JP2010142141A - パーティクルガン法により細胞へ導入された生体関連物質の解析方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】パーティクルガン法により細胞へ導入された生体関連物質の解析方法であって、生体関連物質を固定化した蛍光体粒子を用い、細胞へ導入された生体関連物質の導入量の定量的測定及び当該生体関連物質が導入された細胞の効率的な選択を可能とする解析方法を提供する。
【解決手段】パーティクルガン法により細胞へ導入された生体関連物質の解析方法であって、当該生体関連物質を固定化した蛍光体粒子を用い、その蛍光体粒子が発する蛍光を検出することで細胞への当該生体関連物質の導入量を測定することを特徴とする細胞へ導入された生体関連物質の解析方法。
【選択図】なし
【解決手段】パーティクルガン法により細胞へ導入された生体関連物質の解析方法であって、当該生体関連物質を固定化した蛍光体粒子を用い、その蛍光体粒子が発する蛍光を検出することで細胞への当該生体関連物質の導入量を測定することを特徴とする細胞へ導入された生体関連物質の解析方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、パーティクルガン法により細胞へ導入された生体関連物質の解析方法に関する。詳しくは、パーティクルガン法において、生体関連物質を固定化した蛍光体粒子を用い、その蛍光体粒子が発する蛍光を検出する手法を併用した生体関連物質の解析方法に関する。
パーティクルガン法は、遺伝子を塗布した金属粒子をガス圧によって加速し、細胞膜及び細胞壁を貫通させて細胞内に無作為に打ち込む方法である。パーティクルガン法による最初の形質転換耐作出の報告は1988年のMcCabeらによるものである(非特許文献1参照)。また、J.C. Sanfordらによる特許文献1には遺伝子を微粒子担体に付着させ、高速で細胞内に導入し、その機能を発現させる方法(パーティクルガン法)が記載されており、ここでは、微粒子の持つ衝突エネルギーを大きくするために、主に金やタングステンを用いている。この特許文献1において、実施例で具体的に用いているのは直径4μmのタングステン微粒子であり、発明の詳細な説明中には、微粒子の粒径について約10nmないし数μmと記載され、高密度(約10〜20g/cm3)のフェライトクリスタル、金、タングステン、その他の金属粒子、低密度(1〜2g/cm3)のガラス、ポリスチレン、ラテックスビーズが記載されている。
パーティクルガン法による遺伝子導入の特徴は、無作為に遺伝子を細胞に打ち込むため細胞個々で遺伝子導入に差異が生じるが、操作が簡便で、大量の細胞を処理できる点にある。個々の細胞で遺伝子導入に差異が生じる問題に対して、特許文献2には、パーティクルガンを用いた遺伝子導入に担体として磁性粒子を用いて遺伝子導入がなされた細胞を選抜する技術が開示されている。しかしながら、この方法は磁性の有無で細胞を評価するため、定量的な解析や複数項目の解析ができないという問題ある。
一方、特許文献3には、パーティクルガン法を用いず、一つ一つの細胞に針を刺して目的の物質を細胞に導入する方法が開示されている。しかしながら、この方法では、大量の細胞を処理できない点が問題として挙げられる。
米国特許第5,100,792号明細書
特開平6−133784号公報
特開2006−166884号公報
McCabe,D.E.et al.1988 Bio/Technol.6:923−926
本発明は、上記・問題状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、パーティクルガン法により細胞へ導入された生体関連物質の解析方法であって、生体関連物質を固定化した蛍光体粒子を用い、細胞へ導入された生体関連物質の導入量の定量的測定及び当該生体関連物質が導入された細胞の効率的な選択を可能とする解析方法を提供することである。
本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.パーティクルガン法により細胞へ導入された生体関連物質の解析方法であって、当該生体関連物質を固定化した蛍光体粒子を用い、その蛍光体粒子が発する蛍光を検出することで細胞への当該生体関連物質の導入量を測定することを特徴とする細胞へ導入された生体関連物質の解析方法。
2.パーティクルガン法により細胞へ導入された生体関連物質の解析方法であって、当該生体関連物質を固定化した蛍光体粒子を用い、その蛍光体粒子が発する蛍光を検出することで当該生体関連物質が導入された細胞を選択することを特徴とする前記1に記載の細胞へ導入された生体関連物質の解析方法。
3.前記蛍光体粒子が、非磁性粒子であることを特徴とする前記1または前記2に記載の細胞へ導入された生体関連物質の解析方法。
4.前記蛍光体粒子が、半導体ナノ粒子であることを特徴とする前記1から前記3のいずれか一項に記載の細胞へ導入された生体関連物質の解析方法。
5.前記半導体ナノ粒子が、シリコンを主成分とする半導体ナノ粒子であることを特徴とする前記1から前記4のいずれか一項に記載の細胞へ導入された生体関連物質の解析方法。
6.セルソーターを用いることを特徴とする前記1から前記5のいずれか一項に記載の細胞へ導入された生体関連物質の解析方法。
本発明の上記手段により、パーティクルガン法により細胞へ導入された生体関連物質の解析方法であって、生体関連物質を固定化した蛍光体粒子を用い、細胞へ導入された生体関連物質の導入量の定量的測定及び当該生体関連物質が導入された細胞の効率的な選択を可能とする解析方法を提供することができる。
すなわち、蛍光体粒子を担体として用い細胞内に生体関連物質を導入し、その細胞を蛍光体粒子の蛍光量を指標にセルソーターを用いて解析することで、定量的な生体関連物質の測定・評価を実現し、これまでパーティクルガン法では困難であった、定量的な被導入生体関連物質と細胞内生理機能との関係解析研究と評価を可能とした。また、この定量的な評価に基づいて細胞を選択することを実現することで、パーティクルガン法を用いた組み換え体の作出において、その選抜の効率を改善することができる。
本発明の「細胞へ導入された生体関連物質の解析方法」は、パーティクルガン法により細胞へ導入された生体関連物質の解析方法であって、当該生体関連物質を固定化した蛍光体粒子を用い、その蛍光体粒子が発する蛍光を検出することで細胞への当該生体関連物質の導入量を測定することを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項6に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、パーティクルガン法により細胞へ導入された生体関連物質の解析方法であって、当該生体関連物質を固定化した蛍光体粒子を用い、その蛍光体粒子が発する蛍光を検出することで当該生体関連物質が導入された細胞を選択する態様の解析方法であることも好ましい。
また、本発明においては、前記蛍光体粒子が、非磁性粒子であることが好ましい。更に、当該蛍光体粒子が、半導体ナノ粒子であることが好ましい。この場合、当該半導体ナノ粒子が、シリコンを主成分とする半導体ナノ粒子であることが好ましい。
本発明の解析方法においては、セルソーターを用いる態様であることが好ましい。なおここで、「セルソーター」とは、フローサイトメーターの1種であり、非常に細い水流中においてモノクローナル抗体などの免疫蛍光法により染色(標識)した細胞やDNAまたはRNAを蛍光染色(標識)した細胞、染色体、微生物などにレーザー光を照射し、発生する前方散乱光や側方散乱光および4種類の蛍光を同時に測定し、目的の細胞集団の情報を自動的かつハイスループットに解析するとともに、その情報をもとに特定の細胞を生きたまま回収することができる装置をいう。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための最良の形態・態様について詳細な説明をする。
(蛍光体粒子)
本発明の細胞へ導入された生体関連物質の解析方法においては、生体関連物質を固定化した蛍光体粒子を用いることを特徴とする。
本発明の細胞へ導入された生体関連物質の解析方法においては、生体関連物質を固定化した蛍光体粒子を用いることを特徴とする。
本発明に係る蛍光体粒子の材料としては、公知の種々の蛍光発光性化合物及びその原料を用いることができる。例えば、後述する半導体材料のほかに、エルビウム(Er)、ホロミウム(Ho)、プラセオジウム(Pr)、ツリウム(Tm)、ネオジウム(Nd)、ガドリニウム(Gd)、ユウロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)、サマリウム(Sm)およびセリウム(Ce)等の希土類元素及びこれらを含有するハロゲン化合物等を用いることができる。
本発明においては、蛍光体粒子としては、特に下記の半導体ナノ粒子を用いることが好ましい。
〈半導体ナノ粒子〉
本発明に係る半導体ナノ粒子の材料としては、公知の種々の蛍光発光性化合物及びその原料を用いることができる。例えば、従来、半導体ナノ粒子の材料として知られている種々の半導体材料を用いて形成することができる。具体的には、例えば、元素の周期表のIV族、II−VI族、及びIII−V族の半導体化合物及びこれらの化合物を構成する元素を含む原料化合物を用いることができる。
本発明に係る半導体ナノ粒子の材料としては、公知の種々の蛍光発光性化合物及びその原料を用いることができる。例えば、従来、半導体ナノ粒子の材料として知られている種々の半導体材料を用いて形成することができる。具体的には、例えば、元素の周期表のIV族、II−VI族、及びIII−V族の半導体化合物及びこれらの化合物を構成する元素を含む原料化合物を用いることができる。
II−VI族の半導体の中では、特に、MgS、MgSe、MgSe、MgTe、CaS、CaSe、CaTe、SrS、SrSe、SrTe、BaS、BaSe、BaTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、HgS、HgSe及びHgTeを挙げることができる。
III−V族の半導体の中では、GaAs、GaN、GaPGaSb、InGaAs、InP、InN、InSb、InAs、AlAs、AlP、AlSb及びAlSを挙げることができる。
IV族の半導体の中では、Ge及びSiは特に適している。
上記の各種半導体材料のうち、安全性を満たす組成という観点から、特に、Si、Ge、InN、InPが好ましい材料として挙げられるが、これらのうちで、本発明に係る半導体ナノ粒子を構成する主成分原子としては、シリコン(Si)及びゲルマニウム(Ge)が好ましい。特にシリコン(Si)が好ましい。
なお、本願において、「半導体ナノ粒子を構成する主成分原子」とは、当該半導体ナノ粒子を構成する原子のうち含有比率が最大である原子をいう。
なお、本発明においては、半導体ナノ粒子をコア/シェル構造を有する粒子にすることが好ましい。この場合、半導体ナノ粒子は半導体微粒子からなるコア粒子と当該コア粒子を被覆するシェルとで構成されるコア/シェル構造を有する半導体ナノ微粒子であって、当該コア粒子とシェルの化学組成が相異するものであることが好ましい。これにより、シェルのバンドギャップは、コアより高くすることが好ましい。
シェルはコア粒子の表面欠陥を安定化し輝度を向上させるために必要であるし、表面修飾剤が吸着・結合しやすい面を形成するためにも重要となる。本発明の効果にとっても検出感度の精度を向上するうえで重要な構成である。
以下、コア粒子とシェルについて説明する。
〈コア粒子〉
コア粒子に用いられる半導体材料としては、種々の半導体材料を用いることができる。具体例としては、例えば、MgS、MgSe、MgTe、CaS、CaSe、CaTe、SrS、SrSe、SrTe、BaS、BaTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、GaAs、GaP、GaSb、InGaAs、InP、InN、InSb、InAs、AlAs、AlP、AlSb、AlS、PbS、PbSe、Ge、Si、又はこれらの混合物等が挙げられる。本発明において、特に好ましい半導体材料は、Siである。
コア粒子に用いられる半導体材料としては、種々の半導体材料を用いることができる。具体例としては、例えば、MgS、MgSe、MgTe、CaS、CaSe、CaTe、SrS、SrSe、SrTe、BaS、BaTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、GaAs、GaP、GaSb、InGaAs、InP、InN、InSb、InAs、AlAs、AlP、AlSb、AlS、PbS、PbSe、Ge、Si、又はこれらの混合物等が挙げられる。本発明において、特に好ましい半導体材料は、Siである。
〈シェル〉
シェルに用いられる半導体材料としては、種々の半導体材料を用いることができる。具体例としては、例えば、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdO、CdS、CdSe、CdTe、MgS、MgSe、GaS、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InAs、InN、InP、InSb、AlAs、AlN、AlP、AlSb、又はこれらの混合物等が挙げられる。
シェルに用いられる半導体材料としては、種々の半導体材料を用いることができる。具体例としては、例えば、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdO、CdS、CdSe、CdTe、MgS、MgSe、GaS、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InAs、InN、InP、InSb、AlAs、AlN、AlP、AlSb、又はこれらの混合物等が挙げられる。
本発明において、好ましい半導体材料は、SiO2、GeO2、及びZnSである。特に好ましい半導体材料は、SiO2である。
なお、本発明に係るシェルは、コア粒子が部分的に露出して弊害を生じない限り、コア粒子の全表面を完全に被覆するものでなくてもよい。
〈ドーパント〉
本発明に係る半導体ナノ粒子は、それを構成する主要成分原子と等価の価電子配置をもつ異種原子もしくは当該異種原子の原子対をドーパントとして含有し、かつ当該ドーパントが半導体ナノ粒子表面又はその近傍に均一に分布していることが好ましい。
本発明に係る半導体ナノ粒子は、それを構成する主要成分原子と等価の価電子配置をもつ異種原子もしくは当該異種原子の原子対をドーパントとして含有し、かつ当該ドーパントが半導体ナノ粒子表面又はその近傍に均一に分布していることが好ましい。
なお、「価電子」とは、原子を構成する電子殻(K殻、L殻、M殻・・・)の最外殻に保有される電子のことをいう。従って、半導体ナノ粒子構成する主要成分原子をシリコン(Si)とした場合は、その価電子は4電子を最外殻に配置しているため、等価の価電子配置をとる原子もしくは原子対はBe−Be(Be対)、Mg−Mg(Mg対)、Geなどが挙げられる。
本発明に係る半導体ナノ粒子構成する主要成分原子をシリコン(Si)又はゲルマニウム(Ge)にした場合、ドーパントとして、特にBe−Beが好ましい。
なお、本発明において、ドーパントの含有位置としては、半導体ナノ粒子の表面又はその近傍であることを要する。ここで、「表面の近傍」とは、半導体ナノ粒子の表面から半径の30%の範囲以内、特に好ましくは15%の範囲以内である。
本発明に係るドーパントの分布状態は、X線光電子分光分析法(XPS/ESCA;XPS:X−ray Photoelectron Spectroscopy/ESCA:Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)により観察・測定することができる。なお、X線光電子分光分析法は、単色の光(X線)照射で飛び出す電子の運動エネルギーを測定することにより、固体表面及びその近傍の状態(例えば元素の組成)を調べる方法である。
〈半導体ナノ粒子の粒径〉
本発明に係る半導体ナノ粒子のうち、電子の波長(10nm程度)より小さい粒子径を有するナノサイズの粒子は、量子サイズ効果として電子の運動に対するサイズ有限性の影響が大きくなってくるために、バルク体とは異なる特異な物性を示すことが知られている。一般に、ナノ・メートルサイズの半導体物質で量子閉じ込め(quantum confinement)効果を示す半導体ナノ粒子は、「量子ドット」とも称されている。このような蛍光体粒子は、半導体原子が数百個から数千個集まった10数nm程度以内の小さな塊であるが、励起源から光を吸収してエネルギー励起状態に達すると、蛍光体粒子のエネルギーバンドギャップに相当するエネルギーを放出する。したがって、蛍光体粒子の大きさまたは物質組成を調節すると、エネルギーバンドギャップを調節することができて様々な水準の波長帯のエネルギーを利用することができる。また、蛍光体粒子、すなわち半導体ナノ粒子は、同一組成で、粒径を変化させることで、発光波長をコントロールできるという特徴をもつ。
本発明に係る半導体ナノ粒子のうち、電子の波長(10nm程度)より小さい粒子径を有するナノサイズの粒子は、量子サイズ効果として電子の運動に対するサイズ有限性の影響が大きくなってくるために、バルク体とは異なる特異な物性を示すことが知られている。一般に、ナノ・メートルサイズの半導体物質で量子閉じ込め(quantum confinement)効果を示す半導体ナノ粒子は、「量子ドット」とも称されている。このような蛍光体粒子は、半導体原子が数百個から数千個集まった10数nm程度以内の小さな塊であるが、励起源から光を吸収してエネルギー励起状態に達すると、蛍光体粒子のエネルギーバンドギャップに相当するエネルギーを放出する。したがって、蛍光体粒子の大きさまたは物質組成を調節すると、エネルギーバンドギャップを調節することができて様々な水準の波長帯のエネルギーを利用することができる。また、蛍光体粒子、すなわち半導体ナノ粒子は、同一組成で、粒径を変化させることで、発光波長をコントロールできるという特徴をもつ。
本発明に係る蛍光体粒子(半導体ナノ粒子)は、波長350〜1100nmの範囲に蛍光発光するものであることが好ましいが、生体細胞自らがもつ発光の影響をなくしSN比を向上するため、近赤外乃至赤外領域の波長領域において蛍光発光する、すなわち赤外発光するように、コアの平均粒径を調整することが好ましい。このため、本発明に係るコアの平均粒径に関しては、1〜10nmであることが好ましい。更に、好ましくは4〜6nmである。
なお、本発明において、半導体ナノ粒子の平均粒径は本来3次元で求める必要があるが、微粒子過ぎるため難しく、現実には二次元画像で評価せざるを得ないため、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて電子顕微鏡写真の撮影シーンを変えて500個撮影し平均化することで求める。なお、粒径は電子顕微鏡で観察される個々の粒子像と等しい面積を有する円の直径を表す。
(半導体ナノ粒子の製造方法)
本発明に係る半導体ナノ粒子の製造方法としては、従来公知の液相法又は気相法による製造方法を用いることができる。
本発明に係る半導体ナノ粒子の製造方法としては、従来公知の液相法又は気相法による製造方法を用いることができる。
液相法の製造方法としては、沈殿法、共沈法、ゾル−ゲル法、均一沈殿法、還元法などがある。そのほかに、逆ミセル法、超臨界水熱合成法、などもナノ粒子を作製する上で優れた方法である(例えば、特開2002−322468号、特開2005−239775号、特開平10−310770号、特開2000−104058号公報等を参照)。
なお、液相法により、半導体ナノ粒子を製造する場合においては、当該半導体の前駆体を還元反応により還元する工程を有する製造方法であることが好ましい。また、当該半導体前駆体の反応を界面活性剤の存在下で行う工程を有する態様が好ましい。なお、本発明に係る半導体前駆体は、上記の半導体材料として用いられる元素を含む化合物であり、たとえば半導体がシリコン(Si)の場合、半導体前駆体としてはSiCl4などが挙げられる。その他半導体前駆体としては、InCl3、P(SiMe3)3、ZnMe2、CdMe2、GeCl4、トリブチルホスフィンセレンなどが挙げられる。
反応前駆体の反応温度としては、半導体前駆体の沸点以上かつ溶媒の沸点以下であれば、特に制限はないが、70〜110℃の範囲が好ましい。
〈還元剤〉
半導体前駆体を還元する還元剤としては、従来周知の種々の還元剤を反応条件に応じて選択し用いることができる。本発明においては、還元力の強さの観点から、水素化アルミニウムリチウム(LiAlH4)、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)、水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム、水素化トリ(sec−ブチル)ホウ素リチウム(LiBH(sec−C4H9)3)及び水素化トリ(sec−ブチル)ホウ素カリウム、水素化トリエチルホウ素リチウムなどの還元剤が好ましい。特に、還元力の強さから水素化アルミニウムリチウム(LiAlH4)が好ましい。
半導体前駆体を還元する還元剤としては、従来周知の種々の還元剤を反応条件に応じて選択し用いることができる。本発明においては、還元力の強さの観点から、水素化アルミニウムリチウム(LiAlH4)、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)、水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム、水素化トリ(sec−ブチル)ホウ素リチウム(LiBH(sec−C4H9)3)及び水素化トリ(sec−ブチル)ホウ素カリウム、水素化トリエチルホウ素リチウムなどの還元剤が好ましい。特に、還元力の強さから水素化アルミニウムリチウム(LiAlH4)が好ましい。
〈溶媒〉
半導体前駆体の分散用溶媒としては、従来周知の種々の溶媒を使用できるが、エチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等のアルコール類、トルエン、デカン、ヘキサンなどの炭化水素類溶媒を使用することが好ましい。本発明においては、特に、トルエン等の疎水性の溶媒が分散用溶媒として好ましい。
半導体前駆体の分散用溶媒としては、従来周知の種々の溶媒を使用できるが、エチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等のアルコール類、トルエン、デカン、ヘキサンなどの炭化水素類溶媒を使用することが好ましい。本発明においては、特に、トルエン等の疎水性の溶媒が分散用溶媒として好ましい。
〈界面活性剤〉
界面活性剤としては、従来周知の種々の界面活性剤を使用でき、陰イオン、非イオン、陽イオン、両性界面活性剤が含まれる。なかでも第四級アンモニウム塩系である、テトラブチルアンモニウムクロリド、ブロミド又はヘキサフルオロホスフェート、テトラオクチルアンモニウムブロミド(TOAB)、またはトリブチルヘキサデシルホスホニウムブロミドが好ましい。特に、テトラオクチルアンモニウムブロミドが好ましい。
界面活性剤としては、従来周知の種々の界面活性剤を使用でき、陰イオン、非イオン、陽イオン、両性界面活性剤が含まれる。なかでも第四級アンモニウム塩系である、テトラブチルアンモニウムクロリド、ブロミド又はヘキサフルオロホスフェート、テトラオクチルアンモニウムブロミド(TOAB)、またはトリブチルヘキサデシルホスホニウムブロミドが好ましい。特に、テトラオクチルアンモニウムブロミドが好ましい。
なお、液相法による反応は、液中の溶媒を含む化合物の状態により大きく変化する。単分散性の優れたナノサイズの粒子を製造する際には、特に注意を要する必要がある。例えば、逆ミセル反応法では、界面活性剤の濃度や種類により、反応場となる逆ミセルの大きさや状態が変わってくるため、ナノ粒子が形成される条件が限られてしまう。したがって、適切な界面活性剤は溶媒との組み合わせが必要となる。
気相法の製造方法としては、(1)対向する原料半導体を電極間で発生させた第一の高温プラズマによって蒸発させ、減圧雰囲気中において無電極放電で発生させた第二の高温プラズマ中に通過させる方法(例えば特開平6−279015号公報参照)、(2)電気化学的エッチングによって、原料半導体からなる陽極からナノ粒子を分離・除去する方法(例えば特表2003−515459号公報参照)、(3)レーザーアブレーション法(例えば特開2004−356163号公報参照)、(4)高速スパッタリング法(例えば特開2004−296781号公報参照)などが用いられる。また、原料ガスを低圧状態で気相反応させて、粒子を含む粉末を合成する方法も、好ましく用いられる。
(生体関連物質)
本発明に係る蛍光体粒子に固定化させられる生体関連物質としては、動物、植物、原生動物、微生物等の生理活性物質、細胞内器官、生物微粒子等が挙げられ、例えば、遺伝子、酵素、抗体、蛋白質、フェロモン、アロモン、ミトコンドリア、ウィルス等が挙げられる。遺伝子を固定化して細胞に遺伝子を導入するための複合微粒子としての使用が好ましい。
本発明に係る蛍光体粒子に固定化させられる生体関連物質としては、動物、植物、原生動物、微生物等の生理活性物質、細胞内器官、生物微粒子等が挙げられ、例えば、遺伝子、酵素、抗体、蛋白質、フェロモン、アロモン、ミトコンドリア、ウィルス等が挙げられる。遺伝子を固定化して細胞に遺伝子を導入するための複合微粒子としての使用が好ましい。
なお、導入する遺伝子としては、細胞に影響を与える生理活性を持つ遺伝子配列であれば特に限定されず、例えば、生理活性ペプチド、生理活性たんぱく質、受容体、チャンネル、トランスポーター、酵素やsiRNA、mcRNAをコードする配列、またこれらの複合体を含む。
(蛍光標識剤)
本発明に係る蛍光体粒子(半導体ナノ粒子)は、その表面に適当な表面修飾化合物を配置することにより標的(ターゲット)物質を蛍光標識するための蛍光標識剤として適用できる。特に、当該粒子表面に生体に親和性を有する、もしくは、接合できる表面修飾化合物を配置し、タンパク質やペプチドなどの標的物質を蛍光標識するための生体分子蛍光標識剤(生体関連物質蛍光標識剤)とすることに適している。
本発明に係る蛍光体粒子(半導体ナノ粒子)は、その表面に適当な表面修飾化合物を配置することにより標的(ターゲット)物質を蛍光標識するための蛍光標識剤として適用できる。特に、当該粒子表面に生体に親和性を有する、もしくは、接合できる表面修飾化合物を配置し、タンパク質やペプチドなどの標的物質を蛍光標識するための生体分子蛍光標識剤(生体関連物質蛍光標識剤)とすることに適している。
なお、生体分子蛍光標識剤(生体関連物質蛍光標識剤)とする場合、近赤外〜赤外励起で赤外発光する特性を有するように半導体ナノ粒子の発光特性を粒径等により調整することが生体分子に対する非侵襲性、生体組織の透過性等の観点から好ましい。
本発明においては、表面修飾化合物としては、少なくとも1つの官能基と少なくとも1つの半導体ナノ粒子に結合する基を有する化合物であることが好ましい。後者は疎水性の半導体ナノ粒子に吸着できる基であり、他方は生体関連物質に親和性があり生体分子に結合する官能基である。互いの表面修飾化合物は互いをつなぐ各種のリンカーを使用してもよい。
例えば、半導体ナノ粒子に結合する基としては、当該半導体ナノ粒子を形成するための半導体材料に結合する官能基であれば良い。本発明においては、当該官能基として、特にメルカプト基(チオール基)が好ましい。
生体関連物質に親和的に結合する官能基としては、カルボキシル基、アミノ基、フォスフォン酸基、スルフォン酸基などが挙げられる。
また、半導体ナノ粒子に結合させる方法としては、表面修飾に適するpHに調整することによりメルカプト基を粒子に結合させることができる。それぞれ他端にはアルデヒド基、アミノ基、カルボキシル基が導入され、生体のアミノ基、カルボキシル基とペプチド結合することができる。また、DNA、オリゴヌクレオチドなどにアミノ基、アルデヒド基、カルボキシル基を導入しても同様に結合させることができる。
本発明に係る半導体ナノ粒子を用いて生体分子蛍光標識剤(生体関連物質蛍光標識剤)を作製する具体的方法としては、例えば、親水化処理された半導体ナノ粒子を、有機分子を介して分子標識物質と結合させる方法を挙げることができる。この方法により作製された生体分子蛍光標識剤(生体関連物質蛍光標識剤)において、分子標識物質は、標的とする生体関連物質と特異的に結合及び/又は反応することにより、生体関連物質の蛍光標識が可能となる。
当該分子標識物質としては例えば、ヌクレオチド鎖、抗体、抗原およびシクロデキストリン等が挙げられる。
また、有機分子としては半導体ナノ粒子と分子標識物質とを結合できる有機分子であれば特に制限はないが、例えば、タンパク質中でも、アルブミン、ミオグロビンおよびカゼイン等、またタンパク質の一種であるアビジンをビオチンと共に用いることも好適に用いられる。上記結合の態様としては特に限定されず、共有結合、イオン結合、水素結合、配位結合、物理吸着および化学吸着等が挙げられる。結合の安定性から共有結合などの結合力の強い結合が好ましい。
具体的には、半導体ナノ粒子をメルカプトウンデカン酸で親水化処理した場合は、有機分子としてアビジンおよびビオチンを用いることができる。この場合親水化処理された当該ナノ粒子のカルボキシル基はアビジンと好適に共有結合し、アビジンがさらにビオチンと選択的に結合し、ビオチンがさらに分子標識物質と結合することにより生体分子蛍光標識剤(生体関連物質蛍光標識剤)となる。
〔半導体ナノ粒子の親水化処理〕
上述した半導体ナノ粒子表面は、一般的には、疎水性であるため、例えば生体分子標識試薬として使用する場合は、このままでは水分散性が悪く、粒子が凝集してしまう等の問題があるため、半導体ナノ粒子の表面を親水化処理することが好ましい。
上述した半導体ナノ粒子表面は、一般的には、疎水性であるため、例えば生体分子標識試薬として使用する場合は、このままでは水分散性が悪く、粒子が凝集してしまう等の問題があるため、半導体ナノ粒子の表面を親水化処理することが好ましい。
親水化処理の方法としては、例えば、表面の親油性基をピリジン等で除去した後に粒子表面に表面修飾剤を化学的および/または物理的に結合させる方法がある。表面修飾剤としては、親水基として、カルボキシル基・アミノ基を持つものが好ましく用いられ、具体的にはメルカプトプロピオン酸、メルカプトウンデカン酸、アミノプロパンチオールなどがあげられる。具体的には、例えば、Ge/GeO2型ナノ粒子10−5gをメルカプトウンデカン酸0.2gが溶解した純水10ml中に分散させて、40℃、10分間攪拌し、シェルの表面を処理することで半導体ナノ粒子の表面をカルボキシル基で修飾することができる。
なお、半導体ナノ粒子の表面修飾のための具体的調製は、例えば、Dabbousi等(1997)J.Phys.Chem.B101:9463、Hinesら(1996)J.Phys.Chem.100:468−471、Peng等(1997)J.Am.Chem.Soc.119:7019−7029、及びKuno等(1997)J.Phys.Chem.106:9869に記載されている方法に準拠して行うことができる。
(細胞の分離回収)
本発明では蛍光体粒子を用いて遺伝子が導入された細胞を蛍光体粒子の発する蛍光を検出することで、細胞を分離回収するものである。このような蛍光を指標にした細胞の分離回収は公知の任意の手段及び装置を使用して行うことができる。例えばセルソーターにより蛍光を検出し細胞を分離回収することができ、このような装置は市販されている。
本発明では蛍光体粒子を用いて遺伝子が導入された細胞を蛍光体粒子の発する蛍光を検出することで、細胞を分離回収するものである。このような蛍光を指標にした細胞の分離回収は公知の任意の手段及び装置を使用して行うことができる。例えばセルソーターにより蛍光を検出し細胞を分離回収することができ、このような装置は市販されている。
以下に実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの態様に限定されるものではない。
〔実施例1〕:Si半導体ナノ粒子を用いた遺伝子導入
(Si半導体ナノ粒子の調製)
トルエン200mlにテトラオクチルアンモニウムブロマイド(TOAB)3gを溶解する。室温で攪拌しながらSiCl4を5ml滴下し、1時間後に、水素化リチウムアルミニウムをSiCl4の2倍モル滴下して還元反応させる。3時間後にメタノール40mlを添加して、余分な還元剤を失活させたのちに、アリルアミンを白金触媒とともに添加してから、ロータリーエバポレーターで溶媒を除去する。メチルホルムアミドと純水で数回洗浄し、水100mlに分散しアミノ基により終端化されたSi半導体ナノ粒子(平均粒径は6nm、発光波長700nm)を得た。
(Si半導体ナノ粒子の調製)
トルエン200mlにテトラオクチルアンモニウムブロマイド(TOAB)3gを溶解する。室温で攪拌しながらSiCl4を5ml滴下し、1時間後に、水素化リチウムアルミニウムをSiCl4の2倍モル滴下して還元反応させる。3時間後にメタノール40mlを添加して、余分な還元剤を失活させたのちに、アリルアミンを白金触媒とともに添加してから、ロータリーエバポレーターで溶媒を除去する。メチルホルムアミドと純水で数回洗浄し、水100mlに分散しアミノ基により終端化されたSi半導体ナノ粒子(平均粒径は6nm、発光波長700nm)を得た。
(細胞への遺伝子導入と選別)
上記合成のSi半導体ナノ粒子からなる蛍光体粒子にAcGFP遺伝子を含有するプラスミドpAcGFP1(クロンテック社製)をコーティングした。蛍光体粒子への遺伝子のコーティングは以下のように行った。50%グリセロールに懸濁した微粒子50μlに対して、pAcGFP1プラスミドを10μgを混合し定法を用いて行った。この混合溶液を、ボルテックス処理して暫時静置した後、遠心処理によって、溶媒を100%エタノールに置換した。コーティングを施した微粒子を用いて、培養プレート上の5×106の付着性培養細胞(RAW細胞)にパーティクルガン(バイオラッド社製)を用いて遺伝子導入を行った。遺伝子導入終了後、細胞を0.25%トリプシン処理により分離、蛍光体粒子由来の蛍光を元にセルソーター(ベックマンコールター社製)による蛍光解析と分離回収を行った。細胞に導入された蛍光体粒子由来の蛍光強度に応じて4段回のゲートを設定、それぞれ分取した。
上記合成のSi半導体ナノ粒子からなる蛍光体粒子にAcGFP遺伝子を含有するプラスミドpAcGFP1(クロンテック社製)をコーティングした。蛍光体粒子への遺伝子のコーティングは以下のように行った。50%グリセロールに懸濁した微粒子50μlに対して、pAcGFP1プラスミドを10μgを混合し定法を用いて行った。この混合溶液を、ボルテックス処理して暫時静置した後、遠心処理によって、溶媒を100%エタノールに置換した。コーティングを施した微粒子を用いて、培養プレート上の5×106の付着性培養細胞(RAW細胞)にパーティクルガン(バイオラッド社製)を用いて遺伝子導入を行った。遺伝子導入終了後、細胞を0.25%トリプシン処理により分離、蛍光体粒子由来の蛍光を元にセルソーター(ベックマンコールター社製)による蛍光解析と分離回収を行った。細胞に導入された蛍光体粒子由来の蛍光強度に応じて4段回のゲートを設定、それぞれ分取した。
(導入された遺伝子量の測定)
回収した細胞の一部はすぐにTaqmanプローブを用いたリアルタイムPCR(polymerase chain reaction:ポリメラーゼ連鎖反応)法により、導入遺伝子量の定量を行った。定量は以下の方法で行った。
回収した細胞の一部はすぐにTaqmanプローブを用いたリアルタイムPCR(polymerase chain reaction:ポリメラーゼ連鎖反応)法により、導入遺伝子量の定量を行った。定量は以下の方法で行った。
セルソーターにより分離回収を行った細胞の一部は、遠心操作による濃縮の後、プラスミド抽出キット(キアゲン社製)を用いてプラスミドを抽出、精製した。精製したプラスミドを用いてTaqmanプローブを用いたリアルタイムPCR法を行った。リアルタイムPCR法はApplied Biosystems 社製7500を使用して、GFP遺伝子に対する、プライマーとプローブ(FamとTAMRAで標識(ラベル)されている。)を用いて40サイクルまで測定した。遺伝子のコピー数は同時に測定したGFP遺伝子を含む濃度既知プラスミドから算出した。
上記測定等の結果を表1に示す。
表1に示した結果から明らかなように、Si半導体ナノ粒子由来の発光に基づいて分離した細胞に含まれる遺伝子の量は、Si半導体ナノ粒子由来の発光に応じて増加しており、本法を用いて細胞に導入された遺伝子を定量的に評価できるパーティクルガン法を提供できることが示された。表1上段はセルソーターに設けた4段階のゲート範囲、下段は各ゲートに分離された細胞から抽出した導入遺伝子コピー数をリアルタイムPCRを用いて測定した結果を示す。
〔実施例2〕:CdSe/ZnS半導体ナノ粒子を用いた遺伝子導入
インビトロジェン社から購入したCdSe/ZnS半導体ナノ粒子を用いて、細胞への遺伝子導入実験を行った。
インビトロジェン社から購入したCdSe/ZnS半導体ナノ粒子を用いて、細胞への遺伝子導入実験を行った。
細胞への遺伝子導入と選別、導入された遺伝子量の測定は実施例1と同様の方法で測定した。結果を表2に示す。
CdSe/ZnS半導体ナノ粒子を用いた遺伝子導入ではSi半導体ナノ粒子を用いた遺伝子導入と同様に、細胞に含まれる遺伝子の量は、CdSe/ZnS半導体ナノ粒子由来の発光に応じて増加することが観察された。表2上段はセルソーターに設けた4段階のゲート範囲、下段は各ゲートに分離された細胞から抽出した導入遺伝子コピー数をリアルタイムPCRを用いて測定した結果を示す。
〔実施例3〕:蛍光体粒子導入の細胞増殖への影響解析
実施例1、及び2でセルソーターにより分離回収した細胞で、遺伝子量の測定に用いなかった細胞は、10%胎児牛血清を含むDMEM培地中で6日間培養を行いその増殖率を、遺伝子導入を行わなかった細胞と比較した。細胞の増殖はMTTアッセイを用いて測定した。結果を表3に示す。表3の値は遺伝子導入を行わなかった細胞との相対値を示す。
実施例1、及び2でセルソーターにより分離回収した細胞で、遺伝子量の測定に用いなかった細胞は、10%胎児牛血清を含むDMEM培地中で6日間培養を行いその増殖率を、遺伝子導入を行わなかった細胞と比較した。細胞の増殖はMTTアッセイを用いて測定した。結果を表3に示す。表3の値は遺伝子導入を行わなかった細胞との相対値を示す。
遺伝子導入にSi半導体ナノ粒子を用いた場合とCdSe/ZnS半導体ナノ粒子を用いた場合で、その後の細胞の増殖を比較すると、Si半導体ナノ粒子を用いた場合の方が、細胞の増殖への影響が少なく、遺伝子導入実験に適していることが示された。表3上段は1粒子あたりの蛍光を10と計算した時の相対値を示す。中段はSi半導体ナノ粒子を用いて遺伝子導入を行った場合の、増殖率を遺伝子導入を行わなかった場合と比較した相対値として示した。下段はCdSe/ZnS半導体ナノ粒子を用いて遺伝子導入を行った場合の、増殖率を遺伝子導入を行わなかった場合と比較した相対値として示した。
〔比較例〕:磁性粒子を用いた遺伝子導入
市販の酸化鉄磁性粒子を特開2000−232879号公報記載の方法でAcGFP遺伝子を含有するプラスミドpAcGFP1(クロンテック社製)をコーティングした。この磁性粒子を用いて実施例1と同様の方法で遺伝子導入実験を行った。遺伝子を導入した細胞は特平6−133784号公報記載の方法により磁石で分離した。磁石吸着細胞と非吸着細胞へ導入されたAcGFP遺伝子量を、実施例1と同様の方法で測定した。結果を表4に示す。
市販の酸化鉄磁性粒子を特開2000−232879号公報記載の方法でAcGFP遺伝子を含有するプラスミドpAcGFP1(クロンテック社製)をコーティングした。この磁性粒子を用いて実施例1と同様の方法で遺伝子導入実験を行った。遺伝子を導入した細胞は特平6−133784号公報記載の方法により磁石で分離した。磁石吸着細胞と非吸着細胞へ導入されたAcGFP遺伝子量を、実施例1と同様の方法で測定した。結果を表4に示す。
磁性粒子による分離により導入遺伝子の多い細胞と少ない細胞に分離することができた。
しかしながら、本発明に係る実施例で示すように、その発光に基づいて定量的に4段階に分離することができた。一方、比較例に示す磁性粒子を用いた分離方法では磁性の有無から細胞を2段階にしか分けることができなかった。このため磁性粒子を用いた実験では細胞間でその遺伝子発現に大きなばらつきが生じ、後の実験を定量的に行うことができない。これに対し、本発明に係る実施例で示すように、細胞はその発光に基づいて定量的に4段階に分離され、遺伝子発現の分散が整った細胞群を提供することができた。
Claims (6)
- パーティクルガン法により細胞へ導入された生体関連物質の解析方法であって、当該生体関連物質を固定化した蛍光体粒子を用い、その蛍光体粒子が発する蛍光を検出することで細胞への当該生体関連物質の導入量を測定することを特徴とする細胞へ導入された生体関連物質の解析方法。
- パーティクルガン法により細胞へ導入された生体関連物質の解析方法であって、当該生体関連物質を固定化した蛍光体粒子を用い、その蛍光体粒子が発する蛍光を検出することで当該生体関連物質が導入された細胞を選択することを特徴とする請求項1に記載の細胞へ導入された生体関連物質の解析方法。
- 前記蛍光体粒子が、非磁性粒子であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の細胞へ導入された生体関連物質の解析方法。
- 前記蛍光体粒子が、半導体ナノ粒子であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の細胞へ導入された生体関連物質の解析方法。
- 前記半導体ナノ粒子が、シリコンを主成分とする半導体ナノ粒子であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の細胞へ導入された生体関連物質の解析方法。
- セルソーターを用いることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の細胞へ導入された生体関連物質の解析方法。
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JP2008320749A JP2010142141A (ja) | 2008-12-17 | 2008-12-17 | パーティクルガン法により細胞へ導入された生体関連物質の解析方法 |
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