JP2010137465A - シームレスベルトの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】金型の誘導加熱により、所期の特性を有するシームレスベルトを再現性良く製造することができシームレスベルトの製造方法を提供する。
【解決手段】円筒状金型1の内面に樹脂溶液を展開し、金型の回転ローラ3及びコイル2を使う誘導加熱により加熱回転成型を行なうシームレスベルトの製造方法であって、誘導加熱に用いる電源の周波数が1kHz〜10kHzであることを特徴とするシームレスベルトの製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明はシームレスベルトの製造方法に関し、特に、金型の誘導加熱によってシームレスベルトを成型する製造方法に関する。
近年、電子写真複写機、プリンタ、ファクシミリ、これらの複合機等の画像形成装置に用いられる転写搬送ベルト、中間転写ベルト、転写定着ベルト、感光体ベルトには、高速化および高画質化が要求されるため、これら機能性ベルトにはシームレス化が望まれている。シームレスベルトの材料としては、成形性が良いこと、軽量であること等の理由からプラスチック材料が使用され、このプラスチック材料としては、耐熱性、機械的強度、耐環境特性に優れることから、ポリイミド系樹脂を使用したポリイミド系シームレスベルトの検討がなされている。また静電的な転写方式に用いられるベルト材料に要求される特性としては、表面抵抗値が10〜1013 Q/□程度の、いわゆる中抵抗を有することが挙げられる。そこで、ポリイミド樹脂中に多量のカーボンブラックを含有せしめる手法が一般的に用いられている(特許文献1)。
また、シームレスベルトの製造方法としては、筒状金型の内面に樹脂溶液を展開し、回転成型および加熱成型を行う方法が知られており、作業の簡便さ、効率等の点から、前記金型を誘導加熱により加温する方法が提案されている(特許文献2)。
特開平10−63115号公報 特開2004−181731号公報
ところで、シームレスベルトを工業的に製造する場合、多数の製造ラインにおいて、同一規格で製造された金型を使用してシームレスベルトを大量生産することになるが、円筒状金型の内面に樹脂溶液を展開し、金型を誘導加熱により加熱してシームレスベルトを製造する場合、同一規格で製造された金型を使用し、同じ処方及び製造条件で製造していながら、得られるシームレスベルトは表面抵抗率や使用中の電気的負荷による電気抵抗値のバラツキが生じ、所期の特性を有するシームレスベルトが得られないことがある。特に、カーボンブラックを含有せしめたシームレスベルトの製造において、この問題は顕著である。すなわち、カーボンブラックを含有させたシームレスベルトを製造する場合、樹脂溶液として、カーボンブラックを分散せしめた樹脂溶液を使用するが、同じ樹脂溶液を使用しても、得られるシームレスベルト中のカーボンブラックの分散状態が大きく異なり、表面抵抗率等の電気特性が大きく相違することになる。
本発明は、かかる事情に鑑みなされたものであり、その解決しようとする課題は、金型の誘導加熱により、所期の特性を有するシームレスベルトを再現性良く製造することができるシームレスベルトの製造方法を提供することにある。
本発明者等は、金型の誘導加熱により樹脂溶液から形成されるシームレスベルトに生ずる電気特性のバラツキの原因について調査したところ、同一規格で製造された金型であっても、金型の肉厚やメッキ厚みが微妙に異なることから、金型表面の電気抵抗が異なり、その結果、同一条件で誘導加熱された金型であっても異なる金型間で加熱(加温)状態が相違し(樹脂溶液の加熱状態が相違し)、それが、得られるシームレスベルトの電気特性の相違につながっていることが分かった。
そこで、本発明者等は、誘導加熱される金型の均一加熱を達成する観点から鋭意検討した結果、金型を誘導加熱する際の電源の周波数を特定範囲に設定することで、異なる電気抵抗値を有する金型であっても同等の加熱状態に加熱できることを知見し、かかる知見に基づいてさらに研究を進めることにより、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
〔1〕円筒状金型の内面に樹脂溶液を展開し、金型の回転及び誘導加熱により加熱成型を行なうシームレスベルトの製造方法であって、誘導加熱に用いる電源の周波数が1kHz〜10kHzであることを特徴とするシームレスベルトの製造方法。
〔2〕円筒状金型と加熱用誘導コイルとの離間距離を調整可能にしたことを特徴とする上記〔1〕記載のシームレスベルトの製造方法。
〔3〕誘導加熱による金型の加熱速度が1℃/分〜60℃/分であることを特徴とする上記〔1〕記載のシームレスベルトの製造方法。
〔4〕樹脂溶液がカーボンブラック分散樹脂溶液である、上記〔1〕〜〔3〕のいずれか記載のシームレスベルトの製造方法。
〔5〕カーボンブラック分散樹脂溶液が、カーボンブラック分散ポリアミド酸溶液を主成分とする樹脂溶液である上記〔4〕記載のシームレスベルトの製造方法。
誘導加熱において、電流は被加熱体中の抵抗の小さい所を流れようとし、表面ほど電流が集中し電流密度が高いことが知られている。これは一般に表皮効果と呼ばれている。この現象は交流電流に対して表れ、周波数が大きいほど顕著になる。この表面への電流集中の度合いを表すのに「電流浸透の深さ」が用いられ、δ[cm]で表され、下式から求められる。
Figure 2010137465
ρ:導体の抵抗率[Ω−cm]
μ:導体の比透磁率
f:周波数[Hz]
この式から分かるように、周波数が大きいと浸透深さは浅く、周波数が小さいと浸透深さは深くなる。よって、周波数を小さくすることで、金型がより内部で発熱し、発熱時の金型表面のメッキ厚みなどの抵抗バラツキを生じさせる因子の影響が受けにくくなる。
本発明者等は、かかる観点から、金型を均一加熱するに適した周波数が1kHz〜10kHzであることを見出した。すなわち、本発明では、誘導加熱に用いる電源の周波数を1kHz〜10kHzに設定することにより、誘導加熱により加熱される金型が均等に加熱され、金型の内面に形成された樹脂溶液の塗膜が厚み方向に対しても均一に加熱される。その結果、例えば、樹脂溶液中のカーボンブラックは樹脂溶液の塗膜が乾燥樹脂皮膜(シームレスベルト)に製膜されるまでに著しい凝集を起こすことがなく、その分散状態が持続することとなり、カーボンブラックの凝集による不具合(即ち、ベルトの表面抵抗率のバラつきや使用中の電気的負荷による電気抵抗値の低下)を抑制でき、異なる金型を用いて製膜を行った際にも、金型間の電気抵抗のバラつきの影響を受けることなく、表面抵抗率のバラつきや電気抵抗値の低下が抑えられた、所期の電気特性を有するシームレスベルトを再現性良く製造することができる。
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明方法は、種々の樹脂材料(樹脂溶液)からなるシームレスベルトの製造に適用でき、特に、導電性フィラーとしてカーボンブラックを分散させた樹脂溶液(カーボンブラック分散樹脂溶液)からシームレスベルト(半導電性シームレスベルト)を製造する際にその効果がより顕著に発現する。また、ポリイミド系樹脂のシームレスベルトの製造に好適であり、中でも、ポリアミド酸溶液を主成分とする樹脂溶液からのシームレスベルトの製造や、ポリアミド酸溶液にカーボンブラックを分散させたカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液を主成分とする樹脂溶液からのシームレスベルトの製造に特に好適である。なお、ポリアミド酸はポリイミドの前駆体であり、本発明でいう「樹脂」とは、それがポリイミドである場合、その前駆体であるポリアミド酸を含む概念である。
図1は、本発明の製造方法の一例の概要を示す説明図である。樹脂溶液を内面に展開する円筒状金型1に対して所定の距離をおいてコイル2が設置されている。高周波電源4からコイル2に高周波電流が印加されると、円筒状金型1に誘導電流が生じて内部抵抗によって発熱つまり円筒状金型1自体が加熱されることとなる。このとき、印加する電流値を変えると発生する誘導電流も変化し発熱量も変化するため、加熱量も可変できることとなる。また、円筒状金型1は、図1の下部に示すように、該金型1と接設する回転ローラ3によって所定の回転数に回動することができ、内面に展開された樹脂溶液の皮膜形成及び加熱によるベルトへの成型に即した稼動状態(つまり、停止、高速回転、低速回転など)を実現できる。
高周波電源の周波数を小さくすることで、浸透深さが深くなり、金型内部で発熱が起き、均熱加熱が可能となる。そうすることで、金型表面の電気抵抗(メッキの厚みの違い、厚みバラツキなどに由来)の影響が軽減されて、金型が均一に加熱されやすくなる。すなわち、金型を構成する金属の種類等によっても異なるが、本発明においては、高周波電源の周波数を1kHz〜10kHz程度に設定することが重要であり、好ましくは周波数を1kHz〜5kHzに設定する。周波数が1kHz以下であると発熱量が少なくなるので、それを補おうと、より電力を消費し、コストの上昇を招くために好ましくない。また、10kHを超えると、金型表面の電気抵抗による発熱量の変動が大きくなり、金型の均一加熱が困難になる。
円筒状金型1の材料としては、例えば、ステンレス鋼(SUS)、アルミニウム(Al)または炭素鋼などの耐熱性材料が使用される。また、通常、金型の表面には、防汚、防食、防錆を目的としてメッキ処理が施される。メッキとしては、例えば、ハードクロムメッキ、無電解ニッケルメッキ等が挙げられる。なお、円筒状金型の壁厚(肉厚)は特に限定されないが、本発明の効果をより顕著に発現させる観点からは、5〜10mm程度とするのが好ましい。また、メッキ厚みは平均厚み10〜30μm程度とするのが一般的である。
本発明で、樹脂の溶液を円筒状金型の内面に展開し、均一化する方法に関しては、従来から公知の技術が適用でき、例えば、ディスペンサーによる塗布を行い回転成型あるいは回転加熱成型といった方法や、円筒ダイスによる塗布により樹脂皮膜を均一化に行える方法、弾丸状走行体を用いて自重走行により速度20mm/分で金型内面を走行させ、樹脂溶液を金型内周面に均一に塗布する方法等がある。
なお、樹脂溶液の塗膜形成(塗布作業)の後、金型を回転させることで、塗膜厚みの一層の均一化を図ることができる。かかる金型の回転は樹脂溶液を構成する樹脂や溶媒の種類、溶液の濃度や粘度によっても異なるが、一般的には1000〜2000rpm程度が好適である。
また、樹脂溶液の塗膜形成(塗布作業)の後、金型を誘導加熱して樹脂溶液を加温して溶液粘度を低下させた後、比較的高速回転によるレベリングを行ってもよい。このことで、塗膜厚み及び塗膜の性状のより一層の均一化を図ることができ、平面度の高いシームレスベルトを製造できる。この際の金型の誘導加熱は塗膜が完全乾燥しない範囲内でその加熱温度及び加熱時間を決定する。
また、本発明においては、金型と加熱用誘導コイルとの離間距離を調整可能にすることが好適である。つまり、上記のように、図1における円筒状金型1の加熱量は誘導電流によって制御できるが、円筒状金型1と誘導コイル2との離間距離を調整可能にしておくことで、金型の加熱における制御幅を拡大することができ、多様な使用に適用することができる。つまり、金型の形状・材質によっては、誘導電流による制御範囲に限界が生じることがあり、本発明はかかる場合に非常に有効な手段となりうる。同様に、製造すべきベルトの厚みや金型の管径といった、製造工程で変更される種々の条件設定に対し、円筒状金型1と誘導コイル2の離間距離を調整することで、最適加熱配置が可能となり、また、工程内での条件変更にも対応でき、より微妙な調整をすることができる。
本発明方法では、円筒状金型の内面に樹脂溶液の皮膜(塗膜)を形成後、金型を低速回転しつつ誘導加熱により加熱する。誘導加熱は金型の温度が樹脂溶液中の溶媒を除去し、樹脂の乾燥皮膜が速やかに生成するに適した温度に昇温されるように、高周波電源の周波数を前述の規定範囲に設定して、加熱用誘導コイルに流す電流を制御する。低速回転させる金型の回転速度は、1〜30rpm程度が好適である
誘導加熱工程の一例をポリイミド系シームレスベルトの製造に即して説明する。円筒状の金型1を低速1〜30rpmで回転させながら、誘導加熱により該金型1を急速に加温し、溶媒を除去し、樹脂の転化を行う。例えば、上述の誘導加熱装置を用いて円筒状金型1を加熱速度(昇温速度)1℃/分以上、60℃/分以下で、250℃以上、好ましくは300〜400℃、最も好ましくは330℃〜360℃以下の範囲に加温し、溶液などの除去および転化を行い乾燥皮膜化する。
上述の誘導加熱工程の後に、樹脂皮膜が張り付いた状態の円筒状金型を室温まで降下する。温度降下は、自然に温度降下させてもよく、室温での送風や、或いは、冷風を当ててもよく、樹脂溶液の仕様や、樹脂皮膜の厚み等によって、適宜選択できるものである。
本発明において、樹脂溶液に分散させるカーボンブラックは、平均粒子径が5〜100nmであり、好ましくは10〜70nmであり、より好ましくは15〜60nmである。平均粒子径が5nm未満のものは、実質的に入手することが困難であり、平均粒子径が100nmを越える場合、該カーボンブラックを含有したポリイミド樹脂組成物の表面粗さ、機械的強度及び電気抵抗制御性等の観点から実用上満足できるものが得られ難いからである。
平均粒子径は、電子顕微鏡などで測定された一次粒子径に基づく平均粒子径を示す。また、カーボンブラックは、粒子表面にポリマーをグラフト化させたり、絶縁材を被覆したりすることで電気抵抗を制御してもよく、カーボンブラック粒子表面に酸化処理を施してもよい。
本発明に用いるカーボンブラックとしては、例えばファーネスブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。具体的には、ファーネスブラックとして、デグサ・ヒュルス社製の「SpecialBlack550」、「Special Black350」、「Special Black250」、「Special Black100」、「Printex 35」、「Printex 25」、三菱化学社製の「MA7」、「MA77」、「MA8」、「MA11」、「MA100」、「MA100R」、「MA220」、「MA230」、キャボット社製、「MONARCH1300」、「MONARCH 1100」、「MONARCH 1000」、「MONARCH 900」、「MONARCH 880」、「MONARCH 800」、「MONARCH 700」、「MOGUL L」、「REGAL 400R」、「VULCANXC−72R」等が挙げられ、チャンネルブラックとしてデグサ・ヒュルス社製の「Color B1ack FW200」、「Color Black FW2」、「Color Black FW2V」、「Color Black FW1」、「Color BlackFW18」、「Special Black6」、「ColorBlack S170」、「Color Black S160」、「Special Black5」、「Special Black4」,「Special Black4A」、「Printex 150T」、「Printex U」、「Printex V」、「Printex 140U」、「Printex 140V」等が挙げられ、単独及び複数種類のカーボンブラックを併用してもよい。
カーボンブラックと後述する有機極性溶媒との親和性を高めるために分散剤をさらに添加することができる。分散剤としては、本発明の目的にかなうものであれば特に限定されないが、例えば高分子分散剤が挙げられる。高分子分散剤としては、ポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)、ポリ(N,N’−ジエチルアクリルアジド)、ポリ(N−ビニルホルムアミド)、ポリ(N−ビニルアセトアミド)、ポリ(N−ビニルフタルアミド)、ポリ(N−ビニルコハク酸アミド)、ポリ(N−ビニル尿素)、ポリ(N−ビニルピぺリドン)、ポリ(N−ビニルカプロラクタム)、ポリ(N−ビニルオキサゾリン)等が挙げられ、単独又は複数の高分子分散剤を添加することができる。また、この他に本発明の目的の範囲内で、高分子材料、界面活性剤、無機塩等の分散安定化剤を用いることもできる。
カーボンブラックの分散方法には公知の分散方法を適用でき、たとえば、ボールミル、サンドミル、バスケットミル、三本ロールミル、プラネタリーミキサー、ビーズミル、超音波分散等の方法が挙げられ、これらの分散方法を適宜選択して分散作業を行う。好ましくはボールミル法である。
本発明に用いる溶媒としては、酸二無水物とジアミンを重合反応させる際の溶媒として適宜なものを用いうるが、溶解性等の点から有機極性溶媒が好ましく用いられ、カーボンブラックの分散用と重合反応の溶媒用とを兼用できるものがより好ましい。特にカーボンブラックの分散性を高めるものであれば特に制限されないが、N,N−ジアルキルアミド類が有用であり、例えば低分子量のものとしてN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等が挙げられる。これらは、蒸発、置換又は拡散によりポリアミド酸及びポリアミド酸成形品から容易に除去することができる。また、上記以外の有機極性溶媒として、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルメトキシアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルトリアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ピリジン、テトラメチレンスルホン、ジメチルテトラメチレンスルホン等が挙げられる。
カーボンブラック分散ポリアミド酸溶液の調製は、例えば、有機極性溶媒中にジアミンと酸二無水物を溶解し、重合反応後得られたポリアミド酸溶液中に予め調製しておいたカーボンブラック分散液を添加し混合・攪拌する方法か、或いは、予め調製しておいたカーボンブラック分散液中にジアミン及び酸二無水物を溶解し、重合反応する方法等が挙げられるが、カーボンブラックの分散性を均一にするためには、後者の方法が好ましい。なお、酸二無水物成分とジアミン成分とは通常等モル量使用される。
酸二無水物成分としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、エチレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
ジアミン成分としては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジクロロベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、1,5−ジアミノナフタレン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニルジアミン、ベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、2,4−ビス(β−アミノ−t−ブチル)トルエン、ビス(p−β−アミノ−t−ブチルフェニル)エーテル、ビス(p−β−メチル−t−アミノフェニル)ベンゼン、ビス−p−(1,1−ジメチル−5−アミノ−ペンチル)ベンゼン、1−イソプロピル−2,4−m−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、ジ(p−アミノシクロへキシル)メタン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ジアミノプロピルテトラメチレン、3−メチルへブタメチレンジアミン、4,4−ジメチルヘプタメチレンジアミン、2,11−ジアミノドデカン、1,2−ビス−3−アミノプロポキシエタン、2,2−ジメチルプロピレンジアミン、3−メトキシヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘプタメチレンジアミン、3−メチルへプタメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、2,11−ジアミノドデカン、2,17−ジアミノエイコサデカン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,10−ジアミノ−1,10−ジメチルデカン、1,12−ジアミノオクタデカン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、ピペラジン、HN(CHO(CHOCHNH、HN(CHS(CHNH、HN(CHN(CH(CHNH等が挙げられる。
各原料の配合量に関しては、最終的に得られるポリイミド樹脂組成物の目的とする用途により、これに適合した組成を実験的に検討する必要がある。例えば、表面抵抗率の常用対数値が8〜13(logΩ/□)である半導電性ポリイミドベルトを得るためのカーボンブラックの添加量は、ポリイミド樹脂固形分に対し10〜40重量%程度が好ましく、10〜30重量%がより好ましい。10重量%より少ない低添加量で加えると、安定した抵抗を再現よく製造するのが困難となる場合があり、40重量%より多いと、ポリイミド樹脂本来の高い機械特性が損なわれ、脆性が発現し、ベルトを複数の駆動ローラ等により駆動する際にベルト端面に亀裂を生じる恐れがある。
ポリアミド酸溶液におけるモノマー濃度(溶媒中の酸二無水物成分とジアミン成分の濃度)は、種々の条件に応じて設定されるが、5〜30重量%が好ましい。また、重合反応は窒素雰囲気下で行い、反応温度は60℃以下に設定することが好ましく、反応時間は0.5〜10時間程度が好ましい。
ポリアミド酸溶液は、重合反応の進行に従い、溶液粘度が増大するため、粘度を調整することができる。また、溶媒の添加等でモノマー濃度を下げることによって、粘度の調整も可能である。本発明におけるポリアミド酸溶液の粘度は、通常、1〜1000Pa・sである。
本発明の製造方法は、熱硬化性で高粘度の樹脂に対して好適であり、特に、樹脂溶液がポリアミド酸溶液を主成分とする溶液である場合に好適である。用途面からも耐熱性、機械的強度、化学的安定性などに優れた特性を生かすことができるポリイミド樹脂を、短時間で乾燥、成形しつつ、かつ表面抵抗率のバラつきのない小さいシームレスベルトに仕上げるのに非常に適した製造方法といえる。このようにして得られるシームレスベルトは、複写機、プリンタ等の転写搬送ベルト、中間転写ベルト、転写定着ベルト、感光体ベルトなど、機能性ベルトとして優れておりその他広範囲な分野への用途展開も可能である。
以下、本発明について、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。なお、実施例等における評価は下記のようにして行った。
下記の実施例に示すメッキの平均厚みは、(株)サンコウ電子研究所製の電磁式デジタル膜厚計SDM−3000を用い、図2に示すように金型周壁Wの金型の軸芯と平行な同一軸上の略等間隔50mmで離れた9箇所(図中の○は測定箇所を示す。)を90°異なる位置の4軸に対して特定した合計36箇所にてメッキ厚みを測定し、それらの平均値を算出した結果である。また、最大メッキ厚みバラつきは、
下記式、
Figure 2010137465
から算出した。
実施例1
N−メチル−2−ピロリドン(NMP)1687gとイソキノリン163gの混合溶液中にカーボンブラック(MA100、三菱化学社製、ファーネスブラック、一次粒子に基づく平均粒子径22nm)200gとポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)100gを添加した。ボールミルで12時間室温にて攪拌することにより分散した後、#400ステンレスメッシュでろ過しカーボン濃度10%のカーボンブラック分散液を得た。このカーボンブラック分散液1923.39gを5000mlの4つ口フラスコに移し、N−メチル−2−ピロリドン2040.13gとp−フェニレンジアミン227.09g(2.1モル)を仕込み、常温で攪拌させながら溶解した。次いで、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物617.86g(2.1モル)を添加し、温度20℃で1時間反応させた後、75℃で20時間加熱しながら攪拌することにより、B型粘度計による溶液粘度が150Pa・sのカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液(固形分濃度20wt%、カーボンブラックの添加量樹脂に対して25部)を得た。このカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液を#800のステンレスメッシュを用いてろ過し、半導電性ポリイミドベルト形成用ワニスとした。次に、円筒金型I(内径200mm、長さ500mm、壁厚5mm、ハードクロムメッキ(平均厚み:14.1μm、最大メッキ厚みバラつき:4.3%))を用意し、この金型Iの内周面に、前記半導電性ポリイミドベルト形成用ワニスをディスペンサーにより厚みが600μmになるように塗布した。
次に、回転成形機にて1500rpmで10分間回転させて均一厚の展開層とした後、10rpmで回転させながら、1kHz電源を用いた誘導加熱により金型を345℃まで加温し溶媒の除去、脱水閉環水の除去、及びイミド転化を行った。その後室温に戻し、厚さ77〜78μmのシームレスベルトを得た。
実施例2
誘導加熱に用いる電源の周波数を10kHzとし、実施例1と同様の方法によりシームレスベルトを得た。
比較例1
誘導加熱に用いる電源の周波数を25kHzとし、実施例1と同様の方法によりシームレスベルトを得た。
実施例3
円筒金型Iの代わりに、円筒金型II(内径200mm、長さ500mm、壁厚5mm、ハードクロムメッキ(平均厚み:28.0μm、最大メッキ厚みバラつき:12.6%))を使用した以外は実施例1と同様の方法によりシームレスベルトを得た。
実施例4
円筒金型Iの代わりに、円筒金型II(内径200mm、長さ500mm、壁厚5mm、ハードクロムメッキ(平均厚み:28.0μm、最大メッキ厚みバラつき:12.6%))を使用した以外は実施例2と同様の方法によりシームレスベルトを得た。
比較例2
誘導加熱に用いる電源の周波数を25kHzとし、実施例3と同様の方法によりシームレスベルトを得た。
(評価試験)
実施例1〜3及び比較例1〜3で製造されたシームレスベルトについて、ハイレスタUP、MCP−HTP16(三菱化学社製、プローブ:URS)にて、印加電圧500V、10秒後、測定条件25℃、60%RHでの表面抵抗率を測定し、その表面抵抗率を常用対数値にて示した。なお、表面抵抗率の測定は、サンプル(シームレスベルト)の、前記金型のメッキ厚みの測定箇所(金型周壁の同一軸上の9箇所を90°異なる位置の4軸に対して特定した合計36箇所)に対応する36箇所で行い、シームレスベルトの長軸方向に50mmの間隔で離間する9箇所の位置(測定位置1〜9)での、同一円周上の4つの測定箇所の測定値(表面抵抗率)の平均値を算出した。結果を図3〜5に示す。
図3は金型Iを電源周波数が1kHzの誘導加熱で加熱することで形成されたシームレスベルト(実施例1)と、金型IIを電源周波数が1kHzの誘導加熱で加熱することで形成されたシームレスベルト(実施例3)の測定位置毎の表面抵抗率を示した図、図4は金型Iを電源周波数が10kHzの誘導加熱で加熱することで形成されたシームレスベルト(実施例2)と、金型IIを電源周波数が10kHzの誘導加熱で加熱することで形成されたシームレスベルト(実施例4)の測定位置毎の表面抵抗率を示した図、図5は金型Iを電源周波数が25kHの誘導加熱で加熱することで形成されたシームレスベルト(比較例1)と、金型IIを電源周波数が25kHの誘導加熱で加熱することで形成されたシームレスベルト(比較例2)の測定位置毎の表面抵抗率を示した図である。
また、図3〜5に示した金型Iを用いて作製したベルトと金型IIを用いて作製したベルトのそれぞれの測定位置毎の表面抵抗率の平均値から、各電源周波数について、それぞれの標準偏差を算出し、各測定位置での表面抵抗率のバラつきの指標と見なした。この標準偏差を全測定位置で平均した結果を表1に示す。
Figure 2010137465
表1および図3〜5から、電源周波数が25kHzの誘導加熱により金型を加熱してシームレスベルトを作製した場合、表面抵抗率のバラつきが大きくなっていることがわかる。このため、複数の金型を用いて量産する際に、ロット間の表面抵抗率のバラつきが大きくなることが想定され、高精度で表面低効率の管理が必要な用途向けのベルトの量産のために、歩留まりの低下を招くおそれがある。
量産できるだけの能力を確保するため最低限、バラつきは0.1程度に抑える必要がある。よって、表1の結果からは周波数10kHz以下であれば、ある程度バラつきは抑えることが可能と考えられる。また図3〜5より異なる金型を用いて製膜を行っても、金型間における表面抵抗率バラつきが抑えられていることが分かる。
図1は本発明に係る方法を実施するための装置の一例を示す説明図である。 図2は本発明に係る金型のメッキ厚みの測定箇所を説明する模式図である。 図3は周波数1kHzにおけるシームレスベルトの各測定位置での表面抵抗率を示す図である。 図4は周波数10kHzにおけるシームレスベルトの各測定位置での表面抵抗率を示す図である。 図5は周波数25Hzにおけるシームレスベルトの各測定位置での表面抵抗率を示す図である。
符号の説明
1 円筒状金型
2 コイル
3 回転ローラ
4 高周波電源

Claims (5)

  1. 円筒状金型の内面に樹脂溶液を展開し、金型の回転及び誘導加熱により加熱成型を行なうシームレスベルトの製造方法であって、誘導加熱に用いる電源の周波数が1kHz〜10kHzであることを特徴とするシームレスベルトの製造方法。
  2. 円筒状金型と加熱用誘導コイルとの離間距離を調整可能にしたことを特徴とする請求項1記載のシームレスベルトの製造方法。
  3. 誘導加熱による金型の加熱速度が1℃/分〜60℃/分であることを特徴とする請求項1記載のシームレスベルトの製造方法。
  4. 樹脂溶液がカーボンブラック分散樹脂溶液である、請求項1〜3のいずれか1項記載のシームレスベルトの製造方法。
  5. カーボンブラック分散樹脂溶液が、カーボンブラック分散ポリアミド酸溶液を主成分とする樹脂溶液である請求項4記載のシームレスベルトの製造方法。
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