JP5996475B2 - 異常工程の推定作業の支援システム - Google Patents
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Description
特許文献1は、画像処理の技術を用いた表面検査装置により、熱間圧延工程で製造された鋼板に存在する表面キズを検査する技術を開示している。
経験を積んだオペレータであれば、表面検査装置が検出したキズに関するデータを基に、 表面キズが発生した工程を推定することができる。しかしながら、経験の浅いオペレータでは、表面検査装置が出力する検査結果を基に、表面キズの原因となっている工程を推定することは困難である場合が多い。前述した特許文献1は、熱間圧延ラインにおいてビデオカメラによって鋼板表面の鮮明な画像が得られるようにして、検査の手間の軽減や品質保証レベルの向上を図るものとなっているが、オペレータの熟練度に起因する上記問題の回避方法を開示するものとはなっていない。
本発明に係る異常工程の推定作業の支援システムは、複数の工程からなる製造ラインにおける異常工程を推定する作業をオペレータが行うに際し、前記推定作業を支援する支援システムであって、前記支援システムは、オペレータが確認可能な表示器を有し、前記表示器は、前記製造ラインで製造される製造物に存在する欠陥の原因となった異常工程に関
する情報を表示するように構成されていることを特徴とする。
好ましくは、前記製造ラインは製造物として帯板を製造するラインであり、前記欠陥は帯板上に存在する表面キズであるに際しては、前記表面キズの特徴量を抽出し、抽出された特徴量に基づいて前記異常工程を推定し、推定された異常工程が前記表示器に表示されるとよい。
好ましくは、前記表示器には、表面キズの特徴量及び/又はキズ位置が表示されるとよい。
好ましくは、前記異常工程が、複数の設備により実現される工程である場合には、前記複数の設備の中で異常状態にある設備を推定し、前記表示器に推定した設備の情報が表示されるとよい。
好ましくは、前記設備が圧延機であり、前記設備ロールが圧延ロールであるとよい。
好ましくは、前記表面キズのキズ位置をグループ化するに際しては、前記表面キズ間の距離を求め、求めた距離が設備の仕様から得られた閾値以下である表面キズを、一つのグループにまとめるようにするとよい。
なお、本発明にかかる異常工程の推定作業の支援システムの最も好ましい形態は、複数の工程からなる製造ラインにおける異常工程を推定する作業をオペレータが行うに際し、前記推定作業を支援する支援システムであって、前記支援システムは、オペレータが確認可能な表示器を有し、前記表示器は、前記製造ラインで製造される製造物に存在する欠陥の原因となった異常工程に関する情報を表示するように構成されていて、前記製造ラインは製造物として帯板を製造するラインであり、前記欠陥は帯板上に存在する表面キズであるに際しては、前記表面キズのキズ位置をグループ化し、グループ化されたキズ位置に基づいて前記異常工程を推定し、推定された異常工程が前記表示器に表示され、前記表面キズのキズ位置をグループ化するに際しては、前記表面キズ間の距離を求め、求めた距離が前記設備の仕様から得られた閾値以下である表面キズを、一つのグループにまとめるようにすることを特徴とする。
本発明にかかる異常工程の推定作業の支援システムの最も好ましい他の形態は、複数の工程からなる製造ラインにおける異常工程を推定する作業をオペレータが行うに際し、前記推定作業を支援する支援システムであって、前記支援システムは、オペレータが確認可能な表示器を有し、前記表示器は、前記製造ラインで製造される製造物に存在する欠陥の原因となった異常工程に関する情報を表示するように構成されていて、前記製造ラインは製造物として帯板を製造するラインであり、前記欠陥は帯板上に存在する表面キズであるに際しては、前記表面キズのキズ位置をグループ化し、グループ化されたキズ位置に基づ
いて前記異常工程を推定し、推定された異常工程が前記表示器に表示され、前記表面キズのキズ位置をグループ化するに際しては、前記表面キズ間の距離を求め、求めた距離が前記製造物の形状乃至は寸法から得られた閾値以下である表面キズを、一つのグループにまとめるようにすることを特徴とする。
まずは、支援システム1を説明する前に、本支援システム1が配備される製造ライン2の説明を行う。
図1は、本実施形態の支援システム1が設けられた製造ライン2を示した模式図である。
に示すように、例えば、自動車や家電等の製造に用いられる帯板は、熱延工程3において熱延され、冷延工程4にて所定厚みの薄板に冷間状態で圧延される。また、帯板は、焼鈍工程5にて連続焼鈍を施され、その後、酸洗工程6にて酸洗いされてスケール等が除去され、表面処理工程7にて表面処理され、切断工程8にて、表面キズなどが存在する部分を切断した後に出荷される。切断工程8はスリッタ装置により構成されている。
切断工程8を初めとして、各工程のいずれかには、通板される帯板の表面を検査し、表面キズの有無を検出する表面検査装置9が設けられている。図1に示すように、この表面検査装置9は、最下流側に位置する切断工程8に設けられると共に、冷延工程4、表面処理工程7にも表面検査装置9が配備される。
表面検査装置9(すなわち、欠陥検出装置)としては、帯板の表面が所定の輝度となるように照明を行う照明手段と、照明手段で照明されている帯板の表面をCCDカメラなどで撮像する撮像手段と、撮像手段で得られた画像に対して画像処理を行うことで、帯板の表面に存在するキズに関するデータ(キズ分類データ、詳細は後述)を算出する画像処理装置12と、を有するような装置が採用される。
画像処理装置12は、以下に示すような処理内容(画像処理工程)を有している。
まず、画像処理装置12で行われる画像処理工程は、撮像画像に対して画像処理を行うことで、キズの特徴量を算出する特徴量算出工程20を有している。
算出されたキズ特徴量データは、画像処理装置12のキズ分類工程21へ送られ、キズ特徴量データを基にして、キズの種別分類が行われる。
キズ分類工程21では、表面キズの特徴量データから、帯板上に存在するキズの分類を行う。例えば、縦横比が大きなキズ(縦が横に比べて非常に大きなキズ)は、スジであると判別し、縦横比は略1であって面積がある閾値以下のものはポチであると判断する。キズ分類工程21は、分類したキズの個数もカウントし、図4(b)に示すような、分類されたキズの発生度数グラフも作成するようにしている。このグラフは、後述する表示器11に表示され、オペレータMに提示されるようにしてもよい。
さらに、画像処理装置12は、撮像画像に対して画像処理を行うことで、キズの座標位置を算出するキズ座標算出工程22を有している。
キズ座標算出工程22は、撮像手段により得られた撮像画像から、表面キズが存在する画像上の位置を検出し、その画像位置を実空間上の位置へと変換することで、帯板の表面における表面キズの位置を求めるものである。例えば、帯板の先端部の右端側(通板方向を向いて右側)に座標原点が設定され、帯板の幅方向を向く方向にX軸、帯板の先端から後端を向く方向にY軸が設定された座標を考える。キズ座標算出工程22は、この座標軸上でのキズの位置(表面キズの座標)を算出する。
られる。クラスタリング工程23では、キズ座標算出工程22にて得られた表面キズの座標を基に、存在位置が隣接するしているキズを一つのグループとして纏める(グループ化する、言い換えれば、クラスタリングする)ようにしている。具体的には、閾値付き最短距離法を用いて、表面キズをクラスタリングする。
次に、本実施形態の支援システム1の詳細を述べることにする。
コンピュータ10には、画像処理装置12に記録されたキズ分類データが入力されるようになっており、当該コンピュータ10は、キズ分類データなどを入力値として支援モニタ11で表示するための情報を計算する計算モデル(異常工程推定モデル)を備えている。
異常工程推定モデルはプログラム化されてハードディスクで構成された記憶装置に記憶されており、この異常工程推定モデルをMPUなどで構成された演算装置により演算する。画像処理装置12内に記録されたキズ分類データからコンピュータ10へのデータの転
送は、USBケーブルで接続することで実現されてもよく、無線LAN等による接続で実現されてもよい。コンピュータ10で演算された結果(異常工程推定モデルの結果)は、記憶装置に記録されると共に、出力装置すなわち支援モニタ11に表示される。
まず、図2に示す如く、異常工程推定モデルは、上工程遡り工程30を有している。この上工程遡り工程30は、表面キズが存在する座標値を、各工程における座標値へと変換する変換工程である。
例えば、帯板の製造ライン2においては、熱延工程3や冷延工程4のような圧延工程が存在する。圧延工程では、圧延材が圧延され板厚が減少すると共に、長手方向の長さが増大するようになる。そのため、例えば、熱延工程3で発生した表面キズの座標位置は、冷延工程4を経ることで圧延材の長さが増長し、表面キズの位置(座標値)が異なるものとなる。係る状況を勘案し、各工程で得られた表面キズの位置は、上工程遡り工程30を経て座標変換され、各工程と表面キズの座標値(キズグループデータ)との関連付けが行われるようになる。
上工程遡り工程30を経て、各工程と関連づけられた表面キズの座標値(キズグループデータ)は、関連設備検索工程31に送られる。関連設備検索工程31は、入力された表面キズの座標値やキズ分類データから、その表面キズの原因となった工程(異常工程)を割り出すものとなっている。
例えば、冷延工程4では、複数の圧延機(複数の設備)がタンデムに配備され、複数の圧延機を帯板が連続的に通過することで圧延が行われる。各圧延機のワークロール(設備ロール)の直径はそれぞれの圧延機で異なる場合が多い。その場合、表面キズの位置座標値を参照することで、キズの発生ピッチを知ることができる。このピッチを基に、キズ発生の原因となるロールの直径を割り出すことが可能である。キズの原因となるワークロール径が割り出された場合、その径のワークロールを備えた圧延機の特定は容易に行われ、係る原因となる圧延機の情報は、表示器11に表示されて、オペレータMに通知することができる。
図1に示すような製造ライン2において、帯板を製造している状況を考える。帯板は、熱延工程3、冷延工程4、焼鈍工程5、酸洗工程6、表面処理工程7、切断工程8などの複数の工程に、所定の速度で通板されることによって製造される。製造中は、表面検査装置9によりリアルタイムで表面検査が行われる。
値、キズ部分の縦横比などのキズ特徴量データが算出される。また、キズ分類工程21が実行されることで、分類されたキズに関する情報、分類されたキズの発生度数情報が算出される。表面検査装置9がコンピュータ10にLAN等により接続されている場合、これらキズ特徴量データ、分類されたキズに関する情報、分類されたキズの発生度数情報(グラフ)などのキズ種別データが支援モニタ11に表示される。
帯板の圧延中乃至は圧延後に、支援システム1のコンピュータ10では、表面検査装置9から得られたキズ種別データ(キズ種別データやキズグループデータ)を基に、異常工程推定モデルが実行される。
以上、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
2 製造ライン
3 熱延工程
4 冷延工程
5 焼鈍工程
6 酸洗工程
7 表面処理工程
8 切断工程
9 表面検査装置
10 上位コンピュータ(コンピュータ)
11 表示器(支援モニタ)
12 画像処理装置
20 特徴量算出工程
21 キズ分類工程
22 キズ座標算出工程
23 クラスタリング工程
30 上工程遡り工程
31 関連設備検索工程
32 ロール検索工程
M オペレータ
Claims (8)
- 複数の工程からなる製造ラインにおける異常工程を推定する作業をオペレータが行うに際し、前記推定作業を支援する支援システムであって、
前記支援システムは、オペレータが確認可能な表示器を有し、前記表示器は、前記製造ラインで製造される製造物に存在する欠陥の原因となった異常工程に関する情報を表示するように構成されていて、
前記製造ラインは製造物として帯板を製造するラインであり、前記欠陥は帯板上に存在する表面キズであるに際しては、前記表面キズのキズ位置をグループ化し、グループ化されたキズ位置に基づいて前記異常工程を推定し、推定された異常工程が前記表示器に表示され、
前記表面キズのキズ位置をグループ化するに際しては、前記表面キズ間の距離を求め、求めた距離が前記設備の仕様から得られた閾値以下である表面キズを、一つのグループにまとめるようにする
ことを特徴とする異常工程の推定作業の支援システム。 - 複数の工程からなる製造ラインにおける異常工程を推定する作業をオペレータが行うに際し、前記推定作業を支援する支援システムであって、
前記支援システムは、オペレータが確認可能な表示器を有し、
前記表示器は、前記製造ラインで製造される製造物に存在する欠陥の原因となった異常工程に関する情報を表示するように構成されていて、
前記製造ラインは製造物として帯板を製造するラインであり、前記欠陥は帯板上に存在する表面キズであるに際しては、前記表面キズのキズ位置をグループ化し、グループ化されたキズ位置に基づいて前記異常工程を推定し、推定された異常工程が前記表示器に表示され、
前記表面キズのキズ位置をグループ化するに際しては、前記表面キズ間の距離を求め、求めた距離が前記製造物の形状乃至は寸法から得られた閾値以下である表面キズを、一つのグループにまとめるようにする
ことを特徴とする異常工程の推定作業の支援システム。 - 前記複数の工程の少なくとも1つには、製造物に存在する欠陥を検出する欠陥検出装置
が備えられており、前記欠陥検出装置からの情報を基に、異常工程に関する情報を推定することを特徴とする請求項1又は2に記載の異常工程の推定作業の支援システム。 - 前記製造ラインは製造物として帯板を製造するラインであり、前記欠陥は帯板上に存在する表面キズであるに際しては、
前記表面キズの特徴量を抽出し、抽出された特徴量に基づいて前記異常工程を推定し、推定された異常工程が前記表示器に表示されることを特徴とする請求項1又は2に記載の異常工程の推定作業の支援システム。 - 前記表示器には、表面キズの特徴量及び/又はキズ位置が表示されることを特徴とする請求項1又は2に記載の異常工程の推定作業の支援システム。
- 前記異常工程が、複数の設備により実現される工程である場合には、
前記複数の設備の中で異常状態にある設備を推定し、前記表示器に推定した設備の情報が表示されることを特徴とする請求項1又は2に記載の異常工程の推定作業の支援システム。 - 前記帯板上でのキズ位置のピッチから、前記表面キズの原因となった設備ロールの径を推定し、推定された設備ロールの径から異常状態にある設備を推定することを特徴とする請求項6に記載の異常工程の推定作業の支援システム。
- 前記設備が圧延機であり、前記設備ロールが圧延ロールであることを特徴とする請求項7に記載の異常工程の推定作業の支援システム。
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