JP2010143282A - ハイブリッド車両の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】EV走行中に減速ダウンシフト要求が生じた場合の変速応答性を確保する。
【解決手段】ハイブリッド駆動装置では、変速段としてMG2を出力要素とする1速段及び3速段並びにMG1を出力要素とする2速段を選択可能である。EV走行中にハイブリッド車両が減速状態となり、これらの変速段の中でダウンシフトが要求された場合、ECUは、対応する変速クラッチを係合状態に移行させるべく当該変速クラッチの係合要素である両クラッチ板を回転同期させる。この際、回転同期に寄与するMGが電力回生状態となる場合には、減速に伴うドライブシャフトからの駆動力の入力により電力回生を行っている、その時点の出力要素たるMGの電力回生量が抑制され、変速クラッチの回転同期が優先される。その結果、変速クラッチが可及的に早期に係合状態に移行する。
【選択図】図5
【解決手段】ハイブリッド駆動装置では、変速段としてMG2を出力要素とする1速段及び3速段並びにMG1を出力要素とする2速段を選択可能である。EV走行中にハイブリッド車両が減速状態となり、これらの変速段の中でダウンシフトが要求された場合、ECUは、対応する変速クラッチを係合状態に移行させるべく当該変速クラッチの係合要素である両クラッチ板を回転同期させる。この際、回転同期に寄与するMGが電力回生状態となる場合には、減速に伴うドライブシャフトからの駆動力の入力により電力回生を行っている、その時点の出力要素たるMGの電力回生量が抑制され、変速クラッチの回転同期が優先される。その結果、変速クラッチが可及的に早期に係合状態に移行する。
【選択図】図5
Description
本発明は、内燃機関と電動発電機とを動力源として備えたハイブリッド車両の制御装置の技術分野に関する。
二つのモードを備えたハイブリッド車両のパワートレインが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示された電気機械式パワートレインによれば、一方のモータ/発電機ユニットが発電機として機能し、他方のモータ/発電機ユニットがモータとして機能するモードと、当該他方のモータ/発電機ユニットが発電機として機能し、当該一方のモータ/発電機ユニットがモータとして機能するモードで動作可能であるとされている。
尚、エンジン始動する際にブレーキを係合するものも提案されている(例えば、特許文献2参照)。
また、この種の装置を適用可能なものとして、二組の遊星歯車機構を組み合わせて四つの回転要素を有する歯車機構として構成された分配機構を備えると共に二つの出力要素を出力部材に選択的に連結する連結機構を備え、複数の駆動形態の中から走行要求に適した駆動形態を選択することによりエネルギ効率の良い走行を可能とするものも提案されている(例えば、特許文献3参照)。
更に、HV車において非変速中はSOC値をバッテリ性能限界よりも狭く設定して、変速中はバッテリの充電状態に依存することなくトルク吸収を図るものも提案されている(例えば、特許文献4参照)。
この種の複数のモードが変速段の切り替えを伴うハイブリッド車両においてEV走行中に減速ダウンシフトが行なわれる場合、パワートレインの構成によっては、変速過程の少なくとも一部において、いずれのモータジェネレータも電力回生状態となることがある。即ち、一方のモータジェネレータは、減速に伴って車軸から入力される動力により電力回生状態となり、他方のモータジェネレータは、例えば、クラッチやブレーキ等の係合要素の回転速度を所定の回転速度に同期させるべく電力回生状態となる。
ところが、これらモータジェネレータの電力供給源たるバッテリ等の蓄電手段において単位時間当たりに許容される充電量には上限が存在する。従って、両モータジェネレータのトータルの回生電力量が係る上限を超える場合が生じ得る。この場合、少なくとも一方の電力回生が阻害されることとなり、場合によっては係合要素の回転同期に要するトルクが不足してモードの切り替えに係る応答性が低下する可能性がある。即ち、この種のハイブリッド車両には、変速過程が緩慢に進行しかねないという技術的な問題点がある。
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、変速応答性を向上させ得るハイブリッド車両の制御装置を提供することを課題とする。
上述した課題を解決するため、本発明に係るハイブリッド車両の制御装置は、内燃機関と、所定の蓄電手段を電力供給源とする第1モータジェネレータと、該蓄電手段を電力供給源とする第2モータジェネレータと、車軸に連結される出力部材と、前記第1モータジェネレータ、前記第2モータジェネレータ及び前記内燃機関と夫々連結される回転要素を含む、相互に差動回転可能に構成された複数の回転要素を備えた動力分配手段と、各々が動作状態として少なくとも(1)前記複数の回転要素のうち一の回転要素を回転不能に固定してなる固定状態及び(2)該一の回転要素を回転可能に解放してなる解放状態を採ることが可能に構成され、前記各々における前記動作状態に応じて、前記第1モータジェネレータを前記出力部材に対する動力の出力要素とする第1変速段と、前記第2モータジェネレータを該出力要素とする第2変速段との間で変速段を切り替えることが可能な複数の回転同期係合式の係合装置と、前記内燃機関と前記出力部材との間の動力の伝達を遮断可能な遮断手段とを備えたハイブリッド車両の制御装置であって、前記ハイブリッド車両が、前記内燃機関の動力を使用しないEV走行モードで走行中に減速する際に前記第1変速段と前記第2変速段との間で前記変速段の切り替えが要求された場合として規定されるEV走行減速ダウンシフト要求時に、前記動力の伝達が遮断された状態において、前記変速段が切り替わるように、前記第1及び第2モータジェネレータのうち変速後に前記出力要素となる一方を使用した係合要素の回転同期を伴う前記複数の係合装置の少なくとも一部における前記動作状態の制御を行う変速制御手段と、前記変速制御手段により前記変速段が切り替えられるに際して前記第1モータジェネレータ及び前記第2モータジェネレータが共に電力回生状態となる場合に、前記動作状態の制御に伴う電力回生が前記出力部材からの動力の入力に伴う電力回生に優先されるように、前記第1モータジェネレータ及び前記第2モータジェネレータと前記蓄電手段との間の電力の入出力を制御する回生制御手段とを具備することを特徴とする。
本発明に係るハイブリッド車両の制御装置によれば、内燃機関、第1モータジェネレータ(以下、適宜「第1MG」と称する)及び第2モータジェネレータ(以下、適宜「第2MG」と称する)を動力源として備え、各々が動力分配手段の各回転要素を適宜に固定又は解放可能に構成された複数の回転同期式の係合装置により第1及び第2の変速段を実現可能なハイブリッド車両において、EV走行中に減速に伴うダウンシフト要求が生じた場合として規定されるEV走行減速ダウンシフト要求時に、例えばECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等の形態を採り得る変速制御手段により、変速段の切り替えが行われる。
本発明に係る「変速段」とは、出力要素(内燃機関、第1MG及び第2MGのうち少なくとも一部)の回転速度と出力部材の回転速度との速度比たる変速比を規定する、係合装置各々の物理状態の総体を意味し、一の変速段において変速比が固定されている(所謂固定変速モード)にせよ、一の変速段において変速比が物理的又は実質的に規定される範囲で連続的に可変である(所謂無段変速モード)にせよ、変速段によりある程度動力源と出力部材との間の回転状態に係る相対関係は規定される。従って、通常、これら変速段は、ハイブリッド車両の運転条件(例えば、車速及び要求駆動力)に応じて、その都度適宜選択的に切り替えられる。尚、これら各変速段は、好適な一形態としては、内燃機関と各MGとの協調制御により出力部材への動力供給を賄うHV(Hybrid Vehicle)走行モードであれ、内燃機関における動力生成を停止させてMGのみにより各出力部材への動力供給を賄うEV(Electric Vehicle)走行モードであれ選択可能に構成される。
ここで、本発明に係る変速段は、第1変速段と第2変速段の少なくとも二種類に分類される。前者は、第1MGを出力要素として機能させる少なくとも一の変速段から構成され、後者は、第2MGを出力要素として機能させる少なくとも一の変速段から構成される。第1変速段を構成する一の変速段と第2変速段を構成する一の変速段とは、例えば、変速時における出力部材への動力供給を中断させない(トルク抜けを生じさせない)こと等を目的として、例えば、1速段及び3速段が第2変速段であれば2速段が第1変速段とされる等、その選択条件が相互に隣接するように定められることが多く、通常、変速(変速段の切り替え)に際しては第1及び第2変速段相互間の切り替えが要求される。尚、選択条件の如何によらず、第1及び第2変速段相互間の変速段の切り替えが生じ得ることは言うまでもない。
ここで特に、ハイブリッド車両がEVモードで走行している状態において、いずれの変速段が選択されているにせよ、内燃機関は、好適には自身のフリクションにより停止し、遮断手段により出力部材との間の動力伝達が遮断されているにせよ遮断されていないにせよ機関回転速度はゼロとなり得る(例えば、内燃機関の機関出力軸が連結される動力分配手段の回転要素と差動関係にある回転要素のうち一部が、係合手段の動作状態の制御によりフリーの状態とされ、当該フリクションに打ち勝つ動力が機関出力軸に供給されないこと等による)。
ところが、第1変速段と第2変速段との間で変速段が切り替えられる場合、一時的にいずれのMGも、各々対応する回転要素を介して出力部材へ連結された状態となるため、内燃機関と出力部材との間の動力伝達が遮断されていないと、この変速の過程において内燃機関の回転速度が出力部材の回転速度により一義的に規定された回転速度まで上昇し、ドライバビリティの低下及び不要なエネルギ損失が発生することとなる。そのため、本発明では、変速制御手段の作用により、係るEV走行減速ダウンシフト要求時に、当該動力の伝達が遮断された状態において各係合要素の動作状態が制御される。
一方、各変速段は、係合装置各々の動作状態に応じて可変となるため、変速制御手段により内燃機関の機関回転速度を維持しつつ変速段が切り替えられるに際しては、係合装置の動作状態が適宜変更される必要が生じる。ここで、本発明において、係合装置は、例えばドグクラッチ機構等、係合に際して係合要素相互間の回転同期を必要とする(尚、この種の物理的に回転同期を必要とするものに限らず、例えば制御上の制約等により回転同期を必要とするものも含まれる)回転同期式の係合装置として構成されており、係る回転同期には、係合装置各々に対応する一方のMGが使用される構成となっている。即ち、当該一方のMGにより係合要素の一方の回転速度を変化させることにより係合要素相互間の回転同期を図るといった図式である。従って、この種の変速に際しては、変速後に出力要素となるMG(好適には、出力部材と内燃機関の機関回転速度(好適にはゼロ)とにより一義に規定される回転速度で回転している)の回転速度を、係合要素の回転同期に必要となる回転速度まで変化させる必要が生じる。
ここで、この係合要素相互間の回転同期を図る上で生じる過渡的な回転速度の変化過程においては、その時点の出力部材の回転速度に応じて、変速後に出力要素となるMGが電力回生状態(好適には、正回転負トルク状態)になり得る。一方で、変速前に出力要素として機能しているMGは、減速に伴い車軸及び出力部材を介して入力される駆動力により既に電力回生状態にあるため、結局、変速段の切り替えに際しては、一時的であるにせよ両MGが同時に電力回生状態となる可能性が生じ得る。
ところが、これらMGの電力供給源たるバッテリ等の蓄電手段は、例えば単位時間当たりに受け入れ可能な電流の物理的、機械的若しくは電気的な又は制御上の上限値が決まっており、このように両MGが電力回生状態にあると、回生された電力に応じて蓄電手段に供給される電流が係る上限値を超える可能性が排除できない。この種の言わば過剰な電力回生が生じた場合、何らの対策も講じられることがなければ、或いはこの種の問題の発生に留意することがなければ、係合要素を回転同期状態に移行させるためのトルクが不足して、係る回転同期状態に至る過程が緩慢となり、変速の応答性が低下して、変速を迅速に完了することが極めて困難となりかねない。
そこで、本発明に係るハイブリッド車両の制御装置によれば、例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等の形態を採り得る回生制御手段により、係合装置の動作状態の制御に伴う電力回生が出力部材からの動力の入力に伴う電力回生に優先されるように、第1MG及び第2MGと蓄電手段との間の電力の入出力が制御される。例えば、回生制御手段はこの際、出力部材からの動力の入力に伴う電力回生を禁止する、或いは係る電力回生に際しての電力回生量を減少させる等の措置を講じることにより、少なくとも係合装置の動作状態の制御が実践上遅滞無く行われ得るように、係合装置の動作状態の制御に要する電力回生量を確保する。従って、本発明によれば、この種のハイブリッド車両において変速段が切り替えられるに際しての変速の応答性の低下を確実に防止することが可能となり、変速応答性を向上させることが可能となるのである。
本発明に係るハイブリッド車両の一の態様では、前記EV走行減速ダウンシフト要求時に前記動力の伝達が遮断されるように前記遮断手段を制御する遮断制御手段を更に具備し、前記変速制御手段は、前記遮断制御手段により前記動力の伝達が遮断された後に前記少なくとも一部における動作状態の制御を行う。
この態様によれば、例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等の形態を採り得る遮断制御手段により、係るEV走行減速ダウンシフト要求時に、内燃機関と出力部材との間の動力伝達が遮断される。このため、EV減速ダウンシフト要求時に、内燃機関の機関回転速度を変化させることなく確実に変速を行うことが可能となる。尚、遮断制御手段が遮断手段に対し行う制御とは、例えば、既に遮断手段により係る動力伝達が遮断されている場合にその状態を維持するといった制御態様を含む趣旨である。
尚、この態様では、前記遮断制御手段は、前記EV走行減速ダウンシフト要求時を除く前記ハイブリッド車両のEV走行期間の少なくとも一部において、前記動力伝達が遮断されないように前記遮断手段を制御してもよい。
この場合、EV走行減速ダウンシフト要求時を除くEV走行期間の少なくとも一部において、内燃機関と出力部材との間の動力伝達が維持される。この状態は、結局のところ、HVモード等内燃機関が稼動する期間において、第1又は第2MGを、内燃機関の反力トルクを負担する反力要素として機能させる状態であり、内燃機関の始動時に、内燃機関に対しクランキングトルクを付与し得る状態に等しい。このため、この態様によれば、EV走行期間において内燃機関の始動が要求された場合に、内燃機関を迅速に始動させることが可能となり、内燃機関の始動が遅延することによる動力性能の低下が防止される。補足すれば、係る動力伝達が遮断されている場合、遮断手段の駆動制御に係るプロセスを経てからでなければ内燃機関にトルクを入力することができないため、内燃機関の始動が遅延しかねないのである。
但し、EV走行期間において係る動力伝達を遮断する場合、減速時の回生電力の一部が遮断手段を介して動力分配手段の各回転要素や他のMGの回転に消費されることが防止されるから、回生電力を高効率に蓄電手段への蓄電に供することができるといった利点も生じ得る。従って、遮断手段をEV走行期間中に如何なる状態に維持するかについては、例えば、予め実験的に、経験的に、理論的に又はシミュレーション等に基づいて、例えば、内燃機関の始動が要求され易い状況においては動力の伝達を遮断せず、内燃機関の始動頻度が要求され難い状況においては動力の伝達を遮断する等、内燃機関の始動頻度や始動の可能性等に対応付ける形で適切に設定されていてもよい。
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施形態から明らかにされる。
<発明の実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の好適な各種実施形態について説明する。
以下、図面を参照して、本発明の好適な各種実施形態について説明する。
<実施形態の構成>
始めに、図1を参照し、本発明の一実施形態に係るハイブリッド車両10の構成について説明する。ここに、図1は、ハイブリッド車両10の構成を概念的に表してなる概略構成図である。
始めに、図1を参照し、本発明の一実施形態に係るハイブリッド車両10の構成について説明する。ここに、図1は、ハイブリッド車両10の構成を概念的に表してなる概略構成図である。
図1において、ハイブリッド車両10は、ECU100、減速機構11、PCU(Power Control Unit)12、バッテリ13、車速センサ14及びアクセル開度センサ15並びにハイブリッド駆動装置20を備えた、本発明に係る「ハイブリッド車両」の一例である。
ECU100は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM等を備え、ハイブリッド車両10の動作全体を制御することが可能に構成された電子制御ユニットであり、本発明に係る「ハイブリッド車両の制御装置」の一例である。ECU100は、ROMに格納された制御プログラムに従って、後述するEV走行減速制御を実行することが可能に構成されている。尚、ECU100は、本発明に係る「変速制御手段」、「回生制御手段」及び「遮断制御手段」の夫々一例として機能するように構成された一体の電子制御ユニットであり、これら各手段に係る動作は、全てECU100によって実行されるように構成されている。但し、本発明に係るこれら各手段の物理的、機械的及び電気的な構成はこれに限定されるものではなく、例えばこれら各手段は、複数のECU、各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等として構成されていてもよい。
減速機構11は、ハイブリッド駆動装置20における後述する出力軸600に連結され、出力軸600の回転速度を所定のギア比に従って減速して伝達するギア装置である。減速機構11は、ハイブリッド車両10の駆動輪たる左前輪FL及び右前輪FRに夫々連結されるドライブシャフトSFL及びSFR(即ち、本発明に係る「車軸」の一例)と、デファレンシャル(符合省略)を介して連結されている。尚、本実施形態では、出力軸600の回転速度を減速する減速機構11の減速比は一定であるが、これは一例に過ぎず、例えば、減速機構11に替えて、複数の減速比を選択可能なギア装置が設置されていてもよい。
PCU12は、バッテリ13から取り出した直流電力を交流電力に変換して後述するモータジェネレータMG1及びモータジェネレータMG2に供給すると共に、モータジェネレータMG1及びモータジェネレータMG2によって発電された交流電力を直流電力に変換してバッテリ13に供給することが可能に構成されたインバータ等を含み、バッテリ13と各モータジェネレータとの間の電力の出力を、或いは各モータジェネレータ相互間の電力の出力(即ち、この場合、バッテリ13を介さずに各モータジェネレータ相互間で電力の授受が行われる)を制御することが可能に構成された制御ユニットである。PCU12は、ECU100と電気的に接続されており、ECU100によってその動作が制御される構成となっている。
バッテリ13は、モータジェネレータMG1及びモータジェネレータMG2を力行するための電力に係る電力供給源として機能することが可能に構成された充電可能な蓄電手段である。
車速センサ14は、ハイブリッド車両10の車速Vを検出することが可能に構成されたセンサである。車速センサ14は、ECU100と電気的に接続されており、検出された車速Vは、ECU100によって一定又は不定の周期で参照される構成となっている。
アクセル開度センサ15は、ハイブリッド車両10の図示せぬアクセルペダルの操作量たるアクセル開度Taを検出することが可能に構成されたセンサである。アクセル開度センサ15は、ECU100と電気的に接続されており、検出されたアクセル開度Taは、ECU100によって一定又は不定の周期で参照される構成となっている。
ハイブリッド駆動装置20は、ハイブリッド車両10のパワートレインとして機能する動力供給ユニットである。ここで、図2を参照し、ハイブリッド駆動装置20の詳細な構成について説明する。ここに、図2は、ハイブリッド駆動装置20の構成を概念的に表してなる概略構成図である。尚、同図において、図1と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図2において、ハイブリッド駆動装置20は、エンジン200、動力分割機構300、モータジェネレータMG1(以下、適宜「MG1」と略称する)、モータジェネレータMG2(以下、適宜「MG2」と略称する)、入力軸400及び出力軸500を備える。
エンジン200は、本発明に係る「内燃機関」の一例たるガソリンエンジンであり、ハイブリッド車両10の主たる動力源として機能するように構成されている。ここで、図3を参照し、エンジン200の詳細な構成について説明する。ここに、図3は、エンジン200の一断面構成を例示する模式図である。尚、同図において、図1及び図2と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。尚、本発明における「内燃機関」とは、例えば2サイクル又は4サイクルレシプロエンジン等を含み、少なくとも一の気筒を有し、当該気筒内部の燃焼室において、例えばガソリン、軽油或いはアルコール等の各種燃料を含む混合気が燃焼した際に発生する力を、例えばピストン、コネクティングロッド及びクランク軸等の物理的又は機械的な伝達手段を適宜介して駆動力として取り出すことが可能に構成された機関を包括する概念である。係る概念を満たす限りにおいて、本発明に係る内燃機関の構成は、エンジン200のものに限定されず各種の態様を有してよい。
図3において、エンジン200は、気筒201内において燃焼室に点火プラグ(符号省略)の一部が露出してなる点火装置202による点火動作を介して混合気を燃焼せしめると共に、係る燃焼による爆発力に応じて生じるピストン203の往復運動を、コネクティングロッド204を介してクランクシャフト205(即ち、本発明に係る「内燃機関の出力軸」の一例である)の回転運動に変換することが可能に構成されている。
クランクシャフト205近傍には、クランクシャフト205の回転位置(即ち、クランク角)を検出するクランクポジションセンサ206が設置されている。このクランクポジションセンサ206は、ECU100(不図示)と電気的に接続されており、ECU100では、このクランクポジションセンサ206から出力されるクランク角信号に基づいて、エンジン200の機関回転速度NEが算出される構成となっている。
尚、エンジン200は、紙面と垂直な方向に4本の気筒201が直列に配されてなる直列4気筒エンジンであるが、個々の気筒201の構成は相互に等しいため、図2においては一の気筒201についてのみ説明を行うこととする。また、本発明に係る内燃機関における気筒数及び各気筒の配列形態は、上述した概念を満たす範囲でエンジン200のものに限定されず多様な態様を採り得、例えば、6気筒、8気筒或いは12気筒エンジンであってもよいし、V型、水平対向型等であってもよい。
エンジン200において、外部から吸入された空気は吸気管207を通過し、吸気ポート210を介して吸気バルブ211の開弁時に気筒201内部へ導かれる。一方、吸気ポート210には、インジェクタ212の燃料噴射弁が露出しており、吸気ポート210に対し燃料を噴射することが可能な構成となっている。インジェクタ212から噴射された燃料は、吸気バルブ211の開弁時期に前後して吸入空気と混合され、上述した混合気となる。
燃料は、図示せぬ燃料タンクに貯留されており、図示せぬフィードポンプの作用により、図示せぬデリバリパイプを介してインジェクタ212に供給される構成となっている。気筒201内部で燃焼した混合気は排気となり、吸気バルブ211の開閉に連動して開閉する排気バルブ213の開弁時に排気ポート214を介して排気管215に導かれる。
一方、吸気管207における、吸気ポート210の上流側には、図示せぬクリーナを経て導かれた吸入空気に係る吸入空気量を調節するスロットルバルブ208が配設されている。このスロットルバルブ208は、ECU100と電気的に接続されたスロットルバルブモータ209によってその駆動状態が制御される構成となっている。尚、ECU100は、基本的には不図示のアクセルペダルの開度(即ち、上述したアクセル開度Ta)に応じたスロットル開度が得られるようにスロットルバルブモータ209を制御するが、スロットルバルブモータ209の動作制御を介してドライバの意思を介在させることなくスロットル開度を調整することも可能である。即ち、スロットルバルブ208は、一種の電子制御式スロットルバルブとして構成されている。
排気管215には、三元触媒216が設置されている。三元触媒216は、エンジン200から排出されるCO(一酸化炭素)、HC(炭化水素)、及びNOx(窒素酸化物)を夫々浄化することが可能に構成されている。尚、本発明に係る触媒装置の採り得る形態は、このような三元触媒に限定されず、例えば三元触媒に代えて或いは加えて、NSR触媒(NOx吸蔵還元触媒)或いは酸化触媒の各種触媒が設置されていてもよい。
排気管215には、エンジン200の排気空燃比を検出することが可能に構成された空燃比センサ217が設置されている。更に、気筒201を収容するシリンダブロックに設置されたウォータージャケットには、エンジン200を冷却するために循環供給される冷却水(LLC)に係る冷却水温を検出するための水温センサ218が配設されている。これら空燃比センサ217及び水温センサ218は、夫々ECU100と電気的に接続されており、検出された空燃比及び冷却水温は、夫々ECU100により一定又は不定の検出周期で把握される構成となっている。
図2に戻り、モータジェネレータMG1は、本発明に係る「第1モータジェネレータ」の一例たる電動発電機であり、電気エネルギを運動エネルギに変換する力行機能と、運動エネルギを電気エネルギに変換する回生機能とを備えた構成となっている。モータジェネレータMG2は、本発明に係る「第2モータジェネレータ」の一例たる電動発電機であり、モータジェネレータMG1と同様に、電気エネルギを運動エネルギに変換する力行機能と、運動エネルギを電気エネルギに変換する回生機能とを備えた構成となっている。尚、モータジェネレータMG1及びMG2は、例えば同期電動発電機として構成され、例えば外周面に複数個の永久磁石を有するロータと、回転磁界を形成する三相コイルが巻回されたステータとを備える構成を有していてもよいし、他の構成を有していてもよい。
動力分割機構300は、本発明に係る「動力分配手段」の一例たる動力伝達装置である。動力分割機構300は、第1遊星歯車機構310及び第2遊星歯車機構320を有する。
第1遊星歯車機構310は、シングルピニオン型の遊星歯車機構とダブルピニオン型の遊星歯車機構とが連結された構成を有する複合型遊星歯車機構である。即ち、シングルピニオン型の遊星歯車機構は、モータジェネレータMG2の出力軸が連結されたサンギア311(即ち、本発明に係る「第2モータジェネレータが連結される回転要素」の一例)、ピニオンギア(符号省略)を自転可能且つ一体的に公転可能に支持し、且つ動力分割機構300の外郭ケースに回転不能に物理的に固定されてなるキャリア312、及びリングギア313を備え、ダブルピニオン型の遊星歯車機構は、後述する遮断クラッチC5の一方の係合要素に連結されたサンギア314、サンギア314に噛合するインナーピニオンギア(符号省略)、エンジン200のクランクシャフト205に連結されクランクシャフト205と一体に回転する入力軸400に連結されたリングギア316(即ち、本発明に係る「内燃機関が連結される回転要素」の一例)、リングギア316に噛合するアウターピニオンギア(符号省略)、並びにインナーピニオンギア及びアウターピニオンギアを自転可能且つ一体的に公転可能に支持し、且つ先述のリングギア313と連結されると共に、中間軸600に連結されてなるキャリア315を有している。尚、第1遊星歯車機構310を構成するこれら各ギアは、本発明に係る「回転要素」の一例である。
第2遊星歯車機構320は、二種類のシングルピニオン型の遊星歯車機構が連結された構成を有する複合型遊星歯車機構である。
一方の遊星歯車機構は、モータジェネレータMG1の出力軸及び遮断クラッチC5の他方の係合要素に連結されたサンギア321(即ち、本発明に係る「第1モータジェネレータが連結される回転要素」の一例)、ピニオンギア(符号省略)を自転可能且つ一体的に公転可能に支持し、且つ動力分割機構300の動力出力軸たる出力軸600(本発明に係る「出力部材」の一例)に連結されると共に、後述する変速クラッチC3及び変速クラッチC4の各々における一方の係合要素に連結されたキャリア322、及び後述する変速クラッチC2の一方の係合要素及び変速クラッチC4の他方の係合要素に連結されたリングギア323を有する。
また他方の遊星歯車機構は、第1遊星歯車機構310における先述のキャリア315に連結されたサンギア324、ピニオンギア(符号省略)を自転可能且つ一体的に公転可能に支持し、且つ出力軸600に連結される(必然的に、キャリア322とも連結される)と共に、キャリア322と同様に、変速クラッチC3及び変速クラッチC4の各々における前記一方の係合要素に連結されたキャリア325、及び後述する変速クラッチC1の一方の係合要素及び変速クラッチC3の他方の係合要素に連結されたリングギア326を有する。
変速クラッチC1は、本発明に係る「係合装置」の一例たるドグクラッチ機構である。変速クラッチC1は、係合要素として、相互に対向し、且つ対向面の各々に相互に噛合可能なドグ歯が形成されてなる二枚のクラッチ板を備えた係合装置である。変速クラッチC1の一方のクラッチ板は、第2遊星歯車機構320のリングギア326に連結され、他方のクラッチ板は、物理的に固定されている。変速クラッチC1は、クラッチ板同士のドグ歯が噛合することにより係合するため、その係合に際しては回転同期が必要となる(尚、厳密に言えば、ドグ歯同士の位相同期も必要となるが、ここでは省略する)。
特に変速クラッチC1では、他方のクラッチ板が物理的に固定され、その回転速度がゼロであるため、その係合に際しては、リングギア326の回転速度をゼロとする旨の回転同期制御が必要となる。尚、クラッチ板同士の係合に際しては、回転同期が取れた状態においてリングギア326側のクラッチ板が固定側のクラッチ板に向けてストロークされる構成となっている。このクラッチ板をストロークさせるのに必要となる駆動力は、ECU100と電気的に接続されECU100により上位に制御される不図示の駆動系により供給される。
補足すると、変速クラッチC1が、両クラッチ板が係合してなる係合状態を採る場合、リングギア326の回転速度がゼロとなり、且つキャリア325の回転速度は車速と一義的となるため、残余の一回転要素たるサンギア324の回転速度は一義的に規定される。一方、サンギア324はキャリア315を介してリングギア315に連結されているが、キャリア312が物理的に固定されているため、結局変速クラッチC1が係合状態にある場合、MG2の回転速度Nmg2は、車速に応じて一義に規定される。
変速クラッチC2は、本発明に係る「係合装置」の他の一例たるドグクラッチ機構である。変速クラッチC2は、係合要素として、相互に対向し、且つ対向面の各々に相互に噛合可能なドグ歯が形成されてなる二枚のクラッチ板を備えた係合装置である。変速クラッチC2の一方のクラッチ板は、第2遊星歯車機構320のリングギア323に連結され、他方のクラッチ板は、物理的に固定されている。変速クラッチC2は、クラッチ板同士のドグ歯が噛合することにより係合するため、その係合に際しては回転同期が必要となる(尚、厳密に言えば、ドグ歯同士の位相同期も必要となるが、ここでは省略する)。
特に変速クラッチC2では、他方のクラッチ板が物理的に固定され、その回転速度がゼロであるため、その係合に際しては、リングギア323の回転速度をゼロとする旨の回転同期制御が必要となる。尚、クラッチ板同士の係合に際しては、回転同期が取れた状態においてリングギア323側のクラッチ板が固定側のクラッチ板に向けてストロークされる構成となっている。このクラッチ板をストロークさせるのに必要となる駆動力は、ECU100と電気的に接続されECU100により上位に制御される不図示の駆動系により供給される。
補足すると、変速クラッチC2が、両クラッチ板が係合してなる係合状態を採る場合、リングギア323の回転速度がゼロとなり、且つキャリア325の回転速度は車速と一義的となるため、残余の一回転要素たるサンギア321の回転速度は一義的に規定される。一方、サンギア321はMG1と連結されているため、結局変速クラッチC2が係合状態にある場合、MG1の回転速度Nmg1は、車速に応じて一義に規定される。
変速クラッチC3は、本発明に係る「係合装置」の他の一例たるドグクラッチ機構である。変速クラッチC3は、係合要素として、相互に対向し、且つ対向面の各々に相互に噛合可能なドグ歯が形成されてなる二枚のクラッチ板を備えた係合装置である。変速クラッチC3の一方のクラッチ板は、第2遊星歯車機構320のキャリア322及び325に連結され、他方のクラッチ板は、第2遊星歯車機構320のリングギア326に固定されている。変速クラッチC3は、クラッチ板同士のドグ歯が噛合することにより係合するため、その係合に際しては回転同期が必要となる(尚、厳密に言えば、ドグ歯同士の位相同期も必要となるが、ここでは省略する)。尚、クラッチ板同士の係合に際しては、回転同期が取れた状態においてリングギア326側のクラッチ板がキャリア側のクラッチ板に向けてストロークされる構成となっている。このクラッチ板をストロークさせるのに必要となる駆動力は、ECU100と電気的に接続されECU100により上位に制御される不図示の駆動系により供給される。
補足すると、変速クラッチC3が、両クラッチ板が係合してなる係合状態を採る場合、リングギア326の回転速度とキャリア325の回転速度とは、出力軸600の回転速度と等しくなるため、残余の一回転要素たるサンギア324の回転速度もまた、出力軸600の回転速度と等しくなる。
変速クラッチC4は、本発明に係る「係合装置」の他の一例たるドグクラッチ機構である。変速クラッチC4は、係合要素として、相互に対向し、且つ対向面の各々に相互に噛合可能なドグ歯が形成されてなる二枚のクラッチ板を備えた係合装置である。変速クラッチC4の一方のクラッチ板は、第2遊星歯車機構320のキャリア322及び325に連結され、他方のクラッチ板は、第2遊星歯車機構320のリングギア323に固定されている。変速クラッチC4は、クラッチ板同士のドグ歯が噛合することにより係合するため、その係合に際しては回転同期が必要となる(尚、厳密に言えば、ドグ歯同士の位相同期も必要となるが、ここでは省略する)。尚、クラッチ板同士の係合に際しては、回転同期が取れた状態においてリングギア323側のクラッチ板がキャリア側のクラッチ板に向けてストロークされる構成となっている。このクラッチ板をストロークさせるのに必要となる駆動力は、ECU100と電気的に接続されECU100により上位に制御される不図示の駆動系により供給される。
補足すると、変速クラッチC4が、両クラッチ板が係合してなる係合状態を採る場合、リングギア323の回転速度とキャリア322の回転速度とは、出力軸600の回転速度と等しくなるため、残余の一回転要素たるサンギア321の回転速度もまた、出力軸600の回転速度と等しくなる。
尚、変速クラッチC2及び変速クラッチC4は、両方が同時に係合状態となることがないように構成されており、また変速クラッチC1及び変速クラッチC3も、両方が同時に係合状態となることがないように構成されている。
遮断クラッチC5は、本発明に係る「遮断手段」の一例たるドグクラッチ機構である。遮断クラッチC5は、係合要素として、相互に対向し、且つ対向面の各々に相互に噛合可能なドグ歯が形成されてなる二枚のクラッチ板を備えた係合装置である。遮断クラッチC5の一方のクラッチ板は、第1遊星歯車機構310のサンギア314に連結され、他方のクラッチ板は、第2遊星歯車機構320のサンギア321に固定されている。
遮断クラッチC5は、クラッチ板同士のドグ歯が噛合することにより係合するため、その係合に際しては回転同期が必要となる(尚、厳密に言えば、ドグ歯同士の位相同期も必要となるが、ここでは省略する)。尚、クラッチ板同士の係合に際しては、回転同期が取れた状態においてサンギア321側のクラッチ板がサンギア314側のクラッチ板に向けてストロークされる構成となっている。このクラッチ板をストロークさせるのに必要となる駆動力は、ECU100と電気的に接続されECU100により上位に制御される不図示の駆動系により供給される。遮断クラッチC5が、両クラッチ板が係合してなる係合状態を採る場合、サンギア321の回転速度とサンギア314の回転速度とは等しくなる。
動力分割機構300は更に、ブレーキB1を備える。ブレーキB1は、一方のブレーキ板が物理的に固定された湿式多板摩擦係合式の係合手段である。ブレーキB1の他方のブレーキ板は、MG1の回転軸に連結されており、ブレーキB1の各ブレーキ板同士が係合した状態においては、MG1の回転は阻止され、所謂MG1ロックが実現される構成となっている。尚、ブレーキB1を駆動する駆動系は、ECU100と電気的に接続されており、ECU100により上位に制御される構成となっている。
<実施形態の動作>
<変速段の詳細>
本実施形態に係るハイブリッド駆動装置20によれば、上述した変速クラッチC1、C2、C3及びC4並びにブレーキB1及び遮断クラッチC5の動作状態に応じて、複数の変速段が実現される。ここで、図4を参照し、これら各係合装置の動作状態とハイブリッド駆動装置20における変速段の対応関係について説明する。ここに、図4は、各係合装置の動作状態と変速段との対応関係図である。尚、図4において、「○」は係合状態にあることを、また「×」は解放状態にあることを夫々表している。
<変速段の詳細>
本実施形態に係るハイブリッド駆動装置20によれば、上述した変速クラッチC1、C2、C3及びC4並びにブレーキB1及び遮断クラッチC5の動作状態に応じて、複数の変速段が実現される。ここで、図4を参照し、これら各係合装置の動作状態とハイブリッド駆動装置20における変速段の対応関係について説明する。ここに、図4は、各係合装置の動作状態と変速段との対応関係図である。尚、図4において、「○」は係合状態にあることを、また「×」は解放状態にあることを夫々表している。
図4において、先ず各変速クラッチの動作状態と変速段との関係について説明する。変速クラッチC1が係合状態に、他の変速クラッチが解放状態に制御される場合、変速段は1速段となる。
変速クラッチC1が係合状態にある場合、先述したように、MG2の回転速度Nmg2は車速に応じて一義的に規定される。一方、変速クラッチC2及びC4がいずれも解放状態にあるため、第2遊星歯車機構320のキャリア322が車速に応じた回転速度で回転してもリングギア323は空転するのみであり、サンギア321の回転動力に対する反力が与えられないため、サンギア321へ供給される動力が出力軸600に現れることはない。即ち、1速段は、MG2が出力軸600に対する出力要素として機能する、本発明に係る「第2変速段」の一例である。
ここで、ハイブリッド車両10には、この種の変速段とは別に、動力源の態様を規定する走行モードとして、エンジン200が稼動状態とされるHV走行モードとエンジン200が停止状態とされるEV走行モードとが用意される。いずれの走行モードにおいても、図4の対応関係は基本的に維持されるが、HV走行モードにおいては、エンジン200の出力トルクを出力軸600に伝達するために反力要素が必要となる。
ここで、エンジン200の出力トルクは、キャリア315とサンギア314とのギア比に応じて二系統に分割される(動力分割機構の所以である)が、出力軸600には、このサンギア314に連結されたMG1がエンジントルクに対する反力トルクを出力することにより初めてエンジントルクが現れる。即ち、1速段におけるHV走行モードでは、MG1が反力要素として機能し、MG1の回転速度を増減制御することにより、エンジン200の動作点を1速段により規定される変速比の範囲で自由に選択することが可能な、所謂電気CVT機能(無段変速機能)が得られる。一方、EV走行モードでは、エンジン200を稼動させる必要はないため、MG1(1速段の場合)もまた停止状態に制御され、ハイブリッド車両10は先述したようにMG2のトルクのみにより走行する。
この場合、遮断クラッチC5の動作状態は係合状態及び解放状態のいずれであってもよい。例えば、遮断クラッチC5が係合状態にある場合、MG2から見て遮断クラッチC5よりも下流側に位置するMG1或いは第2遊星歯車機構320の一部は、単なるフリクション要素に過ぎない。従って、減速時の回生電力にせよ、通常走行時の力行電力にせよ、一部はこのフリクションにより相殺される。このようなエネルギロスを回避する観点からは、EV走行モードにおいて遮断クラッチC5を解放状態に制御してもよい。但し、遮断クラッチC5が解放状態にある場合、エンジン200の反力要素は存在しないから、そのままではエンジン200をクランキングすることが不可能となる。この場合、エンジン200を始動するにあたっては、先ず遮断クラッチC5を係合状態に制御する必要が生じ、エンジン200の始動が遅れて動力性能の低下が顕在化し易い。このため、本実施形態において、遮断クラッチC5は基本的に係合状態に制御されている。即ち、このような制御は、本発明に係る「遮断制御手段」の動作の一例である。
変速段の説明に戻ると、変速クラッチC2が係合状態に、他の変速クラッチが解放状態に制御される場合、変速段は2速段となる。
変速クラッチC2が係合状態にある場合、先述したように、MG1の回転速度Nmg1は車速に応じて一義的に規定される。一方、変速クラッチC1及びC3がいずれも解放状態にあるため、第2遊星歯車機構320のキャリア325が車速に応じた回転速度で回転してもリングギア326は空転するのみであり、サンギア324の回転動力に対する反力が与えられないため、サンギア324へ供給される動力が出力軸600に現れることはない。即ち、2速段は、MG1が出力軸600に対する出力要素として機能する、本発明に係る「第1変速段」の一例である。尚、2速段においてHVモードが選択される場合、MG2が反力要素として機能する。
変速クラッチC3が係合状態に、他の変速クラッチが解放状態に制御される場合、変速段は3速段となる。変速クラッチC3が係合状態にある場合、先述したように、サンギア324の回転速度が車速に応じて一義的に規定されるため、結局は、1速段と同様にMG2が出力要素として機能することになる。即ち、3速段は、本発明に係る「第2変速段」の他の一例である。
ハイブリッド駆動装置20は、1速段、2速段及び3速段といった、HV走行モードにおいて電気CVT機能を呈する変速段の他に、1−2速段、2−3速段及び3−4速段の固定変速段を有する。これらは夫々変速クラッチC1及びC2、変速クラッチC2及びC3並びに変速クラッチC3及びC4を同時に係合状態とすることにより得られ、いずれにせよ、各動力源の回転速度は車速に応じて一義に固定される。但し、本実施形態においては、説明の煩雑化防ぐ目的から、これら各固定変速段は、1速段、2速段及び3速段相互間の変速段の切り替えに際し一時的に経由されるのみとし、実際のハイブリッド車両10の走行に際しては、主として1速段、2速段及び3速段が使用されることとする。
尚、ハイブリッド駆動装置20において、ブレーキB1によってMG1をロックし、変速クラッチC3が係合状態に制御された場合、3速ロック段が実現される。3速ロック段では、ブレーキB1によりエンジントルクの反力トルクを負担させることができるため、例えば高速軽負荷領域等における動力循環の回避に有益である。但し、3速ロック段についても、本実施形態ではその詳細に触れないこととする。
<EV走行減速制御の詳細>
ここで、ハイブリッド車両10がEV走行中に減速状態となり、運転条件の変化により変速段の切り替え(ダウンシフト)が要求される場合がある。ECU100は、係るEV走行中の減速時において、EV走行減速制御を実行し、ハイブリッド駆動装置20の動作状態を制御している。ここで、図5、図6及び図7を適宜参照し、EV走行減速制御の詳細について説明する。ここに、図5は、EV走行減速制御のフローチャートであり、また図6は、2速段から1速段への変速過程の前半部分に相当するハイブリッド駆動装置20の動作共線図であり、図7は、当該変速過程の後半部分に相当する当該動作共線図である。尚、図6及び図7において、図2と重複する箇所には同一の符合を付してその説明を適宜省略することとする。
ここで、ハイブリッド車両10がEV走行中に減速状態となり、運転条件の変化により変速段の切り替え(ダウンシフト)が要求される場合がある。ECU100は、係るEV走行中の減速時において、EV走行減速制御を実行し、ハイブリッド駆動装置20の動作状態を制御している。ここで、図5、図6及び図7を適宜参照し、EV走行減速制御の詳細について説明する。ここに、図5は、EV走行減速制御のフローチャートであり、また図6は、2速段から1速段への変速過程の前半部分に相当するハイブリッド駆動装置20の動作共線図であり、図7は、当該変速過程の後半部分に相当する当該動作共線図である。尚、図6及び図7において、図2と重複する箇所には同一の符合を付してその説明を適宜省略することとする。
図5において、ECU100は、ダウンシフト要求の有無を判別する(ステップS101)。ここで、ハイブリッド駆動装置20において、各変速段の選択条件は、予め車速と駆動力とにより変速マップとして規定されており、ECU100は、車速センサ14により検出される車速とアクセル開度センサ15により検出されるアクセル開度とに基づいて、一定のタイミングでダウンシフトが必要であるか否かを判別している。ダウンシフト要求が存在しない場合(ステップS101:NO)、ECU100は、ステップS101を繰り返し実行して、基本的に処理を待機状態とする。
図6において、この状態が図6(a)に示される。尚、図6において、横軸には、左側から順に、リングギア323、キャリア322(即ち、出力軸600)、MG1(即ち、サンギア321)、サンギア314、入力軸400(即ち、リングギア316)、キャリア315、サンギア324、キャリア325(即ち、出力軸600)、リングギア326、リングギア313、キャリア312及びMG2(即ち、サンギア311)が表されている。縦軸は、回転速度であり、ゼロを境界に上側が正回転領域、下側が負回転領域となっている。
図6において、車速が一定であるとすると(厳密には減速時であるから車速は減少しているが、説明が煩雑になる反面、発明の本質に影響を与えないため、ここでは車速が一定であるとする)、出力軸600に対応するキャリア322及びキャリア325の動作点が、夫々図示黒丸m2及び黒丸m8として表される。キャリア322の動作点が図示黒丸m2であり、係合状態にある変速クラッチC2によりリングギア323の回転速度がゼロである(図示黒丸m1参照)ため、必然的に残余の一回転要素たるサンギア321に連結されたMG1は、図示黒丸m3として示される動作点で動作している。
ここで、現在の変速段は2速段であるから、MG1は出力要素として機能しており、MG1は、キャリア322に対しドライブシャフトから入力される駆動トルクにより正回転領域で負トルクを出力している。その結果、このMG1は電力回生(発電)状態にある。変速要求が存在しない場合、ハイブリッド車両10は、基本的にこのMG1による電力回生が行われつつ減速走行を継続する。また、エンジン200は、フリクションに打ち勝つ反力トルクが与えられないため、自身のフリクションにより停止状態にあり(図示黒丸m5参照)、係合状態にある遮断クラッチC5によりサンギア314の回転速度がサンギア321と等しいため(図示黒丸m4参照)、残余の一回転要素たるキャリア315は、図示黒丸m6に示される動作点で動作している。
このキャリア315は、サンギア324と連結されており、サンギア324の回転状態は、キャリア315と一致している(図示黒丸m7参照)。従って、サンギア324の回転状態とキャリア325の回転状態とにより、リングギア326の回転状態も一義に決定されている(図示黒丸m9参照)。一方、キャリア315は、リングギア311と連結されており、リングギア311の回転状態は、キャリア315と等しくなっている(図示黒丸m11参照)。このため、固定され回転速度がゼロであるキャリア312(図示黒丸m12参照)とこのキャリア315との回転状態により、MG2の動作点も一義に決定されている(図示黒丸m13参照)。
図5において、1速段へのダウンシフト要求が生じた場合(ステップS101:YES)、ECU100は、変速クラッチC1を係合状態とするために遮断クラッチC5を解放状態に制御する(ステップS102)。遮断クラッチC5が解放状態とされた場合が、図6(b)に示される。
遮断クラッチC5を解放状態とするには、先ずクラッチ板同士に加わる係合トルクを消失させる必要がある。このため、ECU100は、MG2の出力制御により、サンギア314に解放トルクが加わるようにMG2を制御する。即ち、MG2から負トルクを出力させ、電力回生状態として、リングギア313に図示上向きのトルクを発生させる。このトルクは、リングギア313に連結されたキャリア315のトルクとなり、サンギア314の図示下向きのトルクとなって現れる。遮断クラッチC5は、このようにして係合トルクが消失した状態で一方のクラッチ板を解放側へストロークさせることにより解放状態に移行する。
図5において、遮断クラッチC5が解放状態とされると、ECU100は、変速後に係合状態となる変速クラッチ(ここでは、2速段から1速段への変速なので変速クラッチC1である)を回転同期させる(ステップS103)。
この回転同期に係る状態が図6(c)に示される。図6(c)において、変速クラッチC1を係合状態とするためには、変速クラッチC1の一方のクラッチ板に固定されたリングギア326の回転を停止させ、物理的に固定された他方のクラッチ板と回転同期を行う必要がある。
一方、リングギア326の動作点は図示黒丸m9であり、変速クラッチC1の係合状態における動作点は、図示白丸m10である。即ち、ステップS103に係る回転同期とは、リングギア326の動作点を図示白丸m10に一致させることを指す。車速を維持したままリングギア326の動作点を変更するためには、サンギア324の動作点を図示黒丸m7から図示黒丸m14へ変化させる必要があるが、サンギア324とキャリア315及びリングギア313の回転速度(夫々、図示黒丸m15及び黒丸m16に相当する回転速度)は等しいから、結局、この回転同期を実現するためには、MG2の動作点を図示黒丸m13から図示黒丸m17まで変化させることが必要となる。
他方、キャリア315の動作点は、変速開始以前には図示黒丸m4であり、エンジン200は変速前後で変わらず停止しているから、MG2の出力トルクによりリングギア313の動作点を変化させた結果、サンギア314の動作点は、図示黒丸m18に変化する。尚、図6(c)においては、従前の状態が破線で示され、回転同期完了後の状態が実線で示されている。
ここで、遮断クラッチC5が解放状態とされる必要性について述べると、遮断クラッチC5が係合状態にあるままで変速を行うと、サンギア314の動作点は、MG1の動作点と等しくなり、図示黒丸m14のままである。従って、エンジン200の回転速度は、サンギア314とキャリア316とによって一義的に図示黒丸m19まで上昇することになる(図示鎖線参照)。即ち、遮断クラッチ500を係合状態に維持した場合、エンジン200を停止させたまま変速を完了することは不可能となり、ドライバビリティの低下及び無駄なエネルギ損失が発生する。このため、変速に際して遮断クラッチC5は一時的に解放状態に制御されるのである。
ここで、MG2とMG1の動作状態を比較すると、MG1は変速前と変わらずに、出力軸600から入力される動力によって電力回生状態にあり、MG2も図示黒丸m13に相当する回転速度からゼロ回転までの回転領域において、正回転負トルクの電力回生状態にある。即ち、変速過程の一部において、両者は共に電力回生状態となる。
ここで特に、バッテリ13に許容される充電速度の上限は予め決まっており、バッテリ13に対し、回生電力を無尽蔵に供給することはできない。従って、MG1の電力回生量(単位時間当たりの回生量)と、MG2の電力回生量(単位時間当たりの回生量)との総和が、バッテリ13の上限値を超えてしまえば、先んじて行われているMG1の電力回生が優先される形となり、MG2の電力回生は、係る上限値からMG1の電力回生量を減じた値を上限として制限されざるを得ない。或いは、MG1の電力回生が優先されるとは限らずとも、MG2の電力回生が阻害される可能性は排除されない。いずれにせよMG2における電力回生が阻害されると、結局サンギア311の動作点を変化させるのに要する時間が遅延し、結局は、変速クラッチC1の係合に係る回転同期に要する時間が延びることとなって、変速応答性が低下する。
図5に戻り、ECU100は、変速クラッチの係合に寄与するMG(即ち、ここではMG2)が電力回生状態にあるか否かを判別する(ステップS104)。電力回生状態にある場合(ステップS104:YES)、ECU100は、ドライブシャフトを介した動力の入力により電力回生状態にある他方のMG(即ち、ここではMG1)の電力回生量を抑制する(ステップS105)。
この際、電力回生量抑制に係る態様は、特に限定されないが、例えば、リレー回路をオフにする等してPCU13を介した電力パス自体を遮断してもよいし、MG1の駆動電流を低下させることにより回生電力量を低下させてもよい。この際、MG1側の回生電力量の制限量は、固定値であっても可変値であってもよく、可変値である場合、例えば、変速クラッチの係合に寄与するMGの電力回生量が確実に確保される範囲で可及的に他方のMGの電力回生が行われ得るように制限量が適宜決定されてもよい。また、変速クラッチの係合の回転同期に際しては、回転同期初期(即ち、高回転側の領域)に回生電力が大きくなる。そのような点を考慮すれば、例えば、回転同期初期において減速に伴う電力回生における回生電力量をより多く制限してもよい。或いは制限量の初期値を決定して、時間経過と共に制限量をリニアに減少させてもよい。
変速クラッチの係合に寄与するMGが電力回生状態にない(例えば、電力回生に相当する動作領域から外れた場合等)か(ステップS104:NO)、或いは他方のMGの電力回生量が抑制された場合、ECU100は、該当する変速クラッチを係合させると共に、動作状態が係合状態に移行したか否かを判別する(ステップS106)。未だ変速クラッチが係合状態に移行していない場合(ステップS106:NO)、ECU100は、処理をステップS103に移行させ、一連の処理を繰り返す。即ち、変速過程においては、変速後の変速段(ここでは、1速段)に対応する変速クラッチ(ここでは、変速クラッチC1)の係合が優先される。変速クラッチが係合状態に移行すると、ECU100は、変速前に出力要素であったMG(ここではMG1)による電力回生を停止し、同時に変速後に出力要素となるMG(即ち、ここではMG2)による電力回生を開始する(ステップS107)。
ここで、図6(d)に、この状態が示される。即ち、1速段に対応する変速クラッチC1が係合状態となると、出力軸600への動力供給に寄与するキャリアは、キャリア322からキャリア325に変更される。即ち、変速クラッチC1がドライブシャフトから入力される駆動力の反力要素となり、サンギア324、キャリア315、リングギア313及びキャリア312を介してMG2が回生駆動されるのである。この段階で、MG1は、単にリングギア323とキャリア322とによって一義的に規定される回転速度で空転するだけとなる。この段階で狭義の変速は終了する。
但し、ハイブリッド駆動装置20では、EV走行中であっても基本的に遮断クラッチC5は係合状態に制御される。このため、ECU100は、遮断クラッチC5を係合状態とするため、従前の変速段に対応する変速クラッチ(即ち、ここでは、2速段に対応する変速クラッチC2)を解放状態に制御する(ステップS108)。ここで、図7(a)に示されるように、ECU100は、MG1から図示上向きに解放トルクを出力させ、変速クラッチC2の両クラッチ板に作用する係合トルクを消失させる。その後、リングギア323側のクラッチ板を解放位置までストロークさせ、変速クラッチC2を解放状態に移行させる。
図5に戻り、ECU100は、従前の変速段に対応する変速クラッチが解放状態となると、遮断クラッチC5を係合させる(ステップS109)。遮断クラッチC5が係合状態となると、処理はステップS101に戻され、EV走行減速制御の一プロセスが終了する。
遮断クラッチC5を係合状態に移行させるにあたっては、サンギア321とサンギア314との回転同期を図る必要が生じる。そこで、ECU100は、図7(b)に示されるように、MG1を正回転負トルクの電力回生状態として、サンギア321の動作点(MG1の動作点)を、1速段において出力軸600に対する動力供給に寄与しているサンギア314の動作点(図示黒丸m18)に相当する動作点(図示黒丸m20)に変化させ、サンギア321とサンギア314とを回転同期させる。これらの回転同期が完了すると、図7(c)に示されるように遮断クラッチC5が係合状態に制御され、上記一変速プロセスが終了する。
以上説明したように、本実施形態に係るEV走行減速制御によれば、EV走行中に減速に伴うダウンシフトが要求された場合に、変速クラッチの係合に伴う電力回生が減速に伴う電力回生に優先され、変速クラッチの係合に伴う電力回生量が確保される。このため、変速段を切り替えるために必要となる変速クラッチの係合を可及的に早期に完了させることができ、良好な変速応答性が確保されるのである。
尚、上記EV走行減速制御におけるステップS109において、遮断クラッチC5を係合させる際にも、同様の概念を適用することが可能である。即ち、図7(b)に示される通り、サンギア321とサンギア314との回転同期を図るに当たっては、図示黒丸m3に相当する回転速度からゼロ回転までの回転領域において、MG1は電力回生状態となる。一方で、変速段の切り替え後において、MG2は減速に伴う電力回生を行っており、ここでも、上記と同様に、両MGが電力回生状態となる。この場合、遮断クラッチC5は、エンジン200の始動要求が生じた場合の補償として係合されるに過ぎないから、変速過程における変速クラッチの係合を優先することとは趣旨が異なるものの、遮断クラッチC5の両クラッチ板の回転同期(サンギア321とサンギア314の回転同期)に伴う電力回生を減速に伴う電力回生に優先させることにより、当該回転同期に伴う電力回生量を確実に確保することが可能となる。即ち、可及的に早期に遮断クラッチC5を係合状態に移行させ得る点において実践上有益である。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うハイブリッド車両の制御装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
10…ハイブリッド車両、20…ハイブリッド駆動装置、100…ECU、200…エンジン、201…気筒、203…ピストン、205…クランクシャフト、300…動力分割機構、310…第1遊星歯車機構、311…サンギア、312…キャリア、313…リングギア、314…サンギア、315…キャリア、316…リングギア、320…第2遊星歯車機構、321…サンギア、322…キャリア、323…リングギア、324…サンギア、325…キャリア、326…リングギア、MG1…モータジェネレータ、MG2…モータジェネレータ、400…入力軸、500…中間軸、600…出力軸、C1、C2、C3、C4…変速クラッチ、C5…遮断クラッチ。
Claims (3)
- 内燃機関と、
所定の蓄電手段を電力供給源とする第1モータジェネレータと、
該蓄電手段を電力供給源とする第2モータジェネレータと、
車軸に連結される出力部材と、
前記第1モータジェネレータ、前記第2モータジェネレータ及び前記内燃機関と夫々連結される回転要素を含む、相互に差動回転可能に構成された複数の回転要素を備えた動力分配手段と、
各々が動作状態として少なくとも(1)前記複数の回転要素のうち一の回転要素を回転不能に固定してなる固定状態及び(2)該一の回転要素を回転可能に解放してなる解放状態を採ることが可能に構成され、前記各々における前記動作状態に応じて、前記第1モータジェネレータを前記出力部材に対する動力の出力要素とする第1変速段と、前記第2モータジェネレータを該出力要素とする第2変速段との間で変速段を切り替えることが可能な複数の回転同期係合式の係合装置と、
前記内燃機関と前記出力部材との間の動力の伝達を遮断可能な遮断手段と
を備えたハイブリッド車両の制御装置であって、
前記ハイブリッド車両が、前記内燃機関の動力を使用しないEV走行モードで走行中に減速する際に前記第1変速段と前記第2変速段との間で前記変速段の切り替えが要求された場合として規定されるEV走行減速ダウンシフト要求時に、前記動力の伝達が遮断された状態において、前記変速段が切り替わるように、前記第1及び第2モータジェネレータのうち変速後に前記出力要素となる一方を使用した係合要素の回転同期を伴う前記複数の係合装置の少なくとも一部における前記動作状態の制御を行う変速制御手段と、
前記変速制御手段により前記変速段が切り替えられるに際して前記第1モータジェネレータ及び前記第2モータジェネレータが共に電力回生状態となる場合に、前記動作状態の制御に伴う電力回生が前記出力部材からの動力の入力に伴う電力回生に優先されるように、前記第1モータジェネレータ及び前記第2モータジェネレータと前記蓄電手段との間の電力の入出力を制御する回生制御手段と
を具備することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 - 前記EV走行減速ダウンシフト要求時に前記動力の伝達が遮断されるように前記遮断手段を制御する遮断制御手段を更に具備し、
前記変速制御手段は、前記遮断制御手段により前記動力の伝達が遮断された後に前記動作状態の制御を行う
ことを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置。 - 前記遮断制御手段は、前記EV走行減速ダウンシフト要求時を除く前記ハイブリッド車両のEV走行期間の少なくとも一部において、前記動力伝達が遮断されないように前記遮断手段を制御する
ことを特徴とする請求項2に記載のハイブリッド車両の制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008319954A JP2010143282A (ja) | 2008-12-16 | 2008-12-16 | ハイブリッド車両の制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2008319954A JP2010143282A (ja) | 2008-12-16 | 2008-12-16 | ハイブリッド車両の制御装置 |
Publications (1)
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JP2010143282A true JP2010143282A (ja) | 2010-07-01 |
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ID=42564170
Family Applications (1)
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JP2008319954A Pending JP2010143282A (ja) | 2008-12-16 | 2008-12-16 | ハイブリッド車両の制御装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2010143282A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2012169410A1 (ja) * | 2011-06-07 | 2012-12-13 | アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 | 車両用駆動装置 |
WO2014162760A1 (ja) * | 2013-04-02 | 2014-10-09 | トヨタ自動車株式会社 | 車両の制御装置 |
-
2008
- 2008-12-16 JP JP2008319954A patent/JP2010143282A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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