JP4007919B2 - 集塵機用フィルター - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、有価粉体の回収や、空調において空気中からダストを除去するエアーシャワー用途に用いられる集塵機用フィルター(バグフィルター)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
小麦粉に代表される食品分野における有価粉体の回収、セメントや金属粉体の回収などには、バグフィルター式集塵機が用いられている。また、高炉、製鉄炉、焼却炉などで発生する排煙からのダスト除去にも、公害防止の観点から、電気式集塵機に代えて捕集性能に優れたバグフィルター式集塵機が用いられるようになってきた。
【0003】
集塵機用フィルターとしては、耐熱性を必要とする用途では、ガラス繊維やフッ素系樹脂のフェルト、芳香族アラミド繊維のフェルトや織布が用いられ、さらにはポリフェニレンスルフィド(PPS)繊維、ポリイミド繊維などの使用も検討されている。一方、集塵温度がそれほど高くない分野では、高価な耐熱材料ではなく比較的安価な濾材が用いられている。例えば、有価粉体、化学合成品、セメント、金属粉体などの回収には、汎用の繊維、例えば木綿、アクリル、ポリプロピレン、ポリエステルなどからなる織布が用いられることが多い。
【0004】
耐熱性のフィルターを用いる場合は、一般にパルスジェットタイプの集塵機が用いられるが、このタイプの集塵機では、フィルターは、その外側が濾過面となり、リテナー(バグフィルターゲージ)に装着されて運転される。一方、汎用の織布をフィルターとする集塵機では、逆洗浄によりフィルターから粉体が払い落とされることが多い。逆洗浄タイプでは、フィルターの内側が濾過面となり、かつリテナーが使用されないこともある。織布は、リテナーを使用しない集塵機に適している。このタイプの集塵機では、粉体の払い落とし時に濾材が大きく収縮、変形する。この場合、集塵機用フィルターは、リテナーを使用する場合に多用される円筒状ではなく、封筒状に加工されることが多い。
【0005】
ポリテトラフルオロエチレン(以下、「PTFE」と略す)多孔質膜は、高い捕集性能、耐熱性、耐薬品性、さらには低エネルギー洗浄性を有し、フィルター材料として適している。通常、PTFE多孔質膜は、必要な強度を確保するため、フェルト、不織布、織布などの通気性支持材と接合してフィルタ濾材へと加工される。
【0006】
PTFE多孔質膜を用いた集塵機用フィルターは、例えば特許文献1、2に開示されている。特許文献1では、破断に至るまでの伸び率が互いに直交する2方向においていずれも20%以上であり、フラジール法による通気度が4以上のPTFE多孔質膜を用いて、PTFE多孔質膜と通気性支持材との剥離を抑制することが提案されている。また、特許文献2では、PTFE多孔質膜と通気性基材(支持材)との間にこの基材よりも平滑な通気性保護層を介在させることが提案されている。この提案も、PTFE多孔質膜と通気性支持材との剥離を抑制することを目的としている。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−140588号公報
【特許文献2】
特開2000−176226号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
PTFE多孔質膜と通気性支持材との接合は、一般に、熱ラミネートまたは接着剤ラミネートにより行われる。しかし、加熱して支持材の表面を溶かす熱ラミネートは、PTFE多孔質膜をフェルトなどと接着する方法としては適しているが、織布に適用すると、強度が低下するばかりか、いわゆる風合いが損なわれる結果となる。また、接着剤を用いて織布とPTFE多孔質膜とを接着するのは難しく、強固に接着するには接着剤の量を増やす必要があり、結局はフィルタの風合いが損なわれる。
【0009】
特に逆洗浄タイプの集塵機に用いるフィルターでは、フィルターの風合いが失われると、逆洗浄の際にフィルターが十分に変形せず、粉体の払い落としが不十分となり、圧力損失が大きくなる。また、風合いが失われたフィルターには折れ癖がつきやすく、その部分に応力が集中してフィルターにクラックが生じやすくもなる。
【0010】
【課題を解決するための手段】
以上の事情に鑑み、本発明は、PTFE多孔質膜と織布とを、互いに直交する2方向への引っ張りにおける破断までの伸び率(以下、破断までの伸び率を「破断伸度」という)がともに200%以上である通気性不織布を介して接合して得た積層体を含む集塵機用フィルターを提供する。破断伸度が大きい通気性不織布を介して接合すると、織布の風合いを維持することが容易となる。
【0011】
破断伸度(E:%)は、JIS K6885における「伸び」の測定方法に準じ、予め2本の標線を付した試験片に対し、下記条件で引っ張り試験を実施して得た測定値から、下記式により算出できる。本件明細書における破断伸度は、いずれも、下記式により算出した値に基づく。
【0012】
(条件)
試験片のつかみの間隔:100mm
クロスヘッド速度 :200±20mm/分
測定温度 :25℃
【0013】
(式)
E(%)=(L2−L1)/L1×100
ここで、L1は、試験片の試験前の標線の間隔(50mm)であり、L2は、試験片が切れ始めたときの標線の間隔(mm)である。
【0014】
【発明の実施の形態】
通気性不織布は、PTFE多孔質膜と通気性支持材(織布)とを接合するバインダーとしての役割を担う。織布を含む集塵機用フィルターにおいて、織布の風合いを維持するためには、バインダーである通気性不織布に柔らかさが要求される。柔らかさの指標としては、例えばJIS L1096(一般織物試験方法)に基づく剛軟性が挙げられる。これに基づけば、目付け重量が小さい不織布を用いれば織布の柔らかさを維持できることが期待される。しかし、実際に織布とラミネートすると、目付け重量が低い不織布を用いても、風合いに欠けるフィルターとなることが確認された。この点について鋭意検討した結果、フィルター材料として一般に用いられるポリオレフィン系やポリエステル系の繊維では、繊維自体が硬いためにフィルターの風合いが損なわれることがわかった。織布の風合いを維持するためのバインダーとしては、破断伸度が高い不織布が適している。
【0015】
通気性不織布の破断伸度は、200%以上であればよいが、280%以上、特に300%以上が好ましい。また、通気性不織布の破断伸度は、互いに直交する2方向について所定値以上であればよいが、さらにこの2方向とは別の第3の方向(以下、「斜め方向」という)についても所定値以上であることが好ましい。不織布は、例えば、長さ方向、これに直交する幅方向、斜め方向の3方向についての破断伸度が所定値以上であることが好ましく、任意の方向について所定値以上の破断伸度を有することがさらに好ましい。ここで、不織布の長さ方向とは、不織布を製造する際の巻き取り方向をいう。上記2方向としては、これに制限されるわけではないが、長さ方向と幅方向とを採用するとよい。
【0016】
通気性不織布の目付け重量は、80g/m2以下、さらに50g/m2以下、特に40g/m2以下が好ましい。目付け重量が大きすぎると、ラミネート時の熱の伝達が悪く、織布と通気性不織布、および通気性不織布とPTFE多孔質膜との接着力が低下する。通気性不織布の目付け重量は、その下限が特に制限されるわけではないが、5g/m2以上が好適である。
【0017】
通気性不織布の通気性は、フラジール法(JIS L1096の6.27.1A法に基づく)により測定した値により表示して、50cm3/cm2/秒以上、さらに100cm3/cm2/秒以上、特に150cm3/cm2/秒以上が好ましい。なお、本件明細書では、以下、通気性を上記フラジール法による測定値により表示し、これを「通気度」ともいう。不織布の通気性が低すぎると、フィルター濾材の通気性が損なわれることがある。通気性不織布の通気度は、その上限が特に制限されるわけではないが、500cm3/cm2/秒以下が適当である。
【0018】
集塵機用フィルターの通気性を確保するために、PTFE多孔質膜と織布とは、通気性不織布を介して散点状、線状または網状に分布した部位において熱融着することが好ましい。フィルターの強度を維持しながら通気性を確保するためには、熱融着された融着部分が、偏在することなく散在した部位で部分的に接合するとよい。
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の集塵機用フィルターについてさらに説明する。図1に示したように、本発明の一形態では、PTFE多孔質膜1と織布2とが通気性不織布3を介して接合されている。
【0020】
PTFE多孔質膜1は、従来から用いられてきたものを使用できる。PTFE多孔質膜1の通気度は、4cm3/cm2/秒以上が好ましい。通気度がこれ未満であると、集塵機運転時の圧力損失が増大するからである。通気度の上限は特に限定されないが、30cm3/cm2/秒以下が適当である。PTFE多孔質膜1の通気度のより好ましい範囲は、8〜20cm3/cm2/秒である。PTFE多孔質膜1のその他の特性は、特に限定されないが、膜厚は3〜50μm、平均孔径は0.5〜10μm、気孔率は40〜95%がそれぞれ適当である。
【0021】
PTFE多孔質膜1は、例えば、未焼成のPTFEシートを延伸により多孔化することによって作製できる。以下、この製造方法の一例について説明する。PTFEシートは、未焼成のPTFE粉末と液状潤滑剤とを混合し、この混合物を押出しおよび圧延から選ばれる少なくとも1つの手段により成形することにより得られる。液状潤滑剤としては、流動パラフィン、ナフサなどの炭化水素油、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エステル類などが使用できる。液状潤滑剤の添加量は、PTFE粉末100重量部に対して5〜50重量部が適当である。なお、PTFEシートの厚さは、0.1〜0.7mm程度が適当である。
【0022】
延伸は、2軸方向に行うことが好ましい。なお、延伸に先立って、PTFEシートに含まれる液状潤滑剤は加熱または抽出により除去しておくとよい。延伸は、通常、まず、シートの成形(押出し)方向、すなわち長尺シートについてはその長手方向、に一軸延伸することにより行われる。この延伸は、ロール延伸、テンター延伸など慣用の方法により行えばよい。延伸温度は、PTFEの融点よりも低ければ制限されないが、均一な延伸のためには240〜320℃に設定することが好ましい。延伸倍率は、5〜30倍、特に10〜20倍が好適である。5倍未満であるとPTFE多孔質膜の通気度を十分に確保することが困難となり、30倍を超えるとPTFE多孔質膜の長手方向における破断伸度が低下するからである。
【0023】
続いて、上記延伸の方向と直交する方向、通常は長尺シートにおける幅方向への延伸が行われる。この延伸も、上記と同様の慣用の方法により行うことができる。幅方向の延伸は、25〜200℃、特に30〜130℃で行うことが好ましい。延伸倍率は、10〜50倍、特に10〜30倍が好適である。10倍未満であるとPTFE多孔質膜の通気性を十分に確保することが困難となるからであり、50倍を超えるとPTFE多孔質膜の幅方向における破断伸度が低下するからである。
【0024】
PTFE多孔質膜1の通気度は、上記延伸における諸条件を変更することにより、適宜、増大または減少させることが可能である。例えば、通気度を大きくするためには、長手方向および幅方向の少なくとも一方の延伸倍率を大きくすればよい。
【0025】
こうして得たPTFE多孔質膜1は、さらに熱処理を施し、寸法安定性を向上させることが好ましい。熱処理に際し、多孔質膜の延伸方向の寸法を固定すれば、膜厚や孔径の変化を抑制できる。熱処理温度をPTFEの融点以上とすれば、焼成された多孔質膜を得ることができる。多孔質膜を焼成すると機械的強度が向上する。なお、熱処理温度は、PTFEの融点以上とする場合であっても、多孔質膜の変質を防ぐためには470℃以下が好ましい。熱処理時間は、通常、60秒以下が適当である。
【0026】
このフィルターでは、通気性支持材として織布2が用いられている。この支持材は、特に制限されないが、例えば木綿、アクリル、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、ウレタン、芳香族アラミド、PTFEなどからなる織布を用いればよい。織布2の目付け重量は、通気性不織布の目付け重量よりも大きい範囲、例えば150g/m2〜500g/m2が好ましい。織布の目付け重量が小さすぎるとフィルターとして強度不足となる場合があり、逆に大きすぎると通気度が不足する場合がある。
【0027】
織布2の厚みは、通気性不織布よりも厚い範囲、例えば0.3mm〜20mmが好適である。織布が薄すぎるとリテナーとの摩擦により破れるおそれが生じ、逆に厚すぎると通気度が不足したり風合いが低下する場合がある。
【0028】
バインダーとなる通気性不織布3は、少なくとも互いに直交する2方向について、200%以上の破断伸度を有する。確認した限りにおいて、ポリオレフィン系やポリエステル系の市販の不織布では、一方向について破断伸度がかろうじて200%以上となるものが2,3存在したが、互いに直交する2方向について破断伸度がともに200%以上になるという条件を満たすものは存在しなかった。これに対し、ウレタン系やナイロン系の繊維からなる不織布には、上記条件を満たすものがあった。
【0029】
通気性不織布3の通気度および目付け重量の好ましい範囲は上記のとおりである。通気性不織布3の厚みは、通常、0.05mm〜0.8mm程度が好ましい。
【0030】
PTFE多孔質膜1と織布2とを通気性不織布3を介して接合するには、例えば、不織布を構成する少なくとも1つの材料の融点以上に加熱した熱ロールを用いてこれらの積層体を加圧して熱融着するとよい。熱ロールを用いて接合すると、不織布の一部がPTFE多孔質膜および織布に融着して積層体が一体となる。熱ロールの温度は、用いる不織布により適宜調整すればよいが、通常、100〜200℃が好適である。
【0031】
通気性を確保するためには、部分的(例えば、散点状、線状または網状)に熱融着するとよい。部分的に熱融着するには、例えば、PTFE多孔質膜、通気性不織布、織布をこの順に積層し、これらを加熱ロールとピンチロールとの間を通す方法を用いるとよい。このとき、加熱ロールの温度を通気性不織布の融点以上に設定すれば、ロール間圧力により不織布の有する表面凹凸の凸部がPTFE多孔質膜および織布に散点状に熱融着する。また、通気性不織布と、PTFE多孔質膜、織布との熱融着強度を大きくするには、加熱ロールの表面をエンボス加工したり、この表面に複数の線状凸部を形成したり、網目模様を形成した金属ロールを用いればよい。これらのロールを用いれば、不織布の押圧された部分が、PTFE多孔質膜および織布に散点状(エンボス加工の場合)、線状(線状凸部形成の場合)、網状(網目模様形成の場合)に強く熱融着される。
【0032】
本発明の集塵機用フィルターは、図1に示した構成に限らず、これを基本構成として、さらに他の層を積層した多層構成としてもよい。
【0033】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0034】
まず、PTFE多孔質膜を以下の手順により作製した。PTFEファインパウダー(ポリフロンF104;ダイキン(株)製)100重量部に対して、液状潤滑剤(流動パラフィン)25重量部を均一に混合し、この混合物を圧力20kg/cm2の条件で圧縮して予備成形体を得た。次いで、この予備成形体を丸棒状に押し出し、さらに一対の金属圧延ロール間に通し、厚さ0.2mmの長尺の未焼成シートを得た。引き続き、この未焼成シートから、n−デカンを用いた抽出法により液状潤滑剤を除去し、このシートを管状芯体に巻回した。さらに、このシートをロール延伸により長手方向に延伸し、テンター延伸により幅方向に延伸した。次いで、シートの長手方向および幅方向の寸法を固定し、370℃の温度で5秒間熱処理を行い、焼成されたPTFE多孔質膜を得た。
【0035】
なお、延伸条件は、以下のとおりとした。
延伸温度:長手方向280℃、幅方向60℃
延伸倍率:長手方向15倍、幅方向20倍
【0036】
得られたPTFE多孔質膜の通気性をフラジール法で測定したところ、10cm3/cm2/秒であった。なお、フラジール法による測定は、JIS L1096に従ってフラジール試験機(東洋精機製作所製)を用いて行った。本実施例では、通気性をすべてこの方法で測定した。また、このPTFE多孔質膜の膜厚は10μm、平均孔径は2.0μm、気孔率は90%であった。
【0037】
(実施例1)
織布として木綿系の綿帆布4号(目付け250g/m2、厚み0.5mm、大和紡績(株)製)を、通気性不織布としてウレタン系不織布(目付け25g/m2、厚み0.12mm、通気度400cm3/cm2/秒、融点110℃、鐘紡合繊(株)製「エスパンシオーネUEO25」)をそれぞれ準備した。この通気性不織布の破断伸度を測定したところ、長さ方向について445%、幅方向について480%、斜め方向(長さ方向と45°の角度をなす方向;以下、同様)について620%であった。
【0038】
PTFE多孔質膜、通気性不織布および織布をこの順に重ね、表面をエンボス加工した金属ロール(150℃に加熱)とピンチロールとの間を通し、PTFE多孔質膜と織布とを通気性不織布を介して熱融着した。得られたフィルターは、通気性不織布がPTFE多孔質膜および織布に散点状に熱融着しており、ラミネートする前の織布と同程度の柔らかさを有していた。
【0039】
(実施例2)
織布としてポリエステル系の織布(目付け300g/m2、厚み0.6mm、日本合繊工業(株)製)を用いた以外は、実施例1と同様にしてフィルターを作製した。得られたフィルターは、ラミネートする前の織布と同程度の柔らかさを有していた。
【0040】
(実施例3)
実施例2と同じ織布を用い、ナイロン系の不織布(目付け30g/m2、厚み0.12mm、通気度400cm3/cm2/秒、融点120℃、旭化成(株)製「ダイナックLNS−1225」)を用いた以外は、実施例1と同様にしてフィルターを得た。ただし、熱ロールの温度は130℃とした。用いた通気性不織布の破断伸度を測定したところ、長さ方向について320%、幅方向について350%、斜め方向について320%であった。得られたフィルターは、ラミネートする前の織布と同程度の柔らかさを有していた。
【0041】
(比較例1)
実施例2と同じ織布を用い、ポリエステル系の不織布(目付け18g/m2、厚み0.08mm、通気度400cm3/cm2/秒、融点185℃、大紀商事(株)製「モイスターW18」)を用いた以外は、実施例1と同様にしてフィルターを得た。ただし、熱ロールの温度は230℃とした。用いた通気性不織布の破断伸度を測定したところ、長さ方向について120%、幅方向について90%、斜め方向について150%であった。得られたフィルターは、ラミネートする前の織布よりも硬く、特にラミネート面での硬さが際立っていた。
【0042】
(比較例2)
実施例2と同じ織布を用い、ポリエステル系の不織布(目付け18g/m2、厚み0.15mm、通気度270cm3/cm2/秒、融点220℃、旭化成(株)製「スマッシュY2 5050」)を用いた以外は、実施例1と同様にしてフィルターを得た。ただし、熱ロールの温度は230℃とした。用いた通気性不織布の破断伸度を測定したところ、長さ方向について150%、幅方向について190%、斜め方向について230%であった。得られたフィルターは、比較例1で作製したフィルターよりも柔らかかったが、実施例で作製したいずれのフィルターよりも硬いものであった。
【0043】
(比較例3)
実施例2と同じ織布を用い、メルトブロー法により作製されたポリプロピレン系の不織布(目付け10g/m2、厚み0.09mm、通気度45cm3/cm2/秒、融点165℃、東洋紡(株)製「シャンファインPM010JF」)を用いた以外は、実施例1と同様にしてフィルターを得た。ただし、熱ロールの温度は230℃とした。用いた通気性不織布の破断伸度を測定したところ、長さ方向について150%、幅方向について190%、斜め方向について230%であった。得られたフィルターは、比較例1で作製したフィルターよりも柔らかかったが、実施例で作製したいずれのフィルターよりも硬いものであった。
【0044】
上記実施例および比較例から得た各フィルターについて、通気度および捕集効率を測定した。捕集効率は、ジオクチルフタレート(DOP)粒子を用い、JIS K0901に規定された方法に従って測定した。また、各フィルターについて、MIT試験機を用い、JIS R3420に基づく繰り返し折り曲げ試験を行った。この試験は、各フィルターから切り取った幅15mm、長さ約110mmの試験片を、MIT試験機により、荷重1kg、175回/分の条件で繰り返して折り曲げることにより行った。そして、10000回の押し曲げの後、膜面のクラックの有無を目視で観察した。
【0045】
さらに、各フィルターについて、以下の風合い試験を実施した。風合い試験は、各フィルターおよび各織布から切り取った10×10cmの試験片の一端を固定チャックを用いて固定し、他端を60°曲げたときの固定チャックにかかる力をトルク計で測定することにより行った。
【0046】
【表1】
【0047】
表1に示したように、各実施例からは、優れた風合いを反映した結果が得られた。各実施例のフィルターでは、風合い試験により得られた応力が、用いた織布についての応力よりも0.1g/cmを超えて大きくなることはなかった。また、MIT試験機を用いた繰り返し折り曲げ試験においても、高い耐久性(10000回の曲げ試験の後にもクラック存在せず)が確認できた。
【0048】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、織布の風合いが維持された集塵機用フィルターを提供できる。このフィルターは、特に逆洗浄タイプの集塵機に適している。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の集塵機用フィルターの一形態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 PTFE多孔質膜
2 織布
3 通気性不織布
Claims (4)
- ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜と織布とを、互いに直交する2方向への引っ張りにおける破断までの伸び率がともに200%以上である通気性不織布を介して接合して得た積層体を含む集塵機用フィルター。
- 前記通気性不織布が、フラジール法により測定した値により表示して50cm3/cm2/秒以上の通気性と、80g/m2以下の目付け重量とを有する請求項1に記載の集塵機用フィルター。
- 前記ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜が、フラジール法により測定した値により表示して4cm3/cm2/秒以上の通気性を有する請求項1または2に記載の集塵機用フィルター。
- 前記ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜と前記織布とが、前記通気性不織布を介して散点状、線状または網状に分布した部位において熱融着された請求項1〜3のいずれかに記載の集塵機用フィルター。
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