JP2010158738A - 被加工物への円弧溝加工方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】工作機を構成するテーブル10に被加工物11を固定し、前記工作機を構成するコラム1に装設したカッタホルダ6に、前記円弧溝12の溝幅より小さい厚みを有するサイドカッタ7を装着し、数値制御装置13からの指令信号に基づいて、前記サイドカッタ7を前記被加工物11の側方に位置決めした後、前記サイドカッタ7を回転させ、前記サイドカッタ7又は前記テーブル10を相対的に回転させて、前記被加工物の表面に沿って円弧溝を加工し、次に、前記サイドカッタ7を、前記被加工物11の側方において、深さ方向に位置決めした後、前記サイドカッタ7又は前記テーブル10を相対的に回転させる動作を、繰り返して、前記被加工物11の表面に所定幅及び深さの円弧溝12を加工する。
【選択図】図1
Description
図1乃至図4は、本発明の被加工物への円弧溝加工方法の実施の形態に使用する工作機の一例を示すもので、図1は本発明の被加工物への円弧溝加工方法の実施の形態に使用する工作機の一例を示す斜視図、図2は図1に示す工作機におけるコラム及び回転テーブル部分を示す正面図、図3は図1に示す工作機における回転テーブル及び水平テーブルを示す平面図、図4は図1に示す工作機におけるコラム側に設けたサイドカッタの斜視図である。
図1において、工作機はコラム1を備えている。コラム1の前面側には、図1及び図2に示すように、カッタ保持体2が上下(Y軸)方向に移動可能に設けられている。カッタ保持体2には、カッタ軸駆動用のモータを内蔵した工作機主軸3がブラケット4を介して上下方向に傾動可能に設けられている。工作機主軸3は傾動機構5によって上下方向に傾動可能である。工作機主軸3に挿入されるカッタホルダ6には、後述する円弧溝を加工するためのサイドカッタ7が装着されている。
図5において、回転テーブル10の回転中心位置をWとし、中心位置Wで回る軸をC軸とする。サイドカッタ7の中心軸方向をZ軸、Z軸と直交方向をX軸と定める。被加工物11の表面の加工する円弧溝12の内周側半径をRi、円弧溝12の内周側とC軸の旋回中心との距離をrとする。円弧溝12の円弧中心と工具中心軸とC軸の中心とがZ軸で並ぶ状態を初期状態とする。
ただし、θは反時計方向を正方向とする。以上の原理から関係式(1)(2)を次に示すように導くことができる。
X’=(Ri+r)sinθ・・・・(1)
Z’=(Ri+r)cosθ−R・・・・(2)
従って、θの変化に伴ってX、Z方向に同時に変位されて所定の位置で回転駆動されるサイドカッタ7によって、被加工物11の表面に円弧溝12を加工形成することができる。
図6において、本発明では、サイドカッタ7を被加工物11の表面の上方から下方に向けて移動して、被加工物11の表面からその内部に円弧溝12を加工形成するため、円弧溝12の溝幅Wdとサイドカッタ7の幅Wtが同じ値であると、円弧の曲がりによる干渉が発生する。サイドカッタ7の半径をRt、円弧溝12の内径をRi、深さをDとすると、サイドカッタ7の傾動支点からサイドカッタ7の内側面との距離L1、サイドカッタ7の被加工物11への切り込み長さの距離L2、及びサイドカッタ7の幅Wtは、次の式(11)(12)(13)により求めることができる。
L2={(Ri+Wd)2−L12}1/2・・・・(12)
Wt=L2−Ri・・・・(13)
従って、Wt≦0ならば、加工不可能である。通常の切削ではWt≧1.0程度が限界である。式(11)(12)(13)の関係を利用して、加工すべき円弧溝12に対する最適なサイドカッタ7の半径Rtと幅Wtを見つけることができる。
図7の(イ)において、円弧溝12の半径中心Oと回転テーブル10の回転中心Wは共にZ軸上に位置している。円弧溝12の一方の端点Aの座標(X1、Y0、Z1)、他方の端点Bの座標(X2、Y0、Z2)、円弧溝12の半径をRi、回転テーブル10の回転中心Wから円弧溝12の加工位置までの半径がrである。Y0は回転テーブル10から円弧溝12までの高さである。
L4={(Ri+Wt)2+L32}1/2・・・・(15)
Rd=Ri+Wd−L4・・・・(16)
図9において、円弧溝12の外周側に断面積より遥かに小さい削り残し90(この図9においては、説明の便宜上、削り残し90を誇張して示してある)があり、内周側には削り残しを生じないため、円弧溝12の外周側に生じた削り残し90は、図11の(イ)から(ニ)に示すように、サイドカッタ7の下方への傾き量を順次大きくすることにより、円弧溝12の外周側の遥かに小さい削り残し90を仕上げることが可能である。
なお、図11の(ホ)は、図11の(イ)の平面図である。
一方、サイドカッタ7が傾斜しても円弧溝12の内周側に干渉しないことが必要である。そのための円弧溝12の溝幅Wdは、次の(18)式のような関係になる。
そして、上記(17)式、(18)式に基づいて、サイドカッタ7が傾斜しても円弧溝12の内周側及び外周側に干渉しないためのサイドカッタ7の傾動角度δtを求めることができる。
Z’=R2cos(θ+θ0)−R …(7)
ここで、R2={DX2+(R+DZ)2}1/2
θ0=tan−1{DX/(R+DZ)}
そして、上記の(6)式、(7)式を用いることにより、被加工物11に加工する円弧溝12の円弧溝中心とサイドカッタ7中心軸が並ぶ時に、Z軸上に一致しない場合でも、円弧溝12の加工が可能になる。
2 カッタ保持体
3 工作機主軸
4 ブラケット
5 傾動機構
6 カッタホルダ
7 サイドカッタ
8 ベッド
9 水平テーブル
10 回転テーブル
11 被加工物
12 円弧溝
13 数値制御装置
Claims (7)
- 被加工物の表面に円弧溝を加工する被加工物への円弧溝加工方法において、
工作機を構成するテーブルに、被加工物を固定し、
前記工作機を構成するコラムに装設したモータ軸に、前記円弧溝の溝幅より小さい厚みを有するサイドカッタを装着し、
数値制御装置からの指令信号に基づいて、前記サイドカッタを前記被加工物の側方に位置決めした後、前記サイドカッタを回転させ、
前記サイドカッタ又は前記テーブルを相対的に回転させて、前記被加工物の表面に沿って円弧溝を加工し、
次に、前記サイドカッタを、前記被加工物の側方において、深さ方向に位置決めした後、前記サイドカッタ又は前記テーブルを相対的に回転させる動作を、繰り返して、前記被加工物の表面に所定幅及び深さの円弧溝を加工する
ことを特徴とする被加工物への円弧溝加工方法。 - 請求項1に記載の被加工物への円弧溝加工方法において、
前記被加工物は、前記工作機を構成する移動可能な水平テーブル上の回転テーブル上に固定される
ことを特徴とする被加工物への円弧溝加工方法。 - 請求項2に記載の被加工物への円弧溝加工方法において、
前記被加工物を加工状態における前記サイドカッタの軸線が、前記被加工物に加工形成される前記円弧溝の円弧中心方向でかつ前記円弧溝の底面に対して直角方向に前記サイドカッタの半径分だけシフトした位置に位置させるとともに、前記コラム及び前記水平テーブルの前記軸線方向及び該軸線に対して直交する方向の変位、並びに前記回転テーブルの回転変位をそれぞれ、(R+r)cosθ−R及び(R+r)sinθ並びにθ(ただし、Rは前記被加工物の円弧溝の半径、rは前記サイドカッタの軸線が前記回転テーブルの回転中心を通る場合の前記サイドカッタの中心位置と前記回転テーブルの回転中心との距離、θは前記回転テーブルの回転角)となるように、前記数値制御装置を介して制御する
ことを特徴とする被加工物への円弧溝加工方法。 - 請求項1に記載の被加工物への円弧溝加工方法において、
前記サイドカッタは、垂直軸回りに回転可能である
ことを特徴とする被加工物への円弧溝加工方法。 - 請求項1乃至3のいずれかに記載の被加工物への円弧溝加工方法において、
前記サイドカッタは、前記円弧溝の底面まで挿入しても、円弧溝の側面に干渉しない厚みである
ことを特徴とする被加工物への円弧溝加工方法。 - 請求項1乃至3のいずれかに記載の被加工物への円弧溝加工方法において、
前記サイドカッタの中心軸は、前記サイドカッタが前記円弧溝と干渉しない曲率をもって傾動機構により傾動される
ことを特徴とする被加工物への円弧溝加工方法。 - 請求項1乃至5のいずれかに記載の被加工物への円弧溝加工方法において、
前記円弧溝の加工後に生じる前記円弧溝内の底部の削り残し部を、エンドミルによって切削する
ことを特徴とする被加工物への円弧溝加工方法。
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