬送ドラム28Aには、記録用紙Wの先端部を挟んで記録用紙Wを保持する保持部材34が設けられている。従って、収容部26から処理液塗布部14へ送り出された記録用紙Wは、保持部材34を介して中間搬送ドラム28Aの外周面に保持され、中間搬送ドラム28Aの回転によって処理液塗布ドラム36へ搬送される。
なお、後述する中間搬送ドラム28B〜28E、処理液塗布ドラム36、画像形成ドラム44、インク乾燥ドラム56、画像定着ドラム62及び排出搬送ドラム68についても、中間搬送ドラム28Aと同様に保持部材34が設けられている。そして、この保持部材34によって、上流側のドラムから下流側のドラムへ記録用紙Wの受け渡しが行われる。
処理液塗布ドラム36の回転軸は、ギア(図示省略)により中間搬送ドラム28Aの回転軸に連結されており、中間搬送ドラム28Aの回転力を受けて回転する。
中間搬送ドラム28Aによって搬送された記録用紙Wは、処理液塗布ドラム36の保持部材34を介して処理液塗布ドラム36に受け渡され、処理液塗布ドラム36の外周面に保持された状態で搬送される。
処理液塗布ドラム36の上部には、処理液塗布ローラ38が処理液塗布ドラム36の外周面に接触した状態で配設されており、処理液塗布ローラ38によって、処理液塗布ドラム36の外周面上の記録用紙Wの記録面に処理液が塗布される。
処理液塗布部14により処理液が塗布された記録用紙Wは、処理液塗布ドラム36の回転によって画像形成部16へ搬送される。
画像形成部16は、中間搬送ドラム28B及び画像形成ドラム44を備えている。中間搬送ドラム28Bの回転軸は、ギア(図示省略)を介して処理液塗布ドラム36の回転軸に連結されており、処理液塗布ドラム36の回転力を受けて回転する。
処理液塗布ドラム36によって搬送された記録用紙Wは、画像形成部16の中間搬送ドラム28Bの保持部材34を介して中間搬送ドラム28Bに受け渡され、中間搬送ドラム28Bの外周面に保持された状態で搬送される。
画像搬送手段としての画像形成ドラム44の回転軸は、ギア(図示省略)を介して中間搬送ドラム28Bの回転軸に連結されており、中間搬送ドラム28Bの回転力を受けて回転する。
中間搬送ドラム28Bによって搬送された記録用紙Wは、画像形成ドラム44の保持部材34を介して画像形成ドラム44に受け渡され、画像形成ドラム44の外周面に保持された状態で搬送される。
画像形成ドラム44の上方には、画像形成ドラム44の外周面に近接して、ヘッドユニット46が配設されている。このヘッドユニット46は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)の4色の各々に対応した4つの記録ヘッドとしてのインクジェット記録ヘッド48を備えており、これらのインクジェット記録ヘッド48は、画像形成ドラム44の周方向に沿って配列され、処理液塗布部14で記録用紙Wの記録面に形成された処理液層に重なるように後述するクロック信号に同期して後述するノズル48aからインク滴を吐出することにより画像を形成する。
画像形成ドラム44は、詳細を後述するロータリエンコーダ52を備えている。ロータリエンコーダ52は、画像形成ドラム44の回転に伴って、画像形成ドラム44の予め定められた回転基準位置を検出するためのパルス信号と、画像形成ドラム44の予め定められた回転基準位置からの回転角度を検出するためのパルス信号として位相差を有する複数相のパルス信号と、を発生するものである。
本第7の実施形態に係るロータリエンコーダ52は、一例として図20に示すように、中心部から放射状に外方へ延出されると共に周方向に沿って略等間隔に配置された複数の被検出部としてのスリット53Aが形成され、中心部が画像形成ドラム44の中心部に位置するように画像形成ドラム44に固定された回転体としての円板状のコードホイール53、及びスリット53Aを検出して位相差を有する複数相のパルス信号を発生する発生手段としてのパルス信号発生部55を含んで構成されている。なお、本第7の実施形態に係るパルス信号発生部55は、発光素子と受光素子とがコードホイール53を挟んで対向するように配置されて構成され、スリット53Aを検出してA相のパルス信号を発生するA相用透過型フォトセンサ(図示省略)、及び発光素子と受光素子とがコードホイール53を挟んで対向するように配置されて構成され、スリット53Aを検出してB相のパルス信号を発生するB相用透過型フォトセンサ(図示省略)から構成されている。
なお、本第7の実施形態では、コードホイール53に形成された隣接するスリット53A間隔がコードホイール53の基準回転角度Θ0(例えば、1.257ミリラジアン)に対応している。
また、図示は省略するが、コードホイール53には、複数のスリット53Aよりも中心部寄りに、画像形成ドラム44の予め定められた回転基準位置に相当するコードホイール53の回転基準位置を検出するための基準スリットが設けられており、画像形成装置10の筐体には、パルス信号発生部55を構成する透過型フォトセンサとは別に、基準スリットを検出するための透過型フォトセンサが設けられている。
画像形成部16により記録面に画像が形成された記録用紙Wは、画像形成ドラム44の回転によって乾燥部18へ搬送される。
乾燥部18は、中間搬送ドラム28C及びインク乾燥ドラム56を備えている。中間搬送ドラム28Cの回転軸は、ギア(図示省略)を介して画像形成ドラム44の回転軸に連結されており、画像形成ドラム44の回転力を受けて回転する。
画像形成ドラム44によって搬送された記録用紙Wは、中間搬送ドラム28Cの保持部材34を介して中間搬送ドラム28Cに受け渡され、中間搬送ドラム28Cの外周面に保持された状態で搬送される。
インク乾燥ドラム56の回転軸は、ギア(図示省略)を介して中間搬送ドラム28Cの回転軸に連結されており、中間搬送ドラム28Cの回転力を受けて回転する。
中間搬送ドラム28Cによって搬送された記録用紙Wは、インク乾燥ドラム56の保持部材34を介してインク乾燥ドラム56に受け渡され、インク乾燥ドラム56の外周面に保持された状態で搬送される。
インク乾燥ドラム56の上方には、インク乾燥ドラム56の外周面に近接して、温風ヒータ58が配設されている。温風ヒータ58による温風によって、記録用紙Wに形成された画像における余分な溶媒が除去される。乾燥部18により記録面の画像が乾燥された記録用紙Wは、インク乾燥ドラム56の回転によって画像定着部20へ搬送される。
画像定着部20は、中間搬送ドラム28D及び画像定着ドラム62を備えている。中間搬送ドラム28Dの回転軸は、ギア(図示省略)を介してインク乾燥ドラム56の回転軸に連結されており、インク乾燥ドラム56の回転力を受けて回転する。
インク乾燥ドラム56によって搬送された記録用紙Wは、中間搬送ドラム28Dの保持部材34を介して中間搬送ドラム28Dに受け渡され、中間搬送ドラム28Dの外周面に保持された状態で搬送される。
画像定着ドラム62の回転軸は、ギア(図示省略)を介して中間搬送ドラム28Dの回転軸に連結されており、中間搬送ドラム28Dの回転力を受けて回転する。
中間搬送ドラム28Dによって搬送された記録用紙Wは、画像定着ドラム62の保持部材34を介して画像定着ドラム62に受け渡され、画像定着ドラム62の外周面に保持された状態で搬送される。
画像定着ドラム62の上部には、内部にヒータを有する定着ローラ64が画像定着ドラム62の外周面に圧接・離間の選択ができる状態で配設されている。画像定着ドラム62の外周面に保持された記録用紙Wは、画像定着ドラム62の外周面と定着ローラ64の外周面とで挟持され、定着ローラ64の外周面に圧接した状態で上記ヒータで加熱されることにより、記録用紙Wの記録面に形成された画像の色材が記録用紙Wに融着し、当該記録用紙Wに画像が定着される。画像定着部20により画像が定着された記録用紙Wは、画像定着ドラム62の回転によって排出搬送部24へ搬送される。
排出搬送部24は、中間搬送ドラム28E及び排出搬送ドラム68を備えている。中間搬送ドラム28Eの回転軸は、ギア(図示省略)を介して画像定着ドラム62の回転軸に連結されており、画像定着ドラム62の回転力を受けて回転する。
画像定着ドラム62によって搬送された記録用紙Wは、中間搬送ドラム28Eの保持部材34を介して中間搬送ドラム28Eに受け渡され、中間搬送ドラム28Eの外周面に保持された状態で搬送される。
排出搬送ドラム68の回転軸は、ギア(図示省略)を介して中間搬送ドラム28Eの回転軸に連結されており、中間搬送ドラム28Eの回転力を受けて回転する。
中間搬送ドラム28Eによって搬送された記録用紙Wは、排出搬送ドラム68の保持部材34を介して排出搬送ドラム68に受け渡され、排出搬送ドラム68の外周面に保持された状態で排出部22へ搬送される。
図2は、本第7の実施形態に係るインクジェット記録ヘッド48の各々のインク吐出口面側の構造を示す正面図である。同図に示すように、インクジェット記録ヘッド48における画像形成ドラム44の外周面に対向する面90には各々インク滴を吐出する複数の画像形成素子としてのノズル48aが形成されている。インクジェット記録ヘッド48の各々は、複数のノズル48aを記録用紙Wの画像形成ドラム44による搬送方向(副走査方向)に重なることなく2次元状に(本第7の実施形態では、千鳥状でマトリクス状に)配置させた構造を有し、これにより、ヘッド長手方向(記録用紙Wの画像形成ドラム44による搬送方向(以下、単に「搬送方向」という。)と直交する方向)に沿って並ぶように投影される実質的なノズル間隔(投影ノズルピッチ)の高密度化を達成している。
なお、本第7の実施形態に係るインクジェット記録ヘッド48では、複数のノズル48aが予め定めた間隔で配置され、かつ搬送方向上流側に位置するノズル群Aと、ノズル48aがノズル群Aのノズル48aの間に位置するように配置された搬送方向下流に位置するノズル群Bとの2列のノズル群が配列されている。
図3は、本第7の実施形態に係る画像形成装置10の電気系の要部構成を示すブロック図である。
画像形成装置10は、コンピュータ(図示しない)を備えており、このコンピュータは、同図に示されるように、CPU(中央処理装置)70、ROM(Read Only Memory)72、RAM(Random Access Memory)74、NVM(Non Volatile Memory)76、UI(ユーザ・インタフェース)パネル78、FPGA(Field Programmable Gate Array)79、及び通信I/F(通信インタフェース)80を含んで構成されている。なお、本第7の実施形態では、このコンピュータと、ロータリエンコーダ52とを含む装置が、回転体としての画像形成ドラム44の回転に関する速度を推定する機能を有する速度推定装置に対応する。
CPU70は、画像形成装置10全体の動作を司るものである。CPU70は、ROM72からプログラムを読み出して画像形成制御処理を実行する。
記憶手段としてのROM72には、詳細を以下で説明する画像形成装置10の作動を制御する画像形成制御処理を実行するためのプログラム、詳細を以下で説明する速度演算処理を実行するためのプログラム、基準回転角度Θ0、画像形成ドラム44の回転半径に相当するコードホイール53の軸心(本第7の実施形態では、コードホイール53の中心に相当)から画像形成ドラム44の外周面までの距離(以下の本第7の実施形態では、「距離R0」という。)、隣接するドット間(ここでは、ドットの中心間)の距離(以下の本実施の形態では、「距離X0」という。)、及び各種パラメータ等が予め記憶されている。なお、本第7の実施形態では、上記距離R0として、画像形成ドラム44の半径を適用しているが、これに限らず、他の値を適用しても良い。
RAM74は、各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられるものである。NVM76は、装置の電源スイッチが切られても保持しなければならない各種情報を記憶するものである。
UIパネル78は、ディスプレイ上に透過型のタッチパネルが重ねられたタッチパネルディスプレイ等から構成され、各種情報がディスプレイの表示面に表示されると共に、ユーザがタッチパネルに触れることにより所望の情報や指示が入力される。
FPGA79は、プログラムをROM72から読み出して速度推定処理を実行する。
通信インタフェース80は、パーソナル・コンピュータ等の端末装置82に接続され、端末装置82から記録用紙Wに形成する画像を示す画像情報や各種情報を受信するためのものである。
CPU70、ROM72、RAM74、NVM76、UIパネル78、FPGA79、及び通信インタフェース80は、システムバスBUSを介して相互に接続されている。従って、CPU70は、ROM72、RAM74、NVM76へのアクセスと、UIパネル78への各種情報の表示と、UIパネル78に対するユーザの操作指示内容の把握と、端末装置82からの通信インタフェース80を介した各種情報の受信と、FPGA79の制御と、を各々行う。
また、画像形成装置10は、記録ヘッドコントローラ84、及びモータコントローラ86を備えている。
記録ヘッドコントローラ84は、CPU70の指示に従ってインクジェット記録ヘッド48の作動を制御するものである。モータコントローラ86は、モータ30の作動を制御するものである。
記録ヘッドコントローラ84、及びモータコントローラ86もまた、上述したシステムバスBUSに接続されている。従って、CPU70は、記録ヘッドコントローラ84、及びモータコントローラ86の作動の制御を行う。
また、前述したロータリエンコーダ52もまた、上述したシステムバスBUSに接続されている。従って、CPU70は、ロータリエンコーダ52により発生される複数のパルス信号を受信する。
次に、本第7の実施形態に係る画像形成装置10の作用を説明する。
本第7の実施形態に係る画像形成装置10では、収容部26から給紙装置によって中間搬送ドラム28Aへ記録用紙Wが送り出され、記録用紙Wが中間搬送ドラム28A、処理液塗布ドラム36及び中間搬送ドラム28Bを介して画像形成ドラム44へ搬送され、画像形成ドラム44の外周面に保持される。そして、画像情報に基づいてインクジェット記録ヘッド48のノズル48aから画像形成ドラム44上の記録用紙Wに対してインク滴が吐出される。これによって記録用紙Wには上記画像情報により示される画像が形成される。
ところで、画像形成ドラム44の外周面に保持された記録用紙Wの搬送速度は、例えば駆動系のギアの噛み合わせや負荷変動、モータ自体の速度変動が原因で、一例として図4のグラフに示されるように変動する。なお、同図のグラフの縦軸は、画像形成ドラム44における記録用紙Wの搬送速度を示し、横軸は、画像形成ドラム44の予め定められた回転基準位置からの回転角度を示す。また、同図のグラフに対応させて画像を構成する構成単位として形成されるインクドットの着弾位置を実線の円で示した。なお、破線で示した円は、記録用紙Wの搬送速度が速度Vで一定の場合の各ノズル48aから吐出されたインク滴の着弾位置の一例を示している。
このように画像形成ドラム44において記録用紙Wの搬送速度が変動した状態で、一定周期間隔で各ノズル48aからインク滴が吐出されると、インク滴の着弾位置がずれる。それを抑制するため画像形成ドラム44にロータリエンコーダ52を取り付け、画像形成ドラム44の外周面に保持された記録用紙Wの搬送速度に応じたパルス信号をロータリエンコーダ52より発生させる。そしてこのパルス信号をインクジェット記録ヘッド48に出力し、記録用紙Wの搬送速度に同期させてノズル48aからインク滴を吐出させ画像を形成する。
ここで、速度変動に起因する画像の変形を抑制するために、記録用紙Wの搬送速度を推定して搬送速度に応じてクロック信号の周期を変更することが考えられる。記録用紙Wの搬送速度を精度良く推定するためには、画像形成ドラム44の回転速度の変動の追従性を向上させることが必要となる。画像形成ドラム44の回転速度の変動の追従性を向上させるために、ロータリエンコーダ52に、周波数が高いパルス信号を発生するものを用いることが考えられる。周波数が高いパルス信号を発生するロータリエンコーダ52を用いることにより、画像形成ドラム44の回転速度の検出間隔が短くなり、画像形成ドラム44の回転速度の変動の追従性が向上するように考えられるからである。しかしながら、周波数が高くなることにより、ロータリエンコーダ52から出力されるパルス信号の周期は短くなってしまい、測定精度は低下する。
そこで、本第7の実施形態に係る画像形成装置10では、速度変動に起因する画像の変形を抑制するために、画像形成ドラム44の回転に関する速度の変動の追従性を向上させると共に精度の高い画像形成ドラム44の回転に関する速度を推定するための速度推定処理が実行される。
次に、図21を参照して、記録用紙Wに対して画像形成を行うための画像形成制御処理を実行した際の本第7の実施形態に係る画像形成装置10の作用を説明する。なお、図21は、画像形成制御処理の実行指示、及び記録用紙Wに形成すべき画像を示す画像情報が端末装置82から通信I/F80を介して入力された際にCPU70によって実行される画像形成制御処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。また、本第7の実施形態に係る画像形成装置10では、画像形成制御処理プログラムが記憶媒体としてのROM72に予め記憶されているが、これに限らず、画像形成制御処理プログラムをCD−ROMやDVD−ROM、USB(Universal Serial Bus)メモリなどのコンピュータによって読み取られる記憶媒体に格納した状態で提供する形態を適用しても良いし、有線又は無線による通信手段を介して配信する形態を適用しても良い。
同図のステップ100Aでは、FPGA79に本第7の実施形態に係る速度推定処理の実行を開始する指示を出力することにより、本第7の実施形態に係る速度推定処理の実行を開始するようにFPGA79を制御する。
ここで、図22を参照してFPGA79が実行する本第7の実施形態に係る速度推定処理について説明する。なお、図22は、本第7の実施形態に係る速度推定処理の実行を開始する指示が入力された際にFPGA79によって実行される速度推定処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。また、本第7の実施形態に係る画像形成装置10では、速度推定処理プログラムが記憶媒体としてのROM72に予め記憶されているが、これに限らず、速度推定処理プログラムをCD−ROMやDVD−ROM、USB(Universal Serial Bus)メモリなどのコンピュータによって読み取られる記憶媒体に格納した状態で提供する形態を適用しても良いし、有線又は無線による通信手段を介して配信する形態を適用しても良い。
同図のステップ200Aでは、ROM72から基準回転角度Θ0、及び距離R0を読み出し、次のステップ202Aにて、画像形成ドラム44の回転駆動の開始を指示する回転開始指示信号をモータコントローラ86に出力する。回転開始指示信号を受信したモータコントローラ86はモータ30を回転駆動させる。これにより、画像形成ドラム44がモータ30の回転駆動力を受けて予め定められた回転方向に回転を開始する。なお、これに伴って、コードホイール53も予め定められた回転方向に回転を開始する。
次のステップ204Aでは、画像形成ドラム44が予め定められた回転速度(例えば、コードホイール53の中心から画像形成ドラム44の回転半径に相当する距離R0離れた位置での線速度が500mm/s)に達するまで待機する。なお、本ステップ204では、画像形成ドラム44が予め定められた回転速度に達したか否かについての判定は、ロータリエンコーダ52によって発生されるパルス信号の単位時間当たりの個数を計数することにより行っているが、これに限らず、画像形成ドラム44が回転を開始してから予め定められた回転速度に達して回転速度が安定するまでの予め定められた時間が経過したか否かを判定するようにしても良い。
次のステップ206Aでは、変数i、変数T0、変数T1、変数T2、変数T3、及び変数E1の各変数の値を0に設定することにより各変数を初期化する。
次のステップ208Aでは、タイマー(図示省略)による計時を開始し、この時点で計測された時間を変数iに設定する。なお、本第7の実施形態では、上記タイマーは、例えば、単位時間間隔(例えば10nsec(ナノ秒))で時間を計測している。より具体的には、FPGA79上に実装されたカウンタのクロックカウントによって、時間が演算される。
次のステップ210Aでは、ロータリエンコーダ52から出力されたA相及びB相の2つのパルス信号の各々のパルスの反転、すなわち、パルスの立ち上がり及び立ち下がりを検出する。これにより、A相及びB相の2つのパルス信号のうち何れかの信号のパルスが立ち上がっている場合にはその信号のパルスの立ち上がりが検出され、A相及びB相の2つのパルス信号のうち何れかの信号のパルスが立ち下がっている場合にはその信号のパルスの立ち下がりが検出される。なお、以下では、パルスの立ち上がり及びパルスの立ち下がりを総称して「パルスの反転」という。
次のステップ212Aでは、上記ステップ210Aでパルスの反転が検出されたか否かを判定する。ステップ212Aで、上記ステップ210Aでパルスの反転が検出されたと判定された場合には、次のステップ214Aへ進む。一方、ステップ212Aで、上記ステップ210Aでパルスの反転が検出されなかったと判定された場合には、ステップ210Aへ戻り、再びロータリエンコーダ52から出力されたA相及びB相の2つのパルス信号の各々のパルスの反転を検出する。
ステップ214Aでは、変数T1の値を変数T0に設定することにより変数T0の値を更新し、変数T2の値を変数T1に設定することにより変数T1の値を更新し、変数T3の値を変数T2に設定することにより変数T2の値を更新し、変数iの値を変数T3に設定することにより変数T3の値を更新する。そして、変数T0の値と変数T1の値と変数T2の値と変数T3の値との和(T0+T1+T2+T3)を変数E1に設定することにより変数E1の値を更新する。そして、上記ステップ208Aで開始されたタイマーによる計時を停止して変数iの値を0に設定することにより初期化を行う。なお、本ステップ214Aで変数T3に設定される変数iの値は、直近の上記ステップ210Aでの処理におけるパルスの反転の検出が1回目(初回)である場合には、本速度推定処理が開始されてから1回目の検出までの時間であり、直近の上記ステップ210Aでの処理におけるパルスの反転の検出が2回目以降である場合には、前回のステップ210Aの処理による検出から今回のステップ210Aの処理による検出までの時間である。すなわち、本ステップ214Aでは、ステップ210Aでパルスの反転が検出される毎に、ステップ210Aで検出された今回のパルスの反転以前の画像形成ドラム44の基準回転角度Θ0の回転に伴ってロータリエンコーダ52によって発生されるパルス信号のパルスの反転の回数として予め定められた回数分(T0〜T3の4回分)のパルスの反転の検出間隔を示す時間(T0、T1、T2、T3)の総和の時間E1が演算される。
次のステップ216Aでは、変数T0、変数T1、変数T2、及び変数T3の全ての変数の値が0より大きいか否かを判定することにより、詳細を以下で説明するステップ218Aで速度を推定する際に必要となる情報が全て揃っているか否かを判定する。
ステップ216Aにおいて、変数T0、変数T1、変数T2、及び変数T3の全ての変数のうち、値が0となる変数が存在すると判定された場合には、詳細を以下で説明するステップ218Aで速度を推定する際に必要となる情報が全て揃っていないと判断して、ステップ208Aへ戻る。一方、ステップ216Aで、変数T0、変数T1、変数T2、及び変数T3の全ての変数の値が0より大きいと判定された場合には、詳細を以下で説明するステップ218Aで速度を推定する際に必要となる情報が全て揃っていると判断して、次のステップ218Aへ進む。
ステップ218Aでは、上記ステップ214Aで演算された総和の時間E1と、基準回転角度Θ0とに基づいて、画像形成ドラム44の回転に関する速度を演算することにより推定する。より具体的には、ステップ218Aでは、式(1)に従って、基準回転角度Θ0当りの画像形成ドラム44の外周面の移動距離(R0Θ0)を総和の時間E1で除することにより、コードホイール72の中心から画像形成ドラム44の回転半径方向に距離R0離れた位置での線速度、すなわち、画像形成ドラム44の外周速度Vを推定する。
次のステップ220Aでは、上記ステップ218Aで推定された外周速度Vの値をCPU70に出力(通知)する。
次のステップ222Aでは、CPU70から速度推定処理の実行を停止する指示を受信したか否かを判定する。ステップ222Aで、速度推定処理の実行を停止する指示を受信していないと判定された場合には、ステップ208Aへ戻る。一方、ステップ222Aで、速度推定処理の実行を停止する指示を受信したと判定された場合には、本速度推定処理プログラムを終了する。
ここで、図21に示すフローチャートの説明に戻る。次のステップ102Aでは、FPGA79から外周速度Vの値を受信したか否かを判定する。ステップ102Aでは、受信したと判定されるまで繰り返し判定処理を行う。ステップ102Aで受信したと判定された場合には、次のステップ104Aへ進む。
次のステップ104Aでは、ROM72から距離X0を読み出し、上記速度推定処理で推定された外周速度Vを用いて、式(2)によりノズル48aからインク滴を吐出させるタイミングを規定するクロック信号の周期Pを演算し、その周期Pをノズル48aからインク滴を吐出させる際に用いられるクロック信号の周期として新たに設定することによりクロック信号の周期を補正する。
次のステップ106Aでは、上記ステップ104Aの処理によって得られた周期Pのクロック信号を発生して、発生したクロック信号に同期させて、入力された画像情報に基づいてノズル48aからインク滴を吐出させる指示を記録ヘッドコントローラ84に出力する。これにより、記録ヘッドコントローラ84が、周期Pのクロック信号に同期させて、入力された画像情報に基づいてノズル48aからインク滴を吐出させるようにインクジェット記録ヘッド48を制御することにより、記録用紙Wの搬送速度の変化の影響を受けることなく、記録用紙Wの記録面に当該画像情報により示される画像が形成される。
次のステップ108Aでは、入力された画像情報の画像形成が終了したか否かを判定し、否定判定された場合には、ステップ102Aに戻る。一方、ステップ108Aで、肯定判定された場合には次のステップ110Aへ進む。ステップ110Aでは、FPGA79に速度推定処理の実行を停止する指示を出力した後、本画像形成制御処理プログラムを終了する。
なお、本第1の実施形態では、検出手段がステップ210の処理に、算出手段が214Aの処理に、推定手段が218Aの処理に、補正手段がステップ104Aの処理に各々相当する。
[第8の実施形態]
次に第8の実施形態について説明する。なお、本第8の実施形態において、第7の実施形態と同一の部分には同一の符号を付し、説明を省略する。
上記第7の実施の形態では、ROM72に図22に示すフローチャートの処理を実行するための速度推定処理プログラムが予め記憶されており、FPGA79が、プログラムをROM72から読み出して図22に示すフローチャートの処理を実行する例について説明したが、本第8の実施形態では、ROM72に図23に示すフローチャートの処理を実行するための速度推定処理プログラムが予め記憶されており、FPGA79が、プログラムをROM72から読み出して図23に示すフローチャートの処理を実行する。
ここで、図23を参照して本第8の実施形態のFPGA79が実行する本第8の実施形態に係る速度推定処理について説明する。なお、図23は、本第8の実施形態に係る速度推定処理の実行を開始する指示が入力された際にFPGA79によって実行される速度推定処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。また、本第8の実施形態に係る画像形成装置10では、速度推定処理プログラムが記憶媒体としてのROM72に予め記憶されているが、これに限らず、速度推定処理プログラムをCD−ROMやDVD−ROM、USB(Universal Serial Bus)メモリなどのコンピュータによって読み取られる記憶媒体に格納した状態で提供する形態を適用しても良いし、有線又は無線による通信手段を介して配信する形態を適用しても良い。また、同図において図22に示されるフローチャートと同一の処理を行うステップについては図22と同一のステップ番号を付して、その説明を省略し、ここでは、図22に示されるフローチャートのステップと異なるステップについて説明する。
同図のステップ204Aにおいて肯定判定となった場合にはステップ207Aへ進む。ステップ207Aでは、変数i、変数T0、変数T1、変数T2、変数T3、変数T4、変数E1、及び変数E2の各変数の値を0に設定することにより各変数を初期化し、ステップ208Aへ進む。
ステップ212Aにおいて肯定判定となった場合にはステップ215Aへ進む。ステップ215Aでは、変数T1の値を変数T0に設定することにより変数T0の値を更新し、変数T2の値を変数T1に設定することにより変数T1の値を更新し、変数T3の値を変数T2に設定することにより変数T2の値を更新し、変数T4の値を変数T3に設定することにより変数T3の値を更新し、変数iの値を変数T4に設定することにより変数T4の値を更新する。そして、変数T0の値と変数T1の値と変数T2の値と変数T3の値との和(T0+T1+T2+T3)を変数E1に設定することにより変数E1の値を更新し、変数T1の値と変数T2の値と変数T3の値と変数T4の値との和(T1+T2+T3+T4)を変数E2に設定することにより変数E2の値を更新する。そして、上記ステップ208Aで開始されたタイマーによる計時を停止して変数iの値を0に設定することにより初期化を行う。なお、本ステップ215Aで変数T4に設定される変数iの値は、直近の上記ステップ210Aでの処理におけるパルスの反転の検出が1回目(初回)である場合には、本速度演推定理が開始されてから1回目の検出までの時間であり、直近の上記ステップ210Aでの処理におけるパルスの反転の検出が2回目以降である場合には、前回のステップ210Aの処理による検出から今回のステップ210Aの処理による検出までの時間である。すなわち、本ステップ215Aでは、ステップ210Aでパルスの反転が検出される毎に、ステップ210Aで検出された今回のパルスの反転以前の画像形成ドラム44の基準回転角度Θ0の回転に伴ってロータリエンコーダ52によって発生されるパルス信号のパルスの反転の回数として予め定められた回数分(T0〜T3の4回分)のパルスの反転の検出間隔を示す時間(T0、T1、T2、T3)の総和の時間E1が演算されると共に、ステップ210Aで検出された今回のパルスの反転以前の予め定められた回数分(T1〜T4の4回分)のパルスの反転の検出間隔を示す時間(T1、T2、T3、T4)の総和の時間E2が演算される。
次のステップ217Aでは、変数T0、変数T1、変数T2、変数T3、及び変数T4の全ての変数の値が0より大きいか否かを判定することにより、詳細を以下で説明するステップ221Aで速度を推定する際に必要となる情報が全て揃っているか否かを判定する。
ステップ217Aにおいて、変数T0、変数T1、変数T2、変数T3、及び変数T4の全ての変数のうち、値が0となる変数が存在すると判定された場合には、詳細を以下で説明するステップ221Aで速度を推定する際に必要となる情報が全て揃っていないと判定して、ステップ208Aへ戻る。一方、ステップ217Aで、変数T0、変数T1、変数T2、変数T3、及び変数T4の全ての変数の値が0より大きいと判定された場合には、詳細を以下で説明するステップ221Aで速度を推定する際に必要となる情報が全て揃っていると判定して、次のステップ219Aへ進む。
ステップ219Aでは、上記ステップ215Aで演算された総和の時間E1及びE2毎に、予め定められた個数分(本第8の実施形態ではE1及びE2の2個分)の総和の時間E1及びE2を履歴として記憶手段としてのNVM76に記憶させるように制御する。これにより、NVM76には総和の時間E1及びE2が記憶される。
次のステップ221Aでは、NVM76に記憶された上記予め定められた個数分の総和の時間E1及びE2のうち、上記予め定められた個数分の総和の時間E1及びE2と、基準回転角度Θ0とに基づいて、画像形成ドラム44の回転に関する速度を演算することにより推定する。より具体的には、ステップ221Aでは、NVM76に記憶された予め定められた個数分の総和の時間E1及びE2のうち、上記予め定められた個数分(本第8の実施形態ではE1及びE2の2個分)の総和の時間E1及びE2に基づいて、線形外挿によって、次回に推定する画像形成ドラム44の回転に関する速度(本第8の実施形態では、画像形成ドラム44の外周速度V)を推定するための時間Eを推定し、式(3)に従って、基準回転角度Θ0当りの画像形成ドラム44の外周面の移動距離(R0Θ0)を時間Eで除することにより、画像形成ドラム44の外周速度Vを推定した後、ステップ220Aへ進む。
ここで、図11を参照して、ステップ221Aの処理について具体的に説明する。
同図に示されるように、直近のロータリエンコーダ52からのパルス信号が示す周期(総和の時間)を時間E2、そのひとつ前の周期(総和の時間)を時間E1とする。時間E1により演算される速度V1(=(R0Θ0)/E1)はt1〜t5間の平均速度、時間E2により演算される速度V2(=(R0Θ0)/E2)はt2〜t6間の平均速度である。時間E1、時間E2は、それぞれ時刻t3、t4における周期に相当し、速度V1、速度V2は、それぞれ時刻t3、t4における速度に相当する。
ここで、ti〜ti+1間隔が略等間隔であるとした上でt6〜t7間の中間点における周期を時間Eとすると、時間Eは、線形外挿によって以下の式(19)から導かれた式(20)で表される。E1及びE2から推定したい速度は、t6〜t7間の中間点における速度Vであり、速度Vは、式(3)及び式(20)から導かれる式(4)で表される。
7:2=(E−E1):(E2−E1)・・・・・式(19)
E=(7*E2−5*E1)/2・・・・・式(20)
なお、本第8の実施形態では、上記予め定められた個数として「2」を適用しているため、上記ステップ215Aでは、時間E1及びE2を演算しているが、これに限らず、例えば、上記予め定められた個数として「3」を適用しても良く、この場合、上記ステップ215Aでは、一例として、時間E1及びE2に加え、予め定められた回数分(T2〜T5)のパルスの反転の検出間隔を示す時間(T2、T3、T4、T5)の総和の時間E3が演算される。このように、上記予め定められた個数は2以上であればいくつであっても良い。
また、本第8の実施形態では、ステップ221Aにおいて、上記予め定められた個数分の総和の時間E1及びE2と、基準回転角度Θ0とに基づいて、画像形成ドラム44の回転に関する速度を演算しているが、これに限らず、例えば、上記予め定められた個数として「3」を適用し、ステップ215において、時間E1〜E3を演算し、ステップ221Aにおいて、その時間E1〜E3のうちの何れか2つと、基準回転角度Θ0とに基づいて、画像形成ドラム44の回転に関する速度を演算するようにしても良い。
また、上記予め定められた個数として「4」を適用し、ステップ215Aにおいて、時間E1〜E4を演算し(E4=時間T3〜T6の総和)、ステップ221Aにおいて、E1及びE2の平均値E1’と、E3及びE4の平均値E2’と、基準回転角度Θ0とに基づいて、画像形成ドラム44の回転に関する速度を演算するようにしても良い。このように、ステップ221では、ステップ215で演算して得られた複数の時間と、基準回転角度Θ0とに基づいて、画像形成ドラム44の回転に関する速度を演算すれば良い。
なお、本第8の実施形態では、算出手段がステップ215の処理に、推定手段がステップ221Aの処理に各々相当する。
[第9の実施形態]
次に第9の実施形態について説明する。なお、本第9の実施形態において、第7及び第8の実施形態と同一の部分には同一の符号を付し、説明を省略する。
上記第7の実施の形態では、ROM72に図21に示すフローチャートの処理、及び図22に示すフローチャートの処理を実行するためのプログラムが予め記憶されており、CPU70が、プログラムをROM72から読み出して図21に示すフローチャートの処理を実行すると共に、FPGA79が、プログラムをROM72から読み出して図22に示すフローチャートの処理を実行する例について説明したが、本第9の実施形態では、ROM72に図24に示すフローチャートの処理を実行するための画像形成制御処理プログラム、及び図25に示すフローチャートの処理を実行するための速度推定処理プログラムが予め記憶されており、CPU70が、プログラムをROM72から読み出して図24に示すフローチャートの処理を実行すると共に、FPGA79が、これらのプログラムをROM72から読み出して図24及び図25に示すフローチャートの処理を実行する。
ここで、図24を参照してCPU70が実行する本第9の実施形態に係る画像形成制御処理について説明する。なお、図24は、本第9の実施形態に係る画像形成制御処理の実行を開始する指示が入力された際にFPGA79によって実行される画像形成制御処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。また、本第9の実施形態に係る画像形成装置10では、画像形成制御処理プログラムが記憶媒体としてのROM72に予め記憶されているが、これに限らず、画像形成制御処理プログラムをCD−ROMやDVD−ROM、USB(Universal Serial Bus)メモリなどのコンピュータによって読み取られる記憶媒体に格納した状態で提供する形態を適用しても良いし、有線又は無線による通信手段を介して配信する形態を適用しても良い。また、同図において図21に示されるフローチャートと同一の処理を行うステップについては図21と同一のステップ番号を付して、その説明を省略し、ここでは、図21に示されるフローチャートのステップと異なるステップについて説明する。
同図のステップ100Aでは、FPGA79に本第9の実施形態に係る速度推定処理の実行を開始する指示を出力することにより、本第9の実施形態に係る速度推定処理の実行を開始するようにFPGA79を制御する。
ここで、図25を参照して本第9の実施形態のFPGA79が実行する本第9の実施形態に係る速度推定処理について説明する。なお、図25は、本第9の実施形態に係る速度推定処理の実行を開始する指示が入力された際にFPGA79によって実行される速度推定処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。また、本第9の実施形態に係る画像形成装置10では、速度推定処理プログラムが記憶媒体としてのROM72に予め記憶されているが、これに限らず、速度推定処理プログラムをCD−ROMやDVD−ROM、USB(Universal Serial Bus)メモリなどのコンピュータによって読み取られる記憶媒体に格納した状態で提供する形態を適用しても良いし、有線又は無線による通信手段を介して配信する形態を適用しても良い。また、同図において図22に示されるフローチャートと同一の処理を行うステップについては図22と同一のステップ番号を付して、その説明を省略し、ここでは、図22に示されるフローチャートのステップと異なるステップについて説明する。
同図のステップ201Aでは、ROM72から基準回転角度Θ0を読み出し、ステップ202Aへ進む。
ステップ216Aで、変数T0、変数T1、変数T2、及び変数T3の全ての変数の値が0より大きいと判定された場合(肯定判定された場合)には、詳細を以下で説明するステップ230で速度を演算する際に必要となる情報が全て揃っていると判定して、次のステップ230Aへ進む。
ステップ230Aでは、上記ステップ214Aで演算された総和の時間E1と、基準回転角度Θ0とに基づいて、画像形成ドラム44の回転に関する速度を演算することにより推定する。より具体的には、ステップ230Aでは、式(8)に従って、基準回転角度Θ0を時間E1で除することにより、画像形成ドラム44の角速度Wを演算する。
次のステップ232Aでは、上記ステップ230Aで演算された角速度Wの値をCPU70に出力(通知)する。そして、ステップ222Aへ進む。
ここで、図24に示すフローチャートの説明に戻る。次のステップ103Aでは、FPGA79から角速度Wの値を受信したか否かを判定する。ステップ103Aでは、受信したと判定されるまで繰り返し判定処理を行う。ステップ103Aで受信したと判定された場合には、次のステップ105Aへ進む。
次のステップ105Aでは、ROM72から距離R0及び距離X0を読み出し、上記速度推定処理で推定された角速度Wを用いて、式(9)によりノズル48aからインク滴を吐出させるタイミングを規定するクロック信号の周期Pを演算し、その周期Pをノズル48aからインク滴を吐出させる際に用いられるクロック信号の周期として新たに設定することによりクロック信号の周期を補正した後、ステップ106Aへ進む。
なお、本第9の実施形態では、推定手段がステップ230Aの処理に、補正手段がステップ105Aの処理に各々相当する。
[第10の実施形態]
次に第10の実施形態について説明する。なお、本第10の実施形態において、第7〜9の実施形態と同一の部分には同一の符号を付し、説明を省略する。
本第10の実施形態では、ROM72に図24に示すフローチャートの処理を実行するための画像形成制御処理プログラム、及び図26に示すフローチャートの処理を実行するための速度推定処理プログラムが予め記憶されており、CPU70が、プログラムをROM72から読み出して図24に示すフローチャートの処理を実行すると共に、FPGA79が、プログラムをROM72から読み出して図26に示すフローチャートの処理を実行する。
ここで、図26を参照して本第10の実施形態のFPGA79が実行する速度推定処理について説明する。なお、図26は、本第10の実施形態に係る速度推定処理の実行を開始する指示が入力された際にFPGA79によって実行される速度推定処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。また、本第10の実施形態に係る画像形成装置10では、速度推定処理プログラムが記憶媒体としてのROM72に予め記憶されているが、これに限らず、速度推定処理プログラムをCD−ROMやDVD−ROM、USB(Universal Serial Bus)メモリなどのコンピュータによって読み取られる記憶媒体に格納した状態で提供する形態を適用しても良いし、有線又は無線による通信手段を介して配信する形態を適用しても良い。
同図のステップ201Aは図25に示すフローチャートの処理と同一であり、同図のステップ202A、204A、207A、208A、210A、212A、215A、217A、219A、及び222Aは図23に示すフローチャートの処理と同一であるため説明を省略する。
本第10の実施形態では、同図のステップ219Aの処理が終了するとステップ240Aへ進む。ステップ240Aでは、NVM76に記憶された上記予め定められた個数分の総和の時間E1及びE2と、基準回転角度Θ0とに基づいて、画像形成ドラム44の回転に関する速度を演算することにより推定する。より具体的には、ステップ240Aでは、NVM76に記憶された上記予め定められた個数分の総和の時間E1及びE2に基づいて、第8の実施形態と同様に、線形外挿によって、次回に推定する画像形成ドラム44の回転に関する速度(本第10の実施形態では、画像形成ドラム44の角速度W)を推定するための時間Eを推定し、式(10)に従って、基準回転角度Θ0を時間Eで除することにより、画像形成ドラム44の角速度Wを推定した後、ステップ242Aへ進む。
ステップ242Aでは、上記ステップ240Aで推定された角速度Wの値をCPU70に出力(通知)する。そして、ステップ222Aへ進み、第8の実施形態と同様に、以降の処理を行う。
なお、本第10の実施形態では、推定手段がステップ240Aの処理に相当する。
[第11の実施形態]
次に第11の実施形態について説明する。なお、本第11の実施形態において、第7〜10の実施形態と同一の部分には同一の符号を付し、説明を省略する。
本第11の実施形態では、ROM72に図21に示すフローチャートの処理を実行するための画像形成制御処理プログラム、及び図27に示すフローチャートの処理を実行するための速度推定処理プログラムが予め記憶されており、CPU70が、プログラムをROM72から読み出して図21に示すフローチャートの処理を実行すると共に、FPGA79が、プログラムをROM72から読み出して図27に示すフローチャートの処理を実行する。
ここで、図27を参照して本第11の実施形態のFPGA79が実行する速度推定処理について説明する。なお、図27は、本第11の実施形態に係る速度推定処理の実行を開始する指示が入力された際にFPGA79によって実行される速度推定処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。また、本第11の実施形態に係る画像形成装置10では、速度推定処理プログラムが記憶媒体としてのROM72に予め記憶されているが、これに限らず、速度推定処理プログラムをCD−ROMやDVD−ROM、USB(Universal Serial Bus)メモリなどのコンピュータによって読み取られる記憶媒体に格納した状態で提供する形態を適用しても良いし、有線又は無線による通信手段を介して配信する形態を適用しても良い。
同図のステップ200A、202A、204A、208A、210A、212A、214A、216A、及び222Aは図22に示すフローチャートの処理と同一であるため説明を省略する。
同図のステップ204Aにおいて肯定判定となった場合にはステップ250Aへ進む。ステップ250Aでは、変数i、変数T0、変数T1、変数T2、変数T3、変数E1、変数V1、及び変数V2の各変数の値を0に設定することにより各変数を初期化し、ステップ208Aへ進む。
ステップ216Aにおいて肯定判定となった場合にはステップ252Aへ進む。ステップ252Aでは、総和の時間E1と、基準回転角度Θ0とに基づいて、画像形成ドラム44の回転に関する速度Vkを推定する。より具体的には、ステップ252Aでは、式(13)に従って、基準回転角度Θ0当りの画像形成ドラム44の外周面の移動距離(R0Θ0)を総和の時間E1で除することにより、画像形成ドラム44の外周速度Vkを推定する。
次のステップ254Aでは、変数V2の値を変数V1に設定することにより変数V1の値を更新し、推定されたVkの値を変数V2に設定することにより変数V2の値を更新する。
次のステップ256Aでは、変数V1、及び変数V2の全ての変数の値が0より大きいか否かを判定することにより、詳細を以下で説明するステップ258Aで速度を推定する際に必要となる情報が全て揃っているか否かを判定する。
ステップ256Aで、変数V1、及び変数V2の全ての変数のうち、値が0となる変数が存在すると判定された場合には、詳細を以下で説明するステップ258Aで速度を推定する際に必要となる情報が全て揃っていないと判定して、ステップ208Aへ戻る。一方、ステップ256Aで、変数V1、及び変数V2の全ての変数の値が0より大きいと判定された場合には、詳細を以下で説明するステップ258Aで速度を推定する際に必要となる情報が全て揃っていると判定して、次のステップ258Aへ進む。
ステップ258Aでは、式(14)に従って、上記予め定められた個数分(本第11の実施形態では2個分)の画像形成ドラム44の回転に関する速度(本第11の実施形態では外周速度)に基づいて、線形外挿によって、ステップ252Aで今回推定された画像形成ドラム44の回転に関する速度以降の画像形成ドラム44の回転に関する速度を推定する。より具体的には、ステップ258Aでは、式(14)に従って、上記予め定められた個数分の外周速度V1及びV2に基づいて、ステップ252Aで今回推定された周面速度Vk以降の画像形成ドラム44の外周速度Vを演算することにより推定する。なお、ステップ258Aでは、式(15)に従って、外周速度Vを推定するようにしても良い。
次のステップ260Aでは、上記ステップ258Aで推定された外周速度Vの値をCPU70に出力(通知)する。そして、ステップ222Aへ進む。
なお、本第11の実施形態では、第1の速度推定部がステップ252Aの処理に、第2の速度推定部がステップ258Aの処理に各々相当する。
[第12の実施形態]
次に第12の実施形態について説明する。なお、本第12の実施形態において、第7〜11の実施形態と同一の部分には同一の符号を付し、説明を省略する。
本第12の実施形態では、ROM72に図24に示すフローチャートの処理を実行するための画像形成制御処理プログラム、及び図28に示すフローチャートの処理を実行するための速度推定処理プログラムが予め記憶されており、CPU70が、プログラムをROM72から読み出して図24に示すフローチャートの処理を実行すると共に、FPGA79が、プログラムをROM72から読み出して図28に示すフローチャートの処理を実行する。
ここで、図28を参照して本第12の実施形態のFPGA79が実行する速度推定処理について説明する。なお、図28は、本第12の実施形態に係る速度推定処理の実行を開始する指示が入力された際にFPGA79によって実行される速度推定処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。また、本第12の実施形態に係る画像形成装置10では、速度推定処理プログラムが記憶媒体としてのROM72に予め記憶されているが、これに限らず、速度推定処理プログラムをCD−ROMやDVD−ROM、USB(Universal Serial Bus)メモリなどのコンピュータによって読み取られる記憶媒体に格納した状態で提供する形態を適用しても良いし、有線又は無線による通信手段を介して配信する形態を適用しても良い。
同図のステップ201A、202A、204A、208A、210A、212A、214A、216A、及び222Aは図25に示すフローチャートの処理と同一であるため説明を省略する。
同図のステップ204Aにおいて肯定判定となった場合にはステップ261Aへ進む。ステップ261Aでは、変数i、変数T0、変数T1、変数T2、変数T3、変数E1、変数W1、及び変数W2の各変数の値を0に設定することにより各変数を初期化し、ステップ208Aへ進む。
ステップ216Aにおいて肯定判定となった場合にはステップ262Aへ進む。ステップ262Aでは、総和の時間E1と、基準回転角度Θ0とに基づいて、画像形成ドラム44の回転に関する速度Wkを推定する。より具体的には、ステップ262Aでは、式(16)に従って、基準回転角度Θ0を総和の時間E1で除することにより、画像形成ドラム44の外周速度Vkを推定する。
次のステップ264Aでは、変数W2の値を変数W1に設定することにより変数W1の値を更新し、推定されたWkの値を変数W2に設定することにより変数W2の値を更新する。
次のステップ266Aでは、変数W1、及び変数W2の全ての変数の値が0より大きいか否かを判定することにより、詳細を以下で説明するステップ268Aで速度を推定する際に必要となる情報が全て揃っているか否かを判定する。
ステップ266Aで、変数W1、及び変数W2の全ての変数のうち、値が0となる変数が存在すると判定された場合には、詳細を以下で説明するステップ268Aで速度を推定する際に必要となる情報が全て揃っていないと判定して、ステップ208Aへ戻る。一方、ステップ266Aで、変数W1、及び変数W2の全ての変数の値が0より大きいと判定された場合には、詳細を以下で説明するステップ268Aで速度を推定する際に必要となる情報が全て揃っていると判定して、次のステップ268Aへ進む。
ステップ268Aでは、式(17)に従って、線形外挿によって、上記予め定められた個数分(本第12の実施形態では2個分)の画像形成ドラム44の回転に関する速度(本第12の実施形態では角速度)に基づいて、ステップ262Aで今回推定された画像形成ドラム44の回転に関する速度Wk以降の画像形成ドラム44の回転に関する速度を推定する。より具体的には、ステップ268Aでは、式(17)に従って、上記予め定められた個数分の角速度W1、W2に基づいて、ステップ262Aで今回推定された角速度Wk以降の画像形成ドラム44の角速度Wを演算することにより推定する。なお、ステップ268Aで、式(18)に従って、角速度Wを演算することにより推定するようにしてもよい。
次のステップ270Aでは、上記ステップ268Aで推定された角速度Wの値をCPU70に出力(通知)する。そして、ステップ222Aへ進む。
なお、本第12の実施形態では、第1の速度推定部がステップ262Aの処理に、第2の速度推定部がステップ268Aの処理に各々相当する。
なお、第7〜12の実施形態では、図1に示す構成の画像形成装置10における回転体としての画像形成ドラム44の回転に関する速度(外周速度V、または角速度W)を推定し、推定した速度に基づいてクロック信号の周期Pを補正する形態例を挙げて説明したが、これに限らず、例えば、図18に示すような画像形成装置312における回転体としての駆動ローラ324の速度(外周速度または角速度)を推定することにより、搬送ベルト328の搬送速度を推定して、推定した搬送速度に基づいてクロック信号の周期Pを補正するようにしても良い。
また、上記第7及び第9の実施形態では、時間E1を用いて回転体の回転に関する速度を推定する形態例を挙げたが、これに限らず、例えば、上記第8の実施形態で説明したように時間E1及びE2を算出し、時間E1及びE2の平均値を用いて回転体の回転に関する速度としての外周速度V(角速度W)を推定しても良い。このように、予め定められた個数分の時間の平均値を用いて回転体の回転に関する速度を推定しても良い。
また、上記第7〜第12の実施形態では、パルスの反転が検出される毎に、今回の検出以前の画像形成ドラム44の基準回転角度Θ0の回転に伴ってロータリエンコーダ52によって発生されるパルス信号のパルスの反転の回数として予め定められた回数分のパルスの反転の検出間隔を示す時間の総和を算出する形態例を挙げて説明したが、これに限らず、例えば、パルスの反転が検出される毎に、今回の検出以前にパルス信号の反転をA相及びB相を跨いで4回検出するのに要した時間をパルス信号の反転の検出間隔に基づいて算出しても良い。なお、この場合、算出した時間、及びパルス信号が各相を跨いで4回反転するのに要する回転角度に基づいて回転体の回転に関する速度を推定する。また、ロータリエンコーダ52によって3相以上のパルス信号が発生される場合、今回の検出以前にパルス信号の反転をA相及びB相を跨いで6回検出するのに要した時間をパルス信号の反転の検出間隔に基づいて算出しても良い。なお、この場合、算出した時間、及びパルス信号が各相を跨いで6回反転するのに要する回転角度に基づいて回転体の回転に関する速度を推定する。
このように、パルスの反転が検出される毎に、今回の検出以前にパルス信号の反転を各相を跨いで予め定められた回数分検出するのに要した時間をパルス信号の反転の検出間隔に基づいて算出し、算出した時間、及びパルス信号が各相を跨いで予め定められた回数分反転するのに要する回転角度に基づいて回転体の回転に関する速度を推定するようにしても良い。
また、上記第7〜12の実施形態では、速度推定処理によって、画像形成ドラム44の回転に関する速度を推定する処理を実行し、画像形成制御処理によって、速度推定処理で推定した速度に基づいてクロック信号の周期Pを補正する処理を実行する形態例を挙げて説明しているが、これに限らず、画像形成制御処理では、クロック信号の周期Pを補正する処理に代えて、推定した速度を参照して画像形成ドラム44の外周速度が予め定められた外周速度となるようにモータコントローラ86を介して画像形成ドラム44の回転駆動を制御する処理を実行しても良い。
また、上記第7〜12の実施形態では、回転体の回転に関する速度を演算式を用いて算出することにより推定する場合の形態例を挙げて説明したが、これに限らず、例えば、上記第7の実施形態の変形例としては、時間E1、距離R0、及び基準回転角度Θ0を入力とし、外周速度Vを出力とするテーブルをROM72等の記憶媒体に予め記憶しておき、そのテーブルを用いて外周速度Vを導出することにより推定する形態例が挙げられる。上記第8〜12の実施形態についても、回転体の回転に関する速度の演算に要する各値を入力とし、回転体の回転に関する速度を出力とするテーブルをROM72等の記憶媒体に予め記憶しておき、そのテーブルを用いて回転体の回転に関する速度を導出することにより推定するようにしても良い。また、回転体の回転に関する速度及び隣接するドットの中心間の距離X0を入力とし、クロック信号の周期Pを出力とするテーブルをROM72等の記憶媒体に予め記憶しておき、そのテーブルを用いてクロック信号の周期Pを導出するようにしても良い。
また、上記第7〜12の実施形態では、インクジェット記録ヘッド48により記録用紙Wに直接画像を形成する形態の画像形成装置を例に挙げて説明したが、これに限らず、中間転写体を介して記録用紙Wに画像を形成する形態の画像形成装置であっても良い。この場合の形態例としては、LED(light emitting diode)等の発光素子を備えた記録ヘッドにより回転体である感光体ドラムの外周面(予め定められた面)に潜像を形成し、当該潜像をトナー像にして当該トナー像を記録用紙の記録面(表面)に転写する形態の画像形成装置が挙げられる。
また、上記第7〜12の実施形態では、インクジェット記録ヘッド48を複数のノズル48aが副走査方向に重なることなく2列に並べられた構造としたが、これに限らず、インクジェット記録ヘッド48の構造は複数のノズル48aを副走査方向に重なることなく2次元に配置されていれば如何なる構造であっても良い。
また、上記各実施形態では、距離R0を不変としているが、これに限らず、距離R0を可変としても良い。この場合、画像が形成される記録用紙Wの厚さに応じて距離R0を変える形態例が挙げられる。
また、上記各実施形態では、透過型フォトセンサが光量変動を検出し、検出した光量変動に応じたパルス信号を発生するようにしているが、これに限らず、例えば、スリット53Aに代えてコードホイール53の他の領域よりも光反射率が大きな反射板を設け、透過型フォトセンサ53Aに代えて、発光素子及び発光素子から発光されて反射板で反射された光を受光する受光素子とで構成された反射型フォトセンサを用いて、反射型フォトセンサにより光量変動を検出してパルス信号を発生するようにしても良い。また、スリット53Aに代えて磁石を設け、フォトセンサに代えて磁気センサを用いて、磁気センサにより磁気変動を検出してパルス信号を発生するようにしても良い。
このように、ロータリエンコーダ52は、コードホイール53に周方向に沿って略等間隔で配置されると共に特定の物理的特徴の大きさがコードホイール53の他の領域との間で予め定められた大きさ以上の差が生じるように構成された複数の被検出部と、コードホイール53の回転に伴って複数の被検出部とコードホイール53の被検出部以外の領域との特定の物理的特徴の大きさの差異を検出し、検出した差異に応じたパルス信号を発生するパルス信号発生部と、を含んで構成されていれば良い。
また、上記各実施形態では、CPU70によって画像形成制御処理プログラムが実行され、FPGA79によって速度推定処理プログラムが実行される場合の形態例を挙げて説明したが、これに限らず、CPU70によって画像形成制御処理プログラム及び速度推定処理プログラムが実行されても良い。