JP4420343B2 - フィルタ濾材の製造方法 - Google Patents

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本発明は、集塵や目的物質の回収に使用するフィルタ濾材およびそれを用いたフィルタユニットに関する。
従来、ダスト除去や、有価粉体や化学合成物等の回収のために、各種集塵機が使用されており、近年、小型化や取り扱い性に優れることから、それらの塵埃捕集部には、カートリッジ式フィルタ濾材が広く使用されている。
前記フィルタ濾材は、一般に、フィルタと通気性支持体とを含む構成であり、前記通気性支持材としては、ポリエステルやポリプロピレンを主成分とした比較的硬くコシのあるスパンボンド形成された部材を、容積内で面積を大きくするためにプリーツ加工した円筒状や平板状のものが使用されている。なお、このようなフィルタをカートリッジ式に成形する方法もすでに開示されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
一方、近年では、前記フィルタとして、高い捕集性能、耐熱性、耐薬品性、低エネルギー洗浄性等の物性に優れることから、PTFE多孔質膜が広く使用されており、通常、フェルトや織布、帆布等の通気性支持体と積層した形態で使用されている。このPTFE多孔質膜と通気性支持材とのラミネートは、例えば、接着剤を用いた方法や、前記通気性支持材を熱溶融させてPTFE多孔質膜と融着させる方法等によって行われている。しかしながら、前記通気性支持材は、一般的にその表面形状に凹凸があるものが多いため、ラミネートの際に、その凹凸によってPTFE多孔質膜がダメージを受け、クラックが生じるおそれがある。また、従来のラミネート技術では、例えば、前記通気性支持材の表面凸部のみにPTFE多孔質膜が接着され、表面凹部においてはPTFE多孔質膜が接着されない状態となり易い。このため、フィルタ濾材の使用時や、フィルタ濾材を最終的にプリーツ加工する際に、PTFE多孔質膜が破壊され、結果として十分な捕集効率が得られず、ダストの離脱性も悪化し、圧力損失の上昇を招くおそれがある。
そこで、この問題を解決するために、PTFE多孔質膜と通気性支持材との間に、ホットメルト系不織布等の通気性熱融着部材を配置し、これを熱溶融させることによってPTFE多孔質膜と通気性支持材とを一体化させる方法が検討されている(例えば、特許文献3)。このような方法によれば、前記通気性支持材の表面凹凸によるダメージを回避できる。
特開2001−293310号公報 特開2001−293316号公報 特開平09−206568号公報
しかしながら、最近では、前記特許文献3に開示されるようなフィルタ濾剤に比べて、さらにPTFE多孔質膜と通気性支持材との接着性に優れるものが求められている。
本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、通気性を損なうことなく、且つ、優れた接着力でPTFE多孔質膜と通気性支持材とを一体化できる、フィルタ濾材の製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明のフィルタ濾材の製造方法は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)多孔質膜、通気性熱融着部材および通気性支持材をこの順序で積層し、前記PTFE多孔質膜もしくは通気性支持材のいずれか一方の表面から加熱処理を施して、前記通気性熱融着部材を熱溶融させることにより前記PTFE多孔質膜と通気性支持材とを一体化するフィルタ濾材の製造方法であって、
前記通気性熱融着部材が、軟化点が異なる2層の通気性熱融着部材であり、
前記積層体の加熱処理側に、軟化点が高い層が位置するように熱融着部材を配置することを特徴とするフィルタ濾材の製造方法である。なお、以下、2層の通気性熱融着部材のうち、軟化点が高い層を「高軟化点層」、軟化点が低い層を「低軟化点層」という。
従来のように、前記ホットメルト系不織布によってPTFE多孔質膜と通気性支持材とを熱融着させる場合、一般に、前記積層体のPTFE多孔質膜側から加熱処理が行われていた。そこで、本発明者らはこの熱融着によるラミネート方法について検討した。この結果、従来の方法によると、例えば、通気性支持体の凹凸形状の影響回避等を目的として前記不織布の厚みを厚くすると、PTFE多孔質膜からの熱が、前記不織布の通気性支持体側に十分に伝達されないため、前記不織布が十分溶融していない状態で前記通気性支持体と接着(融着)されるおそれがあるという知見を得た。特に、前記通気性支持体が、例えば、エンボス加工等による凹凸形状の表面であれば、融着部分は凸部分に限定されるため、接着面積も少なくなる。このため、全体としての接着性が著しく低下するのである。一方、前記不織布の厚みを薄くすると、熱が急速かつ十分に伝達されるため、前記不織布が十分に溶融することにより接着性は優れるものの、前記不織布の溶融物が前記通気性支持体の空孔部に入ってしまい、そのため目付け量の低下、通気性の低下が起こってしまうのである。
そこで、本発明者らは、これらの知見から、軟化点が異なる2層の通気性熱融着部材を使用し、加熱処理を施すPTFE側に高軟化点層を、通気性支持材側に低軟化点層を配置し、PTFE多孔質膜側から加熱処理を行うことによって、前述のような従来の問題を解決できることを見出したのである。このようにして2層の通気性熱融着部材を配置すれば、高軟化点層が溶融する温度でPTFE多孔質膜側から加熱処理を施せば、前記高軟化点層を十分に溶融できる。そして、前記低軟化点層は前記高軟化点層よりも軟化点が低いため、例えば、高軟化点層を通じて低軟化点層に熱が十分に伝達されなくとも、低軟化点層は十分に溶融できるのである。このため、PTFE多孔質膜と高軟化点層、高軟化点層と低軟化点層、低軟化点層と通気性支持材は、それぞれ十分に熱融着され、前記通気熱融着部材の溶融物が、通気性支持材の空孔部に入って目付け量が低下したり、通気性が低下することもない。また、通気性支持材の表面が凹凸形状であって、その凸部のみで通気性熱融着部材と接着している場合でも、低軟化点層の溶融が十分に起こっているため、接着面積が小さいものの、接着部分の接着力は従来よりも十分な強度となる。なお、加熱処理が通気性支持材側である場合には、前記通気性支持材側に前記高軟化点層が位置するように通気性熱融着部材を配置すれば、同様の効果を得ることができる。以上のように、このような本発明の製造方法によれば、優れた通気性を保ちつつ、且つ、接着性に優れたフィルタ濾材の提供が可能となるのである。
つぎに、本発明のフィルタ濾材の製造方法について具体的に説明する。以下、特に言及しない限りは、PTFE多孔質膜側に高軟化点層、通気性支持材側に低軟化点層が位置するように通気性熱融着部材を配置し、この積層体を前記PTFE多孔質膜側から加熱処理を施す形態についての説明とする。なお、通気性支持材側から加熱処理を施す場合には、前記通気性支持材側に高軟化点層、PTFE多孔質膜側に低軟化点層が位置するように通気性熱融着部材を配置すればよく、その他の条件は特に制限されない。
「軟化点」とは、一般に、加熱された物質が軟化し、変形し始める温度を言い、本発明においては、通気性熱融着部材の各層について示差熱分析(DSC)を行い、そのピーク値を示す温度を前記各層の軟化点とする。前記DSCは、例えば、商品名DSC−6200(SEIKO Instrument Inc.社製)を用いて測定できる。なお、この軟化点の決定方法は、軟化点を特定するためのみに用いられるものであって、本発明のフィルタ濾材の製造方法、使用や用途等を何ら制限するものではない。
本発明において、高軟化点層と低軟化点層との軟化点の差は、特に制限されないが、5℃以上であることが好ましい。前記軟化点の差が5℃以上であれば、例えば、実用上、高軟化点層を溶融するために必要な熱が、低軟化点層まで伝達されなくとも、前記低軟化点層を十分に溶融することができる。このため、連続的にラミネートを行う場合であっても、例えば、熱を伝達させるための時間設定等の重要性が極めて軽減でき、所望の生産速度を確保できる。
前記軟化点の差の上限は特に制限されないが、60℃以下であることが好ましい。60℃以下であれば、例えば、高軟化点層を溶融するために高温で処理しても、他方の融着部材への熱によるダメージが極めて抑制され、また、前記低軟化点層の溶融が進行しすぎることによって通気性支持体の空隙が詰まることも十分に回避できる。前記差は、より好ましくは5〜30℃である。
前記高軟化点層の軟化点は、例えば、140〜235℃である。一方、低軟化点層の軟化点は、例えば、105〜200℃である。
前記通気性熱融着部材の各層の材料としては、熱による溶融および融着が可能であれば特に制限されず、例えば、ポリエステル系、ナイロン系、ポリオレフィン系、ウレタン系等の各種樹脂があげられる。また、前記各層の形態としては、通気性を示すものであれば特に制限されず、例えば、前述のような樹脂製の繊維から形成された不織布、織布、編物、ネット等、前記樹脂製の多孔質膜等があげられ、中でも不織布が好ましい。なお、2層の通気性熱融着部材は、フィルタ濾材の製造時に、独立した高軟化点層と低軟化点層とを順次配置してもよいし、高軟化点層と低軟化点層が予め一体化された積層体を使用してもよい。
前記高軟化点層と低軟化点層の組み合わせは、例えば、市販品から軟化点の差が5℃以上となる二種類の融着部材を選択すればよい。市販品の融着部材としては、例えば、各種不織布が好ましく、ユニチカ社製の商品名エルベス、商品名ナイエース、商品名マリックス等、シンワ社製の商品名スーパーレース、商品名Haibon、東洋紡社製の商品名シャンファイン、商品名バルコンポ、商品名ボランス、旭化成社製の商品名スパッシュ、商品名エルタス、鐘紡社製の商品名エスパンシオーネ、大紀商事社製の商品名オキロン、日石プラスト社製の商品名ミライフ等があげられる。また、軟化点が異なる2層の不織布が予め一体化された積層体として、例えば、商品名ミライフTLY0505E(日石プラスト社製)等の市販品も使用できる。
また、高軟化点層はPTFE多孔質膜との融着、低軟化点層は通気性支持材との融着を、それぞれ主目的とすることから、軟化点の差に加えて、さらに、PTFEの種類や通気性支持材の種類に応じて適宜決定することもできる。
また、前記各層は、前記軟化点に加えて、さらに、目付けや強度、通気性等の特性に基づいて選択することが好ましい。前記各層のフラジール通気度は、得られるフィルタ濾材の通気性を十分に確保できることから、それぞれ50cm3/cm2/sec以上であることが好ましく、好ましくは100cm3/cm2/sec以上、より好ましくは200〜400cm3/cm2/secの範囲であり、上限は特に制限されないが、例えば、500cm3/cm2/sec以下である。また、通気性熱融着部材が、高軟化点層と低軟化点層が予め一体化された積層体の場合も、同様の範囲であることが好ましい。
前記各層の厚みは、例えば、10〜300μmであり、好ましくは10〜200μmであり、より好ましくは10〜100μmである。また、高軟化点層と低軟化点層との全体厚みは、例えば、20〜600μmであり、好ましくは20〜400μmであり、より好ましくは20〜200μmである。
前記PTFE多孔質膜のフラジール通気度は、得られるフィルタ濾材の通気性を十分に確保でき、例えば、集塵機に使用した際の圧損の増大を十分に抑制できることから、4cm3/cm2/sec以上が好ましく、上限は特に制限されないが30cm3/cm2/sec以下が好ましく、より好ましい範囲は8〜20cm3/cm2/secである。
前記PTFE多孔質膜の厚みは、例えば、作製するフィルタ濾材の大きさ等により適宜決定できるが、例えば、2〜100μmの範囲であり、その孔径は、例えば、0.5〜50μmの範囲である。
前記PTFE多孔質膜は、例えば、つぎのようにして製造できる。すなわち、まず、未焼成のPTFE微粉末に液状潤滑剤を加えて均一に混和する。前記PTFE微粉末としては、特に制限されず、市販のものが使用できる。前記液状潤滑剤としては、前記PTFE粉末を濡らすことができ、後に除去できるものであれば特に制限されず、ナフサ、ホワイトオイル、流動パラフィン、トルエン、キシレン等の炭化水素油や、アルコール類、ケトン類およびエステル類の溶媒等が使用できる。これらは、単独で使用しても良く、二種類以上を併用してもよい。
前記PTFE微粉末に対する液状潤滑剤の添加割合は、前記PTFE微粉末の種類、液状潤滑油の種類および後述するシート成形の条件等により適宜決定できるが、例えば、PTFE微粉末100重量部に対して、液状潤滑剤5〜50重量部の範囲である。
つぎに、前記混和物を未焼成状態でシート状に成形する。前記成形方法としては、例えば、前記混和物をロッド状に押し出した後、対になったロールにより圧延する圧延法や、板状に押し出してシート状にする押し出し法があげられる。また、両方法を組み合わせてもよい。このシート状成形体の厚みは、後に行う延伸の条件等により適宜決定できるが、例えば、0.1〜0.5mmの範囲である。
なお、得られたシート状成形体に含まれる前記液状潤滑剤は、続いて行う延伸工程前に、例えば、加熱法または抽出法等により除去しておくことが好ましい。前記抽出法に使用する溶媒は、特に制限されないが、例えば、ノルマルデカン、ドデカン、ナフサ、ケロシン、スモイル等があげられる。
続いて、前記シート状成形体に対して延伸を行う。前記シート状成形体をPTFEの融点(327℃)以下の温度で、一軸延伸または二軸延伸で延伸し多孔質化する。例えば、前記シート状成形体の長手方向において、その長さが、延伸前の長さに対して2〜30倍の範囲になるように、温度150〜327℃で延伸し、続いて、前記シート状成形体の幅方向において、その長さが延伸前の長さに対して2〜30倍の範囲になるように、温度30〜320℃で延伸する。前記延伸後、その延伸状態を保持して、PTFEの融点(327℃)以上の温度に加熱して焼成することにより、機械的強度の向上と寸法安定性の増加を図る。以上のようにして、PTFE多孔質膜が製造できる。なお、本発明において、PTFE多孔質膜の製造方法は、前述の方法に限定されず、他の方法で作成してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記通気性支持材は、例えば、その表面形状(例えば、凹凸の形状や数等)等は特に制限されないが、プリーツ加工が可能なものが好ましい。また、通気性支持材の構成材料としては、例えば、織布、融着部材、金属ないしプラスチックのメッシュ、金属ないしプラスチックのネット、プラスチック発泡体等が使用できる。前記構成材料の中でも繊維部材が好ましく、特に費用の点から、融着部材が好ましい。前記繊維としては、例えば、セルロース、ビスコース等の半合成繊維、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、アクリル、ポリスルフォン、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリフッ化ビニリデン等の合成繊維が使用できる。なお、前記通気性支持材は市販品を使用してもよく、例えば、東レ社製の商品名アクスターシリーズ、日本バイリーン社製の商品名VC‐1シリーズ、東洋紡社製の商品名ボランス、商品名ベストショット等があげられる。
つぎに、本発明の製造方法の一例を、図1を用いて説明する。図1は、本発明の製造方法において、使用する構成部材の積層形態の一例を示す断面図である。
まず、図1に示すように、PTFE多孔質膜11、2層の通気性熱融着部材121、122および通気性支持体13をこの順序で積層する。前述のように、通気性熱融着部材は軟化点が異なる高軟化点層と低軟化点層とを含み、高軟化点層121がPTFE多孔質膜側、低軟化点層122が通気性支持材側に位置するように配置されている。なお、PTFE多孔質膜側ではなく、通気性支持体側から加熱処理を行う場合には、反対に、PTFE多孔質膜側に低軟化点層、通気性支持材側に高軟化点層が位置するように通気性熱融着部材を配置すればよい。
そして、図1に示す積層体1に対して、PTFE多孔質膜11側から加熱処理を施すことによって、本発明のフィルタ濾材を形成できる。具体的には、前記加熱処理によって高軟化点層121および低軟化点層122を熱溶融させ、PTFE多孔質膜11と高軟化点層121、高軟化点層121と低軟化点層122、低軟化点層と通気性支持材13を、それぞれ熱融着することによって、全体として一体化されるのである。そして、前記通気性熱融着部材は、その材料の溶融により融着が起こるため、例えば、繊維のない部分、空孔部分で通気性が確保される。なお、このフィルタ濾材には、さらにプリーツ加工を施してもよい。
前記加熱処理の条件は、使用する高軟化点層および低軟化点層の軟化点に応じて設定することができる。加熱温度は、例えば、高軟化点層の軟化点より5℃以上離れた温度であることが好ましく、より好ましくは5〜30℃離れた温度であり、特に好ましくは5〜15℃離れた温度である。また、加熱時間は、通気性熱融着部材の厚み、それを構成する各層の厚み、加熱温度に応じて適宜決定できるが、例えば、20秒以下であり、特に好ましくは5秒以下である。
前記積層体の熱融着は、前記積層体に適当な圧力をかけながら行うことが好ましい。前記圧力は、例えば、0.1〜0.7MPaであり、好ましくは0.3〜0.5MPaであり、この条件で、ロール等によりニップすることが好ましい。
このような製造方法により得られた本発明のフィルタ濾材は、前述のように通気に優れ、且つ、構成部材の接着性にも優れるものである。このため、例えば、使用時やプリーツ加工時に、構成部材の剥離が原因となるクラックの発生等の問題がなく、極めて有用である。その用途としては、特に制限されず、例えば、ダスト除去を目的として、掃除機や、プラントにおける集塵機等への適用、食品分野における小麦粉等の有価粉体、または化学合成物、セメントや金属粉体等の回収を目的とする装置への適用が可能である。本発明のフィルタ濾材は、これらの装置における一般的な塵埃捕集部、回収部等に取り付けて使用することができる。また、本発明のフィルタ濾材は、カートリッジ式フィルタ濾材と使用することや、フレームに取り付けてエアフィルタユニットとして使用することも好ましい。
本発明のフィルタ濾材の圧力損失は、例えば、100〜500Paであり、好ましくは150〜300Paである。また、その捕集効率は、例えば、97〜100%であり、好ましくは98〜100%である。なお、前記捕集効率は、JIS Z 8901に従い、試験用ダストの13種であるジオクチルフタレートエアロゾルを用いて測定し、0.3〜0.5μmの粒子の捕集効率を求めた。
つぎに、本発明の実施例について、比較例と併せて説明する。
PTFE多孔質膜、通気性熱融着部材(高軟化点層、低軟化点層)および通気性支持体をこの順序で配置した。なお、通気性熱融着部材は、高軟化点層がPTFE多孔質膜側に位置するように配置した。そして、この積層体を190℃に加熱した加熱ロールを用いて加圧ラミネート(加圧条件0.5MPa)することによって、目的のフィルタ濾材を作製した(厚み300μm)。なお、加熱処理はPTFE多孔質膜側から行った。前記PTFE多孔質膜は、日東電工社製の厚み10μm、平均孔径1.5μmのものを使用し、高軟化点層としては商品名モイスターM16(大紀商事社製、PET系不織布、厚み0.08mm、目付け量16g/m2、通気性400cm3/cm2/sec、DSCピーク温度185℃)、低軟化点層としては商品名シャンファインPM010JF(東洋紡績社製、メルトブロー法によるPP系不織布、厚み0.09mm、目付け量10g/m2、通気性45cm3/cm2/sec、DSCピーク温度162℃)、通気性支持体としては商品名アクスターG2260-1S(東レ社製、エンボス加工、厚み0.6mm、目付け量260g/m2、通気性12 cm3/cm2/sec)をそれぞれ使用した。なお、高軟化点層と低軟化点層の軟化点の差は、23℃である。
通気性熱融着部材として、DSCピーク温度220℃のPET系不織布(高軟化点層)とDSCピーク温度195℃のPET系不織布(低軟化点層)とを貼り合せた一体化物(商品名ミライフTLY0505E、日石プラスト社製、厚み0.05mm、目付け量10g/m2、通気性400 cm3/cm2/sec)を使用し、PTFE多孔質膜、前記通気性熱融着部材、および通気性支持体をこの順序で積層し、これらを230℃で加圧ラミネートした以外は、前記実施例1と同様にして目的の濾材フィルタを作製した(厚み250μm)。なお、前記通気性熱融着部材は、DSCピーク温度220℃のPET系不織布(高軟化点層)がPTFE多孔質膜側に位置するように配置した。なお、高軟化点層と低軟化点層の軟化点の差は、25℃である。
通気性支持体としてエンボス加工されていない商品名ボランス4141P(東洋紡社製、厚み1.0mm、目付け量140g/m2、通気性220 cm3/cm2/sec)を使用した以外は、前記実施例2と同様にして目的のフィルタ濾材を作製した(厚み220μm)。なお、高軟化点層と低軟化点層の軟化点の差は、25℃である。
(比較例1)
2層の通気性熱融着部材に代えて、一層の商品名エクーレ3151A(東洋紡績社製、PET系不織布、厚み0.13mm、目付け量15g/m2、通気性400cm3/cm2/sec、DSCピーク温度252℃)のみを使用し、210℃で加圧ラミネートを行った以外は、前記実施例1と同様にしてフィルタ濾材を作製した(厚み240μm)。
(比較例2)
実施例1における通気性熱融着部材を、その高軟化点層が通気性支持体側に位置するように配置した以外は、前記実施例1と同様にして、フィルタ濾材を作製した。
実施例1〜3、比較例1および比較例2のフィルタ濾材について、以下の方法により通気性、接着性を確認した。
(接着性の目視試験)
図2に示すように、各フィルタ濾材について接着性試験(目視)を行った。図2は、接着性試験の概略を示す断面図であり、図1と同一箇所には同一符号を付している。試験用具として、図2に示すような、ステンレス製の管部とテーパー部と筒状部とからなる漏斗形状の下基材211と、上部に円形の開口部を有する上基材212とからなる用具を使用した。この下基材211の内部側面に設けられた凸部上に、シリコンもしくはクロロプレン製の市販O‐リングを介して、円形(直径4.7cm)に切断したフィルタ濾材を配置した。この際、通気性支持体13が下側となるようにフィルタ濾材1を配置した。そして、前記濾材のPTFE多孔質膜側にさらにシリコンもしくはクロロプレン製のO‐リングを介して、上基材212を配置した。
そして、試験用具の下基材211の管部から矢印方向に向かって、空気により10秒間加圧(圧力0.7MPa)を行い、5秒放置した後に、さらに同様に加圧を行い、合計5回この操作を繰り返した。そして、加圧処理後のフィルタ濾材について、クラックの有無、通気性支持体13と低軟化点層122との剥離、または、高軟化点層121と低軟化点層122の剥離の有無を確認した。
なお、フィルタ濾材の通気性は、JIS K 1096に記載のフラジール法に従って行った。
(接着性試験)
図3に示すように、各フィルタ濾材について180℃折り返しピーリング試験を行った。図3は、ピーリング試験の概略を示す断面図であり、図1と同一箇所には同一符号を付している。まず、フィルタ濾材1(長さ100mm、幅20mm)を、PTFE多孔質膜11が上になるように水平な台の上に置き固定した。そして、図3の断面図に示すように、長さ20cm、幅2cm、厚み170μmの接着テープ3(商品名No.500:日東電工社製)を、前記フィルタ濾材1の長手方向における中央側から一方の端部に向かって貼り付けた後(貼り付けた部分の長さ6cm)、前記フィルタ濾材1の前記端部で、前記接着テープ3を180°折り返し、前記フィルタ濾材1に接着していない前記接着テープ3の端部を、図2の矢印方向に引張速度300mm/minで引っ張った。そして、テープを20mm引っ張るのに必要な平均の力を測定した。なお、接着テープを引っ張ることによって、実施例1〜4は、高軟化点層121と低軟化点層122との間、比較例1と比較例2は、不織布122と通気性支持体13との間において、それぞれ剥離が生じた。
(表1)
接着性 通気性
目視 (N/20mm) (cm 3 /cm 2 /sec)
実施例1 剥離無し 9.1 2.4
実施例2 剥離無し 6.3 3.3
実施例3 剥離無し 10.3 4.5
実施例4 剥離無し 3.2 3.1
比較例1 剥離 0.6 3.1
比較例2 剥離 1.2 0.3
表1に示すように、実施例1〜4のフィルタ濾材によれば、低軟化点層を使用していない比較例1および2に比べて、図2の測定用具を用いた試験によっても高軟化点層と低軟化点層との間で剥離やクラックの発生は見られず、また、前記両者の接着力も極めて高かった。また、実施例1〜4は、通気性にも優れていた。これに対して、比較例1および2は、剥離が生じ、接着力も劣っていた。
本発明の製造方法によれば、通気性に優れ、かつ、PTFE多孔質膜と通気性支持材との接着性にも優れるフィルタ濾材を製造できる。このため、フィルタ濾材の使用時や、プリーツ形状に加工した場合であっても、PTFE多孔質膜のクラックが生じたり、剥離等の問題がなく、優れた捕集効率を保つことができる。
本発明の製造方法における各部材の積層状態の一例を示す断面図である。 本発明の実施例に使用した試験用具の概略を示す断面図である。 本発明の実施例におけるピーリング試験の形態を示す断面図である。
符号の説明
1 積層体
11 PTFE多孔質膜
121 高軟化点層
122 低軟化点層
13 通気性支持材

Claims (9)

  1. ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)多孔質膜、通気性熱融着部材および通気性支持材をこの順序で積層し、前記PTFE多孔質膜もしくは通気性支持材のいずれか一方の表面から加熱処理を施して、前記通気性熱融着部材を熱溶融させることにより前記PTFE多孔質膜と通気性支持材とを一体化するフィルタ濾材の製造方法であって、
    前記通気性熱融着部材が、軟化点が異なる2層の通気性熱融着部材であり、
    前記積層体の加熱処理側に、軟化点の高い層が位置するように熱融着部材を配置することを特徴とするフィルタ濾材の製造方法。
  2. 前記軟化点の高い層がPTFE多孔質膜側に位置するように前記熱融着部材を配置し、前記PTFE多孔質膜側から加熱処理を施す請求項1記載の製造方法。
  3. 2層の通気性熱融着部材の軟化点の差が、5℃以上である請求項1または2記載の製造方法。
  4. 2層の通気性熱融着部材の軟化点の差が、5〜60℃である請求項3記載の製造方法。
  5. 2層の通気性熱融着部材のフラジール通気度が、それぞれ50cm3/cm2/sec以上である請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
  6. PTFE多孔質膜のフラジール通気度が、4cm3/cm2/sec以上である請求項1〜5のいずれか一項に記載の製造方法。
  7. 通気性熱融着部材が、不織布である請求項1〜6のいずれか一項に記載の製造方法。
  8. 加圧条件下で加熱処理を行う請求項1〜7のいずれか一項に記載の製造方法。
  9. 前記PTFE多孔質膜と通気性支持材とを一体化させた後に、さらにプリーツ加工を施す請求項1〜8のいずれか一項に記載の製造方法。

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