JPH10296973A - 記録ヘッド - Google Patents

記録ヘッド

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JPH10296973A
JPH10296973A JP10719597A JP10719597A JPH10296973A JP H10296973 A JPH10296973 A JP H10296973A JP 10719597 A JP10719597 A JP 10719597A JP 10719597 A JP10719597 A JP 10719597A JP H10296973 A JPH10296973 A JP H10296973A
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hard carbon
carbon film
recording medium
film
recording head
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JP10719597A
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Hidekazu Ota
英一 太田
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Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/135Nozzles
    • B41J2/14Structure thereof only for on-demand ink jet heads
    • B41J2/14314Structure of ink jet print heads with electrostatically actuated membrane

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  • Micromachines (AREA)
  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 インクの濡れ性及び侵食性に絡んだ問題を解
決し、安定したインクの飛翔を実現し、かつ、耐摩耗性
をも達成する。 【解決手段】 記録体を吐出する複数の吐出口14と、
記録体に吐出の圧力を与える加圧室7と、記録体を前記
加圧室に輸送するための流路10と、前記加圧室7内の
記録体を加圧するための圧力発生手段6とを備えてい
る。前記吐出口面(ノズルプレート13の表面)が炭素
を主構成元素とし非晶質、或いは、微結晶質を一部含む
非晶質状態の硬質炭素膜で被覆されている。吐出口を炭
素を主構成元素とし非晶質、或いは、微結晶質を一部含
む非晶質状態の硬質炭素膜で被覆しているので、その撥
水性のゆえに吐出口周辺に液溜り等ができず、インクの
飛翔方向が一定となり、ひいては高速、高画質の印刷が
実現できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、記録ヘッド、より
詳細には、インクジェット記録ヘッドの撥水処理に係
り、他には、マイクロポンプ等の流路、内壁等の撥水処
理に関する。
【0002】
【従来の技術】オンデマンド型インクジェットとして
は、加圧液室の壁の一部を薄い振動板にしておき、ここ
に電気機械変換素子として圧電素子を設け、電圧印加に
伴って発生する圧電素子の変形で前記振動板を変形せし
め、前記加圧液室内の圧力を変化させてインクを吐出す
る方式(ピエゾオンデマンド型)、加圧室内部に発熱体
素子を設け、通電による発熱体の加熱によって気泡を発
生せしめ、気泡の圧力によってインクを吐出する方式
(バブルジェット方式)が広く一般に知られている。
【0003】もう一つの方式として静電力型インクジェ
ットが提案されている。この静電力型インクジェットは
加圧液室に設けた薄い振動板を静電力で変形させ、その
変形によって液室の圧力を上昇させてインクを吐出させ
るものである。例えば、特開平5−50601号公報で
はシリコンからなる中基板に、ノズル、吐出室、インク
キャビティ及び振動板をエッチングにて形成し、インク
供給口を有する上基板と前記振動板に対向して電極を設
けた下基板とを一体化してヘッドを構成し、振動板と電
極間に電界を印加して、前記の原理でインクを吐出させ
るものである。また、特開平6−71882号公報で
は、低電圧駆動を目的として、振動板と電極の距離を
0.05μ〜2.0μと限定している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】而して、上記方式は、
小型化、高密度化、高速化、高画質化等に適している点
がその利点であるが、ともに、以下の共通の問題点を有
していた。 吐出口の表面の一部に液溜りが発生すると、インク
の飛翔方向が乱れる。 吐出口の全面がインクで覆われると、いわゆるスプ
ラッシュ現象が生じインクの散乱が起こり安定した吐出
が得られない。 これらを解決するものとして、例えば、フルオルア
ルキルアルコキシシラン等(特開昭56−895669
号公報)、或いは、ポリビニルアルコール/2.2.2
−トリフルオロエチルメタクリレート系樹脂(特開平8
−156262号公報)等で吐出口周辺を撥水処理する
ことが提案されているが、これら有機材料は耐摩耗性の
ような長期信頼性が劣り実用に問題があった。 更にインクは一般にアルカリ性が強く液室や吐出口
等を侵食するという問題もあった。
【0005】更に、吐出口の目詰まりを防止する目的
で、吐出口面をブレード(ゴム製)でワイピングするこ
ともしばしば行われるが、この際、コーティング膜が剥
離するあるいは摩耗する等の問題が発生する。
【0006】更には、先に説明した静電型インクジェッ
ト特有の問題点として、微小ギャップ内での放電、あ
るいは、電極表面を保護する保護膜の絶縁破壊、保
護膜の表面に吸着した水分あるいはOH基による電極と
振動板との接着等の問題点があった。
【0007】本発明は、上述のごとき実情に鑑みてなさ
れたもので、上記のインクの濡れ性及び侵食性に絡んだ
問題を解決し、安定したインクの飛翔を実現し、かつ、
耐摩耗性をも達成すること、及び、コーティング膜の密
着力を向上させることを目的としてなされたものである
(請求項1〜4及び8〜11の発明)。
【0008】前述のように、静電力型インクジェット特
有の問題点として、微小ギャップ内での放電、電極
表面を保護する保護膜の絶縁破壊、保護膜の表面に吸
着した水分あるいはOH基による電極と振動板との接着
等の問題点があったが、本発明は、かかる静電力型特有
の問題点を解決するための優れた保護膜及び形成構造を
与えることを目的としてなされたものである(請求項5
〜7の発明)。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、記録
体を吐出する複数の吐出口と、記録体に吐出の圧力を与
える加圧室と、記録体を輸送するための流路と、前記加
圧室内の記録体を加圧するための圧力発生手段とを備え
た記録ヘッドにおいて、前記吐出口面を炭素を主構成元
素とし非晶質、或いは、微結晶質を一部含む非晶質状態
の硬質炭素膜で被覆したことを特徴とし、もって、吐出
口を炭素を主構成元素とし非晶質、或いは、微結晶質を
一部含む非晶質状態の硬質炭素膜で被覆することによ
り、その撥水性のゆえに吐出口周辺での液溜りができ
ず、インクの飛翔方向が一定となり、ひいては、高速、
高画質の印刷を実現できるようにしたものである。
【0010】請求項2の発明は、記録体を吐出する複数
の吐出口と、記録体に吐出の圧力を与える加圧室と、記
録体を輸送するための流路と、前記加圧室内の記録体を
加圧するための圧力発生手段とを備えた記録ヘッドにお
いて、少なくとも前記加圧室及び流路の内面を炭素を主
構成元素とし非晶質、或いは、微結晶質を一部含む非晶
質状態の硬質炭素膜で被覆したことを特徴とし、もっ
て、少なくとも加圧室及び流路の内面を前記硬質炭素膜
で被覆することにより、前記加圧室及び流路の内面のイ
ンクにより侵食等を防止し、インク成分の変化変質を低
減し、かつ、長期使用時のインクの漏洩をも防止し、信
頼性の高い記録ヘッドを実現できるようにしたものであ
る。
【0011】請求項3の発明は、請求項1又は2の発明
において、前記硬質炭素膜の膜厚が5〜550nmであ
ることを特徴とし、もって、硬質炭素膜の剥離を防止で
き、かつ、請求項1又は2にあげた効果が有効に発揮さ
れ高速、高画質、高信頼性の記録ヘッドを実現できるよ
うにしたものである。
【0012】請求項4の発明は、請求項1又は2又は3
の発明において、前記硬質炭素膜中にF原子及び又はN
原子が含有されていることを特徴とし、もって、膜の撥
水性をさらに向上し、高速、高画質、高信頼性の記録ヘ
ッドを実現できるようにしたものである。
【0013】請求項5の発明は、記録体を吐出する複数
の吐出口と、記録体に吐出の圧力を与える加圧室と、記
録体を輸送するための流路と、前記加圧室内の記録体を
加圧するための圧力発生手段とを備えた記録ヘッドであ
って、前記圧力発生手段が前記加圧室の一部を形成する
振動板と、該振動板に対向して設けられた電極との間に
印加された電界による静電型アクチュエータである記録
ヘッドにおいて、前記電極の一部及び全面が炭素を主構
成元素とし非晶質、或いは、微結晶質を一部含む非晶質
状態の硬質単素膜で被覆されていることを特徴とし、も
って、硬質炭素膜の表面を水素でターミネイトして水分
等が吸着しにくくし、水分が吸着することによる不安定
さ(ギャップ内の容量変化に起因する振動板変位の変
動、振動板と電極の癒着等)を改善し、また、電極の
一部に設けた時は、振動板の変位に対して機械的なスト
ッパーの機能を果たし、従って、インク吐出の安定性及
び長期信頼性を向上させるようにしたものである。
【0014】請求項6の発明は、記録体を吐出する複数
の吐出口と、記録体に吐出の圧力を与える加圧室と、記
録体を輸送するための流路と、前記加圧室内の記録体を
加圧するための圧力発生手段とを備えた記録ヘッドであ
って、前記圧力発生手段が前記加圧室の一部を形成する
振動板と、該振動板に対向して設けられた電極との間に
印加された電界による静電型アクチュエータである記録
ヘッドにおいて、前記振動板の表面の一部及び全面が炭
素を主構成元素とし非晶質、或いは、微結晶質を一部含
む非晶質状態の硬質単素膜で被覆されていることを特徴
し、もって、硬質炭素膜の表面を水素でターミネイトし
て水分等が吸着しにくくし、水分が吸着することによる
不安定さ(ギャップ内の容量変化に起因する振動板変
位の変動、振動板と電極の癒着等)を改善し、更に、
硬質炭素膜は剛性が高く振動板の構造部材をも兼ねるこ
とが出来るため、振動板の設計自由度を増大させ、一
方、電極の一部に設けた時は、振動板の変化に対して機
械的なストッパーの機能を果たし、高速、高画質、高信
頼性の記録ヘッドを実現できるようにしたものである。
【0015】請求項7の発明は、請求項5又は6の発明
において、前記硬質炭素膜の膜厚が0.02〜10μm
であることを特徴とし、もって、吐出の不安定さ(ギ
ャップ内の容量変化に起因する振動板変位の変動、振
動板と電極の癒着等)が改善し、更に、硬質炭素膜は剛
性が高く振動板の構造部材をも兼ねることが出来るた
め、振動板の設計自由度を増大させ、一方、振動板の一
部に設けた時は、振動板の変位に対して機械的なストッ
パーの機能を果たして、高速、高画質、高信頼性の記録
ヘッドを実現できるようにしたものである。
【0016】請求項8の発明は、請求項1又は2或いは
5又は6の発明において、前記硬質炭素膜の内部応力が
500MPa以下であることを特徴とし、もって、硬質
炭素膜の剥離を防止でき、長期信頼性に優れた高速、高
画質の記録ヘッドを実現できるようにしたものである。
【0017】請求項9の発明は、請求項1又は2或いは
5又は6の発明において、前記硬質炭素膜が少なくとも
2層からなる積層体であることを特徴とし、もって、硬
質炭素膜が少なくとも2層からなる積層体(下層に内部
応力の小さな膜を、上層には内部応力は大きいが硬度の
高い膜を配置する)であるので、硬質炭素膜の剥離を防
止でき、長期信頼性に優れた高速、高画質の記録ヘッド
が実現できるようにしたものである。
【0018】請求項10の発明は、請求項2又は6の発
明において、前記硬質炭素膜と基体の界面にa−SiC
からなる中間層を設けたことを特徴とし、もって、基体
の硬質炭素膜の密着力を向上して硬質炭素膜の剥離を防
止でき、長期信頼性に優れた高速、高画質の記録ヘッド
が実現できるようにしたものである。
【0019】請求項11の発明は、請求項2又は6の発
明において、記前硬質炭素膜中のSi濃度が基体に近づ
くに従って連続的に増加していることを特徴とし、もっ
て、基体の硬質炭素膜の密着力を向上させ、硬質炭素膜
の剥離を防止でき、長期信頼性に優れた高速、高画質の
記録ヘッドが実現できるようにしたものである。
【0020】
【発明の実施の形態】図1は、本発明が適用される静電
型インクジェットヘッドの要部構成図で、同図は、イン
クジェットヘッドの断面を示し、図中、1は第1の基
板、2は該第1の基板1に設けられた凹部、3は電極、
4は保護層、5は第2の基板、6は該第2の基板5に設
けられた振動板、7は加圧室、8はインク吐出流路、9
は共通インク室、10は共通インク室9と各加圧室7を
連通する流路、11は第3の基板、12はインク供給
口、13はノズルプレート、14は該ノズルプレート1
3に設けられたインク吐出口で、図中の矢印はインクの
移動、吐出方向を示しており、先端には吐出口14が設
けられているノズルプレート13が設置されている。
【0021】第1の基板1の上面には電極3とそれに対
向する振動板6とのギャップを一定に保つための凹部2
が設けられている。電極3上には電気的な絶縁を保つた
めに保護層4が形成されている。更に、第2の基板5に
は振動板6及び加圧室7とからなる凹部が形成されてい
る。第3の基板11にはインク供給口12が形成されて
おり、基板1,5,11を順次接合してインクジェット
ヘッドは完成する。
【0022】ここで基板1,5,11の材料としては、
ガラス(とくにはパイレックス#7740,#707
0,#7059等)、或いは、結晶シリコンが微細加工
の面からはのぞましいが、とくにこれらに限定されるも
のではない。但し、第2の基板5に関しては電圧を印加
するために抵抗の低い材料が望ましく、この意味では低
抵抗の結晶シリコンが好適である。いま、電極3と振動
板6の間に電界を印加すると両者間に働く静電引力によ
って振動板6は電極3側にたわむように変形する。この
状態で電界を零にすると、振動板6はその復元力でもと
にもどり加圧室7内のインクに圧力がかかり、インクが
吐出する。
【0023】(請求項1の発明)図2は、請求項1の発
明の一実施例を説明するための要部斜視図で、図中、1
3はノズルプレート、14はインク吐出口で、ノズルプ
レート13の表面にはインク吐出口14を被覆するよう
に炭素を主構成元素とし非晶質、或いは、微結晶質を一
部含む非晶質状態の硬質炭素膜15が設けられている。
硬質炭素膜15の表面エネルギーは非常に低く、撥水性
が確保され、インクの吐出安定性が向上できるようにし
たもので、本発明においては、上述のように硬質炭素膜
15が設けられたノズルプレートが、図1に示したノズ
ルプレートに代って用いられる。
【0024】(請求項2の発明)図3は、請求項2の発
明の一実施例を説明するための要部構成図で、この発明
は、振動板6及び加圧室7等のインクと接する側に硬質
炭素膜15を設けたものである。硬質炭素膜15は強靱
な化学耐性を有しており、これにより加圧液室7及び流
路8,共通インク室9,流路10等インクと直接接する
部分の構造体がインクに侵食されてインク成分が変化変
質するのを防止できる。
【0025】ここで、上記硬質炭素膜についてその製法
及び特性について説明する。硬質炭素膜15を形成する
ためには有機化合物ガス、特に、炭化水素ガスが用いら
れる。これら原料ガスにおける相状態は常温常圧におい
て必ずしも気体である必要はなく加熱あるいは減圧によ
って溶融、蒸発、昇華等を経て気化しうるものであれば
液体でも固体でも使用可能である。炭素源としてはC2
6,C38,C410等のパラフィン系炭化水素、C2
4等のアセチレン系炭化水素、あるいは、ジオレフィ
ン系炭化水素、更には、芳香族系炭化水素などすべての
炭化水素を含むガスが使用できる。さらに、炭化水素以
外でも、例えば、アルコール類、ケトン類、エーテル
類、エステル類、CO,CO2等少なくとも炭素原子を
含む化合物であれば使用可能である。また、膜中にSP
3結合の炭素と同時に生成されてくるSP2結合の炭素を
選択的に除去するためには水素を含むガスが用いられ
る。具体的にはH2,H2O等である。
【0026】原料ガスからの硬質炭素膜の形成方法とし
ては成膜活性種が直流、低周波、高周波、あるいは、マ
イクロ波等を用いたプラズマ法により生成されるプラズ
マ状態を経て形成される方法が好ましいが、大面積化、
均一向上、成膜温度の低温化等の目的で磁場効果をも併
用した方法(ECRプラズマCVD法等)が更に好まし
い。その他にもイオンプレーティング、クラスターイオ
ンビーム等により生成されるイオン状態を経て形成して
も良いし、ECRスパッタあるいはスパッタ等により生
成される中性粒子から形成してもよいし、更には、これ
らを組み合わせた方法で形成しても良い。
【0027】上述のごとくして作製される硬質炭素膜の
成膜条件の一例はプラズマCVDの場合おおむね表1に
示す通りである。また、得られた膜の機械特性は前述し
た通りである。
【0028】
【表1】
【0029】上述のごとくして得られた硬質炭素膜は炭
素原子を主要な構成元素とし、非晶質及び微結晶質の少
なくとも一方を含む膜状物質である(ダイヤモンド状炭
素膜、i−C膜、アモルファスダイヤモンド膜ともよば
れている)。この硬質炭素膜の一つの特徴は以下のとお
りであり、気相成長で比較的低温で合成できる、膜
の表面エネルギーが低く撥水性がある、ヤング率が3
〜7(104Kg/mm2)と大きくかつ化学的安定性に
優れている、硬度が高くかつ摩擦係数が小さい(0.
3〜0.1)ので耐摩耗性が優れている、であり、本発
明の目的を達成するためには好適な材料である。
【0030】(請求項3の発明)本発明の目的に適して
いる硬質炭素膜の膜厚は5〜500nmであった。5n
m以下では基板の表面性にもよるが膜が連続的でなくな
るためにコーティング膜としての機能が著しく低下し、
かつ、長期使用時における摩耗によって機能の低下が著
しい。さらに、500nm以上ではコーティングの際に
ノズル口径及び形状が所望のものから著しくずれてしま
う。これらの理由から膜厚の範囲として、より好ましく
は10〜400nmであった。
【0031】(請求項4の発明)更に、本出願人は膜の
表面エネルギーを低減すべく鋭意研究した結果、膜中の
水素原子をF原子で置換するか、あるいは、N原子を骨
格の構成元素として膜中に導入することが特に効果的で
あることを見出した。F原子を導入するためには、原料
ガスとして、CH3F、CH22、CHF3等のF元素を
内包する炭化水素系のガスを使用すればよい。また、N
原子を導入するためには、原料ガスとして、N2、N
3、N22等のN元素を内包するガスを使用すればよ
い。それぞれの原子を膜に導入した際の純水に対する接
触角の変化を表2に示した。
【0032】
【表2】
【0033】(請求項5の発明)図1で説明した静電型
インクジェット特有の問題点として、微小ギャップ内
での放電、電極表面を保護する保護膜の絶縁破壊、
保護膜の表面に吸着した水分あるいはOH基による電極
と振動板との接着等の問題点があった。本発明はかかる
静電型インクジェット特有の問題点を解決するための優
れた保護膜及び形成構造をも与えるものである。
【0034】図4は、請求項5の発明の実施例を説明す
るための要部構成図で、図4(A)は、電極3の表面全
面にわたって硬質炭素膜15を設けたものである。従来
素子では電極の保護膜としてはSiO2、Si34等の
無機酸化物が使用されていた。電極及び保護膜の表面に
は空気中の水分、−OH基が吸着しており、電極と保護
膜が接触した場合に、水素結合的な化学結合が生じ電圧
を零にしても両者が接合した状態のままになってしま
う。この現象は電極を透明電極にしたときに特に著し
い。これに対して硬質炭素膜は水分、−OH基の吸着量
が非常に少なく、上記のような問題は生じなかった。更
に、硬質炭素膜は比抵抗及び絶縁耐圧が高く、電気的な
絶縁層の機能を果たすことはいうまでもない。図4
(B)は電極3上の一部だけに硬質炭素膜15′を設け
たもので、この構成でも上記目的は達成できる。
【0035】(請求項6の発明)図5は、請求項6の発
明の実施例を説明するための要部構成図で、図5(A)
の例は、振動板6の電極3に対向する側の表面全面にわ
たって硬質炭素膜15を設けたものであり、図5(B)
の例は振動板6上の一部だけに硬質炭素膜15′を設け
たものである。この場合も硬質炭素膜の主機能は図4の
場合と同様に電極3と振動板6の接合防止及び電気絶縁
であるが、この構成の特徴は上記機能に加えて、硬質炭
素膜15が振動板6の一部としても機能するところにあ
る。すなわち、図5(A)の例のように、振動板の全面
にコートしたときは、振動板は硬質炭素膜と基体とで構
成された複合体となり、両者の厚さと物性(ヤング率、
強靱性)とによって自由に設計できる。更に、硬質炭素
膜は化学耐性が優れているために、振動板形成時のマス
ク層をもかねることができると言うメリットも生じる。
【0036】(請求項7の発明)また、図5(B)の例
のように、部分的に硬質炭素膜15′を設ける場合(機
械的なストッパー及び絶縁層として作用する場合)で
は、その膜厚は0.02μm以上必要であった。これ以
下では、ピンホールの確率が急増し絶縁耐圧が十分で
はなくなる、ストッパーとしての機能が著しく低下す
るために実用に供せない。更に、振動板の一部を構成す
る場合には、10μm以上では振動板のトータルの剛性
が高くなりすぎて、インクを吐出するのに十分な変位が
得られない。従って、この構成における硬質炭素膜の膜
厚は0.02〜10μmであることが望ましい。また、
膜厚の均一性、制御性の観点及び膜剥離の観点から0.
1〜5μmが更に好ましい範囲であった。
【0037】(請求項8の発明)一方、硬質炭素膜は内
部応力が通常では大きく(1000MPa程度)、基体
の表面状態にも依存するが、厚く堆積しようとすると膜
剥離を起こしやすかった。われわれは、この点を解決す
べく膜質の改良を試みた結果、膜の電気的、熱的安定性
及び比抵抗、誘電率は従来膜と同等で、内部応力を従来
の1/2(500MPa)以下に低減することに成功し
た。具体的には製膜時の原料ガスとして炭素源ガスと希
ガス(He,Ar,Ne,Xe,Kr等)あるいは水素
ガスを混合した、混合ガスを使用することで達成でき
る。低応力膜の得られる製膜条件を表3にまとめた。
【0038】
【表3】
【0039】表3から、混合ガスを使用し、より低パワ
ー、高圧力の条件範囲で低応力の硬質炭素膜が得られる
ことがわかる。こうして得られた膜のガラス基板に対す
る付着強度を従来膜と比較すると表4のようになる。
【0040】
【表4】
【0041】(請求項9の発明)図6は、請求項9の発
明の一実施例を説明するための構成図で、図中、1は基
板、151は第1の硬質炭素膜、152は第2の硬質炭素
膜で、この実施例は、硬質炭素膜自体を少なくとも2層
からなる積層構成とすることによって付着力と耐摩耗性
及び撥水性の劣化の少ないようにしたものであるが、図
6に示すように、基体1と接する側に低応力の第1の硬
質炭素膜151を堆積し、さらにその上に内部応力は大
きいが硬度が比較的高い第2の硬質炭素膜152を積層
することにより、両者の特徴をあわせ持つコート膜を得
ることができる。製膜の過程においては、上記2種類の
膜は連続的に製膜することが望ましい。第1の硬質炭素
膜151を堆積してから一度大気開放してしまうとその
表面に空気中の不純物ガスが吸着し、第2の硬質炭素膜
152との界面に密着性を劣化させる層が形成されてし
まう。第1の硬質炭素膜151の膜厚としては5〜10
0nmが適当であった。
【0042】(請求項10の発明)図7は、請求項10
の発明の一実施例を説明するための構成図で、図中、1
は基板、16はa−SiC膜、15は硬質炭素膜で、こ
の発明は、主にSiを基体1としたときに硬質炭素膜1
5の密着力を向上させる目的で、基体1との界面にa−
SiC16からなる中間層を設けたものである。SiC
はSi原子とC原子が存在しているためにSi基体1並
びに硬質炭素膜15に対する密着性がともに優れてい
る。さらに、a−SiCはP−CVD法にて作製できる
のみでなく、条件も硬質炭素膜のそれに非常に近い。具
体的には、硬質炭素膜の原料ガスである炭化水素系ガス
にシラン系のガス(SiH4,Si24,SiH2
2等)を所望量、混合したガスを使用すればよい。従っ
て、a−SiCと硬質炭素膜は同一装置を用いて、原料
ガスの組成を徐々に切り替えることによって容易に積層
できる。上記の点は製造上大きな利点となる。中間層と
してのa−SiCは膜厚は20nm程度あれば十分な効
果がある。
【0043】(請求項11の発明)図8は、請求項11
の発明の実施例を説明するための図で、図8(A)にお
いて、1はSi基体、15は硬質炭素膜で、該硬質炭素
膜15は、図8(B)に示すように、基体1に近づくに
したがって硬質炭素膜15中のSi濃度が連続的に増加
するようになっており(C濃度に注目すれば減少す
る)、これにより基体と硬質炭素膜の接合部には明確な
界面が存在しなくなる。従って、界面からの剥離等は生
じず、主にSiを基体としたときの硬質炭素膜の密着性
をさらに強固なものにすることができる。このような構
成の膜を作製するためには、製膜初期に供給する原料ガ
スの混合比(=シラン系ガス/炭化水素系ガス)を無限
大(100%シラン系)とし、製膜が進むにしたがって
徐々に混合比を連続的に減少させてゆき、最終的にはゼ
ロ(100%炭化水素系)にすればよい。
【0044】(実施例1)図1に示した静電気型インク
ジェットの作製法において、基板1に振動板と電極の間
隔を制御する凹部2の形成する方法について説明する。
凹部2の形成には大別して、エッチング法と堆積法とが
ある。先ず、図9に従ってエッチング法を説明する。基
板1に図9(B)に示す凹部2(及び凸部21)を形成
するために、図9(A)に示すように、基板1の表面に
凹部以外のパターン(凸部21)に相当するレジストパ
ターン22を形成し、基板1をエッチングし、レジスト
22を除去すれば、図9(B)に示すように、凹部2が
形成できる。基板としては、パイレックスガラス#77
40を使用し、エッチャントはBHFであった。一方、
堆積法は上記のエッチンググ法の丁度逆で、図10に示
すように、基板1に、凸部21(凹部2の逆のパター
ン)に相当する厚さの絶縁膜31を堆積し(図10
(A))、凸部21に相当するレジストパターン22を
使用して(図10(B))、エッチングを行い、凹部2
を形成した(図10(C))。絶縁膜には後工程の陽極
接合性を考慮して、パイレックスガラス#7740を使
用してスパッタ法にて作製した。エッチング法と堆積法
を比較すれば高さ方向の寸法制御性を考慮すれば、堆積
法の方が優れている。凹部の形成方法は上記に限定され
るわけではなく、所謂、マイクロマシーンニングの手法
は適用できる。
【0045】次に、電極3及び保護層4の形成方法につ
いて説明する。凹部2の形成された基板1上に電極材料
として主として金属材料の薄膜をスパッタ法、蒸着法、
EB蒸着法等の気相合成法にて堆積せしめ、フォトリ
ソ、エッチングにて電極3とした。より具体的には、金
属材料としTi/Pt,Ni,Cu,W,Ta,NiC
r,Crt等を用いて膜厚0.05から1.0ミクロン形
成した。金属のほかに透明導電材料(ITO,ZnO,
SnO)等が使用できるが、これらの材料に特に限定さ
れるものではない。ただし、Ti/Ptなどのエッチン
グしにくい材料ではリフトオフ法を採用してパターンニ
ングした。また、保護層材料としては、SiO2、Si
Nx、SiONx等の無機絶縁膜が使用され、スパッタ
法、蒸着法、EB蒸着法等の気相合成法にて堆積せしめ
フォトリソ、エッチングにて保護層4とした。
【0046】次に、振動板6(第2基板5)の作製方法
を説明する。Si(100)の両面にSiO2を2ミク
ロンつけたものを基体として、この上の振動板に対応し
た位置のSiO2をエッチングして開口部をあけて、そ
の部分のSiのみをKOH水溶液(数%〜約45%)を
エッチャントとして、80℃において振動板の厚さまで
異方性エッチングした。このほかにウエットの異方性エ
ッチャントとしてはヒドラジン、TMHAなどが使用で
きる。また、Siの高ドープ層を利用した選択エッチや
PN接合基板の電気化学的手法によるエッチストップ等
を利用すれば振動板厚の制御性向上が図れる。
【0047】次に、天井板の役目を果たす基板11につ
いて説明する。この基板11は、陽極接合、或いは、直
接接合が可能な基板、具体的には、パイレックスガラ
ス、Si基板等をエッチングし、そこにインク供給口1
2を取り付けた。このようにして作製された基板1,
5,11を順次接合し、先端に吐出口14を設けたノズ
ルプレート13を接着して図1に示したような一般的な
静電型ヘッドが完成する。なお、接合条件は温度320
℃、電圧100V程度であった。
【0048】本実施例は、上述のごとくして得られるヘ
ッドの吐出口面に、図2に示すように、硬質炭素膜15
を設け、さらに加圧室及び流路にも図3のごとく硬質炭
素膜15を配置したものである。硬質炭素膜は表5に示
す製膜条件で約100nm形成した。また、本実施例の
ヘッドの印字性能は表6の通りであった。
【0049】
【表5】
【0050】
【表6】
【0051】(実施例2)静電型ヘッドに関しては実施
例1とほぼ同様な作製プロセスによって作製したものを
使用した。本実施例はヘッドの吐出口面にF原子を含有
した硬質炭素膜を設けたものであり、硬質炭素膜の膜厚
は約200nmであり、製膜条件は表7に示した通りで
あった。
【0052】
【表7】
【0053】上述のごとくして得られたヘッドを前記実
施例と同様な試験を行ったところ表8に示す結果が得ら
れた。これより撥水性が向上したことがわかる。
【0054】
【表8】
【0055】(実施例3)静電型ヘッドに関しては実施
例1とほぼ同様な作製プロセスによって作製したものを
使用した。本実施例は電極3表面全面、或いは、一部分
に保護層として、以下にあげる2種類の硬質炭素膜を設
けたものである。まず、(a)第1番目は膜の内部応力
が500Mpa以下の硬質炭素膜を電極全面に被覆した
ものであり、膜厚は約150nmであり、製膜条件は表
9に示した通りであった。
【0056】
【表9】
【0057】上述のごとくして得られた硬質炭素膜の内
部応力は約400Mpaであった。さらに、50v印可
におけるヘッドの連続動作試験(1000hr)を行っ
たところ、絶縁破壊による故障、或いは、電極と振動板
の接着等は生じなかった。
【0058】次に、(b)第二番目の例として硬質炭素
膜が2層構成をとっているヘッドを作製した(ヘッドの
基本構成は図1のものと同等である)。電極3と接する
側に低応力な第一の硬質炭素膜を堆積し、さらにその上
に内部応力は大きいが硬度が比較的高い膜第二の硬質炭
素膜を積層した。それぞれの膜の製膜条件及び膜厚は表
10の通りであった。
【0059】
【表10】
【0060】上述のごとくして得られたヘッドに50v
印可し、連続動作試験(1000hr)を行ったとこ
ろ、絶縁破壊による故障、或いは、電極と振動板の接着
による故障は皆無であった。さらに、硬質炭素膜と電極
との密着力の評価としてスクラッチ試験を行ったとこ
ろ、表11に示したように従来の通常の硬質炭素膜単層
の場合と比較して、上記2例の硬質炭素膜の密着力は著
しく改善されていることがわかる。
【0061】
【表11】
【0062】(実施例4)静電型ヘッドに関しては実施
例1とほぼ同様な作製プロセスによって作製したものを
使用した。本実施例は振動板6の電極3と対向する側の
表面全面に保護層、或いは、保護層兼、振動板の一部と
して、以下にあげる2種類の硬質炭素膜を設けたもので
ある。まず、第一番目は保護層として機能するもので、
(c)硬質炭素膜と振動板の界面にa−SiCを設けた
構成である。それぞれの膜の製膜条件及び膜厚は表12
に示す。
【0063】
【表12】
【0064】上述のごとくして得られたヘッドに50v
印可し、連続動作試験(1000hr)を行ったとこ
ろ、絶縁破壊による故障、或いは、電極と振動板の接着
による故障は皆無であった。次に、第二番目は保護層
兼、振動板の一部として機能するもので、(d)硬質炭
素膜中のSi濃度が基体(振動板6)に近づくにしたが
って、連続的に増加する構成をとっている(ヘッドの基
本構成は図1のものと同等である)。このような膜を作
製するには、図11に示したように、原料ガスの組成を
時間とともに変化させながら製膜すればよい。原料ガス
以外の固定条件及び膜厚は表13の通りであった。
【0065】
【表13】
【0066】上述のごとくして得られたヘッドに50v
印可し、連続動作試験(1000hr)を行ったとこ
ろ、絶縁破壊による故障、或いは、電極と振動板の接着
による故障は皆無であった。また、この時のSi振動板
の板厚とヤング率はそれぞれ2μ,1.88×104Kg
/mm2であり、硬質炭素膜の板厚とヤング率はそれぞ
れ3μ,5.0×104Kg/mm2であったので、両者
の積層されてできた振動板の特性、板厚と合成されたヤ
ング率はそれぞれ5μ,3.75×104Kg/mm2
Si単独のときよりも改善されていることがわかる。
【0067】さらに、硬質炭素膜と振動板との密着力の
評価としてスクラッチ試験を行ったところ、表14に示
したように、従来の通常の硬質炭素膜単層の場合と比較
して、上記2例c,dの硬質炭素膜の密着力は著しく改
善されていることがわかる。ただし、dの場合の膜厚は
トータルで150nmである。
【0068】
【表14】
【0069】
【発明の効果】
請求項1の効果:記録体を吐出する複数の吐出口と、記
録体に吐出の圧力を与える加圧室と、記録体を前記加圧
室に輸送するための流路と、前記加圧室内の記録体を加
圧するための圧力発生手段とを備えた記録ヘッドにおい
て、前記吐出口面を炭素を主構成元素とし非晶質、或い
は、微結晶質を一部含む非晶質状態の硬質炭素膜で被覆
したので、その撥水性のゆえに吐出口周辺に液溜り等が
できないため、インクの飛翔方向が一定となり、ひいて
は高速、高画質の印刷が実現できる。
【0070】請求項2の効果:記録体を吐出する複数の
吐出口と、記録体に吐出の圧力を与える加圧室と、記録
体を前記加圧室に輸送するための流路と、前記加圧室内
の記録体を加圧するための圧力発生手段とを備えた記録
ヘッドにおいて、少なくとも前記加圧室及び流路の内面
を炭素を主構成元素とし非晶質、或いは、微結晶質を一
部含む非晶質状態の硬質炭素膜で被覆したので、前記部
分のインクによる侵食等を防げることができ、インク成
分の変化変質が低減でき、かつ、長期使用時のインクの
漏洩をも防止でき、信頼性の高い記録ヘッドが実現でき
る。
【0071】請求項3の効果:請求項1又は2の発明に
おいて、前記硬質炭素膜の膜厚を5〜550nmとした
ので、硬質炭素膜の剥離を防止でき、かつ、請求項1又
は2にあげた効果が有効に発揮され、高速、高画質、高
信頼性の記録ヘッドが実現できる。
【0072】請求項4の効果:請求項1又は2の発明に
おいて、前記硬質炭素膜中にF原子及び又はN原子を含
有したので、膜の撥水性がさらに向上され、高速、高画
質、高信頼性の記録ヘッドが実現できる。
【0073】請求項5の効果:記録体を吐出する複数の
吐出口と、記録体に吐出の圧力を与える加圧室と、記録
体を前記加圧室に輸送するための流路と、前記加圧室内
の記録体を加圧するための圧力発生手段とを備えた記録
ヘッドにおいて、前記圧力発生手段が前記加圧室の一部
を形成する振動板と、該振動板に対向して設けられた電
極との間に印加された電界による静電型アクチュエータ
である記録ヘッドにおいて、前記電極の一部及び全面が
炭素を主構成元素とし非晶質、或いは、微結晶質を一部
含む非晶質状態の硬質単素膜で被覆されているので、硬
質炭素膜の表面が水素でターミネイトされているため、
水分等が吸着しにくく、水分が吸着することによる不安
定さ(ギャップ内の容量変化に起因する振動板変位の
変動、振動板と電極の癒着等)が改善され、また、電
極の一部に設けた時は、振動板の変位に対して機械的な
ストッパーの機能を果たし、従って、インク吐出の安定
性及び長期信頼性が向上する。
【0074】請求項6の効果:記録体を吐出する複数の
吐出口と、記録体に吐出の圧力を与える加圧室と、記録
体を前記加圧室に輸送するための流路と、前記加圧室内
の記録体を加圧するための圧力発生手段とを備えた記録
ヘッドにおいて、前記圧力発生手段が前記加圧室の一部
を形成する振動板と、該振動板に対向して設けられた電
極との間に印加された電界による静電型アクチュエータ
である記録ヘッドにおいて、前記振動板の表面の一部及
び全面が炭素を主構成元素とし非晶質、或いは、微結晶
質を一部含む非晶質状態の硬質単素膜で被覆されている
ので、硬質炭素膜の表面が水素でターミネイトされてい
るため、水分等が吸着しにくく、水分が吸着することに
よる不安定さ(ギャップ内の容量変化に起因する振動
板変位の変動、振動板と電極の癒着等)が改善され
る。更に、硬質炭素膜は剛性が高く振動板の構造部材を
も兼ねることが出来るため、振動板の設計自由度が増大
する。一方、電極の一部に設けた時は、振動板の変化に
対して機械的なストッパーの機能を果たす。従って、高
速、高画質、高信頼性の記録ヘッドが実現できる。
【0075】請求項7の効果:請求項5又は6の発明に
おいて、前記硬質炭素膜の膜厚を0.02〜10μmと
したので、吐出の不安定さ(ギャップ内の容量変化に
起因する振動板変位の変動、振動板と電極の癒着等)
が改善される。更に、硬質炭素膜は剛性が高く振動板の
構造部材をも兼ねることが出来るため、振動板の設計自
由度が増大する。一方、振動板の一部に設けた時は、振
動板の変位に対して機械的なストッパーの機能を果た
す。従って、高速、高画質、高信頼性の記録ヘッドが実
現できる。
【0076】請求項8の効果:請求項1又は2或いは5
又は6の発明において、前記硬質炭素膜の内部応力を5
00MPa以下としたので、硬質炭素膜の剥離が防止で
き長期信頼性に優れた高速、高画質の記録ヘッドが実現
できる。一般に、硬質炭素膜は内部応力が大きく厚膜に
堆積すると膜剥離が起こるが、内部応力の小さな成膜方
法を開発したため、本発明が実現した。
【0077】請求項9の効果:請求項1又は2或いは5
又は6の発明において、前記硬質炭素膜を少なくとも2
層からなる積層体(下層に内部応力の小さな膜を上層に
は内部応力は大きいが硬度の高い膜を配置する)とした
ので、硬質炭素膜の剥離が防止でき長期信頼性に優れた
高速、高画質の記録ヘッドが実現できる。
【0078】請求項10の効果:請求項2又は6の発明
において、前記硬質炭素膜と基体の界面にa−SiCか
らなる中間層を設けたので、基体の硬質炭素膜の密着力
が向上し、硬質炭素膜の剥離が防止でき、長期信頼性に
優れた高速、高画質の記録ヘッドが実現できる。
【0079】請求項11の効果:請求項2又は6の発明
において、記前硬質炭素膜中のSi濃度が基体に近づく
に従って連続的に増加しているので、基体の硬質炭素膜
の密着力が向上し、硬質炭素膜の剥離が防止でき、長期
信頼性に優れた高速、高画質の記録ヘッドが実現でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明が適用される静電型インクジェット記
録ヘッドの一例を説明するための要部構成図である。
【図2】 請求項1の発明の一実施例を説明するための
要部(ノズル部)構成図である。
【図3】 請求項2の発明の一実施例を説明するための
要部構成図である。
【図4】 請求項5の発明の実施例を説明するための要
部構成図である。
【図5】 請求項6の発明の実施例を説明するための要
部構成図である。
【図6】 請求項9の発明の実施例を説明するための要
部構成図である。
【図7】 請求項10の発明の実施例を説明するための
要部構成図である。
【図8】 請求項11の発明の実施例を説明するための
要部構成図である。
【図9】 基板に凹部を形成する方法(エッチング法)
の例を説明するための図である。
【図10】 基板に凹部を形成する方法(堆積法)の例
を説明するための図である。
【図11】 硬質炭素膜の形成方法の一例を説明するた
めの図である。
【符号の説明】
1…第1の基板、2…凹部、3…電極、4…保護層、5
…第2の基板、6…振動板、7…加圧室、8,10…流
路、9…共通インク室、11…第3の基板、12…イン
ク供給口、13…ノズルプレート、14…吐出口(ノズ
ル)、15,151,152…硬質炭素膜。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 記録体を吐出する複数の吐出口と、記録
    体に吐出の圧力を与える加圧室と、記録体を輸送するた
    めの流路と、前記加圧室内の記録体を加圧するための圧
    力発生手段とを備えた記録ヘッドにおいて、前記吐出口
    面を炭素を主構成元素とし非晶質、或いは、微結晶質を
    一部含む非晶質状態の硬質炭素膜で被覆したことを特徴
    とする記録ヘッド。
  2. 【請求項2】 記録体を吐出する複数の吐出口と、記録
    体に吐出の圧力を与える加圧室と、記録体を輸送するた
    めの流路と、前記加圧室内の記録体を加圧するための圧
    力発生手段とを備えた記録ヘッドにおいて、少なくとも
    前記加圧室及び流路の内面を炭素を主構成元素とし非晶
    質、或いは、微結晶質を一部含む非晶質状態の硬質炭素
    膜で被覆したことを特徴とする記録ヘッド。
  3. 【請求項3】 前記硬質炭素膜の膜厚が5〜550nm
    であることを特徴とする請求項1又は2記載の記録ヘッ
    ド。
  4. 【請求項4】 前記硬質炭素膜中にF原子及び又はN原
    子が含有されていることを特徴とする請求項1又は2又
    は3記載の記録ヘッド。
  5. 【請求項5】 記録体を吐出する複数の吐出口と、記録
    体に吐出の圧力を与える加圧室と、記録体を輸送するた
    めの流路と、前記加圧室内の記録体を加圧するための圧
    力発生手段とを備えた記録ヘッドであって、前記圧力発
    生手段が、前記加圧室の一部を形成する振動板と該振動
    板に対向して設けられた電極との間に印加された電界に
    よる静電型アクチュエータである記録ヘッドにおいて、
    前記電極の一部及び全面が炭素を主構成元素とし非晶
    質、或いは、微結晶質を一部含む非晶質状態の硬質単素
    膜で被覆されていることを特徴とする記録ヘッド。
  6. 【請求項6】 記録体を吐出する複数の吐出口と、記録
    体に吐出の圧力を与える加圧室と、記録体を輸送するた
    めの流路と、前記加圧室内の記録体を加圧するための圧
    力発生手段とを備えた記録ヘッドであって、前記圧力発
    生手段が、前記加圧室の一部を形成する振動板と該振動
    板に対向して設けられた電極との間に印加された電界に
    よる静電型アクチュエータである記録ヘッドにおいて、
    前記振動板の表面の一部及び全面が炭素を主構成元素と
    し非晶質、或いは、微結晶質を一部含む非晶質状態の硬
    質単素膜で被覆されていることを特徴とする記録ヘッ
    ド。
  7. 【請求項7】 前記硬質炭素膜の膜厚が0.02〜10
    μmであることを特徴とする請求項5又は6記載の記録
    ヘッド。
  8. 【請求項8】 前記硬質炭素膜の内部応力が500MP
    a以下であることを特徴とする請求項1又は2又は5又
    は6記載の記録ヘッド。
  9. 【請求項9】 前記硬質炭素膜が少なくとも2層からな
    る積層体であることを特徴とする請求項1又は2又は5
    又は6記載の記録ヘッド。
  10. 【請求項10】 前記硬質炭素膜と基体の界面にa−S
    iCからなる中間層を有することを特徴とする請求項2
    又は6記載の記録ヘッド。
  11. 【請求項11】 記前硬質炭素膜中のSi濃度が基体に
    近づくに従って連続的に増加していることを特徴とする
    請求項2又は6記載の記録ヘッド。
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