JP2010161429A - 固体電解コンデンサの製造方法 - Google Patents

固体電解コンデンサの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】低いESRを有する固体電解コンデンサの製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】弁作用金属の焼結体からなる陽極体の表面に誘電体酸化皮膜を形成した後、メルカプト基を有するシランカップリング剤、酸化剤および酸化重合により導電性高分子となる単量体を用いて、化学重合により導電性高分子からなる陰極層を形成する、固体電解コンデンサの製造方法。さらに、前記シランカップリング剤は、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン又は3−メルカプトプロピルトリメトキシシランである固体電解コンデンサの製造方法。
【選択図】 図1

Description

この発明は、固体電解コンデンサの製造方法に関し、特にたとえば、陽極体の内部に微細な空孔などを有する、固体電解コンデンサの製造方法に関する。
従来、固体電解コンデンサについては、弁作用金属の焼結体からなる陽極体の表面に誘電体酸化皮膜を電解酸化処理により形成し、誘電体酸化皮膜上に固体電解質からなる陰極層を形成したものが知られている。この弁作用金属とは、電解酸化処理により極めて緻密で耐久性を有する誘電体酸化皮膜が形成される金属を指し、タンタル、ニオブ、アルミニウム、チタン等が該当する。
固体電解質には二酸化マンガン等の導電性無機材料、又はTCNQ(7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン)錯塩や導電性高分子等の導電性有機材料が用いられている。特に、固体電解質の中でも、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン又はそれらの誘導体等の導電性高分子の電気伝導性は二酸化マンガンやTCNQ錯塩の電気伝導性に比べて高いため、これらを陰極層として誘電体酸化皮膜上に形成すれば、ESR(等価直列抵抗)が低く、かつ高周波特性に優れた固体電解コンデンサを提供することができる。
このポリピロール等の導電性高分子を用いて陰極層を形成する場合、従来化学重合法や電解重合法が利用されている。化学重合法は、酸化剤により単量体を酸化重合して、陽極体上に導電性高分子からなる陰極層を形成する方法である。電解重合法は、電気分解においてアノードで生じる酸化反応により単量体を酸化重合して、アノード上に導電性高分子からなる陰極層を形成する方法である。
化学重合法を利用する方法では、誘電体酸化皮膜上に酸化剤を付着させ、次にこれを導電性高分子となる単量体の溶液又は気体に接触させることにより、単量体を酸化重合させ、誘電体酸化皮膜上に導電性高分子層を形成している。しかしながら、この方法により形成される導電性高分子層には、強度が弱い、むらが発生し易い、電解重合法により形成される導電性高分子層に比べて電気伝導性が低い等の欠点がある。
一方、電解重合法を利用して形成すると、一般に強度が強く電気伝導性が高く、且つ均一で良質な導電性高分子層を形成することができる。しかしながら、誘電体酸化皮膜は絶縁体であるためリード線を給電のための電極として利用することができず、電解重合を利用して誘電体酸化皮膜上に導電性高分子層を直接形成することは非常に困難であった。
これを解決する手段として、誘電体酸化皮膜上に化学重合による導電性高分子膜を形成して表面を導電化した後、この導電性高分子膜上に電解重合による導電性高分子膜を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1)。
また、本出願人は、プレコート層(導電性の膜)上に導電性高分子層を形成する方法として、外部電極によるプレコート層への給電点を所定時間毎に変更して導電性高分子層の厚さを均一化する方法を提案している(例えば、特許文献2)。
特公平4−74853号公報[H01G 9/02] 特開平11−283878号公報[H01G 9/028、H01G 13/00]
固体電解コンデンサについては、固体電解コンデンサの外径寸法を従来の寸法より大きくすることなく、その容量を増加することが求められている。固体電解コンデンサの容量を大きくするには陽極体の表面積を広げる必要があり、その方法の一つとして、焼結体を構成している粒子を小型化することが考えられる。つまり、従来の陽極体と同一体積、同一密度でありながら、焼結体の粒子の粒径を従来より小さいものにすることにより、外形寸法や重量を増加させることなく陽極体の表面積を拡げることができる。
しかしながら、このような焼結体を陽極体として用いた場合、焼結体内部の空孔が従来よりも更に小さくなるため、特許文献1および2の従来技術のように誘電体酸化皮膜が形成された陽極体に化学重合だけでプレコート層を形成しても、非常に小さな空孔内の表面にプレコート層を形成し難い。その上、プレコート層が焼結体の外部表面に先に付着して、プレコート層を形成する物質が焼結体内部へ入り込むために必要な焼結体表面の空隙をさらに小さくしてしまい、焼結体内部の空孔をプレコート層で覆うことが難しくなる。
また、化学重合によるプレコート層は導電性高分子の単量体が焼結体の表面に点々と付着して形成されるため、プレコート層には元来隙間が多い。
したがって、このようなプレコート層を基に電解重合により形成する導電性高分子層を成長させても、プレコート層の隙間はほとんど埋まらず、導電性高分子層と誘電体酸化皮膜との界面に多くの隙間が残る。
そして、コンデンサの容量は、陽極体と誘電体酸化皮膜を挟んで形成する陰極層の対向面積によって決まるため、陽極体の表面積を拡大しても対向する導電性高分子層の表面積はあまり増加しなければ、固体電解コンデンサの容量の大きな増加につなげることはできなかった。
それゆえに、この発明の主たる目的は、外径寸法を大きくすることなく大容量化を可能にした固体電解コンデンサの製造方法を提供することである。
本発明は、弁作用金属の焼結体からなる陽極体の表面に誘電体酸化皮膜を形成した後、メルカプト基を有するシランカップリング剤、酸化剤および酸化重合により導電性高分子となる単量体を用いて、化学重合により導電性高分子からなる陰極層を形成する、固体電解コンデンサの製造方法。
また、本発明において、シランカップリング剤は、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン又は3−メルカプトプロピルトリメトキシシランである。
本発明により、陰極層の導電率および誘電体酸化皮膜と陰極層との密着性を向上させ、固体電解コンデンサのESRを低減することができる。
この発明の一実施例の固体電解コンデンサを示す断面図である。 陽極体に補助プレコート層を電解重合する装置を示す断面図である。 陽極体に導電性高分子層を電解重合する装置を示す断面図である。 図3に示す電解重合装置の外部電極片を移動させた状態を示す断面図である。 この発明の別の実施例の固体電解コンデンサの製造方法に用いられる補助プレコート層の電解重合装置を示す断面図である。 この発明の別の実施例の固体電解コンデンサの製造方法に用いられる導電性高分子層の電解重合装置を示す断面図である。 この発明のさらに別の実施例1の固体電解コンデンサの製造方法に用いられる導電性高分子層の電解重合装置を示す断面図である。
図1に示すこの発明の一実施例である固体電解コンデンサ10は、コンデンサ素子12の表面上にカーボン層14および銀ペースト層16を形成し、銀ペースト層16およびコンデンサ素子12の電極引出用リード線18にそれぞれ金属端子板20を取り付けて、これらにエポキシ樹脂などによる外殻22を形成したものである。
コンデンサ素子12は、電極引出用リード線18が取り付けられた陽極体24に、電解酸化処理による誘電体酸化皮膜26、化学重合によるプレコート層28、電解重合による補助プレコート層30、および電解重合による導電性高分子層32を積層させたものである。この内のプレコート層28、補助プレコート層30および導電性高分子層32の積層体が陰極層34となり、陽極体24および陰極層34は絶縁性の誘電体酸化皮膜26によって絶縁された2つの電極として作用する。
陽極体24にはタンタル、ニオブ、チタン、アルミニウムなどの弁作用金属の焼結体が用いられる。焼結体は弁作用金属の粉末を焼き固めたものであり、その表面には多数の微小な窪みが形成され、またその中には多数の微小な空孔が存在する。粉末の粒径を従来のものより小さくすることにより、窪みや空孔の大きさは従来のものより小さくなる。たとえば、従来用いられている10〜200μmの粒径のタンタル粉末から形成される焼結体では、焼結体内部の空孔の平均直径(ポア径)は0.5〜1.0μmになる。これに対して、2μm以下の粒径の粉末を全体の1%以上含むタンタル粉末を用いて焼結体を形成すると、その焼結体内部の空孔の平均直径(ポア径)は0.05〜0.2μmと非常に小さくなる。
誘電体酸化皮膜26はタンタルやアルミニウムなどを電解酸化して得られる酸化タンタル(Ta205)や酸化アルミニウム(Al2O3)などの非常に薄い絶縁性膜である。
プレコート層28、補助プレコート層30および導電性高分子層32にはポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、ならびにこれらの誘導体などの導電性高分子にスルホン酸系化合物などのドーパント剤を添加した樹脂が用いられる。ドーパント剤は芳香族スルホン酸塩、カルボン酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩などのアニオン系界面活性剤、またはエステル塩、エーテル塩、エステルエーテル塩、アルカノールアミド塩などの非イオン系界面活性剤である。たとえば、アニオン系界面活性剤としてアルキルナフタレンスルホン酸やアルキルエーテル硫酸エステルナトリウムがあり、非イオン系界面活性剤としてポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルがある。
固体電解コンデンサ10を製造する場合、まず電極引出用リード線18が取り付けられた、たとえば幅2.33mm、長さ1.75mm、厚さ0.95mmのタンタル焼結体の陽極体24を用意する。そして、陽極体24および電極引出用リード線18の一部を0.02重量%のリン酸水溶液に浸漬し、電圧を印加することによりこれらを電解酸化して、陽極体24および電極引出用リード線18の一部の表面に誘電体酸化皮膜26を形成する。
この陽極体24を、たとえば濃度1 mol/lの過酸化水素および濃度0.2mol/lの硫酸の水溶液に10分間浸漬した後、陽極体24を、たとえば濃度0.05mol/lのアルキルナフタレンスルホン酸および濃度0.1mol/lの酸化重合により導電性高分子(ポリピロール)となるピロール単量体の溶液または気体に接触させる。これにより、ピロール単量体が硫酸およびアルキルナフタレンスルホン酸をドーパント剤として含みながら酸化重合して、ポリピロールのプレコート層28を誘電体酸化皮膜26の表面上に形成する。このプレコート層28はピロール単量体が誘電体酸化皮膜26の表面上に点々と付着するように形成するため、プレコート層28の中には多くの隙間が開いており、そこから誘電体酸化皮膜26が現れている。また、アルキルナフタレンスルホン酸はプレコート層28の内部に取り込まれると同時に、誘電体酸化皮膜26の表面上に付着する。
なお、硫酸はドーパント剤としてだけでなく、pH調整剤としても作用する。この作用により過酸化水素は酸化作用を発揮する。
次に、図2に示すように、電源38の陽極側に接続された電解重合用電極36を陽極体24の電極引出用リード線18に接続する。その陽極体24と電源38の陰極側に接続された電解重合用対極電極40とを、たとえば濃度0.05mol/lのアルキルナフタレンスルホン酸、0.1mol/lの過硫酸アンモニウムおよび濃度0.1mol/lのピロール単量体を含む水溶液の電解液42に浸漬する。そして、陽極体24と電解重合用対極電極40との間に100kHzの交流電流に正の電流バイアス電流を重畳した0.8mArms/Pの電流を90分間流す。このとき、交流電流に正の電流バイアス電流を重畳することにより陽極体24に負電圧が印加されないような状態にして、誘電体酸化皮膜26が破壊されることを防ぐ。また、陽極体24に印加する電圧値を誘電体酸化皮膜26の形成時の電圧値より低くする。これは、誘電体酸化皮膜26の厚みは印加電圧により決まるため、硫酸が含まれる電解液42の中で陽極体24に誘電体酸化皮膜26の形成時より高い電圧を印加すると、誘電体酸化皮膜26の厚みが増加してしまう。よって、このように誘電体酸化皮膜26の厚みを変化させないためである。
これにより、絶縁体である誘電体酸化皮膜26の表面の内のプレコート層28が形成されていない部分の上に充放電電流が流れる。このとき、先のプレコート層28の形成時に2種のドーパント剤、つまり硫酸およびアルキルナフタレンスルホン酸を用いると、これらのドーパント剤が誘電体酸化皮膜28の表面に付着して、誘電体酸化皮膜28の表面が電気化学的に電荷を帯び、電解重合により発生するラジカルカチオンを引き付け易くなる。このため、ここに薄く均一で緻密な補助プレコート層30が形成され易くなり、効率よくプレコート層28の隙間を埋めることができる。特に、補助プレコート層30は、プレコート層28の形成が難しい部分である、たとえば陽極体24の微小な空孔などの内部にも形成され、陽極体24の表面全体を覆う。
補助プレコート層30の導電性高分子は、アルキルナフタレンスルホン酸、および過硫酸アンモニウムが分解してできた硫酸をドーパント剤として含む。
さらに、陽極体24を図3に示す別の電解槽中に支持して、たとえば濃度0.1mol/lのピロール単量体、0.1mol/lの過硫酸アンモニウムおよび濃度0.05mol/lのアルキルナフタレンスルホン酸を含む水溶液の電解液44に浸漬する。そして、電源46の陽極側に接続された外部電極片48を電解液44の中に浸漬して、陽極体24の側面に対して接近離間可能に配備する。また、電源46の陰極に接続されたカソード電極片50を電解液44の中に浸漬して、陽極体24の底より下方に配備する。それから、外部電極片48を陽極体24の表面の補助プレコート層30(図1)に接触させて、この領域を給電点Pとして補助プレコート層30に給電し、補助プレコート層30上に電解重合によるポリピロールの導電性高分子層32を形成する。この導電性高分子層32も、補助プレコート層のポリピロールと同様に、アルキルナフタレンスルホン酸、および過硫酸アンモニウムが分解してできた硫酸をドーパント剤として含む。
この場合、外部電極片48に弾性金属片を使用して、外部電極片48を陽極体24の側面に圧接すると、外部電極片48は弾性変形して、軽い圧力を伴って陽極体24に接触する。これにより、補助プレコート層30への給電が安定するとともに、補助プレコート層30への機械的な衝撃が緩和されて、補助プレコート層30およびその基層である誘電体酸化皮膜26の損傷が防がれる。
また、外部電極片48を電解槽上の切替装置52に装着しておく。切替装置52は電極片48の位置を水平移動、揺動または昇降などするものであり、これにより陽極体24に対する給電点Pの位置は移動する。
たとえば、図4に示すように、外部電極片48を切替装置52により上下動させると、外部電極片48は陽極体24の低位置と高位置とを往復して接触するため、陽極体24の全長にわたって均一な導電性高分子層32が形成される。
そして、導電性高分子層32が所定厚さに達すると、外部電極片48を陽極体24から離して、陽極体24を電解液44から取り出す。それから、陽極体24を洗浄および乾燥して、コンデンサ素子12を完成させる。
最後に、図1に示すコンデンサ素子12の導電性高分子層32の表面上にカーボン層14および銀ペースト層16を積層し、電極引出用リード線18および銀ペースト層16にそれぞれ金属端子板20を取り付ける。そして、金属端子板20を取り付けたコンデンサ素子12に、エポキシ樹脂などにより外殻22を形成した後に、所定の電圧でエージング処理を行なって、固体電解コンデンサ10は完成する。
このように、プレコート層28の形成時に硫酸およびアルキルナフタレンスルホン酸の2種のドーパント剤を用いると、この作用により誘電体酸化皮膜26の表面は導電性を帯びる。このため、陽極体24と電解重合用対極電極40との間に直流バイアス電流を重畳した交流電流を流せば、誘電体酸化皮膜26の表面に発生する充放電電流が流れ易くなり、補助プレコート層30は微小な空孔内部など誘電体酸化皮膜26の表面の中でプレコート層28が形成されていない部分に形成され、陽極体24の表面全体を覆うことができる。したがって、陽極体24の焼結体の粉末の小径化に伴ってコンデンサ素子12の電極面積を拡大し、延いては固体電解コンデンサ10の外径寸法を大きくすることなく、その静電容量を大きくすることができる。
また、プレコート層28、補助プレコート層30および導電性高分子層32に同じドーパント、つまり硫酸およびアルキルナフタレンスルホン酸を含むことにより、これらの一連の導電性を向上させ、固体電解コンデンサ10の静電容量を高めることができる。
この効果について行った評価結果を表1に示す。この試験では、粒径が1μm以下の粉末を5%以上含む粉末から焼結体を作成し、この焼結体を陽極体24に使用した。なお、焼結体の内部の空孔の平均直径が0.16μmであり、直径が0.2μ以下の空孔は全体の空孔の57%を占め、直径が0.1μm以下である空孔は全体の14%を占めた。
そして、上記の製造方法と同様の製造方法により実施例1および比較例1の固体電解コンデンサを作成した。ただし、実施例1ではプレコート層28の形成時に、たとえば、濃度0.7重量%のアルキルナフタレンスルホン酸を用いたが、比較例1ではこの際にアルキルナフタレンスルホン酸を用いなかった。そして、実施例1および比較例1の固体電解コンデンサの静電容量および容量出現率を測定し、各値について40台分の平均値を算出し表1に示した。
ここで、この容量出現率は、水中容量(陽極体24に誘電体酸化皮膜26だけを形成したコンデンサ素子を用いた固体電解コンデンサを酸液中に浸漬して測定した静電容量)に対する固体化容量(完成品のコンデンサ素子12を用いた固体電解コンデンサ10の静電容量)の比の百分率を表している。
表1より、実施例1の固体コンデンサの静電容量(CAP)および容量出現率の方が比較例1に比べて大きくなっており、プレコート層28を形成する際にドーパント剤として硫酸だけでなくアルキルナフタレンスルホン酸を用いた効果が表れている。つまり、アルキルナフタレンスルホン酸により補助プレコート層30は微細な空孔内などプレコート層28の隙間を広く覆い、陰極層、延いては固体電解コンデンサ10の電極の面積が拡大して、これらの値が増加している。また、プレコート層28、補助プレコート層30および導電性高分子層32に同じドーパントを用いたことによる一連の導電性を向上効果も現れていると考えられる。
特に、焼結体における弁作用金属の粉末の粒径が、たとえば1μm以下のものを5%以上含む場合に効果が大きく好ましい。また、焼結体の内部に直径が0.2μm以下の空孔を30%以上含む場合に特に効果が大きい。さらに、直径が0.1μm以下の空孔を3%以上含む場合、効果がより大きくなり好ましい。すなわち、従来用いられている粉末の粒径より非常に小さな粒径、たとえば、1μm以下の粉末を用いて、焼結体を形成し、これ
を陽極体24に使用すると、陽極体24の寸法を大きくすることなく、陽極体24の表面積を広げることができる。しかも、上記固体電解コンデンサ10の製造方法によれば、このような小さな空孔内にも導電性高分子層28を形成することができるため、陽極体24の粒径の小径化に伴い導電性高分子層28の面積が広がり、固体電解コンデンサ10の大容量化が図られる。特に、焼結体の内部の空孔の大きさ(直径)が小さくなるほど、陽極体24の表面積が拡大し、それに伴い導電性高分子層28の形成面積も広がるため、固体電解コンデンサ10の容量をさらに大きくすることができる。
なお、プレコート層28、補助プレコート層30および導電性高分子層32を形成する際に同じドーパント剤、硫酸およびアルキルナフタレンスルホン酸を用いたが、このドーパント剤は導電性高分子に対して導電性を付与するものであれば、特に同じでなくてもよい。
また、プレコート層と形成する際にメルカプト基を有するシランカップリング剤を用いることもできる。メルカプト基を有するシランカップリング剤としては、たとえば3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランである。酸化剤によりメルカプト基を有するシランカップリング剤のメルカプト基が酸化されてスルホン基になる。このスルホン基はドーパント剤として作用するため、さらにプレコート層の導電率を向上させることができる。また、シランカップリング剤は陽極体の表面およびプレコート層と結合して、誘電体酸化皮膜とプレコート層との密着性が向上する。このため、固体電解コンデンサのESRを低減することができる。
この効果について行った評価結果を表2に示す。この試験では、粒径150kcvの粉末を使用した焼結体を陽極体24に用いて、上記の製造方法と同様の製造方法により実施例2および比較例2の固体電解コンデンサを作成した。ただし、実施例2ではプレコート層28の形成時に硫酸、たとえば1.14重量%のアルキルナフタレンスルホン酸および0.01Mのシランカップリング剤を用いたが、比較例2ではアルキルナフタレンスルホン酸を用いずにシランカップリング剤だけを、たとえば0.01M用いた点が異なる。そして、実施例2および比較例2の固体電解コンデンサの静電容量および容量出現率を測定し、各値について40台分の平均値を算出し表2に示した。
表2より、実施例2の静電容量および容量出現率は比較例2に比べて高い値となっていることから、プレコート層28の形成時に3種のドーパント剤、つまり硫酸、アルキルナフタレンスルホン酸およびシランカップリング剤を用いた効果が表れている。
さらに、陽極体24に弁作用金属の焼結体を用いたが、エッチング処理などにより表面に凸凹を付けた弁作用金属の箔を用いることもできる。
また、図2に示すように、補助プレコート層30の形成時に電源38の陽極側に接続された電解重合用電極36を陽極体24の電極引出用リード線18に接続したが、図5に示す電源38の陽極側に接続された外部電極53を用い、この電極53を陽極体24に接触させてもよい。この場合、外部電極53と陽極体24との接触点を中心に外部電極53から陽極体24へ給電される。
そして、補助プレコート層30を形成する電解槽と導電性高分子層32を形成する電解槽とに別の電解層を用いたが、同じ電解槽を用いて、補助プレコート層30および導電性高分子層32を連続して形成することもできる。特に、補助プレコート層30と導電性高分子層32とに同じ材料を用いる場合、別々の電解層を用いるより同じ電解槽を用いたほうが、時間的及び経済的に好ましい。
さらに、図3の外部電極片48に代えて図6の一対の外部電極片54、56を用いることもできる。この外部電極片54、56は外部電極片48と同様の弾性金属片で形成され、陽極体24を挟み、その両面に対して同時に水平移動するように切替装置52に支持される。一方の電極片54が陽極体24の左側に接触して給電しているとき、導電性高分子層32は陽極体24の右側面より給電点Pを中心に左側面に厚く形成される。次で、切替装置52が作動すると、他方の電極片56が陽極体24の右側に接触して、給電点Pも陽極体24の右側へ移り、導電性高分子層32は陽極体24の左側面より右側面に厚く形成される。そして、適当な時間間隔、たとえば30分の間隔で切替装置52を作動し、給電点Pを交互に数回移動すれば、導電性高分子層32の厚さは陽極体24の左右両面で平均化され、均一となる。
この一対の外部電極片54、56を、図7に示すように、陽極体24の両側へ対称的に配置して同時に接触させ、切替装置52によって電源46からの給電回路を交互に切り替えることもできる。
そして、これらの移動を組み合わせることにより、給電点Pにさまざまな動きをさせることもできる。
また、補助プレコート層30の形成時に一定周波数の交流電流を正の電流バイアス電流に重畳したが、この交流電流の周波数を段階的や徐々に変化させてもよい。たとえば、交流電流の周波数を低くしておき、徐々に周波数を上げると、最初に膜厚の増加は少ないが緻密な膜が形成され、時間とともに膜厚の形成速度が速くなる。
さらに、上で挙げた寸法などの具体的数値はいずれも単なる一例であり、必要に応じて適宜変更可能である。
10…固体電解コンデンサ
18…電極引出用リード線
24…陽極体
26…誘電体酸化皮膜
28…プレコート層
30…補助プレコート層
32…導電性高分子層
36…電解重合用電極
40…電解重合用対極電極

Claims (2)

  1. 弁作用金属の焼結体からなる陽極体の表面に誘電体酸化皮膜を形成した後、
    メルカプト基を有するシランカップリング剤、酸化剤および酸化重合により導電性高分子となる単量体を用いて、化学重合により導電性高分子からなる陰極層を形成する、固体電解コンデンサの製造方法。
  2. 前記シランカップリング剤は、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン又は3−メルカプトプロピルトリメトキシシランである請求項1記載の固体電解コンデンサの製造方法。
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