JP2010137240A - 伝動ベルト用エレメントの成形方法および成形装置 - Google Patents

伝動ベルト用エレメントの成形方法および成形装置 Download PDF

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Abstract

【課題】エレメントのサドル面とリングの内周面とのエッジ当たりを防止して耐久性を向上させることができる伝動ベルト用エレメントの成形方法および成形装置を提供すること。
【解決手段】板片状の複数の個体を姿勢を揃えた状態で互いに対向させて環状に配列するとともに、それらをリング9によって結束することにより伝動ベルトBを構成するエレメント1の成形方法であって、リング9により結束される際にリング9の内周面9aと当接するサドル面10を有するエレメント1を、板状の素材25を圧縮加工および打ち抜き加工するプレス加工により成形する伝動ベルト用エレメントの成形方法において、素材25の板面25aがプレス加工の際のプレス方向と直交する平面Pに対して傾斜した状態に素材25を配置し、その状態でプレス加工を実施してエレメント1を成形する。
【選択図】図4

Description

この発明は、板厚方向に姿勢を揃えて環状に配列された状態でリングによって結束されることにより伝動ベルトを構成するエレメントの成形方法およびその成形装置に関するものである。
巻き掛け伝動機構を利用したベルト式無段変速機は、駆動側プーリおよび従動側プーリの2組のプーリと、それらのプーリに巻き掛けられる伝動ベルトとを使用して変速比を無段階に変化させる変速機である。そのようなベルト式無段変速機に用いられる伝動ベルトとして、例えば、エレメントあるいはブロックなどと称される多数の板片をその板厚方向に互いに重ね合わせて環状に配列するとともに、それらの板片をリングあるいはバンドあるいはキャリアなどと称される環状の帯状体で環状に結束することにより、無端環状に形成されたベルトが知られている。
このような伝動ベルトが、駆動側および従動側の2組のプーリに巻き掛けられた状態で駆動側プーリが駆動されると、エレメントには、エレメントと駆動側プーリとの接触部分の摩擦力、および、駆動側プーリのトルクに応じて駆動側プーリからエレメントに対して加えられるエレメントの積層方向すなわちエレメントの厚さ方向の圧縮力が作用する。そして、駆動側プーリに接触しているエレメントに伝達された圧縮力は、プーリに巻き掛けられていないエレメントを経由して、従動側プーリに接触しているエレメントに伝達される。この従動側プーリに接触しているエレメントに圧縮力が伝達されると、そのエレメントと従動側プーリとの接触部分の摩擦力、および伝達された圧縮力に応じて従動側プーリを回転させようとするトルクが発生する。このようにして、駆動側プーリと従動側プーリとの間で、伝動ベルトを介して動力伝達が行われる。
上記のような伝動ベルトを構成するエレメントの成形方法の一例が特許文献1に記載されている。この特許文献1に記載されているベルト用エレメントの成形方法は、プーリに巻き掛けられる無端状のベルトを構成するために厚さ方向に多数積層されるものであって、プーリ間で動力を伝達する場合に厚さ方向に圧縮力が加えられる胴部と、この胴部よりもベルトの外周側に設けられた頭部と、この頭部と胴部とを接続する首部と、頭部に設けられて厚さ方向に窪んだ係合凹部および厚さ方向に突出した係合凸部とを有するエレメントを、金属製の板状材料をプレス加工して成形する方法であって、板状材料を圧縮加工して係合凹部および係合凸部を形成し、かつ、その板状材料における係合凹部および係合凸部を含む領域を打ち抜き加工してエレメントの輪郭を形成するようになっている。
特開2006−192459号公報
上記の特許文献1に記載されているようなエレメントの成形方法によれば、エレメントは、具体的には図8に示すように、金属製の板状の素材aをダイスbに設置し、そのダイスbとプレス方向もしくは打ち抜き方向(図8での上下方向)で対向する板押さえcにより素材aを固定し、その状態でパンチdおよびイジェクタeならびに板押さえcにそれぞれ載荷して素材aを圧縮および打ち抜き加工することにより、係合凹部および係合凸部などの表面の形状が形成されるとともに、エレメントEの外形の輪郭が形成される。
このような従来のプレス加工では、通常、ダイスbおよび板押さえcおよびパンチdならびにイジェクタeにおけるプレス面の方向(図8での左右方向)と、パンチdおよびイジェクタeのプレス方向とが直交している。すなわち、エレメントEの素材aは、その板面の方向(図8での左右方向)がプレス方向と直交するように配置されてプレス加工される。そのため、プレス加工後のエレメントEの輪郭を形成する外形部は、その板厚方向に、図9の(a)に示すように、抜き勾配(図9の(a)のθ1で示す部分)と打ち抜きによるせん断時に発生するだれ(図9の(a)のθ2で示す部分)とによる勾配が形成される。なお、図10に従来のプレス加工により成形したエレメントEのサドル面fの板厚方向における輪郭形状測定データを参考に示してある。サドル面fの板厚方向には、プレス加工の抜き勾配部分と、その抜き勾配部分よりもさらに傾斜しているだれ部分とによる勾配が形成されることが分かる。
上記のような勾配が図9の(a)に示すようなエレメントEのいわゆるサドル面fの板厚方向に形成されると、言い換えると、エレメントEのサドル面fが、図9の(a)に示すような勾配の傾斜面として形成されると、図9の(b)に示すように、エレメントEとリングRとを組み付けた状態で、エレメントEのサドル面fが板厚方向に傾斜することにより形成されるエッジ部gとリングRの内周面hとが当接し、すなわちエレメントEのサドル面fとリングRの内周面hとの間にエッジ当たりが生じ、リングRの内周面hに発生する曲げ応力や接触応力が大きくなってしまう。その結果、リングRすなわち伝動ベルトの耐久性が低下してしまう可能性があった。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、エレメントのサドル面とリングの内周面とのエッジ当たりを防止して耐久性を向上させることができる伝動ベルト用エレメントの成形方法および成形装置を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、板片状の複数の個体を姿勢を揃えた状態で互いに対向させて環状に配列するとともに、それらをリングによって結束することにより伝動ベルトを構成するエレメントの成形方法であって、前記リングにより結束される際に前記リングの内周面と当接するサドル面を有する前記エレメントを、板状の素材を圧縮加工および打ち抜き加工するプレス加工により成形する伝動ベルト用エレメントの成形方法において、前記素材の板面が前記プレス加工の際のプレス方向と直交する平面に対して傾斜した状態に前記素材を配置し、その状態で前記プレス加工を実施して前記エレメントを成形することを特徴とする伝動ベルト用エレメントの成形方法である。
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、いずれか一方の前記板面の前記エレメントに成形された際の内周側端部を含む前記平面に対して該一方の板面の前記エレメントに成形された際の外周側端部が前記プレス加工の際にだれが生じる面側へ遠ざかる方向に前記傾斜が設定されていることを特徴とする伝動ベルト用エレメントの成形方法である。
一方、請求項3の発明は、板片状の複数の個体を姿勢を揃えた状態で互いに対向させて環状に配列するとともに、それらをリングによって結束することにより伝動ベルトを構成するエレメントを成形するための装置であって、前記リングにより結束される際に前記リングの内周面と当接するサドル面を有する前記エレメントを、板状の素材を圧縮加工および打ち抜き加工するプレス加工により成形する伝動ベルト用エレメントの成形装置において、前記プレス加工の際に前記素材を載置するとともに前記素材の板面と当接して前記圧縮加工もしくは打ち抜き加工を行う成形型のプレス面および押さえ面に、前記プレス加工の際のプレス方向と直交する平面に対して傾斜した傾斜面が設けられていることを特徴とする伝動ベルト用エレメントの成形装置である。
また、請求項4の発明は、請求項3の発明において、いずれか一方の前記板面の前記エレメントに成形された際の内周側端部を含む前記平面に対して該一方の板面の前記エレメントに成形された際の外周側端部が前記プレス加工の際にだれが生じる面側へ遠ざかる方向に前記傾斜が設定されていることを特徴とする伝動ベルト用エレメントの成形装置である。
請求項1の発明によれば、プレス方向と直交する平面に対して、素材の板面が傾斜した状態でプレス加工が実施される。その結果、素材の板面がプレス方向と直交するように素材を配置してエレメントを成形する従来の成形方法と比較して、プレス加工時の打ち抜きにより形成されるエレメントのサドル面の傾斜角度を変更することができる。すなわち、プレス方向に直交する平面に対して適切な傾斜を設けて素材を配置した状態でエレメントをプレス加工することにより、プレス加工の際にサドル面に形成される傾斜が調整されて、エレメントに、リングの内周面に対するエッジ当たりを回避もしくは抑制できる形状のサドル面が形成される。そのため、エッジ当たりによる応力集中や過大な応力の発生を防止し、伝動ベルトの耐久性を向上させる伝動ベルト用エレメントを成形することができる。
また、請求項2の発明によれば、プレス方向と直交する平面に対して、成形後のエレメントの外周側端部が成形時にかえりが生じる側からだれが生じる側へ傾く方向に素材の板面が傾斜した状態でプレス加工が実施される。その結果、プレス加工後のエレメントのサドル面に抜き勾配とだれとにより形成される傾斜面が、サドル面の板厚方向の中央部分に凸となるので、エレメントとリングとを組み付けた際にリングの内周面に対するエッジ当たりの発生が回避もしくは抑制される。そのため、エッジ当たりによる応力集中や過大な応力の発生を防止し、伝動ベルトの耐久性を向上させる伝動ベルト用エレメントを成形することができる。
一方、請求項3の発明によれば、プレス方向と直交する平面に対して素材の板面が傾斜した状態で素材がプレス加工の成形型に配置される。そしてその傾斜に対応した傾斜面が設けられている成形型のプレス面および押さえ面を介して素材に載荷されてプレス加工が実施される。その結果、素材の板面がプレス方向と直交するように素材を配置してエレメントを成形する従来の成形方法と比較して、プレス加工時の打ち抜きにより形成されるエレメントのサドル面の傾斜角度を変更することができる。すなわち、プレス方向に直交する平面に対して適切な傾斜を設けて素材を配置した状態でエレメントをプレス加工することにより、プレス加工の際にサドル面に形成される傾斜が調整されて、エレメントに、リングの内周面に対するエッジ当たりを回避もしくは抑制できる形状のサドル面が形成される。そのため、エッジ当たりによる応力集中や過大な応力の発生を防止し、伝動ベルトの耐久性を向上させる伝動ベルト用エレメントを成形することができる。
また、請求項4の発明によれば、プレス方向と直交する平面に対して、成形後のエレメントの外周側端部が成形時にかえりが生じる側からだれが生じる側へ傾く方向に素材の板面が傾斜した状態で素材が成形型に配置される。そしてその傾斜に対応した傾斜面が設けられている成形型のプレス面および押さえ面を介して素材に載荷されてプレス加工が実施される。その結果、プレス加工後のエレメントのサドル面に抜き勾配とだれとにより形成される傾斜面が、サドル面の板厚方向の中央部分に凸となるので、エレメントとリングとを組み付けた際にリングの内周面に対するエッジ当たりの発生が回避もしくは抑制される。そのため、エッジ当たりによる応力集中や過大な応力の発生を防止し、伝動ベルトの耐久性を向上させる伝動ベルト用エレメントを成形することができる。
つぎに、この発明を図面を参照して具体的に説明する。先ず、この発明で対象とする伝動ベルト用エレメントの構成について説明する。図1,図2に、この発明に係る伝動ベルトおよびその伝動ベルトを構成する伝動ベルト用エレメントの構成例を示してある。ここで示す伝動ベルトBは、例えばベルト式無段変速機の駆動側(入力軸)プーリと従動側(出力軸)プーリとに巻き掛けられて、それらのプーリの間で動力を伝達するベルトの例である。図1において、エレメント1は、例えば金属製の板片状の部材からなり、その幅方向(図1のx軸方向)における左右の両端面2,3がテーパ状の傾斜した面として形成された基体部分である板部(本体部)4を有している。そして、そのテーパ状に傾斜した左右端面2,3が、ベルト式無段変速機の駆動側プーリあるいは従動側プーリであるプーリ5のベルト巻き掛け溝(V形溝)5aに摩擦接触してトルクを伝達する摩擦面となっている。
板部4の幅方向(図1のx軸方向)における中央部に、図1での上方すなわち伝動ベルトBとしての外周側に延びた首部6が形成されている。その首部6の上端部には、板部4の幅方向での両側に傘状に延びた頂部7が首部6と一体に形成されている。したがって板部4の図1,図2での上側のエッジ部分と頂部7の図1,図2での下側のエッジ部分との間に、図1での左右方向に開いたスリット部(溝部)8が形成されている。このスリット部8は、互いに密着して環状に配列されたエレメント1を環状に結束するための、例えば金属製の環状の帯状体であるリング9を挿入して巻き掛けるための部分であり、したがって板部4の図1,図2での上側のエッジ部分が、エレメント1にリング9が巻き掛けられる際にリング9の内周面9aを接触させて載せる、言い換えると、環状に配列された複数のエレメント1がリング9により結束される際にリング9の内周面9aと接触するサドル面10となっている。
また、各エレメント1には、相対的な位置を決めるために互いに嵌合する凸部および凹部が形成されている。すなわち、前述した首部6の延長位置(あるいは頂部7の中心部)には、エレメント1の板厚方向(図2のz軸方向)における一方の側面1a(図2での左側の側面)に凸となる断面円形のディンプル11が形成されている。そしてこのディンプル11とは反対側の他方の側面1b(図2での右側の側面)に凹となるとともに、隣接するエレメント1におけるディンプル11を緩く嵌合(挿入)させる有底円筒状のホール12が形成されている。したがってこれらのディンプル11とホール12とが嵌合することにより、環状に配列される際に互いに隣接するエレメント1同士の図1での左右方向および上下方向の相対位置を決めるようになっている。
このような構成のエレメント1では、ディンプル11とホール12とによって図1,図2での上下方向の位置が規制され、これに対してリング9の張力によってサドル面10に図1,図2での下向きすなわち伝動ベルトBとしての内周方向の荷重が作用する。そのため、例えばディンプル11あるいはホール12とサドル面10との間の寸法のばらつきなどの影響によって、首部6を引っ張る方向、もしくは圧縮する方向の荷重が作用する場合がある。その場合、サドル面10が首部6の基端部から直角方向(図1のx軸方向)に延びているから、首部6とサドル面10との間に曲げモーメントが作用する。その曲げモーメントは、首部6とサドル面10との境界部となっているコーナー部で最大となるから、この部分での応力集中を防止するために、そのコーナー部を円弧状に窪ませたいわゆる隅R部13が形成されている。
このエレメント1は、環状に配列された状態でリング9によって結束され、その状態で駆動側および従動側のそれぞれのプーリ5に巻き掛けられる。したがってプーリ5に巻き掛けられた状態では、各エレメント1が、プーリ5の中心に対して扇状に拡がり、言い換えると、各エレメント1が円弧状に湾曲した配列状態になり、かつ、互いに密着する必要があるため、各エレメント1の図1,図2での下側の部分(環状に配列した状態での中心側の部分)が薄肉に形成されている。すなわち、板部4の板厚方向(図2のz軸方向)における一方の側面1aが、エレメント1が円弧状に湾曲した配列状態のときに半径方向となるエレメント1の高さ方向(図1,図2のy軸方向)におけるサドル面10より所定寸法下がった(オフセットされた)部分から下側の部分が、板部4の板厚よりも薄肉となるように形成されている。
そのため、各エレメント1が扇形に拡がって接触する場合、その板厚の変化する境界部分で接触する。すなわち、この境界部分のエッジが、各エレメント1が円弧状に湾曲した配列状態となった場合に隣接する他のエレメント1に接触するロッキングエッジ14となっている。
そして、上記のように構成される多数のエレメント1と、2本のリング9とを組み付けることにより、伝動ベルトBが構成される。すなわち、伝動ベルトBは、図3に示すように、所定の枚数の多数のエレメント1をそれぞれの向きおよび姿勢を揃えて環状に配列し、それらエレメント1のスリット部8に、2本のリング9をそれぞれ挿入して巻き掛けて、エレメント1をリング9で環状に結束することにより構成されている。
ここで、上記のようなエレメント1は、板状の素材、主に金属の板材を材料として、通常、プレスにより圧縮加工および打ち抜き加工するプレス加工によって成形される。すなわち、金属製の板状の素材を圧縮加工することによりエレメント1の両側面1a,1bのディンプル11およびホール12の形状が成形されるとともに、打ち抜き加工することによりエレメント1の輪郭形状が成形される。特に、エレメント1の輪郭形状は、偏荷重や応力集中の発生を防ぐために高い精度が要求されるので、エレメント1は、精密打ち抜き加工もしくはファインブランキングなどと称される精密プレス加工によって成形される。
上記のようにしてエレメント1をプレス加工により成形する場合、従来一般的には、前述の図8に示すように、プレス加工の際のプレス方向すなわちプレス加工の際の載荷方向に対してエレメント1を成形するための素材の板面(板材の板厚方向で表裏に対向する平面)の方向が直交するように素材が配置されてプレス加工される。したがって、前述したように、プレス加工による成形後のエレメント1の外形面すなわちエレメント1の輪郭を形成する板厚方向の輪郭面には、プレス加工の際に不可避的に発生する抜き勾配とだれとによる勾配が形成される。すなわち、エレメント1の輪郭面には、前述の図9の(a)に示した例と同様の、抜き勾配とだれとからなるエレメント1の板厚方向に対する傾斜が不可避的に形成される。
このような傾斜が特にエレメント1のサドル面10に形成されると、サドル面10と、エレメント1の一方の側面1aとのなす角が、エレメント1の外部に鋭角に凸となるエッジ部となる。すると、エレメント1とリング9とを組み付けた際に、すなわち環状に配列された状態の多数のエレメント1がリング9により結束される際に、エレメント1のサドル面10とリング9の内周面9aとが当接する部分が、前述の図9の(b)に示した例と同様にエッジ当たりとなり、その結果、リング9の内周面9aに発生する応力が大きくなってしまう。
そこで、この発明に係る伝動ベルト用エレメントの成形方法およびその成形装置では、エレメント1をプレス加工により成形する際に供される板状の素材を、その板面がプレス方向に直交する平面に対して傾斜した状態に配置して、その状態でプレス加工を実施することにより、エレメント1のサドル面10に上記のような鋭角のエッジ部が形成されることを回避し、サドル面10をその板厚方向の中央部分で外部に凸となる形状に形成できるようになっている。
具体的には、先ず、この発明に係る伝動ベルト用エレメントの成形装置について説明する。図4に、上述したこの発明で対象としているエレメント1をプレス加工により成形するためのプレス成形装置Mの構成を示してある。前述したように、この発明で対象としているエレメント1は、機能上、特にその輪郭形状を高精度に形成する必要があり、そのためこのプレス成形装置Mは、例えばエレメント1の輪郭形状を高精度で打ち抜き加工するいわゆる精密打ち抜き(ファインブランキング)が可能な構成であることが好ましい。
図4において、プレス成形装置Mは、プレス加工の際に互いに対となる上下の成形型として、この図4に示す例では上型となるパンチ21および板押さえ22と、この図4に示す例では下型となるダイ23およびイジェクタ24とから構成されている。
パンチ21およびイジェクタ24は、互いに鉛直方向(図4の上下方向)に対向する位置に配置されていて、この例では、それぞれ鉛直方向で上下に移動可能な構成となっている。このうち、パンチ21は、鉛直方向下向きにプレス加工の際のプレス荷重が載荷されるように構成され、イジェクタ24は、鉛直方向上向きにプレス荷重が載荷されるように構成されている。
これらパンチ21およびイジェクタ24の互いに対向する先端部には、それぞれ、プレス加工の際に素材25の板面25a,25bに当接してプレス荷重を載荷する載荷面となるプレス面21a,24aが形成されている。すなわち、この図4に示す例では、パンチ21のプレス面21aには、素材25の板面25bと当接し、主にエレメント1のホール12の形状を成形するための型が形成されていて、イジェクタ24のプレス面24aには、素材25の板面25a(板面25bの板厚方向で反対側の面)と当接し、主にエレメント1のディンプル11やロッキングエッジ14等の形状を成形するための型が形成されている。
また、パンチ21のプレス面21aは、そのプレス面21a方向における輪郭形状がエレメント1の輪郭形状とほぼ同一の形状になっていて、素材25を打ち抜いてエレメント1の輪郭形状を形成する際の切刃となるように構成されている。また、イジェクタ24のプレス面24aも、そのプレス面24a方向における輪郭形状がエレメント1の輪郭形状とほぼ同一の形状となるように構成されている。
したがって、パンチ21とイジェクタ24とによって素材25にプレス荷重を載荷することにより、素材25の両板面25a,25bにエレメント1の両側面1a,1bの表面形状を成形することができる。すなわち、素材25の板面25bにパンチ21のプレス面21aを介してプレス荷重を載荷することにより、板面25bにホール12などのエレメント1の側面1bの形状を成形することができる。また、素材25の板面25aにイジェクタ24のプレス面24aを介してプレス荷重を載荷することにより、板面25aにディンプル11およびロッキングエッジ14などのエレメント1の側面1aの形状を成形することができる。
一方、ダイ23は、パンチ21と対向する側であって、イジェクタ24のプレス面24a方向の輪郭を取り囲む位置に配置されていて、この例では、鉛直方向下向きの荷重に対する反力受けとなるように、例えばプレス成形装置Mの本体(図示せず)等に固定されている。
このダイ23のパンチ21に対向する先端部には、プレス加工の際に素材25を所定の位置に載置し、かつ素材25の板面25aに当接してプレス荷重(反力)を載荷する載荷面となるとともに、素材25を打ち抜き加工する際の切刃となるプレス面23aが形成されている。
すなわち、ダイ23には、内部が鉛直方向にくり抜かれ、パンチ21およびイジェクタ24を挿入してそれらが鉛直方向で相対移動可能な中空部分が形成されていて、そのくり抜かれた中空部分の内周面のプレス面23a方向における輪郭形状が、エレメント1の輪郭形状とほぼ同一の形状になっている。より具体的には、パンチ21のプレス面21aの輪郭(すなわち切刃)形状に対して所定のクリアランス分だけ拡大された形状になっている。そして素材25を打ち抜いてエレメント1の輪郭形状を成形する際に、前記のパンチ21のプレス面21aによる一方の切刃に対向する他方の切刃となるように構成されている。
したがって、パンチ21によって素材25にプレス荷重を載荷することにより、素材25を打ち抜いてエレメント1の輪郭形状を形成することができる。すなわち、パンチ21のプレス面21aの外形に形成された切刃とダイ23の中空部分の内周に形成された切刃とにより素材25をせん断し、すなわち素材25をエレメント1に輪郭形状に打ち抜いて、エレメント1の輪郭形状を成形することができる。
なお、前述したイジェクタ24は、素材25の板面25aの表面形状を形成するために載荷された状態でも鉛直方向下向きに移動可能になっている。したがって、パンチ21およびイジェクタ24にそれぞれ載荷して素材25の両板面25a,25bにエレメント1の両側面1a,1bの表面形状を形成する状態、すなわち圧縮加工する状態で、パンチ21に載荷した荷重により素材25をパンチ21の切刃およびダイ23の切刃に応じて打ち抜き加工することができる。
また、上記のようにしてパンチ21とダイ23とにより素材25を打ち抜き加工してエレメント1の輪郭形状を成形する場合、素材25の両板面25a,25bすなわちエレメント1の両側面1a,1bには、それぞれ、打ち抜き加工のせん断によるだれもしくはかえりが不可避的に発生する。すなわち、この図4で示す例では、打ち抜き加工の際に最初にダイ23の切刃が食い込んでせん断が開始されるエレメント1の一方の側面1aの輪郭部分にだれが発生し、打ち抜き加工の際に最後にせん断されるエレメント1の他方の側面1bの輪郭部分にかえりが発生することになる。したがって、図4で示す例のようにエレメント1を成形する場合、エレメント1の側面1aが“だれが生じる側”となり、エレメント1の側面1bが“かえりが生じる側”となる。
また一方、板押さえ22は、ダイ23と対向する側であって、パンチ21のプレス面21a方向の輪郭を取り囲む位置に配置されていて、この図4で示す例では、鉛直方向で上下に移動可能であるとともに、プレス加工の際に鉛直方向下向きの荷重が載荷されるように構成されている。
この板押さえ22のダイ23に対向する先端部には、プレス加工の際、すなわち板押さえ22に鉛直方向下向きの荷重が載荷される際に、素材25の板面25bに当接して、上記のような素材25を固定しかつ素材25の打ち抜き部分周辺に圧縮応力を作用させるための荷重を載荷する載荷面となる押さえ面22aが形成されている。
すなわち、板押さえ22には、内部が鉛直方向にくり抜かれ、パンチ21を挿入してそれが鉛直方向で相対移動可能な中空部分が形成されていて、そのくり抜かれた中空部分の内周面の押さえ面22a方向における輪郭形状が、エレメント1の輪郭形状とほぼ同一の形状になっている。より具体的には、パンチ21のプレス面21aの輪郭形状に対して所定のクリアランス分だけ拡大された形状になっている。
そして、上記の各プレス面21a,23a,24aおよび押さえ面22aは、それぞれ、プレス加工の際のプレス(載荷)方向、すなわちこの図4で示す例では鉛直方向に直交する平面に対して角度αだけ傾斜した傾斜面21a,23a,24a,22aとして形成されている。言い換えると、パンチ21および板押さえ22およびダイ23ならびにイジェクタ24、すなわちこのプレス成形装置Mの各成形型21,22,23,24の各プレス面21a,23a,24aおよび押さえ面22aには、それぞれ、プレス加工の際のプレス方向と直交する平面に対して角度αだけ傾斜した傾斜面21a,23a,24a,22aが設けられている。
この角度αによる傾斜は、図4に示すように、素材25の板面25bのエレメント1に成形された際の内周側端部1cを含むプレス方向と直交する平面Pに対して、板面25aのエレメント1に成形された際の外周側端部1dがプレス加工の際に“だれが生じる側”すなわち側面1a側に遠ざかる方向に設定されている。
したがって、上記のように構成されたプレス成形装置Mによりエレメント1を成形する場合、板状の素材25の板面25a,25bが、プレス加工の際のプレス方向と直交する平面、特に板面25bのエレメント1に成形された際の内周側端部1cを含むプレス方向と直交する平面Pに対して、板面25bのエレメント1に成形された際の外周側端部1dがプレス加工の際に“だれが生じる側”の側面1a側に遠ざかる方向に傾斜した状態に素材25をプレス成形装置Mに配置し、そしてその状態で、素材25を圧縮加工および打ち抜き加工するプレス加工を実施してエレメント1を成形することができる。
つぎに、この発明に係る伝動ベルト用エレメントの成形方法、すなわち、上記のように構成されたプレス成形装置Mを用いたエレメント1の成形方法について説明する。先ず、エレメント1を成形するための素材25として、金属製の板材が供給される。図5に示すように、例えば、圧延加工などにより帯板状に成形され、かつエレメント1の側面1a側のロッキングエッジ14よりも下方側の段差部分を形成するために、予め断面に段差を持つ板材として形成された素材25であってもよい。
供給された素材25は、プレス成形装置Mのダイ23に載置される。具体的には、素材25の板面25aとプレス面23aとが当接するように、素材25が、ダイ23のプレス面23aすなわち傾斜面23aの所定の位置に載置される。前述したように、ダイ23のプレス面23aはプレス加工の際のプレス方向と直交する平面に対して角度αだけ傾斜した傾斜面23aとして形成されているので、素材25は、プレス加工の際のプレス方向と直交する平面に対して角度αだけ傾斜した状態でダイ23のプレス面23aに載置される。すなわち、素材25の板面25a,25bが、板面25bのエレメント1に成形された際の内周側端部1cを含むプレス方向と直交する平面Pに対して、板面25bのエレメント1に成形された際の外周側端部1dがプレス加工の際に“だれが生じる側”の側面1a側に遠ざかる方向に傾斜した状態でダイ23のプレス面23aに載置される。
素材25をダイ23のプレス面23aに載置した後に、板押さえ22が降下させられ、すなわち板押さえ22が鉛直方向下向きに移動させられて、板押さえ22の押さえ面22aと素材25の板面25bとが当接させられる。そして板押さえ22にプレス方向すなわち鉛直方向下向き(図4での下向き)の荷重が載荷される。したがって、素材25がダイ23のプレス面23aと板押さえ22の押さえ面22aとによって狭持されて、素材25がダイ23に載置された状態で固定される。それとともに、素材25のプレス面23aと押さえ面22aとによって狭持された部分が板押さえ22に載荷された荷重により圧縮される。すなわち、素材25のプレス面23aと押さえ面22aとによって狭持された部分に、板押さえ22に載荷された荷重による圧縮応力が発生する。
そして、素材25をプレス方向と直交する平面Pに対して角度αだけ傾斜させた状態でプレス面23aに載置させるとともに、素材25をダイ23のプレス面23aと板押さえ22の押さえ面22aとによって固定しかつ圧縮応力を発生させた状態で、パンチ21およびイジェクタ24にプレス方向すなわち鉛直方向(図4の上下方向)の荷重がそれぞれ載荷される。すなわち、パンチ21に鉛直方向下向き(図4での下向き)の荷重が載荷され、イジェクタ24に鉛直方向上向き(図4での上向き)の荷重が載荷される。
このようにパンチ21とイジェクタ24とにそれぞれ載荷された荷重が、パンチ21のプレス面21aとイジェクタ24のプレス面24aとを介して素材25にそれぞれ載荷される。したがって、素材25が圧縮加工されて、素材25の両板面25a,25bにエレメント1の両側面1a,1bの表面形状が成形される。すなわち、素材25の板面25bにパンチ21のプレス面21aを介してプレス荷重が載荷されて板面25bにエレメント1の側面1bの形状が成形され、素材25の板面25aにイジェクタ24のプレス面24aを介してプレス荷重が載荷されて板面25aにエレメント1の側面1aの形状が成形される。
また、上記のようにエレメント1の両側面1a,1bが成形されるのとともに、パンチ21に載荷された荷重によりパンチ21のプレス面21aの切刃とダイ23のプレス面23aの切刃との間で素材25が打ち抜き加工されて、エレメント1の輪郭形状が成形される。
したがって、プレス方向と直交する平面Pに対して角度αだけ傾斜させた状態でダイ23に載置された素材25が、その傾斜した状態でダイ23と板押さえ22とにより固定されかつ圧縮され、その状態で、パンチ21とイジェクタ24とにより圧縮加工されて、素材25の両板面25a,25bにそれぞれエレメント1の両側面1a,1bが形成される。それとともに、パンチ21とダイ23および板押さえ22とによりエレメント1の輪郭形状に打ち抜き加工される。すなわち、素材25からエレメント1が成形される。
上記のように、板状の素材25をプレス方向と直交する平面Pに対して角度αだけ傾斜させた状態に配置し、その状態でプレス加工を実施してエレメント1を成形することにより、エレメント1のサドル面10が、エレメント1の板厚方向の中央部分で凸になるように形成される。
すなわち、図6の(a)に示すように、板状の素材25をその板面25bのエレメント1に成形された際の内周側端部1cを含むプレス方向と直交する平面Pに対して板面25bのエレメント1に成形された際の外周側端部1dがプレス加工の際に“だれが生じる側”すなわち側面1a側に遠ざかる方向に角度αだけ傾斜させた状態でプレス加工を行うことにより、プレス加工の際にエレメント1のサドル面10に不可避的に形成されるだれ部10aおよび抜き勾配部10bが、プレス加工の抜き方向(図6の(a)の左右方向)に対してそれぞれ角度β1およびそれよりも小さい角度β2だけ傾斜した平面もしくは曲面となる。したがって、エレメント1のサドル面10は、図6の(b)に示すように、エレメント1の板厚方向(図6の(b)の左右方向)において、だれ部10aと抜き勾配部10bとの接続部分が板厚方向の中央部分で外周側(図6の(b)の上側)に凸となる山形状もしくは曲面状に形成される。
その結果、図6の(b)に示すように、エレメント1にリング9が巻き掛けられた際にリング9の内周面9aと当接するのは、サドル面10のだれ部10aと抜き勾配部10bとの接続部分により形成される鈍角の凸部分となり、リング9の内周面9aに鋭角のエッジ部分が当接することがない。そのため、リング9の内周面9aに鋭角のエッジ部分が当接して内周面9aに応力集中が発生したりすることを回避でき、伝動ベルトBの耐久性の低下を防止することができる。
なお、上記のように、板状の素材25をプレス方向と直交する平面Pに対して角度αだけ傾斜させた状態に配置し、その状態でプレス加工を実施してエレメント1を成形することにより、エレメント1のスリット部8のサドル面10と対向する側の面15は、その面15と側面1bとが接続するコーナ部が鋭角のエッジ部分として形成されることになる。しかしながら、この面15がリング9の外周面やその他の部品などに対して荷重がかかった状態で当接することはないので問題はない。
以上のように、この発明の伝動ベルト用エレメントの成形方法および成形装置によれば、プレス方向と直交する平面Pに対して、素材25の板面25a,25bが傾斜した状態で、より具体的には、成形後のエレメント1の外周側端部1dが成形時に“かえりが生じる側”(すなわち側面1b側)から“だれが生じる側”(すなわち側面1a側)へ傾く方向に素材25の板面25a,25bが傾斜した状態で、プレス加工が実施される。その結果、素材の板面がプレス方向と直交するように素材を配置してエレメントを成形する従来の成形方法と比較して、プレス加工時の打ち抜きにより形成されるエレメント1のサドル面10の傾斜角度を変更することができる。すなわち、プレス加工後のエレメント1のサドル面10にだれ部10aと抜き勾配部10bとにより形成される傾斜面が、サドル面10の板厚方向の中央部分に凸となるので、エレメント1とリング9とを組み付けた際にリング9の内周面9aに対するエッジ当たりの発生が回避もしくは抑制される。そのため、エッジ当たりによる応力集中や過大な応力の発生を防止し、伝動ベルトBの耐久性を向上させる伝動ベルト用エレメント1を成形することができる。
なお、この発明は上述した具体例に限定されない。上述した具体例では、この発明で対象とするエレメントとして、図1に示すような、幅方向(図1での左右方向)の左右2個所にサドル面10が形成されるタイプのエレメント1を成形する例を示しているが、例えば、図7に示すような、幅方向(図7での左右方向)の中央部分の凹部の底面にサドル面10’が形成されるタイプのエレメント1’をこの発明の対象とすることもできる。
また、上述した具体例では、説明の便宜上、板状の素材25から1個のエレメント1をプレス加工により成形する成形方法および成形装置を説明しているが、プレス加工により、素材25がら同時に2個以上の複数(多数)のエレメント1を成形することもできる。
また、上述した具体例では、プレス成形装置Mによるエレメント1の成形例として、板押さえ22と固定部材であるダイ23とにより素材25を固定してかつ素材25のせん断部周辺を圧縮し、パンチ21とイジェクタ24とにより素材25を圧縮加工するとともに、それらパンチ21およびイジェクタ24を鉛直方向に動作させて素材25を打ち抜き加工する例を示しているが、例えば、イジェクタ24を固定部材としてパンチ21とイジェクタ24とにより素材25を固定してかつ圧縮加工し、板押さえ22とダイ23とにより素材25のせん断部周辺を圧縮するとともに、それら板押さえ22およびダイ23を鉛直方向に動作させて素材25を打ち抜き加工することにより、エレメント1を成形することもできる。
そして、上述した具体例では、この発明で対象とする伝動ベルトBが、例えばベルト式無段変速機に使用される例を示しているが、この発明で対象とする伝動ベルトBは、ベルト式無段変速機に限らず、伝動ベルト(Vベルト)とVプーリとによって構成される他の巻き掛け伝動装置の伝動ベルトにも適用することができる。
この発明で対象とする伝動ベルトおよび伝動ベルト用エレメントの構成を示す模式図であって、その正面図である。 この発明で対象とする伝動ベルトおよび伝動ベルト用エレメントの構成を示す模式図であって、その側面図である。 この発明で対象とする伝動ベルトの一部を示す斜視図である。 この発明に係る伝動ベルト用エレメントの成形方法および成形装置の構成を示す模式図である。 この発明に係る伝動ベルト用エレメントの成形方法においてエレメントを成形する際に供給する板状の素材を説明するための模式図である。 この発明に係る伝動ベルト用エレメントの成形方法および成形装置により成形したエレメントのサドル面の形状を説明するための模式図である。 この発明で対象とする他のタイプの伝動ベルト用エレメントおよびそのエレメントを成形する際に供給する板状の素材を説明するための模式図である。 従来の伝動ベルト用エレメントの成形方法および成形装置の構成を示す模式図である。 従来の伝動ベルト用エレメントの成形方法および成形装置により成形したエレメントのサドル面の形状を説明するための模式図である。 従来の伝動ベルト用エレメントの成形方法および成形装置により成形したエレメントのサドル面の形状測定データの参考例である。
符号の説明
1…エレメント、 1a,1b…側面、 1c…内周側端部、 1d…外周側端部、 9…リング、 9a…内周面、 10…サドル面、 21…パンチ(成形型)、 22…板押さえ(成形型)、 23…ダイ(成形型)、 24…イジェクタ(成形型)、 21a,23a,24a…プレス面(傾斜面)、 22a…押さえ面(傾斜面)、 25…素材、 25a,25b…板面、 B…伝動ベルト、 M…成形装置、 P…プレス方向と直交する平面。

Claims (4)

  1. 板片状の複数の個体を姿勢を揃えた状態で互いに対向させて環状に配列するとともに、それらをリングによって結束することにより伝動ベルトを構成するエレメントの成形方法であって、前記リングにより結束される際に前記リングの内周面と当接するサドル面を有する前記エレメントを、板状の素材を圧縮加工および打ち抜き加工するプレス加工により成形する伝動ベルト用エレメントの成形方法において、
    前記素材の板面が前記プレス加工の際のプレス方向と直交する平面に対して傾斜した状態に前記素材を配置し、その状態で前記プレス加工を実施して前記エレメントを成形することを特徴とする伝動ベルト用エレメントの成形方法。
  2. いずれか一方の前記板面の前記エレメントに成形された際の内周側端部を含む前記平面に対して該一方の板面の前記エレメントに成形された際の外周側端部が前記プレス加工の際にだれが生じる面側へ遠ざかる方向に前記傾斜が設定されていることを特徴とする請求項1に記載の伝動ベルト用エレメントの成形方法。
  3. 板片状の複数の個体を姿勢を揃えた状態で互いに対向させて環状に配列するとともに、それらをリングによって結束することにより伝動ベルトを構成するエレメントを成形するための装置であって、前記リングにより結束される際に前記リングの内周面と当接するサドル面を有する前記エレメントを、板状の素材を圧縮加工および打ち抜き加工するプレス加工により成形する伝動ベルト用エレメントの成形装置において、
    前記プレス加工の際に前記素材を載置するとともに前記素材の板面と当接して前記圧縮加工もしくは打ち抜き加工を行う成形型のプレス面および押さえ面に、前記プレス加工の際のプレス方向と直交する平面に対して傾斜した傾斜面が設けられていることを特徴とする伝動ベルト用エレメントの成形装置。
  4. いずれか一方の前記板面の前記エレメントに成形された際の内周側端部を含む前記平面に対して該一方の板面の前記エレメントに成形された際の外周側端部が前記プレス加工の際にだれが生じる面側へ遠ざかる方向に前記傾斜が設定されていることを特徴とする請求項3に記載の伝動ベルト用エレメントの成形装置。
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