JP2010153054A - 蛍光ランプ - Google Patents
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Abstract
【解決課題】石英ガラス製発光管を有する紫外線放射の蛍光ランプにおいて、前記発光管の光照射方向の背面側に放電空間側表面に形成された石英ガラスよりも軟化点が低い物質からなるガラス層と、このガラス層の放電空間側の表面に形成された蛍光体層と、ガラス層と発光管の間に形成された紫外線反射体とを有することを特徴とする。
【選択図】 図4
Description
その一方で、蛍光体が劣化しない温度、例えば900℃以下の加熱を行うことも考えられるが、その場合は、石英ガラスと蛍光体の付着が弱くなり、ランプ点灯中に蛍光体が剥がれてしまうなどの問題を発生させる。
蛍光ランプは発光管(ガラス管)1より構成されており、発光管1の外壁には、一対の帯状電極2(2a,2b)が、発光管1の長手方向に同じように伸びるよう配設される。電極2(2a,2b)には保護膜3が被さる。発光管1の内部には、誘電体バリア放電によってエキシマ分子を生成するためのガス、例えば、キセノンガスが100Torr封入されており、各々の電極に図示略の交流電源が接続されており、交流電力が供給されると、発光管1を構成する材料である石英ガラスを介在させて発光管1の内部に誘電体バリア放電が発生する。
この構造の利点は、光取り出し領域の蛍光体層6を薄くすることで、紫外線反射体4で、反射した紫外線の透過率を、上げることができると同時に、蛍光体層6で、誘電体バリア放電によって発生した紫外線を、波長250〜380nmに変換した紫外光を、加えることができ、合計した紫外線強度を上げることができる。
また、図2(b)に示した蛍光ランプは、蛍光体層は紫外線反射体4が存在する領域のみ存在し、紫外線反射体4が存在しない領域、すなわち光取出領域には存在しない。
この構造の利点は、光取り出し領域の蛍光体層6をなくすことで、紫外線反射体4で、反射した紫外線の透過率を上げることができ、図2(a)の場合よりも、製作が容易であることである。
発光管1の一方の外表面に一方の電極2aが設けられており、他方の外表面に他方の電極2bが設けられている。各電極は光を透過させるために網目状になっている。
この蛍光ランプにおいても、発光管1の内壁に紫外線反射体4が形成されており、その内面にガラス層5と、蛍光体層6が形成されている。図1において説明した始動アシスト導電性部材は省略している。
通常、発光管には、バッファガスとして、Arを主成分とする希ガスと、水銀が封入された低圧水銀放電を行うランプである。
シリカ粒子とアルミナ粒子を含有したゾルゲル液から懸濁液を作り、その溶液を発光管用材料の内表面に流すことで紫外線反射体を作ることができる。紫外線反射体の厚さは、流下する回数や懸濁液が流れる速度を制御することでコントロールできる。紫外線反射体を形成した後、500〜1000℃での大気中焼成を行い、紫外線反射体を固着させる。
まず、塊状のガラスを細かく砕きボールミルにかける。粉砕したガラス粉末はメッシュにより粒径を分類し、例えば、平均粒径が0.5〜10μm(好ましくは1〜5μm)のガラスの粉末を抽出する。このガラス粉末を、例えばニトロセルロース、酢酸ブチル液と重量比1:4〜1:10の割合で混合して、当該混合液をアルミナボールとともにボールミルにより十分ミリングしスラリーを生成する。以下、このガラス粉末を分散させたスラリーを「ガラススラリー」と称する。次に、このガラススラリーを発光管用材料の内表面に塗布する。発光管用材料は、一方の端部に2つの排気管が形成された管である。これを垂直に保持して、前記ガラススラリーを満たした容器の液面に、一方の排気管を入れてスラリーを吸引する。吸引されたガラススラリーは、発光管用材料の内部に充填されるが、他方の排気管から抜き出すことで内表面に塗布させることができる。なお、ガラススラリーの粘度や塗布回数を調整することによって、最終的に得られるガラス層の厚みを調整することができる。ガラススラリーの厚みは1〜30μmの範囲に形成されることが好ましい。なお、所定の紫外光について高い透過率を得るため、ガラス層の厚みは、後工程で形成する蛍光体層を保持できる範囲で可能な限り小さい方が好ましい。これは、ガラス層での紫外線の吸収を最小限に留めるためである。
発光管用材料に取り付けられた2つの排気管を使って乾燥窒素ガスを循環させることで、ガラススラリーに含まれる酢酸ブチルを蒸発させる。この結果、発光管用材料の内表面に厚さが1〜30μmのガラス粉末が堆積した層(ガラス層)が形成される。なお、乾燥に用いるガスは乾燥空気でも良い。そして、ガラス層を焼成させる。具体的には、ガラス管を加熱することでガラス粉末を焼成させるが、焼成条件は、大気中であって、約500〜1000℃、時間としては、最高温度での保持時間で表すと、0.2〜1時間となる。上述したホウケイ酸ガラス粉末やアルミノケイ酸ガラス粉末を用いた場合には、600〜900℃で行うのが好ましい。そして、このような焼成工程によって粒子同士が結合するとともに、ガラス管に融着し、ガラス層が基材に強力に結着する。また、ガラス層が、粉末の状態であると、蛍光体で発生した紫外線の反射層としての機能も有する。なお、ガラス層は、溶融温度まで昇温しないことから通常は粉末状の形態を維持しているが、更に温度を上げて溶融させた状態としても構わない。
蛍光体の塗布方法はステップ2と同様であり、発光管形成材料を垂直に保持し、蛍光体スラリーを満たした容器の液面に、排気管の一方を入れ、一方の排気管から吸引を行い、蛍光体スラリーを吸い上げ管内部に蛍光体スラリーを充填し、その後、他方の排気管から抜いて塗布する。ついで、蛍光体スラリーを乾燥させる。発光管用材料の一方の排気管Aから、もう一方の排気管へ、乾燥窒素ガスを流すことで、蛍光体スラリーに含まれる酢酸ブチルを蒸発させる。乾燥に用いるガスは、乾燥空気でも良い。さらに、蛍光体を焼成する工程である。発光管用材料を炉に入れて焼成する。焼成条件は、大気雰中で、約500〜800℃であり、最高温度での保持時間にして、0.2〜1時間加熱する。この焼成工程において、蛍光体層とガラス層との境界面でガラスのごく表面の軟化が生じて蛍光体がガラス層に結着し、結果的に、強固な結合状態が得られる。この結果、石英ガラスからなる発光管構成用材料の内表面上に、低軟化点ガラス粉末からなるガラス層、蛍光体層がこの順に積層された状態が得られる。なお、大気中での劣化が激しい蛍光体の場合は、大気中でニトロセルロースが焼失する温度まで昇温したのち、非酸化雰囲気ないし還元雰囲気にすることにより、約800度程度までの加熱を行うことが可能である。
封入する希ガスは、例えば、キセノン(Xe)、クリプトン(Kr)、アルゴン(Ar)である。図4の場合は、排気時に、水銀も同時に封入する。
ステップ5は電極を取り付ける工程である。
発光管の全長は300〜2000mmの範囲から選択されて、例えば1500mm、発光管の肉厚は1〜4mmであり、例えば2mmである。また、蛍光体層の平均厚さは10〜20μmの範囲から選択されて、例えば、15μmであり、蛍光体層と発光管の間に形成された低軟化点ガラスからなるガラス層の厚さは1〜30μmの範囲から選択され、例えば10μmである。
図3に示す蛍光ランプと同一形態のランプをランプ1、図3に示す蛍光ランプから紫外線反射体4が存在しないランプをランプ2として、出射面における相対照度を測定した。
相対照度は、比較ランプに対する照度の相対値を使っている。
図6に相対照度値を示し、図7に発光スペクトルを示す。
実験結果より、紫外線反射体を使ったランプ1は比較ランプに対して波長300〜340nmにおいて相対照度値が「4.4」であり、波長340〜400nmにおいて相対照度値が「3.8」であった。また、蛍光体層だけの設けたランプ2は比較ランプに対して波長300〜340nmにおいて相対照度値が「3.1」であり、波長340〜400nmにおいて相対照度値が「2.6」であった。
また、図7に示す発光スペクトルは縦軸に比較ランプの波長340nmにおける照度を基準とした相対値を示している。紫外線反射体を設けたランプ1も蛍光体層だけのランプ2もいずれも波長340nm付近にピークを有しており、ランプ1の照度は、ランプ2の照度に比較して格段に高いことがわかる。
2 電極
3 保護膜
4 紫外線反射体
5 ガラス層
6 蛍光体層
Claims (3)
- 石英ガラス製発光管を有する紫外線放射型の蛍光ランプにおいて、
前記発光管の光照射方向の背面側に放電空間側表面に形成された石英ガラスよりも軟化点が低い物質からなるガラス層と、このガラス層の放電空間側の表面に形成された蛍光体層と、ガラス層と発光管の間に形成された紫外線反射体とを有することを特徴とする蛍光ランプ。 - 前記反射体は、シリカ粒子とアルミナ粒子を含む膜からなることを特徴とする請求項1に記載の蛍光ランプ。
- 前記ガラス層は、ホウケイ酸ガラス粉末あるいはアルミノケイ酸ガラス粉末のいずれかを含むことを特徴とする請求項1記載の蛍光ランプ。
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