上述のような冷媒加熱装置として、バーナ等の火を用いる方式の加熱ではなく、電気的な方式として電磁誘導加熱方式を採用することもできる。例えば、磁性体材料を含む冷媒配管の周りに電磁誘導コイルを巻き、この電磁誘導加熱コイルに対して電流を流すことで生じた磁束に起因して冷媒配管を発熱させることができる。そして、この冷媒配管における発熱を用いて、冷媒を加熱することができる。
しかし、冷媒配管を電磁誘導によって加熱する場合に、冷媒配管以外の部分においても磁界が生じてしまう。これに対して、このように外部に生じた磁界を導くような部材を配置することも考えられるが、そのような部材に局所的な渦電流が生じてしまうと局所的な発熱が生じてしまう。
本発明は上述した点に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、冷媒配管を電磁誘導によって加熱する場合であっても局所的な発熱を抑えつつ周囲への磁界の漏れ出しを抑えることが可能な電磁誘導加熱ユニットおよび空気調和装置を提供することにある。
第1発明に係る電磁誘導加熱ユニットは、冷媒配管および/または冷媒配管中を流れる冷媒と熱的接触をする部材を加熱する電磁誘導加熱ユニットであって、コイルと外部部材とを備えている。コイルは、冷媒配管の近傍に配置されている。外部部材は、コイルの冷媒配管側である内側とは反対側の外側に配置され、冷媒配管を周方向に一周しており、磁性体を含んでいる。なお、ここでの電磁誘導加熱ユニットによる加熱としては、例えば、冷媒配管と熱的接触をしている発熱部材を電磁誘導加熱する場合、冷媒配管中を流れる冷媒と熱的接触をしている発熱部材を電磁誘導加熱する場合、および、冷媒配管の少なくとも一部を構成する発熱部材を電磁誘導加熱する場合、が少なくとも含まれる。
電磁誘導を生じさせるためにコイルに電流を流すと、コイルに対して冷媒配管側とは反対側の位置にも磁界が生じる。この場合に、電磁誘導加熱ユニットの周囲に磁性体材料が存在すると、意図しない発熱を生じさせてしまうおそれがある。
これに対して、この電磁誘導加熱ユニットでは、コイルに対して冷媒配管側とは反対側の位置に磁性体を含んだ外部部材を配置している。このため、冷媒配管以外の部分で生じる磁束は、この外部部材を通過しやすくなる。さらに、この外部部材は、冷媒配管を周方向に一周しているため、外部部材の外側に漏れ出す磁界を低減させることができる。そして、外部部材は、周方向に連続しているため、局所的な渦電流が生じにくく、局所的な発熱を抑えることが可能になる。これにより、外部部材の局所的な発熱を抑えつつ、磁界の漏れ出しを低減させることが可能になる。
第2発明の電磁誘導加熱ユニットは、第1発明の電磁誘導加熱ユニットにおいて、コイルは、冷媒配管の少なくとも一部の回りを取り巻いている。
この電磁誘導加熱ユニットでは、コイルに電流を流すことで生じる磁束の一部を、冷媒配管が伸びている方向に沿わせることができる。このため、冷媒配管に含まれている磁性体の長手方向と冷媒配管の軸方向とが略同一である場合に、電磁誘導による加熱効率を向上させることができる。
第3発明の電磁誘導加熱ユニットは、第1発明または第2発明の電磁誘導加熱ユニットにおいて、外部部材は、周方向の少なくとも1部に溶接による接続部分を有している。
この電磁誘導加熱ユニットでは、外部部材の周方向の一部の接続を、溶接によって行っているため、外部部材の外縁同士の局所的な接触部分が存在しにくい。このため、電磁誘導のためにコイルに電流を流したとしても、局所的な接触部分に発生する発熱が生じにくい。これにより、外部部材の周方向の一部を繋ぐことで冷媒配管の周りを一周させている場合であっても、局所的な発熱を抑えることができる。
第4発明の電磁誘導加熱ユニットは、第1発明から第3発明のいずれかの電磁誘導加熱ユニットにおいて、少なくともコイルの外側であって外部部材の内側に配置された部分を有しており、磁性体を含んでいる磁性体部をさらに備えている。
この電磁誘導加熱ユニットでは、外部部材内だけでなく磁性体部内にも通過させるように誘導される。これにより、磁界の漏れを効果的に抑えることが可能になる。
第5発明の電磁誘導加熱ユニットは、第4発明の電磁誘導加熱ユニットにおいて、磁性体部は、フェライトを含んでいる。
この電磁誘導加熱ユニットでは、電磁誘導加熱のためにコイルに電流を流した際に周囲へ漏れだそうとする磁界は、効率的にフェライトに誘導される。そして、フェライトは電気抵抗が小さいために、内部を電流が流れても発熱しにくい。これにより、外部への磁界の漏れを抑えつつ、周辺部材の発熱を抑えて機器の信頼性を向上させることができる。
第6発明の電磁誘導加熱ユニットは、第4発明または第5発明の電磁誘導加熱ユニットにおいて、外部部材と、磁性体部とは、冷媒配管の延びる方向に対して垂直な面上において冷媒配管を外側から見た場合に、互いに重なる位置に配置されている部分を有している。
この電磁誘導加熱ユニットでは、電磁誘導加熱のためにコイルに電流を流した際に周囲へ漏れだそうとする磁界は、外部部材内だけでなく磁性体部内にも通過させるように誘導される。これにより、二重の磁界誘導部材によって効果的に抑えることが可能になる。
第7発明の電磁誘導加熱ユニットは、第4発明から第6発明のいずれかの電磁誘導加熱ユニットにおいて、冷媒配管の延びる方向において、外部部材の両端部は、磁性体部の両端部よりも内側に位置している。
この電磁誘導加熱ユニットでは、コイルに対して冷媒配管側とは反対側に生じる磁界は、外部部材に到達する前に磁性体部に捕らえられやすくなる。このため、磁性体部がより効率的に磁界を導くことができるようになる。これにより、磁性体部と外部部材とによる二重の磁界漏れ防止効果をより向上させることが可能になる。
第8発明の電磁誘導加熱ユニットは、第7発明の電磁誘導加熱ユニットにおいて、磁性体部の材質は、外部部材よりも磁束を集めやすい材質である。
この電磁誘導加熱ユニットでは、コイルに対して冷媒配管側とは反対側に生じる磁界は、外部部材よりも磁束を集めやすい磁性体部に導かれるようになる。これにより、磁性体部による磁束漏れの低減効果が大きいため、周囲への磁界漏れを抑えるための外部部材の負担を抑えることができる。これにより、外部部材の外側へ漏れ出す磁界をより小さく抑えることが可能になる。
第9発明の電磁誘導加熱ユニットは、第5発明から第8発明のいずれかの電磁誘導加熱ユニットにおいて、磁性体部と外部部材とは、直接接触する部分が無いように位置決めされている。
この電磁誘導加熱ユニットでは、磁性体部と外部部材とが接触しないように配置されているため、局所的な接触部分が存在しない。このため、電磁誘導のためにコイルに電流を流したとしても、磁束の集中が生じにくい。これにより、磁束の集中に起因する部分的な温度上昇を抑えることができる。
第10発明の空気調和装置は、請求項1から9のいずれか1項に記載の電磁誘導加熱ユニットと、冷媒配管に冷媒を流す部分を含む冷凍サイクルと、を備えている。
この空気調和装置では、空気調和装置において電磁誘導加熱を行う場合であっても、磁界の漏れ出しを低減させることが可能になる。
第11発明の空気調和装置は、第10発明の空気調和装置において、電磁誘導加熱ユニットは、外部部材に対して固定され、外部部材の外側に向けて延びた部分を有している突出部材をさらに含んでいる。外部部材の外側に配置され、突出部材と当接した状態で少なくとも電磁誘導加熱ユニットの落下を留める被当接部材をさらに備えている。突出部材と被当接部材とは、電磁誘導加熱ユニットの落下を留めている状態で接し、電磁誘導加熱ユニットが落下し始める前の状態では接する部分が無いように配置されている。
この空気調和装置では、電磁誘導加熱ユニットの落下を途中で留めることができる。
第12発明の空気調和装置は、第10発明の空気調和装置において、電磁誘導加熱ユニットは、外部部材に対して固定され、外部部材の外側に向けて延びた部分を有している突出部材をさらに含んでいる。外部部材の外側に配置され、突出部材と当接した状態で少なくとも電磁誘導加熱ユニットの回転を防止する被当接部材をさらに備えている。突出部材と被当接部材とは、電磁誘導加熱ユニットの回転を留めている状態で接し、電磁誘導加熱ユニットが回転し始める前の状態では接する部分が無いように配置されている。
この空気調和装置では、電磁誘導加熱ユニットの回転を途中で留めることができる。
第13発明の空気調和装置は、第10発明の空気調和装置において、電磁誘導加熱ユニットは、外部部材に対して固定され、外部部材の外側に向けて延びた部分を有している突出部材をさらに含んでいる。外部部材の外側に配置され、突出部材と当接した状態で少なくとも電磁誘導加熱ユニットの落下を防止する被当接落下防止部材と、外部部材の外側に配置され、突出部材と当接した状態で少なくとも電磁誘導加熱ユニットの回転を防止する被当接回転防止部材と、をさらに備えている。突出部材と被当接落下防止部材とは、電磁誘導加熱ユニットの落下を留めている状態で接し、電磁誘導加熱ユニットが落下し始める前の状態では接する部分が無いように配置されている。突出部材と被当接回転防止部材とは、電磁誘導加熱ユニットの回転を留めている状態で接し、電磁誘導加熱ユニットが回転し始める前の状態では接する部分が無いように配置されている。
この空気調和装置では、電磁誘導加熱ユニットの落下および回転を途中で留めるために電磁誘導加熱ユニットに必要な部材を1つにまとめることが可能になる。
第14発明の空気調和装置は、第11発明から第13発明のいずれかの空気調和装置であって、電磁誘導加熱ユニットは、冷媒配管の相対位置を定めるために冷媒配管の外周から径方向内側に力を作用させる部分を有している固定部材をさらに備えている。固定部材は、冷媒配管と熱膨張係数が異なっている。コイルに電力が供給されて生じる磁界によって冷媒配管は熱膨張する。
冷媒配管が電磁誘導加熱によって急激な熱膨張が行われたり温度低下によって縮小したりする場合には、この冷媒配管と熱膨張係数が異なっている固定部材と冷媒配管との固定状態を維持できなくなるおそれがある。そうすると、固定状態が維持できずに外部部材が落下したり回転したりする可能性がある。
これに対して、この空気調和装置では、固定状態を維持することができずに電磁誘導加熱ユニットが落下したり回転したりしても、電磁誘導加熱ユニットの落下および回転を所定の範囲内で留めることが可能になる。
なお、冷凍サイクルの運転によって冷媒配管が熱膨張を行ったり、振動が生じたりして、回転や落下が生じやすくなる場合であっても、回転や落下を途中で留めさせやすくなる。
第1発明の電磁誘導加熱ユニットでは、外部部材の局所的な発熱を抑えつつ、磁界の漏れ出しを低減させることが可能になる。
第2発明の電磁誘導加熱ユニットでは、冷媒配管に含まれている磁性体の長手方向と冷媒配管の軸方向とが略同一である場合に、電磁誘導による加熱効率を向上させることができる。
第3発明の電磁誘導加熱ユニットでは、外部部材の周方向の一部を繋ぐことで冷媒配管の周りを一周させている場合であっても、局所的な発熱を抑えることができる。
第4発明の電磁誘導加熱ユニットでは、磁界の漏れを効果的に抑えることが可能になる。
第5発明の電磁誘導加熱ユニットでは、外部への磁界の漏れを抑えつつ、周辺部材の発熱を抑えて機器の信頼性を向上させることができる。
第6発明の電磁誘導加熱ユニットでは、二重の磁界誘導部材によって効果的に抑えることが可能になる。
第7発明の電磁誘導加熱ユニットでは、磁性体部と外部部材とによる二重の磁界漏れ防止効果をより向上させることが可能になる。
第8発明の電磁誘導加熱ユニットでは、外部部材の外側へ漏れ出す磁界をより小さく抑えることが可能になる。
第9発明の電磁誘導加熱ユニットでは、磁束の集中に起因する部分的な温度上昇を抑えることができる。
第10発明の空気調和装置では、磁界の漏れ出しを低減させることが可能になる。
第11発明の空気調和装置では、電磁誘導加熱ユニットの落下を途中で留めることができる。
第12発明の空気調和装置では、電磁誘導加熱ユニットの回転を途中で留めることができる。
第13発明の空気調和装置では、電磁誘導加熱ユニットの落下および回転を途中で留めるために電磁誘導加熱ユニットに必要な部材を1つにまとめることが可能になる。
第14発明の空気調和装置では、電磁誘導加熱ユニットの落下および回転を所定の範囲内で留めることが可能になる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態における電磁誘導加熱ユニット6を備えた空気調和装置1を例に挙げて説明する。
<1−1>空気調和装置1
図1に、空気調和装置1の冷媒回路10を示す冷媒回路図を示す。
空気調和装置1は、熱源側装置としての室外機2と、利用側装置としての室内機4とが冷媒配管によって接続されて、利用側装置が配置された空間の空気調和を行うものであって、圧縮機21、四路切換弁22、室外熱交換器23、室外電動膨張弁24、アキュームレータ25、室外ファン26、室内熱交換器41、室内ファン42、ホットガスバイパス弁27、キャピラリーチューブ28および電磁誘導加熱ユニット6等を備えている。
圧縮機21、四路切換弁22、室外熱交換器23、室外電動膨張弁24、アキュームレータ25、室外ファン26、ホットガスバイパス弁27、キャピラリーチューブ28および電磁誘導加熱ユニット6は、室外機2内に収容されている。室内熱交換器41および室内ファン42は、室内機4内に収容されている。
冷媒回路10は、吐出管A、室内側ガス管B、室内側液管C、室外側液管D、室外側ガス管E、アキューム管F、吸入管G、ホットガスバイパス回路H、分岐配管Kおよび合流配管Jを有している。室内側ガス管Bおよび室外側ガス管Eは、ガス状態の冷媒が多く通過するものではあるが、通過する冷媒をガス冷媒に限定しているものではない。室内側液管Cおよび室外側液管Dは、液状態の冷媒が多く通過するものではあるが、通過する冷媒を液冷媒に限定しているものではない。
吐出管Aは、圧縮機21と四路切換弁22とを接続している。吐出管Aには、通過する冷媒温度を検知する吐出温度センサ29dが設けられている。なお、圧縮機21には、電力供給部21eが電力の供給を行う。この電力供給部21eの供給電力量は、圧縮機電力検知部29fが検知している。
室内側ガス管Bは、四路切換弁22と室内熱交換器41とを接続している。この室内側ガス管Bの途中には、通過する冷媒の圧力を検知する圧力センサ29aが設けられている。
室内側液管Cは、室内熱交換器41と室外電動膨張弁24とを接続している。
室外側液管Dは、室外電動膨張弁24と室外熱交換器23とを接続している。
室外側ガス管Eは、室外熱交換器23と四路切換弁22とを接続している。
アキューム管Fは、四路切換弁22とアキュームレータ25とを接続しており、室外機2の設置状態で鉛直方向に伸びている。アキューム管Fの一部に対して、電磁誘導加熱ユニット6が取り付けられている。アキューム管Fのうち、少なくとも後述するコイル68によって周囲を覆われている発熱部分は、内側に冷媒を流している銅管F1の周囲を覆うように設けられた磁性体管F2によって構成されている(図11参照)。この磁性体管F2は、SUS(Stainless Used Steel:ステンレス鋼)430によって構成されている。このSUS430は、強磁性体材料であって、磁界に置かれると渦電流を生じつつ、自己の電気抵抗によって生ずるジュール熱により発熱する。冷媒回路10を構成する配管のうち磁性体管F2以外の部分は、銅管で構成されている。なお、上記銅管の周囲を覆う管の材質はSUS430に限定されるものではなく、例えば、鉄、銅、アルミ、クロム、ニッケル等の導体およびこれらの群から選ばれる少なくとも2種以上の金属を含有する合金等とすることができる。また、磁性体材料としては、例えば、フェライト系、マルテンサイト系、オーステナイト系の3種およびこれらの種類を組み合わせたものが例として挙げられるが、強磁性体であって電気抵抗が比較的高いものであり使用温度範囲よりもキュリー温度が高い材料が好ましい。なお、ここでのアキューム管Fは、より多くの電力が必要とされるが、磁性体および磁性体を含有する材料を備えていなくてもよく、誘導加熱が行われる対象となる材質を含有するものであってもよい。なお、磁性体材料は、例えば、アキューム管Fのすべてを構成していてもよいし、アキューム管Fの内側表面のみに形成されていてもよく、アキューム管F配管を構成する材料中に含有されることで存在していてもよい。このように電磁誘導加熱を行うことで、アキューム管Fを電磁誘導によって加熱させることができ、アキュームレータ25を介して圧縮機21に吸入される冷媒を暖めることができる。これにより、空気調和装置1の暖房能力を向上させることができる。また、例えば、暖房運転の起動時においては、圧縮機21が十分に暖まっていない場合であっても、電磁誘導加熱ユニット6による迅速な加熱によって起動時の能力不足を補うことができる。さらに、四路切換弁22を冷房運転用の状態に切り換えて、室外熱交換器23等に付着した霜を除去するデフロスト運転を行う場合には、電磁誘導加熱ユニット6がアキューム管Fを迅速に加熱することで、圧縮機21は迅速に暖められた冷媒を対象として圧縮することができる。このため、圧縮機21から吐出するホットガスの温度を迅速に上げることができる。これにより、デフロスト運転によって霜を解凍させるのに必要とされる時間を短縮化させることができる。これにより、暖房運転中に適時デフロスト運転を行うことが必要となる場合であっても、できるだけ早く暖房運転に復帰させることができ、ユーザの快適性を向上させることができる。
吸入管Gは、アキュームレータ25と圧縮機21の吸入側とを接続している。
ホットガスバイパス回路Hは、吐出管Aの途中に設けられた分岐点A1と室外側液管Dの途中に設けられた分岐点D1とを接続している。ホットガスバイパス回路Hは、途中に冷媒の通過を許容する状態と許容しない状態とを切換可能なホットガスバイバス弁27が配置されている。なお、ホットガスバイパス回路Hは、ホットガスバイバス弁27と分岐点D1との間に、通過する冷媒圧力を下げるキャピラリーチューブ28が設けられている。このキャピラリーチューブ28は、暖房運転時の室外電動膨張弁24による冷媒圧力の低下後の圧力に近づけることができるため、ホットガスバイパス回路Hを通じた室外側液管Dへのホットガスの供給による室外側液管Dの冷媒圧力上昇を抑えることができる。
分岐配管Kは、室外熱交換器23の一部を構成しており、熱交換を行うための有効表面積を増大させるために、室外熱交換器23のガス側出入口23eから伸びる冷媒配管が後述する分岐合流点23kで複数本に分岐した配管である。この分岐配管Kは、分岐合流点23kから合流分岐点23jまでそれぞれ独立して延びている第1分岐配管K1、第2分岐配管K2および第3分岐配管K3を有しており、これらの各分岐配管K1、K2、K3は合流分岐点23jで合流している。なお、合流配管J側から見ると、合流分岐点23jで分岐して分岐配管Kが延びている。
合流配管Jは、室外熱交換器23の一部を構成しており、合流分岐点23jから室外熱交換器23の液側出入口23dまで伸びている配管である。合流配管Jは、冷房運転時に室外熱交換器23から流れ出る冷媒の過冷却度を統一させることができるとともに、暖房運転時に室外熱交換器23の下端近傍に着霜した氷を解凍させることができる。合流配管Jは、各分岐配管K1、K2、K3の断面積の略3倍の断面積を有しており、通過冷媒量が、各分岐配管K1、K2、K3の略3倍になっている。
四路切換弁22は、冷房運転サイクルと暖房運転サイクルとを切換可能である。図1では、暖房運転を行う際の接続状態を実線で示し、冷房運転を行う際の接続状態を点線で示している。暖房運転時には、室内熱交換器41が冷媒の冷却器として、室外熱交換器23が冷媒の加熱器として機能する。冷房運転時には、室外熱交換器23が冷媒の冷却器として、室内熱交換器41が冷媒の加熱器として機能する。
室外熱交換器23は、ガス側出入口23e、液側出入口23d、分岐合流点23k、合流分岐点23j、分岐配管K、合流配管Jおよび熱交フィン23zを有している。ガス側出入口23eは、室外熱交換器23の室外側ガス管E側の端部に位置しており、室外側ガス管Eと接続される。液側出入口23dは、室外熱交換器23の室外側液管D側の端部に位置しており、室外側液管Dと接続される。分岐合流点23kは、ガス側出入口23eから伸びる配管を分岐させており、流れる冷媒の方向に応じて冷媒を分岐もしくは合流させることができる。分岐配管Kは、分岐合流点23kにおける各分岐部分から複数本伸びている。合流分岐点23jは、分岐配管Kを合流させており、流れる冷媒の方向に応じて冷媒を合流もしくは分岐させることができる。合流配管Jは、合流分岐点23jから液側出入口23dまで伸びている。熱交フィン23zは、板状のアルミフィンが板厚方向に複数枚並んで、所定の間隔で配置されて構成されている。分岐配管Kおよび合流配管Jは、いずれも、熱交フィン23zを共通の貫通対象としている。具体的には、分岐配管Kおよび合流配管Jは、共通の熱交フィン23zの異なる部分で板圧方向に貫通して配置されている。この室外熱交換器23に対して、室外ファン26の空気流れ方向風下側には、室外の気温を検知する室外気温センサ29bが設けられている。また、室外熱交換器23には、分岐配管空気調和装置を流れる冷媒温度を検知する室外熱交温度センサ29cが設けられている。
室内機4内には、室内温度を検知する室内温度センサ43が設けられている。また、室内熱交換器41には、室外伝導膨張弁24が接続されている室内側液管C側の冷媒温度を検知する室内熱交温度センサ44が設けられている。
室外機2内に配置される機器を制御する室外制御部12と、室内機4内に配置されている機器を制御する室内制御部13とが、通信線11aによって接続されることで、制御部11を構成している。この制御部11は、空気調和装置1を対象とした種々の制御を行う。
また、室外制御部12には、各種制御を行う際に経過時間をカウントするタイマ95が設けられている。
なお、制御部11には、ユーザからの設定入力を受け付けるコントローラ90が接続されている。
<1−2>室外機2
図2に、室外機2の正面側の外観斜視図を示す。図3に、室外熱交換器23および室外ファン26との位置関係についての斜視図を示す。図4に、室外熱交換器23の背面側の斜視図を示す。
室外機2は、天板2a、底板2b、フロントパネル2c、左側面パネル2d、右側面パネル2fおよび背面パネル2eによって構成される略直方体形状の室外機ケーシングによって外表面を構成している。
室外機2は、室外熱交換器23および室外ファン26等が配置されており左側面パネル2d側である送風機室と、圧縮機21や電磁誘導加熱ユニット6が配置されており右側面パネル2f側である機械室と、に仕切り板2hを介して区切られている。また、室外機2は、底板2bに対して螺着されることで固定され、室外機2の最下端部を右側と左側において構成する室外機支持台2gを有している。なお、電磁誘導加熱ユニット6は、機械室のうちの左側面パネル2dおよび天板2aの近傍である上方の位置に配置されている。ここで、上述した室外熱交換器23の熱交フィン23zは、略水平方向に板厚方向が向くようにしつつ、板厚方向に複数並んで配置されている。合流配管Jは、室外熱交換器23の熱交フィン23zのうち最も下の部分において、熱交フィン23zを厚み方向に貫通することで配置されている。ホットガスバイパス回路Hは、室外ファン26および室外熱交換器23の下方を沿うように配置されている。
図5に、室外機2の機械室の内部構造を示す全体前方斜視図を示す。図6に、室外機2の機械室の内部構造を示す斜視図を示す。図7に、室外熱交換器23と底板2bとの配置関係についての斜視図を示す。図8に、電磁誘導加熱ユニット6の配置関係についての上面図を示す。
室外機2の仕切り板2hは、室外熱交換器23および室外ファン26等が配置されている送風機室と、電磁誘導加熱ユニット6、圧縮機21およびアキュームレータ25等が配置されている機械室と、を区切るように前方から後方に向けて上端から下端に掛けて仕切っている。圧縮機21およびアキュームレータ25は、室外機2の機械室の下方の空間に配置されている。そして、電磁誘導加熱ユニット6、四路切換弁22および室外制御部12は、室外機2の機械室の上方の空間であって、圧縮機21やアキュームレータ25等の上の空間に配置されている。室外機2を構成する機能要素であって機械室に配置されている圧縮機21、四路切換弁22、室外熱交換器23、室外電動膨張弁24、アキュームレータ25、ホットガスバイパス弁27、キャピラリーチューブ28および電磁誘導加熱ユニット6は、図1において示した冷媒回路10による冷凍サイクルを実行するように、吐出管A、室内側ガス管B、室外側液管D、室外側ガス管E、アキューム管F、ホットガスバイパス回路H等を介して接続されている。ここで、ホットガスバイパス回路Hは、後述するように、第1バイパス部分H1〜第9バイパス部分H9の、9つの部分が繋がって構成されており、ホットガスバイパス回路Hに冷媒が流れる際は、第1バイパス部分H1から順番に第9バイパス部分H9に向かう方向に流れる。
<1−3>電磁誘導加熱ユニット6
図9に、アキューム管Fに取り付けられた電磁誘導加熱ユニット6概略斜視図を示す。図10に、電磁誘導加熱ユニット6から遮蔽カバー75を取り除いた状態の外観斜視図を示す。図11に、アキューム管Fに取り付けられた電磁誘導加熱ユニット6の断面図を示す。
電磁誘導加熱ユニット6は、アキューム管Fのうち発熱部分である磁性体管F2を径方向外側から覆うように配置されており、電磁誘導加熱によって磁性体管F2を発熱させる。このアキューム管Fの発熱部分は、内側の銅管F1と外側の磁性体管F2とを有する二重管構造となっている。
電磁誘導加熱ユニット6は、第1六角ナット61、第2六角ナット66、第1ボビン蓋63、第2ボビン蓋64、ボビン本体65、第1フェライトケース71、第2フェライトケース72、第3フェライトケース73、第4フェライトケース74、第1フェライト98、第2フェライト99、コイル68、遮蔽カバー75、サーミスタ14およびヒューズ15等を備えている。
第1六角ナット61および第2六角ナット66は、樹脂製であって、図示しないC型リングを用いて、電磁誘導加熱ユニット6とアキューム管Fとの固定状態を安定させる。第1ボビン蓋63および第2ボビン蓋64は、樹脂製であって、アキューム管Fをそれぞれ上端位置および下端位置において径方向外側から覆っている。この第1ボビン蓋63および第2ボビン蓋64は、後述する第1〜第4フェライトケース71〜74をネジ69を介して螺着させるための、ネジ69用の螺着孔を4つ有している。さらに、第2ボビン蓋64は、サーミスタ14を差し込んで、磁性体管F2の外表面に取り付けるための電磁誘導サーミスタ差し込み開口64fを有している。また、第2ボビン蓋64は、図13に示すヒューズ15を差し込んで、磁性体管F2の外表面に取り付けるためのヒューズ差し込み開口64eを有している。サーミスタ14は、検知温度を信号にして制御部11まで伝える。ヒューズ15は、検知結果を信号にして制御部11まで伝える。ヒューズ15から所定制限温度を超えた温度検知の知らせを受けた制御部11は、コイル68への電力供給を停止させる制御を行って、機器の熱損傷を回避させる。ボビン本体65は、樹脂製であって、コイル68が巻き付けられる。コイル68は、ボビン本体65の外側においてアキューム管Fの延びる方向を軸方向として螺旋状に巻き付けられている。コイル68は、図示しない制御用プリント基板18に接続されており、高周波電流の供給を受ける。制御用プリント基板は、制御部11によって出力制御される。図12に示すように、ボビン本体65と第2ボビン蓋64とが勘合している状態で、サーミスタ14およびヒューズ15が取り付けられる。ここで、サーミスタ14の取り付け状態では、板バネ16によって磁性体管F2の径方向内側に押されることで、磁性体管F2の外表面との良好な圧接状態を維持している。また、ヒューズ15の取り付け状態も同様に、板バネ17によって磁性体管F2の径方向内側に押されることで、磁性体管F2の外表面との良好な圧接状態を維持している。このように、サーミスタ14およびヒューズ15がアキューム管Fの外表面との密着性を良好に保たれているために、応答性を向上させ、電磁誘導加熱による急激な温度変化も迅速に検出できるようにしている。第1フェライトケース71は、第1ボビン蓋63と第2ボビン蓋64とをアキューム管Fの延びている方向から挟み込み、ネジ69によって螺着固定されている。第1フェライトケース71〜第4フェライトケース74は、透磁率の高い素材であるフェライトによって構成された第1フェライト98および第2フェライト99を収容している。第1フェライト98および第2フェライト99は、図13の磁束説明図において示すように、コイル68によって生じる磁界を取りこんで磁束の通り道を形成することで、磁界が外部に漏れ出しにくいようにしている。遮蔽カバー75は、電磁誘導加熱ユニット6の最外周部分に配置されており、第1フェライト98および第2フェライト99だけでは呼び込みきれない磁束を集める。この遮蔽カバー75の外側にはほとんど漏れ磁束が生じず、磁束の発生場所について自決することができている。
(フェライトケースおよびフェライト)
以下、フェライトケースの詳細を説明する。
図14に、第1フェライト98および第2フェライト99が収容されつつ固定された第1フェライトケース71の概略斜視図を示す。図15に、第1フェライトケース71の上方側の螺着部近傍の構造を示す。図16に、第1フェライトケース71の下方側の螺着部近傍の構造を示す。なお、第1〜第4フェライトケース71〜74は、いずれも同様の形状を有している。
第1フェライトケース71は、樹脂製であって、第1ボビン蓋63と第2ボビン蓋64とをアキューム管Fの延びている方向から挟み込んで固定する機能と、第1フェライト98および第2フェライト99を収容して保持する機能を有している。
第1フェライトケース71は、底面部71j、側面部71h、第1蓋螺着部71a、第1蓋螺着孔71b、第2蓋螺着部71f、第2蓋螺着孔71g、遮蔽カバー螺着部71cおよび遮蔽カバー螺着孔71dを有している。
底面部71jは、第1フェライトケース71の底面を構成している。この底面部71jには、後述するように、第1フェライト98および第2フェライト99が接着される。底面部71jは、電磁誘導加熱ユニット6に固定された状態では、面が径方向を向く位置に設けられ、長手方向がアキューム管Fの伸びる方向に沿うように設けられる。この底面部71jは、第1ボビン蓋63および第2ボビン蓋64の径方向の外縁のうち4つの対称的に設けられた略直線形状の辺のいずれかに取り付けられる。これにより、底面部71jの背面側と、第1ボビン蓋63および第2ボビン蓋64のそれぞれの略直線形状の辺とが当接した状態で固定される。これにより、第1フェライトケース71は、周方向への移動が規制された構造となっている。
側面部71hは、底面部71jの長手方向と直交する方向の両端それぞれから、底面部71jから離れる方向に伸びている面を有している。
第1蓋螺着部71aは、第1フェライトケース71と第1ボビン蓋63とを螺着させるために設けられており、2つの側面部71hに挟まれる径方向に広がる仮想空間からはずれた位置に設けられている。これにより、第1フェライト98を磁性体管F2の近傍まで配置させることができるようになっており、磁力の漏れを低減させることができている。
第2蓋螺着部71fは、第1フェライトケース71と第2ボビン蓋64とを螺着させるために設けられており、2つの側面部71hに挟まれる径方向に広がる仮想空間から、第1蓋螺着部71aとは反対側にはずれた位置に設けられている。これにより、第1フェライト98を磁性体管F2の近傍まで配置させることができるようになっており、磁力の漏れを低減させることができている。なお、第1蓋螺着部71aと第2蓋螺着部71fとが、2つの側面部71hに挟まれており径方向に広がる仮想空間に対して、一方側と、他方側とに配置されているため、単に磁力の漏れを低減させるだけでなく、第1フェライトケース71と第1ボビン蓋63および第2ボビン蓋64との固定をより強固にしている。
第2蓋螺着孔71gは、第1フェライトケース71と第2ボビン蓋64とを互いに螺着させて、固定させる。具体的には、上述の第1蓋螺着孔71bと同様に、金属製のネジ69によって、第1フェライトケース71の第2蓋螺着孔71gと、第2ボビン蓋64のネジ69用の螺着孔(図示せず)と、を合わせて螺着することで固定する。
遮蔽カバー螺着部71cは、側面部71h同士が向き合っている内側とは反対側である外側に向けて膨出して形成されており、上方に2カ所、下方に2カ所設けられている。
遮蔽カバー螺着孔71dは、各遮蔽カバー螺着部71cに設けられている開口であり、図11に示すように、遮蔽カバー75が取り付けられた状態で、ネジによってそれぞれ螺着される。これにより、第1フェライトケース71と遮蔽カバー75とが固定される。なお、この遮蔽カバー螺着部71cおよび遮蔽カバー螺着孔71dは、第2〜第4フェライトケース72〜74についても設けられているが、実際に遮蔽カバー75が固定されるのはこれらのうち対向して配置されている2つであり、本実施形態では第1フェライトケース71および第3フェライトケース73となっている。
なお、各フェライトケースに収容されている第1フェライト98と第2フェライト99とは、互いに面部分同士で接触した状態となるように配置されている。
(遮蔽カバー)
以下、遮蔽カバー75の詳細について説明する。
遮蔽カバー75は、図17の上面断面図において示すように、第1ボビン蓋63および第2ボビン蓋64に対して第1〜第4フェライトケース71〜74が取り付けられた際の平面視外縁形状に沿うように、略8角形状を有しており、磁性体材料を含んだ板金である。
遮蔽カバー75は、図17の上面図に示すように、周方向の一端75aと他端75bとが、板厚保方向に重なった重複部分75dを有している。この重複部分75dでは、一端75aの近傍の面と他端75b近傍の面とが、アキューム管Fの延びる方向の上から下にかけて、互いに面接触された状態で溶接されている。これにより、電磁誘導加熱ユニット6によって磁界を生じさせた場合において、遮蔽カバー75が漏れ磁束を吸入する場合であっても、遮蔽カバー75の一部同士が部分的に接触している箇所が無いために、渦電流の局所的な発生を防止することができている。これにより、電磁誘導加熱ユニット6の外側を構成している遮蔽カバー75の発熱を小さく抑え、ユーザが触れた危険に備えた温度で低く維持することができている。また、遮蔽カバー75を取り付けていない状態を示す図10と、遮蔽カバー75が取り付けられた状態を示す図9とを比較すると分かるように、遮蔽カバー75は、コイル68に対するユーザの指等のアクセスを拒むように、コイル68の周囲を覆っている。なお、ここでは、アキューム管Fの延びる方向におけるコイル68の両端は、遮蔽カバー75の両端の間に位置するように配置されているため、ユーザによるコイル68へのアクセスを効果的に防ぐことができている。
また、遮蔽カバー75の形状および寸法についても、コイル68に近づこうとするユーザの手を遮る形状を有しており、作業者等がコイルに接触してしまうおそれを低減させることができる。なお、コイル68の径方向から見た場合に、遮蔽カバー75に開口や隙間が設けられている場合であっても、当該開口や隙間が、例えばユーザの一般的な指先の断面広さよりも狭い1cm2以下となるように形成されていてもよい。
また、遮蔽カバー75は、図18に示すように、長手方向上端近傍にネジ穴75x、75yがそれぞれ設けられている。これらのネジ穴は、図9に示すように、第1フェライトケース71に対して遮蔽カバー75を固定させる場合に、ネジ70a、70bを通す穴としての機能を有している。
図19に、フェライト98、99に対して遮蔽カバー75よりも優先して磁束が導かれる様子についての断面図を示す。
フェライト98、99は、板金によって構成されている遮蔽カバー75よりも透磁率が高いため、漏れだそうとする磁束は、遮蔽カバー75よりもフェライト98、99に導かれやすい。さらに、ここでは、フェライトケースに収容されたフェライト98、99は、遮蔽カバー75よりも内側のコイル68により近い位置に配置されており、かつ、アキューム管Fの長手方向において、遮蔽カバー75の両端よりもフェライト98、99の方が突出するように配置されている。これにより、漏れ出そうとする磁束のほとんどはフェライト98、99に導かれ、遮蔽カバー75が対応処理する漏れ磁束を小さく抑えることができる。これにより、電磁誘導加熱ユニット6の遮蔽カバー75の外側に生じる漏れ磁束の量を低減させることができている。
また、第1フェライトケース71は、樹脂によって形成されているため、遮蔽カバー75が金属製のネジ70a、70bによって第1フェライトケース71に螺着されることがあっても、第1フェライト98および第2フェライト99と、遮蔽カバー75と、は直接接触しない。このため、第1フェライト98および第2フェライト99と遮蔽カバー75とが接触しないような配置構造が採用されているため、当然、第1フェライト98および第2フェライト99と遮蔽カバー75との局所的な接触部分が存在しない。このため、電磁誘導のためにコイル68に電流を流したとしても、第1フェライト98および第2フェライト99と遮蔽カバー75との接触部分が存在することに起因する磁束の集中が生じにくい。これにより、磁束の集中に起因する部分的な温度上昇を抑えることができている。
また、遮蔽カバー75の隙間部分以外の位置で遮蔽カバー75によって径方向外側から覆われている第2〜第4フェライトケース72〜74のフェライトは、磁性体を含んだ遮蔽カバー75と第2〜第4フェライトケース72〜74に収容された第1フェライト98および第2フェライト99とによって、磁束の漏れ出しを抑える二重構造を採用することができている。これにより、磁束の漏れ出しをより効率的におさえることができている。
なお、遮蔽カバー75は、図8に示すように、上面視において室外機2の右側面パネル2fの近くに位置している部分は、右側面パネル2fと面平行となるようにしつつ、右側面パネル2fとの間を確保して配置されている。これにより、遮蔽カバー75に導かれた磁束が、さらに右側面パネル2fにまで導かれてしまったり、右側面パネル2fと遮蔽カバー75との局所的な接触部分に渦電流が発生して局所的な発熱が生じてしまうことを防止している。
(突起部材)
図5、図6および図9に示すように、電磁誘導加熱ユニット6には、遮蔽カバー75の外側の上方において溶接された板金である突起部材93を有している。
この突起部材93は、遮蔽カバー75の外側から、四路切換弁22の上方の空間であって、アキューム管Fと室内側ガス管Bとの間の空間まで延びている。そして、この突起部材93の先端側は、電磁誘導加熱ユニット6が設置された状態では、四路切換弁22、アキューム管Fおよび室内側ガス管Bのいずれに対しても接触していない。このため、振動等によって、突起部材93とその周囲の他の部材とによって異音が生じてしまうことが無いようにしている。そして、何らかの振動やアキューム管Fの熱膨張等の変化によって、電磁誘導加熱ユニット6の固定状態が不安定になり、アキューム管Fを軸に回転してしまったり、アキューム管Fに沿って下方に落下してしまうことが生じる場合がある。
しかし、この突起部材93が設けられているため、回転については、突起部材93がアキューム管Fもしくは室内側ガス管Bに当接することで、回転が規制される。そして、落下については、突起部材93が、四路切換弁22の上方に当接した状態で、電磁誘導加熱ユニット6の落下を留めさせることができる。そして、このように電磁誘導加熱ユニット6の落下が四路切換弁22の上方によって留められている状態でも、アキューム管Fの磁性体管F2の周囲にはコイル68が依然として存在することができるようにしている。これにより、電磁誘導加熱ユニット6に多少の落下が生じたとしても、電磁誘導加熱によるアキューム管Fの加熱を続行することができるようになっている。
<本実施形態の空気調和装置1の特徴>
上記空気調和装置1の電磁誘導加熱ユニット6では、コイル68に対してアキューム管F側とは反対側の位置に磁性体を含んだ遮蔽カバー75を配置している。このため、アキューム管F以外の部分で生じる磁束は、この遮蔽カバー75を通過しやすくなる。さらに、この遮蔽カバー75は、アキューム管Fを周方向に一周しているため、局所的な渦電流が生じにくく、局所的な発熱を抑えることができている。
また、遮蔽カバー75とコイル68との間には、より強力に磁束を集めるフェライト98、99が配置されているため、遮蔽カバー75の漏れ磁束防止のための負担を小さく抑えることができている。このような、二重の磁束漏れ防止構造によって、磁界の漏れ出しを効果的に抑えることができている。
<他の実施形態>
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
(A)
上記実施形態では、遮蔽カバー75の周方向の両端部75a、75bが溶接されている場合について例に挙げて説明した。
しかし、本発明はこれに限られるものではない。
図20に示すように、例えば、上記実施形態の遮蔽カバー75のような溶接部分を設けることなく、遮蔽カバー175のように、一体形成された筒状部材で構成してもよい。この場合であっても、アキューム管Fの周方向に遮蔽カバー175が連続しており、局所的な渦電流の発生が防止されているため、上記実施形態と同様の作用効果を奏することが可能になる。
(B)
上記実施形態では、冷媒回路10のうち、アキューム管Fに対して電磁誘導加熱ユニット6が取り付けられる場合について説明した。
しかし、本発明はこれに限られるものではない。
例えば、アキューム管F以外の他の冷媒配管に設けられていてもよい。この場合には、電磁誘導加熱ユニット6を設ける冷媒配管部分に磁性体管F2等の磁性体を設ける。
(C)
上記実施形態では、アキューム管Fは、銅管F1と磁性体管F2との二重管として構成されている場合を挙げて説明した。
しかし、本発明はこれに限られるものではない。
図21に示すように、例えば、被加熱部材F2aと、2つのストッパーF1aと、がアキューム管Fや加熱対象となる冷媒配管の内部に配置されていてもよい。ここで、被加熱部材F2aは、磁性体材料を含有しており、上記実施形態における電磁誘導加熱によって発熱を生じる部材である。ストッパーF1aは、銅管F1の内側二カ所において、冷媒の通過を常時許容するが、被加熱部材F2aの通過は許容しない。これにより、被加熱部材F2aは、冷媒が流れても移動しない。このため、アキューム管F等の目的の加熱位置を加熱させることができる。さらに、発熱する被加熱部材F2aと冷媒とが直接接触するため、熱伝達効率を向上させることができる。
(D)
上記他の実施形態(C)で説明した被加熱部材F2aは、ストッパーF1aを用いることなく配管に対して位置が定まるようにしてもよい。
図22に示すように、例えば、銅管F1に二カ所で曲げ部分FWを設け、当該二カ所の曲げ部分FWの間の銅管F1の内側に被加熱部材F2aを配置させてもよい。このようにしても、冷媒を通過させつつ、被加熱部材F2aの移動を抑制させることができる。
(E)
上記実施形態では、コイル68がアキューム管Fに対して螺旋状に巻き付けられている場合について説明した。
しかし、本発明はこれに限られるものではない。
例えば、図23に示すように、ボビン本体165に巻き付けられたコイル168が、アキューム管Fに巻き付くことなく、アキューム管Fの周囲に配置されていてもよい。ここでは、ボビン本体165は、軸方向がアキューム管Fの軸方向に対して略垂直となるように配置されている。また、ボビン本体165およびコイル168は、アキューム管Fを挟むように2つに別れて配置されている。
この場合には、例えば、図24に示すように、アキューム管Fを貫通させている第1ボビン蓋163および第2ボビン蓋164が、ボビン本体165に対して勘合した状態で配置されていてもよい。
さらに、図25に示すように、第1ボビン蓋163および第2ボビン蓋164が、第1フェライトケース171および第2フェライトケース172によって挟み込まれて固定されていてもよい。図25では、2つのフェライトケースがアキューム管Fを挟み込むように配置されている場合を例にあげたが、上記実施形態と同様に、4方向に配置されていてもよい。また、上記実施形態とどうように、フェライトを収容させていてもよい。
そして、遮蔽カバー75は、このようにして固定された電磁誘導加熱ユニット6の最外周部分を覆うように設けられていてもよい。
<その他>
以上、本発明の実施形態について、いくつかの例を挙げて説明したが、本発明はこれらに限られない。例えば、上記記載から当業者が実施可能な範囲で、上述の実施形態の異なる部分を適宜組み合わせて得られる組合せ実施形態も、本発明に含まれる。