JP2014134642A - マイクロミラーデバイス及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】小型で、共振周波数が低く、かつミラーが並進運動しにくいマイクロミラーデバイスを歩留まりよく提供する。
【解決手段】反射面(12B)を有するミラー部(12)を特定の回転軸を中心に回転可能に支持する支持可動部(14,16)と、支持可動部(14,16)に連結され、圧電体の変形によって屈曲変位を行う圧電アクチュエータ部(20,22)と、圧電アクチュエータ部(20,22)を屈曲変位可能に支持する固定フレーム部(26)と、を備える。支持可動部(14,16)は金属ガラス材料で構成される。金属ガラスは過冷却液体領域の温度に加熱処理することで残留応力を開放することができる。シリコンよりもヤング率の低い金属ガラス材料が好ましい。応力開放リフローによる圧電性能の劣化を回避するために、Nbを6〜20%ドープしたPZT膜を用いることが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明はマイクロミラーデバイス及びその製造方法に係り、特に、光走査などに用いる光偏向器に好適なマイクロミラーデバイスの構造及びその製造技術に関する。
シリコン(Si)の微細加工技術を用いて作製されたマイクロスキャナ(以下、「MEMS(Micro Electro Mechanical System)スキャナ」という。)は、従来の光走査モジュールであるポリゴンミラーなどと比べて小型かつ低消費電力であることが特徴である(特許文献1)。このためMEMSスキャナは、レーザープロジェクタから光干渉断層計(OCT;Optical Coherence Tomography)のような光診断用スキャナなど、幅広い応用が期待されている。
特に、OCTなどの光による測定を行いながらスキャンする用途では、50Hzから100Hz程度の比較的低速でのスキャンに適したものであること、並びに、内視鏡の内部での使用を想定した小型サイズ(例えば、デバイス全体で3mm四方以内が望ましい)であることの両特性を満たすことが要求される。
特開2011−180249号公報 特開2007−290124号公報
MEMSスキャナで大きなスキャン角度を得るためには、共振駆動をするのが一般的である。このため、OCT用など低速用途のMEMSスキャナで大きなスキャン角を実現するためには、デバイス構造の共振周波数を低くする必要がある。デバイスの共振周波数を低くするには、傾き運動するミラーを支える変形部(ヒンジ部)のバネ定数を下げる必要があるため、ヒンジ部が非常に脆弱にならざるを得ない。
一例として、MEMSスキャナのヒンジ部として一般的なトーションバーを用いた構造における駆動振動モード(「第1モード」という。)の動きを図10に示す。
同図において、符号412はミラー部、符号414と416はミラー部を支持するヒンジ部(トーションバー)である。この場合、トーションバーのねじり剛性で共振周波数が決定する。図11はヒンジ部414(及び416)の拡大図である。ヒンジ部の長さl、幅w、厚みtとすると、ヒンジ部が十分薄い場合、ねじりのバネ定数kは、次式(式1)で表される。
Figure 2014134642
(式1)中の「G」はヒンジ部を構成しているシリコンの剛性率である。(式1)に示したとおり、トーションバーの厚みtを減少させることで効果的に共振周波数を下げることができる。なお、長さlを増加させることでも共振周波数を下げることができるが、長さlを増加させると、[1]素子の大型化を招くこと、[2]ミラーが垂直方向に並進運動しやすくなること、の2点からあまり好ましくない。
以下に[2]の並進運動の問題について説明する。
図12はミラーの垂直方向の並進運動モード(「第2モード」という。)の動きを示す図である。並進運動モード(第2モード)の共振周波数が低いと、外乱振動などによってミラー部412が垂直方向(図12の上下方向)に動きやすくなる。このような垂直方向の並進運動は実用時に光路長の誤差などをもたらすために望ましくない。したがって、ミラーの回転駆動に必要な第1モードの共振周波数を低く抑えつつ、第2モードの共振周波数をできるだけ高くするのが望ましい。図12に示した第2モードのバネ定数kは、次式(式2)で表される。
Figure 2014134642
(式2)中の「E」はヒンジ部のヤング率である。
式1、式2から、2つのモードの共振周波数の比は、次のように表される。
Figure 2014134642
つまり、ヒンジ部の長さlをより短くし、厚みtをより薄くすれば、第1モードの周波数fr1を設計値に固定しながらモード2の共振周波数frを上げることができ、第1モードのみが安定的に励起されるMEMSスキャナが設計できる。
式1によると、例えば、1mm(ミリメートル)四方、厚み300μm(マイクロメートル)のミラー部412の中心を2本のトーションバーで支える場合、トーションバーの寸法例としては厚みt=3μm(マイクロメートル)、幅w=5μm(マイクロメートル)、長さl=100μm(マイクロメートル)となる。
しかしながら、従来のMEMSスキャナの構造主材料として用いられてきたシリコン(Si)は脆性材料であるため、上記のような寸法の脆い構造は作成できない。具体的には、厚みtが5μm(マイクロメートル)um未満のトーションバー構造はSiでは作成が極端に難しい。また、作成できたとしても、持ち運び時に振動や衝撃などによって破壊されてしまい、実用に耐える共振スキャナは実現できない。
特許文献2では、ミラー部を支持するヒンジ(弾性力のある接続部材)としてアモルファスアルミニウム合金膜を用いている。アモルファスアルミニウム合金膜を用いることにより、ヒンジ部の剛性を高めることができるが、アモルファス金属膜の残留応力によって初期の撓みが発生するという問題がある。このような撓みがあると、ミラーの初期位置が設計位置からずれてしまい、光学系においてはその位置のシフト量が大きな問題になる場合がある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、上記課題の少なくとも一つを解決し、小型で共振周波数が低く、かつミラーが並進運動しにくいマイクロミラーデバイスを歩留まりよく提供することができるマイクロミラーデバイスの構造及びその製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、次の発明を提供する。
(第1態様):第1態様に係るマイクロミラーデバイスは、光を反射する反射面を有するミラー部と、ミラー部を特定の回転軸を中心に回転可能に支持する支持可動部と、支持可動部に連結され、圧電体の変形によって屈曲変位を行う圧電アクチュエータ部と、圧電アクチュエータ部の一端が接続され、圧電アクチュエータ部を屈曲変位可能に支持する固定フレーム部と、を備え、支持可動部は金属ガラス材料で構成されており、圧電アクチュエータ部に電圧を印加して屈曲変位させることによって支持可動部を変形させ、ミラー部を回転させる。
この態様によれば、破壊強度が強い金属ガラスを支持可動部の材料として用いたことで、バネ定数(第1モード)の低い支持可動部(長さが短く、厚さが極めて薄い支持可動部)を実現できる。これにより、低い共振周波数で安定駆動するミラーデバイスを実現することができ、共振駆動によって大きな変位量(ミラー部の傾き角)を得ることができる。また、この態様は、圧電体の変形を利用した駆動方式であるため、例えば、磁力を利用して駆動する方式と比較して、コイル(電磁石)等の外付け部品が不要であり、素子全体のサイズを小型化することができる。
さらに、この態様は、圧電駆動を行うため、磁性材料を用いる必要がなく、適用可能な金属ガラス材料の選択の自由度が高い。金属ガラスは、金属ガラス以外のアモルファス金属と比較して、薄膜の製造が容易である。また、金属ガラスは、ガラス転移温度Tg以上結晶化温度Tx以下の温度範囲(過冷却液体領域)の温度で加熱処理を行うことにより、残留応力を開放できるため、かかる処理(応力開放リフロー)を行うことにより、残留応力による撓みを解消することが可能である。
なお、ここでいう「回転」は、支持可動部が可動(変形)できる範囲で規制された角度範囲で回転(回動)することを意味しており、必ずしも360度回転(1回転)することを要求するものではない。
(第2態様):第1態様に記載のマイクロミラーデバイスにおいて、支持可動部を構成する金属ガラス材料は、シリコンよりもヤング率が小さい材料とすることが好ましい。
一般的なMEMSデバイスの主材料であるシリコンよりもヤング率が小さい金属ガラス材料を用いることにより、低周波の共振駆動(例えば、50〜100Hz程度)に好適なデバイスを歩留まりよく作製することができる。
(第3態様):第1態様又は第2態様に記載のマイクロミラーデバイスにおいて、支持可動部を構成する金属ガラス材料は、Zrを含む材料とすることができる。
Zr基金属ガラスは過冷却液体領域における安定性が高いため、比較的容易に作製でき、応力開放リフローも容易である。さらに、Zr基金属ガラスは、ヤング率、ガラス転移温度Tgの観点からも好ましい材料である。
(第4態様):第3態様に記載のマイクロミラーデバイスにおいて、支持可動部を構成する金属ガラス材料は、Zr-Cu-Al-Ni系の材料とすることができる。
(第5態様):第1態様から第4態様のいずれか1項に記載のマイクロミラーデバイスにおいて、支持可動部を構成する金属ガラス材料は、ガラス転移温度Tgが150℃以上の材料であることが好ましい。
使用する金属ガラスのガラス転移温度Tgが高ければ、デバイス駆動中の発熱によってリフローが起こりにくいため、駆動の耐久性が高まる。
(第6態様):第5態様に記載のマイクロミラーデバイスにおいて、支持可動部を構成する金属ガラス材料は、ガラス転移温度Tgが300℃以上の材料であることが好ましい。
(第7態様):第1態様から第6態様のいずれか1項に記載のマイクロミラーデバイスにおいて、支持可動部を構成する金属ガラス材料は、気相成膜によって成膜された薄膜とすることができる。
金属ガラスの薄膜を基板に直接成膜し、半導体プロセスによってパターニングすることでデバイスの作製プロセスを簡便化できる。気相成膜法には、物理的気相法(PVD:Physical VaporDeposition)と化学的気相法(CVD:Chemical Vapor Deposition)がある。気相成膜法を用いることで、極薄な構造を作製可能である。
(第8態様):第1態様から第7態様のいずれか1項に記載のマイクロミラーデバイスにおいて、ミラー部が回転軸を中心に回転運動を行う共振モードの共振周波数の付近でミラー部を共振駆動させる構成とすることができる。
共振を利用した駆動を行うことにより、非常に大きなミラー回転角を得ることができる。共振周波数の「付近」とは、共振を励起するという目的の作用が得られる範囲内であることを意味する。圧電アクチュエータ部に対して、共振周波数の付近でミラー部を共振駆動させる駆動電圧を供給する駆動電圧供給回路を備える構成とすることができる。
(第9態様):第1態様から第8態様のいずれか1項に記載のマイクロミラーデバイスにおいて、圧電アクチュエータ部は、振動板、下部電極、圧電体、上部電極の順に積層された圧電ユニモルフカンチレバーで構成されるものとすることができる。
圧電カンチレバーは、ユニモルフ構造に限らず、バイモルフ構造も可能であるが、ユニモルフ構造が最も簡単な構成である。圧電駆動方式は、電極間に電圧を印加するだけで駆動できるため、構成が単純で小型化に有益である。
(第10態様):第1態様から第9態様のいずれか1項に記載のマイクロミラーデバイスにおいて、圧電アクチュエータ部に用いられる圧電体は1〜10μm厚の薄膜であり、振動板となる基板上に直接成膜された薄膜とすることができる。
圧電体薄膜を用いて圧電アクチュエータを構成することが好ましい。スパッタリング法に代表される気相成長法やゾルゲル法などの直接成膜法を用いることにより、所要の圧電性能を持つ圧電体薄膜を得ることができる。
また、基板に圧電体の薄膜を直接成膜し、ドライエッチング若しくはウエットエッチングなどの半導体プロセスで加工することで、デバイスの作製プロセスを簡便にできる。
(第11態様):第1態様から第10態様のいずれか1項に記載のマイクロミラーデバイスにおいて、圧電体は、スパッタリング法で成膜された薄膜であるものとすることができる。
(第12態様):第1態様から第11態様のいずれか1項に記載のマイクロミラーデバイスにおいて、圧電アクチュエータ部に用いられる圧電体は、下記式(P)で表される1種又は2種以上のペロブスカイト型酸化物とすることができる。
一般式ABO・・・(P)
(式中、A:Aサイトの元素であり、Pbを含む少なくとも1種の元素。
B:Bサイトの元素であり、Ti,Zr,V,Nb,Ta,Sb,Cr,Mo,W,Mn,Mg,Sc,Co,Cu,In,Sn,Ga,Zn,Cd,Fe,及びNiからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素。
O:酸素元素。
Aサイト元素とBサイト元素と酸素元素のモル比は1:1:3が標準であるが、これらのモル比はペロブスカイト構造を取り得る範囲内で基準モル比からずれてもよい。)
圧電アクチュエータ部に用いる圧電材料をPb含有系にすることで高い駆動変位をデバイスに与えることができる。
(第13態様):第1態様から第11態様のいずれか1項に記載のマイクロミラーデバイスにおいて、圧電アクチュエータ部に用いられる圧電体は、下記式(PX)で表される1種又は2種以上のペロブスカイト型酸化物とすることができる。
一般式A(Zr,Ti,Mb−x−y・・・(PX)
(式中、A:Aサイトの元素であり、Pbを含む少なくとも1種の元素。
Mが、Mg, V, Nb,Ta,及びSbからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素である。
0<x<b、0<y<b、0≦b−x−y。
a:b:c=1:1:3が標準であるが、これらのモル比はペロブスカイト構造を取り得る範囲内で基準モル比からずれてもよい。)
Nb等の元素をドープしたPZTは圧電定数が高いため、小型で大きな変位が得られるデバイスの作製に好適である。
(第14態様):第13態様に記載のマイクロミラーデバイスにおいて、ペロブスカイト型酸化物(PX)は、Nbを含むと共に、Nb/(Zr+Ti+Nb)モル比が0.06以上0.20以下であることが好ましい。
Nb/(Zr+Ti+Nb)モル比が0.06以上0.20以下の範囲でPZTにNbをドープすることによって、加熱しても容易には脱分極しなくなる。これにより、応力開放リフローを行っても、圧電変形の性能が劣化しにくい。また、NbドープPZTは、真性PZTと比べて圧電定数が高いため、小型かつ大変位のデバイスが作製できる。
(第15態様):第1態様から第14態様のいずれか1項に記載のマイクロミラーデバイスを製造する方法であって、基板上に下部電極を形成する下部電極形成工程と、基板上の下部電極の上に圧電体膜を積層して形成する圧電体膜形成工程と、基板上の圧電体膜の上に上部電極を積層して形成する上部電極形成工程と、基板上に金属ガラス膜を形成する金属ガラス膜形成工程と、金属ガラス膜形成工程の後に、金属ガラス膜の結晶化温度Txとガラス転移温度Tgとの間の過冷却液体領域の温度で加熱処理し、金属ガラス膜の残留応力を開放する応力開放リフロー工程と、基板の一部を除去する加工を行う加工工程と、を含むマイクロミラーデバイスの製造方法。
金属ガラス膜を形成後、ガラス転移温度Tg以上結晶化温度Tx以下の温度で加熱処理を行うことによって残留応力が開放され、支持可動部の撓み(残留応力に起因する初期の歪み)が解消される。これにより、設計通りのデバイス寸法に仕上げることができる。
なお、積層構造に関してAの上にBを積層するというときの「上」とは、基板の厚み方向について、基板面から遠ざかる方向が「上」の方向であることを意味する。また、用語の解釈に際し、「Aの上にBを積層する」という表現は、Aに接してBをA上に直接積層する場合に限らず、AとBの間に他の1又は複数の層を介在させ、Aの上に1又は複数の層を介してBを積層する場合も有りうる。
本発明によれば、小型で、共振周波数が低く、共振駆動による安定駆動が可能で、かつミラー部が並進運動しにくいマイクロミラーデバイスを実現することができる。金属ガラスは、シリコンに比べて破壊強度が強く、歩留まりのよいデバイス製造が可能であるとともに、耐久性に優れたマイクロミラーデバイスが得られる。
また、金属ガラスは、ガラス転移温度以上結晶化温度以下の温度による加熱処理によって残留応力を開放することができ、残留応力に起因する支持可動部の歪みを取り去ることができる。
実施形態に係るMEMSスキャナデバイスの斜視図 実施形態に係るMEMSスキャナデバイスの平面図 図1の3−3切断線に沿った断面図 実施例1で作製したMEMSスキャナデバイスの各デザイン(サンプル番号1〜4)の共振周波数を示した図表 圧電アクチュエータ部に駆動電圧を供給する駆動回路の構成例を示した説明図 金属ガラス材料の例を示す図表 実施例2の製造方法を示すフローチャート Nbの添加量と応力開放リフロー後の変位変化率との関係を調べた実験結果をまとめた図表 比較例として作製を試みたMEMSスキャナデバイスの斜視図 トーションバーを用いたMEMSスキャナデバイスの構造における駆動振動モード(第1モード)の動きを示す説明図 図10のトーションバー部分の拡大図 トーションバーを用いたMEMSスキャナデバイスの構造における並進運動モード(第2モード)の動きを示す説明図
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施形態について詳説する。
図1は実施形態に係るMEMSスキャナデバイスの斜視図、図2は平面図、図3は図1の3−3切断線による断面図である。これらの図面に示したように、本実施形態に係るMEMSスキャナデバイス10(「マイクロミラーデバイス」に相当)は、ミラー部12と、ミラー部12を回動可能に支持する支持可動部14、16と、支持可動部14、16に連結された圧電アクチュエータ部20、22と、圧電アクチュエータ部20、22の一端(基端部)が接続されている固定フレーム部26と、を備える。
ミラー部12は光を反射する反射面12Bを有する。ミラー部12の反射面12B(図1においてミラー部12の上面)には、入射光の反射率を高めるための金属薄膜コーティング(ミラーコーティング)が施されている。ミラーコーティングに用いる材料や膜厚は特に限定されず、公知のミラー材料(高反射率材料)を用いて様々な設計が可能である。なお、本実施形態では、ミラーコーティングとして支持可動部14、16を構成する金属ガラス材料と同一材料の金属ガラス薄膜が形成されている。もちろん、反射面12Bには、金属ガラス薄膜に代えて、Au(金)やAl(アルミ)等の金属薄膜を用いることも可能である。
本例では平面視で正方形のミラー部12を例示し、非駆動時における反射面12Bの法線方向をz軸方向、ミラー部12の互いに直交する2辺の方向のうち一方をx軸方向、他方をy軸方向とする直交xyz軸を導入して説明する(図1及び図2のxyz軸の記載を参照)。
ただし、本発明の実施に際して、ミラー部12の形状は図示の例に限定されない。矩形以外の多角形、円形、楕円形など様々な形態があり得る。なお、ここでいう「矩形」とは厳密な意味での四角形に限らず、全体的な基本形状として概ね矩形と把握できる形状である(略矩形を含む)ことを意味する。例えば、四角形の角部が面取りされたもの、角部が丸められたもの、辺の一部又は全部が曲線や折れ線で構成されるもの、ミラー部12と圧電アクチュエータ部20、22との接続部分(符号14,16で示す支持可動部)に連結上必要な付加的形状が追加されたものなども含まれる。多角形、円形、楕円形などの用語についても同様に、それぞれ概ね多角形、概ね円形、概ね楕円形と把握できる形状を含むことを意味する。
また、ミラー部12の平面視形状と反射面12Bの形状は一致してもいいし、異なっていてもよい。反射面12Bの領域は、ミラー部12における上面の面積範囲内で適宜の形状、サイズに形成することができる。
ミラー部12には、1組の対辺の両側面部(z軸方向と平行な対辺の各辺部)にそれぞれ角柱棒状の支持可動部14、16が連結されている。ミラー部12は、一対の支持可動部14、16を介して圧電アクチュエータ部20、22に連結されている。
すなわち、支持可動部14の一端はミラー部12における1組の対辺のうち、第1の辺部(図2の符号31)の一部に連結され、支持可動部14の他方の端部は圧電アクチュエータ部20の先端部(非拘束端側の端部)に連結されている。圧電アクチュエータ部20の他方の端部(拘束端側の端部となる基端部20B)は固定フレーム部26に連結されている。
同様に、支持可動部16の一端は、ミラー部12における1組の対辺のうち、第2の辺部(図2の符号32)の一部に連結され、支持可動部16の他方の端部は圧電アクチュエータ部22の先端部(非拘束側の端部)に連結されている。圧電アクチュエータ部22の他方の端部(拘束側の端部となる基端部22B)は固定フレーム部26に連結されている。固定フレーム部26は、圧電アクチュエータ部20、22の基端部20B、22Bを固定支持する固定端(固定部)として機能する。
ミラー部12を対辺の両側面部から支持する支持可動部14、16は、トーションバー(ねじりヒンジ部)として機能する。一対の支持可動部14、16を結んだ軸線がミラー部12の回転軸40となり、ミラー部12はこの回転軸40の回りに傾斜回転する。本例の場合、回転軸40はy軸と平行な方向の軸線である。
支持可動部14、16は、金属ガラス薄膜によって構成されている。なお、本例の支持可動部14、16は、ミラー部12の反射面12Bとして機能する金属ガラス薄膜と一体的に繋がっている構成となっているが、反射面12Bと支持可動部14、16とは分離された構成であってもよい。支持可動部14,16を構成する金属ガラス薄膜の膜厚は4μm以下、好ましくは3μm以下、さらに好ましくは1μm以上2μm以下とする。
<金属ガラスについて>
金属ガラスはガラス転移点(「ガラス転移温度」と同義)を持つ非晶質の金属である。金属ガラスは、従来の多結晶合金に比べて格段に優れた機械的特性・耐食性を示し、組成によっては電磁特性などの機能を発現させることもできる。特に金属ガラスは、弾性特性に優れており、例えば、2%にも及ぶ弾性歪限界を呈する。金属ガラスは、結晶化温度Txとガラス転移温度Tgの間(Tg<Tx)の過冷却液体温度領域において、酸化物ガラスと同様に温度に比例して粘性が低下するため、この温度範囲においては樹脂と同様な成形性で容易に変形させることができる。
また、金属ガラスは、スパッタリング法に代表される気相成長法などの成膜法によって基板上に金属ガラス薄膜を直接形成することができ、この場合はリフトオフ法などのフォトリソグラフィ技術によってパターニングを行うことができる。金属ガラスは、他のアモルファス金属よりもランダム構造の安定性が高く、成膜時の温度管理などが容易であり、薄膜の製造が容易である。
<低共振周波数MEMSスキャナに関する問題>
図10から図12で説明したとおり、従来MEMSスキャナの構造主材料として用いられてきたシリコン(Si)は脆性材料であり、小型で実用に耐える共振スキャナは実現できていなかった。このような問題を解決する一つの手段として、トーションバー部を構成する材料として、シリコンよりも破壊強度の強い材料を用いる方法を検討した。
非特許文献1(J. Lee et al., ‘Development of the micro-mirror withlarge scaning angle using FE-based metallic glass thin film’ Solid-State Sensors, Actuators and Microsystems Conference (TRANSDUCERS) 16th International, (2011) pp. 2912 -2915.)では、トーションバーの材料として磁性金属ガラス薄膜を用い、磁力によってミラーを回転駆動させるMEMSスキャナが提案されている。
しかしながら、非特許文献1に記載の構造では、磁性金属ガラスは軟磁性であるため、駆動のためには金属ガラスを磁化させるための外付け永久磁石に加え、駆動用の外付けコイルを配置して磁力によってミラーを回転駆動する必要があり、素子が大型になってしまうという欠点がある。さらに、磁性金属ガラスであるFe基金属ガラスはヤング率が200GPa(ギガパスカル)程度と高く、低周波で駆動するMEMSスキャナには適当な材料ではない。
低周波の駆動安定性、耐久性の観点から、シリコンのヤング率(概ね130GPa程度)と同等、好ましくは、シリコンのヤング率よりも小さい金属ガラス材料を用いることが望ましい。本実施形態では、金属ガラスの中でも降伏応力が高いZr系金属ガラスを用いている。Zr系金属ガラスのヤング率は90〜100GPa程度である。ただし、Zr系金属ガラスに限らず、この他にも様々な物性を持つ金属ガラス組成が存在しており、必要なMEMSスキャナの特性に合わせて材料を選定することができる。
<圧電アクチュエータ部>
次に、圧電アクチュエータ部20、22の構造について説明する。本例のMEMSスキャナデバイス10は、ミラー部12をy方向の両側から挟むように一対の圧電アクチュエータ部20、22が配置される。圧電アクチュエータ部20、22は、長手方向がx軸の方向に向いたカンチレバー(片持ち梁)構造のアクチュエータであり(図3参照)、圧電体の変形によって屈曲変位を行う。圧電アクチュエータ部20、22は、x軸方向の一方の端部が固定フレーム部26に固定支持され、反対側の端部は、カンチレバー構造によって変位できる非拘束端となっている。
図3では圧電アクチュエータ部20の構造を図示したが、もう一方の圧電アクチュエータ部22の構造も同様である。図3に示したように、本例の圧電アクチュエータ部20、22は、圧電ユニモルフカンチレバー構造からなる。圧電アクチュエータ部20、22は、振動板42として機能するシリコン(Si)の平板棒状の支持基板に下部電極44、圧電体46、上部電極48が積層して形成された積層構造を有している。このような積層構造体は、シリコン(Si)の基板50上に、下部電極44、圧電体46、上部電極48の各層を順次に成膜することによって得られる。なお、下部電極44、上部電極48の各電極層は、それぞれ複数種類の導電性材料を組み合わせて(例えば、複数の材料による積層構造により)構成することができる。
図3に示す各層の膜厚やそれらの比率、長さ寸法等は、説明の都合上、適宜変更して描いており、必ずしも実際の膜厚や比率等を反映したものではない。また、本明細書では、積層構造を表現するにあたり、基板50の表面から基板厚み方向に離れる方向を「上」として表現する。図3では基板50の厚み方向を重力方向と一致させて基板50を水平に保持した状態で基板50の厚み方向の上面に、下部電極44等の各層(44〜48)が順次重ねられている構成となっているため、重力の方向(図3の下方)を下方向としたときの上下の関係と一致している。
ただし、基板50の姿勢を傾けたり、反転させたりすることも可能である。基板50の姿勢に依存する積層構造の積み重ね方向が必ずしも重力の方向を基準とする上下方向と一致しない場合についても、積層構造の上下関係を混乱なく表現するために、基板50の面を基準にして、その面から厚み方向に離れる方向を「上」と表現する。例えば、図3の上下を反転させた場合であっても、基板50上に下部電極44が形成され、その上に圧電体46が積層されるという表現で記述される。
圧電体46を挟む上下の電極(44,48)間に駆動電圧が印加されることで圧電体46が変形し、この変形に伴い、振動板42が撓んで、カンチレバーが図3の上下方向に動く。なお、本発明の実施に際して、ユニモルフカンチレバー以外の構造を用いても良い。例えば、電極を挟んで圧電体を2層積層したバイモルフカンチレバーを用いても良い。
<実施例1>
実施例1に係るMEMSデバイスの製造方法を説明する。実施例1として以下の手順によりMEMSスキャナデバイス10(図1から図3参照)を作製した。
(工程1):まず、厚み300μmのSi基板の上に、スパッタ法で基板温度350℃にてTi層を30nm、Irの下部電極を150nm形成した(下部電極形成工程)。Si基板に近い側からTi層(30nm)、その上にIr層(150nm)を重ねて成る2層構造の導電性薄膜積層体が全体として下部電極44として機能する。Siの基板は、単結晶のバルクシリコン基板(Siウエハ)を用いてもよいし、SOI(Silicon OnInsulator)基板を用いてもよい。
なお、本明細書において、膜の積層構造を表現するにあたり、下層から上層に向かって、A材料層、B材料層、C材料層の順に積層されている構成を「A/B/C」という表記によって表す。つまり、「/」の前に記載された材料が下層を構成し、「/」の後ろに記載された材料が上層を構成するものとして表記する。Si基板に積層形成される下部電極は、「Ti/Ir」と表される。
(工程2):工程1によって下部電極(Ti/Ir)を形成して得られた基板上に、高周波(Rf;radio frequency)スパッタ装置を用いてPZT層(図3の圧電体46に相当)を2μm成膜した。成膜ガスは97.5%Arと2.5%Oの混合ガスを用い、ターゲット材料としてはPb1.3((Zr0.52 Ti0.48)0.88 Nb0.12)O3の組成のものを用いた。成膜圧力は2.2mTorr(約0.293Pa)、成膜温度は450℃とした。得られたPZT層は、Nbが原子組成比で12%添加されたNbドープPZT薄膜である。
(工程3):工程2でPZT層を形成した後、この上にリフトオフ法によってTiとAuの積層構造からなる上部電極(Ti/Au)をパターン形成した(上部電極形成工程)。
(工程4):その後、ICP(inductively coupled plasma;誘導結合プラズマ)ドライエッチングによってPZT薄膜をパターンエッチした(圧電体膜のパターン加工工程)。
(工程5):その後、Zr系金属ガラス(本例では、Zr55Cu30Al10Ni5)をスパッタリング法にて室温で2um成膜した(金属ガラス膜形成工程)。Zr基金属ガラスは、過冷却液体状態の安定性が高いため、作成しやすいという利点がある。Zr基金属ガラスの他に、設計に応じてNi基、Fe基、Co基、Ti基、Au基、Pt基、Ag基、Pd基、Cu基、Al基などの金属ガラスを用いても良い。金属ガラス薄膜のパターニングはリフトオフ法で行った。
以上のプロセスによって、厚み2μm、幅12μm、長さ350μmの金属ガラス支持可動部(トーションバー)を形成した。
(工程6):その後、シリコンのドライエッチプロセスによってシリコン基板の一部を除去する加工を行い(加工工程)、図1〜図3に示した構成の圧電MEMSスキャナデバイスを作成した。このシリコン加工プロセスによって、支持可動部(14、16)の裏面側のシリコン層が完全に除去され、金属ガラス材料の自立膜による支持可動部(14、16)が形成される。また、ミラー部12や圧電アクチュエータ部20、22、固定フレーム部26について、それぞれ所望の厚みと寸法形状に加工される。シリコン加工プロセスは、ドライエッチングに限らず、ウエットエッチングでもよい。
実施例1によって得られたデバイス全体のサイズは平面視で縦2.8mm×横2.4mmである。圧電アクチュエータ部20、22の駆動により支持可動部14、16がねじれることによって回転軸40を中心とするミラー部12の傾き運動を誘起する。
なお、図2中のdで示した距離と、ミラー部12の厚みt(図3参照)を変化させることでMEMSスキャナデバイス10の共振周波数を調整することができる。図2中のdは、y軸と平行で、かつミラー部12の中心を通る中心線54から支持可動部14、16までのx軸方向の距離を示している。
<作製したデバイスのサンプルについて>
図4には、dの距離を変えた設計によるMEMSスキャナデバイスの各デザイン(サンプル番号1〜4)の共振周波数を示した。各デザイン(サンプル番号1〜4)について、圧電アクチュエータ部(圧電アクチュエータ部)20、22の上部−下部電極間に交流電圧を印加することで、駆動の確認を行った。共振周波数に対応する周波数の交流電圧を印加したとき(駆動周波数が共振周波数と一致するとき)、ミラーが大きく傾き運動することを確認できた。
<駆動電圧の供給手段(駆動制御部)について>
図5は圧電アクチュエータ部20、22に駆動電圧を供給する駆動回路の構成例を示した図である。本実施形態のMEMSスキャナデバイス10(図1〜図3参照)は、一対の圧電アクチュエータ部20、22に対して、同時に同じ駆動電圧を印加することよって、ミラー部12の両側の圧電アクチュエータ部20、22を同方向に変位させる。このため、一対の圧電アクチュエータ部20、22に駆動用の電力を供給する電力供給源として、共通の(同じ)駆動回路及び制御回路を用いることができる。圧電アクチュエータ部20、22に供給する駆動波形として、共振を励起する周波数の交流信号やパルス波形信号を用いることができる。ミラー部12が回転軸40(図2参照)を中心に回転運動を行う共振モードの共振周波数の付近でミラー部12を共振駆動させることができる。
図5に示したように、圧電アクチュエータ部20、22の下部電極44はドライバ回路72の共通端子(V端子、例えば、GND端子)に接続される。また、圧電アクチュエータ部22の上部電極48はドライバ回路72の出力端子(V端子)に接続される。
制御回路74は、ドライバ回路72に対して制御信号を送り、圧電アクチュエータ部20、22への駆動電圧の印加を制御する。電極(44、48)間に電圧が印加されることによって、圧電体46(図3参照)が圧電変形し、カンチレバーが屈曲変位する。
各圧電アクチュエータ部20、22に供給する駆動波形は特に限定されない。例えば、正弦波の駆動電圧を供給してもよし、パルス波形信号を用いることもできる。
図5に示したドライバ回路72、又は、ドライバ回路72と制御回路74の組み合わせが駆動電圧供給回路として機能する。なお、図5では、圧電アクチュエータ部20、22に対して、同じ駆動電圧を印加しているが、それぞれ別々に駆動電圧を印加する形態も可能である。
<金属ガラスの残留応力を開放するリフロー処理及びその問題点について>
トーションバー材料として金属ガラス薄膜を用いると、残留応力の開放が可能であるという利点がある。通常、成膜直後の薄膜には遍く残留応力が内包されており、このような薄膜を自立させてトーションバーとして用いると、撓みによって設計通りの構造が作成できない場合がある。
しかし、金属ガラス薄膜は、通常のアモルファス金属(金属ガラス以外のアモルファス金属)とは異なり、ガラス転移温度Tgを有しているため、成膜後にTg以上に加熱することで残留応力を開放し、自立膜のたわみを消去することができる(非特許文献2:Seiichi Hata et al., ‘Fabrication of Thin FilmMetallic Glass and its Application to Microactuator’ Part of the Conference on Device andProcess Technologies for MEMS and Microelectronics Royal Pines Resort,Queensland, Australia October 1999SPIE Vol. 3892)。以後、このプロセスを「応力開放リフロー」と呼ぶ。
金属ガラスのガラス転移温度Tgは、組成によって100℃以下のもの(例えば、Au基金属ガラス:非特許文献3,4、及び特開2011−1618号公報参照)から450℃程度のもの(例えば、Zr基金属ガラス:非特許文献5)まで様々である。
[非特許文献3]W. Klement, R. H. Willens, P. Duwez, Nature.187(1960) 869
[非特許文献4]J. Schroers, B. Lohwongwatana, W. L. Johnson, A. Peker, Appl. Phys. Lett. 87 (2005) 061912.
[非特許文献5]J. Schroers et al., Journalof Microelectromechanical Systems, Vol.16, No.2 (2007) 1057
ただし、アクチュエータ用途の場合は、駆動時のデバイス発熱に対する安定性などを考慮すると、ガラス転移温度Tgが150℃以上、好ましくは200℃以上、より好ましくは300℃以上であることが望ましい。
その一方で、ガラス転移温度Tgが高くなると応力開放リフロー時にMEMSデバイスを構成する他の材料がダメージを受けやすいというトレードオフがある。例えば、圧電材料として広く用いられているチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を含む圧電アクチュエータは、加熱処理によって圧電材の脱分極が起こり、圧電性能が劣化する問題が指摘されている(特開2009−123974号公報、段落0005−0006参照)。
つまり、金属ガラスのガラス転移温度Tgが圧電材料(PZT)のキュリー点に近いほど高い場合、応力開放リフローによってPZTが脱分極し、圧電変位が劣化してしまうといった問題が生じる。このような理由から、従来のPZT材料と金属ガラスとを集積化しようとすると、ガラス転移温度Tgの低い、限られた金属ガラスしか用いることができず、設計の自由度が低いという問題がある。
したがって、圧電体の特性、金属ガラスの特性、応力開放リフロー条件などを考慮した適切な条件の組み合わせによる設計を行うことが望ましい。
<圧電材料について>
本実施形態に好適な圧電体としては、下記式で表される1種又は2種以上のペロブスカイト型酸化物(P)を含むもの(不可避不純物を含んでいてもよい)が挙げられる。
一般式ABO・・・(P)
(式中、A:Aサイトの元素であり、Pbを含む少なくとも1種の元素。
B:Bサイトの元素であり、Ti,Zr,V,Nb,Ta,Sb,Cr,Mo,W,Mn,Sc,Co,Cu,In,Sn,Ga,Zn,Cd,Fe,及びNiからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素。
O:酸素元素。
Aサイト元素とBサイト元素と酸素元素のモル比は1:1:3が標準であるが、これらのモル比はペロブスカイト構造を取り得る範囲内で基準モル比からずれてもよい。)
上記一般式で表されるペロブスカイト型酸化物としては、チタン酸鉛、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、ジルコニウム酸鉛、チタン酸鉛ランタン、ジルコン酸チタン酸鉛ランタン、マグネシウムニオブ酸ジルコニウムチタン酸鉛、ニッケルニオブ酸ジルコニウムチタン酸鉛、亜鉛ニオブ酸ジルコニウムチタン酸鉛等の鉛含有化合物、及びこれらの混晶系;チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウムバリウム、チタン酸ビスマスナトリウム、チタン酸ビスマスカリウム、ニオブ酸ナトリウム、ニオブ酸カリウム、ニオブ酸リチウム、ビスマスフェライト等の非鉛含有化合物、及びこれらの混晶系が挙げられる。
また、本実施形態の圧電体膜は、下記式で表される1種又は2種以上のペロブスカイト型酸化物(PX)を含むことが好ましい(不可避不純物を含んでいてもよい)。
(Zr,Ti,Mb−x−y・・・(PX)
(式中、A:Aサイトの元素であり、Pbを含む少なくとも1種の元素。
Mが、V、Nb、Ta、及びSbからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素である。
0<x<b、0<y<b、0<b−x−y。
a:b:c=1:1:3が標準であるが、これらのモル比はペロブスカイト構造を取り得る範囲内で基準モル比からずれてもよい。)
ペロブスカイト型酸化物(PX)は、真性PZT、あるいはPZTのBサイトの一部がMで置換されたものである。被置換イオンの価数よりも高い価数を有する各種ドナーイオンを添加したPZTでは、真性PZTよりも圧電性能等の特性が向上することが知られている。Mは、4価のZr,Tiよりも価数の大きい1種又は2種以上のドナーイオンであることが好ましい。かかるドナーイオンとしては、V5+,Nb5+,Ta5+,Sb+,Mo6+,及びW6+等が挙げられる。
b−x−yは、ペロブスカイト構造を取り得る範囲であれば特に制限されない。例えば、MがNbである場合、Nb/(Zr+Ti+Nb)モル比が0.05以上0.25以下であることが好ましく、0.06以上0.20以下であることがより好ましい。
上述の一般式(P)及び(PX)で表されるペロブスカイト型酸化物からなる圧電体膜は、高い圧電歪定数(d31定数)を有するため、かかる圧電体膜を備えた圧電アクチュエータは、変位特性の優れたものとなる。
また、一般式(P)及び(PX)で表されるペロブスカイト型酸化物からなる圧電体膜を備えた圧電アクチュエータは、駆動電圧範囲において、リニアリティの優れた電圧―変位特性を有している。これらの圧電材料は、本発明を実施する上で良好な圧電特性を示すものである。
本実施形態における圧電体46の一具体例として、例えば、Nbを原子組成百分率で12%ドープしたチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)薄膜を用いることができる。スパッタリング法等によってNbを12%ドープしたPZTを成膜することにより、圧電定数d31=250pm/Vという高い圧電特性を持つ薄膜を安定的に作製できる。なお、バルクの圧電体を基板に接合し、研磨してもよいが、この方法では圧電体を薄膜化するのが難しい(研磨では限界15μm程度である)ために変位量が小さくなる上に、研磨中における破壊などによる歩留まりが小さいといった問題がある。このようなことを鑑みると、気相成長法やゾルゲル法などにより基板上に圧電薄膜を直接成膜する構成が好ましい。特に、本実施形態の圧電体46としては、1μm以上10μm以下の厚さの薄膜であることが好ましい。既述した実施例1では圧電体46として、スパッタリング法によって成膜された2μm厚のPZT薄膜を使用しているが、これに限定されるものではない。
<好ましい金属ガラスの材料について>
図6に各種金属ガラス材料のヤング率とガラス転移点(ガラス転移温度)を示す。本発明の実施に際しては、図6に例示したいずれの組成の金属ガラス材料も用いることが可能である。しかし、以下の観点から、発明の実施に際して用いるのに好ましい金属ガラス材料が選定される。
(1)駆動源である圧電体の成膜温度が450℃〜500℃であり、PZT成膜後に500℃を超える温度で再び熱処理(応力開放リフロー)するのは材料劣化の原因となる。したがって、応力開放リフローする金属ガラスのガラス転移温度Tgが圧電体の成膜温度以下(例えば、500℃以下)であることが望ましい。
(2)MEMSミラーデバイスの駆動安定性の観点から考えると、駆動時の発熱によって金属ガラスのリフロー(応力開放)が起こらないことが望ましい。一般的にMEMSデバイスの駆動時には最大100℃程度まで温度上昇が起こると考えられるため、この温度で長期的にリフローが起こらない金属ガラス材料の条件としてはガラス転移温度Tgが150℃以上であることが好ましい。
(3)さらに好ましくは、デバイス実装時のはんだリフロー温度によって金属ガラスのリフロー(応力開放)が起こらないことが望まれる。はんだリフローの温度は一般的に250℃周辺なので、ガラス転移温度Tgが300℃以上の金属ガラスが適している。
以上の観点(1)〜(3)を考慮すると、本発明の実施に際して用いる金属ガラス材料として、特に好ましいのは、Zr基、Pd基、Pt基の金属ガラスであり、その中でもより好ましくはZr基の金属ガラスである。図6では、Zr-Cu-Al-Ni系の金属ガラスとしてZr55Cu30Al10Ni5を例示し、Zr-Cu-Al系の金属ガラスとしてZr75Cu19Al6を例示した。こられは概ね同等の性質を有しており、どちらの材料も好ましい材料である。
<実施例2>
実施例2では、実施例1と同様のプロセス(工程1〜工程5)により、Zr55Cu30Al10Ni5金属ガラス薄膜を成膜後に、加熱による残留応力開放リフローを行うプロセスを追加した。
図7に実施例2における製造プロセスのフローチャートを示した。図7のステップS11〜S15で示した各工程は、実施例1で説明した工程1〜工程5に対応している。
ステップS15で金属ガラス膜を形成後、応力開放リフローが行われる(ステップS16、「応力開放リフロー工程」)。応力開放リフローの処理は、金属ガラスの結晶化温度Txとガラス転移温度Tgの間の過冷却液体領域の温度において一定時間保持することで、金属ガラス薄膜の残留応力を解法する処理である。
本例の場合、示差走査熱量測定(DSC:Differential scanning calorimetry)にてZr55Cu30Al10Ni5金属ガラスのガラス転移温度Tgを測定したところ、400℃と見積もられたため、応力開放リフローは430℃(10−3Paの真空中)で60秒保持することで行われた。430℃で60秒間の加熱処理を行った後は、温度を下げて室温に戻す。
応力開放リフローの条件(温度、時間など)は、使用する圧電体材料、金属ガラス材料に応じて適切な条件が選択される。
応力開放リフロー工程(ステップS16)の後、シリコンのドライエッチプロセスによってシリコン基板の一部を除去する加工を行い(ステップS17、「加工工程」)、デバイスを完成させた。ステップS17の加工工程は、実施例1で説明した工程6に対応している。
第2実施例によるデバイス完成後に金属ガラス薄膜の自立膜によるトーションバー部(支持可動部14、16)を観察したところ、残留応力による金属ガラス薄膜の撓みがないことが確認された。
なお、図7には示されていないが、ステップS17の後に、必要に応じて、ドライバ回路72等との電気的な接続を行うための配線接続処理(はんだリフロー工程)が実施される。はんだリフロー工程は、金属ガラスのガラス転移温度Tgよりも低い温度で実施されることが望ましい。
<応力開放リフローと圧電アクチュエータの性能について>
次に、応力開放リフローのプロセスが圧電アクチュエータの性能に及ぼす影響を見積もった。
PZT中のNb量を変化させ、応力開放リフロー後の圧電アクチュエータ部の変位量を測定することで、PZTの圧電性能劣化の有無を判定した。応力開放リフローの前と後で圧電アクチュエータ部の変位をそれぞれ測定し、変位劣化率を調べた。応力開放リフロー前後の圧電アクチュエータ部の変位劣化率は、次式、
(リフロー前の変位量−リフロー後の変位量)÷(リフロー前の変位量)×100
で求めた。
図8に、Nb量とリフロー後の変位劣化率の関係をまとめた。なお、同図では、成膜直後のカンチレバーの電圧変位応答から算出した圧電定数d31も併記する。
図8に示したように、PZT中にNbを6%(原子組成比:at%)以上ドープすることによって、圧電変位の劣化を伴うこことなく、金属ガラスの残留応力を開放できる。なお、Nbのドープ量を増やすと圧電性能も向上するが、過剰にドープすると応力が増加し、クラックが発生しやすい傾向にあるため、Nbドープ量は6%以上20%以下が望ましい。
<比較例>
ハンドル層300um、ボックス層1um、デバイス層2umのSOI基板上に、スパッタ法で基板温度350℃にてTiを30nm、Ir電極を150nm形成した。
得られた基板上に、Rfスパッタ装置を用いてPZTを4μm成膜した。成膜ガスは97.5%Arと2.5%Oの混合ガスを用い、ターゲット材料としてはPb1.3((Zr0.52 Ti0.48)0.88 Nb0.12)O3の組成のものを用いた。成膜圧力は2.2mTorr(約0.293Pa)、成膜温度は450℃とした。得られたPZT層は、Nbが原子組成比で12%添加されたNbドープPZT薄膜である。
PZT層の上にリフトオフ法によってTi/Auの上部電極をパターン形成し、ICPドライエッチングによってPZT薄膜をパターンエッチした。その後、シリコンのドライエッチプロセスによって加工を行い、実施例1の金属ガラス支持可動部と同様のディメンジョン(厚み、長さの寸法)で、材料をSiとするようなMEMSスキャナの作成を試みた。
図9は比較例によって作製を試みたMEMSスキャナデバイスの斜視図である。図9において、図1の構成と同一又は類似する要素には同一の符号を付した。図9に示した比較例のMEMSスキャナデバイス310において、図1との相違点は、支持可動部314、316をシリコン(Si)で構成する点である。
しかし、この比較例は、プロセス中にSiのヒンジ部(支持可動部314、316)が破壊してしまい、デバイスとして作成できなかった。
<実施形態の利点>
(1)実施例1,2で例示したように、本発明の実施形態によれば、シリコンに比べて壊れ難く、かつ、柔らかい(ヤング率が小さい)材料の金属ガラスを用いて、支持可動部14,16を構成したので、小型で、低周波の共振駆動に適したミラーデバイスを歩留まりよく作製することができる。ここでいう低周波とは、例えば、OCT装置などに好適な50Hzから100Hz程度の範囲の周波数である。
(2)支持可動部が非晶質の金属ガラスで構成されているため、繰り返し動作に対して劣化が少なく、耐久性が高い。また、大きな変位角度を出しても破壊されない。
(3)金属ガラスは、成膜後にガラス転移温度Tg以上(結晶化温度Tx以下)の温度で加熱処理(応力開放リフロー)を行うことにより、残留応力を開放することができ、残留応力に起因する初期の撓み(歪み)を取り去ることが可能である。なお、残留応力による撓み量(歪み)が実用上問題のないレベルの許容範囲内であれば、応力開放リフロー処理を省略することが可能である。
(4)金属ガラス以外のアモルファス金属の薄膜を形成するには、高温で成膜して急冷する(冷却速度を急峻に変化させる)必要があるのに対し、金属ガラスは他のアモルファス金属よりも安定性が高いため、膜形成の際に厳格な温度管理をしなくても容易に薄膜を形成することができ、製造が容易である。
(5)共振駆動の振動励起源としてPZT薄膜の圧電アクチュエータ部20、22を用いているため、非特許文献1のような磁性金属ガラスを用いる構造と比較して、デバイスサイズを非常に小型化できる。
(6)Nb等の元素を6%以上ドープしたPZTは、真性PZTと比較して圧電性能が高く、また、高温に加熱しても容易には脱分極しない。したがって、Nb等の元素を6%以上ドープしたPZTを用いることが特に好ましい。このように、加熱に対する分極安定性が極めて高い圧電体を用いることにより、さらに小型で、大きな変位が得られるデバイスを作製することができ、かつ、応力開放リフローを行っても脱分極せず、圧電変位の性能が劣化しにくいという利点がある。
これによって、駆動中にデバイスが発熱しても安定な高Tg(ガラス転移温度)金属ガラスをトーションバー材料として用いることができ、設計の幅が拡がる。
(7)ミラー部12と圧電アクチュエータ部20、22との接続部(連結部)に金属ガラス材料によるヒンジ部(支持可動部14,16)を採用し、共振駆動によってミラー部12を回転させる構造としたため、大きな回転角が得られる。
(8)固定フレーム部26、圧電アクチュエータ部20、22の振動板42、ミラー部12をシリコン加工(半導体プロセス)により一体的に形成することができる。
(9)従来のポリゴンミラーやガルバノミラーと比べて小型化が可能であり、耐久性も高い。
本発明の実施に際しては、上記の実施例1、2に限定されず、基板の材料、電極材料、圧電材料、膜厚、成膜条件、リフロー条件、デバイスの形態などは、目的に応じて適宜設計することができる。
<変形例1>
上述の実施形態では、ミラー部12の両側にそれぞれ一本のトーションバー(支持可動部14、16)を接続し、このトーションバーによってミラーの回転中心を支持しているが、ミラー回転軸を安定に支持する方法はこれに限ったものではなく、例えば回転軸に軸対称に配置された複数のバー(支持可動部材)でミラーを支持する構成を採用してもよい。
<変形例2>
上述の実施形態では、ミラー部12を挟んでその両側にそれぞれ圧電アクチュエータ部20、22を配置し、各圧電アクチュエータ部20、22はそれぞれ1つの圧電カンチレバーで構成されるものを例示した。
本発明の実施に際して、圧電アクチュエータ部の構成は上記の例に限らず、様々な形態があり得る。圧電アクチュエータ部は少なくとも1つ設けられていればよい。また、圧電アクチュエータ部は、複数の圧電カンチレバーを組み合わせた構造とすることができる。例えば、圧電アクチュエータ部として、複数の圧電カンチレバーを蛇行状(ミアンダ状)に繋ぎ合わせた折り返し構造を持つ構成とすることができる。カンチレバーの折り返し構造の採否や、折り返し回数(折り畳み数)については、特に限定されない。カンチレバーの折り畳み数やレバー部の幅等は全体の共振周波数に影響する。折り畳み数を増やすほど、共振周波数は低下する傾向にある。また、レバー部の幅を細くするほど、共振周波数は低下する傾向にある。折り畳み数やレバー部の幅などを設計することによって、所望の共振周波数を実現できる。
<変形例3>
図1から図3で説明した形態は、x軸と平行で、かつミラー部12の中心を通る中心線に対して左右対称の構造を有しているが、かかる対称構造に代えて、矩形のミラー部12の対角部分に支持可動部を設ける形態も可能である。
<変形例4>
上述の実施形態では、y軸と平行な回転軸40の周りにミラー部12を回転させる例を説明したが、x軸と平行な回転軸の周りにミラー部を回転させる形態も可能であり、x軸、y軸の2軸で回転可能な構成とすることもできる。
<応用例>
本発明は、レーザー光等の光を反射して光の進行方向を変える光学装置として様々な用途に利用できる。例えば、光偏向器、光走査装置、レーザープリンタ、バーコード読取機、表示装置、各種の光学センサ(測距センサ、形状測定センサ)、光通信装置、レーザープロジェクタ、OCT画像診断装置などに広く適用することができる。
なお、本発明は以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で当該分野の通常の知識を有するものにより、多くの変形が可能である。
10…MEMSスキャナデバイス、12…ミラー部、12B…反射面、14…支持可動部、16…支持可動部、20…圧電アクチュエータ部、22…アクチュエータ部、26…固定フレーム部、40…回転軸、42…振動板、44…下部電極、46…圧電体、48…上部電極、72…ドライバ回路、74…制御回路

Claims (15)

  1. 光を反射する反射面を有するミラー部と、
    前記ミラー部を特定の回転軸を中心に回転可能に支持する支持可動部と、
    前記支持可動部に連結され、圧電体の変形によって屈曲変位を行う圧電アクチュエータ部と、
    前記圧電アクチュエータ部の一端が接続され、前記圧電アクチュエータ部を屈曲変位可能に支持する固定フレーム部と、を備え、
    前記支持可動部は金属ガラス材料で構成されており、
    前記圧電アクチュエータ部に電圧を印加して前記屈曲変位させることによって前記支持可動部を変形させ、前記ミラー部を回転させるマイクロミラーデバイス。
  2. 前記支持可動部を構成する金属ガラス材料は、シリコンよりもヤング率が小さい材料である請求項1に記載のマイクロミラーデバイス。
  3. 前記支持可動部を構成する金属ガラス材料は、Zrを含む材料である請求項1又は2に記載のマイクロミラーデバイス。
  4. 前記支持可動部を構成する金属ガラス材料は、Zr-Cu-Al-Ni系である請求項3に記載のマイクロミラーデバイス。
  5. 前記支持可動部を構成する金属ガラス材料は、ガラス転移温度Tgが150℃以上の材料である請求項1から4のいずれか1項に記載のマイクロミラーデバイス。
  6. 前記支持可動部を構成する金属ガラス材料は、ガラス転移温度Tgが300℃以上の材料である請求項5に記載のマイクロミラーデバイス。
  7. 前記支持可動部を構成する金属ガラス材料は、気相成膜によって成膜された薄膜である請求項1から6のいずれか1項に記載のマイクロミラーデバイス。
  8. 前記ミラー部が前記回転軸を中心に回転運動を行う共振モードの共振周波数の付近で前記ミラー部を共振駆動させる請求項1から7のいずれか1項に記載のマイクロミラーデバイス。
  9. 前記圧電アクチュエータ部は、振動板、下部電極、圧電体、上部電極の順に積層された圧電ユニモルフカンチレバーで構成されることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のマイクロミラーデバイス。
  10. 前記圧電アクチュエータ部に用いられる圧電体は1〜10μm厚の薄膜であり、振動板となる基板上に直接成膜された薄膜である請求項1から9のいずれか1項に記載のマイクロミラーデバイス。
  11. 前記圧電体は、スパッタリング法で成膜された薄膜であることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載のマイクロミラーデバイス。
  12. 前記圧電アクチュエータ部に用いられる圧電体は、下記式(P)で表される1種又は2種以上のペロブスカイト型酸化物であることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載のマイクロミラーデバイス。
    一般式ABO・・・(P)
    (式中、A:Aサイトの元素であり、Pbを含む少なくとも1種の元素。
    B:Bサイトの元素であり、Ti,Zr,V,Nb,Ta,Sb,Cr,Mo,W,Mn,Mg,Sc,Co,Cu,In,Sn,Ga,Zn,Cd,Fe,及びNiからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素。
    O:酸素元素。
    Aサイト元素とBサイト元素と酸素元素のモル比は1:1:3が標準であるが、これらのモル比はペロブスカイト構造を取り得る範囲内で基準モル比からずれてもよい。)
  13. 前記圧電アクチュエータ部に用いられる圧電体は、下記式(PX)で表される1種又は2種以上のペロブスカイト型酸化物であることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載のマイクロミラーデバイス。
    (Zr,Ti,Mb−x−y・・・(PX)
    (式中、A:Aサイトの元素であり、Pbを含む少なくとも1種の元素。
    Mが、Mg, V, Nb,Ta,及びSbからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素である。
    0<x<b、0<y<b、0≦b−x−y。
    a:b:c=1:1:3が標準であるが、これらのモル比はペロブスカイト構造を取り得る範囲内で基準モル比からずれてもよい。)
  14. 前記ペロブスカイト型酸化物(PX)は、Nbを含むと共に、Nb/(Zr+Ti+Nb)モル比が0.06以上0.20以下であることを特徴とする請求項13に記載のマイクロミラーデバイス。
  15. 請求項1から14のいずれか1項に記載のマイクロミラーデバイスを製造する方法であって、
    基板上に下部電極を形成する下部電極形成工程と、
    前記基板上の前記下部電極の上に圧電体膜を積層して形成する圧電体膜形成工程と、
    前記基板上の前記圧電体膜の上に上部電極を積層して形成する上部電極形成工程と、
    前記基板上に金属ガラス膜を形成する金属ガラス膜形成工程と、
    前記金属ガラス膜形成工程の後に、前記金属ガラス膜の結晶化温度Txとガラス転移温度Tgとの間の過冷却液体領域の温度で加熱処理し、前記金属ガラス膜の残留応力を開放する応力開放リフロー工程と、
    前記基板の一部を除去する加工を行う加工工程と、
    を含むマイクロミラーデバイスの製造方法。
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