JP2010137924A - エスカレータシステム - Google Patents
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Abstract
【課題】シンプルで耐久性の高い固定保護板に乗客等が接触したときにはエスカレータの運転を規制することによって、安全性を向上させることが可能なエスカレータシステムを提供することである。
【解決手段】エスカレータシステム10は、下方領域検知部36を有する下方領域警告板と、可動警告板14と、固定保護板13と、固定保護板13の下階側前縁部(前縁ガード部21)に設置された検出部18と、検出部18による検出情報に基いてエスカレータ11の運転を規制する制御部19と、を備え、制御部19は、検出部18により検出された力に基いて、運転規制手段25にエスカレータ11の運転を規制させるか否かを判定する判定手段24と、判定手段24によってエスカレータ11の運転を規制すべきと判定されたときに、エスカレータ11の運転を規制する運転規制手段25と、警告手段26とを有する。
【選択図】図1
【解決手段】エスカレータシステム10は、下方領域検知部36を有する下方領域警告板と、可動警告板14と、固定保護板13と、固定保護板13の下階側前縁部(前縁ガード部21)に設置された検出部18と、検出部18による検出情報に基いてエスカレータ11の運転を規制する制御部19と、を備え、制御部19は、検出部18により検出された力に基いて、運転規制手段25にエスカレータ11の運転を規制させるか否かを判定する判定手段24と、判定手段24によってエスカレータ11の運転を規制すべきと判定されたときに、エスカレータ11の運転を規制する運転規制手段25と、警告手段26とを有する。
【選択図】図1
Description
本発明は、エスカレータシステムに関し、特にエスカレータと天井部又は他の上部エスカレータとが交差する三角部が形成され、当該三角部に可動警告板と固定保護板とから構成されるガード板が取り付けられたエスカレータのエスカレータシステムに関する。
エスカレータには、ステップと共に移動する移動手摺が欄干上に設けられ、通常、乗客は移動手摺をもってステップの適正位置に乗車する。移動手摺の高さは、乗客が持ち易い高さに設定されるため、移動手摺を超えてエスカレータから身体を乗り出したり、荷物がはみ出たりすることがある。また、エスカレータには、エスカレータと天井部又は他の上部エスカレータとが交差する部分である三角部が形成される場合があり、エスカレータから身体を乗り出すと、エスカレータから落下する危険があるだけでなく、この三角部に挟まれるおそれもあるため、エスカレータには様々な安全対策が講じられている。
上記安全対策としては、例えば、適正乗車位置の表示や適正乗車のアナウンス等によってエスカレータからの乗り出しを抑制することが挙げられる。また、三角部にはプラスチック製の可動警告板と固定保護板とから構成されるガード板を設置し、エスカレータからの乗り出し行為による三角部における挟み込みを防止している。このような対策によって、エスカレータからの乗り出しを抑制すると共に、万一乗り出した場合にも乗り出しによって発生する事故を防止しているが、乗客に対する注意喚起機能をさらに高めて更なる安全性の向上を図ることが望まれている。
このような状況に鑑みて、乗客に対する注意喚起機能を高めてエスカレータの安全性を向上させるための安全装置等が提案されている。例えば、特許文献1には、垂直前縁と固定物との交差部分である三角部に、この垂直前縁と固定物とが直角に交差しないように形成した傾斜前縁部を設けた三角部の固定保護板が開示されている。さらに、特許文献1では、この固定保護板によって、実質的に直角部分が排除されて頭部や首部を挟まない交差形状を実現することができ、当然ながら狭隘部における乗客の安全性を大幅に向上させ得る、と述べられている。
また、特許文献2には、略重心位置を通る鉛直線上の重心より上方位置で、板面に垂直な軸を中心に回動可能に建物天井や梁あるいは他のエスカレータに取り付けられた保護板と、この保護板の軸を中心とした回動を検出する検出器と、この検出器からの出力信号に基づき警報を発する報知手段と、この検出器からの出力信号に基づき、エスカレータを運転停止または減速させるように制御する制御手段と、を具備するエスカレータの安全装置が開示されている。
上記のように、特許文献1の固定保護板によれば、固定保護板に乗客が接触したときの衝撃を低減することができる可能性はあるが、固定保護板に乗客が接触して固定保護板に強い力が加わった場合であっても、エスカレータの運転は規制されないので、安全性向上の観点から未だ改良の余地がある。
一方、特許文献2の安全装置によれば、保護板に乗客が接触したことは検出器によって検出されてエスカレータの運転が規制されるが、この安全装置は、複雑且つ大きく揺動する構造であるため、コストや耐久性の観点に問題がある。また、保護板が大きく揺動するので、子供のいたずら心を刺激して、いたずらによるエスカレータの運転停止が頻繁に起る可能性もある。
本発明の目的は、シンプルで耐久性の高い固定保護板に乗客等が接触したときにはエスカレータの運転を規制することによって、安全性を向上させることが可能なエスカレータシステムを提供することである。また、本発明のもう1つの目的は、固定保護板に対するいたずら等による接触など、エスカレータの運転を規制すべきではない状況によって運転が規制されることを有効に防止して、乗客の利便性と安全性との両立を図ることである。
本発明に係るエスカレータシステムは、エスカレータの三角部における固定対象に取り付けられた固定保護板と、固定保護板に力が加わったことを検出する検出部と、検出部による検出情報に基いて、エスカレータの運転を規制する制御部と、を備え、検出部は、固定保護板の下階側前縁部に設置されることを特徴とする。
上記構成によれば、固定保護板に乗客が接触して力が加わったときには、エスカレータの運転規制(例えば、エスカレータの運転停止)を実行することが可能であり、安全性の向上を図ることができる。なお、固定保護板は、大きく揺動することのない固定的な構造であるため、耐久性に優れると共に、乗客等が接触した場合には固定保護板から受ける抵抗力によって乗り出し行為を強制的に禁止する効果も奏する。
さらに、いたずら等によるエスカレータの運転規制を防止して乗客の利便性と安全性との両立を図ることができる。例えば、いたずらによる接触や不注意により手が当たる等の場合には、固定保護板の板面に対して、エスカレータの外側に力が加わることが多いと想定され、一方、エスカレータの運転を規制すべき接触、例えば、乗り出しにより頭や首が固定保護板に衝突する等の場合では、固定保護板の下階側前縁部に対して、エスカレータの進行方向に力が加わる。従って、検出部を固定保護板の下階側前縁部に設置すれば、エスカレータの運転を規制すべき接触により加わった力であるか否かをある程度特定して運転規制を実行することが可能になる。さらに、既存の固定保護板の形態を殆ど変更することなく、シンプルで安価な固定保護板とすることができる。
また、制御部は、検出部により検出された力が予め設定された閾値を超えたときに、エスカレータの運転を規制することが好ましい。
上記構成によれば、エスカレータの運転を規制すべき接触により加わった力であるか否かを特定することがさらに容易になって、乗客の利便性と安全性との両立をより高度なレベルで図ることが可能になる。即ち、固定保護板を突く等のいたずらや不注意により手が当たるなどにより加わる力は、エスカレータの運転を規制すべき接触による力よりも小さいことが想定されるので、そのような力を排除する閾値を設定することにより、エスカレータの運転を規制すべき接触により加わった力であるか否かの判定精度を向上させることができる。
また、制御部は、検出部により検出された力が閾値を超えた状態が所定時間以上継続したときに、エスカレータの運転を規制することが好ましい。
上記構成は、エスカレータの運転を規制すべき接触により加わった力であるか否かの判定精度向上の観点から特に好ましい。即ち、いたずらや不注意で手が当たる場合等では、固定保護板に力が加わる時間は、乗り出しにより頭や首が固定保護板に衝突する場合等と比較して短時間であることが想定されるので、検出値が閾値を超えた状態が所定時間以上継続するか否かを判断することは極めて有用である。
また、三角部よりも下階側領域に設置され、エスカレータからの乗り出しを検知する乗り出し検知手段と、乗客に注意を喚起するための警告手段と、を備え、制御部は、検知手段による検知情報に基いて、警告手段による警告を実行させることが好ましい。
上記構成によれば、警告により乗り出し行為等を止めさせて、固定保護板への接触を抑制することが期待できる。
本発明に係るエスカレータシステムによれば、固定保護板に乗客等が接触した場合にエスカレータの運転を規制することによって、安全性を向上させることが可能になる。また、固定保護板に対するいたずら等による接触など、エスカレータの運転を規制すべきではない状況によって運転が規制されることを有効に防止でき、乗客の利便性と安全性との両立を図ることが可能になる。
図面を用いて本発明に係る実施の形態につき、以下詳細に説明する。図1は、エスカレータシステム10の概略構成を示す図であり、図2は、エスカレータシステム10に適用される固定保護板13を示す図である。
図1に示すように、エスカレータシステム10は、エスカレータ11の三角部12における安全性の向上を目的としたシステムであり、三角部12において、固定保護板13と、可動警告板14とから構成されるガード板を備える。三角部12とは、上記のように、エスカレータ11と天井部15又は他の上部エスカレータとが交差する部分であり、以下では、エスカレータ11と天井部15とが交差する部分として説明する。また、エスカレータ11は、上りエスカレータであって、図1に示すステップ16及び移動手摺17は上方に移動しているものとして説明する。
エスカレータシステム10は、三角部12の天井部15に設置された固定保護板13と、乗客等が固定保護板13に接触して力が加わったことを検出する検出部18と、検出部18による検出情報に基いて、エスカレータ11の運転を規制する制御部19と、を主要構成要素として備える。
固定保護板13は、三角部12に乗客等が挟まれることを防止するために設置される。固定保護板13は、可動警告板14のように、大きく揺動することなく、固定対象である天井部15に固定された固定的な構成を有する。従って、固定保護板13にエスカレータ11から乗り出した乗客が接触した場合でも、固定保護板13は大きく揺動することなく、乗客は固定保護板13から受ける抵抗力によって乗り出し行為を強制的に禁止される。なお、エスカレータシステム10においては、固定保護板13の抵抗力に加えて、検出部18及び制御部19の機能によって安全性をさらに向上させることができる。
図1に示すように、固定保護板13は、三角部12における天井部15に設置された平らなプラスチック製の板であり、上階側方向に向かって面積が小さくなる台形形状を有している。固定保護板13は、天井部15に設置された取り付け金具20によって、エスカレータ11の進行方向に沿うように、且つ天井部15の端面と板面とがほぼ同一平面となるように設置される。また、通常、固定保護板13の下階側前縁部には、衝突時の衝撃を抑制する等のために円柱形状等の前縁ガード部21が設置される。
上記のように、検出部18は、固定保護板13に乗客等が接触して力が加わったことを検出する機能を有する。検出部18としては、固定保護板13に力が加わったことを検出できる検出器であれば、種々の検出器を適用することができる。例えば、所定の力が加わったときにONされる機械的なスイッチ、加わった力を定量的に測定できるセンサ(ロードセル)、静電容量式等のタッチセンサなどが挙げられる。これらのうち、エスカレータ11の運転を規制すべき接触により加わる力を特定し易くする等の観点から、加わった力を定量的に測定できるセンサを適用することが好ましい。力を測定できるセンサとしては、各種圧電素子(ピエゾフィルム等)を利用したセンサや所謂ロードセルなどが挙げられ、ロードセルにおいても、電磁式、静電容量式、ジャイロ式、歪みゲージ式、圧電式など各種検出方式のロードセルが存在する。一般的には、変形量に応じて抵抗値が変化する所謂歪みゲージがロードセルの表面に設置された歪みゲージ式が広く使用されており、検出部18としては、これら公知のロードセル等を使用することができる。
検出部18は、固定保護板13に加わる力であって、乗客の乗り出し行為により頭や首が固定保護板13に衝突するなど、エスカレータ11の運転を規制すべき接触による力を測定することが可能な位置に設置する必要があり、設置位置としては、例えば、前縁ガード部21や固定保護板13と天井部15との取り付け部等が挙げられる。なお、既存の固定保護板の形態を殆ど変更することなく、シンプルで安価な構造とするために、前縁ガード部21に検出部18を設置することが好ましく、例えば、薄膜状の圧電素子やロードセル等のセンサから構成される検出部18を前縁ガード部21に貼り付けることができる(図1)。また、同図に示すように、前縁ガード部21に検出部18を設置すれば、いたずら等によるエスカレータ11の運転規制を防止して乗客の利便性と安全性との両立を図ることができる。
図3に示すように、固定保護板13の下階側前縁部に、矩形形状の前縁ガード部21を嵌め込み、その前縁ガード部21に、センサ本体部22と、エスカレータ11の進行方向に移動する検知バー23と、から構成される検出部18を設置することができる。センサ本体部22は、例えば、上記歪みゲージを含み検知バー23の出入りが可能な構造を有し、検知バー23が押圧されてエスカレータ11の進行方向に移動することにより、歪みゲージが変形して加えられた力を測定することができる。なお、検知バー23は、ゴム材料等から構成され、乗客等が衝突した場合にもその衝撃を低減することができる。
上記のように、固定保護板13の下階側前縁部に検出部18を設置すると、いたずら等によるエスカレータ11の運転規制を防止して乗客の利便性と安全性との両立を図ることができる。例えば、いたずらによる接触や不注意により手が当たる等の場合には、固定保護板の板面に対して、エスカレータ11の外側に向かう力βが加わることが多いと想定され、一方、エスカレータ11の運転を規制すべき接触、例えば、乗り出しにより頭や首が固定保護板13に衝突する等の場合では、固定保護板13の下階側前縁部に対して、同図に示すエスカレータ11の進行方向に力αが加わる。特に、固定保護板13に隣接して可動警告板14を設置した場合には、その傾向がより顕著になることが予測される。従って、検出部18を固定保護板13の下階側前縁部に設置し、さらに、検出部18がエスカレータ11の進行方向のみに移動する検知バー23を備える構成とすれば、エスカレータ11の運転を規制すべき接触により加わった力であるか否かを特定して運転規制を実行することが可能になる。
図1に示すように、三角部12において、固定保護板13よりも下階側に可動警告板14を取り付けることができる。可動警告板14は、固定保護板13と同様に、三角部12に乗客が挟まれることを防止するために設置されるものであるが、固定保護板13のように固定的な構造ではなく、エスカレータ11の進行方向及び外側方向に対して揺動するように、天井部15から鎖等で吊り下げられている。同図に示すように、可動警告板14は、固定保護板13と同様のプラスチック製の平板であり、平板がエスカレータ11の進行方向に沿って且つ天井部15の端面と平板面とがほぼ同一平面となるように取り付けられている。
可動警告板14には、可動警告板14に乗客等が接触したことを検出する図示しない接触検出部を設置することができる。そして、制御部19は、接触検出部により接触が検出されたときには、ブザー音の発報や警告灯の点灯等による警告を実行することができる。このように、可動警告板14への接触により警告を実行して乗客に注意を喚起すれば、固定保護板13への接触を抑制することが期待できる。なお、接触検出部としては、可動警告板14への接触による振動、揺動による変位などを検出できる公知の検出器を適用することができ、例えば、振動センサ、加速度センサ、変位センサ、タッチセンサ(静電容量センサ)等を挙げることができる。
図3に示すように、エスカレータシステム10は、可動警告板14の下階側領域(下方領域)におけるエスカレータ11から乗り出しや荷物のはみ出しを防止するための下方領域警告板29を備えることができる。同図に示すように、下方領域警告板29は、乗客等が接触した場合の安全性を考慮してゴム等の弾性体で構成することが好ましく、移動手摺17の上面よりも上方に突出した形態を有している。下方領域警告板29は移動手摺17の外側の欄干部やデッキ部に設置することができ、移動手摺17の使用を妨げることなく、エスカレータ11から乗り出すと下方領域警告板29に接触することが容易に理解できるので乗り出しを抑止する効果が働く。
上記下方領域警告板29以外にも、可動警告板14の下階側領域におけるエスカレータ11から乗り出しや荷物のはみ出しを防止するために、エスカレータ11に沿って赤外線を照射する赤外線センサを設置することもできる。また、下方領域警告板29に接触検知機能を付与した構成とすることもできる。例えば、図4に示すように、スイッチ本体部30と、スイッチ本体部30に出入りする検知ピン31と、から構成される下方領域検知部36を設置することができる。下方領域警告板29は、移動手摺17の上面から突出する突出部32と、手摺デッキ33(図3)に取り付けるための取り付け部34と、から構成することができ、図4(a)に示すように、突出部32と取り付け部34との間には、一端が突出部32に、他端が取り付け部34に結合され、突出部32を下方に付勢し、且つ突出部32がエスカレータ11の外側に向かって移動可能に支持する圧縮バネ35が設けられている。図4(a)に示す突出部32に力が加わらない状態(接触がない場合)では、下方領域検知部36の検知ピン31は、突出部32に押え付けられている。一方、図6(b)に示すように、突出部32に対して、エスカレータ11の内側から外側に向かって、乗客等が突出部32に接触して加わる力Fが発生した場合、突出部32が外側に向かって倒れることにより、下方領域検知部36の検知ピン31が上方に延出する。このようにして同図に示す下方領域検知部36によって、突出部32に乗客等が接触したことを検知することができる。
なお、図3に示すように、下方領域警告板29及び下方領域検知部36を可動警告板14の下階側領域において分割して設置することが好ましい。例えば、乗り口37付近に設置される下方領域警告板29Aに乗客が接触して、下方領域検知部36Aにより接触が検知された場合、後述する警告手段26の機能によって、「エスカレータから身体を乗り出すと危険です」といったアナウンスをスピーカ28から流して警告することができる。その警告によっても乗り出し行為が停止されず、可動警告板14付近に設置される下方領域警告板29Bに乗客が接触して、下方領域検知部36Bにより接触が検知された場合には、「天井部が接近しています、直ちにエスカレータからの乗り出しをやめて下さい」といった再度のアナウンスにより警告することができる。
エスカレータシステム10は、上記のように、検出部18による検出情報に基いて、エスカレータ11の運転を規制する制御部19を備え、制御部19は、判定手段24と、運転規制手段25と、警告手段26とを有する。制御部19は、CPUと、後述の各手段の機能を実行する際に使用される制御パラメータ等の入力に用いられる入力装置と、入力した制御パラメータ、制御プログラムなどを記憶する記録装置と、入出力ポートなどを備える装置であって、コンピュータによって構成することができる。上記各手段の機能は、ソフトウェアを実行することで実現でき、具体的には、記憶装置に記憶された制御プログラムを実行することにより実現できる。なお、制御部19は、図示しない上部機械室等に設置されるエスカレータ11の運転を制御する制御装置の一部として構成することができる。なお、検出部18、接触検出部、及び下方領域検知部36は、制御部19に接続されており、検出信号は制御部19に入力される。
上記判定手段24は、検出部18により検出情報に基いて、運転規制手段25にエスカレータ11の運転を規制させるか否かを判定する機能を有する。判定手段24によって実行される判定内容としては、例えば、1)検出部18により検出された力が予め設定された閾値を超えたか否か、2)検出された力が閾値を超えた状態が所定時間以上継続したか否か等が挙げられる。これらの判定内容のうち特に好ましいものとしては、2)であり、このような判定を実行すれば、エスカレータ11の運転を規制すべき接触のみを選択的に特定することが容易になる。
上記のように、検出部18を固定保護板13の下階側前縁部に設置することに加えて、判定手段24の判定の基準となる閾値を検出部18に不注意で手が当たる等により加わる力を排除するような値とすれば、エスカレータ11の不要な運転規制をより有効に防止することができる。また、いたずらや不注意で手が当たる場合等では、固定保護板13の検出部18に力が加わる時間は、比較的短時間であることが想定されるので、上記所定時間を、1〜2秒程度に設定すると、いたずらや不注意で手が当たる等により加わる力を排除でき、且つ安全性を確保することができる。なお、検出部18により固定保護板13に加わる力が検出された場合に、検出された力による閾値を設定せず、力が検出される時間のみについて閾値を設定することもできる。
また、判定手段28において、複数の閾値を設定することもできる。例えば、検出された力又は力の差が閾値を超えた状態が所定時間以上継続したか否かを判定内容とする場合に、第1の閾値として大きな値を設定し、第2の閾値としてより小さな値、或いは所定時間のみの設定とする。そして、検出部18により固定保護板13に加わる力が検出されると、第1の閾値を超えた状態が所定時間以上継続したか否かを判定し、継続したと判定したときには、閾値を第2の閾値に変更して、さらに、所定時間以上継続したか否かを判定することができる。なお、検出された力が閾値を超えると運転規制に先立ってブザー音等の警告を発し、それでもなお検出された力が閾値を超えた状態が所定時間以上継続した場合には、エスカレータ11の運転を規制すべき状況であると判定することもできる。
上記運転規制手段25は、判定手段24によってエスカレータ11の運転を規制すべきと判定されたとき、例えば、検出部18により検出された力が閾値を超えた状態が所定時間以上継続したと判定されたときに、エスカレータ11の運転を規制する機能を有する。ここで、運転の規制としては、運転速度の減速、運転の停止等が挙げられるが、安全性向上の観点から運転を停止することが好ましい。具体的には、運転規制手段25は、ステップ16及び移動手摺17を駆動させるエスカレータ駆動ユニット27に対して運転停止の制御指令を与え、エスカレータ駆動ユニット27はその制御指令に基いて運転を停止する。なお、エスカレータ11の運転を停止する場合(エスカレータ駆動ユニット27の運転を停止する場合)には、警告音を発する等して乗客の注意を喚起することが好ましい。
上記警告手段26は、下方領域検知部36等から検出信号を取得したときには、上記のようなアナウンスやブザー音をスピーカ28から発報する等して警告を実行する機能を有する。警告としては、音による警告だけでなく、光の点滅等による視覚的警告とすることもできる。なお、下方領域警告板29への接触は、いたずら等によって固定保護板13への接触よりも頻繁に起こることが想定されるので、接触検知による運転規制を実行することは好ましくはなく、固定保護板13への接触を抑制するための警告を実施することが好ましい。
上記構成のエスカレータシステム10の作用について、図5を加えて詳細に説明する。
まず初めに、下方領域警告板29に乗客等が接触して下方領域検知部36による検出がなされたか否かが判断される(S10)。そして、下方領域検知部36による検出がなされると、検出信号が制御部19に送信される。
S10において、下方領域検知部36から検出信号が出力されたときには、検出位置に応じた音声警告等が実行される(S11)。例えば、乗り口37付近であれば、「エスカレータから身体を乗り出すと危険です」、可動警告板14付近であれば、「天井部が接近しています、直ちにエスカレータからの乗り出しをやめて下さい」のようなアナウンスをスピーカ28から流して警告することができる。この手順は、警告手段26の機能によって実行される。
S11の警告によってもなお乗り出し行為が停止されない場合には、可動警告板14に接触し、そして、固定保護板13の下階側前縁部に衝突することになる。固定保護板13の下階側前縁部には、検出部18が設置されているので、検出部18により検出された力Pが閾値を超えたか否かが判定される(S12)。Pが閾値を超えたときには、エスカレータ11の運転を規制すべき接触により加わった力である可能性が高く、次のステップによりエスカレータ11の運転を規制するか否かがさらに判定される。一方、Pが閾値よりも低いときには、例えば、乗客の不注意により手や荷物が接触したケース等であって、エスカレータ11の運転を規制する必要がないと判定する。
S12において、Pが閾値を超えたと判定されたときには、さらに、Pが閾値を超えた状態が所定時間以上経過するか否かが判定される(S13)。いたずら等による接触や手が瞬間的に当たった場合などでは、Pが閾値を超えた状態が継続する時間は比較的短いことが想定される。従って、Pが閾値を超えた状態が所定時間未満であるときには、いたずら等による接触でありエスカレータ11の運転を規制する必要がないと判定する。一方、Pが閾値を超えた状態が所定時間以上経過するときには、エスカレータ11の運転を規制すべき接触により加わった力である可能性が高いので、次のステップに進行する。なお、S11及びS12の手順は、判定手段24によって実行される。
S13において、Pが閾値を超えた状態が所定時間以上経過したと判定されたときには、エスカレータ11の運転を規制すべき状態であって、エスカレータ11の運転が規制される(S14)。この手順は、運転規制手段25によって実行される。運転規制手段25は、エスカレータ駆動ユニット27に対して運転停止の制御指令を与え、エスカレータ駆動ユニット27はその制御指令に基いて、例えば、運転を停止する。
以上のように、エスカレータシステム10によれば、固定保護板13と、固定保護板13の下階側前縁部(前縁ガード部21)に設置された検出部18を備えるので、固定保護板13に加わる力であって、エスカレータ11の運転を規制すべき力が加わったことを的確に検出でき、さらに、検出部18による検出情報に基いてエスカレータ11の運転を規制する制御部19を備えるので、固定保護板13にエスカレータ11の運転を規制すべき力が加わったと判断したときには、エスカレータ11の運転規制を実行することが可能である。従って、いたずら等によるエスカレータ11の運転規制を防止して乗客の利便性と安全性との両立を図ることが可能になる。
10 エスカレータシステム、11 エスカレータ、12 三角部、13 固定保護板、14 可動警告板、15 天井部、16 ステップ、17 移動手摺、18 検出部、19 制御部、20 取り付け金具、21 前縁ガード部、22 センサ本体部、23 検知バー、24 判定手段、25 運転規制手段、26 警告手段、27 エスカレータ駆動ユニット、28 スピーカ、29 下方領域警告板、30 スイッチ本体部、31 検知ピン、32 突出部、33 手摺デッキ部、34 取り付け部、35 圧縮バネ、36 下方領域検知部、37 乗り口。
Claims (4)
- エスカレータの三角部における固定対象に取り付けられた固定保護板と、
固定保護板に力が加わったことを検出する検出部と、
検出部による検出情報に基いて、エスカレータの運転を規制する制御部と、
を備え、
検出部は、固定保護板の下階側前縁部に設置されることを特徴とするエスカレータシステム。 - 請求項1に記載のエスカレータシステムにおいて、
制御部は、検出部により検出された力が予め設定された閾値を超えたときに、エスカレータの運転を規制することを特徴とするエスカレータシステム。 - 請求項1に記載のエスカレータシステムにおいて、
制御部は、検出部により検出された力が予め設定された閾値を超えた状態が所定時間以上継続したときに、エスカレータの運転を規制することを特徴とするエスカレータシステム。 - 請求項1〜3のいずれか1に記載のエスカレータシステムにおいて、
三角部よりも下階側領域に設置され、エスカレータからの乗り出しを検知する乗り出し検知手段と、
乗客に注意を喚起するための警告手段と、
を備え、
制御部は、検知手段による検知情報に基いて、警告手段による警告を実行させることを特徴とするエスカレータシステム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008313021A JP2010137924A (ja) | 2008-12-09 | 2008-12-09 | エスカレータシステム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2008313021A JP2010137924A (ja) | 2008-12-09 | 2008-12-09 | エスカレータシステム |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2010137924A true JP2010137924A (ja) | 2010-06-24 |
Family
ID=42348410
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2008313021A Pending JP2010137924A (ja) | 2008-12-09 | 2008-12-09 | エスカレータシステム |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2010137924A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2011158847A1 (ja) | 2010-06-17 | 2011-12-22 | 国立大学法人 岡山大学 | microRNA標的遺伝子検出用キット及びmicroRNA標的遺伝子の検出方法 |
-
2008
- 2008-12-09 JP JP2008313021A patent/JP2010137924A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2011158847A1 (ja) | 2010-06-17 | 2011-12-22 | 国立大学法人 岡山大学 | microRNA標的遺伝子検出用キット及びmicroRNA標的遺伝子の検出方法 |
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