しかしながら、特許文献1及び2に記載の梱包装置には、以下の問題点が存在する。特許文献1に記載の梱包装置では、被梱包物(物品)と外箱との間の空隙に添付書類が挿入される(特許文献1 図1)。そのため、被梱包物と外箱との間のクリアランスが狭小となる形状の被梱包物が梱包される場合は、前記添付書類の挿入が困難となる。
特許文献2に記載の梱包装置では、添付書類は、その上端を前記把手穴から臨ませた状態で、外箱と被梱包物との間に位置する緩衝体内部に収納されることになる。前記緩衝体は、梱包された物品の外箱内部での移動を規制するための部材であり、物品の荷重を支える支持機能は有していない。したがって、当該支持機能が必要とされる包装材には適用できなかった。しかしながら、このような包装材についても、添付書類を容易に引き出すことができ、かつ、引き出した後に容易に再度収納できるようにすることが好ましい。
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたものであり、梱包される物品の形状に左右されずに、物品の梱包状態を解くことなく添付書類の出し入れを可能とし、かつ、当該物品の荷重を支える支持機能を有する包装材及び梱包材を提供することを目的とする。
本発明の請求項1に係る包装材は、物品を梱包する際に用いられる包装材であって、直立姿勢に形成された正面側側面部と、前記正面側側面部に形成された開口部と、前記正面側側面部の下端部に繋がり、当該正面側側面部に直交して延びる底面部と、前記底面部の端部であって、前記正面側側面部とは異なる側の端部に繋がり、当該底面部に直交して直立方向に延びる第1内側面部と、前記第1内側面部の端部であって、前記底面部とは異なる側の端部に繋がり、当該第1内側面部に直交して前記正面側側面部に向かって延びる上面部と、前記上面部の端部であって、前記第1内側面部とは異なる側の端部に繋がり、当該上面部に直交して前記底面部側に向かって延び、前記正面側側面部の裏面との間に、前記開口部と導通する間隙を形成して、前記底面部に達する第2内側面部と、を備える。
請求項1に係る発明によれば、前記開口部に挿入された取扱説明書や保証書等の添付書類は、その上端が開口部の上端から露出するので、物品の梱包状態を解くことなく出し入れが可能となる。したがって、例えば保証書等の最終需要者に当該物品を引き渡す前に使用される添付書類を取り出すために、梱包を解く必要がなくなる。しかも、前記添付書類を物品本体にテープ止めする工程が不要となるので、当該工程に要する時間的コストおよび金銭的コストを削減できる。
また、請求項1に係る発明によれば、前記添付書類は、前記正面側側面部の裏面と前記第2内側面部の間に前記開口部と導通して形成される前記間隙に収納される。すなわち前記添付書類の収納スペースが確実に確保されるので、梱包される物品によって当該添付書類の収納スペースが圧迫されて、前記添付書類の挿入が困難となるという不具合を解消できる。
また、請求項1に係る発明によれば、前記物品の底部を前記上面部に載置することが可能なので、直立する前記第1側面部及び前記第2内側面部が物品の荷重を受け止めることが可能となり、当該物品の荷重を支える支持機能を発揮することができる。
本発明の請求項2に係る包装材は、1枚の包装用シート部材を折り曲げて形成され、物品を梱包する際に用いられる包装材であって、前記包装用シート部材の一部からなり、直立姿勢とされる正面側側面部と、前記正面側側面部に形成された開口部と、前記正面側側面部の下端部に繋がる前記包装用シート部材が折り曲げられてなり、当該正面側側面部に直交して延びる底面部と、前記底面部の端部であって、前記正面側側面部とは異なる側の端部に繋がる前記包装用シート部材が折り曲げられてなり、当該底面部に直交して直立方向に延びる第1内側面部と、前記第1内側面部の端部であって、前記底面部とは異なる側の端部に繋がる前記包装用シート部材が折り曲げられてなり、当該第1内側面部に直交して前記正面側側面部に向かって延びる上面部と、前記上面部の端部であって、前記第1内側面部とは異なる側の端部に繋がる前記包装用シート部材が折り曲げられてなり、当該上面部に直交して前記底面部側に向かって延び、前記正面側側面部の裏面との間に、前記開口部と導通する間隙を形成して、前記底面部に達する第2内側面部と、を備える。
請求項2に係る発明によれば、前記開口部に挿入された取扱説明書や保証書等の添付書類は、その上端が開口部の上端から露出するので、物品の梱包状態を解くことなく出し入れが可能となる。したがって、例えば保証書等の最終需要者に当該物品を引き渡す前に使用される添付書類を取り出すために、梱包を解く必要がなくなる。しかも、前記添付書類を物品本体にテープ止めする工程が不要となるので、当該工程に要する時間的コストおよび金銭的コストを削減できる。
また、請求項2に係る発明によれば、前記添付書類は、前記正面側側面部の裏面と前記第2内側面部の間に前記開口部と導通して形成される前記間隙に収納される。すなわち前記添付書類の収納スペースが確実に確保されるので、梱包される物品によって当該添付書類の収納スペースが圧迫されて、前記添付書類の挿入が困難となるという不具合を解消できる。
また、請求項2に係る発明によれば、前記物品の底部を前記上面部に載置することが可能なので、直立する前記第1側面部及び前記第2内側面部が物品の荷重を受け止めることが可能となり、当該物品の荷重を支える支持機能を発揮することができる。
さらに、請求項2に係る発明によれば、1枚の包装用シート部材を折り曲げるだけで包装材を形成することができるので、複数のピースを、貼り合わせやステープル止め等によって結合する場合よりも簡便に包装材を組立てることができる。したがって、時間コストが削減される。さらに、複数のピースを製作する工程に要する設備が不要となるので金銭的コストも削減できる。
本発明の請求項3に係る包装材は、請求項1又は2に記載の包装材において、前記正面側側面部には、前記開口部を含んで、前記第2内側面部方向に向かって折れ曲がるフラップが形成され、前記開口部は、前記フラップが前記第2内側面部方向に向かって折れ曲がった状態において、前記間隙の上方となる位置に形成されている。
請求項3に係る発明によれば、前記開口部は、前記フラップが前記第2内側面部方向に向かって折れ曲がった状態において、前記間隙の上方となる位置に形成されている。そのため、前記添付書類を当該開口部に挿入するに際して、当該添付書類に負荷がかからない。したがって、当該添付書類を、誤って折り曲げたり破損したりすることなく、前記開口部に容易に挿入することができる。
本発明の請求項4に係る包装材は、請求項3に記載の包装材において、前記フラップが前記第2内側面部方向に向かう折れ曲がりのために有する折れ曲がり部は、前記開口部の最下端と同じ高さ位置に形成されている。
請求項4に係る発明によれば、前記フラップが前記第2内側面部方向に向かう折れ曲がりのために有する折れ曲がり部は、前記開口部の最下端と同じ高さ位置に形成されているため、組立て後の当該包装材は、上面視で前記開口部の一端が前記正面側側面部背面と一致する、すなわち前記開口部が最も前方に形成されることになるので、添付書類の収納に必要な前記空隙を最小限に抑えることができる。
本発明の請求項5に係る包装材は、請求項3又は4に記載の包装材において、前記正面側側面部における前記開口部の上方位置に、当該開口部に向かって突出させて設けられ、前記フラップが前記第2内側面部方向に向かって折れ曲がった状態における前記開口部の上方となる位置に設けられた突出片を備える。
請求項5に係る発明によれば、前記開口部下端と前記突出片とによって前記添付書類が挟持される。すなわち、前記開口部から突出して前記正面側側面部の表面から突出する当該添付書類の上端が、当該開口部の下端で屈曲することが、前記突出片によって規制される。したがって、前記添付書類が、当該突出部分で折れ曲がって破損することを防止することができる。
本発明の請求項6に係る包装材は、請求項5に記載の包装材において、前記正面側側面部における前記フラップの上部には、当該フラップの幅に亘って拡がる穴部が設けられており、前記突出片は前記穴部の上端縁部から垂下させて設けられ、当該突出片の下端部と、前記フラップの上端縁部とは、予め定められた間隔を有する。
請求項6に係る発明によれば、前記突出片の下端部と、前記フラップの上端縁部とは、予め定められた間隔を有しているため、前記フラップの上端縁部が前記突出片の下端部と接触しない。したがって、前記フラップの折り曲げを容易にすることができる。
本発明の請求項7に係る包装材は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の包装材において、前記正面側側面部及び前記上面部は、物品本体部と、当該物品本体部の前面側下部に設けられた1本の第1脚部と、当該物品本体部の背面側下部に設けられた2本の第2脚部とを有する前記物品において当該物品本体部の前面側下部に取り付けられて当該物品本体部を支持するものであり、前記底面部、第1内側面部及び上面部には、前記第1脚部が収納される収納部を形成するための切り欠きが設けられている。
請求項7に係る発明によれば、前面側下部が1本の第1脚部のみによって支持されるため不安定であり、輸送時に緩衝効果を有する包装材によって当該前面側下部を保護する必要がある物品に上記包装材を用いることで、当該前面側下部を支持し、保護することができるとともに、前記第1脚部と前記第2脚部とによって、物品本体部と床面との間に形成される空間を有効利用して、前記添付書類を収納することができる。
本発明の請求項8に係る包装材は、請求項1〜7のいずれか1項に記載の包装材において、前記正面側側面部の両側端に繋がり、当該前記正面側側面部と直交して、前記第1内側面部及び前記第2内側面部の左右両端と結合する側面側側面部を備える。
請求項8に係る発明によれば、前記側面側側面部が補強部材として機能するので、包装材の強度を向上することができる。
本発明の請求項9に係る梱包材は、請求項1〜8のいずれか1項に記載の包装材と、前記物品全体を包装する全体包装材と、を備え、前記全体包装材は、物品本体部の前面側下部に前記包装材が取り付けられた状態の前記物品を包装し、当該包装時に前記包装材の前記正面側側面部における前記開口部に対向する位置に、少なくとも当該開口部の上方空間を開放させる開閉可能なフラップが設けられている。
本発明の請求項10に係る梱包材は、請求項1〜8のいずれか1項に記載の包装材と、前記物品全体を包装する全体包装材と、を備え、前記全体包装材は、物品本体部の前面側下部に前記包装材が取り付けられた状態の前記物品を包装し、当該包装時に前記包装材の前記正面側側面部における前記開口部に対向する位置に、少なくとも当該開口部の上方空間を開放させる開口が設けられている。
請求項9又は10に係る発明によれば、前記物品の包装時に前記包装材の前記正面側側面部における前記開口部に対向する位置で、前記全体包装材は、少なくとも前記開口部の上方空間が開放されることになる。したがって、前記物品の包装時に前記包装材が前記全体包装材で覆われた状態でも、前記開口部に挿入された前記添付書類の出し入れが可能となる。
本発明によれば、物品の梱包状態を解くことなく添付書類の出し入れが可能となり、添付書類を取り出すために梱包を解く必要がなくなる。したがって、前記添付書類を物品本体にテープ止めする工程が不要となるので、当該工程に要する時間的コストおよび金銭的コストを削減できる。
また、本発明によれば、前記添付書類の収納スペースが確実に確保されるので、梱包される物品によって当該添付書類の収納スペースが圧迫されて、前記添付書類の挿入が困難となるという不具合を解消できる。
さらに、本発明によれば、前記物品の底部を前記上面部に載置することで、直立する前記第1側面部及び前記第2内側面部が物品の荷重を受け止めること可能となり、当該物品の荷重を支える支持機能を発揮することができる。
以下、図面に基づいて本発明の一実施形態に係る梱包材につき詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る梱包材の使用状態を示す図であり、ヒートポンプ式給湯器のタンク8が包装材1によって補助的に支持されている状態を示す図である。本実施形態に係る梱包材は、上下方向に長い略直方体を呈する上記タンク8を、梱包対象の物品とする。前記梱包材は、タンク8の本体部底面を支持する。
タンク8は、本体部の正面側側部の下部に設けられた1本の第1脚部(図示せず)と、タンク8本体部の背面側側部の下部に設けられた2本の第2脚部(図示せず)の、計3本の脚部を有する。据え付け時のがたつきを防止するためである。第1脚部は1本のみであるので、タンク8が輸送時に側方へ倒れて、タンク本体、特に正面側側部の下部の両端角部が損傷するおそれがある。そのため、緩衝材として機能する包装材1をタンク8の本体部の正面側側部の下部に取り付け、タンク8の本体部底面を支持し保護する。包装材1が、このような機能を発揮するために必要な形状については、後に詳しく説明する。そして包装材1には、据付説明書、取扱説明書、保証書等の添付書類9を挿入する開口部11が設けられている。
図2〜図4に基づいて、包装材1について以下に説明する。図2は包装材1を正面から見た斜視図である。図3は包装材1を背面から見た斜視図である。図4は組立てられる前のシート状態にある包装材1を示す展開図である。図4の実線は切断部分を示し、二点鎖線は折り曲げ部分を示す。包装材1は、1枚の包装用シート部材、例えば段ボールが図4に示す実線部分で裁断され、図4の二点鎖線部分を谷折りに折り曲げて、図4に現われている面が梱包時に内側になるように組立てられる。以降の説明において、図4に現われている面を裏面、図4に現われていない面を表面と呼ぶ。
まず、図2および図3に基づいて、包装材1組立後の状態の形状について説明する。包装材1は、正面側側面部10と、底面部30と、第1内側面部40と、上面部50と、第2内側面部60と、側面側側面部70と、を備える。正面側側面部10は、段ボールの一端を折り曲げて直立姿勢に形成される。底面部30は、正面側側面部10の下端部に繋がる段ボールが折り曲げられてなり、正面側側面部10に直交して延びる。第1内側面部40は、底面部30の端部であって、正面側側面部10とは異なる側の端部に繋がる段ボールが折り曲げられてなり、底面部30に直交して直立方向に延びる。上面部50は、第1内側面部40の端部であって、底面部30とは異なる側の端部に繋がる段ボールが折り曲げられてなり、第1内側面部40に直交して正面側側面部10に向かって延びる。第2内側面部60は、上面部50の端部であって、第1内側面部40とは異なる側の端部に繋がる段ボールが折り曲げられてなり、上面部50に直交して底面部30側に向かって延び、正面側側面部10の裏面との間に間隙80を形成して、底面部30に達する。側面側側面部70は、正面側側面部10の両側端に繋がり、正面側側面部10と直交して、第1内側面部40及び第2内側面部60の左右両端と結合する。正面側側面部10と側面側側面部70との間の稜線には、側面側側面部70から延設され、正面側側面部10に直交して正面側側面部10の表面から突出する突設部71が設けられている。
正面側側面部10は、段ボールの一端を折り曲げて直立姿勢に形成される。正面側側面部10には、略中央の位置に、左右方向に細長く延びる形状に開口部11が形成されている。タンク8の梱包時に、開口部11には添付書類9が挿入される。
正面側側面部10にはさらに、開口部11を含んで、第2内側面部60方向に向かって折れ曲がるフラップ12が形成されている。開口部11は、フラップ12が第2内側面部60方向に向かって折れ曲がった状態において、間隙80の上方となる位置に形成されている。すなわち、開口部11と間隙80とは導通している。そして、フラップ12が第2内側面部60方向に向かう折れ曲がりのために有する折れ曲がり部13は、開口部11の最下端と同じ高さ位置に形成されている。
フラップ12が第2内側面部60方向に向かって折れ曲がった状態において、間隙80の上方となる位置に開口部11が形成されているので、添付書類9を開口部11に挿入するに際して、添付書類9に負荷がかからない。したがって、添付書類9を、誤って折り曲げたり破損したりすることなく、開口部11に容易に挿入することができる。
さらに、折れ曲がり部13は、開口部11の最下端と同じ高さ位置に形成されているので、折れ曲がり部13の長さを短くすることができる。したがって、フラップ12の折り曲げに必要な力が少なくなるので、フラップ12の折り曲げを容易にすることができる。また、上面視で開口部11の一端が正面側側面部10背面と一致する、すなわち開口部11が最も前方に形成されることになるので、添付書類9の収納に必要な間隙80を最小限に抑えることができる。
フラップ12の上部には、フラップ12の幅に亘って拡がる穴部15が設けられ、穴部15の上端縁部から垂下させて突出片14が設けられている。すなわち、突出片14は、開口部11に向かって突出し、フラップ12が第2内側面部60方向に向かって折れ曲がった状態における開口部11の上方となる位置に設けられることになる。さらに、突出片14の下端部とフラップ12の上端縁部とが、予め定められた間隔を有するように穴部15が形成されている。
このような位置関係にフラップ12、突出片14、および穴部15が形成されているので、開口部11下端と突出片14とによって添付書類9が挟持される。すなわち、開口部11から突出して正面側側面部10の表面から突出する添付書類9の上端が、開口部11の下端で屈曲することが、突出片14によって規制される。したがって、添付書類9が、当該突出部分で折れ曲がって破損することを防止することができる。しかも、突出片14の下端部とフラップ12の上端縁部とは、予め定められた間隔で離間されているため、フラップ12の上端縁部が突出片14の下端部と接触しない。したがって、フラップ12の折り曲げを容易にすることができる。
底面部30、第1内側面部40、上面部50、及び第2内側面部60は、上記の位置関係を有するように形成されるので、正面側側面部10の裏面には、略直方体を呈する緩衝部が、間隙80を介して形成されることになる。間隙80は、正面側側面部10の裏面と、第2内側面部60との間を予め定められた距離で離隔し、開口部11と導通する。前記距離は、タンク8の大きさに左右されずに決定することができる。添付書類9は、間隙80に収納され、添付書類9の下端部は、正面側側面部10の裏面から第1内側面部の間に位置し、前記の予め定められた距離を前後方向の長さとする底面部30によって規制される。
すなわち、添付書類9の収納スペースが確実に確保されるので、梱包される物品(本実施形態ではタンク8)によって添付書類9の収納スペースが圧迫されて、添付書類9の挿入が困難となるという不具合は生じない。
前記緩衝部の中央、すなわち、底面部30、第1内側面部40及び上面部50の中央には、連通する切り欠き81が設けられている。
側面側側面部70は、表側から裏側にかけて、正面側側面部接続部701と、第1内側面部接続部702と、第2内側面部接続部703と、が重ねられて形成される。
正面側側面部接続部701は、正面側側面部10の両側端に繋がる段ボールが折り曲げられてなる。正面側側面部接続部701の前端(図4の7011cに相当する)は正面側側面部10の側端であり、後端(図4の7011bに相当する)は第1内側面部40の表面と一致し、上端(図4の7011aおよび7012aに相当する)は正面側側面部10の上端と一致し、下端は正面側側面部10の下端、すなわち底面部30の表面と一致する。
第1内側面部接続部702は、第1内側面部40の両側端に繋がる段ボールが折り曲げられてなる。第1内側面部接続部702の前端(図4の7021cに相当する)は正面側側面部10の背面と一致し、後端(図4の7021bに相当する)は第2内側面部60の表面と一致し、上端(図4の7021aおよび7022aに相当する)は正面側側面部10の上端と一致し、下端は正面側側面部10の下端、すなわち底面部30の表面と一致する。
第2内側面部接続部703は、第2内側面部60の両側端に繋がる段ボールが折り曲げられてなる。第2内側面部接続部703の前端は第2内側面部60の側端であり、後端(図4の703bに相当する)は第1内側面部40背面と一致し、上端(図4の703aに相当する)は第2内側面部60の上端、すなわち上面部50の表面と一致し、下端は第2内側面部60の下端、すなわち底面部30の表面と一致する。
ところで、タンク8は、その正面側側部8Aの下端部が略矩形にそぎ落とされ、埋没部とされている。すなわち、タンク8の正面側側部8Aの下端部は、埋没部から上に位置する正面側側部8Aの表面に対して奥まった埋没面が形成され、前記正面側側部の表面と当該埋没面との間には、水平面が形成されている。給湯用のパイプは、前記埋没面から前方に突設され、前記水平面の下方で屈曲されて配管されることで、タンク8の本体設置スペースからはみ出さないようにされている。
包装材1は、梱包時にタンク8の正面側側部8Aの下端部と床面との間に差し入れられる。包装材1の前記緩衝部がタンク8の荷重を受け止めることで、包装材1は、タンク8本体部の底面8Fを、タンク8の正面側側部8Aの側で支持し保護する。梱包時における包装材1の各部とタンク8の各部、特に前記埋没部との位置関係は、例えば次の通りである。
タンク8の本体部は、底面8Fの正面側側部8Aの側が、包装材1の上面部50に載置される。正面側側部8Aは、包装材1の正面側側面部10の背面と当接する。前記水平面は、正面側側面部10の上端と、正面側側面部接続部701の上端と、第1内側面部接続部702の上端とに当接する。前記埋没面は、第1内側面部接続部702の後端に当接する。タンク8の本体部の正面側側部8Aの下部に設けられた1本の第1脚部は、切り欠き81に納められる。
次に、図4の展開図に基づいて、1枚の段ボールを裁断し裁断後の段ボールを組立てて包装材1を上記形状にするために必要な裁断形状について説明する。
底面部30は、シート状の段ボールの略中央に長細い矩形を呈して位置する。正面側側面部10は、底面部30の一方の長辺側に、当該長辺を長辺とする矩形を呈して位置する。第1内側面部40は、底面部30の他方の長辺側に、矩形を呈して位置する。上面部50は、底面部30と繋がる側とは反対側の第1内側面部40の長辺側に、矩形を呈して位置する。第2内側面部60は、第1内側面部40と繋がる側とは反対側の上面部50の長辺側に、矩形を呈して位置する。
正面側側面部10には、開口部11、フラップ12、突出片14、および穴部15が形成される。開口部11は、正面側側面部10の略中央に位置する段ボールが、左右方向に細長く延びる長尺形状に打ち抜かれることで形成される。フラップ12は、開口部11の両側および上方で連通するコの字状として正面側側面部10を裁断することで形成される。前記のコの字状に裁断された部分の両側下端を結ぶ線分(包装材1の組立て時に折れ曲がり部13となる)は、開口部11の下端と同じ高さとされる。穴部15は、穴部15の上端縁部の一部がフラップ12方向に突出する突出片14となるように、フラップ12の幅に亘ってフラップ12の上部の段ボールを打ち抜いて設けられている。さらに、穴部15の形成において、突出片14の下端部とフラップ12の上端縁部とが、予め定められた間隔を有するように段ボールは打ち抜かれる。
底面部30の図4における左右方向の略中心線の位置から上面部50と第2内側面部6の結合部にかけて、図4における上下方向の略中心線方向に延びて底面部30、第1内側面部40及び上面部50を連通する切り欠き811が段ボールを打ち抜いて設けられている。上面部50と繋がる側とは反対側の第2内側面部6の長辺には、図4における上下方向の略中心線方向に切り欠き812が設けられている。また、底面部30の図4における左右方向の略中心線上には、切り欠き811の左右に、図4における左右方向に細長く矩形に延びるスリット31が形成されている。
正面側側面部接続部701は、正面側側面部10の両方の短辺7011c側に設けられている。正面側側面部接続部701は、正面側側面部10の短辺7011cと繋がる外面部7011と、外面部7011の長辺7011c(正面側側面部10の短辺7011cと同一)とは反対側の辺部7012bで外面部7011と繋がる内面部7012とを備える。辺部7012bとは反対側の内面部7012の端部は、遊端7012cとされている。
図4で左右両側に位置する2つの正面側側面部接続部701のうち、左側に位置する正面側側面部接続部701の外面部7011と内面部7012と結合部は、内面部7012側が上方から上下方向に長い矩形に切り欠きとされている。すなわち、辺部7012bの図4において上方の延長上に位置する切り込み線7011bと、切り込み線7011bの下端から切り込み線7011bに直角に内面部7012方向に延びる切り込み線7012dと、切り込み線7012dの切り込み線7011bとは反対側の端部から直角に図4において上方に延びる切り込み線7012eとによって、内面部7012が切り欠かれることになる。
図4で左右両側に位置する2つの7011c部分には、両端が外面部7011側に屈曲し上下方向に延びるスリット16が正面側側面部10の側に打ち抜かれて、突設片711がそれぞれ設けられている。遊端7012cには図4において突設片711と同一の高さかつ相同の形状に突設片712が設けられている。
さらに、図4で左右両側に位置する2つの内面部7012には、嵌合片72がそれぞれ設けられている。嵌合片72は、外面部7011と外面部7011の辺部7012bで繋がる結合部721と、結合部721の外面部7011と繋がる7012b側とは反対側に一端が繋がり、他端が遊端となる嵌合部722とからなる。
結合部721は、外面部7011と内面部7012との境界線となる辺部7012bから、内面部7012に向けて直角に同一長の2本の切り込み線が裁断されて形成される。
嵌合部722は、前記の2本の切り込み線の7012bとは反対側の端部で結合部721と繋がって、図4における上下方向の長さが、結合部721の図4における上下方向よりも長い上下方向に長い矩形に形成される。嵌合部722の一方の長辺は前記遊端となり、他方の長辺は、その中央部で結合部721の一端と繋がることになる。矩形を呈する嵌合部722は、結合部721との接続部を除く外形線が、切り込み線とされて形成される。すなわち、嵌合部722は、結合部721が内面部7012側に延長された片部7222と、片部7222の上下方向に突出する片部7221および7223と、を備えることになる。嵌合部722の前記遊端側には、段ボールを打ち抜いて、当該遊端の長さを図4における上下方向の長さとする上下に細長いスリット73が形成される。
第1内側面部接続部702は、第1内側面部40の両短辺側に位置する。図4で右側に位置する第1内側面部接続部702は、第1内側面部40と繋がる外面部7021と、外面部7021の第1内側面部40と繋がる側とは反対側で外面部7021と繋がる内面部7022とを備える。図4で左側に位置する第1内側面部接続部702は、外面部7021のみを備える。
外面部7021の第1内側面部40と繋がる側は、第1内側面部40の短辺長さである。外面部7021の第1内側面部40と繋がる側とは反対の側は、図4における下方にさらに突出される。
外面部7021と第1内側面部40との連結部の略中央には、第1内側面部40の側に、略矩形を呈する穴部である嵌合穴41が段ボールを打ち抜いて形成されている。
嵌合穴41の上下端から、第1内側面部40の左右方向中心に向かって切り込み線が入れられ、フラップ42が形成されている。
内面部7022は、外面部7021の第1内側面部40と繋がる側の辺とは反対の辺7021cを軸として、外面部7021の鏡像となる形状とされている。
第2内側面部接続部703は、第1内側面部40の両短辺側に、略矩形を呈して位置する。切り欠き812によって左右に分離された第2内側面部60の長辺には、切り欠き812の両側に略矩形を呈する底面対向部61がそれぞれ設けられている。第2内側面部60と底面対向部61との連結部の略中央には、底面対向部61側で段ボールが打ち抜かれて、図4における左右方向に細長く矩形に延びるスリット63が形成されている。スリット63の図4における左右の端部から第2内側面部60に向かって切り込み線が入れられ、突設片62が形成される。突設片62の図4における上下方向の幅は、段ボールの厚みよりもわずかに短くされている。
上記の形状に裁断された段ボール材からの包装材1の組立を以下に説明する。なお、組み立ての順序は、以下に説明する順序に限定されるものではなく、各部の位置関係が以下の説明と同一となるように組み上がる順序であれば良い。
まず、図4の展開図の形状に裁断された段ボール材を、図4の展開図に現われている面を上に床面において、段ボール材の一端に位置する正面側側面部10を、隣接する底面部30に直交させて立ち上げる。次に、図4の展開図において、正面側側面部10とは反対側の段ボール材の他端に位置する底面対向部61を、隣接する第2内側面部60に直交させて立ち上げる。
次に、底面対向部61と隣接する第2内側面部60を、底面対向部61と反対側で隣接する上面部50に直交させて立ち上げる。次に、第2内側面部60と隣接する上面部50を、第2内側面部60と反対側で隣接する第1内側面部40に直交させて立ち上げる。次に、上面部50と隣接する第1内側面部40を、上面部50と反対側で隣接する底面部30に直交させて立ち上げる。第1内側面部40の立ち上げと同時に、突設片62をスリット31に挿入する。このとき、底面対向部61の遊端61bは第1内側面部40の裏面に当接することになる。
続いて、第2内側面部60の両側端と繋がる第2内側面部接続部703を、第1内側面部40の側に第2内側面部60と直交させて折り曲げる。このとき、第2内側面部接続部703の遊端703bは、第1内側面部40の裏面に当接することになる。
続いて、第1内側面部接続部702を、切り込み線7021cを軸にして、内面部7022の裏面が外面部7021の裏面と合わさるように2つ折りにする。次に、第1内側面部40の両側端と繋がる第1内側面部接続部702の外面部7021を、正面側側面部10の側に第1内側面部40と直交させて折り曲げる。このとき、内面部7022の表面、および外面部7021のみからなる第1内側面部接続部702の裏面と、第2内側面部接続部703の表面とが重なり合うことになる。そして、外面部7021の端部7021cは、正面側側面部10の裏面に当接することになる。
続いて、嵌合片72を残して、内面部7012の裏面が外面部7011の裏面と合わさるように、正面側側面部接続部701の内面部7011を外面部7011の側に折り曲げる。次に、正面側側面部10の両側端に繋がる外面部7011を、既に床面と直立状態にある第1内側面部接続部702の側に正面側側面部10と直交させて折り曲げる。
このとき、第1内側面部接続部702の外面部7021の表面と、正面側側面部接続部701の内面部7012の表面と、が重なり合うことになる。そして、正面側側面部接続部701の内面部7012の遊端7012cは、正面側側面部10の裏面に当接することになる。
また、このとき、突設片712は、スリット16に挿入され、突設片711と突設片712とが裏面同士で重なり合い、突設部71を形成する。突設部71は、正面側側面部10に直交して正面側側面部10の表面から突出することになる。
続いて、側面側側面部70の外面部7011の後端から外面部7011の表面と平行に後方に突出した状態にある嵌合片72を次のように折り曲げる。嵌合部722の片部7221および7223を、第1内側面部40の側に片部7222と直交させて折り曲げる。次に片部7222を、第1内側面部40の側に結合部721と直交させて折り曲げる。次に結合部721を、外面部7011と直交させて折り曲げる。このとき、嵌合部722は嵌合穴41と嵌合する。フラップ42が設けられていることにより、嵌合部722と嵌合穴41との嵌合が容易となり、しかも嵌合後の嵌合部722がフラップ42の端部で規制されることで、嵌合部722が嵌合穴41から外れないようになっている。
最後に、フラップ12を折れ曲がり部13で折り曲げ、正面側側面部10の裏面側に倒して包装材1の組み立てが完成する。
上記のように組立てられた包装材1は、正面側側面部接続部701と第1内側面部接続部702と第2内側面部接続部703とが重ね合わされて、側面側側面部70が形成される。側面側側面部70および嵌合片72とによって、正面側側面部10の両側端と第1内側面部40及び第2内側面部60の左右両端とが結合されるので、側面側側面部70が補強部材として機能し、包装材1の強度が向上する。すなわち、包装材1は、重量物であるタンク8の包装材として好ましい強度を確保することができる。
突設部71が、正面側側面部10に直交して正面側側面部10の表面から突出することで、タンク8の梱包時に、タンク8の外装と全体包装材2の裏面との間には空隙が形成される。この空隙が形成されることで、タンク8の正面側側部2Aに突設される操作パネルが梱包時に収まる空間を確保できるとともに、タンク8の輸送時あるいは保管時等にタンク8本体部への緩衝効果を得ることができる。
図5および図6に基づいて全体包装材2について以下に説明する。図5は、全体包装材2によってタンク8が梱包されている状態を示す図である。図6は、図5のVI部の拡大図であり、図6(A)は閉状態のフラップ21を示す図、図6(B)は開状態のフラップ21を示す図である。
図5に示すように、全体包装材2は、正面側側部2A、側面側側部2Bおよび2C、背面側側部2D、ならびに天面側側部2Eの5面の側部を備えている。全体包装材2の底部は開放されている。タンク8は、その本体部の正面側側部8Aの下部に包装材1が取り付けられた状態で、全体包装材2を上方から被せることで全体が包装される。
図6に示すように、全体包装材2には、開閉可能なフラップ21が設けられている。フラップ21は、タンク8の包装時に包装材1の正面側側面部10における開口部11に対向する位置に設けられ、開状態において開口部11の上方空間を開放させる。全体包装材2が、フラップ21を備えることにより、包装材1の開口部11に挿入された添付書類9は、全体包装材2に覆われた状態でも梱包状態を解くことなく出し入れが可能となる。添付書類9の取り出しを容易にするため、フラップ21は下端が折り曲げ部とされている。
また、フラップ21の上端と当該上端に接する全体包装材2の本体部分とを跨いで、つまみ穴22が設けられている。ユーザは、例えば、つまみ穴22に指を通してフラップ21の上端を手前に引くことで、フラップ21を容易に開状態にすることができる。
上記実施形態によれば、開口部11に挿入された取扱説明書や保証書等の添付書類9は、その上端が開口部11の上端から露出するので、タンク8の梱包状態を解くことなく出し入れが可能となる。したがって、例えば保証書等の最終需要者に当該物品を引き渡す前に使用される添付書類9を取り出すために、梱包を解く必要がなくなる。しかも、添付書類9をタンク8本体にテープ止めする工程が不要となるので、当該工程に要する時間的コストおよび金銭的コストを削減できる。
また、上記実施形態によれば、添付書類9は、正面側側面部10の裏面と第2内側面部60の間に開口部11と導通して形成される間隙80に収納される。すなわち添付書類9の収納スペースが確実に確保されるので、梱包される物品(上記実施形態ではタンク8)によって添付書類9の収納スペースが圧迫されて、添付書類9の挿入が困難となるという不具合を解消できる。
さらに、上記実施形態に係る包装材1は、1枚の段ボール材を折り曲げるだけで形成することができるので、複数のピースを、貼り合わせやステープル止め等によって結合する場合よりも簡便に包装材を組立てることができる。したがって、時間コストが削減される。さらに、複数のピースを製作する工程に要する設備が不要となるので金銭的コストも削減できる。
以上、本発明の一実施形態に係る包装材1及び全体包装材2、並びに包装材1及び全体包装材2を備える梱包材について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば次のような変形実施形態を採ることもできる。
(1)上記実施形態では、ヒートポンプ式給湯器のタンク8が包装材1および梱包材に包装されている。しかし本発明は、包装される物品がヒートポンプ式給湯器のタンクに限られるものではなく、床面から離間して設けられた本体部を支持する必要がある物品に広く適用することができる。
(2)上記実施形態では、タンク8は、本体部の前面側下部に設けられた1本の第1脚部と、タンク8本体部の背面側下部に設けられた2本の第2脚部の、計3本の脚部を有する物品である。しかし本発明の包装材もしく梱包材が用いられる物品は、脚部の本数が3本の物品に限定されるものではない。脚部の本数に応じて切り欠き81を複数設けてもよいし、側面側側面部70を設けずに脚部の間に包装材を配置できるようにしてもよい。
(3)上記実施形態では、タンク8の構造に由来してより大きな荷重のかかる側を補強するために、第1内側面部接続部702の1つに内面部7022を設けているが、荷重が小さい場合には、内面部7022は設けないようにすることもできる。
(4)上記実施形態では、包装材1の開口部11に挿入された添付書類9を、全体包装材2に覆われた状態でも梱包状態を解くことなく出し入れ可能とするために、フラップ21を設けている。フラップ21に換えて、タンク8の包装時に包装材1の正面側側面部10における開口部11に対向する位置に設けられ、少なくとも開口部11の上方空間を開放させる開口を設けてもよい。
(5)上記実施形態では、つまみ穴22は、フラップ21の上端と当該上端に接する全体包装材2の本体部分とを跨いで設けられているが、フラップ21につまみ穴を設けてもよい。この場合も、ユーザは、例えば、つまみ穴に指を通してフラップ21を手前に引くことで、フラップ21を容易に開状態にすることができる。