JP2010149173A - 遠心鋳造装置および遠心鋳造方法 - Google Patents

遠心鋳造装置および遠心鋳造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】形状精度に優れた成形体を製造することができる遠心鋳造装置および非晶質合金の遠心鋳造方法を提供する。
【解決手段】金属41を鋳造する遠心鋳造装置10において、溶融された金属材料が供給される湯受け面35を含んだ湯受け部30と、湯受け部に連通されたキャビティ部17が形成された鋳型15と、鋳型を回転させる回転手段19と、金属材料の溶湯を湯受け部に導く溶湯供給手段13と、湯受け部近傍に配置され、湯受け部を加熱する加熱手段21と、を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、遠心鋳造装置および遠心鋳造方法に関するものである。
従来から、遠心鋳造装置を用いて金属材料や非晶質合金の成形体を製造する方法が知られている。このような遠心鋳造装置は、鋳型を所定回転数で回転させ、鋳型に形成されたキャビティに金属材料や非晶質合金の溶湯を流し込むことにより所望の形状を有する金属材料や非晶質合金の成形体を製造することができるようになっている(例えば、特許文献1参照)。なお、結晶化しないように非晶質合金の成形体を製造するためには、キャビティ内に供給された非晶質合金材料の溶湯を急速に冷却して固化させる必要がある。
特開2008−126313号公報
ところで、上述の特許文献1の遠心鋳造装置など従来の遠心鋳造装置では、鋳型に供給された金属材料や非晶質合金材料の溶湯が鋳型の壁面などに接触すると、熱容量の大きな鋳型により吸熱され、急速に冷やされる現象が生じる。このため、キャビティに金属材料や非晶質合金材料の溶湯を流し込む際に、冷却速度が高すぎてキャビティ全体に金属材料や非晶質合金材料の溶湯を充填する前に、該溶湯が固化してしまう、いわゆる充填不良が発生し、所望の形状の非晶質合金の成形体が製造できないという問題がある。特に、薄肉形状部分を有する非晶質合金の成形体の製造の際に顕著である。
そこで、本発明は、上述の事情を鑑みてなされたものであり、形状精度に優れた成形体を製造することができる遠心鋳造装置および遠心鋳造方法を提供するものである。
上記の課題を解決するために、本発明の遠心鋳造装置は、金属を鋳造する遠心鋳造装置において、溶融された金属材料が供給される湯受け面を含む湯受け部構成部材と、該湯受け部構成部材によって構成される湯受け部に連通されたキャビティ部が形成された鋳型と、該鋳型を回転させる回転手段と、前記金属材料の溶湯を前記湯受け部に導く溶湯供給手段と、前記湯受け面近傍に配置され、前記湯受け面を加熱する加熱手段と、を有することを特徴としている。
ここで、キャビティ部とは成形品が形成される鋳型内部の空間部分を指しており、キャビティ部構成部材に取り囲まれることによって規定される。詳細な具体例については以下の実施形態において示す。また、湯受け部とは該金属材料が供給される空間であって、キャビティ部に繋がった、キャビティ部以外の空間部分を指しており、湯受け部構成部材に取り囲まれることによって規定される。同様に実施形態において具体例を示す。
この発明によれば、金属材料が溶融された溶湯が、加熱された湯受け部に供給された後、遠心力によってキャビティ部の方向へ移動する。ここで、湯受け面は加熱手段により加熱されているため、溶湯が鋳型の影響により冷却されるのを防ぐことができる。したがって、金属材料の溶湯が早期に冷却・固化するのを抑制することができるため、キャビティ部に溶湯を確実に充填することができる。結果として、形状精度に優れた成形体を製造することができる。
また、加熱手段により鋳型の湯受け面を加熱するため、キャビティ部には加熱の影響が少なく、キャビティ部近傍の温度上昇を抑制することができる。したがって、溶湯がキャビティ部に充填された後に、溶湯を急冷することができるため、短時間で成形体を製造することができる。
また、本発明の遠心鋳造装置では、前記湯受け面以外の前記湯受け部構成部材が前記鋳型から断熱される断熱部材を含むことが好ましい。
この場合、溶湯が湯受け部に入ったとき、湯受け面が加熱されているため、溶湯の温度が上昇する。湯受け部を通過してキャビティ部に入るまでの間、湯受け部構成部材は鋳型から断熱されているため、溶湯は熱を奪われることなく溶湯温度が保持される。したがって、湯受け部において溶湯がより固まりづらくなり、充填性がより高まる。
また、本発明の遠心鋳造装置では、前記キャビティ部を構成するキャビティ部構成部材と、前記加熱手段または前記湯受け部構成部材との間に断熱部材が配されていることが好ましい。
この場合、キャビティ部構成部材が、加熱手段または湯受け面から断熱されているため、それらから熱を与えられない。つまり、キャビティ部構成部材の温度が上昇しない。したがって、キャビティ部の冷却能力が加熱前と比べて低下することがなく、高い冷却能力が保持される。
また、本発明の遠心鋳造装置では、前記金属材料が、非晶質合金材料であることが好ましい。
この場合、湯受け面が加熱されているため、非晶質合金材料の溶湯は湯受け部で固化されることがなく、キャビティ部に確実に充填することができる。また、キャビティ部は加熱されていないため、非晶質合金材料の溶湯は急速に冷却され、結晶化が避けられる。したがって、形状が安定した、結晶含有率の低い非晶質合金の成形体を製造することができる。
また、本発明の遠心鋳造装置では、前記湯受け面の温度を計測する温度計測手段と、予め成形条件を入力しておく成形条件入力手段と、をさらに備え、前記温度計測手段の計測値が前記成形条件入力手段によって得られる温度設定値に近づくように、前記加熱手段の加熱出力を制御する制御装置を有することが好ましい。
この場合、加熱手段で湯受け面の温度を予め入力された成形条件によって得られる温度設定値に近づくように湯受け面の温度を制御することにより、溶湯の温度を制御することができる。したがって、金属材料ごとに最適な温度を設定することができ、キャビティ部への充填性を保ちつつ、冷却速度が速い成形体を製造することができる。
また、本発明の遠心鋳造装置では、前記成形条件入力手段に入力する前記成形条件が任意の温度であって、前記温度設定値が前記成形条件入力手段に入力された前記温度であることが好ましい。
この場合、成形条件入力手段に温度を入力することで、その温度を温度設定値にすることができる。したがって、金属材料ごとに温度設定値を決めることにより、金属材料の溶湯を最適な温度に保持することができ、充填性を保ちつつ、冷却速度が速い成形体を製造することができる。また、湯受け面の温度を同じ条件に保つことができるため、品質が安定した成形体を製造することができる。
また、本発明の遠心鋳造装置では、前記成形条件入力手段に入力する前記成形条件が予め前記成形条件入力手段に記憶されている金属材質の名称およびその名称に関連した結晶化温度、ガラス転移温度、融点のいずれか一つ以上の温度情報を選択するものであって、該温度情報の一つを選択することによって、前記温度設定値を定めることが好ましい。
この場合、金属材料の名称およびその名称に関連した結晶化温度(Tx)、ガラス転移温度(Tg)、融点(Tm)を選択することで、温度設定値を定めることができる。したがって、金属材料ごとに温度設定値を決めることにより、金属材料の溶湯を最適な温度に保持することができ、充填性を保ちつつ、冷却速度が速い成形体を製造することができる。また、湯受け面の温度を同じ条件に保つことができるため、品質が安定した成形体を製造することができる。
また、本発明の遠心鋳造装置では、前記加熱手段が前記回転手段と非接触であることが好ましい。
この場合、加熱手段が回転手段と非接触であるため、回転の影響を受けずに電源や熱源の供給が可能である。したがって、鋳型を回転して成形体を製造する際に、湯受け面への熱供給が可能となり、金属材料の溶湯の充填性をより高めることができる。また、回転手段と加熱手段との間に接続装置が必要無いため、装置構成を簡略化することができる。
また、本発明の遠心鋳造装置では、前記加熱手段が電熱によって加熱する電熱手段であって、該電熱手段が前記湯受け面と接するとともに、前記回転手段の内部に設けられていることが好ましい。
この場合、電熱手段が湯受け面に接して設けられているため、湯受け面を効率良く加熱することができる。また、電熱手段に供給する電力を調整することで、湯受け面の温度を容易に調整することができる。したがって、金属材料の溶湯が早期に冷却・固化するのを抑制することができるため、キャビティ部に溶湯を確実に充填することができる。結果として、形状精度に優れた成形体を製造することができる。
また、本発明の遠心鋳造装置では、前記電熱手段に対して、断続可能な電気接点により電気を供給する電気供給手段と、前記湯受け面の温度を計測する温度計測手段と、を備え、該温度計測手段の計測値が所定の温度に到達した後、前記電気供給手段の電気接点を前記回転手段と非接触にし、前記回転手段の回転を開始可能に構成されていることが好ましい。
この場合、加熱手段により湯受け面が所定の温度まで加熱された後、電気供給手段の電気接点が電熱手段と非接触となり、回転手段の回転が開始される。したがって、湯受け面が所定の温度に到達した状態で金属材料の溶湯が供給されるため、金属材料の溶湯が早期に冷却・固化するのを抑制することができ、キャビティ部に溶湯を確実に充填することができる。結果として、形状精度に優れた成形体を製造することができる。
また、本発明の遠心鋳造装置では、前記加熱手段が加熱されたガスを供給可能に構成され、前記回転手段の内部に備えられていることが好ましい。
この場合、回転手段の内部に備えられた加熱装置からガスを湯受け面に向かって噴射することにより湯受け面を加熱することができる。したがって、金属材料の溶湯が早期に冷却・固化するのを抑制することができるため、キャビティ部に溶湯を確実に充填することができる。結果として、形状精度に優れた成形体を製造することができる。また、回転手段と非接触の状態でガスを供給する装置を設けることにより、該装置は回転させる必要がないため、装置構成を簡略化することができる。
また、本発明の遠心鋳造装置では、前記加熱手段が前記回転手段の近傍に備えられた誘導コイルであって、前記湯受け面に接し、前記誘導コイルによって加熱される導電性の熱伝導手段が備えられていることが好ましい。
この場合、回転手段の近傍に備えられた誘導コイルにより、導電性の熱伝導手段が誘導加熱される。熱伝導手段は湯受け面に接しているため、湯受け面も加熱される。したがって、金属材料の溶湯が湯受け部を通過する際に、溶湯の温度低下を抑制することができる。したがって、金属材料の溶湯が早期に冷却・固化するのを抑制することができるため、キャビティ部に溶湯を確実に充填することができる。結果として、形状精度に優れた成形体を製造することができる。また、誘導コイルを用いて加熱することにより、短時間で湯受け部に大きな熱量を与え、湯受け面の温度を一気に上昇させることができるため、成形時間を短縮することができる。
また、本発明の遠心鋳造装置では、前記加熱手段が前記湯受け部の近傍に備えられた誘導加熱用コイルであって、前記湯受け面が導電性部材を含むことが好ましい。
この場合、湯受け部が導電性部材を含んで形成されているため、湯受け面の近傍に備えられた誘導加熱用コイルにより、湯受け面が誘導加熱される。したがって、金属材料の溶湯が湯受け部を通過する際に、溶湯の温度低下を抑制することができる。したがって、金属材料の溶湯が早期に冷却・固化するのを抑制することができるため、キャビティ部に溶湯を確実に充填することができる。結果として、形状精度に優れた成形体を製造することができる。また、誘導加熱用コイルを用いて湯受け面を直接加熱することにより、高精度な温度制御を行うことができる。
また、本発明の遠心鋳造方法は、遠心鋳造により金属を成形する遠心鋳造方法であって、キャビティ部が内部に形成された鋳型の回転中心付近に設けられた金属材料の溶湯が流し込まれる湯受け面を加熱する加熱工程と、前記鋳型を回転させるとともに、該鋳型のキャビティ部に前記金属材料の溶湯を供給する溶湯供給工程と、を有することを特徴としている。
この発明によれば、金属材料が溶融された溶湯が、加熱された湯受け面に供給された後、遠心力によってキャビティ部の方向へ移動する。ここで、湯受け面は加熱工程により加熱されているため、溶湯が鋳型の影響により冷却されるのを防ぐことができる。したがって、金属材料の溶湯が早期に冷却・固化するのを抑制することができるため、キャビティ部に溶湯を確実に充填することができる。結果として、形状精度に優れた成形体を製造することができる。
また、加熱工程により鋳型の回転中心付近の湯受け面を加熱するため、回転中心から離れた位置に形成されるキャビティ部には加熱の影響が少なく、キャビティ部近傍の温度上昇を抑制することができる。したがって、溶湯がキャビティ部に充填された後に、溶湯を急冷することができるため、短時間で成形体を製造することができる。
また、本発明の遠心鋳造方法では、前記湯受け面を含む湯受け部構成部材によって湯受け部が構成され、前記湯受け面以外の、前記湯受け部構成部材が前記鋳型から断熱されていることが好ましい。
この場合、溶湯が湯受け部に入ったとき、湯受け面が加熱されているため、溶湯の温度が上昇する。湯受け部を通過してキャビティ部に入るまでの間、湯受け部構成部材は鋳型から断熱されているため、溶湯は熱を奪われることなく溶湯温度が保持される。したがって、湯受け部において溶湯がより固まりづらくなり、充填性がより高まる。
また、本発明の遠心鋳造方法では、前記キャビティ部を構成するキャビティ部構成部材が、前記湯受け面を加熱する加熱手段または前記湯受け部構成部材から断熱されていることが好ましい。
この場合、キャビティ部構成部材が、加熱手段または湯受け面から断熱されているため、それらから熱を与えられない。つまり、キャビティ部構成部材の温度が上昇しない。したがって、キャビティ部の冷却能力が加熱前と比べて低下することがなく、高い冷却能力が保持される。
また、本発明の遠心鋳造方法では、前記金属材料が、非晶質合金材料であることが好ましい。
この場合、湯受け面が加熱されているため、非晶質合金材料の溶湯は湯受け部で固化されることがなく、キャビティ部に確実に充填することができる。また、キャビティ部は加熱されていないため、非晶質合金材料の溶湯は急速に冷却され、結晶化が避けられる。したがって、形状が安定した、結晶含有率の低い非晶質合金の成形体を製造することができる。
また、本発明の遠心鋳造方法では、前記加熱工程により加熱された前記湯受け面の温度を検出する温度検出工程と、前記湯受け部の設定温度を決定するための成形条件を入力する成形条件入力工程と、をさらに有し、前記加熱工程は、前記温度検出工程により検出された前記温度が前記設定温度に近づけるように、前記湯受け面を加熱制御することが好ましい。
この場合、加熱工程で湯受け面の温度を予め入力された成形条件によって得られる温度設定値に近づくように湯受け面の温度を制御することにより、溶湯の温度を制御することができる。したがって、金属材料ごとに最適な温度を設定することができ、キャビティ部への充填性を保ちつつ、冷却速度が速い成形体を製造することができる。
また、本発明の遠心鋳造方法では、前記加熱工程は、前記鋳型を回転させる回転手段の内部に設けられ、前記湯受け面に接するように配された電熱手段により前記湯受け部を加熱することが好ましい。
この場合、電熱手段が湯受け面に接して設けられているため、湯受け面を効率良く加熱することができる。また、電熱手段に供給する電力を調整することで、湯受け面の温度を容易に調整することができる。したがって、金属材料の溶湯が早期に冷却・固化するのを抑制することができるため、キャビティ部に溶湯を確実に充填することができる。結果として、形状精度に優れた成形体を製造することができる。
また、本発明の遠心鋳造方法では、前記電熱手段に対して断続可能な電気接点により電気を供給し、前記湯受け面を加熱する工程と、前記温度計測工程により検出した前記温度が所定の温度以上となったときに、前記電気接点を前記電熱手段から離間し、前記湯受け面の加熱を停止する工程と、前記湯受け面の加熱を停止した後に、前記鋳型の回転を開始する工程と、をさらに有することが好ましい。
この場合、加熱工程により湯受け面が所定の温度まで加熱された後、電気接点が電熱手段と非接触となり、回転手段の回転が開始される。したがって、湯受け面が所定の温度に到達した状態で金属材料の溶湯が供給されるため、金属材料の溶湯が早期に冷却・固化するのを抑制することができ、キャビティ部に溶湯を確実に充填することができる。結果として、形状精度に優れた成形体を製造することができる。
また、本発明の遠心鋳造方法では、前記加熱工程は、前記鋳型を回転させる回転手段の内部に設けられた加熱ガス供給部により前記湯受け面を加熱することが好ましい。
この場合、回転手段の内部に備えられた加熱ガス供給部からガスを湯受け面に向かって噴射することにより湯受け面を加熱することができる。したがって、金属材料の溶湯が早期に冷却・固化するのを抑制することができるため、キャビティ部に溶湯を確実に充填することができる。結果として、形状精度に優れた成形体を製造することができる。また、回転手段と非接触の状態で加熱ガス供給部を設けることにより、加熱ガス供給部は回転させる必要がないため、装置構成を簡略化することができる。
また、本発明の遠心鋳造方法では、前記加熱工程は、前記鋳型を回転させる回転手段の内部または外部に備えられた誘導コイルにより、導電性の部材からなり前記湯受け面と接して設けられた熱伝導部を加熱する工程であることが好ましい。
この場合、回転手段の近傍に備えられた誘導コイルにより、導電性の熱伝導部が誘導加熱される。熱伝導部は湯受け面に接しているため、湯受け面も加熱される。したがって、金属材料の溶湯が湯受け部を通過する際に、溶湯の温度低下を抑制することができる。したがって、金属材料の溶湯が早期に冷却・固化するのを抑制することができるため、キャビティ部に溶湯を確実に充填することができる。結果として、形状精度に優れた成形体を製造することができる。また、誘導コイルを用いて加熱することにより、短時間で湯受け部に大きな熱量を与え、湯受け面の温度を一気に上昇させることができるため、成形時間を短縮することができる。
また、本発明の遠心鋳造方法では、前記加熱工程は、前記湯受け部の近傍に設けられた誘導加熱用コイルにより、導電性部材を含む前記湯受け面を加熱する工程であることが好ましい。
この場合、湯受け面が導電性部材を含んで形成されているため、湯受け面の近傍に備えられた誘導加熱用コイルにより、湯受け面が誘導加熱される。したがって、金属材料の溶湯が湯受け部を通過する際に、溶湯の温度低下を抑制することができる。したがって、金属材料の溶湯が早期に冷却・固化するのを抑制することができるため、キャビティ部に溶湯を確実に充填することができる。結果として、形状精度に優れた成形体を製造することができる。また、誘導加熱用コイルを用いて湯受け面を直接加熱することにより、高精度な温度制御を行うことができる。
本発明によれば、金属材料が溶融された溶湯が、加熱された湯受け面に供給された後、遠心力によってキャビティ部の方向へ移動する。ここで、湯受け面は加熱手段により加熱されているため、溶湯が鋳型の影響により冷却されるのを防ぐことができる。したがって、金属材料の溶湯が早期に冷却・固化するのを抑制することができるため、キャビティ部に溶湯を確実に充填することができる。結果として、形状精度に優れた成形体を製造することができる。
(第一実施形態)
次に、本発明の遠心鋳造装置の第一実施形態を図1〜図11に基づいて説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
図1に円筒形状の遠心鋳造装置10の断面図を示した。真空チャンバとして機能する筐体11と、筐体11内の上部に配され、金属材料41を溶融して溶湯を生成するとともに、該溶湯を鋳型15へ供給する材料チャック部13と、材料チャック部13から供給された溶湯を受け入れ、内部に形成された空洞部17内のキャビティ部27で金属材料の成形体を製造可能な鋳型15と、鋳型15を所定の回転数で回転可能に構成された回転軸部19と、回転軸部19の内部に配されたヒーター21と、鋳型15の湯受け部30の温度を測定するための放射温度計22と、を備えている。なお、本実施形態では、金属材料41としてSUS304を採用する場合で説明する。
材料チャック部13は、金属材料41を収容可能に構成されており、周囲には金属材料41を溶融するための誘導コイル42が配されている。材料チャック部13の平面視略中央部から金属材料41の溶湯が滴下されるように構成されており、材料チャック部13の中心軸の鉛直下方に鋳型15の溶湯導入口33が配されている。
図2、図3に示すように、鋳型15は、例えば無酸素銅で形成されている。金型の材質は特に限定されないが、無酸素銅のような熱伝導の高い材質を採用すると、溶湯を急冷することができるため、短時間で成形体23を製造することができる。ここで、鋳型15において図4に示すような円筒状の成形体23を製造する場合について説明する。鋳型15は、平面視円形に形成された型ホルダ31と、型ホルダ31の底面31aに設けられ、回転軸部19と接続される接続部32とを備えている。なお、型ホルダ31は、上下に二分割できるように構成されている(図3の一点鎖線Bで分割可能)。
また、型ホルダ31の上面31bには金属材料41の溶湯が導入される溶湯導入口33が形成されている。溶湯導入口33は、型ホルダ31の平面視中央部(回転軸部19の回転中心に相当する位置)に略円形に形成されている。溶湯導入口33から鉛直下方に穴部34が形成されており、穴部34の底面にあたる湯受け面35から径方向外側に向かって略トンネル形状のランナー部36が形成され、ランナー部36の先にはキャビティ部17が形成されている。なお、湯受け部壁面30a、湯受け面35およびランナー部36とで、湯受け部30が規定されており、例えばこれらが湯受け部構成部材である。
図3、5に示すように、本実施形態では、空洞部17に、複雑な成形体23を製造するための内型であり、空洞部17の外周面17aに当接するように配される外型25と、外型25の内部に配される中子26と、をさらに備えている。なお、この例では、外型25および中子26がキャビティ部を規定するキャビティ部構成部材となっているが、外型25および中子26は設けずに、空洞部17の形状を製造する成形体の形状に合わせて加工してキャビティ部として構成してもよい。この外型25と中子26とを組み合わせると、成形体23の形状に対応したキャビティ部27が形成される。なお、外型25は、型ホルダ31と同様、上下方向に二分割できるように構成されている。また、外型25および中子26は型ホルダ31から着脱可能になっており、別の形状のキャビティ部が形成された外型および中子を配することにより別の形状の成形体を製造することができる。なお、溶湯は鋳型15の熱容量でのみ冷却される構成であるため、キャビティ部27の肉厚(すなわち成形体23の厚み)に対して溶湯に触れる領域の鋳型15の壁の厚みを十分に厚くしておくことが有用で、例えば10倍以上の厚みが好適である。なお、外型25および中子26も鋳造型15の一部であり、材質も同様なものを使用するのが適当である。
ここで、鋳型15における湯受け面35の下方には、回転軸部19の内部と連通するように軸方向に沿って穴部37が形成されている。回転軸部19には穴部37と連通する穴部38が同じく軸方向に沿って形成されている。そして、穴部37,38内には、ヒーター21が配されている(図1参照)。
ヒーター21は、棒状に形成された電熱ヒーターであり、ヒーター21の先端面21aは湯受け面35の裏面35aに当接されている。また、ヒーター21の後端面21bからは電源線39が延設されており、ヒーター接点40に接続されている。
図6に示すように、回転軸部19は、一端が筐体11内で鋳型15に接続されており、他端が筐体11の外部に突出してプーリ軸43に接続されている。プーリ軸43には周方向に沿って3本の溝部44が形成されており、その内の一つにモータ45のベルト46が取り付けられている。つまり、モータ45が駆動することでベルト46を介してプーリ軸43(回転軸部19)が回転駆動するようになっている。また、残りの二つの溝部は、ヒーター接点40として構成されており、ヒーター電流制御部47から供給される電流をヒーター21に導くことができるようになっている。このヒーター電流制御部47には2本の電極48,48が取り付けられており、ヒーター接点40に対して電流を供給できるようになっている。また、2本の電極48,48は電極移動部49に接続されており、電極移動部49が移動することにより、2本の電極48,48はヒーター接点40に対して当接離間できるように構成されている。つまり、回転軸部19が回転駆動する前にヒーター電流制御部47の電極48をヒーター接点40に接続してヒーター21を加熱し、ヒーター21の加熱が完了したら電極48をヒーター接点40から離間して、回転軸部19を回転駆動するようになっている。
図1に戻り、放射温度計22は筐体11内に配されている。この放射温度計22は、金属材料41の溶湯供給前に溶湯導入口33の直上に位置して湯受け面35の温度を測定できるようになっており、湯受け面35が所定温度まで加熱された後に成形体23の鋳造工程に支障のない位置まで退避できるようになっている。本実施形態では、放射温度計22は、筐体11内で水平方向に移動可能に構成されている。
次に、遠心鋳造装置10を制御する制御部の構成について図7を用いて説明する。
図7に示すように、遠心鋳造装置10には、各種制御を行う制御部50が備えられている。まず、制御部50にはCPU51が備えられており、各種制御を総合的にコントロールしている。制御部50には誘導加熱コイル42に高周波電流を供給可能な高周波回路52が設けられ、金属材料41を好適に溶融させることができるようになっている。また、制御部50には放射温度計22で検出した温度を入力するための温度計測値入力部53が設けられている。また、制御部50にはヒーター21へ供給する電流を制御するヒーター電流制御部47が設けられている。さらに、制御部50には湯受け面35の目標設定温度を決定する温度設定部54が設けられている。
つまり、温度設定部54で決定された目標設定温度に湯受け面35の温度が加熱されているか否かを放射温度計22で測定し、目標設定温度に達していない場合には、ヒーター電流制御部47からヒーター21に電流を付加して湯受け面35を加熱するように構成されている。そして、湯受け面35の温度が目標設定温度に達したら、ヒーター21の加熱を終了し、高周波回路52から誘導加熱コイル42に高周波電流を供給するとともに、モータ45を駆動させて回転軸部19を回転開始することで、成形体23の鋳造工程を開始するように構成されている。
次に、温度設定部54で湯受け面35の設定温度(目標設定温度)を決定する方法について説明する。
図8に示すように、温度設定部54に金属材料41の材料名を直接入力することができる金属材料名入力部55を設け、入力された金属材料41の材料名から設定温度を設定温度演算部56で決定できるようにすることができる。また、使用する金属材料41の結晶化温度Tx、ガラス転移温度Tg、融点Tmの全てあるいは一部を温度選択部57に入力することにより設定温度演算部56において設定温度を決定できるようにしてもよい。なお、温度設定部54には設定温度テーブル58が記憶されており、金属材料41の材料名およびその材料に対応した結晶化温度Tx、ガラス転移温度Tg、融点Tmについてテーブル化されており、それらに対応した設定温度が予めテーブル化されている。
図9は、温度設定部54に情報を提供するための入力画面60の一例である。図9に示すように、金属材料選択部61では使用する金属材料41を選択できるようになっており、ここで選択した情報が金属材料名入力部55へ伝達されるようになっている。また、設定温度入力部62では、使用する金属材料41の結晶化温度Tx、ガラス転移温度Tg、融点Tmの全てあるいは一部を入力できるようになっており、ここで入力した情報が温度選択部57へ伝達されるようになっている。
次に、上述した遠心鋳造装置10を用いて成形体23を製造する方法について図10のフローチャートを用いて説明する。
まず、ステップS1では、筐体11内の回転軸部19の先端に鋳型15を設置する。このとき、材料チャック部13に金属材料41を配置しておく。
ステップS2では、筐体11を密閉状態にするとともに、筐体11内を減圧する。
ステップS3では、筐体11内にアルゴンガスを注入し、筐体11内をアルゴンガス雰囲気にする。
ステップS4では、回転軸部19の端部に設けられたプーリ軸43に形成されたヒーター接点40にヒーター電流制御部47の電極48,48を当接し、ヒーター21に対して電流を印加してヒーター21を加熱する。
ステップS5では、ヒーター21の通電状態を継続してヒーター21を加熱し、湯受け面35の温度を上昇させる。
ステップS6では、放射温度計22にて湯受け面35の温度を検出し、湯受け面35の温度が設定温度(例えば、600℃)以上になればステップS7へ進み、設定温度未満であればステップS5へ戻り、ヒーター21の通電状態を継続する。このとき、放射温度計22は湯受け面35の直上に配置されている。
ステップS7では、湯受け面35が設定温度まで加熱されたため、ヒーター21への通電を停止する。このとき、ヒーター電流制御部47の電極48,48をヒーター接点40から離間させる。また、放射温度計22も湯受け面35の直上から鋳造工程に影響のない位置まで退避させる。
ステップS8では、モータ45を駆動させて回転軸部19の回転を開始する。回転軸部19を回転させることにより、鋳型15も同時に回転する。なお、回転軸部19がプーリ軸と非接触であるときには、回転軸部19の回転をステップS4の後から開始してもよい。これにより、ステップS7とステップS9の間の時間が短縮される。
ステップS9では、高周波回路52から高周波電流を誘導コイル42に供給して、金属材料41を誘導加熱する。金属材料41は誘導加熱されることにより溶融し、金属材料41の溶湯が生成される。なお、金属材料41の溶湯の温度は、約1600℃に加熱されている。
ステップS10では、溶湯状態になった金属材料41が滴下して鋳型15内に供給され、成形体23が鋳造されるが、滴下する金属材料41の量が所定の量に達した際に、誘導コイル42への高周波電流の供給を停止する。なお、この高周波電流の停止のタイミングは高周波電流の供給時間により管理されている。
ここで、金属材料41の溶湯が鋳型15に供給された際、湯受け面35が加熱された状態であるため、溶湯の温度が急速に冷却されるのを抑制することができる。つまり、溶湯がキャビティ部27内に充填される前に冷却・固化されるのを防ぐことができ、キャビティ部27に確実に充填することができる。また、鋳型15の湯受け面35のみがヒーター21により加熱されているため、キャビティ部27近傍は温度が上昇していないため、キャビティ部27に充填された溶湯は急速に冷却されて固化されることとなる。
ステップS11では、所定量の金属材料41の溶湯が鋳型15に供給され、キャビティ部27内で所望の成形体23を製造するのに必要な時間が経過したときに回転軸部19の回転駆動を停止する。
ステップS12では、鋳型15の回転が停止した後、鋳造型15の型ホルダ31を二分割して、外型25および中子26を空洞部17から取り出し、外型25を二分割して成形体23を取り出すことで、所望の鋳造品(成形体23)を得ることができる。
本実施形態によれば、鋳型15の湯受け面35を加熱するためのヒーター21を設けたため、金属材料41の溶湯が加熱された湯受け面35に供給された後、遠心力によってキャビティ部27の方向へ移動する際に、溶湯がキャビティ部27に充填される前に冷却されるのを防ぐことができる。したがって、金属材料41の溶湯が早期に冷却・固化するのを抑制することができるため、キャビティ部27に溶湯を確実に充填することができる。結果として、形状精度に優れた成形体23を製造することができる。
また、ヒーター21により鋳型15の湯受け面35を加熱するため、キャビティ部27には加熱の影響が少なく、キャビティ部27近傍の温度上昇を抑制することができる。したがって、溶湯がキャビティ部27に充填された後に、溶湯を急冷することができるため、短時間で成形体23を製造することができる。
また、遠心鋳造装置10に、湯受け部30の温度を計測する放射温度計22と、湯受け面35の目標設定温度を決定する温度設定部54と、を備え、放射温度計22の計測値が温度設定部54により得られる設定温度に近づくように、ヒーター21の加熱出力を制御する制御部50を設けたため、溶湯の温度を好適に制御することができる。したがって、金属材料41ごとに最適な温度を設定することができ、キャビティ部27への充填性を保ちつつ、冷却速度が速い成形体23を製造することができる。
また、温度設定部54に入力する条件を、金属材料41の名称や金属材料41の結晶化温度、ガラス転移温度、融点にすることにより、金属材料41ごとに設定温度を決めることができる。したがって、金属材料41の溶湯を最適な温度に保持することができ、充填性を保ちつつ、冷却速度が速い成形体23を製造することができる。また、湯受け面35の温度を同じ条件に保つことができるため、品質が安定した成形体23を製造することができる。
また、湯受け面35を加熱する手段として、ヒーター21を回転軸部19の内部に配置するとともに、ヒーター21が湯受け面35に当接するように配置したため、湯受け面35を効率良く加熱することができる。また、ヒーター21に供給する電流を調整することで、湯受け面35の温度を容易に調整することができる。したがって、金属材料41の溶湯が早期に冷却・固化するのを抑制することができるため、キャビティ部27に溶湯を確実に充填することができる。結果として、形状精度に優れた成形体23を製造することができる。
本実施形態では、湯受け面35を加熱することによって、キャビティ部に入るまでの金属材料41の溶湯温度を上げ、早期に冷却・固化するのを抑制しているが、同じ作用を生む代替的な手法も考えられる。例えば、ゲート部36や湯受け部壁面30aを加熱する手法であってもよい。
さらに、ヒーター21に対してヒーター接点40を設け、ヒーター電流制御部47をヒーター接点40に断続可能に配置し、湯受け面35の温度計測値が設定温度に到達した後、ヒーター電流制御部47をヒーター接点40から離間させてから回転軸部19の回転を開始するように構成したため、湯受け面35が設定温度に到達した状態で金属材料41の溶湯が供給され、金属材料41の溶湯が早期に冷却・固化するのを抑制することができる。したがって、キャビティ部27に溶湯を確実に充填することができる。結果として、形状精度に優れた成形体23を製造することができる。
また、本実施形態の別の態様として、ランナー部36が断熱部材で構成されていてもよい。ランナー部36は、断熱部材として、例えばアルミナ、ジルコニア、フッ素金雲母、窒化ケイ素などを採用することができる。
このような断熱材をランナー部36に配することにより、溶湯がランナー部36を通過する際、熱交換が発生しにくいため、溶湯温度の低下が抑制され、キャビティ部27へ溶湯をより確実に充填することができる。さらに、ランナー部36によって、ヒーター21により加熱された湯受け面35の熱が外型25および中子26に伝熱されないため、それらの温度が上昇しない。したがって、溶湯がキャビティ部27に充填されたときに溶湯を急冷することができるため、短時間で成形体23を製造することができる。ここで、湯受け面以外の湯受け部構成部材において、断熱効果を生じる部材が配置されていれば同様な作用効果が生じる。例えば、湯受け面35などの湯受け部を構成する他の構成部材が同様な断熱部材で構成されていてもよい。仮に、湯受け面35を断熱部材とすると、ステップS4からステップS6の間で湯受け面35自体が加熱されても温度上昇が生じずステップS7に進めなくなるが、この態様の場合そういった問題が生じない。
また、本実施形態の別の態様として、図11に示すように、湯受け面35および穴部37の周縁に断熱材63を設けてもよい。断熱材63としては、例えば、アルミナ、ジルコニア、フッ素金雲母、窒化ケイ素などを採用することができる。このような断熱材63を配することにより、ヒーター21により加熱された湯受け面35の熱が外型25および中子26に伝熱されないため、それらの温度が上昇しない。したがって、溶湯がキャビティ部27に充填されたときに溶湯を急冷することができるため、短時間で成形体23を製造することができる。
また、本実施形態のさらに別の態様として、金属材料41として金属ガラス(例えば、Zr55Cu30Al10Ni)を採用することができる。このとき、湯受け面35の設定温度は450℃に設定し、溶湯の温度は1000℃±20℃に加熱された状態で鋳型15に供給される。このように構成することにより、金属ガラス(非晶質合金材料)の溶湯は湯受け面35で固化されることがなく、キャビティ部27に確実に充填することができる。また、キャビティ部27は加熱されていないため、金属ガラスの溶湯は急速に冷却され、結晶化が避けられる。したがって、形状が安定した、結晶含有率の低い非晶質合金の成形体を製造することができる。なお、金属ガラス(Zr55Cu30Al10Ni)の結晶化温度Txは494℃、ガラス転移温度Tgは410℃である。また、型ホルダ31(鋳型15)の材質としては、無酸素銅(C1020)、伸銅(C1100,C1220,C5191,C5212)、ステンレス(SUS303,SUS304,SUS316)、アルミニウム合金(A2017,A4032,A5052,A5056)、特殊鋼(SS400,S25C,S45C,SKD61)などを用いることができる。
次に、上述した遠心鋳造装置10(図1〜図3の構成の遠心鋳造装置)を用いて、非晶質合金材料の溶湯の充填度や結晶化度を測定した結果を説明する。
非晶質合金材料としては、Zr60Cu20Al10Ni10の金属ガラス材料を用いた。キャビティ部27内への溶湯の充填率は、キャビティ部27の体積および溶湯の材料の比重から求められる理想重量と、成形体23の実際の重量を比較して求めたものである。この充填率については、95%以上の場合は合格(○)とした。また、結晶化度は、蛍光X線装置(XRD)を用い、成形体23の表面の数箇所を任意に設定してその箇所の結晶状態を示すピークが存在するか否かを評価した。結晶化度については、XRD測定結果でピークが存在しない場合は合格(○)とした。充填率と結晶化度がともに合格(○)であるものを成形品質が合格(○)であるとした。なお、鋳造型15の回転数は、鋳造する材料となる非晶質合金や金属の種類、鋳造型の形状によって異なるが、通常1000〜5000rpmの範囲とすることが好ましい。なお、本実施例では3000rpmとした。また、Zr60Cu20Al10Ni10の結晶化温度Txは481℃、ガラス転移温度Tgは389℃である。
Figure 2010149173
表1の事例1および事例2に示すように、材料供給温度(溶湯温度)を1000℃±20℃に設定し、湯受け面35の温度を400℃または450℃に設定した場合には、充填率および結晶化度ともに問題なく、形状精度に優れた金属ガラスの成形体23を製造することができることが確認された。一方、比較例1〜3において、湯受け面35の温度を事例1,2とは異なる温度に設定して成形体を鋳造した場合には、湯受け面35の温度が低すぎる(比較例1,2)と、キャビティ部27に充填される前に冷却・固化されるために充填率が悪化することが確認された。また、湯受け面35の温度が高すぎる(比較例3)と、鋳型15全体の温度が上昇するためにキャビティ部27に充填された溶湯が固化するのに時間がかかり、結晶化度の結果が悪化することが確認された。したがって、湯受け面35を好適な温度に加熱することにより、高品質な成形体23が得られることが確認された。
(第二実施形態)
次に、本発明の遠心鋳造装置の第二実施形態を図12〜図14に基づいて説明する。なお、本実施形態は第一実施形態と湯受け面の加熱手段が異なるのみであり、その他の構成は第一実施形態と略同一であるため、同一箇所には同一符号を付して詳細な説明は省略する。また、本実施形態では、空洞部17内にキャビティ外型25およびキャビティ中子26は設けずに、空洞部17の形状が製造する成形体の形状に合わせて加工され、そこに形成された空洞部をキャビティ部17として構成されている(以下の、実施形態において同様。)
図12に示すように、遠心鋳造装置110は、筐体11と、筐体11内の上部に配された材料チャック部13と、キャビティ部17で金属材料141の成形体を製造可能な鋳型15と、鋳型15を所定の回転数で回転可能に構成された回転軸部19と、回転軸部19の内部に配されたガス供給パイプ121と、湯受け部30の温度を測定するための放射温度計22と、を備えている。なお、本実施形態では、金属材料141としてZr55Cu30Al10Ni2.5Ti2.5を採用する場合で説明する。
ここで、鋳型15における湯受け面35の下方には、回転軸部19の内部と連通するように軸方向に沿って穴部37が形成されている。回転軸部19には穴部37と連通する穴部38が同じく軸方向に沿って形成されている。そして、穴部37,38内には、ガス供給パイプ121が配されている。
ガス供給パイプ121は、軸線に沿うように配されたパイプ状の部材であり、ガス供給パイプ121の先端面121aから湯受け面35の裏面35aに向かって加熱ガスを噴射可能に構成されている。
次に、遠心鋳造装置110を制御する制御部の構成について図13を用いて説明する。
図13に示すように、遠心鋳造装置110には、各種制御を行う制御部150が備えられている。まず、制御部150にはCPU151が備えられており、各種制御を総合的にコントロールしている。制御部150には誘導加熱コイル42に高周波電流を供給可能な高周波回路52が設けられ、金属材料141を好適に溶融させることができるようになっている。また、制御部150には放射温度計22で検出した温度を入力するための温度計測値入力部53が設けられている。また、制御部150にはガス供給パイプ121へ供給するガス量を制御する加熱ガス供給部147が設けられている。さらに、制御部150には湯受け面35の目標設定温度を決定する温度設定部54が設けられている。
つまり、温度設定部54で決定された目標設定温度に湯受け面35の温度が加熱されているか否かを放射温度計22で測定し、目標設定温度に達していない場合には、加熱ガス供給部147の支持によりガス供給パイプ121から噴射する加熱ガス量を制御して湯受け面35を加熱するように構成されている。そして、湯受け面35の温度が目標設定温度に達したら、高周波回路52から誘導加熱コイル42に高周波電流を供給することで成形における鋳造工程を開始するように構成されている。
次に、上述した遠心鋳造装置110を用いて成形体を製造する方法について図14のフローチャートを用いて説明する。
まず、ステップS101では、筐体11内の回転軸部19の先端に鋳型15を設置する。このとき、材料チャック部13に金属材料141を配置しておく。
ステップS102では、筐体11を密閉状態にするとともに、筐体11内を減圧する。
ステップS103では、筐体11内にアルゴンガスを注入し、筐体11内をアルゴンガス雰囲気にする。
ステップS104では、回転軸部19の内部に設けられたガス供給パイプ121から加熱ガスを湯受け面35の裏面35aに向かって噴射する。
ステップS105では、湯受け面35に加熱ガスを噴射しながら、モータ45を駆動させて回転軸部19の回転を開始する。回転軸部19を回転させることにより、鋳型15も同時に回転する。
ステップS106では、ガス供給パイプ121からの加熱ガスの供給を継続して、湯受け面35の温度を上昇させる。
ステップS107では、放射温度計22にて湯受け部30(鋳型15)の温度を検出し、湯受け面35の温度が設定温度(例えば、400℃)以上になればステップS108へ進み、設定温度未満であればステップS106へ戻り、加熱ガスの噴射を継続する。このとき、放射温度計22は湯受け部30の直上に配置されている。なお、湯受け面35の温度が設定温度以上になった場合には、放射温度計22を湯受け部30の直上から鋳造工程に影響のない位置まで退避させる。
ステップS108では、高周波回路52から高周波電流を誘導コイル42に供給して、金属材料141を誘導加熱する。金属材料141は誘導加熱されることにより溶融し、金属材料141の溶湯が生成される。なお、金属材料141の溶湯の温度は、1000℃±20℃に加熱されている。
ステップS109では、溶湯状態になった金属材料141が滴下して鋳型15内に供給され、成形体が鋳造されるが、滴下する金属材料141の量が所定の量に達した際に、誘導コイル42への高周波電流の供給を停止する。なお、この高周波電流の停止のタイミングは高周波電流の供給時間により管理されている。
ここで、金属材料141の溶湯が鋳型15に供給された際、湯受け面35が加熱された状態であるため、溶湯の温度が急速に冷却されるのを抑制することができる。つまり、溶湯がキャビティ部17内に充填される前に冷却・固化されるのを防ぐことができ、キャビティ部17に確実に充填することができる。また、鋳型15の湯受け面35のみがガス供給パイプ121から噴射される加熱ガスにより加熱されているため、キャビティ部17近傍は温度が上昇していないため、キャビティ部17に充填された溶湯は急速に冷却されて固化されることとなる。
ステップS110では、所定量の金属材料141の溶湯が鋳型15に供給され、キャビティ部17内で所望の成形体を製造するのに必要な時間が経過したときに回転軸部19の回転駆動を停止する。
ステップS111では、金属材料141の鋳造が完了したため、ガス供給パイプ121からの加熱ガスの供給を停止する。
ステップS112では、鋳型15の回転が停止した後、鋳造型15の型ホルダ31を二分割して、キャビティ部17から成形体を取り出すことで、所望の鋳造品(成形体)を得ることができる。
本実施形態によれば、鋳型15の湯受け面35を加熱するためのガス供給パイプ121を回転軸部19の内部に設けたため、ガス供給パイプ121から加熱ガスを湯受け面35に向かって噴射することにより湯受け面35を加熱することができる。したがって、金属材料141の溶湯が早期に冷却・固化するのを抑制することができるため、キャビティ部17に溶湯を確実に充填することができる。結果として、形状精度に優れた成形体を製造することができる。また、回転軸部19と非接触の状態でガス供給パイプ121を設けることにより、ガス供給パイプ121は回転させる必要がないため、装置構成を簡略化することができる。
また、ガス供給パイプ121を回転軸部19と非接触の状態で配置することにより、回転の影響を受けずに加熱ガスを供給することができる。したがって、鋳型15を回転して成形体を製造する際に、湯受け面35への熱供給が可能となり、金属材料141の溶湯の充填性をより高めることができる。また、回転軸部19とガス供給パイプ121との間に接続装置が必要無いため、装置構成を簡略化することができる。
(第三実施形態)
次に、本発明の遠心鋳造装置の第三実施形態を図15〜図17に基づいて説明する。なお、本実施形態は第一実施形態と湯受け面の加熱手段が異なるのみであり、その他の構成は第一実施形態と略同一であるため、同一箇所には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図15に示すように、遠心鋳造装置210は、筐体11と、筐体11内の上部に配された材料チャック部13と、キャビティ部17で金属材料241の成形体を製造可能な鋳型15と、鋳型15を所定の回転数で回転可能に構成された回転軸部19と、回転軸部19の外周面に沿うように配された誘導加熱コイル221と、回転軸部19の内部に配され、誘導加熱コイル221により加熱される加熱棒222と、湯受け部30の温度を測定するための放射温度計22と、を備えている。なお、本実施形態では、金属材料241としてZr55Cu30Al10Niを採用する場合で説明する。
ここで、鋳型15における湯受け面35の下方には、回転軸部19の内部と連通するように軸方向に沿って穴部37が形成されている。回転軸部19には穴部37と連通する穴部38が同じく軸方向に沿って形成されている。そして、穴部37,38内には、加熱棒222が配されている。また、加熱棒222の先端面222aは湯受け面35の裏面35aに当接されている。この加熱棒222は、例えばSUS304で形成された円柱状の部材である。また、回転軸部19は、例えばアルミナにより形成されている。
誘導加熱コイル221は、回転軸部19の外周面に沿うように、かつ、加熱棒222が配されている位置に対応するように配置されている。このとき、誘導加熱コイル221から発せられる磁場(磁束)の密度が高い位置に加熱棒222を配置すると、効率よく加熱棒222を加熱することができるため好ましい。
次に、遠心鋳造装置210を制御する制御部の構成について図16を用いて説明する。
図16に示すように、遠心鋳造装置210には、各種制御を行う制御部250が備えられている。まず、制御部250にはCPU251が備えられており、各種制御を総合的にコントロールしている。制御部250には誘導加熱コイル42に高周波電流を供給可能な高周波回路52が設けられ、金属材料241を好適に溶融させることができるようになっている。また、制御部250には放射温度計22で検出した温度を入力するための温度計測値入力部53が設けられている。また、制御部250には誘導加熱コイル221に高周波電流を供給可能な湯受け面誘導加熱コイル制御部247が設けられている。さらに、制御部250には湯受け面35の目標設定温度を決定する温度設定部54が設けられている。
つまり、温度設定部54で決定された目標設定温度に湯受け面35の温度が加熱されているか否かを放射温度計22で測定し、目標設定温度に達していない場合には、湯受け面誘導加熱コイル制御部247の指示により誘導加熱コイル221に供給される高周波電流を制御して加熱棒222を加熱することにより、湯受け面35を加熱するように構成されている。そして、湯受け面35の温度が目標設定温度に達したら、高周波回路52から誘導加熱コイル42に高周波電流を供給することで成形体の鋳造工程を開始するように構成されている。
次に、上述した遠心鋳造装置210を用いて成形体を製造する方法について図17のフローチャートを用いて説明する。
まず、ステップS201では、筐体11内の回転軸部19の先端に鋳型15を設置する。このとき、材料チャック部13に金属材料241を配置しておく。
ステップS202では、筐体11を密閉状態にするとともに、筐体11内を減圧する。
ステップS203では、筐体11内にアルゴンガスを注入し、筐体11内をアルゴンガス雰囲気にする。
ステップS204では、回転軸部19の外周面に沿うように設けられた誘導加熱コイル221に高周波電流を印加して、回転軸部19の内部に配された加熱棒222を加熱する。なお、誘導加熱コイル221に高周波電流を流すと磁場(磁束)が発生し、その磁束の影響により加熱棒222が加熱される。
ステップS205では、加熱棒222を加熱しながら、モータ45を駆動させて回転軸部19の回転を開始する。回転軸部19を回転させることにより、鋳型15も同時に回転する。
ステップS206では、誘導加熱コイル221に高周波電流を印加して加熱棒222の加熱を継続して、湯受け面35の温度を上昇させる。
ステップS207では、放射温度計22にて湯受け部30(鋳型15)の温度を検出し、湯受け面35の温度が設定温度(例えば、450℃)以上になればステップS208へ進み、設定温度未満であればステップS206へ戻り、誘導加熱コイル221による湯受け面35の加熱を継続する。このとき、放射温度計22は湯受け部30の直上に配置されている。なお、湯受け面35の温度が設定温度以上になった場合には、放射温度計22を湯受け部30の直上から鋳造工程に影響のない位置まで退避させる。
ステップS208では、高周波回路52から高周波電流を誘導コイル42に供給して、金属材料241を誘導加熱する。金属材料241は誘導加熱されることにより溶融し、金属材料241の溶湯が生成される。なお、金属材料241の溶湯の温度は、1000℃±20℃に加熱されている。
ステップS209では、溶湯状態になった金属材料241が滴下して鋳型15内に供給され、成形体が鋳造されるが、滴下する金属材料241の量が所定の量に達した際に、誘導コイル42への高周波電流の供給を停止する。なお、この高周波電流の停止のタイミングは高周波電流の供給時間により管理されている。
ここで、金属材料241の溶湯が鋳型15に供給された際、湯受け面35が加熱された状態であるため、溶湯の温度が急速に冷却されるのを抑制することができる。つまり、溶湯がキャビティ部17内に充填される前に冷却・固化されるのを防ぐことができ、キャビティ部17に確実に充填することができる。また、鋳型15の湯受け面35のみが加熱棒222により加熱されているため、キャビティ部17近傍は温度が上昇していないため、キャビティ部17に充填された溶湯は急速に冷却されて固化されることとなる。
ステップS210では、所定量の金属材料241の溶湯が鋳型15に供給され、キャビティ部17内で所望の成形体を製造するのに必要な時間が経過したときに回転軸部19の回転駆動を停止する。
ステップS211では、金属材料241の鋳造が完了したため、誘導加熱コイル221への高周波電流の供給を停止する。
ステップS212では、鋳型15の回転が停止した後、鋳造型15の型ホルダ31を二分割して、キャビティ部17から成形体を取り出すことで、所望の鋳造品(成形体)を得ることができる。
本実施形態によれば、鋳型15の湯受け面35を加熱するための誘導加熱コイル221および加熱棒222を設けたため、誘導加熱コイル221に高周波電流を流すことにより磁束が発生し、その磁束により加熱棒222が誘導加熱される。また、加熱棒222を湯受け面35(裏面35a)に当接させたため、加熱棒222が加熱されることにより湯受け面35も加熱される。したがって、金属材料241の溶湯が湯受け部30を通過する際に、溶湯の温度低下を抑制することができる。したがって、金属材料241の溶湯が早期に冷却・固化するのを抑制することができるため、キャビティ部17に溶湯を確実に充填することができる。結果として、形状精度に優れた成形体を製造することができる。また、誘導加熱コイル221を用いて加熱することにより、短時間で湯受け面35に大きな熱量を与え、湯受け面35の温度を一気に上昇させることができるため、成形時間を短縮することができる。
なお、誘導加熱コイル221は、回転軸部19の外周面に沿うように配置したが、設置スペースがあれば回転軸部19の内周面に沿うように配し、その内側に加熱棒222を配置する構成にしてもよい。
(第四実施形態)
次に、本発明の遠心鋳造装置の第四実施形態を図18に基づいて説明する。なお、本実施形態は第一実施形態と湯受け面の加熱手段が異なるのみであり、その他の構成は第一実施形態と略同一であるため、同一箇所には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図18に示すように、遠心鋳造装置310は、筐体11と、筐体11内の上部に配された材料チャック部13と、キャビティ部17で金属材料241の成形体を製造可能な鋳型15と、鋳型15を所定の回転数で回転可能に構成された回転軸部19と、鋳型15および回転軸部19の外周面に沿うように配された誘導加熱コイル321と、湯受け部30の温度を測定するための放射温度計22と、を備えている。なお、本実施形態では、金属材料241としてZr55Cu30Al10Niを採用する場合で説明する。
ここで、鋳型15は、非導電性の材質であって比透磁率の低い材質、例えばAlN(窒化アルミ)で形成されているが、湯受け面35だけはSUS304で形成されている。
誘導加熱コイル321は、鋳型15および回転軸部19の外周面に沿うように、かつ、湯受け面35が配されている位置に対応するように配置されている。このとき、誘導加熱コイル321から発せられる磁場(磁束)の密度が高い位置に湯受け面35を配置すると、効率よく湯受け面35を加熱することができるため好ましい。
このように構成することにより、第三実施形態と略同一のフローチャートに基づいて成形体を製造することができる。上述した第三実施形態とは、誘導加熱コイル321により加熱する対象が湯受け面35になることが差異であり、その他の手順は同様である。
本実施形態によれば、鋳型15の湯受け面35を加熱するための誘導加熱コイル321を設けるとともに、湯受け面35を導電性部材を含む構成にしたため、湯受け面35の近傍に備えられた誘導加熱用コイル321により、湯受け面35が直接誘導加熱される。したがって、金属材料241の溶湯が湯受け部30を通過する際に、溶湯の温度低下を抑制することができる。したがって、金属材料241の溶湯が早期に冷却・固化するのを抑制することができるため、キャビティ部17に溶湯を確実に充填することができる。結果として、形状精度に優れた成形体を製造することができる。また、誘導加熱用コイル321を用いて湯受け面35を直接加熱することにより、高精度な温度制御を行うことができる。
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。すなわち、実施形態で挙げた具体的な材料や構成等は一例にすぎず、適宜変更が可能である。
例えば、本実施形態ではキャビティ部に成形体を鋳造するためのキャビティ外型およびキャビティ中子を別途配置したが、鋳型の形状を製造する成形体の形状に加工してもよい。
本発明の第一実施形態における遠心鋳造装置の概略構成図である。 本発明の第一実施形態における鋳型の平面図である。 図2のA−A線に沿う断面図である。 本発明の実施形態における成形体の斜視図である。 本発明の実施形態におけるキャビティ部の構成部材を示す斜視図である。 本発明の第一実施形態における遠心鋳造装置の斜視図である。 本発明の第一実施形態における制御部の構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態における温度設定部の構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態における温度設定部の入力画面を示す説明図である。 本発明の第一実施形態における成形体の鋳造方法を示すフローチャートである。 本発明の第一実施形態における鋳型の別の態様を示す断面図(図3に相当)である。 本発明の第二実施形態における遠心鋳造装置の概略構成図である。 本発明の第二実施形態における制御部の構成を示すブロック図である。 本発明の第二実施形態における成形体の鋳造方法を示すフローチャートである。 本発明の第三実施形態における遠心鋳造装置の概略構成図である。 本発明の第三実施形態における制御部の構成を示すブロック図である。 本発明の第三実施形態における成形体の鋳造方法を示すフローチャートである。 本発明の第四実施形態における遠心鋳造装置の概略構成図である。
符号の説明
10,110,210,310…遠心鋳造装置 13…材料チャック部(溶湯供給手段) 15…鋳型 17,27…キャビティ部 19…回転軸部(回転手段) 21…ヒーター(加熱手段、電熱手段) 22…放射温度計(温度計測手段) 25…外型(キャビティ部構成部材) 26…中子(キャビティ部構成部材) 31…型ホルダ 35…湯受け面 40…ヒーター接点(電気接点) 41,141,241…金属材料(金属) 47…ヒーター電流制御部(電気供給手段) 54…温度設定部(成形条件入力手段) 63…断熱材 121…ガス供給パイプ(加熱手段、加熱ガス供給部) 221…誘導加熱コイル(加熱手段、誘導コイル) 222…加熱棒(熱伝導手段) 321…誘導加熱コイル(加熱手段、誘導加熱用コイル)

Claims (23)

  1. 金属を鋳造する遠心鋳造装置において、
    溶融された金属材料が供給される湯受け面を含む湯受け部構成部材と、
    該湯受け部構成部材によって構成される湯受け部に連通されたキャビティ部が形成された鋳型と、
    該鋳型を回転させる回転手段と、
    前記金属材料の溶湯を前記湯受け部に導く溶湯供給手段と、
    前記湯受け面近傍に配置され、前記湯受け面を加熱する加熱手段と、を有することを特徴とする遠心鋳造装置。
  2. 前記湯受け面以外の前記湯受け部構成部材が前記鋳型から断熱される断熱部材を含むことを特徴とする請求項1に記載の遠心鋳造装置。
  3. 前記キャビティ部を構成するキャビティ部構成部材と、前記加熱手段または前記湯受け部構成部材との間に断熱部材が配されていることを特徴とする請求項1または2に記載の遠心鋳造装置。
  4. 前記金属材料が、非晶質合金材料であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の遠心鋳造装置。
  5. 前記湯受け面の温度を計測する温度計測手段と、
    予め成形条件を入力しておく成形条件入力手段と、をさらに備え、
    前記温度計測手段の計測値が前記成形条件入力手段によって得られる温度設定値に近づくように、前記加熱手段の加熱出力を制御する制御装置を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の遠心鋳造装置。
  6. 前記成形条件入力手段に入力する前記成形条件が任意の温度であって、
    前記温度設定値が前記成形条件入力手段に入力された前記温度であることを特徴とする請求項5に記載の遠心鋳造装置。
  7. 前記成形条件入力手段に入力する前記成形条件が予め前記成形条件入力手段に記憶されている金属材質の名称およびその名称に関連した結晶化温度、ガラス転移温度、融点のいずれか一つ以上の温度情報を選択するものであって、
    該温度情報の一つを選択することによって、前記温度設定値を定めることを特徴とする請求項5に記載の遠心鋳造装置。
  8. 前記加熱手段が前記回転手段と非接触であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の遠心鋳造装置。
  9. 前記加熱手段が電熱によって加熱する電熱手段であって、
    該電熱手段が前記湯受け面と接するとともに、前記回転手段の内部に設けられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の遠心鋳造装置。
  10. 前記電熱手段に対して、断続可能な電気接点により電気を供給する電気供給手段と、
    前記湯受け面の温度を計測する温度計測手段と、を備え、
    該温度計測手段の計測値が所定の温度に到達した後、前記電気供給手段の電気接点を前記回転手段と非接触にし、前記回転手段の回転を開始可能に構成されていることを特徴とする請求項9に記載の遠心鋳造装置。
  11. 前記加熱手段が加熱されたガスを供給可能に構成され、前記回転手段の内部に備えられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の遠心鋳造装置。
  12. 前記加熱手段が前記回転手段の近傍に備えられた誘導コイルであって、
    前記湯受け面に接し、前記誘導コイルによって加熱される導電性の熱伝導手段が備えられていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の遠心鋳造装置。
  13. 前記加熱手段が前記湯受け部の近傍に備えられた誘導加熱用コイルであって、
    前記湯受け面が導電性部材を含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の遠心鋳造装置。
  14. 遠心鋳造により金属を成形する遠心鋳造方法であって、
    キャビティ部が内部に形成された鋳型の回転中心付近に設けられた金属材料の溶湯が流し込まれる湯受け面を加熱する加熱工程と、
    前記鋳型を回転させるとともに、該鋳型のキャビティ部に前記金属材料の溶湯を供給する溶湯供給工程と、を有することを特徴とする遠心鋳造方法。
  15. 前記湯受け面を含む湯受け部構成部材によって湯受け部が構成され、
    前記湯受け面以外の、前記湯受け部構成部材が前記鋳型から断熱されていることを特徴とする請求項14に記載の遠心鋳造方法。
  16. 前記キャビティ部を構成するキャビティ部構成部材が、前記湯受け面を加熱する加熱手段または前記湯受け部構成部材から断熱されていることを特徴とする請求項14または15に記載の遠心鋳造方法。
  17. 前記金属材料が、非晶質合金材料であることを特徴とする請求項14〜16のいずれかに記載の遠心鋳造方法。
  18. 前記加熱工程により加熱された前記湯受け面の温度を検出する温度検出工程と、
    前記湯受け部の設定温度を決定するための成形条件を入力する成形条件入力工程と、をさらに有し、
    前記加熱工程は、前記温度検出工程により検出された前記温度が前記設定温度に近づけるように、前記湯受け部を加熱制御することを特徴とする請求項14〜17のいずれかに記載の遠心鋳造方法。
  19. 前記加熱工程は、前記鋳型を回転させる回転手段の内部に設けられ、前記湯受け面に接するように配された電熱手段により前記湯受け部を加熱することを特徴とする請求項14〜18のいずれかに記載の遠心鋳造方法。
  20. 前記電熱手段に対して断続可能な電気接点により電気を供給し、前記湯受け面を加熱する工程と、
    前記温度計測工程により検出した前記温度が所定の温度以上となったときに、前記電気接点を前記電熱手段から離間し、前記湯受け面の加熱を停止する工程と、
    前記湯受け面の加熱を停止した後に、前記鋳型の回転を開始する工程と、をさらに有することを特徴とする請求項19に記載の遠心鋳造方法。
  21. 前記加熱工程は、前記鋳型を回転させる回転手段の内部に設けられた加熱ガス供給部により前記湯受け面を加熱することを特徴とする請求項14〜18のいずれかに記載の遠心鋳造方法。
  22. 前記加熱工程は、前記鋳型を回転させる回転手段の内部または外部に備えられた誘導コイルにより、導電性の部材からなり前記湯受け面と接して設けられた熱伝導部を加熱する工程であることを特徴とする請求項14〜18のいずれかに記載の遠心鋳造方法。
  23. 前記加熱工程は、前記湯受け部の近傍に設けられた誘導加熱用コイルにより、導電性部材を含む前記湯受け面を加熱する工程であることを特徴とする請求項14〜18のいずれかに記載の遠心鋳造方法。
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