JP2010142746A - フィルター用支持体およびそれを用いたフィルター - Google Patents
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Abstract
【課題】アウトガスが少なく、襞折り加工品の形態保持性に優れた多孔膜を用いたフィルターの支持体及びそれを用いたフィルターを提供する。
【解決手段】ポリエステルからなる目付量が20〜100g/m2で、圧着面積率が8〜18%のエンボス加工が施された長繊維不織布と、前記長繊維不織布の少なくとも片側の表面に、エチレン酢酸ビニル共重合体を含有した融点が100℃〜140℃である熱可塑性樹脂を熱接着成分として0.7〜5.0g/m2付与したフィルター用支持体。
【選択図】なし
【解決手段】ポリエステルからなる目付量が20〜100g/m2で、圧着面積率が8〜18%のエンボス加工が施された長繊維不織布と、前記長繊維不織布の少なくとも片側の表面に、エチレン酢酸ビニル共重合体を含有した融点が100℃〜140℃である熱可塑性樹脂を熱接着成分として0.7〜5.0g/m2付与したフィルター用支持体。
【選択図】なし
Description
本発明は、フィルター用支持体およびその支持体を用いた高性能多孔膜フィルターに関する。更に詳しくは、HEPAフィルター、ULPAフィルターなどの高性能フィルター用多孔膜材の支持体およびそれを用いた高性能多孔膜フィルターに関する。
従来、高性能ろ過用フィルターとして、微細多孔膜が用いられている。しかし、微細多孔膜はそのまま使用すると損傷しやすく、又、形態保持性が劣るため、微細多孔膜は、支持体で保持して精密ろ過用フィルターに用いられている。例えば、特許文献1では、アウトガス発生を抑えるため、ポリオレフィンを含まないポリエステル長繊維スパンボンド不織布を支持体に用いる提案がされている。用いる熱接着性ポリエステル複合繊維は、熱接着成分の融点が120℃以上、好ましくは180℃以上である。特許文献1には、熱接着繊維を用いない事例も記載されている。この場合、微細多孔膜と不織布の接合は、ポリエステル系熱接着剤を例えば6g/m2塗布して、160〜200℃で加熱接着する方法が提案されている。しかし、熱接着成分は比較的脆く、襞折り加工する場合、割れなどを生じ、微細多孔膜を損傷したり、襞折りフィルターの形態保持性が劣る問題がある。
また、特許文献2には、熱圧着接合による微細多孔膜の損傷を防止するため、支持体として熱接着複合繊維不織布を用い、例えば160℃で粘着防止のため離型処理したローラーで熱圧着接合する提案がされている。しかし、襞折り加工したフィルターの形態保持性が不充分なため、スペーサーを塗布する必要があることが開示されている。
特許文献3には、支持体に熱接着繊維からなる不織布を微細多孔膜にラミネートして襞折り加工する際、ポリアミド熱接着樹脂からなるスペーサーを用いる必要があることが開示されている。
特許文献4には、芯鞘構造繊維不織布を微細多孔膜の支持体に用いて襞折り加工する際、襞折りの屈曲部を接着剤塗布または加熱再固定する方法で目止め加工することが好ましく、目止め加工しない場合、微細多孔膜が損傷すると開示されている。スペーサーを使用しない事例は開示されているが、目止め加工が必要であり、熱接着成分を多量に含有するので、アウトガス低減化は不十分な問題は解決されていない。
特許文献4には、芯鞘構造繊維不織布を微細多孔膜の支持体に用いて襞折り加工する際、襞折りの屈曲部を接着剤塗布または加熱再固定する方法で目止め加工することが好ましく、目止め加工しない場合、微細多孔膜が損傷すると開示されている。スペーサーを使用しない事例は開示されているが、目止め加工が必要であり、熱接着成分を多量に含有するので、アウトガス低減化は不十分な問題は解決されていない。
本発明は、かかる従来技術の課題を背景になされたものである。すなわち、本発明の目的は、アウトガスが少なく、襞折り加工品の形態保持性に優れた微細多孔膜を用いたフィルター用支持体およびそれを用いた多孔膜フィルターを提供することにある。
本発明者らは鋭意検討した結果、以下に示す手段により、上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、以下の構成からなる。
1.ポリエステルからなる目付量が20〜100g/m2で、圧着面積率が8〜18%のエンボス加工が施された長繊維不織布と、前記長繊維不織布の少なくとも片側の表面に、エチレン酢酸ビニル共重合体を含有した融点が100℃〜140℃である熱可塑性樹脂を熱接着成分として0.7〜5.0g/m2付与したフィルター用支持体。
2.ポリエステルが、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリナフタレンテレフタレート、またはポリシクロヘキレンジメチルテレフタレートのいずれか1種を少なくとも95モル%以上含有したポリエステルであり、フィルター用支持体の見掛け密度が100〜155kg/m3である上記1に記載のフィルター用支持体。
3.熱接着成分が、1.0〜3.0g/m2付与されている上記1または2に記載のフィルター用支持体。
4.多孔膜に、上記1〜3のいずれかに記載のフィルター用支持体の熱接着成分が付与された面が接合された多孔膜フィルター。
5.多孔膜の両面に、上記1〜3のいずれかに記載のフィルター用支持体の熱接着成分が付与された面が接合された多孔膜フィルター。
6.フィルターが襞折り加工された上記4または5に記載の多孔膜フィルター。
すなわち、本発明は、以下の構成からなる。
1.ポリエステルからなる目付量が20〜100g/m2で、圧着面積率が8〜18%のエンボス加工が施された長繊維不織布と、前記長繊維不織布の少なくとも片側の表面に、エチレン酢酸ビニル共重合体を含有した融点が100℃〜140℃である熱可塑性樹脂を熱接着成分として0.7〜5.0g/m2付与したフィルター用支持体。
2.ポリエステルが、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリナフタレンテレフタレート、またはポリシクロヘキレンジメチルテレフタレートのいずれか1種を少なくとも95モル%以上含有したポリエステルであり、フィルター用支持体の見掛け密度が100〜155kg/m3である上記1に記載のフィルター用支持体。
3.熱接着成分が、1.0〜3.0g/m2付与されている上記1または2に記載のフィルター用支持体。
4.多孔膜に、上記1〜3のいずれかに記載のフィルター用支持体の熱接着成分が付与された面が接合された多孔膜フィルター。
5.多孔膜の両面に、上記1〜3のいずれかに記載のフィルター用支持体の熱接着成分が付与された面が接合された多孔膜フィルター。
6.フィルターが襞折り加工された上記4または5に記載の多孔膜フィルター。
本発明は、熱接着成分付与量を極限まで低減することにより、アウトガス量を下げ、同時に、使用する長繊維不織布の素材、諸物性および熱接着成分の組成を適正化し、支持体に柔軟かつ適度な剛直性を付与せしめることで、優れた襞折り加工の形態保持を有するフィルターを提供することができる。
以下、本発明を詳述する。
本発明は、ポリエステルからなる、目付量が20〜100g/m2で、エンボス加工が施された圧着面積率が8〜18%である長繊維不織布と、前記長繊維不織布の少なくとも片側の表面に、融点が100℃〜140℃である熱可塑性樹脂に、エチレン酢酸ビニル共重合体を含有した熱接着成分を、0.7〜5.0g/m2付与したフィルター用支持体である。さらには、該支持体の熱接着成分が付与された面と多孔膜が接合されたフィルターである。
本発明は、ポリエステルからなる、目付量が20〜100g/m2で、エンボス加工が施された圧着面積率が8〜18%である長繊維不織布と、前記長繊維不織布の少なくとも片側の表面に、融点が100℃〜140℃である熱可塑性樹脂に、エチレン酢酸ビニル共重合体を含有した熱接着成分を、0.7〜5.0g/m2付与したフィルター用支持体である。さらには、該支持体の熱接着成分が付与された面と多孔膜が接合されたフィルターである。
本発明におけるポリエステルとは、融点が220℃以上のポリエステル樹脂で、好ましくは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリシクロヘキサンジメチルテレフタレート(PCHT)などが例示できる。本発明のポリエステル成分は、共重合ポリエステルでは、オリゴマーがホモポリエステルに比べて多くなるので、ホモポリエステルを95モル%以上含有させることが、耐熱性、耐久性、アウトガスの発生量を低減できるので、好ましく、より好ましくは汎用性の高いポリエチレンテレフタレート100モル%である。
本発明に使用する不織布は、高性能フィルターに不可欠のダスト発生を防止するため、長繊維不織布であることが好ましく、短繊維不織布では、ダストが発生するので、好ましくない。
長繊維不織布であれば、特には限定されないが、品質が安定しており、均質性が高く、比較的安価で大量生産される工業材料として、スパンボンド不織布が好ましい。
本発明の長繊維不織布は、目付量が20〜100g/m2で、圧着面積率が8〜18%のエンボス加工が施されたものが好ましい。
目付量が20g/m2未満では、支持体の支持機能が低減すると共に、予備ろ過機能も低減するので好ましくない。目付量が100g/m2を越えると、襞折り加工時の屈曲部の変形差が大きくなり、機械的力を大きくしないと襞折り加工しにくくなる。機械的力が大きく掛かると、接合された多孔膜を損傷する場合が発生するので好ましくない。より好ましい目付量は、25〜70g/m2、さらに好ましくは、25〜50g/m2である。
長繊維不織布であれば、特には限定されないが、品質が安定しており、均質性が高く、比較的安価で大量生産される工業材料として、スパンボンド不織布が好ましい。
本発明の長繊維不織布は、目付量が20〜100g/m2で、圧着面積率が8〜18%のエンボス加工が施されたものが好ましい。
目付量が20g/m2未満では、支持体の支持機能が低減すると共に、予備ろ過機能も低減するので好ましくない。目付量が100g/m2を越えると、襞折り加工時の屈曲部の変形差が大きくなり、機械的力を大きくしないと襞折り加工しにくくなる。機械的力が大きく掛かると、接合された多孔膜を損傷する場合が発生するので好ましくない。より好ましい目付量は、25〜70g/m2、さらに好ましくは、25〜50g/m2である。
本発明に使用する長繊維不織布を構成する繊維の単繊維繊度は特には限定されないが、被覆性と剛直性を低目付で実現できる、1.0〜5.0dtexが好ましく、1.5〜3.0dtexがより好ましい。
本発明に使用する長繊維不織布において、エンボス加工は、低目付でも、剛直性と表面を平滑化し均質な熱接着成分付与性をもたせ、且つ通気性とろ過性も保持させるために、必要である。エンボス加工されていない場合、剛直性が劣り、支持体としての支持機能が劣り、表面が平滑ではないので、多孔膜との接合時に接着斑を生じ形態耐久性も劣るので好ましくない。
エンボス加工による圧着面積率は8〜18%が好ましい。8%未満では、低目付けでの形態保持機能が劣り、表面の平滑度も悪くなるので好ましくない。18%を越えると、屈曲剛直性が高くなりすぎ、襞折り加工時の機械的力が大きくなり、接合された多孔膜の損傷を生じる場合があり好ましくない。より好ましい圧着面積率は10〜15%である。本発明では、エンボス文様は特には限定されないが、好ましくは、剛直点が分散されているドット形状のエンボス文様が好ましく、ドット点は圧着面積が0.2〜0.5mm2で、形状が小判型で、千鳥配列のものが特に好ましい。
本発明に使用する長繊維不織布の見掛け密度は、剛直性と通気性を同時に満足するできる100〜155kg/m3とするのが好ましく、110〜150kg/m3とするのがより好ましい。
本発明のフィルター用支持体は、前記長繊維不織布の少なくとも片側の表面に、熱接着成分を付与することで、使用熱接着成分を少なくするものである。内部にも熱接着成分が存在する場合、使用熱接着成分を少なくすることができず、アウトガス発生量が多くなる。さらに、多孔膜との接合時に、熱接着成分が長繊維不織布に浸透することにより、長繊維不織布の多孔膜との接合面(熱接着成分付与面)と反対側の表面にまで熱接着成分が浸透し、該表面より熱接着成分が滲み出すことがある。その結果、滲み出した熱接着成分により、接合後の製品がカレンダーローラーに巻き付くなどの加工性に問題が発生するので好ましくない。
本発明の熱接着成分は、80℃未満の温度域で使用する場合の形態安定性を保持するために、エチレン酢酸ビニル共重合体を含有した、融点が100℃〜140℃の熱可塑性樹脂の使用が好ましい。エチレン酢酸ビニル共重合体以外の熱可塑性樹脂としてはポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンが含有されていていても良い。熱可塑性樹脂の融点が100℃未満では、形態耐久性が劣るので好ましくない。融点が140℃を越えると多孔膜との接合のためのカレンダー加工時に、熱伝導が不充分となり接合がうまくできない場合があり好ましくない。本発明の好ましい熱接着成分の融点は105〜135℃であり、より好ましくは110〜130℃である。
本発明の熱接着成分は、柔軟性と接合力維持のため、エチレン酢酸ビニル共重合体を含有していることが好ましい。多孔膜がポリテトラフルオロエタンなどの場合などでも接着性が良好なためである。エチレン酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル含有量は5〜35重量%が好ましい。5重両%未満では、ポリエステルとの接合力が低下する場合があり、35重量%以上では、十分な分散状態では問題を生じないが、分散状態が不十分な場合、融点降下を生じて熱安定性の低下による形態保持性が低下する場合がある。本発明の好ましいエチレン酢酸ビニル共重合体中での酢酸ビニル含有量は10〜33重量%、より好ましくは20〜30重量%である。
本発明の熱接着成分は、十分な接合強度と形態安定性を維持するために、0.7〜5.0g/m2付与する必要がある。0.7g/m2未満では、多孔膜との接合が不十分になり、加工時に剥離したり、形態保持性が劣るので好ましくない。5.0g/m2を越えるとアウトガスの発生量が増加するので好ましくない。本発明の好ましい付与量は、1.0〜4.0g/m2、より好ましくは1.5〜3.0g/m2である。
本発明での熱接着成分を付与方法は、特には限定されないが、均一に少量を、しかも出来る限り長繊維不織布内に浸透しないよう付与することが重要であり、その方法として、熱接着成分をアウトガス発生原因物質を含めず液状化して、グラビア印刷法で塗布する方法が好適である。他の方法、例えばプリントジェット塗布では、生産性が劣る課題があり、ドット塗布では均一に塗布できない。また、溶融押出しラミネート法では、5g/m2以下の量を均一に付与することが困難である。薄膜化したフィルムを積層ラミネートする方法は利用可能であると考えられる。
前記により得られた本発明の支持体は、アウトガス量が3.5μg/g以下の支持体でであることが好ましい。アウトガス量は少なければ少ないほど好ましいが、熱接着成分を使用することを鑑みると、その下限値は0.1μg/g以上である。アウトガス量が3.5μg/gを超えると、HEPAフィルター、ULPAフィルターなどの高性能フィルター用膜材の支持体に使用する際に、問題となるため好ましくない。
本発明のフィルターは、多孔膜と、前記支持体の熱接着成分が付与された面が接合されたフィルターである。また、多孔膜の両面に、前記支持体の熱接着成分が付与された面を接合した支持体/多孔膜/支持体3層構造のフィルターである。さらに、多層構造のフィルターとしても構わない。
本発明における多孔膜とは、製膜された膜に、貫通する0.5μm未満の微細な孔を多数有する分離膜をいい、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シートを延伸して、膜に多数の微細孔を形成したものなどが例示できる。本発明では、耐熱性を有し、有機ガスなどに耐久性を有するPTFE多孔膜が特に好ましい。
本発明のフィルターは、多孔膜の少なくとも片面と前記支持体の熱接着成分が付与された面とが熱接合されたフィルターである。支持体が多孔膜と接合していないと、多孔膜と支持体が擦れて損傷したり、シートとしての取り扱い性が劣り、更には、襞折り加工した場合の形態保持性が劣り好ましくない。
また、本発明のフィルターは、多孔膜の両面と前記支持体の熱接着成分が付与された面とが熱接合されたフィルターであることが、膜の損傷をより効果的に防止でき好ましい。襞折り加工した場合、少量の熱接着成分で接合したにもかかわらず、形態保持性が著しく向上する効果もある。
本発明のフィルターは、ろ過面積を広くする方法である襞折り加工して使用する際に、襞折り加工された部分の形態保持性が特に優れている。
以下に、本発明の多孔膜フィルター用支持体およびそれを用いたフィルターの製造方法の一例を示す。なお、この開示で、本発明が限定されるものではない。
固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレートを常法により、乾燥して、溶融押出機にて、紡糸温度285℃にて、オリフィス孔径0.25mmのノズルより、単孔吐出量1g/分にて吐出し、下方1mに設置した牽引ジェットにて約4500m/分相当にて引取り、下方50cmに設置された移動式コンベア上に振落し、単繊維繊度2.2dtex、目付30g/m2のウエッブを形成する。連続して、形態保持のため加熱押さえローラーで圧縮しつつウエッブは巻き取られる。次いで、上ローラーが小判型凸形状千鳥配列の圧着密度12%のエンボスローラー、下ローラーがフラットローラーで構成されたエンボスローラーにて、温度240〜245℃、線圧290〜345N/cmにてエンボス加工を行い、見掛け密度130kg/m3の不織布を巻き取った。
次いで、熱接着成分の準備を行う。高圧のオートクレーブにて、例えば、酢酸ビニル含有量28重量%のエチレン酢酸ビニル−ポリエチレン混合物と消泡材を所定量投入し、次いで、所定量の水と少量の乳化剤等を添加して、加熱攪拌することで、水性エマルジョンを作成する。水性エマルジョンは、所望組成のものであれば、市販品を使用してもかまわない。本発明では、たとえば、東洋インキ製アクワシールなどが例示できる。
熱接着成分が準備できれば、得られた不織布を常法により、グラビアコート機にて、必要な塗布量にピックアップ量を調整してコーティングし、水分を除去して巻き取られ、本発明のフィルター用支持体が得られる。
次いで、多孔膜を準備する。多孔膜は、常法により作成する。たとえばポリテトラフルオロエチレン粉末に塑性化剤を添加混練してロット状に押出し、ついで、圧延ローラーにてテープ状に形成、次に熱処理にて、塑性化剤を除去後、縦方向を加熱ローラーにて延伸し、横方向をグリップテンターにて加熱延伸して、多孔膜を得られる。
準備した多孔膜と支持体の熱接着成分が付与された面側を接合できるように加熱カレンダーロールに供給する。両面を支持体で接合する場合、多孔膜の上下から支持体を供給して、多孔膜を損傷させない線圧、たとえば、9.8N/cm未満で圧着接合してすぐ冷却して皺発生などを防止しつつ、多孔膜に支持体が接合されたフィルター材を巻き取る。本発明の熱接着成分を付与した支持体を用いる場合、加熱ローラーは上下ローラー温度150℃に設定して接合させるのが好ましい。
次いで、常法により、襞折り加工処理を行い、本発明のフィルターが得られる。
固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレートを常法により、乾燥して、溶融押出機にて、紡糸温度285℃にて、オリフィス孔径0.25mmのノズルより、単孔吐出量1g/分にて吐出し、下方1mに設置した牽引ジェットにて約4500m/分相当にて引取り、下方50cmに設置された移動式コンベア上に振落し、単繊維繊度2.2dtex、目付30g/m2のウエッブを形成する。連続して、形態保持のため加熱押さえローラーで圧縮しつつウエッブは巻き取られる。次いで、上ローラーが小判型凸形状千鳥配列の圧着密度12%のエンボスローラー、下ローラーがフラットローラーで構成されたエンボスローラーにて、温度240〜245℃、線圧290〜345N/cmにてエンボス加工を行い、見掛け密度130kg/m3の不織布を巻き取った。
次いで、熱接着成分の準備を行う。高圧のオートクレーブにて、例えば、酢酸ビニル含有量28重量%のエチレン酢酸ビニル−ポリエチレン混合物と消泡材を所定量投入し、次いで、所定量の水と少量の乳化剤等を添加して、加熱攪拌することで、水性エマルジョンを作成する。水性エマルジョンは、所望組成のものであれば、市販品を使用してもかまわない。本発明では、たとえば、東洋インキ製アクワシールなどが例示できる。
熱接着成分が準備できれば、得られた不織布を常法により、グラビアコート機にて、必要な塗布量にピックアップ量を調整してコーティングし、水分を除去して巻き取られ、本発明のフィルター用支持体が得られる。
次いで、多孔膜を準備する。多孔膜は、常法により作成する。たとえばポリテトラフルオロエチレン粉末に塑性化剤を添加混練してロット状に押出し、ついで、圧延ローラーにてテープ状に形成、次に熱処理にて、塑性化剤を除去後、縦方向を加熱ローラーにて延伸し、横方向をグリップテンターにて加熱延伸して、多孔膜を得られる。
準備した多孔膜と支持体の熱接着成分が付与された面側を接合できるように加熱カレンダーロールに供給する。両面を支持体で接合する場合、多孔膜の上下から支持体を供給して、多孔膜を損傷させない線圧、たとえば、9.8N/cm未満で圧着接合してすぐ冷却して皺発生などを防止しつつ、多孔膜に支持体が接合されたフィルター材を巻き取る。本発明の熱接着成分を付与した支持体を用いる場合、加熱ローラーは上下ローラー温度150℃に設定して接合させるのが好ましい。
次いで、常法により、襞折り加工処理を行い、本発明のフィルターが得られる。
かくして得られたフィルターは、アウトガス発生源が非常に少なく、襞折りの形態保持性も優れているので、高性能空気フィルターシステムに特に適したフィルターを提供できる。
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
なお、本発明における実施例で記載する評価は以下の方法による。
なお、本発明における実施例で記載する評価は以下の方法による。
不織布の目付量:Ms(g/m2)
JIS L1906(2000)に準じて測定した単位面積あたりの質量(Ms)である。
JIS L1906(2000)に準じて測定した単位面積あたりの質量(Ms)である。
不織布の見掛け密度:ρ(kg/m3)
JIS L1906(2000)に準じてJIS L1096 8.9により測定した厚み(t):mm より、以下の計算で求める。
ρ=Ms/t
JIS L1906(2000)に準じてJIS L1096 8.9により測定した厚み(t):mm より、以下の計算で求める。
ρ=Ms/t
不織布の圧着面積率:P(%)
任意の20箇所で30mm角に裁断し、SEMにて50倍の写真を撮る。撮影写真をA3サイズに印刷して圧着単位面積を切り抜き、面積(S0)を求める。次いで圧着単位面積内において圧着部のみを切り抜き圧着部面積(Sp)を求め、圧着面積率(P)を算出する。その圧着面積率P 20点の平均値を求めた。
P=Sp/S0 (n=20)
任意の20箇所で30mm角に裁断し、SEMにて50倍の写真を撮る。撮影写真をA3サイズに印刷して圧着単位面積を切り抜き、面積(S0)を求める。次いで圧着単位面積内において圧着部のみを切り抜き圧着部面積(Sp)を求め、圧着面積率(P)を算出する。その圧着面積率P 20点の平均値を求めた。
P=Sp/S0 (n=20)
熱接着成分の付着量(g/m2)
熱接着成分を付与した不織布の目付量(Mt)から不織布単独の目付量(Ms)を差し引いた量を熱接着成分の付着量とする。但し、熱接着複合繊維から構成される不織布は、不織布断面の位相差顕微鏡写真より、熱接着成分と非熱接着成分の分布比率を求め、全不織布目付量から、熱接着成分の目付量を求める。
熱接着成分を付与した不織布の目付量(Mt)から不織布単独の目付量(Ms)を差し引いた量を熱接着成分の付着量とする。但し、熱接着複合繊維から構成される不織布は、不織布断面の位相差顕微鏡写真より、熱接着成分と非熱接着成分の分布比率を求め、全不織布目付量から、熱接着成分の目付量を求める。
熱接着成分の融点(℃)
熱接着成分を付与した不織布の熱接着成分を剥離し、剥離した熱接着成分サンプル5mgを採取し、示差走査型熱量計(TA instruments社製Q100)にて、20℃から10℃/分にて290℃まで昇温させたときの吸熱ピーク位置の温度を融点として評価する。なお、2成分の場合、低温側の吸熱ピーク位置を熱接着成分の融点とする。
熱接着成分を付与した不織布の熱接着成分を剥離し、剥離した熱接着成分サンプル5mgを採取し、示差走査型熱量計(TA instruments社製Q100)にて、20℃から10℃/分にて290℃まで昇温させたときの吸熱ピーク位置の温度を融点として評価する。なお、2成分の場合、低温側の吸熱ピーク位置を熱接着成分の融点とする。
支持体のアウトガス量(μg/g)
以下の方法により測定した成分及び未同定成分の総計を試料1g当りで示す。
(1)捕集方法
試料0.2gをMSTD−258M−B(GLサイエンス)のパイレックス(登録商標)製チャンバー(φ162mm×130mm)内にセットした。オーブンプログラムを0℃〜80℃まで、10℃/分の勾配で上昇させ、80℃で15分キープするよう設定し、試料を加熱した。加熱の間、Heパージ(150ml/分)にて、発生したVOC成分をTenax−TA捕集管(GLサイエンス)に、濃縮捕集した。
(2)GCMS分析方法
捕集後のTenax−TA捕集管を、TCT(CP−4020:クロムパック)−GC/MS(HP−6890/HP−5973:Agilent)にて、測定し、捕集成分を定性、定量した。詳細な測定条件を以下にまとめる。
また、標準試料として、トルエン168ppmメタノール溶液1μlをTenax−TA捕集管に添加し、試料と同様の方法で、GC/MS測定した。試料の測定にて、検出されたピークを、トルエン換算値として定量した。
<TCT条件>
捕集管加熱温度:250℃
ロッド加熱温度:280℃
トラップ温度:−100℃
試料導入時気化温度:280℃
キャリアガス:He
圧力:100psi
<GC/MS条件>
カラム:HP−1MS(長さ30m、内径0.25mm、膜厚1μm)
オーブン温度:50℃(5分キープ)→280℃まで10℃/分勾配→280℃(10分キープ)
測定モード:SCANモード(m/z=40〜500)
なお、本発明の評価で規定するアウトガスとは、同定したアウトガス組成としては、n−ドデカン、n−トリデカン、n−テトラデカン、2・4−ジ−t−ブチルフェノール、n−ペンタデカン、ジ−t−ブチルヒドロキシトルエン、ヘキサデセン、n−ヘプタデカン、n−オクタデカンであり、未同定物質を含めた各成分の総計を1g当りで求めた量をいい、総量を評価している。
以下の方法により測定した成分及び未同定成分の総計を試料1g当りで示す。
(1)捕集方法
試料0.2gをMSTD−258M−B(GLサイエンス)のパイレックス(登録商標)製チャンバー(φ162mm×130mm)内にセットした。オーブンプログラムを0℃〜80℃まで、10℃/分の勾配で上昇させ、80℃で15分キープするよう設定し、試料を加熱した。加熱の間、Heパージ(150ml/分)にて、発生したVOC成分をTenax−TA捕集管(GLサイエンス)に、濃縮捕集した。
(2)GCMS分析方法
捕集後のTenax−TA捕集管を、TCT(CP−4020:クロムパック)−GC/MS(HP−6890/HP−5973:Agilent)にて、測定し、捕集成分を定性、定量した。詳細な測定条件を以下にまとめる。
また、標準試料として、トルエン168ppmメタノール溶液1μlをTenax−TA捕集管に添加し、試料と同様の方法で、GC/MS測定した。試料の測定にて、検出されたピークを、トルエン換算値として定量した。
<TCT条件>
捕集管加熱温度:250℃
ロッド加熱温度:280℃
トラップ温度:−100℃
試料導入時気化温度:280℃
キャリアガス:He
圧力:100psi
<GC/MS条件>
カラム:HP−1MS(長さ30m、内径0.25mm、膜厚1μm)
オーブン温度:50℃(5分キープ)→280℃まで10℃/分勾配→280℃(10分キープ)
測定モード:SCANモード(m/z=40〜500)
なお、本発明の評価で規定するアウトガスとは、同定したアウトガス組成としては、n−ドデカン、n−トリデカン、n−テトラデカン、2・4−ジ−t−ブチルフェノール、n−ペンタデカン、ジ−t−ブチルヒドロキシトルエン、ヘキサデセン、n−ヘプタデカン、n−オクタデカンであり、未同定物質を含めた各成分の総計を1g当りで求めた量をいい、総量を評価している。
フィルターの襞折り加工の形態保持性
3.5cmピッチで襞折り加工したサンプルを、長さ約40cm、幅2cmに切断してフリー状態でぶら下げ、山部5点間の長さ(L1)を計測し、次いで、0.1g/m2・cmの荷重を下端に掛けて60分室温にて放置した後、荷重を除去した状態で、山部5点間の長さ(L2)を測定して、下記式にて伸張率を求める。(n=5)
伸張率=L2/L1
伸張率が1.5未満:◎、1.5〜2:○、2を越える:×で評価した。
なお、○までが形態保持性がよいとした。
3.5cmピッチで襞折り加工したサンプルを、長さ約40cm、幅2cmに切断してフリー状態でぶら下げ、山部5点間の長さ(L1)を計測し、次いで、0.1g/m2・cmの荷重を下端に掛けて60分室温にて放置した後、荷重を除去した状態で、山部5点間の長さ(L2)を測定して、下記式にて伸張率を求める。(n=5)
伸張率=L2/L1
伸張率が1.5未満:◎、1.5〜2:○、2を越える:×で評価した。
なお、○までが形態保持性がよいとした。
<実施例1>
固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレートを常法により紡糸温度285℃にて、単孔吐出量1g/分孔にて、スパンボンド方式で繊度2dtexの長繊維からなる、目付30g/m2の仮圧着ウエッブを巻取り、次いで、圧着面積率15%相当のドットエンボスパターンローラーにて、ローラー温度245℃、線圧294.2N/cmでエンボス加工を施し、目付30g/m2、圧着面積率12%、見掛け密度135kg/m3の不織布を得た。
次いで、熱接着成分として、酢酸ビニル含有量28重量%のエチレン酢酸ビニル共重合体−ポリエチレン水分散液(東洋インク製アクワシール:固形分重量比率45重量%、固形分融点は120℃)を、グラビアコート法にて該不織布片面に2g/m2塗布して、多孔膜用支持体を得た。支持体の評価結果を表1に示す。
固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレートを常法により紡糸温度285℃にて、単孔吐出量1g/分孔にて、スパンボンド方式で繊度2dtexの長繊維からなる、目付30g/m2の仮圧着ウエッブを巻取り、次いで、圧着面積率15%相当のドットエンボスパターンローラーにて、ローラー温度245℃、線圧294.2N/cmでエンボス加工を施し、目付30g/m2、圧着面積率12%、見掛け密度135kg/m3の不織布を得た。
次いで、熱接着成分として、酢酸ビニル含有量28重量%のエチレン酢酸ビニル共重合体−ポリエチレン水分散液(東洋インク製アクワシール:固形分重量比率45重量%、固形分融点は120℃)を、グラビアコート法にて該不織布片面に2g/m2塗布して、多孔膜用支持体を得た。支持体の評価結果を表1に示す。
次いで、厚み300μm、幅100mmのテフロン(登録商標)フィルムを、250℃熱風乾燥機にて連続乾燥し、次いで、表面温度300℃の熱ローラーを用い、10倍延伸した。続いて、210℃のグリップテンターで、幅方向に2倍延伸を5回繰返し、厚み30μm、平均孔径0.4μmのテフロン(登録商標)多孔膜を作成した。
引き続き、支持体の熱接着成分が多孔膜面に接するように、多孔膜の上下両面に支持体を供給しつつ、上下ローラー表面温度140℃のプレーンローラーを用いてカレンダー加工してフィルター材を作成した。
作成したフィルター材は、襞折り加工機にて3.5cmピッチの折り畳み構造を有する精密濾過用空気フィルターを作成した。得られた襞折り加工フィルターの形態保持性を表1に示す。
引き続き、支持体の熱接着成分が多孔膜面に接するように、多孔膜の上下両面に支持体を供給しつつ、上下ローラー表面温度140℃のプレーンローラーを用いてカレンダー加工してフィルター材を作成した。
作成したフィルター材は、襞折り加工機にて3.5cmピッチの折り畳み構造を有する精密濾過用空気フィルターを作成した。得られた襞折り加工フィルターの形態保持性を表1に示す。
<実施例2>
熱接着成分を3g/m2付与した以外、実施例1と同様にして得られたフィルター用支持体及び襞折り加工したフィルター材の性能を表1に示す。
熱接着成分を3g/m2付与した以外、実施例1と同様にして得られたフィルター用支持体及び襞折り加工したフィルター材の性能を表1に示す。
<比較例1>
熱接着成分を0.5g/m2付与した以外、実施例1と同様にして得られたフィルター用支持体及び襞折り加工したフィルター材の性能を表1に示す。
熱接着成分を0.5g/m2付与した以外、実施例1と同様にして得られたフィルター用支持体及び襞折り加工したフィルター材の性能を表1に示す。
<比較例2>
固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレート及びエチレンテレフタレートとエチレンイソフタレートを共重合した融点130℃の共重合ポリエステルを用い、常法により複合紡糸機を用い、シースコア比50:50にて共重合ポリエステルをシース成分になるように紡糸し牽引ジェットにて牽引振り落として、目付40g/m2のスパンボンドウエッブを得た。続いて、得られたウエッブは、ローラー温度110℃とした以外、実施例1と同様にしてエンボス加工し、目付40g/m2、圧着面積率18%、見掛け密度160kg/m3の熱接着繊維からなるスパンボンド不織布を得た。
得られた不織布のアウトガス量を表1に示す。
次いで、多孔膜の両面に、得られた熱接着繊維からなる不織布を支持体として、実施例1と同様にフィルター材を作成し、襞折り加工して、襞折り加工したフィルター材を得た。 得られたフィルター材の形態保持性を表1に示す。
固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレート及びエチレンテレフタレートとエチレンイソフタレートを共重合した融点130℃の共重合ポリエステルを用い、常法により複合紡糸機を用い、シースコア比50:50にて共重合ポリエステルをシース成分になるように紡糸し牽引ジェットにて牽引振り落として、目付40g/m2のスパンボンドウエッブを得た。続いて、得られたウエッブは、ローラー温度110℃とした以外、実施例1と同様にしてエンボス加工し、目付40g/m2、圧着面積率18%、見掛け密度160kg/m3の熱接着繊維からなるスパンボンド不織布を得た。
得られた不織布のアウトガス量を表1に示す。
次いで、多孔膜の両面に、得られた熱接着繊維からなる不織布を支持体として、実施例1と同様にフィルター材を作成し、襞折り加工して、襞折り加工したフィルター材を得た。 得られたフィルター材の形態保持性を表1に示す。
<比較例3>
実施例1で使用したエマルジョンを乾燥固化させ、熱接着成分樹脂を得た。得られた樹脂を溶融温度230℃でフィルムラミネート装置にて、実施例1で得たスパンボンド不織布エンボス面に、12g/m2となるよう押出ラミネートして、支持体を得た。次いで、得られた支持体を実施例1と同様にしてフィルター素材を作成し、襞折り加工してフィルターを作成した。得られた支持体及びフィルターの評価結果を表1に示す。
実施例1で使用したエマルジョンを乾燥固化させ、熱接着成分樹脂を得た。得られた樹脂を溶融温度230℃でフィルムラミネート装置にて、実施例1で得たスパンボンド不織布エンボス面に、12g/m2となるよう押出ラミネートして、支持体を得た。次いで、得られた支持体を実施例1と同様にしてフィルター素材を作成し、襞折り加工してフィルターを作成した。得られた支持体及びフィルターの評価結果を表1に示す。
<比較例4>
比較例2で用いた共重合ポリエステルを熱接着成分として、溶融温度200℃、付与量6g/m2となるようにした以外、比較例3と同様にして得られた支持体及びフィルターの評価結果を表1に示す。
比較例2で用いた共重合ポリエステルを熱接着成分として、溶融温度200℃、付与量6g/m2となるようにした以外、比較例3と同様にして得られた支持体及びフィルターの評価結果を表1に示す。
<比較例5>
実施例1で得た不織布に、酢酸ビニル成分が20重量%共重合した、融点が75℃のエチレン酢酸ビニル共重合体を熱接着成分として、溶融温度200℃、付与量6g/m2となるようにした以外比較例3と同様にして得られた支持体及びフィルターの評価結果を表1に示す。
実施例1で得た不織布に、酢酸ビニル成分が20重量%共重合した、融点が75℃のエチレン酢酸ビニル共重合体を熱接着成分として、溶融温度200℃、付与量6g/m2となるようにした以外比較例3と同様にして得られた支持体及びフィルターの評価結果を表1に示す。
<比較例6>
目付10g/m2の不織布ウエッブになるように引取りネット速度を早くした以外、実施例1と同様にして得られた支持体及びフィルターの評価結果を表1に示す。
目付10g/m2の不織布ウエッブになるように引取りネット速度を早くした以外、実施例1と同様にして得られた支持体及びフィルターの評価結果を表1に示す。
<比較例7>
目付150g/m2の不織布ウエッブになるように引取りネット速度を遅くした以外、実施例1と同様にして得られた支持体及びフィルターの評価結果を表1に示す。
目付150g/m2の不織布ウエッブになるように引取りネット速度を遅くした以外、実施例1と同様にして得られた支持体及びフィルターの評価結果を表1に示す。
<実施例3>
極限粘度1.1のポリブチレンテレフタレートを用い、常法により、紡糸温度260℃とした以外、実施例1と同様にして得た繊度2.2dtex、目付30g/m2仮圧着ウエッブを、次いで、エンボスローラー210℃とした以外実施例1と同様にして、熱接着成分を2g/m2塗布したフィルター用支持体を得た。得られた支持体のアウトガス発生量は2.1μg/gであった。次いで、実施例1と同様にして、多孔膜に支持体を接合して、襞折り加工したフィルターを得た。得られたフィルターの襞折り加工の形態保持性は合格点であった。
極限粘度1.1のポリブチレンテレフタレートを用い、常法により、紡糸温度260℃とした以外、実施例1と同様にして得た繊度2.2dtex、目付30g/m2仮圧着ウエッブを、次いで、エンボスローラー210℃とした以外実施例1と同様にして、熱接着成分を2g/m2塗布したフィルター用支持体を得た。得られた支持体のアウトガス発生量は2.1μg/gであった。次いで、実施例1と同様にして、多孔膜に支持体を接合して、襞折り加工したフィルターを得た。得られたフィルターの襞折り加工の形態保持性は合格点であった。
実施例1、2の支持体は、熱接着成分量が少ないので、低アウトガス量の支持体でありながら、形態保持性に優れたフィルターを得ることができる。
比較例1の支持体は、熱接着成分量は少ないので、低アウトガス量の支持体ではあるが、形態保持性が劣るフィルターしか得ることができず好ましくない。
比較例2の支持体は、多量の熱接着成分を含むので、アウトガスの発生量が多く、高性能フィルター用途には好ましくない。
比較例3の支持体は、接合面の熱接着成分が多いので形態保持性は非常に優れているが、多量の熱接着成分を含むので、アウトガスの発生量が多くなり、高性能フィルター用途には好ましくない。
比較例4の支持体は、熱接着成分が多いので、アウトガスの発生量が多くなり、脆い熱接着成分を用いているので形態保持性も劣り、高性能フィルター用途には好ましくない。
比較例5の支持体は、柔軟な熱接着成分を用いているので形態保持性は良好だが、熱接着成分の融点が低く、アウトガスの発生量が多くなり、高性能フィルター用途では好ましくない。
比較例6の支持体は、長繊維不織布の目付が低いので、襞折り加工性が劣り、形態保持性が劣るフィルターしか得ることができず好ましくない。
比較例7の支持体は、長繊維不織布の目付が高いため、襞折り加工の形態保持性が劣るフィルターしか得ることができず好ましくない。
実施例3の支持体は、アウトガスの発生量が少なく、襞折り加工したフィルターの形態保持性も優れたものである。
比較例1の支持体は、熱接着成分量は少ないので、低アウトガス量の支持体ではあるが、形態保持性が劣るフィルターしか得ることができず好ましくない。
比較例2の支持体は、多量の熱接着成分を含むので、アウトガスの発生量が多く、高性能フィルター用途には好ましくない。
比較例3の支持体は、接合面の熱接着成分が多いので形態保持性は非常に優れているが、多量の熱接着成分を含むので、アウトガスの発生量が多くなり、高性能フィルター用途には好ましくない。
比較例4の支持体は、熱接着成分が多いので、アウトガスの発生量が多くなり、脆い熱接着成分を用いているので形態保持性も劣り、高性能フィルター用途には好ましくない。
比較例5の支持体は、柔軟な熱接着成分を用いているので形態保持性は良好だが、熱接着成分の融点が低く、アウトガスの発生量が多くなり、高性能フィルター用途では好ましくない。
比較例6の支持体は、長繊維不織布の目付が低いので、襞折り加工性が劣り、形態保持性が劣るフィルターしか得ることができず好ましくない。
比較例7の支持体は、長繊維不織布の目付が高いため、襞折り加工の形態保持性が劣るフィルターしか得ることができず好ましくない。
実施例3の支持体は、アウトガスの発生量が少なく、襞折り加工したフィルターの形態保持性も優れたものである。
本発明により、熱接着成分付与量を極限まで低減することにより、アウトガス量を下げ、同時に、使用する長繊維不織布の素材、諸物性および熱接着成分の組成を適正化し、支持体に柔軟かつ適度な剛直性を付与せしめることで、優れた襞折り加工の形態保持を有するフィルターを提供することができき、より高性能なクリーンシステムの構築が可能となり、フィルターの耐久性が優れるので、高度なクリーンシステムのメンテナンスも非常に容易であることからも、産業界に大きく寄与することが期待される。
Claims (6)
- ポリエステルからなる目付量が20〜100g/m2で、圧着面積率が8〜18%のエンボス加工が施された長繊維不織布と、前記長繊維不織布の少なくとも片側の表面に、エチレン酢酸ビニル共重合体を含有した融点が100℃〜140℃である熱可塑性樹脂を熱接着成分として0.7〜5.0g/m2付与されたフィルター用支持体。
- ポリエステルが、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリナフタレンテレフタレート、またはポリシクロヘキレンジメチルテレフタレートのいずれか1種を少なくとも95モル%以上含有したポリエステルであり、フィルター用支持体の見掛け密度が100〜155kg/m3である請求項1に記載のフィルター用支持体。
- 熱接着成分が、1.0〜3.0g/m2付与されている請求項1または2に記載のフィルター用支持体。
- 多孔膜に、請求項1〜3のいずれかに記載のフィルター用支持体の熱接着成分が付与された面が接合された多孔膜フィルター。
- 多孔膜の両面に、請求項1〜3のいずれかに記載のフィルター用支持体の熱接着成分が付与された面が接合された多孔膜フィルター。
- フィルターが襞折り加工された請求項4または5に記載の多孔膜フィルター。
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