JP2021090978A - ダイキャスト装置及びダイキャスト製品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
特にダイキャスティングは、ヒートシンクなどの小物製品からエンジンブロックなどの大物製品までを生産できる手法として、工業的に利用されている。
そのため、アルミ塊を溶解する大きな加熱炉を保有し、溶湯アルミをランナー等の比較的長い流路を介してキャビティ―内に搬送し、割り型を圧力で締め、金型キャビティ―内に溶湯アルミを鋳込み、保持し、金型を冷却する過程が不可欠となる。
すなわち、(1) 溶解用の加熱炉、(2) 型締力負荷機構、(3) 均一鋳込み・冷却時の引け防止等をはかる余剰部位増大・歩留まり低下、(4) 金型の多重流路による強制冷却、が必須の要素となる。
また、ダイキャスティングの場合、多数個取りの型構造とすることで、1個の製品あたりのタクト時間短縮および歩留まり改善をはかる努力がなされているが、軽薄短小アルミ部品における薄肉精度の確保、溶湯アルミ流れの高品位制御は、きわめて困難となる。
(1) アルミ金属・アルミ合金素材等の材料金属を保持する耐熱ノズルを、誘導加熱用コイルで直接加熱することで、溶解用加熱炉が不要となる。また、溶湯を高圧で金型内に射出するための機構も不要となる。
(2) 型締力負荷機構による型締めが不可欠な従来の割り型を用いず、耐熱ノズルと一体化した金型への直接鋳込みにより、型締め力を最小化あるいはゼロ化することができる。
(3) 耐熱ノズルから金型空間への直接鋳込みにより、1個あるいは多数個の製品をキャスティングするため、ゲート部以外の余剰部位は発生しない。
(4) 型加熱・保持温度も低く抑制できるため、型冷却はより少ない流路(例えば単一流路)で対応可能となる。
耐熱ノズル10内には、ペレット状の材料金属(アルミ金属・アルミ合金素材等)14が充填されている(図2(a)参照)。
図中の符号18は、誘導加熱用コイル12の通電によって発生した磁界を表している。
すなわち、誘導加熱用コイル12に高周波電流(例えば400KHz)を加えると、図2(b)及び(c)に示すように、耐熱ノズル10内において材料金属14が直に溶融する。
例えば図3に示すように、加熱開始から1分程度で耐熱ノズル10内の温度が28.4℃から755.1℃まで急上昇する。
このグラフによれば、30秒程度でアルミ溶解温度である650℃に到達することが読み取れる。
図4は、耐熱ノズル10のノズル口16から溶湯アルミが自由噴出する様子を高速度カメラにて撮影したものであり、10mmピッチ(一目盛10mm)での到達時間(上段の数字)と速度(下段の数字)を示している。
図4(b)に示す通り、落下当初から目標値である100mm/sを大幅にクリアする高速にて射出されていることが確認できる。
第1の鋳込み金型26と第2の鋳込み金型28は、ボルト等の型締手段(図示省略)によって固定されている。
各蓋状部材38は、第1の導入管42と、第2の導入管44が形成されている。
この第1の導入管42から耐熱ノズル22の胴部36内に、アルミニウム等のペレット状の材料金属46が導入される。
漏斗状部材40は、径大な上部開口部48と、径小な管状部50と、下に向かって径が窄まる傾斜面52を備えている。管状部50の下端開口53が、ノズル口として機能する。
この際、各耐熱ノズル22の第2の導入管44から圧縮空気を供給し、溶融した材料金属46を加圧する。
アルミ金属・アルミ合金部品は、その高い電気的・熱的特性に加え、高い比強度も重要な因子であり、電気部品では銅端子などの代替として、熱伝達部品ではヒートシンクとして、高比強度部品では、携帯電話外装品として用いられている。
それらの生産時のエネルギーコスト・タクト時間・余剰素材量などを大幅に低減することで、アルミ金属・アルミ合金の利用範囲を拡大する。
特に、軽薄短小部品では、形状寸法精度低下の原因となるバリを発生せず、2mm以下の薄板構造のダイキャスティングが可能となる。
コアプレート62とキャビプレート64は、ボルト等の型締手段(図示省略)によって固定されている。
この際、各耐熱ノズル22の第2の導入管44から圧縮空気を供給し、溶融した材料金属46を加圧する。
その後、材料金属46が冷却・固化した時点で、キャビプレート64をコアプレート62から分離し、製品72を取り出す。
図9(c)は、X線CT(Computed Tomography )による第1の試験片内部の状態を示す画像であり、空洞や亀裂などの不具合が一切発生していないことが確認できる。
前記の通り、型締め力ゼロの状態で鋳込んだため、僅かなバリが発生しているが、この程度であれば簡単に除去可能であり、材料損失も最小限で済む。
図10(b)は、X線CTによる第2の試験片内部の状態を示す画像であり、空洞や亀裂などの不具合は生じていない。
図11(c)は、X線CTによる第3の試験片内部の状態を示す画像であり、空洞や亀裂などの不具合は生じていない。
図12(b)は、X線CTによる第4の試験片内部の状態を示す画像であり、空洞や亀裂などの不具合は生じていない。
12 誘導加熱用コイル
14 材料金属
16 ノズル口
18 磁界
20 第1のダイキャスト装置
22 耐熱ノズル
24 誘導加熱用コイル
26 第1の鋳込み金型
28 第2の鋳込み金型
34 金型空間
36 胴部
38 蓋状部材
40 漏斗状部材
42 第1の導入管
44 第2の導入管
46 材料金属
50 管状部
53 下端開口
54 導入口
56 製品
57 金属製外装ケース
58 余剰部位
60 第2のダイキャスト装置
62 コアプレート
64 キャビプレート
66 製品形状プレート
68 金型空間
70 導入口
72 製品
Claims (4)
- 第1の鋳込み金型と、
第2の鋳込み金型と、
前記第1の鋳込み金型と前記第2の鋳込み金型を重ね合わせることによって形成される金型空間と、
前記第1の鋳込み金型または前記第2の鋳込み金型に形成された、前記金型空間に連通する導入口と、
材料金属を収納する耐熱ノズルと、
前記導入口に連通接続される前記耐熱ノズルの開口部と、
前記耐熱ノズルを囲繞し、通電によって前記材料金属を加熱・溶融させる誘導加熱用コイルと、
を備えたダイキャスト装置。 - 前記第1の鋳込み金型が、平板状のコアプレートよりなり、
前記第2の鋳込み金型が、平板状のキャビプレートよりなり、
これらコアプレート及びキャビプレート間に挟持される平板状の製品形状プレートを備え、
前記製品形状プレートは、製品の形状に対応した貫通孔を有しており、この貫通孔によって前記金型空間が形成されることを特徴とする請求項1に記載のダイキャスト装置。 - 前記耐熱ノズル、前記誘導加熱用コイル及び前記導入口が複数設けられており、
各導入口に前記耐熱ノズルの開口部がそれぞれ連通接続されていることを特徴とする請求項1または2に記載のダイキャスト装置。 - 第1の鋳込み金型及び第2の鋳込み金型を重ね合わせることによって、両者間に金型空間を形成する工程と、
前記第1の鋳込み金型及び前記第2の鋳込み金型の少なくとも一方に形成された、前記金型空間に連通する導入口に、耐熱ノズルの先端開口部を連通接続する工程と、
前記耐熱ノズルの内部に材料金属を導入する工程と、
前記耐熱ノズルの周囲に誘導加熱用コイルを配置する工程と、
前記誘導加熱コイルに電流を流して、前記材料金属を加熱・溶融させる工程と、
溶融した材料金属を前記導入口から金型空間に充填する工程と、
材料金属の冷却・固化後に前記第1の鋳込み金型及び第2の鋳込み金型を分離し、製品を取り出す工程と、
を備えたことを特徴とするダイキャスト製品の製造方法。
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