JP2010163469A - 水性塗料組成物及び塗装方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
アクリル変性エポキシ樹脂(A)とポリウレタン樹脂(B)の固形分合計100質量部に対して、(イ)アクリル変性エポキシ樹脂(A)/ポリウレタン樹脂(B)=25/75〜75/25の質量比、(ロ)平均粒子径20μm以下でかつDBP吸油量が40ml/100g以上の微粉タルク(C)を10〜50質量部、(ハ)炭酸カルシウムと硫酸バリウムを両成分の合計で20〜100質量部、かつ炭酸カルシウム/硫酸バリウム=0.2〜3.0(質量比)、で含有する水性塗料組成物。
【選択図】 なし
Description
しかし有機溶剤系の塗料では、沸点が140℃未満の低沸点有機溶剤の使用が、VOC(揮発性有機化合物、volatile organic compounds)やHAPs(有害性大気汚染物質、Hazardous Air Pollutants)規制によって制限されている。
蓄積したスラッジによって自然発火の危険性もあった。このような背景から上記の塗膜性能に優れ、自然発火性のない、低温乾燥型の水性塗料組成物の開発が求められていた。
1.(イ)エポキシ樹脂(a1)、グリシジル基含有ラジカル重合性不飽和単量体(a2)及びアミン類(a3)を反応させてなる変性エポキシ樹脂(A1)の存在下に、カルボキシル基含有ラジカル重合性不飽和単量体(A2)を必須成分とする不飽和単量体を重合反応させて得られるアクリル変性エポキシ樹脂(A)と、
エポキシ樹脂(b1)とアルカノールアミン(b2)との反応によって得られるエポキシプレポリマー(B1)と、カルボキシル基含有ジオールを含む1分子中に活性水素基を2個以上含有する化合物(b3)とポリイソシアネート化合物(b4)との反応によって得られるウレタンプレポリマー(B2)の反応によって得られるポリウレタン樹脂(B)を含有してなる水性塗料組成物であり、
(イ)アクリル変性エポキシ樹脂(A)/ポリウレタン樹脂(B)=25/75〜75/25(質量部)で配合してなり、更にアクリル変性エポキシ樹脂(A)とポリウレタン樹脂(B)の固形分合計100質量部に対し、
(ロ)平均粒子径20μm以下でかつDBP吸油量が40ml/100g以上の微粉タルク(C)を10〜50質量部、及び
(ハ)炭酸カルシウムと硫酸バリウムを両成分の合計で20〜100質量部、かつ炭酸カルシウム/硫酸バリウム=0.2〜3.0(質量比)、を含有することを特徴とする水性塗料組成物。
2.ポリウレタン樹脂(B)が、エポキシプレポリマー(B1)中のアミノ基とウレタンプレポリマー(B2)中のイソシアネート基との当量比が1:0.01〜1:0.9となるように反応させて得られる1項に記載の水性塗料組成物、
3.1項又は2項に記載の水性塗料組成物を用いた自動車用部品の塗装方法、に関する。
理由は、アクリル変性エポキシ樹脂(A)とポリウレタン樹脂(B)の最適な配合比率によって、仕上り性、耐水性及び防食性が良好となった。さらに、微粉タルク(C)を配合することによって、得られた塗膜に浸入する腐蝕生成物質を遮断できる為、いっそうの耐水性、防食性の向上に寄与できる。さらに、アクリル変性エポキシ樹脂(A)とポリウレタン樹脂(B)の固形分合計100質量部に対して、炭酸カルシウムと硫酸バリウムを一定範囲内含有することによって、耐薬品性、耐水性に優れる塗膜が得られる。これらの相乗効果によって、本発明の塗膜性能を得るに至ったと考える。
(ロ)平均粒子径20μm以下でかつDBP吸油量が40ml/100g以上の微粉タルク(C)を10〜50質量部、
(ハ)炭酸カルシウム10〜50質量部、硫酸バリウム10〜50質量部、かつ炭酸カルシウム/硫酸バリウム=0.2〜3.0(質量比)で含有する水性塗料組成物に関する。以下、詳細に述べる。
本発明の水性塗料組成物に適する被塗物は、例えば、アルミニウム、鉄、亜鉛、錫、マグネシウム、銅、チタン、ステンレス、ブリキ、トタン等からなる金属板や合金板が挙げられる。さらに、これらの金属板や合金板に、亜鉛、銅、クロム等のメッキや、クロム酸、リン酸亜鉛等で処理して用いることができる。なお被塗物の用途は、産業用機械部品、自動車部品、2輪用部品、電気製品、建材等が挙げられる。
本発明で用いるアクリル変性エポキシ樹脂(A)は、エポキシ樹脂(a1)、グリシジル基含有ラジカル重合性不飽和単量体(a2)及びアミン類(a3)を反応させてなる変性エポキシ樹脂(A1)の存在下に、カルボキシル基含有ラジカル重合性不飽和単量体(A2)を必須成分とする不飽和単量体を重合反応させて得られるものである。
変性エポキシ樹脂(A1)の製造におけるエポキシ樹脂(a1)は、例えばエピクロルヒドリンとビスフェノールとを、必要に応じてアルカリ触媒などの触媒の存在下に高分子量まで縮合させてなる樹脂、エピクロルヒドリンとビスフェノールとを、必要に応じてアルカリ触媒などの触媒の存在下に、縮合させて低分子量のエポキシ樹脂とし、この低分子量のエポキシ樹脂とビスフェノール類とを重付加反応させることにより得られた樹脂を用いることができる。
上記有機溶剤としては、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、n−ブチルアルコール、イソプロピルアルコール、2−エチルヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルコール系溶剤、;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどのエーテル系溶剤;アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、アセチルアセトンなどのケトン系溶剤;エチレングルコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどのエステル系溶剤;これらの混合物が挙げられる。
上記カルボキシル基含有ラジカル重合性不飽和単量体(A2)は、得られたアクリル変性エポキシ樹脂(A)の水性化(水分散または溶解)のために使用されるが、具体的には、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸等の単量体が挙げられ、これらは単独もしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
であることが、水分散性、耐水性及び防食性の為によい。なおアクリル変性エポキシ樹脂(A)の市販品としては、モデピクス301、モデピクス302、モデピクス303、KA−1828(以上、荒川化学株式会社製)、EFD−5580(大日本インキ社製)等が挙げられる。
ポリウレタン樹脂(B)は、エポキシ化合物(b1)とアルカノールアミン(b
2)との反応によって得られるエポキシプレポリマー(B1)と、カルボキシル基含
有ジオールを含む1分子中に活性水素基を2つ以上含有する化合物(b3)とポリイ
ソシアネート化合物(b4)との反応により得られる末端にイソシアネート基を有す
るウレタンプレポリマー(B2)との反応によって得られる樹脂である。
とアルカノールアミン(b2)との反応によって得られるものである。なおエポキシ樹脂(b1)は、前記エポキシ樹脂(a1)と同様のエポキシ樹脂を使用できる。
上記エポキシ樹脂(b1)の市販品としては、例えばジャパンエポキシレジン株式会社製のjER1007(エポキシ当量約1,700、数平均分子量(約2,900)、jER1009(エポキシ当量約3,500、数平均分子量約3,750)、jER1010(エポキシ当量約4,500、数平均分子量約5,500);旭チバ社製のアラルダイトAER6099(エポキシ当量約3,500、数平均分子量約3,800);及び三井化学(株)製のエポミックR−309(エポキシ当量約3,500、数平均分子量約3,800)などが挙げられる。
手法が採用でき、通常、50〜250℃で1〜24時間加熱することにより行われる。上記エポキシ樹脂(b1)及びアルカノール(b2)成分の使用割合は種々変えることができるが、エポキシ樹脂(b1)成分中のエポキシ基とアルカノールアミン(b2)成分中
のアミノ基との当量比が一般に1:0.5〜1:2、好ましくは1:0.5〜1:0.9がよい。このように製造されたエポキシプレポリマー(B1)は、数平均分子量が500〜10,000、好ましくは1,000〜8,000であることが、合成時の粘度制御や形成塗膜の耐食性等の点から好適である。
子中に活性水素基を2つ以上含有する化合物(b3)(以下、「化合物(b3)と略
する」ことがある)とポリイソシアネート化合物(b4)との反応により得られる。
上記カルボキシル基含有ジオールとしては、例えば2,2−ジメチロールプロピオ
ン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロール酪酸、2,2−ジメチロール吉草酸及びこれ等を縮合したポリエステルポリオールまたはポリエーテルポリオールなどが挙げられる。これ等に12−ヒドロキシステアリン酸、パラオキシ安息香酸、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピオン酸、サリチル酸等のヒドロキシカルボン酸を併用することもできる。
なくとも2個以上の活性水素を有する化合物を用いることもできる。そのような具体
例として、低分子量グリコール類、高分子量グリコール類、ポリエステルポリオール
類、ポリカーボネートポリオール類等をそれぞれ単独に用いてもよく、また、ポリエ
ステルポリオールや高分子量グリコールに低分子量グリコールを併用しても良い。
低分子量グリコール類としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレング
リコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレング
リコール、オクタンジオール、トリシクロデカンジメチロール、シクロヘキサンジメ
タノール、水添ビスフェノールAなどがあり、これ等は単独または2種以上混合して
使用しても良い。
ングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリカーボネートグリコールなどが
挙げられ、ポリエステルポリオール類としては、グリコール成分とジカルボン酸成分
を反応させたものが挙げられ、公知の方法で容易に製造でき、エステル化反応に限ら
ず、エステル交換反応によっても製造できる。またε−カプロラクトン等の環状エス
テル化合物の開環反応によって得られるポリエステルジオール及びこれ等の共縮合ポ
リエステルも含むことができる。
ビスフェノール骨格含有ジオール化合物を含むことができ、例えばビスフェノール類
のエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド付加物が挙げられる。ビスフェノール類としては、例えばビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェ
ノールSなどが挙げられる。上記ビスフェノール骨格含有ジオール化合物を用いる場
合には、化合物(b3)中における含有割合が10〜98質量%、好ましくは50〜
95質量%であることが好適である。
2個以上含有するものであり、その具体例としては、例えばヘキサメチレンジイソシ
アネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネー
ト、リジンジイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネート類;これらのポリイソ
シアネートのビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物;イソホロンジ
イソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチ
ルシクロヘキサン−2,4−(又は−2,6−)ジイソシアネート、1,3−(又は
4−)ジ(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,2−シクロヘキサンジイソシアネートなどの脂環族ジイソシアネート類;これらのジイソシアネ−トのビュ−レットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物;キシリレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,4−ナフタレンジイソシアネート、4,4’−トルイジンジイソシアネ−ト、4,4’−ジフェニルエーテルイソシアネート、(m−もしくはp−)フェニレンジイソシアネート、4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、ビス(4−イソシアナトフェニル)スルホン、イソプロピリデンビス(4−フェニルイソシアネート)などの芳香族ジイソシアネート化合物;これらのジイソシアネ−ト化合物のビュ−レットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物;トリフェニルメタン−4,4’,4’’−トリイソシアネート、1,3,5−トリイソシアナトベンゼン、2,4,6−トリイソシアナトトルエン、4,4’−ジメチルジフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネートなどの1分子中に3個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート類;これらのポリイソシアネートのビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ジメチロールプロピオン酸、ポリアルキレングリコール、トリメチロ−ルプロパン、ヘキサントリオ−ルなどのポリオールの水酸基にイソシアネート基が過剰量となる比率でポリイソシアネート化合物を反応させてなるウレタン化付加物;これらのウレタン化付加物のビュ−レットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物等を挙げることができる。
本発明の水性樹脂組成物は、アクリル変性エポキシ樹脂(A)及びポリウレタン樹脂(B)に加えて、微粉タルク(C)を含有することが特徴である。微粉タルク(C)は、形状的には鱗片状粒子よりなる粉末であり、形成した塗膜内で他の各種顔料粒子と共に層状をなして重畳しあうことにより、水や塩分などの腐食因子が外部から侵入することを防止する遮蔽層として機能すると考えられている。
OA=(V/W)×100
(式中、Vは終点までに用いたDBPの使用量(ml)であり、Wは乾燥試料の重さ(g)である。
本発明の水性塗料組成物は、上記の微粉タルク(C)に加えて、硫酸バリウムと炭酸カルシウムを含有する。アクリル変性エポキシ樹脂(A)とポリウレタン樹脂(B)の固形分合計100質量部に対して、炭酸カルシウム10〜50質量部、硫酸バリウム10〜50質量部を含有し、かつ炭酸カルシウム/硫酸バリウム=0.2〜3.0(質量比)であることが、仕上り性を損なうことなく、耐薬品性、耐水性及び防食性に優れた塗膜が得られる。
カーボンブラック、ベンガラ等の着色顔料、水酸化ビスマス、塩基性炭酸ビスマス、硝酸ビスマス、ケイ酸ビスマス、亜リン酸塩化合物などの防錆顔料、クレー、ハイドロタルサイト、マイカ等のような体質顔料、顔料分散剤、界面活性剤、フラッシュラスト抑止剤、増粘剤、金属ドライヤー、硬化触媒、湿潤剤、消泡剤、可塑剤、造膜助剤、有機溶剤、防腐剤、防かび剤、pH調整剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、表面調整剤などの添加剤を適宜選択し、単独でもしくは2種以上組み合わせて含有できる。
製造例1 アクリル変性エポキシ樹脂の製造例(実施例用)
攪拌機、冷却器、温度計及び窒素ガス導入管を備えた反応装置に、エチレングリコールモノブチルエーテル120部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポトートYD−014)300部、グリシジルメタクリレート7.5部を加え窒素気流下100℃で溶解させた後、オクチルアミン18.9部、モノエタノールアミン9.0g、ジ−2−エチルへキシルアミン23.6部を加え5時間反応させ、さらにヘキサメチレンジイソシアネート8.0部を加え5時間反応させ、重合性不飽和基含有変性エポキシ樹脂を得た。ついで、当該反応系内に、アクリル酸15部、スチレン6部、アクリル酸ブチル6部、tert−ブチルセロソルブ40部およびtert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート3部を1時間かけて滴下し4時間保温した。80℃に冷却後、トリエチルアミン21部および水560部を順に添加混合することにより、固形分35.0%、酸価30mgKOH/gのアクリル変性エポキシ樹脂を得た。
製造例2 エポキシプレポリマー(B1−1)の作成
温度計、攪拌装置、還流冷却管を備えた4つ口フラスコを窒素置換させ、その中でエポキシ当量450g/eqのビスフェノールA型エポキシ樹脂(180部)を、プロピレングリコールモノプロピルエーテル(49.6部)に溶解し、これにモノエタノールアミン(18.3部)を加え、85℃で3時間保持し、アミノ基含有量(注1)が1.50〜1.55mmol/g程度となるまで反応させた。その後、メチルエチルケトン(148.7部)を加え、エポキシプレポリマー(B1−1)溶液を得た。得られたエポキシプレポリマー(B1−1)溶液の固形分は50%、プレポリマーの数平均分子量は1,983であった。
三角フラスコに試料を約1g測りとり、これに40mlのメチルエチルケトンを加えて溶解する。溶解しにくい場合は50°Cまで加熱して溶解する。次に、全量ピペットでCTAB(セチルトリメチルアンモニウムブロミド)溶液10mlを加えて均一にする。続いて、スクリーン指示薬0.2mlを正確に加えて、N/10過塩素酸−酢酸溶液で滴定し、最後の一滴で桃色が約30秒間続いたとき終点とする。下記計算値から算出する。尚、CTAB溶液はCTAB20gに酢酸200mlを加えて溶解しさらにメチルエチルケトン200mlを加えて均一溶液に調整し、スクリーン指示薬は氷酢酸100mlにアルファズリン0.3gを溶解した溶液に、チモールブルー1.5gをメタノール500mlに溶解した溶液を混合して調整した。
ここでE:アミノ基含有量(mmol/g)
A:本試験のN/10過塩素酸-酢酸溶液の使用量(ml)
B:空試験のN/10過塩素酸-酢酸溶液の使用量(ml)
F:N/10過塩素酸-酢酸溶液のファクター
S:試料の加熱残分(%)
W:試料の量。
温度計、攪拌装置、還流冷却管を備えた4つ口フラスコを窒素置換させ、その中で「ビスオール3PN」(注2)(212.3部)、「ビスオール6PN」(注3)(305.9部)、ジメチロールプロピオン酸(61.1部)をN−メチルピロリドン(154.2部)に溶解し、ヘキサメチレンジイソシアネート(191.7部)を30分かけて滴下し、60℃で1.5時間反応を行った。
その後80℃に昇温し2時間反応を行って、イソホロンジイソシアネート(168.7部)を加え更に80°Cで3時間、NCO価(注4)が25となるまで反応させた。その後、メチルエチルケトン(418部)を加え、ウレタンプレポリマー(B2−1)溶液を得た。得られたウレタンプレポリマー(B2−1)溶液の固形分濃度は62.2%、プレポリマーの数平均分子量は2,473、酸価は27.2mgKOH/gであった。
(注3)ビスオール6PN:東邦化学工業社製、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA(プロピレンオキサイド変性量=6モル)
(注4)NCO価:ウレタンプレポリマー1g中に含まれるイソシアネート基量(mg)で、下記測定方法にて追跡した。
計算式N={0.1×42×(A−B)×f}/0.01×S×W}
ここでN:NCO価(試料約1g中に含まれるNCOのmg数)
A:空試験のN/5ジブチルアミン-ジオキサン溶液を中和するのに使用したN/10塩酸溶液の量(ml)
B:試料の滴定に使用したN/10塩酸溶液の量(ml)
f:N/10塩酸溶液のファクター
S:試料の加熱残分(%)
W:試料の量(g)
42:NCOの分子量。
上記と同様の装置を用い、62.6%ウレタンプレポリマー(B2−1)溶液1511部を、攪拌状態で50℃に保持し、その中に50%エポキシプレポリマー(B1−1)溶液753.6部を加え、1時間攪拌した。次いで40℃に冷却し、トリエチルアミン36.8部で中和し、脱イオン水2392.6部を加えて、分散した。その中に、脱イオン水91.3部で希釈したジエチレントリアミン9.1部を30分かけて滴下し、50℃で2時間保持した。その後、60℃でメチルエチルケトンを減圧留去することで、固形分35%のポリウレタン樹脂溶液No.1を得た。なおポリウレタン樹脂No.1の酸価は、19.4mgKOH/g、アミン価は8.1mgKOH/g、水酸基価は59.1mgKOH/gである。
温度計、攪拌装置、還流冷却管を備えた4つ口フラスコを窒素置換させ、その中
でエポキシ当量450g/eqのビスフェノールA型エポキシ樹脂540部を、2,2−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジイソブチレート84.4部とイソプロパノール86.4部に溶解し、これにモノエタノールアミン18.3部を加え、85℃で3時間保持し、アミノ基含有量(注1)が1.50〜1.55mmol/gとなるまで反応させた。その後、メチルエチルケトン338.1部を加え、エポキシプレポリマー(B1−2)溶液を得た。得られたエポキシプレポリマー(B1−2)溶液の固形分は50%、プレポリマーの数平均分子量は1,983であった。
温度計、攪拌装置、還流冷却管を備えた4つ口フラスコを窒素置換させ、その中
でポリカーボネートジオール95.6部、脂肪酸モノグリセライド69.0部、ジメチロールプロピオン酸17.9部をメチルエチルケトン49.6部に溶解し、ヘキサメチレンジイソシアネート65.6部を30分かけて滴下し、60℃で1.5時間反応を行った。その後80℃に昇温し2時間反応を行って、イソホロンジイソシアネート57.7部を加え更に80℃で3時間、NCO価(注4)が25〜37となるまで反応させた。その後、メチルエチルケトン143部を加え、ウレタンプレポリマー(B2−2)溶液を得た。得られたウレタンプレポリマー(B2−2)溶液の固形分は61.4%、プレポリマーの数平均分子量は2,352、酸価は24.6mgKOH/gであった。
上記と同様の装置を用い、61.4%ウレタンプレポリマー(B2−2)溶液
498.5部を、攪拌状態で50℃に保持し、その中に50%エポキシプレポリマー(B1−2)溶液165.0部を加え、1時間攪拌した。
次いで、40℃に冷却し、トリエチルアミン12.2部で中和し、脱イオン水694.0部を加えて、分散した。その中に、脱イオン水42.5部で希釈したジエチレントリアミン4.3部を30分かけて滴下し、50℃で2時間保持した。
その後、60℃でメチルエチルケトンを減圧留去することで、ポリウレタン樹脂溶液No.2を得た。この水性分散体の固形分は35.0%、ポリウレタン樹脂No.2の酸価は19.3mgKOH/g、アミン価は3.9mgKOH/g、水酸基価は61.2mgKOH/gであった。
反応容器に、亜麻仁油脂肪酸280部、「jER828」(注5)185部及びテトラエチルアンモニウムブロマイド0.23部を入れ、攪拌しながら反応温度140℃で反応させ、脂肪酸変性エポキシ樹脂を得た。エポキシ基とカルボキシル基の反応は残存カルボキシル基の量を測定することによりモニターした。残存カルボキシル基の量がほぼなくなるまで反応を行い、反応が完了するまで約7時間を要した。その後、「Newcol707SF」19部を該反応容器に入れ、ディスパーにて2000rpmで攪拌しながら、脱イオン水620部を滴下し、固形分が40%の水性脂肪酸変性エポキシ樹脂を得た。
ガラスビーカーに下記「モノマー乳化物組成」成分を入れ、ディスパーにて
2000rpmで15分間攪拌し、予備乳化液を製造した後、この予備乳化液を、高圧エネルギーを加えて流体同士を衝突させる高圧乳化装置にて100MPaで高圧処理することにより、分散粒子の平均粒子径が190nmのモノマー乳化物を得た。
「モノマー乳化物組成」
脂肪酸変性重合性不飽和モノマー(注6) 35部
スチレン 10部
i−ブチルメタクリレート 24部
t−ブチルメタクリレート 18部
2−エチルヘキシルメタクリレート 10部
メタクリル酸 3部
アデカリアソープER−40(注7) 2部
脱イオン水 145部
次いで、上記モノマー乳化物をフラスコへ移し、脱イオン水にて固形分濃度が45%となるように希釈した。その後85℃まで昇温させ、過硫酸アンモニウム0.5部を脱イオン水13部に溶解させた開始剤水溶液をフラスコに投入し、該温度を保持しながら3時間攪拌した。その後、過硫酸アンモニウム0.25部を脱イオン水10部に溶解させた開始剤水溶液をフラスコに添加し、該温度を保持しながら1時間攪拌した後40℃まで冷却し、ジメチルアミノエタノールでpHを8.0に調整し、固形分濃度40%、分散樹脂の平均粒子径が190nmの水性脂肪酸変性アクリル樹脂を得た。
反応容器に下記の成分を入れ、攪拌しながら反応温度140℃、5時間で反応させ、
脂肪酸変性重合性不飽和モノマーを得た。
亜麻仁油脂肪酸 280部
グリシジルメタクリレート 142部
臭化テトラアンモニウムブロマイド 0.13部。
温度計、サーモスタット、撹拌装置、還流冷却器、窒素導入管及び滴下装置を備えた反応容器にプロピレングリコールモノプロピルエーテル35部を仕込み85℃に昇温後、メチルメタクリレート30部、2−エチルヘキシルアクリレート20部、n−ブチルアクリレート29部、2−ヒドロキシエチルアクリレート15部、アクリル酸6部、プロピレングリコールモノプロピルエーテル15部及び2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)2.3部の混合物を4時間かけて滴下し、滴下終了後1時間熟成した。
その後さらにプロピレングリコールモノプロピルエーテル10部及び2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1部の混合物を1時間かけて滴下し、滴下終了後1時間熟成した。さらにジエタノールアミン7.4部を加え、固形分55%の水酸基含有アクリル樹脂溶液を得た。得られた水酸基含有アクリル樹脂は、酸価が47mgKOH/g、水酸基価が72mgKOH/gであった。
製造例10で得た固形分55%のアクリル樹脂溶液14.5部(固形分8部)、カーボンMA−100(注8)5部、ルミナス(注9)30.0部、硫酸バリウム100(注10)30.0部、ミクロエースSG−95(注11)を30.0部、EXPERT NP−1020C(注15)を20.0部、K−WHITE 140W(注16)3.0部、脱イオン水119.5部加え、ボールミルに仕込み20時間攪拌することによって、固形分50%の顔料分散ペーストNo.1を得た。
表1の配合内容とする以外は、製造例11と同様にして、顔料分散ペーストNo.2〜No.14を得た。
(注9)ルミナス:丸尾カルシウム社製、商品名、炭酸カルシウム、平均粒径0.1μm
(注10)硫酸バリウム100:堺化学工業社製、商品名、硫酸バリウム、平均粒径0.6μm
(注11)ミクロエースSG−95:日本タルク社製、商品名、微粉タルク、平均粒子径2.5μm、吸油量47ml/100g
(注12)ハイミクロンHE5:竹原化学工業社製、商品名、微粉タルク、平均粒子径1.6μm、吸油量52ml/100g
(注13)Tタルク:竹原化学工業社製、商品名、タルク、平均粒子径9.0μm、吸油量27ml/100g
(注14)タルクMS−P:日本タルク社製、商品名、タルク、平均粒子径13μm、吸油量28ml/100g
(注15)NP−1020C:東邦化学社製、商品名、亜リン酸カルシウム
(注16)K−WHITE 140W:テイカ社製、商品名、トリポリリン酸二水素アルミニウム。
表2の配合内容とする以外は、製造例11と同様にして、顔料分散ペーストNo.15〜No.22を得た。
製造例1で製造した固形分35%のアクリル変性エポキシ樹脂を70.0部(固形分)、固形分35%のポリウレタン樹脂溶液No.1を30.0部(固形分)、50%の顔料分散ペーストNo.1を126.0部(固形分)、SNシックナー612(注18)2.0部(固形分)をディスパーで攪拌しながら脱イオン水を加えて混合して固形分濃度を調整し、固形分40%の水性塗料No.1を得た。
表3及び表4の配合内容とする以外は、実施例1と同様にして、水性塗料No.2〜No.19を得た。
次いで、試験板作成に従って得た試験板を、後記の試験方法によって試験に供した結果を表3及び表4に示す。
表5及び表6の配合内容とする以外は、実施例1と同様にして、水性塗料No.20〜No.39を得た。次いで、試験板作成に従って得た試験板を、下記の試験方法による試験に供した結果を表5及び表6に示す。
(注19)DICNATE3111:大日本インキ化学工業(株)製、商品名、Co系酸化重合用触媒
上記の実施例1〜19、比較例1〜20にて得た水性塗料No.1〜No.38を用いて、冷延鋼板(無処理)に乾燥膜厚が35±2μmとなるようにスプレー塗装した。次に、電気熱風乾燥機を用いて80℃で30分間強制乾燥し、次いで室温(23℃)で7日間エージング(乾燥)を行って試験板を得た。
各水性塗料を250mlのガラス容器に入れて暗所で、40℃にて30日間貯蔵し、状態をチェックした。
○は、塗料のゲル化及び相分離のいずれも認められず、
△は、やや塗料のゲル化及び相分離の少なくともいずれかがみられる、
×は、著しい塗料のゲル化及び相分離の少なくとも一つが著しくみられる。
各試験板の塗面外観を目視で評価した。
○は、平滑性が良好で問題なし
△は、ハジキ、凹み、曇りの少なくとも1種の低下がやや見られる、
×は、ハジキ、凹み、曇りの少なくとも1種の低下が大きい。
JIS K 5600-5-4に準じて、試験塗板面に対し約45°の角度に鉛筆の芯を当て、芯が折れない程度に強く試験塗板面に押し付けながら前方に均一な速さで約10mm動かした。塗膜が破れなかったもっとも硬い鉛筆の硬度記号を鉛筆硬度とした。
濃度5%の硫酸水溶液に、各試験板を60℃で3時間浸漬した後の塗面を目視で評価した。
◎は、塗膜に全く異常がない。
〇は、塗膜にツヤビケがわずかに認められるが製品として問題ないレベル
△は、塗膜にフクレ又はワレのいずれかが認められる。
×は、塗膜にフクレ又はワレが著しく認められる。
各試験板を23℃で脱イオン水に72時間浸漬し、塗面を評価した。
◎は、良好で問題ない
○は、ややツヤビケが見られるが製品として問題ないレベル
△は、フクレ、色落ちのいずれかが見られる、
×は、フクレ、色落ちのいずれかが大きい。
各試験板の塗膜にナイフでクロスカット傷を入れ、これをJIS Z−2371に準じて240時間耐塩水噴霧試験を行った。
試験後、ナイフ傷からの錆、フクレ幅によって以下の基準で評価した。
◎は、錆、フクレの最大幅が、カット部から2mm未満(片側)、
○は、錆、フクレの最大幅が、カット部から2mm以上でかつ3mm未満(片側)、
△は、錆、フクレの最大幅が、カット部から3mm以上でかつ4mm未満(片側)、
×は、錆、フクレの最大幅が、カット部から4mm以上(片側)。
Claims (3)
- (イ)エポキシ樹脂(a1)、グリシジル基含有ラジカル重合性不飽和単量体(a2)及びアミン類(a3)を反応させてなる変性エポキシ樹脂(A1)の存在下に、カルボキシル基含有ラジカル重合性不飽和単量体(A2)を必須成分とする不飽和単量体を重合反応させて得られるアクリル変性エポキシ樹脂(A)と、
エポキシ樹脂(b1)とアルカノールアミン(b2)との反応によって得られるエポキシプレポリマー(B1)と、カルボキシル基含有ジオールを含む1分子中に活性水素基を2個以上含有する化合物(b3)とポリイソシアネート化合物(b4)との反応によって得られるウレタンプレポリマー(B2)の反応によって得られるポリウレタン樹脂(B)を含有してなる水性塗料組成物であり、
(イ)アクリル変性エポキシ樹脂(A)/ポリウレタン樹脂(B)=25/75〜75/25(質量部)で配合してなり、更にアクリル変性エポキシ樹脂(A)とポリウレタン樹脂(B)の固形分合計100質量部に対し、
(ロ)平均粒子径20μm以下でかつDBP吸油量が40ml/100g以上の微粉タルク(C)を10〜50質量部、及び
(ハ)炭酸カルシウムと硫酸バリウムを両成分の合計で20〜100質量部、かつ炭酸カルシウム/硫酸バリウム=0.2〜3.0(質量比)、を含有することを特徴とする水性塗料組成物。 - ポリウレタン樹脂(B)が、エポキシプレポリマー(B1)中のアミノ基とウレタンプレポリマー(B2)中のイソシアネート基との当量比が1:0.01〜1:0.9となるように反応させて得られる請求項1に記載の水性塗料組成物。
- 請求項1又は2に記載の水性塗料組成物を用いた自動車用部品の塗装方法。
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