JP2010146894A - 有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】有機EL素子1は、陽極24、陰極25、陽極24および陰極25の間に配置され、第1の発光ユニット21及び第2の発光ユニット22、並びに、第1及び第2の発光ユニット21、22に挟持された電荷発生層23を有する発光機能部12と、発光機能部12が搭載される支持基板11と、発光機能部12を囲繞する封止基板13と、支持基板11の発光機能部12側とは反対側の主面に配置される放熱層15とを備え、電荷発生層23は、仕事関数が3.0eV以下の金属およびその化合物からなる群(A)から選ばれるものの1種類以上と、仕事関数が4.0eV以上の化合物(B)の1種類以上とを含み、熱放射率が0.70以上である。
【選択図】図1
Description
有機EL素子は、通常、有機発光層を1層含んで構成されるが、注入する電流に対する発光効率を向上させるために、有機発光層を含む発光ユニットを複数段積層した構成の有機EL素子が提案されている。このような有機EL素子には、発光ユニット間に電荷発生層が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
[1] 陽極、陰極、前記陽極および陰極の間に配置され、それぞれが有機発光層を含む複数の発光ユニット、並びに、前記発光ユニットに挟持された電荷発生層を有する発光機能部と、
該発光機能部が搭載される支持基板と、
前記支持基板との間に前記発光機能部が介在するように配置される封止基板と、
前記支持基板の少なくとも一方の主面、または、前記封止基板の少なくとも一方の主面に配置される放熱層と、を備え、
前記電荷発生層は、仕事関数が3.0eV以下の金属およびその化合物からなる群(A)から選ばれるものの1種類以上と、仕事関数が4.0eV以上の化合物(B)の1種類以上とを含み、
熱放射率が0.70以上である、
有機エレクトロルミネッセンス素子。
[2] 前記発光層は、高分子有機化合物を含む、上記[1]に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
[3] 前記電荷発生層が、前記金属およびその化合物からなる群(A)から選ばれるものを1種類以上含む第1の層と、前記化合物(B)の1種類以上を含む第2の層とを含んで成り、前記第1の層が、第2の層よりも前記陽極寄りに配置される、上記「1」又は[2]に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
[4] 前記電荷発生層は、前記金属およびその化合物からなる群(A)から選ばれるものの1種類以上と、前記化合物(B)の1種類以上とが混合されてなる層である、上記「1」又は[2]に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
[5] 前記仕事関数が3.0eV以下の金属が、アルカリ金属、及びアルカリ土類金属からなる群から選ばれる、上記[1]から[4]のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
[6] 前記化合物(B)が遷移金属酸化物である、上記[1]から[5]のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
[7] 前記遷移金属酸化物が、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Tc、及びReからなる群から選ばれる1種類以上の金属の酸化物である、上記[6]に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
[8] 前記仕事関数が3.0eV以下の金属がLiであり、前記仕事関数が4.0eV以上の化合物(B)がV2O5である、上記[1]から[7]のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
[9] 前記放熱層の前記熱放射率が0.85以上である、上記[1]から[8]のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
[10] 前記放熱層の熱伝導率が1W/(m・K)以上である、上記[1]から[9]のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
[11] 前記放熱層の前記熱伝導率が200W/(m・K)以上である、上記[10]に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
[12] 前記放熱層が、黒色系材料を含む、上記[1]から[11]のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
[13] 前記放熱層が、高熱伝導性層と黒色系材料層とを含む積層構造を有する、上記[12]に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
[14] 前記高熱伝導性層が、アルミニウム、銅、銀、およびこれらから選ばれる2種以上の合金、並びにセラミックス材料からなる群より選ばれる無機材料、または高熱伝導性の樹脂で形成されてなる、上記[13]に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
[15] 前記支持基板がガラス基板であり、当該ガラス基板の前記発光機能部側とは反対側の主面に、前記放熱層が設けられる、上記[1]から[14]のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
[16] 前記ガラス基板の両主面に、前記放熱層が設けられる、上記[15]に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
[17] 前記ガラス基板の前記発光機能部側の主面に高熱伝導性層が設けられる、上記[15]に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
[18] 前記封止基板がガラス基板であり、当該ガラス基板の少なくとも一方の主面に、前記放熱層が設けられる、上記[1]から[17]のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
[19] 上記[1]から[18]のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備える表示装置。
[20] 上記[1]から[18]のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備える照明装置。
[21] 上記[1]から[18]のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備える面状光源。
マルチフォトン型の有機EL素子は、素子全体として取出される光を各発光ユニットが分担して放出することになるため、結果として有機EL素子全体に加わる負荷を各発光ユニットに分散させることができる。そのため、1層の有機発光層のみからなるシングルフォトン型の有機EL素子とマルチフォトン型の有機EL素子とを輝度が同じ条件で駆動させた場合、シングルフォトン型の有機EL素子の有機発光層に加わる負荷に比べて、マルチフォトン型の有機EL素子の各有機発光層に加わる負荷を軽くすることができる。このように、マルチフォトン型の有機EL素子は、各有機発光層に加わる負荷を軽くすることができるので、素子の長寿命化を図ることができる。さらに、放熱効果を高めることで有機発光層は素子で発生した熱による影響を受け難くなるため、大面積で素子の均一な発光を可能とすると共に、素子の長寿命化を図ることができる。
そのため、本発明によって素子の輝度を向上させつつ、大面積で素子の均一な発光を可能とし、素子の長寿命化を図ることができるため、発光性能のより優れたマルチフォトン型の有機EL素子を実現することができる。
本発明の有機EL素子は、照明装置、面状光源、フラットパネルディスプレイ等の表示装置として好適に使用することができる。
本発明にかかる有機EL素子は、陽極、陰極、前記陽極および陰極の間に配置され、それぞれが有機発光層を含む複数の発光ユニット、並びに、前記発光ユニットに挟持された電荷発生層を有する発光機能部と、該発光機能部が搭載される支持基板と、前記支持基板との間に前記発光機能部が介在するように配置される封止基板と、前記支持基板の少なくとも一方の主面、または、前記封止基板の少なくとも一方の主面に配置される放熱層と、を備え、前記電荷発生層は、仕事関数が3.0eV以下の金属およびその化合物からなる群(A)から選ばれるものの1種類以上と、仕事関数が4.0eV以上の化合物(B)の1種類以上とを含み、熱放射率が0.70以上であることを、特徴としている。
(i)陽極/第1の発光ユニット/電荷発生層/第2の発光ユニット/陰極
(ii)陽極/発光ユニット/(電荷発生層/発光ユニット)x/陰極
ここで記号「/」は、記号「/」を挟む層が隣接して積層されていることを表す。また記号「x」は、2以上の整数を表し、「(電荷発生層/発光ユニット)x」は、電荷発生層と発光ユニットとからなる積層体が、x段積層されていることを表す。
このため、1層の有機発光層のみからなるシングルフォトン型の有機EL素子と複数の発光ユニットを積層したマルチフォトン型である有機EL素子とから取出される光量を同じにして比較したとき、マルチフォトン型の有機EL素子の方がシングルフォトン型の有機EL素子より各有機発光層に加わる電力を小さくした状態で各有機発光層を発光させることができる。
したがって、マルチフォトン型の有機EL素子全体としてはシングルフォトン型の有機EL素子と同じ光量となるように駆動させたとしても、マルチフォトン型の有機EL素子は、シングルフォトン型の有機EL素子より各有機発光層に加わる負荷を小さくした状態で発光させることができるため、素子の長寿命化を図ることができる。
本発明の第1の実施形態について図1を参照しつつ説明する。図1に、第1の実施形態の有機EL素子1の断面図を示す。本実施形態の有機EL素子1は、陽極、陰極、前記陽極および陰極の間に配置され、それぞれが有機発光層を含む複数の発光ユニット、並びに、前記発光ユニットに挟持された電荷発生層を有する発光機能部12が支持基板11上に搭載されている。発光機能部12は、封止基板(上部封止膜という場合がある)13によって全体が覆われ、封止基板13と支持基板11とが接着部14にて密封されている。このようにして発光機能部12は、支持基板11と封止基板13とにより囲繞され、外界から遮断されている。支持基板11の外側の主面、すなわち、発光機能部12が搭載される側とは反対の主面に、放熱層15が設けられている。
発光機能部12は、それぞれが有機発光層を含む第1の発光ユニット21及び第2の発光ユニット22の2個の発光ユニットを備え、これら第1の発光ユニット21及び第2の発光ユニット22に挟持される電荷発生層23を備える。第1の発光ユニット21は、第1の有機発光層21aと正孔注入層21bで構成されている。第2の発光ユニット22は、第2の有機発光層のみで構成されている。発光機能部12は、通常、前述した(i)または(ii)の構成において、光透過性を有する電極として陽極24を最も支持基板11寄りに配置するように支持基板11上に設けられる。発光機能部12は、支持基板11の上に、陽極24、第1の発光ユニット21、電荷発生層23、第2の発光ユニット22および陰極25の順に積層されて構成される。また、発光機能部12は、前述した(i)または(ii)の構成において、第2電極として陰極25を最も支持基板11寄りに配置するように支持基板11上に設けられてもよい。
発光ユニットは、有機発光層を含んで構成される。また発光ユニットは、1層の有機発光層から構成されていてもよいし、複数の有機発光層により構成されていてもよい。また、発光ユニットは有機発光層のみによって構成されていてもよく、無機層を含んでいてもよい。発光ユニットは、マルチフォトン型ではない有機EL素子、すなわち1層の有機発光層を有する有機EL素子のうちの、陽極と陰極とに挟持された部分と同様の構成を有する。図1に示す有機EL素子1においては、第1の発光ユニット21は第1の発光層21aと正孔注入層21bとで構成され、第2の発光ユニット22は第2の発光層のみで構成されている。
色素系材料としては、例えば、シクロペンダミン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体化合物、トリフェニルアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、ピロール誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン誘導体、ペリレン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、オキサジアゾールダイマー、ピラゾリンダイマー、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体などが挙げられる。
<A−2>金属錯体系材料
金属錯体系材料としては、例えば、イリジウム錯体、白金錯体等の三重項励起状態からの発光を有する金属錯体、アルミキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾリル亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、ユーロピウム錯体などを挙げることができる。さらに金属錯体系材料の他の例として、中心金属に、Al、Zn、BeなどまたはTb、Eu、Dyなどの希土類金属を有し、配位子にオキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造などを有する金属錯体などを挙げることができる。
高分子系材料としては、例えば、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、上記色素体や金属錯体系発光材料を高分子化したものなどが挙げられる。
上記発光性材料のうち、青色に発光する材料としては、例えば、ジスチリルアリーレン誘導体、オキサジアゾール誘導体、およびそれらの重合体、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体などを挙げることができる。なかでも高分子材料のポリビニルカルバゾール誘導体、ポリパラフェニレン誘導体やポリフルオレン誘導体などが好ましい。
また、緑色に発光する材料としては、例えば、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体、およびそれらの重合体、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体などを挙げることができる。なかでも高分子材料のポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体などが好ましい。
また、赤色に発光する材料としては、例えば、クマリン誘導体、チオフェン環化合物、およびそれらの重合体、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリフルオレン誘導体などを挙げることが出来る。なかでも高分子材料のポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリフルオレン誘導体などが好ましい。
発光層中に発光効率の向上や発光波長を変化させるなどの目的で、ドーパントを添加してもよい。このようなドーパントとしては、例えば、ペリレン誘導体、クマリン誘導体、ルブレン誘導体、キナクリドン誘導体、スクアリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、スチリル系色素、テトラセン誘導体、ピラゾロン誘導体、デカシクレン、フェノキサゾンなどを挙げることができる。なお、このような発光層の厚さは、通常約2nm以上、2000nm以下である。
発光層の成膜方法としては、有機発光層が積層される下地層上に発光材料を含む溶液を塗布する方法、真空蒸着法、転写法などを用いることができる。溶液からの成膜に用いられる溶媒としては、発光層を主に構成する発光材料を溶解するものであればよく、例えば、水、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタンなどの塩素系溶媒、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテートなどのエステル系溶媒を挙げることができる。
また発光ユニットを構成する層のうちで、有機発光層を基準にして陰極側に設けられる層としては、電子注入層、電子輸送層、正孔ブロック層などを挙げることができる。
これら正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層、電子注入層、電子輸送層、正孔ブロック層については、任意の層として後述する。
電荷発生層は、発光ユニットに挟持されて配置されている。電荷発生層は、陽極と陰極とに電圧を印加したときに、電荷(正孔と電子)を発生し、電荷発生層に対して陽極側に隣接する発光ユニットに電子を注入するとともに、電荷発生層に対して陰極側に隣接する発光ユニットに正孔を注入する層として機能する。陽極および陰極から注入される電荷に加えて、電荷発生層が電荷を生じさせることによって、注入した電流に対する発光効率(電流効率)が向上する。
本実施形態の有機EL素子1においては、図1に示すように、この電荷発生層23が第1の発光ユニット21及び第2の発光ユニット22に挟持され、これら第1の発光ユニット21及び第2の発光ユニット22を仕切っている。これによって、マルチフォトン型の有機EL素子が構成される。マルチフォトン型の有機EL素子では、各発光ユニットに負荷を分散させ、各発光ユニットから放射される光を重ね合わされた光が取出される。
このため、1層の有機発光層のみからなるシングルフォトン型の有機EL素子と第1の発光ユニット21と第2の発光ユニット22とを積層したマルチフォトン型である本実施の形態の有機EL素子1とから取出される光量を同じにして比較したとき、マルチフォトン型である有機EL素子1の方がシングルフォトン型の有機EL素子より第1の有機発光層21aおよび第2の有機発光層22に加わる電力を小さくした状態で第1の有機発光層21a及び第2の有機発光層22を発光させることができる。
したがって、マルチフォトン型である有機EL素子1全体としてはシングルフォトン型の有機EL素子と同じ光量となるように駆動させたとしても、本実施の形態の有機EL素子1は、シングルフォトン型の有機EL素子より第1の有機発光層21a及び第2の有機発光層22に加わる負荷を小さくした状態で発光させることができるため、素子の長寿命化を図ることができる。
(i)電荷発生層23が、前記金属およびその化合物からなる群(A)から選ばれるものを1種類以上含む第1の層23−1と、前記化合物(B)を1種類以上含む第2の層23−2とを含む(積層構造:図1参照)。
(ii)電荷発生層が、一つの層に、前記金属およびその化合物からなる群(A)から選ばれるものの1種類以上と前記化合物(B)の1種類以上とを含む混合層である(混合層)。
第2の層23−2の厚さは、2nm以上、100nm以下が望ましく、より好ましくは4nm以上、80nm以下である。
また、本実施形態の有機EL素子1は、同時に発光する第1の発光ユニット21及び第2の発光ユニット22を含むため、各々の第1の発光ユニット21及び第2の発光ユニット22の各々の第1の有機発光層21a、第2の有機発光層22の発光波長を互いに異なるようにすることによって、混色により有機EL素子1から取出される光の色を、第1の発光ユニット21及び第2の発光ユニット22の第1の有機発光層21a、第2の有機発光層22からそれぞれ発せられる光の色とは別の色とすることが可能である。例えば補色の関係にある2色の組合せや、RGBなど3色の混色、又は4色以上の混色によって、取出される光の色を白色とすることができる。例えば本実施の形態の一つの電荷発生層23を挟持する第1の発光ユニット21と第2の発光ユニット22における第1の有機発光層21a、第2の有機発光層22の発光色を互いに異ならせることによって、所期の発光色で発光する有機EL素子を実現することができるため、設計の自由度を向上させることができる。
また積層する層の順番や数、及び各層の厚さについては、発光効率や素子寿命を勘案して適宜用いることができるが、キャビティ効果(光の干渉効果)を考慮することが好ましい。具体的には、陽極24と陰極25とに挟持された構造物の厚さが、第1の発光ユニット21及び第2の発光ユニット22から発生する光の波長を前記構造物の平均屈折率で割った値の1/4の整数倍であることが好ましい。このような関係が満足される構成では、光の干渉効果により光取り出し効率が最大となるためである。この関係は厳密に成立しているときに効果が最大となるが、誤差はあっても効果は認められ、おおむね構造物の厚さが、発光波長を平均屈折率で割った値の1/4の整数倍の±20%以内であればよい。さらに実質的に発光している部位と、光を反射する方の反射性電極(本実施形態では陰極25)との距離が、発光波長を平均屈折率で割った値の1/4の整数倍となる場合に光の干渉効果が最大となるので好ましい。有機EL素子1が、発光色が異なる複数の発光ユニットからなる場合は、どれか一つの波長に対して前記の関係が成り立つように膜厚を制御することが好ましい。あるいは2つの波長に対して前記層厚の関係が同時に成り立つように層厚を制御してもよい。
放熱層15は、高い熱放射性を発揮する層であり、熱放射率が0.70以上である。本明細書において、熱放射とは、物体から熱エネルギーが電磁波として放出される現象、あるいはその電磁波のことをいう(岩波理化学辞典、岩波書店、1998年、第5版)。放熱層15の熱放射率は、0.70以上であり、好ましくは0.85以上である。熱を逃がすという観点から、熱放射率の上限は特に規定するに及ばない。熱放射率とは、ある温度の物質の表面から放射されるエネルギー量と、前記ある温度と同温度の黒体(放射で与えられたエネルギーを100%吸収する仮想物質)から放射されるエネルギー量の比率のことをいう。熱放射率は、フーリエ変換赤外線分光法(FT−IR)に従って測定することができる。熱放射性の高い材料としては、黒色系材料が挙げられ、黒色塗料の顔料成分などを好適に用い得る。例えば、カーボン材料とプラスチック材料との混合材料(カーボンプラスチック)、所定の金属元素などをドーピングしたTiO2、チタニアと所定の金属微粒子とが分散したコロイド、Fe3O4などが例示される。
放熱層は、前述の通り様々な形態を採用し得る。単層の放熱層を作製する場合、例えば、樹脂材料中に黒色系の顔料など熱放射を促進する材料を混合し、この樹脂材料を基板に塗布して層を形成するなどの方法を採用し得る。また、単層で高熱伝導性を有する放熱層とする場合には、例えば、樹脂材料中に高熱伝導性の微粒子を分散させると共に、黒色系の顔料を混合し、この樹脂材料を基板に塗布して層を形成するなどの方法を採用し得る。
また、支持基板11の発光機能部12が設けられている主面側とは反対側の主面に放熱層15を設け、支持基板11の放熱効果を高めることで、第1の有機発光層21a、第2の有機発光層22は素子で発生した熱による影響を受け難くなるため、大面積で素子の均一な発光を可能とすると共に、素子の長寿命化を図ることができる。
そのため、本実施形態によって、素子の輝度を向上させつつ、大面積で素子の均一な発光を可能とし、素子の長寿命化を図ることができるため、発光性能のより優れたマルチフォトン型の有機EL素子を実現することができる。
したがって、本発明の有機EL素子は、照明装置、フラットパネルディスプレイ等の表示装置として好適に使用することができる。
有機EL素子1を構成する基板として、支持基板11と封止基板13がある。支持基板11は、その一方の主面に発光機能部12が搭載される。封止基板13は支持基板11上の発光機能部12を覆い、素子を封止する。各基板を構成する材料としては、電極等を形成し、有機物の層を形成する際に変化しないものであればよく、リジッド基板でも、フレキシブル基板でもよく、例えば、ガラス、プラスチック、高分子フィルム、シリコン基板、金属板、これらを積層したものなどが用い得る。さらに、プラスチック、高分子フィルムなどに低透水化処理を施したものを用いることもできる。また、基板は、市販のものが入手可能であり、あるいは、公知の方法によって製造することもできる。支持基板11の形状は、発光機能部12を搭載できる領域がある平面状の形状であることが好適である。
なお後述の第2の実施形態にて示すような第1の発光ユニット21及び第2の発光ユニット22からの光を陰極25側から取出すトップエミッション型の有機EL素子では、支持基板は、透明のものでも、不透明のものでもよい。
陽極24は、第1の発光ユニット21の第1の有機発光層21a及び第2の発光ユニット22の第2の有機発光層22からの光を透過させる光透過性を有する透明電極である。陽極24には、電気伝導度の高い金属酸化物、金属硫化物や金属の薄膜を用いることができ、透過率が高いものが好適に利用でき、第1の有機発光層21a、第2の有機発光層22の構成材料に応じて適宜選択して用いることができる。
陽極には、光を反射させる材料を用いてもよく、該材料としては、仕事関数3.0eV以上の金属、金属酸化物、金属硫化物が好ましい。
また陽極24を電気的に分離させた複数のセルに仕切る方法としては、例えば、第1電極を形成した後に、フォトレジストを用いたエッチング法によりパターン形成する方法が挙げられる。
陰極は、陽極に対向して配置される電極である。陰極の材料としては、仕事関数の小さく、発光層への電子注入が容易な材料及び/又は電気伝導度が高い材料及び/又は可視光反射率の高い材料が好ましい。金属では、例えば、アルカリ金属やアルカリ土類金属、遷移金属や13族金属などを用いることができる。より具体的な例を示すと、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウム、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫、またはこれらの金属を少なくとも1種類以上含む合金、又はグラファイト若しくはグラファイト層間化合物等が挙げられる。
合金の例としては、例えば、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金などが挙げられる。また、陰極として透明導電性電極を用いることができ、例えば導電性金属酸化物や導電性有機物などを用いることができる。具体的には、導電性金属酸化物として酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ITO、IZO、導電性有機物としてポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体などの有機の透明導電膜を用い得る。なお、陰極を2層以上の積層構造としてもよい。なお、電子注入層が陰極として用いられる場合もある。
図1に示す有機EL素子1では、陽極24と陰極25との間に、第1の発光ユニット21、第2の発光ユニット22及び電荷発生層23が設けられた形態を示している。しかし、陽極24と電荷発生層23との間、電荷発生層23と陰極25との間に設けられる層の構成としては、図1に示す構成例に限られるわけではない。陽極24と陰極25との間には必須の構成として第1の発光ユニット21、第2の発光ユニット22及び電荷発生層23が設けられればよく、第1の発光ユニット21の正孔注入層21bのように、第1の発光ユニット21及び第2の発光ユニット22には第1の有機発光層21a及び第2の有機発光層22の他にさらに他の機能層を1または2以上設けてもよい。第1の発光ユニット21及び第2の発光ユニット22のその一部として付属し得る任意の構成層としては、上述のように例えば正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層、電子注入層、電子輸送層、正孔ブロック層等が挙げられる。
電荷輸送層は、それぞれ独立に2層以上用いてもよい。
発光ユニットを構成する任意の層として、上述の通り、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層、電子注入層、電子輸送層、正孔ブロック層を設けても良い。
<G−1>正孔注入層
正孔注入層は、陽極または電荷発生層からの正孔注入効率を改善する機能を有する層である。正孔注入層は、陽極24と正孔輸送層との間、陽極24と第1の有機発光層21aとの間、電荷発生層23と第2の有機発光層22との間、電荷発生層23と正孔輸送層との間に設けることができる。正孔注入層を構成する材料としては、該正孔注入層の一方の表面、および他方の表面に隣接して設けられる2層の各イオン化ポテンシャルの間となるイオン化ポテンシャルを有する材料が好ましい。具体的には、陽極24のイオン化ポテンシャルと第1の有機発光層21aの陽極24側の表面部のイオン化ポテンシャルとの間となるイオン化ポテンシャルを有する材料、電荷発生層23のイオン化ポテンシャルと第2の有機発光層22の電荷発生層23側の表面部のイオン化ポテンシャルとの間となるイオン化ポテンシャルを有する材料などである。例えば、フタロシアニン誘導体、ポリチオフェン誘導体等の導電性高分子、モリブデン酸化物、アモルファスカーボン、フッ化カーボン、ポリアミン化合物などの厚さ1〜200nmの層、又は金属酸化物や金属フッ化物、有機絶縁材料等の厚さ2nm以下の層が望ましい。
導電性高分子材料としては、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘導体、ポリフェニレンビニレン及びその誘導体、ポリチエニレンビニレン及びその誘導体、ポリキノリン及びその誘導体、ポリキノキサリン及びその誘導体、芳香族アミン構造を主鎖又は側鎖に含む重合体などが挙げられる。
該導電性高分子の電気伝導度は、10-7S/cm以上103S/cm以下であることが好ましく、有機EL素子が表示装置の画素として機能する場合には、画素間のリーク電流を小さくするためには、10-5S/cm以上102S/cm以下がより好ましく、10-5S/cm以上101S/cm以下がさらに好ましい。通常は該導電性高分子の電気伝導度を10-5S/cm以上103S/cm以下として正孔注入性を上げるために、該導電性高分子に適量のアニオンをドープする。アニオンの例としては、ポリスチレンスルホン酸イオン、アルキルベンゼンスルホン酸イオン、樟脳スルホン酸イオンなどが好適に用いられる。
正孔輸送層は、陽極24、電荷発生層23、正孔注入層または陽極24により近い正孔輸送層からの正孔注入を改善する機能を有する層である。
正孔輸送層を構成する材料としては、特に制限はないが、例えば、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)4,4’−ジアミノビフェニル(TPD)、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(NPB)等の芳香族アミン誘導体、ポリビニルカルバゾールもしくはその誘導体、ポリシランもしくはその誘導体、側鎖もしくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体、ポリアリールアミンもしくはその誘導体、ポリピロールもしくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)もしくはその誘導体、またはポリ(2,5−チエニレンビニレン)もしくはその誘導体などが例示される。
電子ブロック層は、電子の輸送を堰き止める機能を有する層である。なお正孔注入層および/または正孔輸送層が電子の輸送を堰き止める機能を有する場合には、これらの層が電子ブロック層を兼ねることがある。
電子ブロック層が電子の輸送を堰き止める機能を有することは、例えば、電子電流のみを流す素子を作製し、その電流値の減少で堰き止める効果を確認することが可能である。
電子ブロック層としては、例えば上記正孔注入層または正孔輸送層の材料として例示した各種材料を用い得る。
電子注入層は、陰極25または電荷発生層23からの電子注入効率を改善する機能を有する層である。電子注入層は、第1の有機発光層21aと電荷発生層23との間、電子輸送層と電荷発生層23との間、第2の有機発光層22と陰極25との間、または電子輸送層と陰極25との間に設けられる。電子注入層の材料としては、該電子注入層の一方の表面、および他方の表面に隣接して設けられる2層の各電子親和力の間となる電子親和力を有する材料が好ましい。具体的には、電荷発生層13の電子親和力と第1の有機発光層11aの電荷発生層13側の表面部の電子親和力との間となる電子親和力を有する材料、陰極16の電子親和力と第2の有機発光層12の陰極16側の表面部の電子親和力との間となる電子親和力を有する材料などである。
電子注入層の材料としては、発光層の種類に応じて最適な材料が適宜選択され、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ金属およびアルカリ土類金属のうちの1種類以上含む合金、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の酸化物、ハロゲン化物、炭酸化物、またはこれらの物質の混合物などが用いられる。
また電子注入層の材料としては、導電性高分子材料も用いられる。該導電性高分子の材料としては、正孔注入材料で説明した電気伝導度の高分子材料を用いればよいが、電子注入性を向上させるためには、適量のカチオンをドープする。カチオンの例としては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオンなどが用いられる。
この電子注入層の膜厚としては、1nm以上、1μm以下程度が好ましい。
電子輸送層は、陰極、電荷発生層、電子注入層または陰極により近い電子輸送層からの電子注入を改善する機能を有する層であり、電子輸送層とは電子を輸送する機能を有する層である。
電子輸送層を形成する材料としては、公知のものが使用でき、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタンもしくはその誘導体、ベンゾキノンもしくはその誘導体、ナフトキノンもしくはその誘導体、アントラキノンもしくはその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタンもしくはその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレンもしくはその誘導体、ジフェノキノン誘導体、または8−ヒドロキシキノリンもしくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリンもしくはその誘導体、ポリキノキサリンもしくはその誘導体、ポリフルオレンもしくはその誘導体等が例示される。
また溶液または溶融状態からの成膜時には、高分子バインダーを併用してもよい。
溶液から電子輸送層を成膜する方法としては、前述の溶液から正孔注入層を成膜する方法と同様の成膜法が挙げられる。
正孔ブロック層は、正孔の輸送を堰き止める機能を有する層である。なお電子注入層および/または電子輸送層が正孔の輸送を堰き止める機能を有する場合には、これらの層が正孔ブロック層を兼ねることがある。
正孔ブロック層が正孔の輸送を堰き止める機能を有することは、例えばホール電流のみを流す素子を作製し、その電流値の減少で堰き止める効果を確認することが可能である。
上記のように、発光機能部に含まれる発光ユニットは、その実施形態として、様々な層構成を採用し得る。発光ユニットに電荷注入層、電荷輸送層を選択肢に加えた場合の、発光ユニットのとり得る層構成の具体的な例を以下に示す。
a)有機発光層
b)正孔注入層/有機発光層
c)有機発光層/電子注入層
d)正孔注入層/有機発光層/電子注入層
e)正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層
f)有機発光層/電子輸送層/電子注入層
g)正孔注入層/有機発光層/電子輸送層/電子注入層
h)正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子注入層
i)正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層/電子注入層
(ここで、記号「/」は、記号「/」を挟む各層が隣接して積層されていることを示す。以下同じ。)
なお以上のa)〜i)の構成では、左側が陽極寄りの層であり、右側が陰極寄りの層である。
有機EL素子は、有機発光層からの光を放出するために、通常、有機発光層のいずれか一方側の層を全て光が透過可能なものとする。具体的には例えば、支持基板/陽極/発光ユニット/(電荷発生層/発光ユニット)x/陰極/封止基板という構成を有する有機EL素子の場合、支持基板、陽極の全てを光が透過可能なものとし、所謂ボトムエミッション型の素子とし得る。あるいは、陰極および封止部材の全てを光が透過可能なものとし、所謂トップエミッション型の素子とすることもできる。
なお記号「x」は、1以上の整数を表し、(電荷発生層/発光ユニット)xは、(電荷発生層/発光ユニット)がx層積層された積層体を表す。
次に、本発明に係る有機EL素子の第2の実施形態を、図2を参照して説明する。図2は、本発明の有機EL素子の第2の実施形態を示す正面断面図である。図2中、第1の実施形態と同様である部材については、図1と同一符号を付して重複した説明は省略する。以下、第1の実施形態と異なる点を主として説明する。
本発明の第3の実施形態およびその変形例について図3−1から図3−5を参照しつつ説明する。図3−1に、第3の実施形態の有機EL素子3A(以下、「第3の実施形態の素子」という場合がある)の断面図を示す。図3−1中、第1の実施形態と同様である部材については図1と同じ符号を付し、以下、第1の実施形態と異なる点を主として説明する。
(I)アルミニウム層33b/黒色系材料層33a/支持基板11/黒色系材料層33a/アルミニウム層33b
(II)黒色系材料層33a/アルミニウム層33b/支持基板11/アルミニウム層33b/黒色系材料層33a
(III)黒色系材料層33a/アルミニウム層33b/支持基板11/黒色系材料層33a/アルミニウム層33b
(IV)アルミニウム層33b/黒色系材料層33a/支持基板11/アルミニウム層33b/黒色系材料層33a
(V)アルミニウム層33b/黒色系材料層33a/支持基板11/黒色系材料層33a/アルミニウム層33b/黒色系材料層33a
放熱性の観点からは、(V)に示す順序に積層することが好ましい。
本発明の第4の実施形態について図4を参照しつつ説明する。図4に、第4の実施形態の有機EL素子4の断面図を示す。図4中、第3の実施形態と同様である部材については図1と同じ符号を付し、以下、第1の実施形態と異なる点を主として説明する。
本発明の有機EL装置は、上記有機EL素子を1または2つ以上搭載した装置である。有機EL装置は、例えば、面状光源、セグメント表示装置、ドットマトリックス表示装置、液晶表示装置のバックライト、照明装置などとすることができる。本発明の有機EL装置は、素子の放熱性に優れている。そのため、輝度バラツキが少なく、経時的な耐久性に優れた装置とし得る。特に、照明装置は高輝度であることが要求されるため、高電力を印可する要請が強く、発熱量も多くなりがちである。そのため、本発明の有機EL装置は、照明装置として特に好適である。
作製例1−1、1−2及び比較例1−1〜1−4では、2つの発光ユニットを1つの電荷発生層で仕切った構造の有機EL素子を作製し、その効果を確認した。
(作製例1−1の層構成:ITO/PEDOT/MEH−PPV/Li/V2O5/MEH−PPV/Al−Li合金)
作製例1−1における有機EL素子の作製例を、図1を参照しながら説明する。図1に示す有機EL素子1において支持基板に相当するガラス基板11に、陽極24として利用するITO膜を、スパッタ法により150nmの厚みで形成した基板を用意し、該基板にBYTRON製のPEDOT(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン))/PSS(ポリスチレンスルホン酸)溶液をスピンコート法により40nmの厚みで製膜し、窒素雰囲気下において200℃で熱処理して正孔注入層21bとした。ついで、これに発光材料としてAldrich社製の重量平均分子量が約20万のMEH−PPV(ポリ(2−メトキシ−5−(2’−エチル−ヘキシロキシ)−パラ−フェニレンビニレン)の1重量%トルエン溶液を作製し、これをPEDOT/PSSが製膜された基板上にスピンコートして90nmの膜厚で第1の有機発光層21aを製膜した。正孔注入層21bと第1の有機発光層21aを併せて第1の発光ユニット21とする。
さらに、V2O5膜上に、MEH−PPVの1重量%トルエン溶液をスピンコートして、90nmの膜厚で第2の有機発光層(第2の発光ユニット)22を製膜した。さらにこの上に真空蒸着法により陰極25としてAl−Li合金を100nm形成した。以上により2つの発光ユニットを1つの電荷発生層で仕切った構造の有機EL素子を作製した。
得られた素子に直流電圧を印加したところ、発光開始電圧12V、最大輝度80cd/m2であった。
電流効率は0.072cd/Aであり、下記の比較例1−1の素子(0.037cd/A)に比べて1.95倍に増大した。
(比較例1−1の層構成:ITO/PEDOT/MEH−PPV/Al−Li合金)
比較のために、作製例1−1において電荷発生層23と第2の有機発光層(第2の発光ユニット)22を設けない以外は作製例1−1と同様にして、図5に示すように第1の発光ユニット21が1つだけの有機EL素子5を作製した。なお、図5中、図1におけるものと同一部材については同一符号を付している。
比較例1−1における有機EL素子5に直流電圧を印加したところ、発光開始電圧5.5V、最大輝度52cd/m2であった。電流効率は0.037cd/Aであった。
(比較例1−2の層構成:ITO/PEDOT/MEH−PPV/V2O5/MEH−PPV/Al−Li合金)
電荷発生層として、膜厚30nmのV2O5の1層のみからなるものを用いたことを除いて、比較例1−1と同様にして有機EL素子を作製した。得られた素子は40V印加しても発光しなかった。
(作製例1−2の層構成:ITO/PEDOT/F8−TPA−BT/Li/V2O5/PEDOT/PSS/F8−TPA−PDA/Al−Li合金)
作製例1−1における有機発光層であるMEH−PPVの代わりに、緑色の光を発光する下記構造式(1)で示す高分子発光材料35(略称F8(poly(9,9-dioctylfluorene))−TPA(トリフェニルアミン)−BT(ポリビスアミドトリアゾール))からなる高分子発光層を含む第1の発光ユニット21と、電荷発生層23とを形成した後、PEDOT/PSS層を形成し、引き続いて青色の光を発光する下記構造式(2)で示す高分子発光材料36(略称F8−TPA−PDA(p‐フェニェレンジアミン))からなる高分子発光層を含む第2の発光ユニット22を製膜した後、作製例1−1と同様にして陰極を形成して、二つの発光ユニットからの発光波長が異なる発光素子を作製した。
(比較例1−3の層構成:ITO/PEDOT/F8−TPA−BT/Al−Li合金)
(比較例1−4の層構成:ITO/PEDOT/F8−TPA−PDA/Al−Li合金)
作製例1−2との比較のため、比較例1−2と同様にITO/PEDOT/有機発光層/Al−Li合金の構造の発光ユニット1つからなる素子を作製した。ここで比較例1−3では、有機発光層に緑色発光層材料F8−TPA−BTを用い、比較例1−4では、有機発光層に青色発光材料F8−TPA−PDAを用いた。
次に、以下の作製例2−1〜2−3および比較例2−1、2−2では、放熱層の効果を確認した。
試験例2−1として、図8−1に示す試験基板を用いた。試験例2−1の試験基板として、ガラス基板11(厚さ0.7mm)に、放熱層33として熱放射率が高い黒色塗装を施した高熱伝導性アルミニウムシートとガラス基板に接着させるための接着材からなるシート(神戸製鋼社製、商品名:コーべホーネツ・アルミ(KS750)、熱伝導率230W/(m・K)、熱放射率0.86)を設けた基板を作製した。したがって、試験例2−1の試験基板は、試験基板保持ガラス45から順に、ガラス基板11/アルミニウム層33b/黒色系材料層33aが順次積層された積層体として構成されている。
試験基板として、図8−2に示すものを用いた点以外は、上記試験例2−1と同様にして、試験基板の熱放射性および均熱性について試験をした。試験例2−2の試験基板は、図8−2に示すように、ガラス基板の両面に放熱層33として高熱伝導性および高熱放射性を有する層が貼付されている。すなわち、試験例2−2の試験基板は、試験基板保持ガラス45側から順に、黒色系材料層33a/アルミニウム層33b/ガラス基板11/アルミニウム層33b/黒色系材料層33aが順次積層された積層体として構成されている。
試験基板として、図8−3に示すものを用いた点以外は、上記試験例2−1と同様にして、試験基板の熱放射性および均熱性について試験をした。試験例2−3の試験基板は、図8−3に示すように、ガラス基板の外面側(発光機能部が形成される側とは反対側)表面に高熱伝導性および高熱放射性を有する層が貼付され、他方、内面側表面にはアルミニウムシートのみ貼付されている。したがって、試験例2−3の試験基板は、試験基板保持ガラス45側から順に、アルミニウム層33b/ガラス基板11/アルミニウム層33b/黒色系材料層33aが順次積層された積層体で構成されている。
試験基板として、図8−4に示すものを用いた点以外は、上記試験例2−1と同様にして、試験基板の熱放射性および均熱性について試験をした。比較例2−1の試験基板としては、図8−4に示すように、ガラス基板11単体が用いられた。
試験基板として、図8−5に示すものを用いた点以外は、上記試験例2−1と同様にして、試験基板の熱放射性および均熱性について試験をした。比較例2−2の試験基板は、図8−5に示すように、ガラス基板11の発光機能部が形成される側の表面にアルミニウムシートのみ貼付されている。したがって、比較例2−2における試験基板は、試験基板保持ガラス45から順に、アルミニウム層33b/ガラス基板11が順次積層された積層体で構成されている。
以上の試験例2−1〜2−3、並びに比較例2−1、2−2についての上記検証試験結果を図9および表1に示す。
以下の方法で、ボトムエミッション型有機EL素子を作製した。まず、30×40mmサイズの有機EL素子用のITO透明導電膜パターンおよびCrパターンが複数個形成された200×200mmガラス基板を作製した。ITO透明導電膜はスパッタ法で膜厚約150nm成膜し、Crはスパッタ法で200nmをパターニングした。
作製例4では、上記作製例3における支持基板と封止基板の材料組み合わせが反対である。すなわち、支持基板に黒色塗装が施された高熱伝導性材料からなる材料を貼り付けた基板を用い、封止基板にはガラス基板を用い、全面封止を行なっている。これにより封止基板側から光を取り出すいわゆるトップエミッション型の有機EL素子において、作製例2−1〜2−3と同様に表面温度分布が均一な素子を作製することができる。
11 支持基板
12 発光機能部
13、32 封止基板(上部封止膜)
14 接着部
15、31、33、34 放熱層
21 第1の発光ユニット
21a 第1の有機発光層
21b 正孔注入層
22 第2の発光ユニット(第2の有機発光層)
23 電荷発生層
23−1 第1の層
23−2 第2の層
24 陽極(第1電極)
25 陰極(第2電極)
33a 黒色系材料層
33b アルミニウム層
41 試験台
42 ホットプレート
43 熱伝導部(熱源、真鍮)
44 断熱シート
45 試験基板保持ガラス
46 試験基板
47 温度センサー
A〜K 測定位置
Claims (21)
- 陽極、陰極、前記陽極および陰極の間に配置され、それぞれが有機発光層を含む複数の発光ユニット、並びに、前記発光ユニットに挟持された電荷発生層を有する発光機能部と、
該発光機能部が搭載される支持基板と、
前記支持基板との間に前記発光機能部が介在するように配置される封止基板と、
前記支持基板の少なくとも一方の主面、または、前記封止基板の少なくとも一方の主面に配置される放熱層と、を備え、
前記電荷発生層は、仕事関数が3.0eV以下の金属およびその化合物からなる群(A)から選ばれるものの1種類以上と、仕事関数が4.0eV以上の化合物(B)の1種類以上とを含み、
熱放射率が0.70以上である、
有機エレクトロルミネッセンス素子。 - 前記発光層は、高分子有機化合物を含む、請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 前記電荷発生層が、前記金属およびその化合物からなる群(A)から選ばれるものを1種類以上含む第1の層と、前記化合物(B)の1種類以上を含む第2の層とを含んで成り、前記第1の層が、第2の層よりも前記陽極寄りに配置される、請求項1又は2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 前記電荷発生層は、前記金属およびその化合物からなる群(A)から選ばれるものの1種類以上と、前記化合物(B)の1種類以上とが混合されてなる層である、請求項1又は2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 前記仕事関数が3.0eV以下の金属が、アルカリ金属、及びアルカリ土類金属からなる群から選ばれる、請求項1から4のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 前記化合物(B)が遷移金属酸化物である、請求項1から5のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 前記遷移金属酸化物が、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Tc、及びReからなる群から選ばれる1種類以上の金属の酸化物である、請求項6に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 前記仕事関数が3.0eV以下の金属がLiであり、前記仕事関数が4.0eV以上の化合物(B)がV2O5である、請求項1から7のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 前記放熱層の前記熱放射率が0.85以上である、請求項1から8のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 前記放熱層の熱伝導率が1W/(m・K)以上である、請求項1から9のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 前記放熱層の前記熱伝導率が200W/(m・K)以上である、請求項10に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 前記放熱層が、黒色系材料を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 前記放熱層が、高熱伝導性層と黒色系材料層とを含む積層構造を有する、請求項12に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 前記高熱伝導性層が、アルミニウム、銅、銀、およびこれらから選ばれる2種以上の合金、並びにセラミックス材料からなる群より選ばれる無機材料、または高熱伝導性の樹脂で形成されてなる、請求項13に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 前記支持基板がガラス基板であり、当該ガラス基板の前記発光機能部側とは反対側の主面に、前記放熱層が設けられる、請求項1から14のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 前記ガラス基板の両主面に、前記放熱層が設けられる、請求項15に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 前記ガラス基板の前記発光機能部側の主面に高熱伝導性層が設けられる、請求項15に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 前記封止基板がガラス基板であり、当該ガラス基板の少なくとも一方の主面に、前記放熱層が設けられる、請求項1から17のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
- 請求項1から18のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備える表示装置。
- 請求項1から18のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備える照明装置。
- 請求項1から18のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備える面状光源。
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