JP2010151493A - 工程不良検出装置及び工程不良検出方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明にかかる工程不良検出装置は、各工程において金属帯板90の表面を撮影し画像データを取得し、取得した画像データから金属帯板90における品質不良データを作成し、検査対象となっている金属帯板90の前工程における表面検査結果を取得し、得られた前工程の品質不良データと現工程の品質不良データとを比較して、現工程にて新規に発生した不良を抽出し、不良が検出された金属帯板90上における不良の分布の特徴を算出し、不良が現工程に起因するものであると判定されると、現工程を停止する。
【選択図】図2
Description
金属帯板の表面に不良が存在すると、不良箇所から強度の大きい散乱光が発せられる。この原理を利用して、前述の表面検査機の光検出系では、予め閾値を設定し、その閾値より大きい散乱光が存在する場合には、金属帯板に不良が存在すると判断していた。
特許文献1は、上工程における疵検出について、適切な学習データを用いて、完成品で最終的に有害となる疵を高精度に検出する疵検出装置を開示する。
この疵検出装置は、鋼板生産プロセスの上工程の鋼板表面を撮像して上工程疵画像データを検出する上工程疵画像検出手段と、上工程疵画像検出手段によって検出された上工程疵画像データと鋼板生産プロセスの下工程において検出された下工程疵画像データとを比較する比較手段と、比較手段による比較の結果に基づいて、上工程疵画像データの中から有害な疵画像データを抽出する疵画像抽出手段と、疵画像抽出手段によって抽出された有害な疵画像データを学習データとして蓄積する蓄積手段とを有し、蓄積手段によって蓄積された学習データを新たな鋼板の疵判定に利用することを特徴とする。
しかしながら、金属帯板で検出された不良の原因が、製造プロセスの各工程に起因するものであるならば、生産を継続すると不良を含んだコイル(コイル状になった金属帯板)を大量に生産してしまうため、早急に製造プロセスや原因となる工程を停止し、メンテナンス又は工程改善といった手段を講じなければならない。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、コイル状に巻き取られた金属帯板が巻き出され、巻き出された金属帯板が処理され、その後、再度コイルに巻き取られる工程を複数有する製造ラインにおいて不良が発生した場合に、不良の原因となった工程を絞り込み、迅速な対応を取ることができる工程不良の検出技術を提供することを目的とする。
本発明に係る工程不良検出装置は、コイル状に巻き取られた帯状の金属帯板が巻き出され、巻き出された金属帯板が処理され、その後、再度コイルに巻き取られる工程を複数有する製造ラインに設けられた不良検出装置であって、前記複数の工程のそれぞれに設けられて、通板する金属帯板の表面の不良を検出する検査部と、現工程において前記検査部で不良が検出された際に、前工程でのコイル巻き取り姿勢と現工程でのコイル巻き出し姿勢とを基に、前記検出された不良の位置情報を前工程における位置情報に変換する変換部と、変換後の位置情報に基づいて、検出された不良に対応する前工程の不良の有無を判定する不良判定部と、前記不良判定部により前工程の不良が無いと判定されると、前記検出された不良が現工程で発生したものと判定する工程判定部と、を含むことを特徴とする。
比較の結果、前工程における対応位置に不良がないと判定されると、現工程で検出された不良は、現工程における設備が原因とされる不良である可能性が高く、不良の原因となった設備を絞り込み迅速な対応を取ることができる。
例えば、検出された不良が金属帯板の先端部から尾端部に亘って略周期的に存在するようであれば、現工程(不良が検出された工程)のロール等の不具合による不良である可能性が大きく、現工程を停止したり、早急なメンテナンスを行う必要がある。
ところが、検出された不良が、金属帯板の先端部の一部、又は尾端部の一部にのみ存在するようであれば、製造プロセスを構成する工程に起因する不良ではなく、例えば、金属帯板の前工程から現工程への移送中に発生した人的作業に起因する不良と考えることができる。工程間の移送では金属帯板はコイル状となっており、かかるコイルをぶつけるなどして疵などの不良を発生させた場合、その不良は金属帯板の先端部の一部にのみ存在するからである。
前記変換部は、現工程で検出された不良についての通板方向の位置情報、幅方向の位置情報及び表裏方向の位置情報を、前工程における通板方向の位置情報、幅方向の位置情報及び表裏方向の位置情報に変換するように構成するとよい。
さらに好ましくは、前記金属帯板上には予め定められた基準点が設けられており、前記変換部は、現工程の基準点と前工程の基準点とを考慮して、現工程で検出された不良の位置情報を前工程における位置情報に変換するとよい。
また、前記工程判定部において現工程に不良があると判定された際に、現工程を停止する工程停止部が備えられているとよい。
この工程停止部により、現工程、すなわち不良の検出された工程を停止することができるので、工程に起因する不良を含む金属帯板が大量に発生することを防ぐことができる。
なお、以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称及び機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
図1に、本実施形態に係る工程不良検出装置が適用される金属帯板90の製造ラインの一例を示す図である。
図1において、熱延工程10において熱延された金属帯板90は、冷延工程20において、所定厚みの薄板に冷間状態で延ばされる。次に、焼鈍工程30で連続焼鈍を施され、その後、スケール除去のために酸洗工程40で酸洗され、さらには、表面処理工程50で表面処理され、最終検査工程60を経て製品として金属帯板90が出荷される。
なお、本実施形態では、各工程は1つの設備から構成されているものとする。例えば、熱延工程は、1つの熱間圧延機で構成されていることとする。
この図において、表面検査装置70は、金属帯板90を検査光を照射する照明部71と、照明部71により金属帯板90を照射することによって得られる反射光を撮像する撮像部72とを有している。
照明部71は、ハロゲンランプやレーザ光発生装置から構成された発光機構と集光レンズなどの集光機構とを有し、発光機構から出射される光が集光レンズで線状に集光されることにより、金属帯板90の表面がその幅方向でライン状に照明される。
なお、本実施形態においては、表面検査装置70は、金属帯板90の下流側に(金属帯板90の流れに対向するように)照明部71を配置して、金属帯板90の上流側に撮像部72を配置しているが、この配置には限定されない。
一方、製造ラインは、前述した如く、熱延工程10、冷延工程20、焼鈍工程30、酸洗工程40、表面処理工程50の複数の工程(5工程)を有しているが、図2には、その中の3つの工程(冷延工程20、焼鈍工程30、酸洗工程40)を例示的に示している。
このような製造ラインにおいて、リールに巻き取られている金属帯板90は、各工程毎に、金属帯板90の先端(トップ)と後端(ボトム)とが必ず反対になる。これは、前工程での巻き取り終端部が、現工程での巻き出し先端部と対応するからである。したがって、焼鈍工程30(この場合での現工程)でX=Lの位置に存在した表面疵などの不良が、冷延工程20(この場合での前工程)で発生したものならば、X=AL−Lの位置に存在することになる、なお、図2に示す金属帯板90の長手方向の座標が座標Xであって、ALはこの金属帯板90の全長である。
また、コイル状に巻き取られている金属帯板90は、前工程と現工程とでは、金属帯板90の幅方向が反対になる場合もある。それは、巻き取り時におけるコイルの「左右」が、巻き出し時には反転して「右左」になるからである。例えば、酸洗工程40(この場合での現工程)において、Y=Wの位置に存在する不良が、焼鈍工程30(この場合での前工程)において発生したものならば、Y=AW−Wの位置に存在することになる、なお、図2に示す金属帯板90の幅方向の座標が座標Yであり、AWはこの金属帯板90の全幅である。
まとめるならば、前工程でのコイル巻き取り姿勢(金属帯板90の巻き取り状況)と現工程でのコイル巻き出し姿勢(金属帯板90の巻き出し状況)とにより、不良の位置が異なるため、それらを考慮して、前工程での不良位置と現工程での不良位置とを対応させる必要がある。
本実施形態の制御装置80は、撮像部72が撮像した通板時の表面状態の画像データを基に、表面疵などの不良を特定する表面検査部200(検査部)を有する。表面検査部200は、撮像部72からのデータを画像処理する画像処理部(図示せず)と、この画像処理部の結果を基に金属帯板90の表面の不良を検出する不良検出部(図示せず)とを有する。不良検出部は、公知の画像処理技術(2値化、パターンマッチングなど)を用いることで表面疵などの不良を抽出し、得られた検査結果は、品質不良データとなりデータベース部700に記憶される。
さらには、制御装置80は、変換部600で変換された位置情報を基に、前工程での品質不良データと、現工程での品質不良データとを比較し、工程の不良を判定する不良判定部300を有する。加えて、不良判定部300により前工程の不良が無いと判定されると、検出された不良が現工程で発生したものと判定する工程判定部400を有する。
図7は、本実施形態に係る工程不良検出装置において、工程不良を判定する際に実行される処理のフローチャートである。以下、このフローチャートを用いて制御装置80において実行される判定処理について説明する。
S100(ステップをSと記載する)にて、この制御装置80は、各工程において表面検査装置70を用いて金属帯板90の表面を撮影し、得られた画像データは表面検査部200へ送られる。
表面検査部200で作成された品質不良データには、どの工程で、どの金属帯板90のどの位置(XYZ座標)に、どのような不良があったかが記憶されている。すなわち、不良の情報として、工程を特定する工程コード、金属帯板90を特定するコイル番号、重大な不良であるか軽微な不良であるかなど不良の種別を区分けしたもの(不良種別)、不良の長手方向の位置、不良の幅方向の位置、不良の表裏位置、不良のランク(詳細は後述する)などが含まれる。これらの情報は、例えば、図6に示す検査情報データベースの形にまとめられ、データベース部700に記録される。
前工程のデータに関しては、図4に示すような製造実績データベースがデータベース部700に保存されており、このような製造実績データから、金属帯板90を特定するためのキーであるコイル番号での検索を行なう。コイル番号を照合することで、前工程での金属帯板90の情報を、図6のような検査情報データベースから抽出する。S102の処理は、不良判定部300で行われる。
具体的には、現工程でX=Lの位置に存在した表面疵などの不良は、前工程において、X=AL−Lの位置に存在すると変換する。なお、ALはこの金属帯板90の全長である。工程が熱延工程10や冷延工程20などの圧延工程においては、圧延に伴いALが伸びることとなるが、ALの伸び量は、金属帯板90の弾性率や変形抵抗、圧延機の圧下率などのファクタを基に計算にて求めることができる。
さらに、前工程と現工程とでコイル巻き出しが異なる場合(例えば、前工程:上巻き取り、現工程:下巻き出し)は、現工程でZ(1)面に存在した不良が、前工程においてZ(2)面に存在するものと変換する。
なお、この変換部600の処理は、金属帯板90上の任意の点に設けられた基準点を基にして行われ、本実施形態の場合、最初の工程における金属帯板90の巻き始め端のドライブサイド側を基準点としている。
S104にて、工程判定部400は、新規に抽出された不良において重大不良とされているものがあるか否かを判定する。新規に抽出された不良において重大不良があると判定されると(S104にてYES)、処理はS105へ移される。もしそうでないと(S104にてNO)、処理はS106へ移される。
一方、S106にて、工程判定部400は、新規に抽出された不良において軽微不良とされているものがあるか否かを判定する。新規に抽出された不良において軽微不良があると判定されると(S106にてYES)、処理はS105へ移されて、軽微な不良が検出された金属帯板90上における不良の分布の特徴を算出される。もしそうでないと(S106にてNO)、この処理は終了する。ここで、一般的に、軽微な不良についてのデータ数が多くなる傾向があり、先に重大な不良を処理することで演算負荷を軽減することが図れる。
なお、重大不良と考えられるものには、金属帯板90上の全面に周期的に疵が発生している場合などであり、圧延ロールや搬送ロールに起因する疵である可能性が高い。また、重大不良としては、疵以外に穴あきや押し込みが該当する。軽微不良と考えられるものには、汚れや変色が該当する。
しかしながら、これら不良種別が本当に重大であるか否かは、不良の分布状態や不良が検出された工程に依存する部分が大きく、その判断のために、図6に示すような「ランク(不良のランク)」という指標が用いられている。例えば、「変色」は前述の如く軽微不良であるものの、製造ラインの下工程で発生した場合は、製品に近いものであって、見逃せない不良と考えるべきであり、その場合、ランクの値を大きなものとしている。
なお、検出された不良が、金属帯板90の先端部の一部、又は尾端部の一部にのみ存在するようであれば、製造プロセスを構成する工程に起因する不良ではなく、例えば、金属帯板90の前工程から現工程への移送中に発生した人的作業による不良と考えるように設定されている。なぜならば、工程間の移送では金属帯板90はコイル状となっており、かかるコイルをぶつけるなどして疵などの不良を発生させた場合、その不良は金属帯板90の先端部の一部にのみ存在するからであり、工程に起因する不良とは区別することが望ましいと考えるからである。
不良が工程に起因する不良であってその異常度(ランク)が大きいものであると判定されると(S107にてYES)、処理はS108へ移される。もしそうでないと(S107にてNO)、この処理は終了する。
なお、異常度を「ランク」のみで規定されるものとせず、不良種別、工程、それ以外のパラメータ(例えば、ユーザの要求)を複合的に使用して、製造工程や製造ライン毎に設定されるものであってもよい。
以上述べたように、本実施形態に係る工程不良検出装置は、金属帯板の表面疵などの不良を検知することで、当該金属帯板の品質を管理するに留まらず、金属帯板の不良の原因となった工程を絞り込み、その工程のメンテナンスを行う又は停止させる等の迅速な対応を取ることができるようになる。ひいては、金属帯板の生産性向上に寄与することになる。
例えば、本実施形態では、1つの工程は1つの設備で実現されているとしたが、1つの工程が複数の設備を有するものであっても何ら問題はない。その場合、表面検査装置70は各設備に取り付けられることが好ましく、工程停止部500により「工程」を停止させるのではなく、問題のある(不良の原因となっている)「設備」のみを停止させるとよい。
20 冷延工程
30 焼鈍工程
40 酸洗工程
50 表面処理工程
60 最終検査工程
70 表面検査装置
80 制御装置
90 金属帯板
200 表面検査部
300 不良判定部
400 工程判定部
500 工程停止部
600 変換部
Claims (7)
- コイル状に巻き取られた帯状の金属帯板が巻き出され、巻き出された金属帯板が処理され、その後、再度コイルに巻き取られる工程を複数有する製造ラインに設けられた不良検出装置であって、
前記複数の工程のそれぞれに設けられて、通板する金属帯板の表面の不良を検出する検査部と、
現工程において前記検査部で不良が検出された際に、前工程でのコイル巻き取り姿勢と現工程でのコイル巻き出し姿勢とを基に、前記検出された不良の位置情報を前工程における位置情報に変換する変換部と、
変換後の位置情報に基づいて、検出された不良に対応する前工程の不良の有無を判定する不良判定部と、
前記不良判定部により前工程の不良が無いと判定されると、前記検出された不良が現工程で発生したものと判定する工程判定部と、
を含むことを特徴とする工程不良検出装置。 - 前記工程判定部は、検出された不良の分布状態に基づいて、当該不良が現工程で発生したものと判定することを特徴とする請求項1に記載の工程不良検出装置。
- 前記変換部は、現工程で検出された不良についての通板方向の位置情報、幅方向の位置情報及び表裏方向の位置情報を、前工程における通板方向の位置情報、幅方向の位置情報及び表裏方向の位置情報に変換することを特徴とする請求項1又は2に記載の工程不良検出装置。
- 前記金属帯板上には予め定められた基準点が設けられており、
前記変換部は、現工程の基準点と前工程の基準点とを考慮して、現工程で検出された不良の位置情報を前工程における位置情報に変換することを特徴とする請求項3に記載の工程不良検出装置。 - 前記工程判定部において現工程に不良があると判定された際に、現工程を停止する工程停止部が備えられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の工程不良検出装置。
- 前記検査部は、金属帯板の表面を撮像する撮像部と、該撮像部からのデータを画像処理する画像処理部と、該画像処理部の結果を基に金属帯板の表面の不良を検出する不良検出部とを有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の工程不良検出装置。
- コイル状に巻き取られた帯状の金属帯板が巻き出され、巻き出された金属帯板が処理され、その後、再度コイルに巻き取られる工程を複数有する製造ラインに適用される不良検出方法であって、
前記複数の工程のそれぞれで通板する金属帯板の表面の不良を検出する検査ステップと、
現工程において前記検査ステップで不良が検出された際に、前工程でのコイル巻き取り姿勢と現工程でのコイル巻き出し姿勢とを基に、前記検出された不良の位置情報を前工程における位置情報に変換する変換ステップと、
変換後の位置情報に基づいて、検出された不良に対応する前工程の不良の有無を判定する不良判定ステップと、
前記不良判定ステップにより前工程の不良が無いと判定されると、前記検出された不良が現工程で発生したものと判定する工程判定ステップと、
を含むことを特徴とする工程不良検出方法。
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