JP2010143543A - 負圧センサ異常検出装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】インテークマニホルドとブースタの負圧室との間には、逆止弁が設けられる。逆止弁は、ブースタからインテークマニホルドへのエアの吸引は許容するが逆は阻止するものである。そのため、エンジン負圧PSが真空に近づくと、それに伴ってブースタ負圧PBも真空に近づけられる。また、ブースタは、負圧室の圧力を真空に近づける機能を有していないため、ブースタ負圧PBが、エンジン負圧PSより真空に近づくことはない。したがって、エンジン負圧PSが減少した後、一定に保たれている状態において、ブースタ負圧PBが異常検出しきい値PTHIIより真空に近い場合には、ブースタ負圧センサが異常であるとされる。
【選択図】図5
Description
さらに、特許文献4〜6にも、ブースタ装置の異常を検出する異常検出装置が記載されている。そのうちの、特許文献4に記載の異常検出装置においては、ブースタ負圧が変化すべきでないのに対し、ブースタ負圧センサの検出値が変化した場合には、ブースタの失陥等の異常であると検出され、特許文献5に記載の異常検出装置においては、ブレーキ操作部材の非操作状態において、ブースタ負圧が変化すべきでないのに対し、ブースタ負圧センサの検出値が変化した場合に、逆止弁の異常であると検出される。また、特許文献6に記載の異常検出装置においては、ブレーキ操作部材の非操作状態において、エンジン負圧が真空に近いのに対し、ブースタ負圧センサの検出値が大気圧に近づいた場合に、ブースタ失陥が生じたと検出される。
バキュームブースタは、変圧室と負圧室との間の差圧によりブレーキ操作部材の操作力を倍力するものであるが、負圧室は、エンジンの吸気側に逆止弁を介して接続される。逆止弁は、負圧室から吸気側への空気の流れを許容するが、逆向きの流れを阻止するものである。
換言すれば、逆止弁は、ブースタ負圧がエンジン負圧より真空に近い間は閉状態にあるが、エンジン負圧がブースタ負圧より真空に近くなると閉状態から開状態に切り換わり、吸気側からの吸引が許容される(ブースタ負圧が真空に近づくことが許容される)。そのため、逆止弁の開状態においては、ブースタ負圧はエンジン負圧で決まる高さとなる。また、バキュームブースタは、自ら、ブースタ負圧を真空に近づける機構を有していない。さらに、ブレーキ操作部材の非操作状態において、ブースタ負圧が大気圧に近づくはずはない。
以上の事情から、逆止弁が開状態にされた後のエンジン負圧がほぼ一定にある間(エンジン負圧が大気圧に設定圧以上近づかない間)、ブースタ負圧はエンジン負圧とほぼ同じ高さにあるはずである。それに対して、ブースタ負圧センサによる検出値が、エンジン負圧で決まる第1異常検出しきい値より真空に近い場合には、ブースタ負圧センサが異常であると検出される。
逆止弁が開状態に切り換わったことを直接検出することは難しいが、例えば、エンジン負圧の真空側への変化に伴って、ブースタ負圧センサによる検出値も第1設定値以上真空に近づいた場合には、逆止弁が開状態に切り換わったと推定することができる。また、エンジン負圧が真空に近づく途中、あるいは、真空に近づき始めた時点のブースタ負圧センサによる検出値が、異常検出時のエンジン負圧で決まる第2設定値より大気圧側であったことが検出された場合には、逆止弁が開状態に切り換わったはずであるとすることができる。
また、第1異常検出部による異常検出は、バキュームブースタを含むブースタ装置が正常であることが前提である。すなわち、バキュームブースタに失陥はなく、配管等にエア漏れはなく、逆止弁も正常である場合において、ブースタ負圧センサの異常検出が実行されるのである。また、エンジンを含むエンジン装置も正常であることが前提である。エンジンの作動状態を正確に検出でき、エンジン負圧を正確に推定可能な状態にあることが前提なのである。ただし、これらが正常であることを確認することは不可欠ではない。これらが正常であることを確認しない場合には、第1異常検出部により、ブースタ負圧センサが異常である可能性があると検出することが可能となる。
なお、第1異常検出部は、エンジン負圧で決まる第1異常検出しきい値とは別の異常検出しきい値より大気圧に近い場合に、ブースタ負圧センサが異常であると検出することもできる。ブレーキ操作部材の非操作中において、真空に近づけられたブースタ負圧が大気圧に近づくはずがないからである。
また、第1異常検出部による異常検出は、エンジン負圧が真空に近づいた後、一定に保たれている状態で実行されることが望ましい。エンジン負圧が変化して、ブースタ負圧が変化しているより、異常検出を正確に行うことができるからである。
前記吸気側の圧力であるエンジン負圧を取得するエンジン負圧取得装置と、
前記ブレーキ操作部材の非操作中に、前記エンジン負圧取得装置によって取得されたエンジン負圧が真空に近づくことにより前記逆止弁が閉状態から開状態に切り換えられて、前記負圧室の圧力が真空に近づいたことが検出された後に、前記ブースタ負圧センサによる検出値が、前記エンジン負圧取得装置によって取得されたエンジン負圧に対して決まる第1異常検出しきい値より真空に近い場合に、前記ブースタ負圧センサが異常であると検出する第1異常検出部と
を含むことを特徴とする負圧センサ異常検出装置。
(2)前記エンジン負圧取得装置が、前記エンジンの作動状態に基づいて前記エンジン負圧を推定するエンジン負圧推定装置を含み、前記第1異常検出部が、前記第1異常検出しきい値を、(i)前記エンジン負圧推定装置によって推定されたエンジン負圧と、(ii)(a)前記エンジン負圧の推定バラツキ、(b)前記ブースタ負圧センサの検出バラツキ、(c)前記逆止弁の前後の差圧のうちの1つ以上とに基づいて決定する手段を含む(1)項に記載の負圧センサ異常検出装置。
本項に記載の負圧センサ異常検出装置においては、エンジン負圧が、エンジンの作動状態に基づいて推定されるため、エンジン負圧を検出するためのセンサを設ける必要がない。そのため、エンジン負圧を検出するためのセンサを設ける場合に比較して、コストダウンを図ることができる。
ブースタ負圧は、定められた条件の下、推定されたエンジン負圧と、その推定バラツキ、ブースタ負圧センサの検出バラツキ、逆止弁の前後の差圧の1つ以上とを考慮して決まる範囲内にあるはずである。したがって、これらに基づいて第1異常検出しきい値を決定することは妥当なことである。
(3)エンジンの吸気側に、その吸気側への空気の流れは許容するが、逆向きの流れを阻止する逆止弁を介して接続された負圧室と、その負圧室と大気とに選択的に連通させられる変圧室とを備え、それら負圧室と変圧室との差圧によりブレーキ操作部材の操作力を倍力するバキュームブースタの、前記負圧室の圧力であるブースタ負圧を検出するブースタ負圧センサの異常を検出する装置であって、
前記吸気側の圧力であるエンジン負圧を取得するエンジン負圧取得装置と、
前記ブレーキ操作部材の非操作中に、前記ブースタ負圧センサによる検出値が、前記エンジン負圧取得装置より真空に近く、かつ、第2異常検出しきい値以上変化した場合に、前記ブースタ負圧センサが異常であると検出する第2異常検出部を含むことを特徴とする負圧センサ異常検出装置。
エンジンの吸気側とブースタの負圧室との間には逆止弁が設けられているため、ブースタ負圧がエンジン負圧より真空側にある限り、エンジン負圧が変化しても、ブースタ負圧は変化しないはずである。それにもかかわらず、ブースタ負圧が第2異常検出しきい値以上変化した場合には、ブースタ負圧センサが異常であると検出される。
例えば、ブースタ負圧がエンジン負圧より真空側にあることが検出された場合に、その時点のブースタ負圧を基準値として、ブースタ負圧センサによる検出値が、その基準値から第2異常検出しきい値以上大気圧に近づいたり、真空に近づいたりした場合には、ブースタ負圧センサが異常であるとすることができる。
基準値は、上述のように、ブースタ負圧がエンジン負圧より真空側にあることが検出された場合の検出値としたり、真空側にあることが検出されてから設定時間内の検出値の平均値としたりすること等ができる。
また、第2異常検出しきい値は、ブースタ負圧センサの検出バラツキ等で決まる値とすることができる。
本項に記載の負圧センサ異常検出装置には、(1)項、(2)項に記載の技術的特徴を採用することができる。例えば、第1異常検出部による異常検出と、第2異常検出部による異常検出との両方が実行されるようにすることができる。
(4)エンジンの吸気側に、その吸気側への空気の流れは許容するが、逆向きの流れを阻止する逆止弁を介して接続された負圧室と、その負圧室と大気とに選択的に連通させられる変圧室とを備え、それら負圧室と変圧室との差圧によりブレーキ操作部材の操作力を倍力するバキュームブースタの、前記負圧室の圧力であるブースタ負圧を検出するブースタ負圧センサの異常を検出する装置であって、
前記吸気側の圧力であるエンジン負圧を取得するエンジン負圧取得装置と、
前記ブレーキ操作部材の非操作中に、前記ブースタ負圧センサによる検出値が、前記エンジン負圧取得装置によって取得されたエンジン負圧で決まる第3異常検出しきい値以上大気圧に近い場合に、前記ブースタ負圧センサが異常であると検出する第3異常検出部を含むことを特徴とする負圧センサ異常検出装置。
ブースタの負圧室とエンジンの吸気側との間には逆止弁が設けられているため、ブレーキ操作部材の非操作中において、ブースタ負圧はエンジン負圧に対して逆止弁の差圧以上大気圧に近づくことはないはずである。したがって、ブースタ負圧センサによる検出値が、エンジン負圧で決まる第3異常検出しきい値以上大気圧側にある場合には、ブースタ負圧センサが異常であると検出することができる。
なお、第3異常検出部による異常検出は、エンジン負圧の変化状態に係わらず、常に実行することができるが、例えば、エンジン負圧が大気圧に近づいた場合、その後に一定になった場合等の予め定められた条件が満たされた場合に実行することもできる。
本項に記載のブースタ負圧センサ異常検出装置には、(1)項、(2)項、(3)項に記載の技術的特徴を採用することができる。(2)項については、第1異常検出しきい値を第3異常検出しきい値と読み替えて採用することができる。また、第1異常検出部による異常検出と、第2異常検出部による異常検出との少なくとも一方と、第3異常検出部による異常検出とが実行されるようにすることもできる。
また、第1、第2,第3異常検出部による異常検出は、それぞれの条件が満たされる限りにおいて、選択的に行われるようにしても、優先順位に従って行われるようにしてもよい。例えば、第1異常検出部、第3異常検出部による異常検出が、第2異常検出部による異常検出より優先的に行われるようにすることができる。
図1には、負圧センサ異常検出装置を含む液圧ブレーキシステムおよびその周辺を示す。
ブレーキペダル10の操作力(踏力)がバキュームブースタ12(以下、単にブースタと略称する)により倍力され、その倍力された操作力に応じた液圧がマスタシリンダ14に発生させられる。この液圧は、車輪に設けられたブレーキ16のブレーキシリンダ18に供給され、ブレーキシリンダ18が液圧により作動させられて車輪の回転が抑制される。また、ブレーキシリンダ18とマスタシリンダ14との間には、ブレーキシリンダ18の液圧を制御するアクチュエータである液圧制御ユニット20が設けられている。液圧制御ユニット20は、複数の電磁制御弁、ポンプ等の動力液圧源等を含むものであり、電子制御ユニット24(以下、ブレーキECU24と称する)により制御される。ブレーキECU24には、ブレーキペダル10が操作状態にある場合にON状態とされるブレーキスイッチ26、マスタシリンダ圧を検出するマスタシリンダ圧センサ27、バキュームブースタ(以下、単にブースタと略称する)12の負圧室28の圧力であるブースタ負圧を検出するブースタ負圧センサ30等が接続される。また、ブレーキECU24の記憶部には、ブレーキ液圧制御プログラム、負圧センサ異常検出プログラム等が記憶されている。
液圧制御ユニット20は、例えば、ブースタ12の助勢限界の前後でブレーキ操作力(例えば、マスタシリンダ14の液圧に対応。マスタシリンダ圧センサ27により検出できる)とブレーキシリンダ18の液圧との関係が同じになるように制御される。具体的には、マスタシリンダ圧センサ27による検出値が、ブースタ12が助勢限界に達した場合のマスタシリンダ液圧に達した場合に、ブレーキシリンダ18の液圧がマスタシリンダ14の液圧より高くなるように液圧制御ユニット20が制御されるのであり、ブースタ12が助勢限界に達した場合のマスタシリンダ液圧は、負圧室28の圧力(ブースタ負圧センサ30による検出値)等に基づいて予め決まる。
負圧室28は、エンジン40のインテークマニホルド42に接続されており、負圧が供給される。インテークマニホルド42はエンジンの吸気側にあり、電子制御式スロットルバルブ44を介して大気に連通させられる。
ブースタ12とインテークマニホルド42との間には逆止弁46が設けられている。逆止弁46は、インテークマニホルド42から負圧室28への負圧の供給(ブースタ12の空気がインテークマニホルド42側へ吸引されること)は許容するが、負圧室28からインテークマニホルド42への負圧の流出(インテークマニホルド42内の空気が負圧室28へ吸引されること)は阻止するものである。逆止弁46とブースタ12との間にはタンク48が設けられ、負圧が蓄えられる。
なお、EFI−ECU50とブレーキECU24とはCAN(Car Area Network)60によって接続され、互いに情報の通信が行われる。本実施例においては、EFI−ECU50からブレーキECU24に、エンジン負圧の推定値を表す情報が供給され、ブレーキECU24において、ブースタ負圧センサ30の異常の有無が検出される。
前述のように、ブースタ12の負圧室28とインテークマニホルド42との間には逆止弁46が設けられる(図2(a)参照)。そのため、ブースタ負圧は、エンジン負圧に対して逆止弁46の開弁圧だけ大気圧に近づくことはあるが、それ以上大気圧に近づくことはない。また、逆止弁46の閉状態において、エンジン負圧が大気圧に近づいてもそれに伴ってブースタ負圧が大気圧に近づくことはない。したがって、エンジン負圧とブースタ負圧との関係は、図2(b)に示すようになり、ブースタ負圧は、斜線を施した範囲内にある。また、ブースタ12は、自ら、ブースタ負圧を真空に近づける機能を備えていない。
以上の事情から、ブースタ負圧は、ブレーキペダル10の操作に起因して大気圧に近づくこと、エンジン負圧が真空に近づくことに起因して真空に近づくことはあるが、それ以外の原因で変化することはないはずである。
また、ブースタ負圧センサ30の異常検出は、ブースタ12,逆止弁46,エンジン40、エンジン回転数センサ56,スロットルポジションセンサ54等が正常であることが前提で行われる。ブースタ12は失陥しておらず、配管等にエア漏れはなく、逆止弁46の開固着、閉固着異常はなく、エンジン40の作動は正常であり、また、作動状態は正常に検出されて、エンジン負圧が正常に推定される。したがって、ブースタ負圧センサ30による検出値が妥当な値でない場合には、ブースタ負圧センサ30の異常であると検出することが可能となる。
「エンジン負圧が一定である」とは、例えば、エンジン負圧の変化が小さいことをいい、例えば、エンジン負圧の変化量が予め定められた設定範囲内にある状態をいう。エンジン負圧が全く変化しない状態とは限らない。
<Iの場合(ステージI)>
前述のように、ブースタ負圧はエンジン負圧より逆止弁46の開弁圧以上大気圧に近づくことはないはずである。したがって、ブースタ負圧センサ30による検出値が、エンジン負圧で決まる異常検出しきい値PTHI(特許請求の範囲の第3異常検出しきい値に対応する)より大気圧に近い場合には、ブースタ負圧センサ30が異常であると検出することができる。
理論的には、この異常検出は、エンジン負圧の変化状態に係わらず実行可能である。しかし、本実施例においては、図4に示すように、エンジン負圧が大気圧に近づく場合(以下、大気圧に近づき、絶対圧が大きくなる状態を増加すると称することがある。)、あるいは、増加後一定になった場合に実行される。ブレーキペダル10の非操作状態においては、たとえ、エンジン負圧が増加しても、ブースタ負圧は増加するはずはない。それにもかかわらず、検出値が異常検出しきい値PTHIより大気圧側にある場合(PB>PTHI)には、ブースタ負圧センサ30が異常であると検出されるのである。
異常検出しきい値PTHIは、推定されたエンジン負圧PSに、逆止弁46の開弁圧B、推定バラツキCの1/2、ブースタ負圧センサ30の検出バラツキAの1/2を加えた値として決定される。
PTHI=PS+B+A/2+C/2
すなわち、エンジン負圧の推定値がPSであっても、推定バラツキを考慮すると、実際のエンジン負圧は、Cで示す範囲内の値である可能性がある。同様に、ブースタ負圧センサ30による検出値がPBであっても、検出バラツキを考慮すると、実際のブースタ負圧は、Aで示す範囲内の値である可能性がある。一方、ブースタ負圧はエンジン負圧より開弁圧B以上大気圧に近いはずがない。以上のことから、たとえ、実際のエンジン負圧が推定バラツキの上限値PSCUであり、実際のブースタ負圧が検出バラツキの下限値PBADにあっても、ブースタ負圧が開弁圧B以上大気圧にある(異常)と検出し得るように、異常検出しきい値PTHIを上述のように決定したのである。
なお、推定バラツキC、検出バラツキAは、それぞれ、推定値PS、検出値PBの大気圧側、真空側の両側に広がる値であるため、それぞれの1/2の値(A/2,C/2)が加えられることになる。
また、推定バラツキCは、予め実験等により取得することができる。ブースタ負圧センサ30の検出バラツキA、逆止弁46の前後差圧Bは、既知である。
さらに、ブースタ負圧センサ30の検出値は、1つの検出値を採用したり、設定時間内の平均値を採用したりすることができる。
前述のように、ブースタ負圧は、エンジン負圧が真空に近づき、逆止弁46が開状態に切り換えられると、真空に近づけられる。そのため、図5(a)に示すように、エンジン負圧が真空に近づいた後、一定になった場合には、ブースタ負圧はエンジン負圧で決まる高さになるはずである。
また、ブースタ12は、自ら、ブースタ負圧を真空に近づけることはできない。そのため、エンジン負圧が真空に近づいた後、一定である場合に、ブースタ負圧がエンジン負圧より真空側にあるはずがない。
したがって、ブースタ負圧がエンジン負圧で決まる異常検出しきい値PTHII(特許請求の範囲における第1異常検出しきい値に対応する)より真空側にある場合には、ブースタ負圧センサ30が異常であると検出することができる。
また、エンジン負圧の減少中(以下、負圧が真空に近づくことを減少すると称することがある)においては、ブースタ負圧も減少するため、この間は、異常検出を正確に行うことは困難である。そこで、本実施例においては、減少後、一定になった場合に、異常の有無が検出されるのである。
さらに、エンジン負圧が真空に近づくことにより逆止弁46が開状態に切り換えられて、ブースタ負圧がエンジン負圧の減少によって真空に近づけられたことが検出された場合に、IIステージであると決定される(異常検出が行われる)。本実施例においては、エンジン負圧の減少開始時のブースタ負圧PBMが、エンジン負圧が一定になった場合の、そのエンジン負圧で決まる検出開始圧PT以上大気圧に近い値であったか否かが判定される。検出開始圧PT以上大気圧に近い値であった場合には、エンジン負圧の減少時に、逆止弁46が開状態に切り換えられたと推定されて、IIステージであると決定される。
検出開始圧PTは、ステージIの場合と同様に、一定である場合のエンジン負圧PS、開弁圧B、推定バラツキC、検出バラツキAに基づいて決まる値であり、本実施例においては、
PT=PS+A/2+B+C/2
とされる。すなわち、実際のエンジン負圧が推定値の推定バラツキCの上限値であり、実際のブースタ負圧が検出値の検出バラツキに対する下限値であっても、逆止弁46の開弁圧以上高いと検出し得る値である。本実施例において、減少開始時のブースタ負圧PBMが、検出開始圧PT以上大気圧に近いことが、IIステージ決定条件とされる。
また、図5(b)に示すように、異常検出しきい値PTHIIは、
PTHII=PS−A/2−C/2
と決定される。実際のエンジン負圧が推定値PSに対して推定バラツキの下限値PSCDにあり、実際のブースタ負圧が検出値PBに対して検出バラツキの上限値PBAUにあっても、ブースタ負圧がエンジン負圧より真空側にある(異常)と検出し得る値である。なお、異常検出しきい値PTHIIを決定する際に、開弁圧Bは考慮されない。開弁圧Bは、推定バラツキC、検出バラツキAに対して小さいこと、また、図5(b)に示すように、開弁圧Bを考慮しない方が異常検出しきい値PTHIIを小さい値(より真空側の値)に決定することができるため、より正確に異常の有無を検出することができるからである。
したがって、エンジン負圧が減少した後、一定になった場合において、減少により逆止弁46が開状態に切り換えられたことが検出された場合以後に(PBM>PT)、ブースタ負圧がエンジン負圧で決まる異常検出しきい値PTHIIより真空に近い場合にブースタ負圧センサ30が異常であると検出される(PB<PTHII )。
前述のように、ブースタ12は逆止弁46を介してインティークマニホルド32に接続されているため、ブースタ負圧がエンジン負圧に対して負圧保持圧PH以上真空に近い限り、エンジン負圧が変化してもブースタ負圧は変化しないはずである。
したがって、図6(a)に示すように、ブースタ負圧センサ30による検出値が負圧保持圧PHより真空に近い場合(斜線で表す領域にある場合)にIIIステージであると決定され、IIIステージにおいて、ブースタ負圧センサ30の検出値が基準値PB0から異常検出しきい値PTHIII(特許請求の範囲における第2異常検出しきい値に対応する)以上変化した場合に、ブースタ負圧センサ30が異常であるとされる。
本実施例において、負圧保持圧PHが、
PH=PS−C/2−A/2
とされる。負圧保持圧PHは、エンジン負圧の実際の値が推定バラツキの下限値PSCDであり、ブースタ負圧の実際の値が検出バラツキの上限値PBAUであっても、ブースタ負圧がエンジン負圧より真空側にあると検出し得る値である。本実施例においては、ブースタ負圧PBが負圧保持圧PHより真空に近いことがIIIステージ決定条件とされる。
異常検出しきい値PTHIIIは、検出バラツキAとされる。
PTHIII=A
ブースタ負圧PBが検出バラツキ以上変化した場合、すなわち、ブースタ負圧PBから基準値PB0を引いた値の絶対値が異常検出しきい値PTHIII以上である場合には、実際にブースタ負圧が変化した(異常)と考えられるからである。
|PB−PB0|>PTHIII
ブースタ負圧の基準値PB0は、IIIステージにあることが最初に検出された場合に設定される値であり、連続して、IIIステージにある間、同じ値とされる。換言すれば、IIIステージからIステージ、あるいは、IIステージに移った後、再び、IIIステージに移った場合には、そのIIIステージに移った場合に、新たに、基準値PB0が設定されることになる。
S1において、ブレーキスイッチ26がON状態にあるか否かが判定される。ブレーキスイッチ26がON状態にある場合には異常検出は行われない。ブレーキスイッチ26がOFF状態である場合には、S2において、EFI−ECU50から供給されたエンジン負圧の推定値PSが読み込まれ、S3において、ブースタ負圧センサ30によってブースタ負圧PBが検出される。S4において、ステージが決定され、S5において、決定されたステージに対応する方法で異常検出が行われる。
S2のエンジン負圧の推定は、EFI−ECU50において行われ、推定されたエンジン負圧がブレーキECU24に供給される。EFI−ECU50において、図8のフローチャートで表されるエンジン負圧推定ルーチンが予め定められた設定時間毎に実行される。
S21において、スロットル開度、エンジン回転数等のエンジン20の作動状態が検出され、S22において、検出されたエンジン20の作動状態に基づいてエンジン負圧PSが推定される。例えば、これらの関係が予めテーブル化されて記憶されており、そのテーブルと検出値とに基づいて推定されるようにすることができる。そして、S23において、推定されたエンジン負圧PSを表す情報が出力される。
図9のフローチャートのS31において、エンジン負圧PSが増加中であるか否かが判定され、S32において、減少中であるか否かが判定され、S33において、一定であるか否かが判定される。
増加中である場合には、S34において、IIステージフラグがリセットされて、S35において、Iステージフラグがセットされる。Iステージであると決定されるのである。
そして、S36において、負圧保持圧PHが決定され、ブースタ負圧センサ30による検出値PBが負圧保持圧値PHより真空側にあるか否かが判定される。負圧保持圧PHより真空側にある場合には、IIIステージ決定条件が満たされたとされて、S37においてIIIステージフラグがセットされる。IIIステージ決定条件が満たされない場合には、S38において、IIIステージフラグはリセットされる。
このようにエンジン負圧が増加中である場合には、Iステージフラグがセットされるが、IIIステージフラグもセットされることもある。
その後、S36〜38において、上述のように、IIIステージであるか否かが判定されて、IIIステージである場合には、IIIステージフラグがセットされ、そうでない場合には、リセットされる。
エンジン負圧の減少中においては、Iステージフラグ、IIステージフラグがセットされることはないが、IIIステージフラグがセットされることがある。
なお、エンジン負圧の減少中にIステージフラグがセットされるようにすることもできる。
Iステージフラグがセットされている場合には、エンジン負圧が増加した後に一定になったと考えられる。この場合には、IIIステージである場合もあるため、S36〜38において、IIIステージであるか否かが判定される。
Iステージフラグも、IIステージフラグもセットされていない場合には、S42において、S39において記憶されたブースタ負圧PBMが、異常検出開始圧PTより大気圧側にあるか否かが判定される。エンジン負圧の減少中等のブースタ負圧PBMが異常検出開始圧PTより大きく、逆止弁46が開状態に切り換わったはずであること(ブースタ負圧PBがエンジン負圧PSの減少に伴って減少したはずであること)が検出された場合には、IIステージ決定条件が満たされたとされて、S43において、IIステージフラグがセットされる。
それに対して、記憶値PBMが異常検出開始圧PTより真空に近い値である場合には、IIステージフラグがセットされることはない。
IIステージフラグがセットされない場合(S42の判定がNOの場合)、IIステージフラグが既にセットされている場合(S41、S43の判定がYESの場合)のいずれの場合であっても、S36〜38において、IIIステージであるか否かが判定される。
このように、エンジン負圧PSが一定である場合には、Iステージフラグ、IIステージフラグ、IIIステージフラグの1つ以上がセットされることが多いが、1つもセットされない場合もある。
S51において、Iステージフラグがセットされているか否か、S52において、IIステージフラグがセットされているか否か、S53において、IIIステージフラグがセットされているか否かがそれぞれ判定される。
Iステージフラグがセットされている場合には、S54において、ブースタ負圧センサ30による検出値PBが、異常検出しきい値PTHIより大きいか否かが判定される。異常検出しきい値PTHIより大気圧に近い場合には、S55において、ブースタ負圧センサ30が異常であるとされる。例えば、ブースタ負圧センサ30が、大気圧に近い値、大気圧と真空との中間の値で固着している場合、増加の場合のゲインが大きすぎる場合、オフセット量が正の側に大きすぎる場合等が考えられる。
IIステージフラグがセットされている場合には、S56において、ブースタ負圧センサ30による検出値PBが異常検出しきい値PTHIIより真空に近いか否かが判定される。異常検出しきい値PTHIIより真空に近い場合には、S57において、ブースタ負圧センサ30が異常であるとされる。例えば、ブースタ負圧センサ30の減少の場合のゲインが大きすぎる場合、オフセット量が負の側に大きい場合等が考えられる。
IIIステージフラグがセットされている場合には、S58において、基準値PB0が記憶されているか否かが判定される。基準値PB0が記憶されていない場合には、S59において、基準値PB0が決定されて、記憶される。基準値PB0は、IIIステージフラグがセットされた時点のブースタ負圧センサ30の検出値PBとしたり、IIIステージフラグがセットされてから設定時間が経過するまでの間の検出値PBの平均値としたりすること等ができる。
S60において、検出値PBから基準値PB0を引いた値の絶対値が検出バラツキA(=異常検出しきい値PTHIII)より大きいか否かが判定される。検出値PBが基準値PB0から検出バラツキA以上変化した場合には、S61において、ブースタ負圧センサ30が異常であるとされる。例えば、ブースタ負圧センサ30のゲインが大きすぎる場合等が考えられる。
S53、58以降は、Iステージ、IIステージにおいて、ブースタ負圧センサ30が異常ではないと検出された場合{ブースタ負圧PBが異常検出しきい値PTHI以下である場合(S54の判定がNOの場合)、ブースタ負圧PBが異常検出しきい値PTHII以上である場合(S56の判定がNOの場合)}にも、実行される。
Iステージフラグ、IIステージフラグ、IIIステージフラグのいずれもセットされていない場合には、S62において、基準値PB0,記憶値PBM等が初期化される。
また、ブースタ負圧センサ30の異常が検出された場合には、そのことが報知されるようにすることができる。
さらに、ブースタ負圧センサ30の異常が検出された場合には、前述のブースタ12の助勢限界後の液圧制御ユニット20の制御が禁止されるようにすることができる。
特に、IIステージにおいては、エンジン負圧の減少に伴ってブースタ負圧が減少し、ブースタ負圧がエンジン負圧の近傍にあるはずである場合の、ブースタ負圧センサ30の検出値と異常検出しきい値PTHIIとが比較されるため、ブースタ負圧センサ30の異常の有無を正確に検出することができる。
また、液圧制御ユニット20は、マスタシリンダ圧センサ27による検出値が、ブースタ負圧センサ30の検出値に基づいて決まるブースタ12が助勢限界に達した場合のマスタシリンダ液圧(助勢限界時マスタシリンダ圧)に達した後に、制御される。そのため、ブースタ負圧センサ30が異常である場合には、ブースタ12が助勢限界に達したことを正確に検出することができなくなる。それに対して、本実施例においては、ブースタ負圧センサ30の異常の有無が検出される。そして、例えば、ブースタ負圧センサ30の異常が検出された場合に、上述の制御が禁止されるようにすれば、ブレーキシリンダ液圧の制御精度の低下を良好に抑制することが可能となる。
また、上記実施例においては、記憶値PBMが異常検出開始圧PTより大気圧側にある場合にIIステージフラグがセットされるようにされていたが、エンジン負圧が減少中、あるいは、減少後一定になった場合におけるブースタ負圧PBHが、エンジン負圧PSの近傍の値にあったこと(例えば、PBH≒PS+B)をIIステージ決定の条件として加えることができる。本実施例においては、下記の2つの式が成立した場合に、IIステージフラグがセットされることになる。
PBH≒PS+B
PBM>PT
なお、本実施例においては、IIステージフラグがセットされてから設定時間が経過した後に(エンジン負圧が一定になってから設定時間が経過した後に)、ブースタ負圧センサ30による検出値が異常検出しきい値PTHIIより真空に近い(PB<PTHII)か否かが検出されるようにすることもできる。
さらに、IIIステージフラグは、設定回数以上、ブースタ負圧PBが負圧保持圧PHより真空に近いと検出された場合に、セットされるようにすることもできる。
また、上記実施例において、異常であるとの結果が、複数回以上連続した場合に、異常であると確定されるようにすることができる。
さらに、上記実施例においては、Iステージ、IIステージ、IIIステージにあることがそれぞれ検出され、それぞれにおいて、ブースタ負圧センサ30の異常の有無が検出されるようにされていたが、3つの態様の異常検出が行われることは不可欠ではない。例えば、Iステージの異常検出、IIステージの異常検出、IIIステージの異常検出は、別個独立に、それぞれ、実行されるようにすることができる。また、3つの態様のうちの2つ以上の態様の異常検出が実行されるようにすることができる。例えば、(a)Iステージ、IIステージの異常検出が行われ、IIIステージの異常検出が行われないようにしたり、(b)IIステージ、IIIステージの異常検出が行われ、Iステージの異常検出が行われないようにしたり、(c)Iステージ、IIIステージの異常検出が行われ、IIステージの異常検出が行われないようにしたりすることができるのである。
また、上記実施例において、エンジン負圧が、エンジン40の作動状態に基づいて推定されるようにしたが、エンジン負圧センサを設け、センサによる検出値を使用することもできる等、本発明は、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した態様で実施することができる。
Claims (4)
- エンジンの吸気側に、その吸気側への空気の流れは許容するが、逆向きの流れを阻止する逆止弁を介して接続された負圧室と、その負圧室と大気とに選択的に連通させられる変圧室とを備え、それら負圧室と変圧室との差圧によりブレーキ操作部材の操作力を倍力するバキュームブースタの、前記負圧室の圧力であるブースタ負圧を検出するブースタ負圧センサの異常を検出する装置であって、
前記吸気側の圧力であるエンジン負圧を取得するエンジン負圧取得装置と、
前記ブレーキ操作部材の非操作中に、前記エンジン負圧取得装置によって取得されたエンジン負圧が真空に近づくことにより前記逆止弁が閉状態から開状態に切り換えられて、前記負圧室の圧力が真空に近づいたことが検出された後に、前記ブースタ負圧センサによる検出値が、前記エンジン負圧取得装置によって取得されたエンジン負圧に対して決まる第1異常検出しきい値より真空に近い場合に、前記ブースタ負圧センサが異常であると検出する第1異常検出部と
を含むことを特徴とする負圧センサ異常検出装置。 - 前記エンジン負圧取得装置が、前記エンジンの作動状態に基づいて前記エンジン負圧を推定するエンジン負圧推定装置を含み、前記第1異常検出部が、前記第1異常検出しきい値を、(i)前記エンジン負圧推定装置によって推定されたエンジン負圧と、(ii)(a)前記エンジン負圧の推定バラツキ、(b)前記ブースタ負圧センサの検出バラツキ、(c)前記チェック弁の前後の差圧のうちの1つ以上とに基づいて決定する手段を含む請求項1に記載の負圧センサ異常検出装置。
- 当該負圧センサ異常検出装置が、前記ブレーキ操作部材の非操作中に、前記ブースタ負圧センサによる検出値が、前記エンジン負圧取得装置によって取得されたエンジン負圧より真空に近く、かつ、第2異常検出しきい値以上変化した場合に、前記ブースタ負圧センサが異常であると検出する第2異常検出部を含む請求項1または2に記載の負圧センサ異常検出装置。
- 当該負圧センサ異常検出装置が、前記ブレーキ操作部材の非操作中に、前記ブースタ負圧センサによる検出値が、前記エンジン負圧取得装置によって取得されたエンジン負圧に対して決まる第3異常検出しきい値以上大気圧に近い場合に、前記ブースタ負圧センサが異常であると検出する第3異常検出部を含む請求項1ないし3のいずれか1つに記載の負圧センサ異常検出装置。
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