JP2010151528A - チオール基を有する刺激応答性磁性微粒子及びその利用 - Google Patents

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Abstract

【課題】チオール基結合物質を効率よく固定化すること。
【解決手段】表面が刺激応答性高分子で修飾された磁性微粒子からなる刺激応答性磁性微粒子であり、該磁性微粒子は、多価アルコールまたはポリアルキレンイミンと、鉄酸化物との複合体であり、該刺激応答性高分子は、熱応答性高分子、pH応答性高分子または光応答性高分子であり、チオール基を含むことを特徴とする、刺激応答性磁性微粒子を用いてチオール基結合物質を固定化する。
【選択図】なし

Description

本発明はチオール基を含む刺激応答性磁性微粒子に関する。より詳しくは、チオール基結合物質を効率よく固定化でき、保存安定性にも優れたチオール基を含む刺激応答性磁性微粒子、該微粒子を用いたチオール基結合物質の固定化方法および該微粒子を含むキットに関する。
リガンドが固定された微粒子を混合液に添加し、目的物質を吸着した後、微粒子を回収し、目的物質を微粒子から分離、回収する方法が知られている。具体的には、ビオチン及びアビジンから選ばれた1種以上が下限臨界溶液温度(以下、「LCST」と略す。)を有するポリマーを介して磁性微粒子に固定された熱応答性磁性微粒子と磁石の磁力を用いた生体物質の分離方法が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
リガンドとしてチオール基を固定した担体は、抗体やチオール基含有化合物等を容易に固相化でき、特に生体高分子や細胞等の分離、回収に有用であると考えられる。しかしながら、チオール基固定化担体は、チオール基の反応性が高いため、保存中にチオール基が酸化されてジスルフィド結合を生成し、抗体やチオール基含有化合物等との反応性が低下するなどの問題があり、現在のところ、チオール基を有する磁性微粒子は知られていない。
国際公開WO02/016571号パンフレット
本発明は、以上の実情に鑑みてなされたものであり、チオール基結合物質を効率よく固定化することのできるチオール基含有刺激応答性磁性微粒子、さらには、保存安定性に優れたチオール基含有刺激応答性磁性微粒子を提供することを課題とする。
発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、チオール基を含む刺激応答性磁性微粒子の作製に成功し、さらに、保護基で保護されたチオール基を固定した刺激応答性磁性微粒子は、保存安定性に優れ、抗体やチオール基含有化合物等を容易に固相化できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
具体的には、本発明は以下を提供する。
[1] 表面が刺激応答性高分子で修飾された磁性微粒子からなる刺激応答性磁性微粒子であり、該磁性微粒子は、多価アルコールまたはポリアルキレンイミンと、鉄酸化物との複合体であり、該刺激応答性高分子は、熱応答性高分子、pH応答性高分子または光応答性高分子であり、チオール基を含むことを特徴とする、刺激応答性磁性微粒子。
[2] チオール基が、刺激応答性高分子に導入された、前記[1]項記載の刺激応答性磁性微粒子。
[3] チオール基が、保護基で保護された、前記[2]項記載の刺激応答性磁性微粒子。
[4] チオールの保護基が、ベンジル基、メトキシベンジル基、N−(アセチル)アミノメチル基、t−ブチル基、メチルベンジル基、3、4−ジメチルベンジル基、トリチル基、ベンズヒドリル基、アセタミドメチル基、カルボメトキシスルフェニル基、3−ニトロ−2−ピリジンスルフェニル基、エチルカルバモイル基、9−フルオレニルメチル基、またはピリジルスルフィド基である、前記[3]項記載の刺激応答性磁性微粒子。
[5] 前記[1]〜[4]のいずれか1項記載の刺激応答性磁性微粒子にチオール基結合物質を接触させる工程を含む、チオール基結合物質の固定化方法。
[6] 前記[1]〜[4]のいずれか1項記載の刺激応答性磁性微粒子を含む、チオール基結合物質固定化用キット。
[7] 前記[1]〜[4]のいずれか1項記載の刺激応答性磁性微粒子とグルタチオンとが、それぞれのチオール基同士でジスルフィド結合することによって固定化された、グルタチオン固定化磁性微粒子。
[8] 前記[7]項記載のグルタチオン固定化磁性微粒子を含む、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ融合タンパク質を精製又は検出するためのキット。
本発明によれば、チオール基結合物質を効率よく固定化でき、特に、保護基で保護されたチオール基を固定した刺激応答性磁性微粒子は、保存安定性に優れ、抗体やチオール基含有化合物等を容易に固相化できる。また、本発明の磁性微粒子は刺激応答性であるため、刺激により凝集させた後に磁力により回収することができるので、チオール基結合物質の固定化操作が容易である。
以下、本発明の一実施形態について説明する。
(磁性粒子)
本発明で用いる磁性微粒子は微粒子状の磁性物質であり、例えば、多価アルコールと、マグネタイト、フェライト、ヘマタイトおよびゲーサイトなどの鉄酸化物とで構成される磁性微粒子が挙げられる。ここで、多価アルコールは、構成単位に水酸基を少なくとも2個有し且つ鉄イオンと結合可能なアルコール構造体である限りにおいて特に限定されず、例えば、デキストラン、ポリビニルアルコール、マンニトール、ソルビトール、シクロデキストリンが挙げられる。また、グリシジルメタクリレート重合体のようにエポキシを有し、開環後、多価アルコール構造体を形成する化合物も多価アルコールとして使用できる。磁性微粒子は、例えば、特開2005−82538公報に記載の、デキストランを用いた微粒子状の磁性物質の製造方法に従って製造することができる。
本発明で用いる磁性微粒子はまた、マグネタイト、フェライト、ヘマタイトおよびゲーサイトなどの鉄酸化物とポリアルキレンイミンとで構成される磁性微粒子であってもよい。
ポリアルキレンイミンとしては、ポリエチレンイミンやポリプロピレンイミンなどが挙げられ、ポリエチレンイミンがより好ましい。ポリアルキレンイミンの数平均分子量は好ましくは600〜70,000である。鉄酸化物とポリアルキレンイミンとの複合体は、水中で鉄酸化物とポリアルキレンイミンを混合することによって得ることができる。pH3〜6で複合体を形成することが好ましく、pH4〜5であることがより好ましい。
上記のような多価アルコールやポリアルキレンイミンを用いて調製された磁性微粒子は、良好な分散性を有するように、その平均粒径が0.9nm以上1000nm未満であることが好ましい。平均粒径は、特に目的物質の分離効率、精製効率を高めるためには、2.9nm以上200nm未満であることが好ましい。
(刺激応答性高分子)
磁性微粒子の表面を修飾する刺激応答性高分子は、外的な刺激に応答して構造変化を起こし、凝集及び分散を調整できるポリマーである。刺激応答性高分子としては、熱応答性高分子、pH応答性高分子または光応答性高分子等が挙げられる。刺激としては、熱応答性高分子の場合であれば温度変化であり、光応答性高分子の場合であれば光の照射であり、pH応答性高分子の場合であれば酸又は塩基の添加(pHの変化)である。
特に、本発明では、刺激応答性高分子は、温度変化によって凝集及び分散可能な熱応答性高分子であることが好ましい。なお、熱応答性高分子としては、下限臨界溶液温度(以下、LCSTとも称する)を有するポリマーや上限臨界溶液温度を有するポリマー(以下、UCSTとも称する)が挙げられる。
本発明で用いられる下限臨界溶液温度を有するポリマーとしては、N−n−プロピルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N、N−ジメチルアクリルアミド、N−アクリロイルピロリジン、N−アクリロイルピペリジン、N−アクリロイルモルホリン、N−n−プロピルメタクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N、N−ジメチルメタクリルアミド、N−メタクリロイルピロリジン、N−メタクリロイルピペリジン、N−メタクリロイルモルホリン等のN置換(メタ)アクリルアミド誘導体からなるポリマー;ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール部分酢化物、ポリビニルメチルエーテル、(ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン)ブロックコポリマー、ポリオキシエチレンラウリルアミン等のポリオキシエチレンアルキルアミン誘導体;ポリオキシエチレンソルビタンラウレート等のポリオキシエチレンソルビタンエステル誘導体;(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)アクリレート、(ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル)メタクリレート等の(ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル)(メタ)アクリレート類;及び(ポリオキシエチレンラウリルエーテル)アクリレート、(ポリオキシエチレンオレイルエーテル)メタクリレート等の(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)(メタ)アクリレート類等のポリオキシエチレン(メタ)アクリル酸エステル誘導体等が挙げられる。更に、これらのポリマー及びこれらの少なくとも2種のモノマーからなるコポリマーも利用できる。また、N−イソプロピルアクリルアミドとN−t−ブチルアクリルアミドのコポリマーも利用できる。(メタ)アクリルアミド誘導体を含むポリマーを使用する場合、このポリマーにその他の共重合可能なモノマーを、下限臨界溶液温度を有する範囲で共重合してもよい。本発明では、なかでも、N−n−プロピルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N、N−ジメチルアクリルアミド、N−アクリロイルピロリジン、N−アクリロイルピペリジン、N−アクリロイルモルホリン、N−n−プロピルメタクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N、N−ジメチルメタクリルアミド、N−メタクリロイルピロリジン、N−メタクリロイルピペリジン、N−メタクリロイルモルホリンからなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマーからなるポリマー又はN−イソプロピルアクリルアミドとN−t−ブチルアクリルアミドのコポリマーが好ましく利用できる。
本発明で用いられる上限臨界溶液温度を有するポリマーとしては、アクリロイルグリシンアミド、アクリロイルニペコタミド、アクリロイルアスパラギンアミド及びアクリロイルグルタミンアミド等からなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマーからなるポリマーが利用できる。また、これらの少なくとも2種のモノマーからなるコポリマーであってもよい。これらのポリマーには、アクリルアミド、アセチルアクリルアミド、ビオチノールアクリレート、N−ビオチニル−N’−メタクリロイルトリメチレンアミド、アクリロイルザルコシンアミド、メタクリルザルコシンアミド、アクリロイルメチルウラシル等、その他の共重合可能なモノマーを、上限臨界溶液温度を有する範囲で共重合してもよい。
ここで、下限臨界溶液温度は、次のように決定する。まず、試料を吸光光度計のセルに入れ、1℃/分の速度で試料を昇温する。この間、550nmにおける透過率変化を記録する。ここで、ポリマーが透明に溶解しているときの透過率を100%、完全に凝集したときの透過率を0%としたとき、透過率が50%になるときの温度をLCSTとして求める。
また、上限臨界溶液温度の場合は、次のように決定する。1℃/分の速度で試料を冷却し、下限臨界溶液温度の場合と同様に550nmにおける透過率変化を記録する。ここで、ポリマーが透明に溶解しているときの透過率を100%、完全に凝集したときの透過率を0%としたとき、透過率が50%になるときの温度をUCSTとして求める。
また、本発明では、刺激応答性高分子として、pH変化によって凝集及び分散可能なpH応答性高分子が利用できる。pH応答性高分子が構造変化を起こすpHは、特に限定されないが、刺激付与時における目的物質の変性等による分離効率、精製効率の低下を抑制できる点で、pH4〜10が好ましく、pH5〜9であることがさらに好ましい。
このようなpH応答性高分子としては、カルボキシル、リン酸、スルホニル、アミノ等の基を官能基として含有するポリマーが例示できる。より具体的には、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ホスホリルエチル(メタ)アクリレート、アミノエチルメタクリレート、アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の解離基を有するモノマーが重合されたものであってもよく、これら解離基を有するモノマーと、pH応答能が損なわれない程度において、他のビニルモノマー、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類、スチレン、塩化ビニル、N−ビニルピロリドン等のビニル化合物、(メタ)アクリルアミド類等とが共重合されたものであってもよい。
また、本発明では、刺激応答性高分子として、光照射によって凝集及び分散可能な光応答性高分子が利用できる。例えば、スピロランをポリイソプロピルアクリルアミドと結合させることにより、光に応答し、凝集収縮を繰り返すポリマーを得ることができる。
刺激応答性高分子による磁性微粒子の表面修飾は、例えば、刺激応答性高分子を磁性微粒子の表面に反応性官能基を介して結合する方法や、磁性微粒子中の多価アルコール上の活性水素又は多価アルコールに重合性不飽和結合を導入してグラフト重合する方法等の当技術分野で周知の方法で行うことができる(例えば、ADV.Polym.Sci.、Vol.4、p111、1965やJ.Polymer Sci.、Part−A、3、p1031、1965参照)。
また、磁性微粒子がポリアルキレンイミンと鉄酸化物から構成される場合、刺激応答性高分子による磁性微粒子の表面修飾の方法としては、熱応答性高分子自身の、あるいは熱応答性高分子に導入された反応性の官能基と、ポリアルキレンイミンのイミノ基とを反応させて共有結合を形成させる方法などが挙げられる。
(チオール基の導入)
本発明の磁性微粒子はチオール基を含む。チオール基の含有量は後述のチオール基結合物質を十分量固定化できる量であればよい。チオール基は保護基で保護されていてもよい。保存安定性のためには、保護基で保護されたチオール基を含む刺激応答性磁性微粒子を作製し、使用時に脱保護するかあるいはチオール基を持つ化合物と置換反応させることが好ましい。
チオールの保護基としては、ベンジル基、メトキシベンジル基、N−(アセチル)アミノメチル基、t−ブチル基、メチルベンジル基、3、4−ジメチルベンジル基、トリチル基、ベンズヒドリル基、アセタミドメチル基、カルボメトキシスルフェニル基、3−ニトロ−2−ピリジンスルフェニル基、エチルカルバモイル基、9−フルオレニルメチル基、ピリジルスルフィド基等が挙げられる。
保護チオール基が導入された刺激応答磁性微粒子の調製法としては以下の方法が挙げら
れる。
<チオール基が刺激応答性高分子に結合している場合>
まず、保護チオール基を有する刺激応答性高分子を製造する。
その方法としては、刺激応答性高分子中にチオール基を導入後、チオール基を保護する方法と、刺激応答性高分子中に直接保護チオール基を導入する方法がある。前者の方法としては、システインなどのチオール基を有する化合物と刺激応答性高分子に含まれる反応性の基とを反応させた後に、後述するようなチオール基保護用化合物を用いてチオール基を保護する方法が挙げられる。後者の方法としては、後述するような保護チオール基導入用化合物と刺激応答性高分子に含まれる反応性の官能基とを反応させる方法が挙げられる。
このようにして得られた保護チオール基を有する刺激応答性高分子で磁性微粒子の表面を修飾する。
<チオール基が磁性微粒子に結合している場合>
まず、保護チオール基を有する磁性微粒子を製造する。
その方法としては、磁性微粒子中にチオール基を導入後、チオール基を保護する方法と、磁性微粒子中に直接保護チオール基を導入する方法がある。前者の方法としては、刺激応答性磁性微粒子を構成する多価アルコールの水酸基やポリアルキレンイミンのイミノ基、またはこれらの基を介して導入されたアミノ基、カルボキシル基などと、システインなどのチオール基を含有する化合物とを反応させた後に、後述するようなチオール基保護用化合物を用いてチオール基を保護する方法が挙げられる。後者の方法としては、刺激応答性磁性微粒子を構成する多価アルコールの水酸基やポリアルキレンイミンのイミノ基、またはこれらの基を介して導入されたアミノ基、カルボキシル基などと、後述するような保護チオール基導入用化合物とを反応させる方法が挙げられる。
このようにして得られた保護チオール基含有磁性微粒子の表面を刺激応答性高分子で修飾する。
保護チオール基を導入するために用いることのできる化合物の例を以下に示す。
略号 : 化合物名
H-D-Cys(Acm)-OH・HCl :S-Acetamidomethyl-D-cysteine hydrochloride
H-Cys(Acm)-OH・HCl :S-Acetamidomethyl-L-cysteine hydrochloride
H-D-Cys(tBu)-OH・HCl :S-t-Butyl-D-cysteine hydrochloride
H-Cys(tBu)-OH・HCl :S-t-Butyl-L-cysteine hydrochloride
H-Cys(Bzl)-OH :S-Benzyl-L-cysteine
H-D-Cys(Bzl)-OH :S-Benzyl-D-cysteine
H-Cys(Bzl)-OBzl・p-tosylate
:S-Benzyl-L-cysteine benzyl ester hydrochloride・p-tosylate
H-Cys(Bzl)-OEt・HCl :S-Benzyl-L-cysteine ethyl ester hydrochloride
H-Cys(Bzl)-OMe・HCl :S-Benzyl-L-cysteine methyl ester hydrochloride
H-Cys(Bzl)-pNA :S-Benzyl-L-cysteine-naphthylamide
H-D-Cys(Mbzl)-OH :S-(4-methyl-benzyl)-L-cysteine
H-Cys(Mob)-OH :S-(4-methoxy-benzyl)-L-cysteine
H-D-Cys(Mob)-OH :S-(4-methoxy-benzyl)-D-cysteine
H-Cys(StBu)-OH :S-tert-butylthio-L-cysteine
H-Cys(SO3H)-OH・sodium salt
:S-sulfo-L-cysteine sodium salt
H-Cys(Trt)-OH :S-trityl-L-cysteine
H-D-Cys(Trt)-OH :S-trityl-D-cysteine
H-Cys(Trt)-NH2 :S-trityl-L-cysteine amide
Ac-Cys(Trt)-OH :N-Acetyl-S-trityl-L-cysteine
Trt-Cys(Trt)-OH :N-alpha-S-trityl-L-cysteine
Trt-Cys(Trt)-DEA :N-alpha-S-Bistrityl-L-cysteine diethylamine
(H-Cys-OH・HCl)2 :L-システイン塩酸塩の2量体
(H-D-Cys-OH・HCl)2 :D-システイン塩酸塩の2量体
(H-D-Cys-NH2)2・2HCl :L-cysteine amideの2量体
(H-Cys-OBt)2・2HCl :L-cysteine butyl esterの2量体
(H-Cys-OEt)2・2HCl :L-cysteine Ethyl esterの2量体
(H-Cys-OMe)2・2HCl :L-cysteine methyl esterの2量体
(H-D-Cys-OMe)2・2HCl :D-cysteine methyl esterの2量体
(Ac-Cys-OH)2 :N-Acetyl-L-cysteineの2量体
(Ac-Cys-OMe)2 :N-Acetyl-L-cysteine methyl esterの2量体
(Ac-D-Cys-OMe)2 :N-Acetyl-D-cysteine methyl esterの2量体
略号なし :Palmitoyl-Cys((RS)-2,3-di(pamitoyloxyl)-propyl)-OH
略号なし :N-Succinimidyl 3-(2-pyridyldithio)propionate
チオール基を保護するために用いることのできる化合物の例を以下に示す。
略号 : 化合物名
Bzl-Cl :ベンジルクロリド
Bzl(OMe)-Cl :メトキシベンジルクロリド
TosOH・H2O :トルエンスルホニルクロリド
略号なし :Pyridine-2-thiol
略号なし :N−ヒドロキシメチルアセタミド
ScmCl :carbomethoxysulfenyl chloride
Nps-Cl :O-Nitrophenylsulfenyl chloride
Npys-Cl :3-Nitro-2-pyridinesulfenyl chloride
保護されたチオール基を含む磁性微粒子は、脱保護をした後に、チオール基反応物質を固定化するために使用することができる。脱保護剤は、保護基の種類に応じて適宜選択することができるが、例えば、ジチオトレイトール(略号DTT)、水素化ホウ素ナトリウム、2−メルカプトエタノール、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、2−メルカプトエチルアミン、トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン(略号TCEP)が例示できる。
<チオール基反応物質の固定化方法>
本発明のチオール基結合物質の固定化方法は、上記チオール基含有刺激応答性磁性微粒子にチオール基結合物質を接触させる工程を含む。
ここで、チオール基反応物質としては、マレイミド基、チオール基、エポキシ基またはハロゲン化アルキル誘導体などを含む物質が挙げられる。これらの物質としては、低分子化合物でもよいし、タンパク質、核酸、糖鎖などの高分子化合物であってもよい。
タンパク質としては、抗体、酵素、サイトカイン、受容体、転写因子などが挙げられる。
タンパク質として抗体を選択し、これを本発明のチオール基含有刺激応答性磁性微粒子に固定化した場合、得られた抗体固定化磁性微粒子は抗原の検出や精製に使用することができ、診断試薬や研究試薬などとして有用である。抗体を固定化する方法としては、抗体にマレイミド基を導入し、該マレイミド基と本発明の磁性微粒子のチオール基を反応させる方法や、抗体を還元型IgGにし、還元型IgGのチオール基と本発明の磁性微粒子のチオール基との間でジスルフィド結合を形成させる方法が挙げられる。
固定化は次のようにして行うことができる。すなわち、本発明のチオール基含有刺激応答性磁性微粒子とチオール基反応物質を混合することにより、磁性微粒子にチオール基反応物質を結合させ、熱などの刺激を加えて磁性微粒子を凝集させ、磁石を用いてチオール
基反応物質が固定化された磁性微粒子を回収する。
本発明はまた、上記チオール基含有刺激応答性磁性微粒子を含む、チオール基結合物質固定化用キットを提供する。該キットは磁性微粒子以外の試薬、例えば、固定化反応用のバッファーや磁性微粒子磁集用の磁石を含んでもよい。また、チオール基が保護されている場合、脱保護剤を含んでもよい。
また、グルタチオン自身のチオール基と本発明の磁性微粒子のチオール基との間でジスルフィド結合を形成させることにより、グルタチオンを本発明の磁性微粒子に固定化することもできる。グルタチオンを固定化した磁性微粒子はグルタチオン−S−トランスフェラーゼ融合タンパク質(以下、GST融合タンパク質と略記することがある。)の精製や検出に効率よく使用することができ、研究試薬などとして有用である。グルタチオンを固定化した磁性微粒子を用いたGST融合タンパク質の精製は次のようにして行うことができる。すなわち、グルタチオンを固定化した磁性微粒子とGST融合タンパク質を含む試料を混合することにより、磁性微粒子にGST融合タンパク質を結合させ、熱などの刺激を加えて磁性微粒子を凝集させ、磁石を用いてGST融合タンパク質が固定化された微粒子を回収する。洗浄後、遊離のグルタチオンを加えて微粒子からGST融合タンパク質を溶出させる。
本発明はまた、上記グルタチオン固定化磁性微粒子を含むGST融合タンパク質の精製または検出用キットを提供する。当該キットは他の試薬、例えば、反応や洗浄用のバッファーや磁集用の磁石を含んでもよい。また、GST溶出用のグルタチオンを含んでもよい。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されることはない。また、実施例、比較例中における物性の測定方法、用いた材料の組成は以下の通りである。
SDS−PAGE:アクリルアミド、メチレンビスアクリルアミドから作られた12.5(W/v)%のポリアクリルアミドゲルを備えた電気泳動装置を用いて、20mAの電流で電気泳動を行った。電気泳動を行った後、ポリアクリルアミドゲルを0.5重量%のクーマシーブリリアントブルー溶液に浸すことによって、該ゲル中のタンパク質の染色を行った。なお、SDS−PAGEを行う際に、変性処理を行うが、この処理で目的タンパクは、熱応答性高分子表面修飾磁性粒子から外れる。
熱応答性高分子表面修飾磁性微粒子の平均粒径および粒径分布:大塚電子(株)製ELS−8000SD型「光散乱光度計」によって測定した。
精製水:ミリポア社製純水製造装置「Direct-QTM」によって精製された導電率18MΩcmの水。
PBSバッファー:10倍濃度の市販のPBS(8.1mM Na2HPO4、1.5mM
KH2PO4、2.7mM KCl、137mM NaCl、pH7.4、ニッポンジーン(株)製)を精製水で1/10(V/V)に希釈して用いた。
<実施例1>保護されたチオール基を含む磁性微粒子の製造
アミノ基結合−熱応答性高分子表面修飾磁性粒子として、マグナビート(株)製のTherma−Max LAm Amine(以下、TM−LAmと略記する。水溶液の濃度は0.4重量%)を用いた。TM−LAm 500μLを1.5mLマイクロチューブにとり、42℃に加温し、磁気分離操作を行った後、上清を除去し、ホウ酸緩衝液(100mM、pH8.5、ポリサイエンス社製)0.5mLで溶媒置換し、充分に分散させた。一方で、N−スクシンイミジル3−(2−ピリジルジチオ)ピロピオネート(略号SPDP、同仁化学研究所製)0.5mgをジメチルスルホキシド100μLに溶解させた。2つの溶液を混合し、一晩攪拌した。これにPBSバッファー0.5mLを使用し、磁気回
収による洗浄操作を2回行ない、保護されたチオール基を含む熱応答性磁性微粒子(以下、TM−LPDPと略記する。)を得た。
<実施例2>保護されていないチオール基を含む磁性微粒子の製造
カルボキシル基結合−熱応答性高分子表面修飾磁性粒子として、マグナビート(株)製のTherma−Max LC Carboxylic acid(以下、TM−LCと略記する。水溶液の濃度は0.4重量%)を用いた。TM−LC 0.5mLを1.5mLマイクロチューブにとり、42℃に加温し、磁気分離操作を行った後、上清を除去し、ホウ酸緩衝液(100mM、pH8.5、ポリサイエンス社製)0.5mLで溶媒置換し、充分に分散させた。一方で、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド(略号WSC、同仁化学研究所製)1mgとN−ヒドロキシコハク酸イミド(和光純薬工業(株)製)2mgをホウ酸緩衝液0.2mLに溶解させた。2つの溶液を混合し、2時間反応させた。0.5mLのホウ酸緩衝液で2回洗浄操作し、コハク酸イミド活性化Therma−Maxを得た。コハク酸イミド活性化Therma−Max0.5mLと、0.5mLのホウ酸緩衝液にシステイン50mgを溶解させた溶液とを混合し、一晩攪拌した。これに磁気回収による洗浄操作を2回行い(PBSバッファー0.5mLを使用)、保護基を有しないチオール基を含む磁性微粒子(以下、TM−LSHと略記する。)を得た。
<実施例3>(磁性微粒子の分散性安定性の評価)
各チオール基を含む磁性粒子の粒径を測定した。
その結果、出発物質のTM−LAmの平均粒径は86nmであったが、TM−LPDPの平均粒径は103nmであった。また、TM−LCの粒径は85nmであったが、TM−LSHの平均粒径は1320nmであった。
TM−LSHに対して、Elma社製超音波装置Elmasonicにより超音波分散を行ったところ、粒径が260nmまで小さくなったが、予想される100nm程度の粒径には至らなかった。これは、チオール基同士が架橋をしてしまっているために、260nm以下の粒径にはならなかったと考えられる。また、粒径の分布を評価した。その結果、保護基を有しているTM−LPDPの粒径分布は、出発物質であるTM−LAmとほぼ変わらないのに対し(図1(a))、保護基を有していない、TM−LSHは、粒径分布が広くなっていることがわかる(図1(b))。
<実施例4>(磁性微粒子の保存安定性の評価)
TM−LPDPの粒径は、ELS−8000で粒径測定したところ、調製直後は103nmであり、1ヶ月後は107nmであり、ほとんど変わっていなかった。これに対して、TM−LSHの粒径は、調製直後は260nmであったが、1ヶ月後は1010nmとなってしまい、経時変化が生じていた。
以上より、保護されたチオール基を含む磁性微粒子は、保護基を有しないSH基を含む磁性微粒子と比較して保存安定性に優れることが示された。
<実施例5>チオール基を含む磁性微粒子への抗体の結合実験(マレイミド標識抗体との反応)
(マレイミド標識抗体の調製)
ヒト甲状腺刺激ホルモン(略号TSH)のβサブユニットに対する抗体(クローン:155マウス、マウスIgG、Leinco Technology、Inc.製)1mLを透析膜(Bio-Tech International,Inc.製:分画分子量 8,000)に入れ、200mLのPBSバッファーが入った微量透析装置(Bio-Tech International,Inc.製)中で4℃、3時間透析を行った。2mgのsulfo−EMCS(同仁化学(株)製)を1mLのPBSバッファーに溶解した(5mM sulfo−EMCS)。透析した抗体400μLと5mM sulfo−EMCSを混合し、Shaking incubator
SI−300(AS ONE(株)製)を用いて30℃、30分間、300rpmでインキュベーションした。2本のPD MiniTrap G−25(GEヘルスケア製)をそれぞれPBSバッファー20mLで平衡化した。1本の平衡化したPD MiniTrap G−25を25℃、1000×g、2分間遠心処理した後に抗体400μLを添加し、25℃、1000×g、2分間遠心処理した。再度、この操作を繰り返した。これによりマレイミド標識抗体が得られた。
(還元TM−LPDPの調製)
Therma−Max LPDP(0.4w/v%)100μLを1.5mLマイクロチューブにとり、0.5M EDTA(pH8)(ニッポンジーン(株)製)を2μL添加し、混合した。さらに200mMのDTT(ジチオトレイトール、和光純薬工業(株)製)5μLを添加、混合した後、25℃で30分間、300rpmでインキュベーションした。反応終了後、42℃の恒温槽(AS ONE(株)製)でマイクロチューブを2分間加熱し、TM−LPDPを凝集させ、2分間、磁石(MANGNASTAND−8(商品名)、マグナビート(株)製)で磁気回収し、上清を除去した。
このマイクロチューブに、10mM EDTA含むPBSバッファー100μLを加え、氷上で冷却して分散させた。再度マイクロチューブを42℃の恒温槽で2分間加熱後、2分間、上記磁石で磁気回収し、上清を除去した。このマイクロチューブに、10mM EDTA含むPBSバッファー100μLを加え、氷上で冷却して分散させ、還元TM−LPDPを得た。
(還元TM−LPDPとマレイミド標識抗体の反応)
上記で調製した還元TM−LPDP100μL入りのマイクロチューブにマレイミド標識抗体を15μL加え、4℃、12時間、300rpmでインキュベーションした。42℃の恒温槽で、このマイクロチューブを2分間加熱し、TM−LPDPを凝集させ、2分間、上記磁石で磁気回収し、上清を除去した。
このマイクロチューブにPBSバッファー100μLを加え、氷上で冷却して分散させた。これに磁気回収による洗浄操作を2回行い(PBSバッファー0.5mLを使用)、未反応の抗体を除去した。TM−LPDPへの抗体の結合はSDS−PAGEで確認した(図2レーン1)。
<実施例6>
保護されたチオール基を含む磁性微粒子への抗体の結合実験(還元抗体との反応)
(還元IgGの調製)
ヒト甲状腺刺激ホルモン(略号TSH)のβサブユニットに対する抗体(クローン:155マウス、マウスIgG、Leinco Technology、Inc.製)1mLを透析膜(Bio-Tech International,Inc.製:分画分子量 8,000)に入れ、200mLのPBSバッファーが入った微量透析装置(Bio-Tech International,Inc.製)中で4℃、3時間透析を行った。
40mgの2−メルカプトエチルアミン(略号2−MEA、和光純薬(株)製)を1mLのPBSバッファーに溶解した(350mM)。透析した抗体400μLへ350mM
2−MEAを10μL添加し、Shaking incubator SI−300 (AS ONE(株)製)を用いて、37℃ 、1.5時間、300rpmでインキュベーションした。
2本のPD MiniTrap G−25(GEヘルスケア製)をPBSバッファー20mLで平衡化した。1本の平衡化したPD MiniTrap G−25を25℃、1000×g、2分間遠心処理した。遠心処理したPD MiniTrap G−25に抗体400μLを添加し、25℃、1000×g、2分間遠心処理した。再度もう1本の平衡化したPD MiniTrap G−25で抗体 400 μLを遠心処理した。これにより、還元IgGが得られた。
(TM−LPDPと還元IgGの反応)
TM−LPDP(0.4w/v%)100μLを1.5mLマイクロチューブにとり、0.5M EDTA(pH8)(ニッポンジーン(株)製)2μLを添加し、混合した。調製した還元IgGを15μL加え、4℃、12時間、300rpmでインキュベーションした。反応終了後、42℃の恒温槽でマイクロチューブを2分間加熱し、TM−LPDPを凝集させ、2分間、磁石で磁気回収し、上清を除去した。このマイクロチューブにPBSバッファー100μLを加え、氷上で冷却して分散させた。PBSバッファー100μLで、磁気回収し、洗浄を2回行うことで、未反応の抗体を除去した。TM−LPDPへの抗体の結合はSDS−PAGEで確認した(図2のレーン2)。
以上より、保護されたチオール基を含む磁性微粒子を用いると、抗体を容易に固定化できることがわかった。
<実施例7>(SH基を持つ低分子化合物との反応)
(TM−LPDPとグルタチオンとの反応)
TM−LPDP(0.4w/v%)100μLを1.5mLマイクロチューブにとり、そこに還元型グルタチオン(以下、GSHと略記する。和光純薬工業(株)製)2mgを含むPBSバッファー100μL溶液を加え、一晩反応させた。42℃の恒温槽でマイクロチューブを2分間加熱し、TM−LPDPを凝集させ、2分間、磁石で磁気回収し、上清を除去した。このマイクロチューブにPBSバッファー100μLを加え、氷上で冷却して分散させた。これに磁気回収による洗浄操作を2回行ない(PBSバッファー100μLを使用)、未反応のGSHを除去し、Therma−MaxにGSHを導入したTM−LGSHを調製した(図3)。
(機能評価)
(TM−LGSHと、GST融合タンパク質(GSTはグルタチオン−S−トランスフェラーゼの略号)との反応)(図4)
TM−LGSH100μLを1.5mLマイクロチューブにとり、GST融合タンパク質であるGST−6His tagged(1μg/μL)(以下、GST−Hisとする。Upstate社製)を5μL加え、室温で30分インキュベートした。その後、42℃の恒温槽でマイクロチューブを2分間加熱し、TM−LGSHを凝集させ、2分間、磁石で磁気回収し、上清を除去した。このマイクロチューブにPBSバッファー100μLを加え、氷上で冷却して分散させた。PBSバッファー100μLで洗浄を2回行うことで、未反応のGST−Hisを除去した。
また、比較としてGST融合タンパク質ではないストレプトアビジンを用いて、同様の実験を行った。TM−LGSTへのGST−Hisの結合はSDS−PAGEで確認した(図5のレーン2)。その結果、GST融合タンパク質であるGST−HisはTM−LGSTのペレットにバンドが濃く出るが(図5レーン3)、GST融合タンパク質ではないストレプトアビジンではペレットにはバンドがなく、上清にバンドが濃く現れた(図5レーン5、6)。以上の結果より、TM−LGSHは特異的にGST融合タンパクと結合することが示された。
参考例:コアがポリエチレンイミンとマグネタイトで構成される熱応答性磁性微粒子の調製
(マグネタイトの調製)
200mL容のフラスコに、塩化第二鉄・六水和物(1.0mol)及び塩化第一鉄・四水和物(0.5mol)混合水溶液を100mL入れ、メカニカルスターラーで攪拌し、この混合溶液を50℃に昇温した後、これに28重量%アンモニア水溶液5.0mLを滴下し、1時間攪拌した。この操作で、平均粒径が約5nmのマグネタイトが得られた。
(マグネタイト−ポリエチレンイミン複合体の調製)
10重量%マグネタイト水溶液10mLとポリエチレンイミン5gを混合し、超音波処理をしながら、氷浴中で1時間分散処理をした。磁気分離により、過剰なポリエチレンイミンを除去した。10mLの精製水を添加し再分散後、1mM 塩酸水溶液で分散液のpHを4にすることで、平均粒径が約70nmのマグネタイト−ポリエチレンイミン複合体を得た。
(熱応答性磁性微粒子の調製)
マグネタイト−ポリエチレンイミン複合体300mgを100mM MESバッファー(MES:2-(N-Morpholino)ethanesulfonic Acid、pH4.75)30mLに分散させた(分散液)。この分散液を超音波により、マグネタイト−ポリエチレンイミン複合体の平均粒径が約70nmになるように処理した。また、一方でポリ−N−イソプロピルアクリルアミド−co−アクリル酸共重合体100mgを、100mM MESバッファー10mLに溶解し、そこへ、1-Ethyl-3-(3-dimethylaminopropyl)carbodiimide, hydrochloride 100mgを添加し、30分間反応させた(ポリマー液)。その後、分散液とポリマー液とを混合し、6時間、反応させた後、精製水により2回洗浄を行い、アミノ基を含む熱応答性磁性微粒子を得た。
熱応答性磁性微粒子のアミノ基にチオール基または保護チオール基を含む化合物を反応させることにより、チオール基または保護チオール基を含む、コアがポリエチレンイミンとマグネタイトで構成された熱応答性磁性微粒子を得ることができる。
磁性微粒子の分散安定性(粒径分布)を示す図。(a)がTM−LAmおよびTM−LPDPを示し、(b)がTM−LC、TM−LSHおよび超音波処理後のTM−LSHを示す。 TM−LPDPへの抗体の結合を示す図(写真)。レーン1がマレイミド標識抗体、レーン2が還元IgGを示す。 保護チオール基を含む磁性微粒子(TM−LPDP)を用いて、グルタチオンを導入する反応の模式図。 TM−LGSHとGST融合タンパク質との反応の模式図。 GST融合タンパク質またはストレプトアビジン(対照)の、TM−LGSHへの結合実験の結果を示す図(写真)。

Claims (8)

  1. 表面が刺激応答性高分子で修飾された磁性微粒子からなる刺激応答性磁性微粒子であり、該磁性微粒子は、多価アルコールまたはポリアルキレンイミンと、鉄酸化物との複合体であり、該刺激応答性高分子は、熱応答性高分子、pH応答性高分子または光応答性高分子であり、チオール基を含むことを特徴とする、刺激応答性磁性微粒子。
  2. チオール基が、刺激応答性高分子に導入された、請求項1記載の刺激応答性磁性微粒子。
  3. チオール基が、保護基で保護された、請求項2記載の刺激応答性磁性微粒子。
  4. チオールの保護基が、ベンジル基、メトキシベンジル基、N−(アセチル)アミノメチル基、t−ブチル基、メチルベンジル基、3、4−ジメチルベンジル基、トリチル基、ベンズヒドリル基、アセタミドメチル基、カルボメトキシスルフェニル基、3−ニトロ−2−ピリジンスルフェニル基、エチルカルバモイル基、9−フルオレニルメチル基、またはピリジルスルフィド基である、請求項3記載の刺激応答性磁性微粒子。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項記載の刺激応答性磁性微粒子にチオール基結合物質を接触させる工程を含む、チオール基結合物質の固定化方法。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項記載の刺激応答性磁性微粒子を含む、チオール基結合物質固定化用キット。
  7. 請求項1〜4のいずれか1項記載の刺激応答性磁性微粒子とグルタチオンとが、それぞれのチオール基同士でジスルフィド結合することによって固定化された、グルタチオン固定化磁性微粒子。
  8. 請求項7記載のグルタチオン固定化磁性微粒子を含む、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ融合タンパク質を精製又は検出するためのキット。
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