JP2010143012A - 静電アクチュエーター並びにそれを備えた液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置 - Google Patents

静電アクチュエーター並びにそれを備えた液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置 Download PDF

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Abstract

【課題】静電アクチュエーターの能力をさらに向上させるために駆動電圧を上げた場合でも、表面層の帯電を軽減しその駆動を安定化させ、信頼性を向上させた静電アクチュエーター並びにそれを備えた液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置を得ることを目的とする。
【解決手段】振動板4に形成された振動板側絶縁膜6上に振動板側DLC膜8、そして、固定電極5に形成された固定電極側絶縁膜7上に固定電極側DLC膜9を形成し、かつ、これらのDLC膜を、セグメント形状に形成した。
【選択図】図3

Description

本発明は、静電駆動方式のインクジェットヘッド等に用いられる静電アクチュエーター並びにそれを備えた液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置に関するものである。
インクジェット記録装置におけるインク吐出方式として、駆動手段に静電気力を利用した、いわゆる静電駆動方式によるものが知られている。静電駆動方式のインクジェット記録装置は、可動電極である振動板と、その対向電極である固定電極との間で電圧を供給や遮断することにより、振動板を固定電極に吸引や隔離させる動作を行い、それによって生じる圧力変化を利用してインク孔からインクを吐出している。従って、振動板と固定電極はインクが貯えられた吐出室の圧力を変動させる静電アクチュエーターとして作用している。このような静電アクチュエーターを適用した装置では、一般的に帯電した振動板と固定電極との間に絶縁破壊やショートが発生するのを防止するためにシリコン酸化膜等の絶縁膜が形成されている。しかしながら、その絶縁膜は、絶縁膜表面での残留電荷の影響によって静電吸引圧力が安定せず、アクチュエーターの安定駆動が確保できないという課題があり、その対策として絶縁膜が形成された振動板と固定電極との対向面の少なくとも一方の面にDLC(ダイヤモンドライクカーボン)等のカーボン材料からなる表面層を形成したものや振動板又は固定電極の接触面に表面処理を施したもの等がある。
例えば、振動板と対向電極との間の残留電荷の影響の低減を実現して、安定した駆動が可能となる静電アクチュエーターを得るために、絶縁膜が形成された振動板と対向電極との対向面の少なくとも一方の面に、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)等のカーボン材料からなる表面層を形成しているものがある(例えば、特許文献1参照)。
また、振動板と対向電極が接触した時の振動板と対向電極との吸着力が振動板の弾性に基づく復元力と等しくなる時の表面粗さをRa(th)とする場合に、電極の保護膜である酸化膜表面を表面粗さがRa(th)以上となるようにエッチング等によって粗面化し、振動板と対向電極との間に生じるファンデルワールス力、静電引力、液架橋力又は水素結合力等を原因とする振動板と対向電極との付着を防止するものがある(例えば、特許文献2参照)。
また、振動板と対向電極との間の接触部に微小突起を設け、さらに接触部に疎水化処理を行い、接触した際に働くファンデスワールス力、吸着水又は残留電荷による吸着力を実質的に抑制し、スティッキングを抑え安定した動作を可能とするものがある(例えば、特許文献3参照)。
そして、振動板材料を可能な限り禁止帯幅(バンドギャップ)の広い材料を用いて、かつそれ以外の材料はメッシュパターンにする等工夫して酸素分子に吸収され易い250nm以下の波長の紫外線透過率を向上させることによって犠牲層除去によって形成された微小ギャップ内への保護膜形成前処理をオゾンガスにより効率的に行えるようにし、耐久性の優れた表面保護膜を形成するものがある(例えば、特許文献4参照)。
さらに、弾性表面波リニアモータの磨耗の問題を解決するために、摩擦駆動面へのセグメント構造ダイヤモンド状炭素(segment−structured diamond−like carbon:S−DLC)膜を適用し、シリコンスライダと置き換えたものがある(例えば、非特許文献1参照)。
特開2007−136856号公報(第6頁、図1) 特開2002−254633号公報(第6頁、図11) 特開2004−098178号公報(第6頁、図4) 特開2008−099364号公報(第6頁、図3) 精密工学会誌7月号「セグメント構造ダイヤモンド状炭素膜を摩擦駆動面に用いた弾性表面波リニアモータ(第1報)」
しかしながら、特許文献1においては、比較的低い駆動電圧においては、安定した駆動が可能であるが、静電アクチュエーターの能力をさらに向上させるために、駆動電圧を上げると、表面層の帯電(異種材料接触による接触帯電)によって、駆動電圧を解除した状態でも振動板が対向電極側に貼り付いてしまい、アクチュエーターの安定駆動が確保できないという問題がある。
また、特許文献2においては、静電アクチュエーターの能力をさらに向上させるために、駆動電圧を上げた場合において、上記の表面粗さの規定だけでは吸着防止対策としては不十分であるという問題がある。
また、特許文献3においては、接触部に疎水膜を設ける構成が記載されており、その疎水膜の形成においては、その前処理にO2プラズマ処理等が実施されることが一般的であるが、その記載は無く、十分な耐久性、信頼性が得られる構成にはなっていない。
また、特許文献4においては、静電アクチュエーターの能力をさらに向上させるために、駆動電圧を上げた場合において、表面疎水化膜が異物化することによる振動板当接阻害が発生し、吐出特性を著しく低下させてしまうという問題がある。
そして、非特許文献1においては、DLC膜が基材変形時にひずみが生じると、膜にクラックが発生するため、破壊や剥離を生じやすいことへの対応、及び弾性表面波リニアモータ接触面への対応であり、静電アクチュエーター構造とは分野も用途も異なり、特に、本願発明におけるDLC膜の膜厚やその体積抵抗率についての技術的特徴等については触れられていない。
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、静電アクチュエーターの能力をさらに向上させるために駆動電圧を上げた場合でも、表面層の帯電を軽減しその駆動を安定化させ、信頼性を向上させた静電アクチュエーター並びにそれを備えた液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置を得ることを目的とする。
本発明に係る静電アクチュエーターは、基板上に形成された固定電極と、この固定電極に所定のギャップを介して対向配置された可動電極と、固定電極と可動電極との間に静電気力を発生させて可動電極に変位を生じさせる駆動手段とを備え、固定電極が対向する可動電極と接触する面及び可動電極が対向する固定電極と接触する面の少なくとも一方の面に、カーボン材料からなる表面層が形成され、このカーボン材料からなる表面層は、固定電極と可動電極とが接触する場合、その接触面積が低減するように形成されているものである。
本発明によれば、表面層をカーボン材料とすることによって、振動板又は固定電極の表面残留電荷が抑制され、安定した駆動が可能となり耐久性が向上する。また、固定電極及び可動電極の両方の接触面にカーボン材料からなる表面層が形成されている場合は、接触面が同材質となり接触帯電は発生しないため、接触帯電による静電気力で吸着してしまう現象をなくすことができる。さらに、接触面積を低減することで、接触面において移動する電荷量を軽減することができ、電荷の偏りによる吸引力を抑制し、高電圧駆動における安定駆動を確保することができる。
また、本発明に係る静電アクチュエーターは、カーボン材料からなる表面層が、固定電極に形成されており、セグメント形状、列形状及び千鳥形状のいずれかの形状に形成されているものである。
本発明によれば、固定電極に形成されるカーボン材料からなる表面層をセグメント形状、列形状及び千鳥形状のいずれかの形状とすることによって、固定電極と可動電極との接触面積が低減され、接触面で移動する電荷量を軽減することができ、電荷の偏りによる吸引力を抑制し、高電圧駆動における安定駆動を確保することができる。
また、本発明に係る静電アクチュエーターは、カーボン材料からなる表面層は、可動電極に形成されており、セグメント形状、列形状及び千鳥形状のいずれかの形状に形成されているものである。
本発明によれば、可動電極に形成されるカーボン材料からなる表面層をセグメント形状、列形状及び千鳥形状のいずれかの形状とすることによって、固定電極と可動電極との接触面積が低減され、接触面で移動する電荷量を軽減することができ、電荷の偏りによる吸引力を抑制し、高電圧駆動において、安定駆動を確保することができる。
また、本発明に係る静電アクチュエーターは、カーボン材料からなる表面層をDLC(ダイヤモンドライクカーボン)膜とするものである。
本発明によれば、DLC膜は引張応力が強いため、可動電極である振動板にDLC膜が形成されている場合、可動電極である振動板の剛性が向上し、電極同士が表面帯電による静電気力により吸着してしまう現象を軽減することができる。また、DLC膜は高潤滑性を有しているため、凝着摩耗等による固定電極と可動電極の接触部の膜劣化(異物化)を防止することができる。
また、本発明に係る静電アクチュエーターは、DLC膜の体積抵抗率が1014Ω・cm以上であるものである。
本発明によれば、可動電極のDLC膜と固定電極のDLC膜が接触した場合、DLC膜間で移動する電荷量を軽減することができるため、比較的低いパルス駆動電圧の解除後、電荷の偏りによる吸引力を抑制し、安定駆動を確保することができる。
また、本発明に係る静電アクチュエーターは、DLC膜の膜厚が30nm以下であるものである。
本発明によれば、可動電極又は固定電極に形成するDLC膜の膜厚を30nm以下とすることによって、DLC膜の表面残留電荷の抑制という性質を有しつつ、静電アクチュエーターの安定駆動を確保することができる。
また、本発明に係る静電アクチュエーターは、DLC膜がCVD(Chemical Vapor Deposition)法又はスパッタリング法によって形成されるものである。
本発明によれば、CVD法の場合、密着性を確保し、緻密、均質かつ均一な厚さでDLC膜を形成することが可能であり、さらに高速で形成することができる。また、スパッタリング法の場合、基板への付着力の強い緻密なDLC膜の形成が可能となる。
また、本発明に係る液滴吐出ヘッドは、上記いずれかに記載の静電アクチュエーターを備えたものである。
本発明によれば、上記いずれかに記載の静電アクチュエーターを備えたものであるので、振動板と固定電極との表面帯電による吸引力を低減し、アクチュエーターの安定駆動を確保した液滴吐出ヘッドを得ることができる。
また、本発明に係る液滴吐出ヘッドは、上記の液滴吐出ヘッドを備えたものである。
本発明によれば、上記の液滴吐出ヘッドを備えたものであるので、アクチュエーターの安定駆動によってインクの吐出性能が向上したインクジェットプリンター等の液滴吐出装置を得ることができる。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係るインクジェットヘッドの分解外観斜視図であり、図2は、同インクジェットヘッドの断面図である。
本実施の形態に示すインクジェットヘッド50は、図1及び図2で示されるように、3枚の基板を貼り合わされて構成される積層構造体である。その3枚の基板とは、複数のノズル孔11が所定のピッチで設けられたノズル基板1、各ノズル孔11に対して独立にインク流路が形成されたキャビティ基板2、そして、各インク流路に設けられた吐出室21の底部を構成する可動電極である振動板4に対向して固定電極5が配置された電極基板3である。
(ノズル基板1)
ノズル基板1は、単結晶のシリコン基板からなり、エッチングによりキャビティ基板2における吐出室21に連通し、ノズル基板1に対し垂直に貫通するように形成されたノズル孔11と、吐出室21とキャビティ基板2におけるリザーバー部23(後述)とを連通させるために下面に細溝上に形成された供給口12と、リザーバー部23の圧力変動を補償するためのダイヤフラム部13とを有する構成となっている。ノズル孔11は、径の小さい噴射口部とこれより径の大きい導入口部とから2段に構成されることによってインク滴の直進性を向上させることができる。なお、ノズル孔11は、図1において2列の形成された構成となっており、その列ごと左右に1個ずつヘッド部分をもつ構成となっているが、これに限られるものではなく、当該ヘッド部分は1個ずつで構成されるものとしてもよく、また、ノズル孔11の数は制限されるものでもない。
(キャビティ基板2)
キャビティ基板2は、例えば面方位が(110)の単結晶のシリコン基板からなり、その表面には、複数のインクの流路となる溝又は凹部がエッチングによって形成されている。その個々の流路は、底部を可動電極である振動板4とする凹状の吐出室21が形成されており、振動板4は、ボロン拡散層によって極めて薄い厚みで高精度に形成されている。また、各流路に共通に連通する凹状のリザーバー部23が形成されている。キャビティ基板2の振動板4の下面には、電極基板3における固定電極5との短絡や絶縁破壊を防止するために、シリコン酸化膜(SiO2)、シリコン窒化物(SiN)又はAl23及びHfO2等のいわゆるHigh−k材等が用いられた振動板側絶縁膜6が形成されている。
(電極基板3)
電極基板3は、ガラス基板によって形成されている。電極基板3は、キャビティ基板2と陽極接合によって接合されるので、剥離のない接合強度を確保するために、熱膨張係数がシリコンのそれに近いホウ珪酸珪ガラスが一般的に用いられる。電極基板3には、一般的にITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)からなる固定電極5が形成されている。各固定電極5は、振動板4と対向する位置にエッチングによって区画形成された凹部31内に形成されている。振動板4と固定電極5とは所定の間隔(以下、ギャップという)Gを隔てて対向配置される。電極基板3の固定電極5の表面には前述した振動板側絶縁膜6と同様の材質の固定電極側絶縁膜7が形成されている。また、電極基板3には、インク供給孔32が1つ若しくは複数が形成されている。このインク供給孔32は、研削加工又はマイクロブラスト加工によって形成され、前述のリザーバー部23に連通するようにキャビティ基板2の底部を貫通している。インク供給孔32は、インクタンク(図示せず)に接続されている。
(封止剤28)
振動板4と固定電極5との間に形成されるギャップGの開放端部はエポキシ樹脂等による封止剤28によって気密に封止される。これによって、湿気や塵埃等がギャップGに浸入することを防止することができ、インクジェットヘッド50の信頼性を高く保持することができる。
(DLC膜)
図3は、本発明の実施の形態1に係るインクジェットヘッドのセグメント形状の振動板側DLC膜と固定電極側DLC膜との接触時の拡大状態概略図である。振動板4に形成された振動板側絶縁膜6上には、さらに振動板側DLC膜8、そして、固定電極5に形成された固定電極側絶縁膜7上には、さらに固定電極側DLC膜9が形成されており、かつ、これらのDLC膜は、図3で示されるようにセグメント形状に形成されている。
これらのDLC膜等のカーボン材料を表面層として形成することによって、振動板4又は固定電極5の表面残留電荷が抑制され、安定した駆動が可能となり耐久性が向上する。
また、振動板4と固定電極5がDLC膜を介して接触する場合の接触面が同材質となり接触帯電が発生しないため、接触帯電による静電気力で吸着してしまう現象をなくすことができる。
そして、振動板側DLC膜8及び固定電極側DLC膜9がセグメント形状で形成されていることによって、振動板4と固定電極5とがこれらのDLC膜を介して接触する場合、そのDLC膜の配置を好適化することによって接触面積を低減させ、その際の接触面において移動する電荷量を軽減することができ、電荷の偏りによる吸引力を抑制し、高電圧駆動における安定駆動を確保することができる。
さらに、DLC膜は引張応力が強いため、可動電極である振動板4に振動板側DLC膜8が形成される場合、振動板4の剛性が向上し、電極同士が表面帯電による静電気力により吸着してしまう現象を軽減することができる。
次に、DLC膜の形成方法を説明する。
成膜の原料としては、例えば、メタン(CH4)、エタン(C26)、プロパン(C38)、ブタン(C410)、アセチレン(C22)、ベンゼン(C66)又はトルエン(C78)等を用いる。まず、プラズマCVD法によって、DLC膜の体積抵抗率が1014Ω・cmとなるように、高周波出力、ガス流量及びチェンバー内圧力等の成膜条件によって原料ガスをプラズマ化し、振動板側絶縁膜6及び固定電極側絶縁膜7上に蒸着させ、数nm〜30nmの膜厚となるように成膜する。そして、フォトリソグラフィによって図3で示されるようなセグメント形状にパターニングし、ドライエッチングによってその形状に加工する。また、本実施の形態においては、DLC膜のセグメント同士のスリット幅は、振動板側DLC膜8と固定電極側DLC膜9の接触面積を極力小さくすること、そして、振動板4が固定電極5に当接する場合における振動板4におけるクラック発生等の不具合が生じない範囲で任意に決定する。
以上のDLC膜の形成方法のように、DLC膜の体積抵抗率を1014Ω・cm以上とするように形成することによって振動板側DLC膜8と固定電極側DLC膜9が接触した場合、DLC膜間で移動する電荷量を軽減することができるため、比較的低いパルス駆動電圧の解除後、電荷の偏りによる吸引力を抑制し、安定駆動を確保することができる。
また、DLC膜の膜厚を30nm以下となるように形成することによって、DLC膜の表面残留電荷の抑制という性質を有しつつ、静電アクチュエーターの安定駆動を確保することができる。
また、DLC膜の形成方法としてCVD法、特に本実施の形態においてはプラズマCVD法を採用したことによって、密着性を確保し、緻密、均質かつ均一な厚さでDLC膜を形成することが可能であり、さらに高速で生成することができる。
なお、図3においては、セグメント形状に形成された振動板側DLC膜8と固定電極側DLC膜9との接触時の例を示しているが、これに限られるものではなく、セグメントの形状を異なるものとしてもよいし、異なる接触形態となるようにしてもよい。
また、上記のDLC膜は、セグメント形状に形成されているが、これに限られるものではなく、例えば、図4の(a)〜(c)で示されるような列形状、又は、図5の(a)及び(b)で示されるような千鳥形状になるように、前述の形成方法によって形成されるものとしてもよく、いずれの場合も、振動板4と固定電極5とがDLC膜を介して接触する場合、そのDLC膜の配置を好適化することによって接触面積を低減することができ、接触面において移動する電荷量を軽減し、電荷の偏りによる吸引力を抑制し、高電圧駆動における安定駆動を確保することができる。
また、DLC膜の形成は、上記で説明したCVD法によるものに限られるものではなく、スパッタリング法によって形成するものとしてもよい。
このスパッタリング法によって、振動板側絶縁膜6及び固定電極側絶縁膜7上に付着力の強い緻密なDLC膜の形成が可能となる。
また、上記においてDLC膜に限らず、ダイヤモンド、フラーレンC60又はカーボンナノチューブ等のその他のカーボン材料であってもよい。
(駆動制御回路40)
キャビティ基板2及び電極基板3の後端部は、図1及び図2で示されるように、エッチングによって開口された電極取り出し部34となっている。そして、電極基板3上に形成された固定電極5は、リード部5aと端子部5bとを有し、このうち端子部5bが電極取り出し部34において露出するように形成されている。また、キャビティ基板2の後端部における片側又は両側に金属膜からなる共通電極26が形成されている。そして、静電アクチュエーターの駆動手段として、振動板4と固定電極5との間にパルス電圧を印加するためのドライバーIC等の駆動制御回路40が、各固定電極5の端子部5b及び共通電極26に例えば導電性接着剤も用いて接着されている。
(インクジェットヘッド50の動作)
インクは、キャビティ基板2に設けられたリザーバー部23及び吐出室21、そしてノズル基板1のノズル孔11の先端に至るまで、気泡を生じることなく満たされており、図2で示される矢印で示す方向にインクは流れる。印刷が実施される際には、駆動制御回路40によって振動板4と固定電極5との間に所定のパルス電圧が印加されることによって静電引力が発生し、振動板4は固定電極5側へ引き寄せられて撓み、固定電極5に当接して、吐出室21に負圧が発生する。これによって、リザーバー部23内のインクが吐出室21内に吸引され、インクの振動(メニスカス振動)が発生する。このインクの振動が略最大となった時点で、印加電圧を解除すると、振動板4は固定電極5から離脱して、その復元力によってインクがノズル孔11から押し出され、その押し出されたインク滴が記録紙(図示せず)に向けて吐出される。
実施の形態2.
図6は、本発明の実施の形態1にかかる液滴吐出ヘッドであるインクジェットヘッド50を備えた実施の形態2に係る液滴吐出装置の一例を示す外観図である。
図6で示される液滴吐出装置100は、液滴としてインクを吐出するインクジェットプリンターである。この液滴吐出装置100は、実施の形態1に係るインクジェットヘッド50を備えることによって、静電アクチュエーター部分の残留電荷影響が低減されるため、安定した駆動による高精度のインク吐出が可能となり吐出性能が向上する。実施の形態1の液滴吐出ヘッドであるインクジェットヘッド50は、ここに示したインクジェットプリンターの他に、吐出する液滴を種々変更することで、カラーフィルターのマトリクスパターンの形成、有機EL表示装置の発行部の形成、そして、生体液体試料の吐出等を実施する液滴吐出装置にも適用することができる。
ミラーデバイス等のアクチュエーター、バイオチップ製造装置又は液晶カラーフィルター製造装置等に応用できる。
本発明の実施の形態1に係るインクジェットヘッドの分解外観斜視図である。 同インクジェットヘッドの断面図である。 本発明の実施の形態1に係るインクジェットヘッドのセグメント形状の振動板側DLC膜と固定電極側DLC膜との接触時の拡大状態概略図である。 本発明の実施の形態1に係るインクジェットヘッドの列形状の振動板側DLC膜と固定電極側DLC膜との接触時の拡大状態概略図である。 本発明の実施の形態1に係るインクジェットヘッドの千鳥形状の振動板側DLC膜と固定電極側DLC膜との接触時の拡大状態概略図である。 本発明の実施の形態1にかかる液滴吐出ヘッドであるインクジェットヘッド50を備えた実施の形態2に係る液滴吐出装置の一例を示す外観図である。
符号の説明
1 ノズル基板、2 キャビティ基板、3 電極基板、4 振動板、5 固定電極、5a リード部、5b 端子部、6 振動板側絶縁膜、7 固定電極側絶縁膜、8 振動板側DLC膜、9 固定電極側DLC膜、11 ノズル孔、12 供給口、13 ダイヤフラム部、21 吐出室、23 リザーバー部、26 共通電極、28 封止剤、31 凹部、32 インク供給孔、34 電極取り出し部、40 駆動制御回路、50 インクジェットヘッド、100 液滴吐出装置。

Claims (9)

  1. 基板上に形成された固定電極と、
    該固定電極に所定のギャップを介して対向配置された可動電極と、
    前記固定電極と前記可動電極との間に静電気力を発生させて前記可動電極に変位を生じさせる駆動手段と、
    を備え、
    前記固定電極が対向する前記可動電極と接触する面及び前記可動電極が対向する前記固定電極と接触する面の少なくとも一方の面に、カーボン材料からなる表面層が形成され、
    該カーボン材料からなる表面層は、前記固定電極と前記可動電極とが接触する場合、その接触面積が低減するように形成されている
    ことを特徴とする静電アクチュエーター。
  2. 前記カーボン材料からなる表面層は、前記固定電極に形成されており、セグメント形状、列形状及び千鳥形状のいずれかの形状に形成されている
    ことを特徴とする請求項1記載の静電アクチュエーター。
  3. 前記カーボン材料からなる表面層は、前記可動電極に形成されており、セグメント形状、列形状及び千鳥形状のいずれかの形状に形成されている
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の静電アクチュエーター。
  4. 前記カーボン材料からなる表面層は、DLC膜である
    ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の静電アクチュエーター。
  5. 前記DLC膜の体積抵抗率は、1014Ω・cm以上である
    ことを特徴とする請求項4記載の静電アクチュエーター。
  6. 前記DLC膜の膜厚は、30nm以下である
    ことを特徴とする請求項4又は請求項5記載の静電アクチュエーター。
  7. 前記DLC膜は、CVD法又はスパッタリング法によって形成される
    ことを特徴とする請求項4〜請求項6のいずれかに記載の静電アクチュエーター。
  8. 請求項1〜請求項7のいずれかに記載の静電アクチュエーターを備える
    ことを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  9. 請求項8記載の液滴吐出ヘッドを備える
    ことを特徴とする液滴吐出装置。
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JP2007136856A (ja) * 2005-11-18 2007-06-07 Seiko Epson Corp 静電アクチュエータ、液滴吐出ヘッド、液滴吐出装置、静電デバイス、静電アクチュエータの製造方法並びに液滴吐出ヘッドの製造方法

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