JP3549807B2 - 集塵機用フィルター - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、有価粉体の回収や、焼却炉、高炉、製鉄炉などで発生する排煙からのダスト除去などに用いる集塵機用フィルター(バグフィルター)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
小麦粉に代表される食品分野における有価粉体の回収、およびセメントや金属粉体の回収などには、従来よりバグフィルター式集塵機が用いられている。また、高炉、製鉄炉、焼却炉などで発生する排煙からのダスト除去のためにも、公害防止の観点から、電気式集塵機に代えて捕集性能に優れたバグフィルター式集塵機が用いられるようになってきている。
【0003】
高い捕集性能、耐熱性、耐薬品性、低エネルギー洗浄性などの諸特性を有するポリテトラフルオロエチレン(以下「PTFE」とする)多孔膜は、優れたフィルター材料である。PTFE多孔膜は、一般に、フェルト、織布、不織布、帆布などの通気性支持体と積層してフィルターとして使用される。このフィルターを用いると、PTFE多孔膜による高い捕集性能およびダスト離形性と、通気性支持材による高い強度とが実現できる。通気性支持材と積層すれば、フィルター寿命を大幅に延長することもできる。
【0004】
PTFE多孔膜と通気性支持材とを積層したバグフィルターとしては、フェルトとの積層体が特開昭60−187312号公報などに記載されている。また、織布との積層体が特開平7−16409号公報などに記載されている。このようなバグフィルターは、最近の主流となりつつある。
【0005】
従来、焼却炉や製鉄炉用のバグフィルターには、ガラス製の織布、ポリイミド製のフェルト、ポリフェニレンスルフィド(以下「PPS」とする)製のフェルト、アラミド製のフェルトや織布などの高い耐熱性を有する材料が用いられてきた。一般に、これらの材料は、排煙の処理温度が140℃以上と高温であっても、濾材が変形せず強度低下も少ない。しかし、これらのバグフィルターにおいても、高い捕集性能やダスト離形性を得るために、PTFE多孔膜を積層する技術が求められている。特に、最近では、焼却炉などにおける処理温度が高くなり、その結果、処理する粉塵もより細かくなる傾向にある。このため、PTFE多孔膜を用いた耐熱性に優れたバグフィルターへの要望がさらに高まりつつある。
【0006】
耐熱性を有する材料からなる通気性支持材と、PTFE多孔膜とを積層するために接着剤を用いる場合、この接着剤には、通気性支持材と同等もしくはそれ以上の耐熱性を備えていることが望まれる。耐熱性が低い接着剤を用いたのでは、高温での集塵運転の際に、PTFE多孔膜が剥離するおそれが生じるからである。
【0007】
延伸して多孔膜としなくても、PTFE樹脂自体は、耐熱性や耐薬品性に優れた材料として有用である。特表平11−506987号公報には、粒状タイプのPTFE粒子から形成された焼成PTFEからなる層が、延伸されたPTFE膜と結合した多孔質材料が開示されている。この多孔質材料は、実質的にPTFEから構成されているため、高い運転温度に対応できる。この多孔質材料の主用途としてはコピー機が想定されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
PTFE樹脂は、基本的に、耐熱性が高い材料を接合する接着剤として必要な特性を備えている。しかしながら、本発明者が検討したところ、単にPTFE樹脂を接着剤としてPTFE多孔膜と通気性支持材とを接合したのでは、良好なバグフィルターが得られないことがわかった。上記のように、特表平11−506987号公報には、接着剤として用いるわけではないが、粒状タイプのPTFE樹脂を用いた多孔質材料の製造方法が開示されている。本発明者は、この公報に記載の方法を参照してPTFE樹脂を接着剤として用いたバグフィルターを作製し、これを集塵機に用いてみた。ところが、集塵機を運転して粉塵払落としや吸引を繰り返すと、フィルターにクラックが発生するという問題が生じた。クラックが発生したフィルターをそのまま使用すると、ついには粉塵が吹き漏れる。このフィルターは、いわゆる風合いの点で硬直に過ぎ、このためにクラックが発生しやすくなったと考えられる。
【0009】
そこで、本発明は、PTFE多孔膜と通気性支持材とを接着剤を介して積層した集塵機用フィルターであって,集塵装置の運転時にクラックが発生しにくいフィルターを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の集塵機用フィルターは、PTFE多孔膜と通気性支持材とを接着剤を用いて積層した集塵機用フィルターであって、前記接着剤が、未焼成部分を残した粒状タイプのPTFE樹脂を主成分とすることを特徴とする。
【0011】
本発明では、粒状タイプのPTFE樹脂に未焼成部分を残しているため、クラックが生じにくい集塵機に適したバグフィルターとなる。ここで、粒状タイプのPTFE樹脂における未焼成部分の有無は、後述するように、DSC(示差走査熱量測定)により測定できる。
【0012】
本発明の集塵機用フィルターでは、粒状タイプのPTFE樹脂が、乾燥後の重量により200g/m2以下の分布密度で、PTFE多孔膜と通気性支持材との間に、点状または粒子が相互に融合した網状に存在することが好ましい。集塵機用フィルターとして好ましい範囲の通気性が得られるからである。また、より柔らかい風合いが得られるからでもある。上記密度は、特に制限されないが、フィルターとして必要な強度を確保するためには、30g/m2以上が好適である。
【0013】
本発明の集塵機用フィルターでは、通気性支持材が、ポリイミド、ポリアミド、ガラス、PTFE、アクリルおよびPPSから選ばれる少なくとも1種の材料で構成された織布または不織布であることが好ましい。
【0014】
本発明の集塵機用フィルターでは、PTFE多孔膜の通気度が、フラジール数により表示して4以上であることが好ましい。
【0015】
また、本発明によれば、集塵機の実際の運転を想定した試験方法においても、実質的にクラックが発生しない程度の耐折り曲げ性を有する集塵機用フィルターを提供できる。この試験は、折り曲げ角度135度、折り曲げ回数10000回の繰り返し折り曲げ試験である。ここで、この繰り返し折り曲げ試験は、具体的には、ガラス織物の一般試験法の一つであるJIS R 3420に規定されているMIT型試験機により荷重をかけた状態で、0度から135度の角度まで短冊状の試験片を10000回曲げる試験である。この試験の詳細については実施例の欄において説明する。なお、135度とは、折り曲げない状態を0度、折り曲げて重ね合わせた状態を180度として測定した値である。
【0016】
上記試験により、目視(肉眼)により観察できない程度のクラック(長さが0.5mm程度以下のクラック)が発生しても、集塵機の運転時に支障は生じない。したがって、上記程度のごく微小なクラックが機器を用いた観察により確認されたとしても、本明細書では、実質的にはクラックが生じていないものとして扱うこととする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の集塵機用フィルターの好ましい形態について説明する。
接着剤の原料としては、粒子タイプのPTFE樹脂を水系溶剤もしくは有機溶剤に分散した分散液を使用できる。このようなディスパージョンタイプの原料には、特に水系分散液を用いる場合、分散のための界面活性剤や、基材との密着性を改善するための添加剤を加えてもよい。このような分散液は、例えば、三井デュポンフロロケミカル、旭硝子、ダイキン工業などから市販されており、容易に入手できる。特に制限されないが、接着剤として用いる場合には、粒子タイプのPTFE樹脂の平均粒子径は、0.1〜1.0μmが好ましい。
【0018】
なお、集塵機用フィルターの接着剤は、PTFE樹脂を主成分としている限り、上記添加剤などの微量成分を含んでいてもよい。
【0019】
上記分散液は、スプレー、グラビアコーターなどにより通気性支持体上に塗布される。そして、分散液の塗布面にPTFE多孔膜を貼り合わせて加熱および加圧して積層し、フィルターを作製する。貼り合わせ方法としては、生産性を考慮すると、通気性支持体およびPTFE多孔膜の長尺物を巻回したロールから、両材料を連続的に供給しながら、熱ロールを用いて加圧しながらラミネートしていく方法が好適である。
【0020】
積層のための加熱温度は、支持体の耐熱性、PTFE多孔膜の膜厚、積層方法、加熱時間などにより適宜選択すればよい。加熱温度が高すぎると、PTFE樹脂が完全に焼成されて風合いが過度に硬くなってしまう。その一方、加熱温度が低すぎると、接着が不十分となるおそれがある。特表平11−506987号公報に記載の製造例では、塗布した粒状PTFEを350℃で長時間(例えば2.5時間)保持している。PTFEの融点(327℃)以上の温度で加熱すれば、PTFEの焼成が進行するから、上記公報に記載の方法では,PTFE粒子は実質的に完全に焼成されることになる。
【0021】
しかし、例えば、上記のように熱ロールを用いて連続的に貼り合わせていく場合には、熱ロールとの接触時間は長くても数秒間程度となる。このような貼り合わせ方法を採用する場合には、加熱温度をPTFEの融点より高くしてもPTFEは完全に焼成されない。熱ロールを用いた貼り合わせ方法の場合には、加熱温度は、300℃以上400℃以下、特に380℃以下が好ましい。
【0022】
フィルターの通気性を確保するため、さらにはフィルター全体の風合いを柔らかくするため、PTFE多孔質膜と通気性支持材とは、点状に、または相互に粒子融合して網状に存在するPTFEにより接合されていることが好ましい。PTFE多孔質膜と通気性支持材とを接合する接着部の個々の大きさは、特に制限されないが、10μm〜1mm程度が好ましい。また、接着部が占める割合は、フィルターの面積全体の60%以下が好適である。
【0023】
一般に、PTFEは、結晶転移の状態により、焼成状態、未焼成状態、その中問状態(以下、半焼成と呼ぶことがある)が存在する。PTFEが完全に焼成されていれば、DSCの吸熱ピークは、図1に示すように、325℃付近に一本測定される。一方、PTFEが完全に未焼成であれば、DSCの吸熱ピークは、典型的には、図2に示すように、336℃付近に一本測定される。もっとも、熱履歴により、未焼成状態であっても、このピークは、図3に示すように、2本に分岐することもある。
【0024】
さらに、半焼成状態または部分的に未焼成状態であるPTFEの場合には、図4および図5に示すように、2重ないしショルダー状のピーク、あるいはブロードなピークが得られることもある。図5のブロードなピークは、高温側にかけてより緩やかな勾配を描いている。図5からは、330〜340℃に潜在的なピークの存在が読み取れる。
【0025】
DSCにより、図2〜図5に示したように、典型的には336℃付近(330〜340℃)に、顕著なまたは潜在的な吸熱ピークが測定されれば、PTFE粒子に、未焼成部分が残存していることが確認できる。これに対し、完全焼成状態の吸熱ピークは、ピーク位置が325℃付近のみに存在し、336℃付近のピークの存在が潜在的にも確認できない。こうして、DSCを用いれば、PTFEの焼成状態を簡便に測定できる。
【0026】
以下、通気性支持体とPTFE多孔膜について簡単に説明する。これらは、従来から用いられてきた材料を特に制限することなく用いることができる。フィルターに用いられる通気性支持体は、ナイロンやアラミドなどのポリアミド、ポリイミド、ガラス、PTFE、アクリル、PPSから選ばれる少なくとも1種類の材質で構成された織布または不織布、フェルトが挙げられる。通気性支持材としては、これに積層するPTFE多孔膜よりも、通気性に優れた基材が用いられる。通気性支持材自体を積層体として用いてもよい。
【0027】
PTFE多孔膜のフラジール数は4以上であることが好ましい。フラジール数が4未満であると、集塵機運転時の圧損が増大するからである。上限は特に限定されないが、フラジール数は30以下が適当である。フラジール数の特に好ましい範囲は、8〜20である。なお、フラジール数は、後述する実施例に記載の方法により測定できる。
【0028】
PTFE多孔膜のその他の特性は、特に限定されないが、膜厚は3〜50μm、孔径は0.5〜10μm、気孔率は40〜95%が好ましい。
【0029】
PTFE多孔膜は、例えば、未焼成のPTFEシートを延伸により多孔化することによって作製できる。以下、この製造方法の一例について簡単に説明する。PTFEシートは、未焼成のPTFE粉末(好ましくはPTFEファインパウダー)と液状潤滑剤とを混合し、この混合物を押出および圧延から選ばれる少なくとも1つの手段によりシート状に成形することにより得られる。液状潤滑剤としては、流動パラフィン、ナフサなどの炭化水素油、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エステル類などが使用できる。液状潤滑剤の添加量は、PTFE粉末100重量部に対して5〜50重量部が適当である。なお、PTFEシートの厚さは、0.1〜0.7mm程度が適当である。
【0030】
延伸は、2軸方向に行うことが好ましい。なお、延伸に先立って、PTFEシートに含まれる液状潤滑剤を加熱または抽出により除去しておくことが好ましい。延伸は、まず、シートの成形(押出し)方向、すなわち長尺シートについてはその長手方向、に一軸延伸することにより行われる。この延伸は、ロール延伸、テンター延伸など慣用の方法により行えばよい。延伸温度は、PTFEの融点よりも低ければ制限されないが、均一な延伸のためには240〜320℃に設定することが好ましい。延伸倍率は、5〜30倍、特に10〜20倍が好適である。5倍未満であるとPTFE多孔膜の通気度を十分に確保することが困難となり、30倍を超えるとPTFE多孔膜の長手方向における破断伸度が低下するからである。
【0031】
続いて、上記延伸の方向と直交する方向、通常は長尺シートにおける幅方向への延伸が行われる。この延伸も、上記と同様の慣用の方法により行うことができる。幅方向の延伸は、25〜200℃、特に30〜130℃で行うことが好ましい。延伸倍率は、10〜50倍、特に10〜30倍が好適である。10倍未満であるとPTFE多孔膜の通気性を十分に確保することが困難となるからであり、50倍を超えるとPTFE多孔膜の幅方向における破断伸度が低下するからである。
【0032】
PTFE多孔膜の破断伸度および通気度(フラジール数)は、上記延伸における諸条件を変更することにより、適宜、増大または減少させることが可能となる。例えば、通気度を大きくするためには、長手方向および幅方向の少なくとも一方の延伸倍率を大きくすればよい。
【0033】
こうして得たPTFE多孔膜は、熱処理を施し、寸法安定性を向上させることが好ましい。熱処理に際し、多孔膜の延伸方向の寸法を固定すれば、膜厚や孔径の変化を抑制できる。熱処理温度をPTFEの融点以上とすれば、焼成された多孔膜を得ることができる。多孔膜を焼成すると、機械的強度が向上する。なお、熱処理温度は、PTFEの融点以上とする場合であっても、多孔膜の変質を防ぐために、470℃以下が好ましい。熱処理時間は、通常、60秒以下が適当である。熱処理条件は、PTFE多孔膜の通気度に影響を与えることがある。例えば、熱処理時間を長くするほど通気度は上昇する傾向にある。
【0034】
通気性支持材とPTFE多孔膜との積層数、積層の順序などに特に制限はないが、最外層の少なくとも一方をPTFE多孔膜とすることが好ましい。集塵機にフィルターを設置する場合、PTFE多孔膜の膜面側からダストを含有する空気が流入する方向にフィルターを配置すれば、フィルター表面のダスト離形性を向上できるからである。
【0035】
以上説明したような集塵機用フィルターでは、接着剤として用いる粒子タイプのPTFEが完全に焼成されていないため、ダスト払い落としなどを繰り返し実施しても、フィルターにクラックが生じにくい。
【0036】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
以下、フィルターの試験方法について説明する。
【0037】
[ダスト負荷運転試験]
図6に示すように、フィルターを直径100mm、長さ1mの円筒状のバグフィルターに加工し、PTFE多孔膜面側からダスト含有空気が流入するようにフィルターハウス内に配置して、ダスト負荷試験運転を行った。ここで、図6の装置について簡単に説明すると、まず、ダスト含有空気が流入口3よりフィルターハウス2内に入り、バグフィルター1によってろ過される(なお、図中、矢印5はダスト含有空気の流入する方向を示している)。ろ過が進むにつれ、バグフィルターの表面にはダスト層が形成されてバグフィルターの圧力損失が次第に増大する。ダスト払い落とし時には、バグフィルターにパルスエアーが加えられ、バグフィルター表面から払い落とされたダスト4は、フィルターハウス2の底部に堆積していく。
【0038】
ダスト負荷試験は、文献(松永 晃:「公害と対策」Vol.22,No.4 79(1986))記載の方法に準じて、下記条件により実施した。バグフィルターの圧力損失が150mmH2Oに到達したとき、パルスジェット方式によるダスト払い落としを実施することとし、このダスト払い落としが1000回実施されるまで運転を続けた。
【0039】
【0040】
運転終了後、フィルターの状態を目視で観察すると共に、運転期間中、捕集されずにフィルターを透過したダスト量の測定を行った。なお、透過したダスト量は、次式により算出される値(以下、「ダスト透過量」とする)により評価した。
【0041】
ダスト透過量(mg/m2)=試験運転期間中にフィルターを透過したダスト量(mg)/試験運転期間中に処理された空気量(m2)
【0042】
[繰り返し折り曲げ試験]
この試験には、JIS R 3420に基づいたMIT型試験機を用いた。上記フィルターから幅15mm、試験機のつかみに取り付けられる長さ約110mmの試験片を切り取って、荷重1kg、175回/分の条件で繰り返して試験片の折り曲げを行った。10000回折り曲げ後、膜面でのクラックの有無を目視で観察した。
【0043】
(実施例1)
PTFEファインパウダー(ポリフロンF104:ダイキン製)100重量部に対して、液状潤滑剤(流動パラフィン)25重量部を均一に混合し、この混合物を圧力20kg/cm2の条件で圧縮予備成形した。次いで、この予備成形体を丸棒状に押し出し、この丸棒状物を1対の金属圧延ロール間に通し、厚さ0.2mmの長尺の未焼成シートを得た。引き続き、炭化水素系溶媒を用いた抽出法により液体潤滑剤を除去した後、このシートを、管状芯体にロール状に巻回した。さらに、このシートをロール延伸により長手方向に延伸した後、テンター延伸により幅方向に延伸した。次いで、シートの長手方向および幅方向の寸法を固定した状態で、370℃で5秒間熱処理を行い、焼成されたPTFE多孔質膜を得た。
【0044】
なお、延伸条件は、以下のとおりとした。
【0045】
得られた膜のフラジール数は10、膜厚は12μmであった。なお、フラジール数は、JIS L 1096に従い、フラジール試験機(東洋精機製作所製)を用いて測定した。
【0046】
上記条件で作製したPTFE多孔膜とともに、通気性支持体として芳香族アラミドフェルト(厚さ1.8mm、目付け量:450g/m2:日本フェルト工業製)を用意した。また、接着剤の材料として、固形分60%のPTFEディスパージョン(ポリフロンディスパージョン:ダイキン工業製)を用意した。
【0047】
PTFEディスパージョンを、スプレーノズルによる吹き付け塗装により、乾燥重量で1m2当たり150gをフェルトに塗布した後、380℃に加熱した熱ロールを用いて、PTFE多孔膜と積層して加圧ラミネートし、フィルターとした。加熱ロールとフィルターとなる積層体との接触時間は約1秒とした。
【0048】
ここで、接着剤として用いたPTFE樹脂の焼成度を確認するために、フィルターの一部を切り取り、DSCを用いて、昇温速度を10℃/分として測定したところ、335℃にショルダーピークが観察された。こうして、PTFE樹脂に未焼成部が残存していることが確認された。また、このフィルターについて、上記両試験を行い、通気性を測定した。結果を表1に示す。
【0049】
(実施例2)
通気性支持体として、ポリイミド製フェルト(P84フェルト、厚さ:1.8mm、目付け量:500g/m2:日本フェルト製)を用いた点を除いては、実施例1と同様にして、フィルターを作製した。DSCにより、このフィルターについても、実施例1と同様の吸熱ピークが測定された。このフィルターの特性を表1に併せて示す。
【0050】
(実施例3)
PTFEディスパージョンの塗布量を、乾燥重量で1m2当たり230gとした点を除いては、実施例1と同様にして、フィルターを作製した。DSCにより、このフィルターについても、実施例1と同様の吸熱ピークが測定された。このフィルターの特性を表1に併せて示す。
【0051】
(比較例1)
通気性支持体として、実施例2と同じポリイミド製フェルトを用い、熱ロールの加熱温度を410℃とした点を除いては、実施例1と同様にしてフィルターを作製した。このフィルターの特性を表1に併せて示す。DSCによると、このフィルターからは、328℃に1本の吸熱ピークが測定された。このDSCの結果からは、330〜340℃の領域に吸熱ピークが存在することは確認できなかった。こうして、接着剤としたPTFE樹脂が完全に焼成されていることを確認した。
【0052】
【0053】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、運転時にクラックが発生しにくい集塵機用フィルターを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】完全に焼成したPTFE樹脂をDSCにより評価した結果を示す図である。
【図2】完全に未焼成であるPTFE樹脂をDSCにより評価した典型的な結果を示す図である。
【図3】未焼成状態のPTFE樹脂をDSCにより評価した結果の一例を示す図である。
【図4】未焼成状態のPTFE樹脂をDSCにより評価した結果の別の一例を示す図である。
【図5】未焼成状態のPTFE樹脂をDSCにより評価した結果のまた別の一例を示す図である。
【図6】ダスト負荷運転試験に使用した装置の断面概略を示す図である。
【符号の説明】
1 バグフィルター
2 フィルターハウス
3 流入口
4 ダスト
5 ダスト含有空気が流れる方向
Claims (5)
- ポリテトラフルオロエチレン多孔膜と通気性支持材とを接着剤を用いて積層した集塵機用フィルターであって、前記接着剤が、未焼成部分を残した粒状タイプのポリテトラフルオロエチレン樹脂を主成分とすることを特徴とする集塵機用フィルター。
- 粒状タイプのポリテトラフルオロエチレン樹脂が、乾燥後の重量により200g/m2以下の分布密度で、ポリテトラフルオロエチレン多孔膜と通気性支持材との間に、点状または粒子が相互に融合した網状に存在する請求項1に記載の集塵機用フィルター。
- 通気性支持材が、ポリアミド、ポリイミド、ガラス、ポリテトラフルオロエチレン、アクリルおよびポリフェニレンスルフィドから選ばれる少なくとも1種の材料で構成された織布、不織布またはフェルトである請求項1または2に記載の集塵機用フィルター。
- ポリテトラフルオロエチレン多孔膜の通気度が、フラジール数により表示して4以上である請求項1〜3のいずれかに記載の集塵機用フィルター。
- 折り曲げ角度135度、折り曲げ回数10000回の繰り返し折り曲げ試験後においても、ポリテトラフルオロエチレン多孔膜面に、実質的にクラックが発生しない請求項1〜4のいずれかに記載の集塵機用フィルター。
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