JP2010143263A - 減衰力制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 車両の走行路面の特性に見合った乗り心地制御を行うことができる減衰力制御装置を提供すること。
【解決手段】 予め定められた設定期間内に計算された複数の要求減衰係数Creqの中心を表す減衰係数が、新たな線形減衰係数Cs_newとして計算され、この新たな線形減衰係数Cs_newが、今まで使用していた線形減衰係数Csに置き換えられる。これにより、線形減衰係数Cs_newが、実際の走行路面に合った減衰係数として適正化される。加えて、新たな線形減衰係数Cs_newに応じた新たな非線形重みβnewが計算される。このように適正化された新たな線形減衰係数Cs_newおよび新たな非線形重みβnewを用いてサスペンション装置SPの減衰力を制御することによって、車両の走行路面の特性に見合った最適な乗り心地制御を行うことができる。
【選択図】 図1
【解決手段】 予め定められた設定期間内に計算された複数の要求減衰係数Creqの中心を表す減衰係数が、新たな線形減衰係数Cs_newとして計算され、この新たな線形減衰係数Cs_newが、今まで使用していた線形減衰係数Csに置き換えられる。これにより、線形減衰係数Cs_newが、実際の走行路面に合った減衰係数として適正化される。加えて、新たな線形減衰係数Cs_newに応じた新たな非線形重みβnewが計算される。このように適正化された新たな線形減衰係数Cs_newおよび新たな非線形重みβnewを用いてサスペンション装置SPの減衰力を制御することによって、車両の走行路面の特性に見合った最適な乗り心地制御を行うことができる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、振動を減衰するための減衰力を制御する減衰力制御装置に関する。本発明は、特に、車両のサスペンション装置の減衰力を制御する減衰力制御装置に適する。
車両のサスペンション装置は、車体側の部材であるバネ上部材と車輪側の部材であるバネ下部材との間に介装されたサスペンションスプリングおよびダンパを備える。サスペンションスプリングは例えば路面などから入力される振動を緩衝し、ダンパはバネ上部材−バネ下部材間の相対振動を減衰する。
車両の走行状況に応じて減衰力特性を変更することができるダンパが搭載されたサスペンション装置が知られている。このような可変減衰型のサスペンション装置においては、所定の制御理論を適用することにより設計された制御系のフィードバックコントローラにより与えられる制御入力にしたがってダンパの減衰力特性が変更される。これによりバネ上部材の振動が効果的に抑制され、車両の乗り心地が向上する(このような作用効果をもたらす減衰力制御を、本明細書において乗り心地制御という場合もある)。
サスペンション装置の制御モデルは非線形なモデルである。このため、乗り心地制御に関する制御系を設計するときの制御理論として非線形H∞制御理論が良く適用される。この場合、サスペンション装置の制御モデルを双線形システムとして状態空間表現し、リカッチ不等式の解を求めることにより、制御系のフィードバックコントローラを設計することができる。
特許文献1には、非線形H∞制御理論に基づいて減衰力が制御されたサスペンション装置が記載されている。この特許文献1によれば、非線形H∞制御理論を適用して設計した非線形H∞状態フィードバックコントローラから得られる制御入力に基づいて、制御により変動する可変分の減衰係数(可変減衰係数Cv)が計算される。計算された可変分の減衰係数に、制御により変動しない予め設定された固定分の減衰係数(線形減衰係数Cs)を加算することにより、要求減衰係数Creqが求められる。さらに要求減衰係数Creqから、制御目標となる減衰力である要求減衰力Freqが求められる。この要求減衰力Freqに基づいて、ダンパの減衰力特性が制御される。
特開2001−1736号公報
図17は、非線形H∞制御理論を適用して要求減衰力Freqを算出した場合における、バネ上−バネ下相対速度(車両のバネ上部材−バネ下部材間の相対振動の速度)vに対する要求減衰力Freqの変化特性を表す減衰力特性グラフである。図に示すグラフの横軸がバネ上−バネ下相対速度v、縦軸が減衰力Fである。図中の曲線で描かれたリサージュ波形が要求減衰力Freqの変化特性を表し、このリサージュ波形に囲まれる領域が、要求減衰力Freqの制御範囲である。また、図中、符号A,Bにより示される線分は、ダンパにより発生し得る減衰力特性の下限を表す特性線である。この特性線が直線であるときは、その勾配は、ダンパにより発生し得る最小の減衰係数である最小実減衰係数Creal_minを表す。また、図中、符号C,Dにより示される線分は、ダンパにより発生し得る減衰力特性の上限を表す特性線である。この特性線が直線であるときは、その勾配は、ダンパにより発生し得る最大の減衰係数である最大実減衰係数Creal_maxを表す。最小実減衰係数Creal_minと最大実減衰係数Creal_maxを表す減衰力特性線によって囲まれる領域が、ダンパの減衰力特性を変更することができる範囲、つまり減衰力特性の可変範囲である。
図に示されるように、要求減衰力Freqのリサージュ波形は原点を中心に第一象限および第三象限に広がる。また、リサージュ波形は、線形減衰係数Csを表す減衰力特性線の両側にそれぞれ所定の膨らみを持つように広がっている。この膨らみは、非線形H∞制御理論に基づいて可変減衰係数Cvを算出する際に用いる非線形重みβの大きさに依存する。また、図に示されるように、リサージュ波形により表される要求減衰力Freqの制御範囲がダンパの減衰力特性の可変範囲に収まり、且つ上記可変範囲にリサージュ波形が重ね合わされていない領域(不使用領域)ができるだけ少なくなるように、すなわち要求減衰力Freqの制御範囲がダンパの減衰力特性の可変範囲にほぼ一致するように、線形減衰係数Csおよび非線形重みβが設定される。
線形減衰係数Csおよび非線形重みβは、設計者が予め設定する。この場合において、設計者は、まず制御対象とされるサスペンション装置が搭載された車両をある特定路面上で走行させる。そして、そのときに計算される要求減衰力Freqのリサージュ波形が減衰力特性の可変範囲にほぼ一致するように、線形減衰係数Csおよび非線形重みβが設定される。
上記のように、線形減衰係数Csおよび非線形重みβは特定路面の走行結果に基づいて設定されている。したがって、車両が実際に走行する走行路面が上記特定路面の特性と異なる特性を持つ路面であるときなどは、計算された要求減衰力Freqが、必ずしもその路面を走行するときに乗り心地制御を行うために適した減衰力とはならない場合も起こり得る。
たとえば、図18に示されるように、要求減衰力Freqのリサージュ波形の平均的な傾きが、設定した線形減衰係数Csよりも大きくなるように要求減衰力Freqが計算される場合もある。この場合は、減衰力が大きい領域においてリサージュ波形がダンパの減衰力特性の可変範囲から飛び出す領域が存在する。この領域が大きくなると、要求減衰力Freqに対してダンパの減衰力特性が追従できない状況が頻繁に発生するようになるので、乗り心地に関する有効な減衰力の制御ができなくなる。また、減衰力が小さい領域においては、リサージュ波形が減衰力特性の可変範囲に重ね合わされていない不使用領域が存在する。この不使用領域が大きいということは、ダンパの発揮し得る減衰力特性を有効に使用していないということであるので、乗り心地に関する最適な減衰力の制御が行われていないことになる。
また、図19に示されるように、リサージュ波形の膨らみが非常に小さくなるように要求減衰力Freqが計算される場合もある。この場合は、リサージュ波形の膨らみ方向の両側に大きく不使用領域が存在する。あるいは、図20に示されるように、リサージュ波形の傾きおよび膨らみが、線形減衰係数Csや減衰力特性の可変範囲に全く見合っていない場合も起こり得る。リサージュ波形がこれらの図18〜図20に示すように描かれるということは、実際の車両の走行路面の特性に見合った乗り心地制御が行われていないことを表している。
本発明は上記のような問題に対処するためになされたものであり、その目的は、車両の走行路面の特性に見合った乗り心地制御を行うことができる減衰力制御装置を提供することにある。
本発明の特徴は、バネ上部材とバネ下部材との間に取付けられたダンパおよびバネを備える可変減衰型の減衰力発生装置を制御対象とした減衰力制御系に非線形H∞制御理論を適用することにより、制御により変動する可変分の減衰係数である可変減衰係数Cvを計算する可変減衰係数計算手段と、前記可変減衰係数Cvに制御により変動しない固定分の減衰係数である線形減衰係数Csを加算することにより要求減衰係数Creqを計算する要求減衰係数計算手段と、前記要求減衰係数Creqに基づいて制御目標となる減衰力である要求減衰力Freqを計算する要求減衰力計算手段とを備え、前記要求減衰力Freqに基づいて前記減衰力発生装置の減衰力を制御する減衰力制御装置であり、予め定められた設定期間内に前記要求減衰係数計算手段により計算された複数の要求減衰係数Creqの変動幅の中心を表す減衰係数を、新たな線形減衰係数Cs_newとして計算する新線形減衰係数計算手段と、前記線形減衰係数Csを、前記新たな線形減衰係数Cs_newに更新する線形減衰係数更新手段と、前記可変減衰係数計算手段が非線形H∞制御理論を適用することにより前記可変減衰係数Cvを計算する際に用いる非線形重みβであって、前記新たな線形減衰係数Cs_newに対応する新たな非線形重みβnewを計算する新非線形重み計算手段と、前記非線形重みβを前記新たな非線形重みβnewに更新する非線形重み更新手段と、を備える減衰力制御装置としたことにある。
本発明によれば、新線形減衰係数計算手段によって、予め定められた設定期間内に要求減衰係数計算手段により計算された複数の要求減衰係数Creqの中心を表す減衰係数が、新たな線形減衰係数Cs_newとして計算される。この新たな線形減衰係数Cs_newは、線形減衰係数更新手段によって、今まで使用していた線形減衰係数Csに置き換えられる。ここで、上記設定期間内に計算された複数の要求減衰係数Creqは、その設定期間内に車両が走行した路面から入力される振動に対し、非線形H∞制御理論を適用することによって、最適な乗り心地となるように、微小時間間隔ごとに計算される減衰係数である。よって、このように計算された要求減衰係数Creqの変動幅の中心を表すように計算される新たな線形減衰係数Cs_newは、上記設定期間内に走行した路面の特性を反映した減衰係数、すなわち実際に走行した路面に合うように、学習により適正化された線形減衰係数と言える。
また、本発明によれば、新非線形重み計算手段により新たな非線形重みβnewが計算される。この新たな非線形重みβnewは、非線形重み更新手段によって、非線形H∞制御理論に基づく可変減衰係数Cvの計算の際に今まで使用されていた非線形重みβ、特に評価出力について設定される非線形重みβに置き換えられる。新たな非線形重みβnewは、新たな線形減衰係数Cs_newに対応した重みとして、好ましくは要求減衰力Freqのリサージュ波形がダンパの減衰力特性の可変範囲から飛び出さず、且つ減衰力特性の不使用領域が最小となるように、計算される。よって、このように計算された非線形重みβnewは、新たな線形減衰係数Cs_newの値に応じて適正化された非線形重みと言える。
つまり、本発明によれば、上記設定期間内に取得した複数の要求減衰係数Creqの計算履歴が学習され、実際の走行路面に合うように適正化された新たな線形減衰係数Cs_newおよび新たな非線形重みβnewが求められる。したがって、こうして求められた新たな線形減衰係数Cs_newおよび新たな非線形重みβnewを用いて減衰力を制御することにより、車両の走行路面の特性に見合った最適な乗り心地制御を行うことができる。
上記発明において、「可変減衰型の減衰力発生装置」とは、振動に対する減衰力の特性、特に、振動の速度(バネ上−バネ下相対速度)に対する減衰力の変化特性(減衰力特性)を変更することができる減衰力発生装置である。また、上記設定期間は、特にその期間の長さが限定されるものではないが、例えば一ヶ月乃至三ヶ月程度の、月単位の長さであるとよい。この程度の長さであれば、実際に走行した路面の特性が、十分に新たな線形減衰係数Cs_newに反映される。
また、前記新非線形重み計算手段は、可変減衰係数Cvに新たな線形減衰係数Cs_newを加算して求めた要求減衰係数Creqに基づいて計算される要求減衰力Freqが、ダンパの減衰力特性の可変範囲を飛び出さず、且つできるだけリサージュ波形の膨らみが大きくなるように(すなわち減衰力特性の不使用領域ができるだけ小さくなるように)、新たな非線形重みβnewを計算するものであるとよい。このように新たな非線形重みβnewを計算することにより、ダンパの減衰力特性の可変範囲内で要求減衰力Freqの制御幅が最も大きくなり、制御性能が向上する。
なお、新たな線形減衰係数Cs_newは、上記したように設定期間内に計算された複数の要求減衰係数Creqの変動幅の中心を表す減衰係数として計算されるものであるが、厳密に中心を表すものとして計算される必要はない。実際の制御に悪影響を及ぼさない程度の誤差範囲内において、要求減衰係数Creqの変動幅の中心を表す減衰係数として計算されるものであればよい。
前記新線形減衰係数計算手段は、設定期間内に計算された全ての有効な要求減衰係数Creqの平均値により新たな線形減衰係数Cs_newを計算することもできる。好ましくは、前記新線形減衰係数計算手段は、前記設定期間内に前記要求減衰係数計算手段により計算された複数の要求減衰係数Creqの最大値を最大要求減衰係数Creq_max、最小値を最小要求減衰係数Creq_minとしたときに、下記式
Cs_new=(Creq_max+Creq_min)/2
により前記新たな線形減衰係数Cs_newを計算するものであるのがよい。このように新たな線形減衰係数Cs_newを計算することにより、設定期間内に計算された複数の要求減衰係数Creqの中心を表す減衰係数を容易に計算することができる。また、設定期間内に記憶しておく減衰係数もCreq_maxとCreq_minのみであるので、メモリを節約できる。
Cs_new=(Creq_max+Creq_min)/2
により前記新たな線形減衰係数Cs_newを計算するものであるのがよい。このように新たな線形減衰係数Cs_newを計算することにより、設定期間内に計算された複数の要求減衰係数Creqの中心を表す減衰係数を容易に計算することができる。また、設定期間内に記憶しておく減衰係数もCreq_maxとCreq_minのみであるので、メモリを節約できる。
また、前記新非線形重み計算手段は、前記ダンパにより発生し得る最大の減衰係数である最大実減衰係数Creal_maxと前記新たな線形減衰係数Cs_newとの差(Creal_max-Cs_new)と、前記新たな線形減衰係数Cs_newと前記ダンパにより発生し得る最小の減衰係数である最小実減衰係数Creal_minとの差(Cs_new-Creal_min)のうちの小さい方の差αに基づいて、前記新たな非線形重みβnewを計算するものであるとよい。
上記差αは、ダンパの減衰力特性の可変範囲内で変動できる可変減衰係数Cvの変動量を表す。よって、この差αに基づいて、より好ましくは可変減衰係数Cvの変動量が差α程度となるように新たな非線形重みβnewを計算することによって、要求減衰力Freqの制御範囲をよりダンパの減衰力特性の可変範囲に合わせることができる。
また、前記新非線形重み計算手段は、前記差αが大きいほど前記新たな非線形重みβnewが大きくなるように、前記新たな非線形重みβnewを計算するものであるのがよい。差αが大きいほど可変減衰係数Cvの変動量を大きく取ることができるため、リサージュ波形を膨らませることができる。また、非線形重みが大きくなれば、リサージュ波形が膨らむ。よって、差αが大きいほど大きくなるように新たな非線形重みβnewを計算することにより、要求減衰力Freqの制御範囲をよりダンパの減衰力特性の可変範囲に合わせることができる。
また、前記新非線形重み計算手段は、前記差αと前記新たな非線形重みβnewとを対応させたマップを検索することにより、前記新たな非線形重みβnewを決定するものであるとよい。これによれば、予め作成された差αとそれに対応する新たな非線形重みβnewのマップを検索することで、簡単に新たな非線形重みβnewを決定することができる。
また、前記減衰力発生装置は、車両のサスペンション装置であり、前記減衰力制御装置は、前記バネ上部材の振動を抑制するように、前記サスペンション装置の減衰力を制御するものであるとよい。これによれば、車両のサスペンション装置の減衰力を制御することにより、車両の乗り心地を向上させることができる。
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。図1は本実施形態に係る車両のサスペンション制御装置1の全体を表す概略図である。このサスペンション制御装置1は、サスペンション装置SPと電気制御装置ELを備えている。
サスペンション装置SPは、ダンパ10と、本発明のバネに相当するサスペンションスプリング20を備えている。ダンパ10は、シリンダ11と、ピストン12と、ピストンロッド13とを備えて構成されており、タイヤ60に接続されたロアアームやナックル等のバネ下部材LAと、車体等により構成されるバネ上部材HAとの間に介装されている。シリンダ11は、内部に粘性流体が封入された中空の部材であり、その下端にてバネ下部材LAに連結されている。ピストン12は、シリンダ11の軸方向に移動可能となるようにシリンダ11の内部に挿入されている。このピストン12によって、シリンダ11の内部が上下室R1,R2に区画されている。また、ピストン12には連通路12aが形成されており、この連通路12aにより上下室R1,R2が連通される。ピストンロッド13は棒状の部材であって、その一端がピストン12に連結され、その連結部位からシリンダ11内を上方に向かって延設され、その他端にてバネ上部材HAに連結されている。
サスペンションスプリング20は、ダンパ10と並列するようにバネ上部材HAとバネ下部材LAとの間に設けられている。サスペンションスプリング20は、タイヤ60を介して路面から入力される振動を緩衝するとともに、バネ下部材LAに対してバネ上部材HAを振動させる。この振動に伴い、ピストンロッド13を介してバネ上部材HAに連結されたダンパ10のピストン12が、バネ下部材LAに連結されたダンパ10のシリンダ11内で振動する。ピストン12の振動により連通路12a内をシリンダ11内の粘性流体が流れる。このときの流体抵抗が振動に対する減衰力となり、ピストン12の振動、すなわちバネ下部材LAに対するバネ上部材HAの振動が減衰する。このようにサスペンション装置SPは振動に対する減衰力を発生するものであり、本発明の減衰力発生装置に相当する。
また、サスペンション装置SPは、可変絞り機構30を備えている。可変絞り機構30はバルブ31およびアクチュエータ32を備える。アクチュエータ32の作動によりバルブ31が作動する。バルブ31は連通路12aに取付けられている。バルブ31の作動により連通路12aの開度が複数段階に切り換えられる。この切り換えに応じて連通路12aの開度が大きくなるとダンパ10の減衰力がソフト(低め)に設定され、連通路12aの開度が小さくなるとダンパ10の減衰力がハード(高め)に設定される。このように可変絞り機構30によって、ダンパ10の減衰力特性は変更される。すなわち本実施形態のサスペンション装置SPは、減衰力特性を変更することができる可変減衰型の減衰力発生装置である。なお、ダンパ10の減衰力特性は、連通路12aの開度の大きさを表す段数により表される。
電気制御装置ELは、バネ上加速度センサ41、バネ下加速度センサ42、ストロークセンサ43、タイヤ変位量センサ44およびマイクロコンピュータ50を備えている。バネ上加速度センサ41はバネ上部材HAに組み付けられており、バネ上部材HAの絶対空間に対する上下方向のバネ上加速度xpb''を検出する。バネ下加速度センサ42はバネ下部材LAに組み付けられており、バネ下部材LAの絶対空間に対する上下方向のバネ下加速度xpw''を検出する。これらのバネ上加速度xpb''およびバネ下加速度xpw''は、ともに上方向に向かう加速度を正の加速度として検出するとともに、下方向に向かう加速度を負の加速度として検出する。ストロークセンサ43は、バネ上部材HAとバネ下部材LAとの間に設けられており、バネ下部材LAの基準位置から上下方向の変位量(基準位置から上方向の変位を正、下方向の変位を負とする)であるバネ下変位量xpwと、バネ上部材HAの基準位置から上下方向の変位量(基準位置から上方向の変位を正、下方向の変位を負とする)であるバネ上変位量xpbとの差であるバネ上−バネ下相対変位量xpw-xpbを検出する。タイヤ変位量センサ44はバネ下部材LAに取付けられており、路面の基準位置から上下方向の変位量(基準位置から上方向の変位を正、下方向の変位を負とする)である路面変位量xprとバネ下変位量xpwとの差であるバネ下相対変位量xpr-xpwを検出する。
バネ上加速度センサ41、バネ下加速度センサ42、ストロークセンサ43およびタイヤ変位量センサ44は、マイクロコンピュータ50に電気的に接続されている。各センサにより検出された値はマイクロコンピュータ50に受け渡される。マイクロコンピュータ50は、受け渡された値を基にアクチュエータ32の作動を制御することによって、サスペンション装置SPの減衰力を制御する。すなわち、マイクロコンピュータ50が、本発明の減衰力制御装置に相当する。
また、マイクロコンピュータ50は、図に示されるように、複数の機能ブロックとして、可変減衰係数計算部51、要求減衰力計算部52、要求段数計算部53、最大/最小要求減衰係数計算部54、新線形減衰係数計算部55および新非線形重み計算部56を有している。可変減衰係数計算部51は、上記各センサにより検出された値を入力する。また、これらの値を使用して、サスペンション装置SPを制御対象とした減衰力制御系に非線形H∞制御理論を適用することにより、制御により変動する可変分の減衰係数である可変減衰係数Cvを計算する。そして、計算した可変減衰係数Cvを出力する。また、可変減衰係数計算部51は、後述するように新非線形重み計算部56から出力された新たな非線形重みβnewを入力した場合には、可変減衰係数Cvの計算に用いる非線形重みβを新たな非線形重みβnewに更新する。
要求減衰力計算部52は、可変減衰係数計算部51が出力した可変減衰係数Cvを入力するとともに、入力した可変減衰係数Cvと、制御により変動しない固定分の減衰係数である線形減衰係数Csとを加算することにより要求減衰係数Creqを計算し、計算した要求減衰係数Creqを出力する。さらに、要求減衰係数Creqに基づいて、制御目標となる減衰力である要求減衰力Freqを計算し、計算した要求減衰力Freqを出力する。また、要求減衰力計算部52は、後述するように新線形減衰係数計算部55から出力された新たな線形減衰係数Cs_newを入力した場合には、線形減衰係数Csを新たな線形減衰係数Cs_newに更新する。要求段数計算部53は、要求減衰力計算部52が出力した要求減衰力Freqを入力するとともに、入力した要求減衰力Freqに基づいて、制御目標となるダンパ10の減衰力特性の段数である要求段数Dreqを計算する。そして、計算した要求段数Dreqに対応する指示信号をアクチュエータ32に出力する。
最大/最小要求減衰係数計算部54は、要求減衰力計算部52が出力した要求減衰係数Creqを入力するとともに、予め定められた設定期間内に入力した複数の要求減衰係数Creqの最大値である最大要求減衰係数Creq_maxおよび最小値である最小要求減衰係数Creq_minを抽出する。そして、抽出した最大要求減衰係数Creq_maxおよび最小要求減衰係数Creq_minを出力する。新線形減衰係数計算部55は、最大/最小要求減衰係数計算部54が出力した最大要求減衰係数Creq_maxおよび最小要求減衰係数Creq_minを入力するとともに、入力した最大要求減衰係数Creq_maxおよび最小要求減衰係数Creq_minに基づいて、新たな線形減衰係数Cs_newを計算する。そして、計算した新たな線形減衰係数Cs_newを出力する。新非線形重み計算部56は、新線形減衰係数計算部55が出力した新たな線形減衰係数Cs_newを入力するとともに、入力した新たな線形減衰係数Cs_newに対応する新たな非線形重みβnewを計算する。そして、計算した新たな非線形重みβnewを出力する。
上記構成のサスペンション制御装置において、車両のイグニッションがONとされた場合、マイクロコンピュータ50の各機能ブロックは、微小間隔毎に、あるいは各センサ(特にバネ上加速度センサ41)からの入力が所定の閾値を越えた場合(つまり減衰力制御が必要となる場合)に、図2〜図7に示されるプログラムを繰り返し実行する。
図2は、マイクロコンピュータ50の可変減衰係数計算部51が実行する可変減衰係数計算処理の流れを示すプログラムフローチャートである。可変減衰係数計算部51はこの処理を図2のステップ100(以下、ステップ番号をSと略記する)にて開始し、次のS102にて、バネ上加速度センサ41からバネ上加速度xpb"を、バネ下加速度センサ42からバネ下加速度xpw"を、ストロークセンサ43からバネ上−バネ下相対変位量xpw-xpbを、タイヤ変位量センサ44からバネ下相対変位量xpr-xpwを、それぞれ入力する。次に、S104にて、バネ上加速度xpb"を積分することにより、バネ上部材HAの上下方向の変位速度(上方向の速度を正、下方向の速度を負とする)であるバネ上速度xpb'を、バネ下加速度xpw"を積分することにより、バネ下部材LAの上下方向の変位速度(上方向の速度を正、下方向の速度を負とする)であるバネ下速度xpw'を計算する。また、バネ上−バネ下相対変位量xpw-xpbを微分することにより、バネ下速度xpw'とバネ上速度xpb'との差であるバネ上−バネ下相対速度xpw'-xpb'(=v)を計算する。さらに、バネ下相対変位量xpr-xpwを微分することにより、路面の上下方向の変位速度(上方向の速度を正、下方向の速度を負とする)である路面速度xpr'とバネ下速度xpw'との差であるバネ下相対速度xpr'-xpw'を計算する。
続いて、S106にて、新非線形重み計算部56から新たな非線形重みβnewを入力したか否かを判定する。新たな非線形重みβnewを入力したと判定した場合(S106:Yes)はS108に進み、入力した新たな非線形重みβnewを非線形重みβに代入する。これにより、非線形重みβが新たな非線形重みβnewに更新される。このステップが本発明の非線形重み更新手段に相当する。その後S110に進む。一方、S106にて新たな非線形重みβnewを入力していないと判定した場合(S106:No)は、S108の処理を行わずにS110に進む。
S110では、可変減衰係数計算部51は非線形H∞制御理論に基づき可変減衰係数Cvを計算する。本実施形態では、車両の2自由度単輪モデルに基づき、非線形H∞状態フィードバックコントローラを設計することにより可変減衰係数Cvを求める。このステップが、本発明の可変減衰係数計算手段に相当する。可変減衰係数Cvの計算手法の概略は、以下のようである。
図8は、サスペンション装置SPの運動を表す車両の単輪モデルを示す図である。図において、Mbはバネ上部材HAの質量、Mwはバネ下部材LAの質量、Ksはサスペンションスプリング20のバネ定数、Csはダンパ10の線形減衰係数、Cvはダンパ10の可変減衰係数、Ktはタイヤ60のバネ定数である。この単輪モデルの運動方程式は、下記式(eq.1)および下記式(eq.2)により表される。
なお、式中のx**'は変位量x**の1階時間微分である速度(dx**/dt)を、x**"は変位量x**の2階時間微分である加速度(d2x**/dt2)を表す。
上記式(eq.1)および式(eq.2)により表される図1の単輪モデルの状態空間表現は、状態量xpを下記に示す変位および速度、外乱w1を路面速度xpr'、制御入力uを可変減衰係数Cvとした場合、下記式(eq.3)のように表される。
本実施形態において、サスペンション装置SPの減衰力は、バネ上部材HAの振動に大きく影響するバネ上速度xpb'、車両の乗り心地に大きく影響するバネ上加速度xpb"、タイヤ60の振動に大きく影響するバネ上−バネ下相対速度xpw'-xpb'を同時に抑制するように、制御される。したがって、これらのバネ上速度xpb'、バネ上加速度xpb"およびバネ上−バネ下相対速度xpw'-xpb'が評価出力zpとして選択される。この場合、評価出力の出力方程式は、下記式(eq.4)のように表される。
また、バネ上加速度xpb"とバネ上−バネ下相対変位量xpw-xpbは比較的検出し易い。したがって、これらのバネ上加速度xpb"およびバネ上−バネ下相対変位量xpw-xpbが観測出力ypとして選択される。この場合、観測出力ypの出力方程式は、下記式(eq.5)のように表される。なお、観測出力ypには観測ノイズw2が含まれているものとする。
状態空間表現が上記式(eq3)により表されるシステムは双線形システム、つまり、制御入力uと状態量xpに関連する量との積が状態量の変化xp'に作用するシステムである。この場合、状態量xp=0のときにBp2(0)=0となり、不可制御となる。したがって、原点近傍外での制御性能を改善するために、非線形重みβが導入される。
図9は、このサスペンション装置SPの制御モデルを表す一般化プラントおよびこの一般化プラントの状態フィードバックコントローラKよりなる閉ループシステム(減衰力制御系)を表すブロック線図である。図に示されるように、評価出力zpに周波数重みWsが作用し、その出力に非線形重みβが作用している。周波数重みWsは、大きさが周波数に応じて変化する重みであり、伝達関数で与えられる動的重みである。この周波数重みの採用により、制御性能を向上させたい周波数帯域のゲインが大きくされる。周波数重みWsの状態空間表現は、式(eq.7)により表される。
式(eq.7)において、xwは周波数重みWsの状態量を表し、zwは周波数重みWsの出力を表す。また、Aw,Bw,Cw,Dwは制御仕様により定まる定数行列である。これらの行列は、例えば、車両の乗り心地を向上させるためにバネ上加速度xpb"に対するゲインが3〜8Hz程度の周波数領域で低下し、バネ上部材HAの共振を抑制するためにバネ上速度xpb'に対するゲインがバネ上共振付近(0.5〜1.5Hz程度)の周波数領域で低下し、さらにバネ下部材LAの共振を避けるためにバネ上−バネ下相対速度xpw'-xpb'に対するゲインがバネ下共振付近(10〜14Hz程度)の周波数領域で低下するように、設定される。
また、評価出力zpについて設定される非線形重みβによって、評価出力に作用する周波数重みWsの正味の大きさが変動する。具体的には、非線形重みβが大きいほど周波数重みWsの正味の大きさが大きくなり、小さいほど小さくなる。ここで、閉ループシステムにおける出力側の感度関数をSとすると、感度を低くするためには、例えば下記式(eq.8)が成立するようにコントローラKを設計する必要がある。
この場合、非線形重みβが大きくなると、式(eq.8)を成立させるための感度関数Sが相対的に小さくなるので、外乱を抑圧するための制御性が向上する。その反面、非線形H∞制御問題の解を見つけ出すことが困難になる。よって、非線形H∞制御問題を満足するためのフィードバックゲインの変動幅が大きくなる(すなわち制御範囲が広くなって、リサージュ波形の膨らみが大きくなる)。逆に、非線形重みβが小さくなると、式(eq.8)を成立させるための感度関数Sが相対的に大きくなるので、制御性が悪化する。その一方で、非線形H∞制御問題の解を見つけ出すことが容易になる。よって、非線形H∞制御問題を満足するためのフィードバックゲインの変動幅が小さくなる(すなわち制御範囲が狭くなって、リサージュ波形の膨らみが小さくなる)。すなわち、図10に示されるように、非線形重みβが大きくなるほど、感度関数を(1/βWs)以下にするように制御することが困難になり、その結果、リサージュ波形が膨らむ。以上の説明からわかるように、非線形重みβは要求減衰力のリサージュ波形の膨らみに影響し、βが大きければ大きいほど、リサージュ波形が膨らむ。
式(eq.10)により表されるシステムは双線形システムである。したがって、非線形H∞制御問題が可解であるためには、すなわち閉ループシステムを内部安定とし、且つL2ゲインをある与えられた正定数γ以下とするためには、下記式(eq.11)に示されるリカッチ不等式を満たす正定対称行列Pが存在することが必要十分条件となる。
このとき状態フィードバックコントローラK(=K(x)=u)の一つは、下記式(eq.12)により与えられる。
ここで、m(x)は任意の正定スカラー値関数である。このようにして与えられる制御入力uにより可変減衰係数Cvが計算される。
図2のS110にて、上記のような計算手法により可変減衰係数Cvを計算した後は、可変減衰係数計算部51は次のS112にて可変減衰係数Cvを出力する。その後S114に進み、この処理を終了する。
図3は、マイクロコンピュータ50の要求減衰力計算部52が実行する要求減衰力計算処理の流れを示すプログラムフローチャートである。要求減衰力計算部52は、この処理を図3のS200にて開始し、次のS202にて、可変減衰係数計算部51から出力された可変減衰係数Cvを入力する。次に、S204にて、新線形減衰係数計算部55から新たな線形減衰係数Cs_newを入力したか否かを判定する。新たな線形減衰係数Cs_newを入力したと判定した場合(S204:Yes)は、S206に進み、入力した新たな線形減衰係数Cs_newを線形減衰係数Csに代入する。これにより、線形減衰係数Csが新たな線形減衰係数Cs_newに更新される。このステップが、本発明の線形減衰係数更新手段に相当する。その後S208に進む。一方、S204にて新たな線形減衰係数Cs_newを入力していないと判定した場合(S204:No)は、S206の処理を行わずに直接S208に進む。
S208では、要求減衰力計算部52は要求減衰係数Creqを計算する。要求減衰係数Creqは、可変減衰係数Cvに線形減衰係数Csを加算することにより求められる。このステップが、本発明の要求減衰係数計算手段に相当する。続いて、S210に進み、計算した要求減衰係数Creqを出力する。次に、S212にて要求減衰力Freqを計算する。要求減衰力Freqは、要求減衰係数Creqとバネ上−バネ下相対速度xpw'-xpb'とを積算することにより求められる。このステップが、本発明の要求減衰力計算手段に相当する。次いでS214に進み、計算した要求減衰力Freqを出力する。その後、S216に進んでこの処理を終了する。
図4は、マイクロコンピュータ50の要求段数計算部53が実行する要求段数計算処理の流れを示すプログラムフローチャートである。要求段数計算部53は、この処理を図4のS300にて開始し、次のS302にて、要求減衰力計算部52から出力された要求減衰力Freqを入力する。次いで、S304にて要求段数Dreqを計算する。なお、マイクロコンピュータ50は、複数のバネ上−バネ下相対速度に対してダンパ10により発生し得る減衰力を、可変絞り機構30により切替え可能な全ての設定段数毎に記憶した減衰力特性テーブルを有している。そして、このS304にて、要求段数計算部53は減衰力特性テーブルを参照して要求段数Dreqを計算する。具体的には、要求段数計算部53は、減衰力特性テーブルに記憶されている減衰力のうち、入力したバネ上−バネ下相対速度に対応する減衰力を段数毎に抽出する。そして、抽出した減衰力のうち、要求減衰力Freqに最も近い減衰力に対応する段数を、要求段数Dreqに決定する。このようにして要求段数Dreqを計算した後は、要求段数計算部53はS306にて要求段数Dreqを示す指令信号をアクチュエータ32に出力する。その後、S308に進んでこの処理を終了する。
要求段数Dreqに対応する指令信号に基づいてアクチュエータ32が作動すると、それに連動してバルブ31が作動し、ダンパ10の減衰力特性を表す段数が要求段数Dreqにされる。このように、本実施形態によれば、要求減衰力Freqに基づいて決定された要求段数Dreqに基づいて減衰力特性を表す段数を制御することによって、サスペンション装置SPの減衰力が制御される。
上述のように、図3に示される要求減衰力計算処理のS204においては、新たな線形減衰係数Cs_newが入力されたか否かが判定される。そして、新たな線形減衰係数Cs_newが入力された場合には、要求減衰係数Creqの計算に用いる線形減衰係数Csが新たな線形減衰係数Cs_newに更新され、この新たな線形減衰係数Cs_newが今まで使用していた線形減衰係数Csに置き換わる。この新たな線形減衰係数Cs_newは、最大/最小要求減衰係数計算部54が計算する最大要求減衰係数Creq_maxおよび最小要求減衰係数Creq_minに基づいて、新線形減衰係数計算部55により計算される。
図5は、マイクロコンピュータ50の最大/最小要求減衰係数計算部54が実行する最大/最小要求減衰係数計算処理の流れを示すプログラムフローチャートである。最大/最小要求減衰係数計算部54は、この処理を図5のS400にて開始し、次のS402にて要求減衰力計算部52が出力した要求減衰係数Creqを入力する。次いで、S404にて、入力した要求減衰係数Creqが、最大要求減衰係数候補値Creq_max*よりも大きいか否かを判定する。最大要求減衰係数候補値Creq_max*はマイクロコンピュータ50に記憶されている更新値であり、初期値は0に設定されている。この判定結果がYesである場合は、S406に進み、入力した要求減衰係数Creqを最大要求減衰係数候補値Creq_max*に代入する。これにより最大要求減衰係数候補値Creq_max*が更新される。その後S408に進む。一方、S404にて、入力した要求減衰係数Creqが最大要求減衰係数候補値Creq_max*以下であると判定した場合(S404:No)は、S406の処理を行わずにS408に進む。
S408では、最大/最小要求減衰係数計算部54は、S402にて入力した要求減衰係数Creqが最小要求減衰係数候補値Creq_min*よりも小さいか否かを判定する。最小要求減衰係数候補値Creq_min*はマイクロコンピュータ50に記憶されている更新値であり、初期値は非常に大きい値、例えば1000(Ns/m)に設定されている。S408の判定結果がYesである場合はS410に進み、入力した要求減衰係数Creqを最小要求減衰係数候補値Creq_min*に代入する。これにより最小要求減衰係数候補値Creq_min*が更新される。その後S412に進む。一方、S408にて、入力した要求減衰係数Creqが最小要求減衰係数候補値Creq_min*以上であると判定した場合(S408:No)は、S410の処理を行わずにS412に進む。
S412では、最大/最小要求減衰係数計算部54は、カウンタTが所定値Tmaxよりも大きいか否かを判定する。所定値Tmaxは、カウンタTが計測を開始してからTmaxよりも大きくなるまでの期間が比較的長い期間、例えば一ヶ月〜三ヶ月となるように、予め設定されている。カウンタTがTmax以下である場合(S412:No)は、S426に進んでこの処理を終了する。一方、S412にてカウンタTがTmaxよりも大きいと判定した場合(S412:Yes)はS414に進み、最大要求減衰係数候補値Creq_max*を最大要求減衰係数Creq_maxに代入する。続いて、S416にて、最小要求減衰係数候補値Creq_mim*を最小要求減衰係数Creq_minに代入する。次に、S418にて、最大要求減衰係数Creq_maxおよび最小要求減衰係数Creq_minを出力する。
続いて、最大要求減衰係数候補値Creq_max*および最小要求減衰係数候補値Creq_min*を初期値に設定し(S420)、カウンタTをリセットし(S422)、カウンタTによる計測を開始させる(S424)。その後、S426に進んでこの処理を終了する。なお、カウンタTは不揮発性メモリなどに記憶されており、イグニッションのOFFなどにより本実施形態に示されたプログラムの実行が中断された場合はその値が保持される。そして、プログラムの実行が再開されたときに、中断されたときの値から計測を再開することによって、カウンタTの計測が継続される。
以上の説明のように、この最大/最小要求減衰係数計算処理においては、カウンタTが計測を開始してからTmaxになるまでの設定期間中に入力された複数の要求減衰係数Creqが最大要求減衰係数候補値Creq_max*および最小要求減衰係数候補値Creq_min*と比較され、CreqがCreq_max*よりも大きい場合はCreq_max*がCreqに更新され、CreqがCreq_min*よりも小さい場合はCreq_min*がCreqに更新される。したがって、上記設定期間が経過したときの最大要求減衰係数候補値Creq_max*は、その期間内に入力した複数の要求減衰係数の最大値を表す。同様に、上記設定期間が経過したときの最小要求減衰係数候補値Creq_min*は、その期間内に入力した複数の要求減衰係数の最小値を表す。そして、上記設定期間経過後に、最大要求減衰係数候補値Creq_max*が最大要求減衰係数Creq_maxとして、最小要求減衰係数候補値Creq_min*が最小要求減衰係数Creq_minとして、それぞれ出力される。出力された最大要求減衰係数Creq_maxおよび最小要求減衰係数Creq_minは、新線形減衰係数計算部55に入力され、新たな線形減衰係数Cs_newの計算に利用される。
図6は、マイクロコンピュータ50の新線形減衰係数計算部55が実行する新線形減衰係数計算処理の流れを示すプログラムフローチャートである。この図6に示される処理が、本発明の新線形減衰係数計算手段に相当する。新線形減衰係数計算部55はこの処理を図6のS500にて開始し、次のS502にて、最大要求減衰係数Creq_maxおよび最小要求減衰係数Creq_minを入力したか否かを判定する。入力していない場合(S502:No)はS508に進んでこの処理を終了する。入力した場合(S502:Yes)はS504に進み、新たな線形減衰係数Cs_newを計算する。新たな線形減衰係数Cs_newは、上記設定期間内に計算された複数の要求減衰係数Creqの変動幅の中心を表す減衰係数として計算される。本実施形態においては、新たな線形減衰係数Cs_newは、以下の式
Cs_new=(Creq_max+Creq_min)/2
を用いて計算される。つまり、最大要求減衰係数Creq_maxと最小要求減衰係数Creq_minの中間値を計算することにより、要求減衰係数Creqの変動幅の中心値として新たな線形減衰係数Cs_newが求められる。次に、S506に進み、新たな線形減衰係数Cs_newを出力する。出力された新たな線形減衰係数Cs_newは要求減衰力計算部52および新非線形重み計算部56に入力される。要求減衰力計算部52に入力された新たな線形減衰係数Cs_newは線形減衰係数Csに更新される。新非線形重み計算部56に入力された新たな線形減衰係数Cs_newは新たな非線形重みβnewの計算に利用される。その後、S508に進んでこの処理を終了する。
Cs_new=(Creq_max+Creq_min)/2
を用いて計算される。つまり、最大要求減衰係数Creq_maxと最小要求減衰係数Creq_minの中間値を計算することにより、要求減衰係数Creqの変動幅の中心値として新たな線形減衰係数Cs_newが求められる。次に、S506に進み、新たな線形減衰係数Cs_newを出力する。出力された新たな線形減衰係数Cs_newは要求減衰力計算部52および新非線形重み計算部56に入力される。要求減衰力計算部52に入力された新たな線形減衰係数Cs_newは線形減衰係数Csに更新される。新非線形重み計算部56に入力された新たな線形減衰係数Cs_newは新たな非線形重みβnewの計算に利用される。その後、S508に進んでこの処理を終了する。
上記したように、新たな線形減衰係数Cs_newは、設定期間内における最大要求減衰係数Creq_maxと最小要求減衰係数Creq_minとの中間の値である。図13は、要求減衰力Freqのリサージュ波形と、上記減衰係数の関係を示した減衰力特性グラフである。図に示されるように、最大要求減衰係数Creq_maxは、要求減衰力Freqのリサージュ波形の最大勾配を示す減衰力特性線Aにより表され、最小要求減衰係数Creq_minはリサージュ波形の最小勾配を示す減衰力特性線Bにより表される。新たな線形減衰係数Cs_newは、リサージュ波形の最大勾配と最小勾配の中間の勾配、すなわちリサージュ波形の平均的な勾配を示す減衰力特性線Cにより表される。
また、図13において、ダンパ10が発生し得る最大の減衰係数である最大実減衰係数Creal_maxは例えば破線で示された減衰力特性線Dにより表され、ダンパ10が発生し得る最小の減衰係数である最小実減衰係数Creal_minは例えば破線で示された減衰力特性線Eにより表されている。さらに、今まで使用されていた線形減衰係数Csは例えば破線で示された減衰力特性線Fにより表されている。図からわかるように、線形減衰係数Csを表す減衰力特性線Fの勾配はリサージュ波形の平均的な勾配とずれている。これに対し、上述のように新たな線形減衰係数Cs_newを表す減衰力特性線Cの勾配は、リサージュ波形の平均的な勾配に一致している。すなわち、新たな線形減衰係数Cs_newは、設定期間内に計算される要求減衰係数に基づいて、リサージュ波形の平均的な勾配に合うように適正化された線形減衰係数であると言える。
また、図13に示されるリサージュ波形は、ダンパ10の減衰力特性の可変範囲、つまり最大実減衰係数Creal_maxを表す減衰力特性線Dと最小実減衰係数Creal_minを表す減衰力特性線Eとに囲まれた範囲から飛び出している領域を有する。このことは、リサージュ波形の膨らみを表す非線形重みβが、ダンパ10の減衰力特性の可変範囲に対して適正化されていないことを示す。この非線形重みβを適正化するために、新非線形重み計算部56にて新たな非線形重みβnewが計算される。
図7は、マイクロコンピュータ50の新非線形重み計算部56が実行する新非線形重み計算処理の流れを示すプログラムフローチャートである。この図7に示す処理が、本発明の新非線形重み計算手段に相当する。新非線形重み計算部56はこの処理を図のS600にて開始し、次のS602にて、新線形減衰係数計算部55が出力した新たな線形減衰係数Cs_newを入力したか否かを判定する。新たな線形減衰係数Cs_newを入力していないと判定した場合(S602:No)はS618に進んでこの処理を終了する。一方、新たな線形減衰係数Cs_newを入力したと判定した場合(S602:Yes)はS604に進む。
S604では、新非線形重み計算部56は、上方差分αuを計算する。この上方差分αuは、最大実減衰係数Creal_maxと新たな線形減衰係数Cs_newとの差(Creal_max-Cs_new)を表す。次いで、新非線形重み計算部56はS606に進み、下方差分αdを計算する。この下方差分αdは、新たな線形減衰係数Cs_newと最小実減衰係数Creal_minとの差(Cs_new-Creal_min)を表す。
図11は、新たな線形減衰係数Cs_newと、最大実減衰係数Creal_maxおよび最小実減衰係数Creal_minとの関係を表す減衰力特性グラフの一例である。図に示されるように、新たな線形減衰係数Cs_newを表す減衰力特性線Cは、最大実減衰係数Creal_maxを表す減衰力特性線Dと最小実減衰係数Creal_minを表す減衰力特性線Eとの間に収まる。上方差分αuは、減衰力特性線DとCとの勾配の差を表し、下方差分αdは、減衰力特性線CとEとの勾配の差を表す。
図7のS604にて上方差分αuを、S606にて下方差分αdを計算した後は、新非線形重み計算部56はS608に進み、上方差分αuが下方差分αd以上であるか否かを判定する。上方差分αuが下方差分αd以上であると判定した場合(S608:Yes)はS612に進み、差αに下方差分αuを代入する。一方、S608にて上方差分αuが下方差分αd以上ではないと判定した場合(S608:No)はS610に進み、差αに上方差分αuを代入する。上記S608〜S612の処理により、上方差分αuと下方差分αdのうち、より小さい方の差が選択される。S610またはS612にて差αを決定した後は、S614に進む。
S614では、新非線形重み計算部56は、差αの値に基づいて新たな非線形重みβnewを計算する。なお、マイクロコンピュータ50は、複数の差αに対応する新たな非線形重みβnewの値を記憶した非線形重みマップを有している。この非線形重みマップの一例が図12に示されている。このマップには、要求減衰力Freqのリサージュ波形がダンパ10の減衰力特性の可変範囲に一致するように(すなわちリサージュ波形がダンパの減衰力特性の可変範囲から飛び出す領域および、減衰力特性の不使用領域ができるだけ少なくなるように)、差αの値に応じた新たな非線形重みβnewが予め記憶されている。なお、差αの値が大きければ大きいほどリサージュ波形の膨らみ、つまり可変減衰係数Cvの変動量を大きくすることができる。したがって、新たな非線形重みβnewは、ダンパの減衰力特性の可変範囲内で差αの値が大きい程大きい値を採るように、この非線形重みマップに記憶されている。例えば図に示されるように、差αがα1<α2<α3である場合、α1に対応する新たな非線形重みβnewは0.001、α2に対応する新たな非線形重みβnewは0.01、α3に対応する新たな非線形重みβnewは0.1とされている。
S614においては、この図12に示されるような非線形重みマップを検索することによって、差αに対応する新たな非線形重みβnewが求められる。S614にて新たな非線形重みβnewを計算した後は、新非線形重み計算部はS616に進み、計算した新たな非線形重みβnewを出力する。その後、この処理を終了する。出力された新たな非線形重みβnewが、上記したように可変減衰係数計算部51に入力され、非線形重みβとして利用される。
図14は、新たな線形減衰係数Cs_newおよび新たな非線形重みβnewを用いて要求減衰力Freqを計算した場合のリサージュ波形を示す減衰力特性グラフである。この図14を図13と対比するとよくわかるように、今まで使用していた非線形重みβを、新たな線形減衰係数Cs_newに対応する新たな非線形重みβnewに更新することによって、リサージュ波形の膨らみが変化し、リサージュ波形がダンパ10の減衰力特性の可変範囲内に収められる。このように、新たな非線形重みβnewは、要求減衰力Freqのリサージュ波形がダンパ10の減衰力特性の可変範囲に収まるように、差αに基づいて計算される適正化された非線形重みと言える。
マイクロコンピュータ50は、上記説明したプログラムを繰り返し実行することにより要求減衰力Freqおよび要求段数Dreqを求め、この要求減衰力Freqおよび要求段数Dreqに基づいて、サスペンション装置SPの減衰力を制御する。また、設定期間経過毎に線形減衰係数Csおよび非線形重みβが更新され、適正な値に更新された線形減衰係数Csおよび非線形重みβを用いて可変減衰係数Cvが計算される。このような更新を繰り返すことによって、車両が頻繁に走行する路面に適した減衰力制御が行われるのである。
以上のように、本実施形態によれば、予め定められた設定期間内に計算された複数の要求減衰係数Creqの中心を表す減衰係数が、新たな線形減衰係数Cs_newとして計算され、この新たな線形減衰係数Cs_newが、今まで使用していた線形減衰係数Csに置き換えられる。これにより、線形減衰係数Csが、上記設定期間内に走行した路面の特性を反映した減衰係数、すなわち実際に走行した路面に合うように学習により適正化された線形減衰係数となる。加えて、適正化された新たな線形減衰係数Cs_newに応じた新たな非線形重みβnewが計算される。具体的には、新たな線形減衰係数Cs_newに基づいて計算される差αに基づいて、新たな非線形重みβnewが計算される。この新たな非線形重みβnewは、新たな線形減衰係数Cs_newを用いて要求減衰力Freqを計算したときに、そのリサージュ波形がダンパ10の減衰力特性の可変範囲に一致するように、差αの値に応じて予め求められており、非線形重みマップに記憶されている。このように記憶された非線形重みマップを検索することにより求められた新たな非線形重みβnewは、新たな線形減衰係数Cs_newの値に応じて適正化された非線形重みと言える。
つまり、本実施形態の減衰力制御装置は、設定期間内に取得した複数の要求減衰係数Creqの計算履歴を学習し、実際の走行路面に合うように適正化した新たな線形減衰係数Cs_newおよび新たな非線形重みβnewを用いてサスペンション装置SPの減衰力を制御する。したがって、車両の走行路面の特性に見合った最適な乗り心地制御を行うことができる。
本発明は、上記実施形態に限定されるべきものではない。例えば、上記実施形態においては、要求減衰力Freqのリサージュ波形がダンパ10の減衰力特性の可変範囲から飛び出さないように新たな非線形重みβnewを設定しているので、新たな非線形重みβnewを用いて計算された要求減衰力Freqのリサージュ波形(図14)の膨らみは、それまで用いられていた非線形重みβを用いて計算された要求減衰力Freqのリサージュ波形(図13)の膨らみよりも小さくなっている。しかし、例えば図15の減衰力特性グラフに示されるように、線形減衰係数Csおよび非線形重みβを更新する前のリサージュ波形の膨らみが小さい場合には、新たな非線形重みβnewを導入することによって、図16の減衰力特性グラフに示されるようにリサージュ波形の膨らみを増加させることもできる。また、上記実施形態においては、図2のS108にて非線形重みβを新たな非線形重みβnewに更新するステップが明示され、図3のS206にて線形減衰係数Csを新たな線形減衰係数Cs_newに更新する手段が明示されている。しかし、非線形重みβおよび線形減衰係数Csが新たに算出されたものに置き換えられたことをもって上記更新手段を具備していることとみなすことができる。この場合は具体的な処理ステップ中にこれらの手段が明示される必要はない。つまり、新線形減衰係数計算処理を線形減衰係数Csの再計算処理とみなし、新非線形重み計算処理を非線形重みβの再計算処理とみなし、再計算された値を今後用いるようにすれば、外形上表されるような上記更新ステップを省略することができる。また、上記実施形態においては、車両の単輪モデルを用いた減衰力制御系に非線形H∞制御を適用して可変減衰係数Cvを求めたが、2輪モデルや4輪モデル、さらに車両のロール、ヒーブ、ピッチ運動などを考慮した制御モデルを用いた制御系に非線形H∞制御理論を適用して可変減衰係数Cvを求めても良い。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない限りにおいて変形可能である。
1…サスペンション制御装置、10…ダンパ、20…サスペンションスプリング(バネ)、30…可変絞り機構、41…バネ上加速度センサ、42…バネ下加速度センサ、43…ストロークセンサ、44…タイヤ変位量センサ、50…マイクロコンピュータ(減衰力制御装置)、51…可変減衰係数計算部、52…要求減衰力計算部、53…要求段数計算部、54…最小要求減衰係数計算部、55…新線形減衰係数計算部、56…計算部、60…タイヤ、HA…バネ上部材、LA…バネ下部材、SP…サスペンション装置(減衰力発生装置)、EL…電気制御装置、Creal_min…最小実減衰係数、Creal_max…最大実減衰係数、Creq_min…最小要求減衰係数、Creq_max…最大要求減衰係数、Creq…要求減衰係数、Cs…線形減衰係数、Cs_new…新たな線形減衰係数、Cv…可変減衰係数、Freq…要求減衰力、α…差、β…非線形重み、βnew…新たな非線形重み
Claims (6)
- バネ上部材とバネ下部材との間に取付けられたダンパおよびバネを備える可変減衰型の減衰力発生装置を制御対象とした減衰力制御系に非線形H∞制御理論を適用することにより、制御により変動する可変分の減衰係数である可変減衰係数Cvを計算する可変減衰係数計算手段と、前記可変減衰係数Cvに制御により変動しない固定分の減衰係数である線形減衰係数Csを加算することにより要求減衰係数Creqを計算する要求減衰係数計算手段と、前記要求減衰係数Creqに基づいて制御目標となる減衰力である要求減衰力Freqを計算する要求減衰力計算手段とを備え、前記要求減衰力Freqに基づいて前記減衰力発生装置の減衰力を制御する減衰力制御装置であり、
予め定められた設定期間内に前記要求減衰係数計算手段により計算された複数の要求減衰係数Creqの変動幅の中心を表す減衰係数を、新たな線形減衰係数Cs_newとして計算する新線形減衰係数計算手段と、
前記線形減衰係数Csを、前記新たな線形減衰係数Cs_newに更新する線形減衰係数更新手段と、
前記可変減衰係数計算手段が非線形H∞制御理論を適用することにより前記可変減衰係数Cvを計算する際に用いる非線形重みβであって、前記新たな線形減衰係数Cs_newに対応する新たな非線形重みβnewを計算する新非線形重み計算手段と、
前記非線形重みβを前記新たな非線形重みβnewに更新する非線形重み更新手段と、
を備えることを特徴とする、減衰力制御装置。 - 請求項1に記載の減衰力制御装置において、
前記新線形減衰係数計算手段は、前記設定期間内に前記要求減衰係数計算手段により計算された複数の要求減衰係数Creqの最大値を最大要求減衰係数Creq_max、最小値を最小要求減衰係数Creq_minとしたときに、下記式
Cs_new=(Creq_max+Creq_min)/2
により前記新たな線形減衰係数Cs_newを計算することを特徴とする、減衰力制御装置。 - 請求項1または2に記載の減衰力制御装置において、
前記新非線形重み計算手段は、前記ダンパにより発生し得る最大の減衰係数である最大実減衰係数Creal_maxと前記新たな線形減衰係数Cs_newとの差(Creal_max-Cs_new)と、前記新たな線形減衰係数Cs_newと前記ダンパにより発生し得る最小の減衰係数である最小実減衰係数Creal_minとの差(Cs_new-Creal_min)のうちの小さい方の差αに基づいて、前記新たな非線形重みβnewを計算することを特徴とする、減衰力制御装置。 - 請求項3に記載の減衰力制御装置において、
前記新非線形重み計算手段は、前記差αが大きいほど前記新たな非線形重みβnewが大きくなるように、前記新たな非線形重みβnewを計算することを特徴とする、減衰力制御装置。 - 請求項3または4に記載の減衰力制御装置において、
前記新非線形重み計算手段は、前記差αと前記新たな非線形重みβnewとを対応させたマップを検索することにより、前記新たな非線形重みβnewを決定することを特徴とする、減衰力制御装置。 - 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の減衰力制御装置において、
前記減衰力発生装置は、車両のサスペンション装置であり、
前記減衰力制御装置は、前記バネ上部材の振動を抑制するように、前記サスペンション装置の減衰力を制御することを特徴とする、減衰力制御装置。
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2008
- 2008-12-16 JP JP2008319526A patent/JP2010143263A/ja active Pending
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