JP2010134434A - 走査光学装置及びそれを用いた画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 製造時や取り付け時に発生する誤差によって生じる照射位置の変化を軽減させ、高画質で安定した走査光学装置を得ること。
【解決手段】 光源手段と偏向手段との間の光路中に位置され、光源手段の発光部から出射された光束を偏向手段の偏向面に副走査断面内において斜め入射させる光学素子を有する入射光学系と、光学素子の光軸方向の位置規制を行うx基準面と副走査方向の位置規制を行うz基準面とを有する光学素子を保持するための位置規制部材と、を備えた走査光学装置であって、
副走査断面内において、発光部から出射された光束の主光線と光学素子の光軸は、平行であり、入射光学系を構成する光学素子は、x基準面とz基準面が筐体の位置規制部材に接触し筐体に保持されており、光学素子から出射された光束の主光線が条件式(1)を満足している。
【選択図】 図3

Description

本発明は、走査光学装置及びそれを用いた画像形成装置に関し、特に電子写真プロセスを有するレーザービームプリンタやデジタル複写機、等の画像形成装置に好適なものである。
近年では、走査光学装置の高精度化、簡素化のため、この走査光学装置に用いる結像光学素子に樹脂材料を多用している。このように、樹脂材料を用いる結像光学素子では、樹脂によるモールド成形が可能となるために、レンズ、ミラーの非球面化が容易である。
そして、更に、その形状を保持するための筐体も、樹脂モールド成形により構成すると、それまでの金属の切削、鋳造加工による筐体に比較して、より軽量、簡素化が実現でき、フレキシブルなレンズ配置が可能となる。この種の走査光学装置は従来より種々と提案されている(特許文献1参照)。
この様な走査光学装置において、高精度な画像情報の記録を行うためには、被走査面(像面)全域に渡って像面湾曲が良好に補正されていること、画角(走査角)θと像高Yとの間に等速性を伴う歪曲特性(fθ特性)を有していることが必要である。更に、被走査面上でのスポット径が各像高において均一であることが必要である。
特開2001−194611号公報
近年、レーザビームプリンタの高精細化に伴い、より高画質な結像性能が要求されている。したがって、装置本体を組み立てるときの部品を取り付ける位置は数μmオーダーの精度で行う必要がある。しかしながら、部品の製造上の誤差や組み立て時の取り付け位置の誤差など、本体を組み立てる際には多くの誤差が生じ、製造物の性能にばらつきが生じる。その代表的なものとして光偏向器の偏向面の面倒れによって結像位置にずれが生じる問題点である。
通常、この偏向面の面倒れは、走査光学装置において偏向面上の物点と感光ドラム面上の像点が共役な関係となるように結像光学素子を配置することで解消される。
その為、偏向面上に物点を形成するのに、入射光学手段において偏向面上に集光させる目的で配置されるシリンドリカルレンズは、偏向面上への物点形成に重要な役割を果たしている。
シリンドリカルレンズにおいて、光軸方向の誤差によるずれはその照射位置を変化させないが、それ以外の方向(yz平面内)のずれは偏向面上での照射位置のずれとして現れ、結像点が像面上で主走査方向及び副走査方向にずれる。
また、上記の誤差による影響で生じた光学性能のばらつきは最終的に何かしらの補正が行われる。例えば、走査線の曲がりの補正は各色で同じ方向に同じ大きさに曲げることで現像の際に色ずれが起こらないように工夫がなされている。その為、補正の基準となる光線(光束)においては誤差の影響をなるべく小さくする必要がある。
しかし、従来の走査光学装置において入射光学系の光学素子でこのような注意が払われていなかった。近年の光束の微小スポット化、マルチビーム化によって、高い組立精度が要求されるようになり、上記のような注意は必要不可欠となっている。それ故、設計する上で部品や組立て時に発生する誤差をなるべく軽減することが重要になっている。
本発明は、製造時や取り付け時に発生する誤差によって生じる偏向手段への光束の照射位置の変化、即ち被走査面上への光束の入射位置の変化を軽減させ、高画質で安定した画像が得られる走査光学装置及びそれを用いた画像形成装置の提供を目的とする。
上記課題を解決するために、本発明では、複数の発光部を有する光源手段と、前記複数の発光部から出射された複数の光束を偏向走査する偏向手段と、前記光源手段と前記偏向手段との間の光路中に位置され、前記複数の発光部から出射された複数の光束の各々を前記偏向手段の偏向面に副走査断面内において斜め入射させる各光束毎に設けた複数の光学素子を有する入射光学系と、前記偏向手段の同一の偏向面にて偏向走査された複数の光束の各々の光束に対応して設けられた複数の結像光学系と、前記光学素子の光軸方向の位置規制を行うx基準面と副走査方向の位置規制を行うz基準面とを有する前記光学素子を保持するための位置規制部材と、を有する走査光学装置であって、
前記複数の結像光学系の各々は、前記偏向手段の偏向面にて偏向走査された光束を被走査面上に結像させており、前記複数の光学素子は、一体的に成形されており、前記複数の光学素子から出射された複数の光束の各々は、副走査断面内において互いに異なる角度で出射しており、副走査断面内において、前記発光部から出射された光束の主光線と前記光学素子の光軸は、平行であり、前記複数の光学素子の各々は、前記光学素子のx基準面とz基準面が前記位置規制部材に保持されており、
前記x基準面に対する法線と前記複数の光学素子から出射された複数の光束の各々の主光線とのなす副走査断面内の角度をθ、前記複数の光学素子から出射された複数の光束のうち前記θが最も小さい主光線と前記偏向面の法線のなす副走査断面内の角度をα、前記光学素子の入射面に入射する光束の副走査断面内の光束径Dと前記光学素子の入射面から前記偏向面までの光路長Lとするとき、前記複数の光学素子から出射された複数の光束のうち少なくとも1本の光束の主光線は、
なる条件式を満たし、かつ、前記光学素子から出射された光束と前記偏向面の法線のなす副走査断面内の角度αは、
なる条件式を満たすことを特徴とする。
本発明によれば、製造時や取り付け時に発生する誤差によって生じる偏向手段への光束の照射位置の変化、即ち被走査面上への光束の入射位置の変化を軽減させ、高画質で安定した画像が得られる走査光学装置及びそれを用いた画像形成装置を達成することができる。
本発明の実施例1の要部概略図 本発明の実施例1の光源手段から偏向手段までの副走査断面図 本発明の実施例1の設置例を示す説明図 本発明の実施例1の入射光学系の要部斜視図 本発明の実施例2の設置例を示す説明図 従来と実施例1の誤差による光軸の変化の様子示す説明図 本発明の実施例3の設置例を示す説明図 本発明の実施例4の設置例を示す説明図 本発明の実施例のカラー画像形成装置の要部概略図
本発明の入射光学系は樹脂製の筐体に保持されている。そして、筐体には、入射光学系を保持するための位置規制部材が、筐体の成形時に一体的に形成されている。
筐体は樹脂成形される際、その位置規制部材の型抜きに必要なテーパー角を持っている。入射光学系は、主走査方向と平行な軸線に関して、その軸線周りの回動の位置規制するx基準面とz基準面を有し、このうち基準面が位置規制部材の傾斜した面に沿って位置決めされる。その際、入射光学系より出射される複数の出射光束のうち1つの出射光束の主光線と基準面とのなす角度を略垂直にする。
以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。
尚、以下の説明において、副走査方向(Z方向)とは、偏向手段の回転軸と平行な方向である。主走査断面とは、副走査方向(偏向手段の回転軸と平行な方向)を法線とする断面である。主走査方向(Y方向)とは、偏向手段で偏向走査される光束を主走査断面に投射した方向である。副走査断面とは、主走査方向を法線とする断面である。
図1は、本発明の実施例1における走査光学装置の要部概略図である。
図2は本発明の実施例1の光源手段から偏向手段までの副走査方向の要部断面図(副走査断面図)である。
図中、1は光源手段であり、複数の光源を有している。本実施例では、2つの光源1a,1bを有している場合を示している。光源1a,1bは、各々半導体レーザより成っている。尚、本実施例では、光源手段として複数の光源を用いたが、これに限らず、複数の発光部を有する単一の光源を用いて光源手段を構成しても良い。
3は、集光光学系であり、2つの集光レンズ(コリメータレンズ)3a,3bを有している。2つのコリメータレンズ3a,3bは、対応する光源1a,1bから出射された発散光束を平行光束に変換している。
本実施例におけるコリメータレンズ3a,3bの材質の屈折率はN=1.7725であり、入射面にパワー(屈折力)を有しておらず、出射面の曲率半径が19.045mmの球面レンズである。
4は、入射光学系であり、各光束毎に設けた2つの光学素子4a,4bを有している。2つの光学素子4a,4bは、各々樹脂により形成され、かつ副走査方向(副走査断面内)の屈折力(パワー)の絶対値が主走査方向(主走査断面内)のパワーの絶対値より大きいシリンドリカルレンズより成っている。尚、2つの光学素子4a,4bをアナモフィックレンズより構成しても良い。表1に本実施例の入射系の諸特性を示す。
シリンドリカルレンズ4a,4bの材質の屈折率はN=1.53である。
シリンドリカルレンズ4a,4bの線膨張率は、8×10−5である。
入射面は、主走査断面内にはパワーを有しておらず、副走査断面内においてパワーを有し、その面の曲率半径は、+84.3621mmである。また、出射面はパワーを有していない。本実施例では、シリンドリカルレンズ4a,4bを一体的に成形されしたレンズとし、共通の位置規制部材13にて保持した。
しかしながら、本発明では、シリンドリカルレンズ4a,シリンドリカルレンズ4bを別体とし、シリンドリカルレンズ4a,シリンドリカルレンズ4bの各々を別体の位置規制部材13a、位置規制部材13bで保持しても良い。
2は、絞り部であり、2つの開口絞り2a、2bを有している。2つの開口絞り2a、2bは各々対応するシリンドリカルレンズ4a,4bから出射された光束のビーム形状を成形している。
尚、光路中に配置されたコリメータレンズ3a(3b)、シリンドリカルレンズ4a(4b)、開口絞り2a(2b)の各要素は、入射光学手段LAの一要素を構成している。また、コリメータレンズ3a(3b)、シリンドリカルレンズ4a(4b)を主走査方向のパワーと副走査方向のパワーが異なるアナモフィック光学素子で構成しても良い。
5は、偏向手段としての光偏向器であり、例えば、回転多面鏡(ポリゴンミラー)より成り、モーター等の駆動手段(不図示)により図中矢印A方向に一定速度で回転している。6は、fθ特性を有する結像光学系であり、単一の結像レンズ6abより成っている。
結像光学系6は、光偏向器5によって偏向走査された画像情報に基づく光束を被走査面7上に結像させ、かつ、副走査断面内において光偏向器5の偏向面5aと感光ドラム面7との間を共役関係にすることにより、面倒れ補正を行っている。7は、被走査面としての感光ドラム面である。
本実施例において、光源1a,1bから出射した各々の発散光束は対応するコリメータレンズ3a,3bにより平行光束に変換される。
変換された平行光束は副走査断面内のみにパワーを有するシリンドリカルレンズ4a,4bにより、ポリゴンミラー5の偏向面5aに主走査方向に長手の線像として結像される。また、シリンドリカルレンズ4a,4bを通過した光束は、開口絞り2a、2bによって光束幅が制限される。
本実施例では、図2に示すように副走査断面内において、各々のコリメータレンズ3a,3bの光軸及びシリンドリカルレンズ4a,4bの光軸をポリゴンミラー5の偏向面5aに対して傾けて構成している。
これにより各光源1a,1bから発せられた光束がポリゴンミラー5の偏向面5aに対して副走査断面内において結像光学系6の光軸Lに対し斜め方向から角度(±2.5°)をもって入射するように構成している(斜め入射光学系)。
また、主走査断面内においても各光源1a,1bから発せられた光束をポリゴンミラー5の偏向面5aに対して結像光学系6の光軸Lに対し斜め方向から角度をもって入射するように構成している。
そして、ポリゴンミラー5の偏向面5aにより偏向走査された各々の光束を結像光学系6により感光ドラム面7上にスポット状に結像させている。そして、ポリゴンミラー5を矢印A方向に回転させることによって、感光ドラム面7上を矢印B方向に2本の光束で光走査して、画像記録を行っている。
また、本実施例では、感光ドラム面7上を光スポットで走査する前に感光ドラム7面上における画像形成を開始するタイミングを調整する為に光源手段1の発光タイミングを検知する光検出器としての同期検出用センサー9が設けられている。
さらに、同期検出用センサー9からの信号を電気信号に変換し、制御する制御機構(不図示)が設けられている。同期検出用センサー9は、光偏向器5で偏向走査された光束の一部である同期検出用光束、つまり、感光ドラム面7上の画像形成領域を走査する前の画像形成領域外の領域を走査しているときの光束を受光する。
この同期検出用光束は、ミラー8で反射され、同期検出用レンズ(不図示)で集光されて同期検出用センサー9に入射する。
そして、この同期検出用センサー9の出力信号から同期信号を検出し、この同期信号に基づいて感光ドラム面7における画像記録の開始タイミングを調整している。
つまり、同期検出用センサー9は、光偏向器5の偏向面にて偏向走査された複数の光束の被走査面上における書き出し位置タイミングを決定するための光偏向器5の偏向面にて偏向走査された光束の一部を検出している。
次に、本実施例において、製造時や取り付け時に発生する誤差によって生じる偏向手段への光束の照射位置の変化を軽減させる手段について図3、図4を用いて説明する。
図3は、入射光学系4の筐体14への位置決め構造を示した副走査断面図である。図4は、入射光学系4の要部斜視図である。
図3、図4において、図1、図2に示した要素と同一要素には同符番を付している。
図3、図4において、4は入射光学系であり、後述する樹脂製の筐体14により保持されている。本実施例における入射光学系4は、光軸方向の位置規制を行うx基準面11と副走査方向の位置規制を行うz基準面12とを有している。
14は筐体であり、その内底面にx方向の位置規制部材13が成形時に一体的に成形されており、入射光学系4のx基準面11に対応して、基準面(壁面)13aが形成されている。
本実施例では、入射光学系4のx基準面11を位置規制部材13の基準面13aに接触、保持させることで光軸方向の位置規制を行っている。
また、副走査方向の位置規制は、入射光学系4のz基準面12を筐体14の底面14aに接触、保持させることで行っている。
さらに、入射光学系4と位置規制部材13とを各々面で接触、保持させることにより、光軸方向の位置規制を行うと同時にx、y、z軸を中心とするそれぞれの回動(傾き)の規制も行っている。
θが最も小さくなる光束の主光線と光偏向器5の法線のなす副走査断面内の角度αは、光線分離を容易にするために次式を満たす角度に設定する。
ここで、Dは、シリンドリカルレンズ4の入射面での副走査断面内の光束径Dであり、Lは、シリンドリカルレンズ4の入射面4aから偏向面5aまでの光路長Lである。
条件式(2)の下限値を満たすように角度αを設定すると、複数の光束が互いに交わらないので、光線分離が容易に出来る。条件式(2)の下限値を満たさない場合は、偏向面5aに入射する複数の光束が互いに交わり、光線分離が困難となる。条件式(2)のtan αの上限値は、副走査断面内における走査光学装置の副走査方向の高さを低減するために、0.10≧tan αであることが好ましい。本実施例の場合、光束径D=2.56mm、光路長L=111.31mmであり、角度αは0.66°以上あればよい。
本実施例においてシリンドリカルレンズ4a,4bにそれぞれ光束が入射し、副走査断面内において異なる角度で2本の光束が出射するとき、以下の条件式(1)を満足するように各々の角度を設定している。
つまり、図3において、θをx基準面11に対する法線と入射光学系4からの出射光束の主光線とのなす副走査断面内の角度、αをθが最も小さくなる光束の主光線と偏向器5の法線のなす副走査断面内の角度とする。このとき、2本の出射光束のうち、少なくとも1本の出射光束を、
なる条件式を満たすように設定している。
条件式(1)は、製造時や取り付け時に発生する誤差によって生じる偏向手段(偏向面)への光束の照射位置の変化を軽減させるための条件であり、その公差の範囲を定義している。
条件式(1)を満たさない場合は、製造や取付けなどによって発生した誤差により生じるずれが大きくなり、本実施例の十分な効果が得られない。
一方、条件式(1)を満たす場合は、光軸に平行な方向に誤差が存在してもシリンドリカルレンズに対する光線の入射位置は、変わらない。
尚、更に好ましくは、条件式(1)を次の如く設定するのが良い。
本実施例の最良の形態は、角度αがゼロ以外の角度をとり、かつ角度θがゼロとなる場合、つまり、x基準面11と光束bの主光線とのなす副走査断面内の角度θが垂直となるときである。
しかしながら、実際は製造上の誤差などにより角度θが完全にゼロとはならない。そこで、本実施例では、上述した条件式(1)を満たすように各角度α、θを設定することにより、製造時や取付け時に発生する誤差によって生じる偏向手段への光束の照射位置の変化を軽減させている。
本実施例では、θが最も小さくなる光束bの主光線と光偏向器5の法線のなす副走査断面内の角度αをα=2.5°と設定している。
よって、x基準面に対する法線と光束bの主光線とのなす角度θは、θ<2.25°となる。θが最も小さくなる光束bの主光線と光偏向器5の法線のなす副走査断面内の角度αは、2°以上の場合、製造時や取り付け時に発生する誤差によって生じる偏向手段への光束の照射位置ずれが顕著に問題となる。
次に、本実施例におけるシリンドリカルレンズの光軸の誤差による変化の様子を従来例と比較する。
図6(a),(b)は、各々従来例と本実施例の光軸の誤差による変化の様子を模式的に示した模式図である。図6(a),(b)は、シリンドリカルレンズ4bとx、z基準面11,12との位置関係を示した模式図であり、x基準面11に対して垂直な方向に誤差が発生した時の光軸Lの移動状態を示している。
図6(a)に示す従来の設置方法(x基準面11とz基準面12との位置関係が垂直)ではx基準面11に対して傾いた入射光学系4が存在するときx基準面11の法線方向に誤差の範囲内でシリンドリカルレンズ4bの位置に変化が生じる。このとき、副走査断面内において、シリンドリカルレンズ4bの光軸Lが移動し、シリンドリカルレンズ4bから出射される光束の偏向手段への照射位置に変化が生じる。
しかしながら、図6(b)に示す本実施例の設置方法(x基準面11とz基準面12との位置関係が非垂直)では、x基準面11の法線方向にシリンドリカルレンズ4bの光軸Lが移動する。
従って、副走査断面内において、シリンドリカルレンズ4bから出射される光束の偏向手段への照射位置に変化は現れない。
図3に示す本実施例の場合、成形時に必要となる抜きテーパーのことを考慮して、筐体14の底面に近い側の出射光束(光源1bから出射した光束)の主光線がx基準面11と垂直となる。
本実施例はシリンドリカルレンズ4bの光軸に主光線が入射しており、光軸に平行な方向に誤差が存在してもシリンドリカルレンズ4bに対する光線の入射位置は変わらず、出射光線の照射位置に変化は生じない。位置規制部材13の線膨張率は、2×10−5であり、位置規制部材13の線膨張率は、シリンドリカルレンズ4a,4bの線膨張率よりも小さいので、温度変化時のレンズの伸び縮みが小さい。
本実施例においては、上述した如くコリメータレンズ3a,3bの材質の屈折率はN=1.7725であり、入射面にパワー(屈折力)を有しておらず、出射面の曲率半径が19.045mmの球面レンズである。
また、シリンドリカルレンズ4a,4bの材質の屈折率は、N=1.5306である。シリンドリカルレンズ4a,4bの入射面は、主走査断面内にはパワーを有しておらず、副走査断面内にパワーを有し、その面の曲率半径は−84.362mmである。
シリンドリカルレンズ4a,4bの出射面は、パワーを有していない。
続いて、従来例と本発明の効果の比較を行う。本実施例では、x基準面に対して垂直な方向に誤差が発生した場合にのみ有効な発明であるので、z基準面に対して垂直な方向に誤差が発生した場合は、従来と同等なので、z基準面に対して垂直な方向の誤差成分は無いものとして、比較する。
従来は、シリンドリカルレンズ4bが図6(a)に示すようにx基準面11に対して垂直方向に公差分である50μmの誤差が生じた場合、偏向面5a上で副走査方向に約2μm照射位置が変動する。
それに対して、本実施例においてはx基準面11に対して垂直方向に誤差が発生したとしても照射位置のずれは発生しなくなる。
その為、本実施例において、条件式(1)を満たす光束は、製造誤差や取り付け誤差による偏向手段への光束の照射位置の変化が少なくなるため補正の基準となる光束に使用することで補正が行いやすくなる。
このように本実施例では、上述した如くシリンドリカルレンズ4a、4bを配置した入射光学系4を用いることにより、偏向面上の所定の位置、即ち被走査面上での所定の位置に照射位置(物点)を形成することができる。
そして、面倒れ補正を行っている結像光学系と組み合わせることで偏向面上の物点と像面上の像点と共役関係を維持し、被走査面7上の所定の位置に光束を結像することができる。
また、本実施例では、条件式(1)を満たす光束を、同期検出用センサー9に入射させることにより、同期検出用センサー9から光束が外れることによって生ずる同期検出エラーを起こしにくい構成とすることができる。
また、本実施例では、条件式(1)を満たす光束を、被走査面を走査するときの複数の光束が形成する走査線の曲がりを補正するための基準光束として使用することにより、走査線の曲がりやレジずれの補正を容易に行うことができる。
その為、本実施例において光源1aから出射された光束aのθが従来に比べて悪化しても、光源1bから出射された光束bを基準光束として使用することで、走査線の曲がりやレジずれは電気補正等の別の手段を用いて補正できる。また、本実施例では、製造工程において部品の製造誤差や取り付け時に生じる誤差を軽減することができ、製造効率を上げることが可能となる。
このように、本実施例において、入射光学系4より出射される少なくとも1本の出射光束の主光線とx基準面11とのなす角度を条件式(1)を満たすように設定している。
これにより、x基準面の取り方という簡便な方法で、高画質な走査光学装置を容易に得ることができる。
さらに、本実施例では、条件式(1)を満たすようにx基準面を設定することにより、通常、入射光学系において管理すべき誤差が光軸方向、主走査方向、副走査方向の三方向、必要があったが、その管理すべき数を減少させることができる。これにより、x基準面の法線方向の誤差成分は、考慮しなくてもよい効果を得ている。
尚、本実施例においては、シリンドリカルレンズ4に前述の構成を適用した場合について述べたが、これに限らず、コリメータレンズに適用しても良い。また、コリメータレンズとシリンドリカルレンズの機能を持ち合わせる樹脂製の主走査方向のパワーと副走査方向のパワーが異なるアナモフィックレンズに適用しても同等の効果が得られる。
また、本実施例では、光源1bの発光部から出射した光束bに対して条件式(1)を満足するように構成したが、これに限らず、光源1aの発光部から出射された光束aに対しても条件式(1)を満足するように構成しても良い。
光源1bの発光部から出射された光束及び光源1aの発光部から出射された光束に対して条件式(1)を満足することにより、入射光学系4の取り付け誤差による感光ドラム7への主走査方向の結像位置ずれ及び副走査方向の結像位置ずれを低減できる効果が得られる。
図5は、本発明の実施例2における入射光学系の筐体への位置決め構造を示した副走査断面の要部概略図である。図5において、図3に示した要素と同一要素には同符番を付している。
本実施例において、前述の実施例1と異なる点は、入射光学系4と位置規制部材23との位置関係を変化させて構成したことである。その他の構成及び光学的作用は前述の実施例1と同様であり、これにより同様な効果を得ている。
つまり、本実施例では、入射光学系4の後方(偏向手段5側)に筐体14の位置規制部材23を設けている。このように本実施例では、入射光学系4を光源手段1側に配置したい場合に有効な形態である。
この場合、副走査断面内において、筐体14の位置規制部材23は、実施例1の場合と反対側に傾斜をつけて、入射光学系4より出射する複数の光束のうちz基準面12から遠い出射光束(光源1aから出射された光束a)とx基準面と略垂直となるように構成している。つまり、条件式(1)を満足するように各角度α、θを設定している。これにより製造時や取り付け時に発生する誤差によって生じる偏向手段への光束の照射位置の変化を軽減させている。
本実施例では、θが最も小さくなる光束aの主光線と光偏向器5の法線のなす副走査断面内の角度αをα=2.5°と設定している。
よって、x基準面に対する法線と光束aの主光線とのなす副走査断面内の角度θは、θ<2.25°となる。また、本実施例では光源1aの発光部から出射された光束aに対して条件式(1)を満足するように構成したが、これに限らず、光源1bの発光部から出射された光束bに対しても条件式(1)を満足するように構成しても良い。
図7は、本発明の実施例3における入射光学系の筐体への位置決め構造を示した副走査断面の要部概略図である。図7において、図3に示した要素と同一要素には、同符番を付している。本実施例において、前述の実施例1と異なる点は、単一の光源で構成したことである。その他の構成及び光学的作用は前述の実施例1と同様であり、これにより製造時や取り付け時に発生する誤差によって生じる偏向手段への光束の照射位置の変化を軽減させている。
本実施例では、光源1aから出射された光束aの主光線と光偏向器5の法線のなす副走査断面内の角度αをα=2.5°と設定している。
よって、x基準面に対する法線と光束aの主光線とのなす副走査断面内の角度θは、θ<2.25°となる。
図8は、本発明の実施例4における入射光学系の筐体への位置決め構造を示した副走査断面の要部概略図である。図8において、図3に示した要素と同一要素には、同符番を付している。本実施例において、前述の実施例1と異なる点は、副走査断面内において、x基準面とz基準面が直交するようにz基準面に傾斜角αをつけたことである。
その他の構成及び光学的作用は前述の実施例1と同様であり、これにより製造時や取り付け時に発生する誤差によって生じる偏向手段への光束の照射位置の変化を軽減させている。
つまり、z基準面の副走査断面内の傾斜角αとθが最も小さくなる光束aの主光線と光偏向器5の法線のなす副走査断面内の角度αを等しくしている。
このような構成をとることで、x基準面に対して垂直な方向へのみ変位が起こるので、x基準面11に対して垂直方向に誤差が発生したとしても偏向手段への光束bの照射位置のずれは発生しなくなる。つまり、本実施例では、x基準面に対して垂直な方向に誤差が発生した場合に、実施例1よりも偏向手段への光束bの照射位置のずれ量を低減できる。
本実施例では、光束bの主光線と光偏向器5の法線のなす副走査断面内の角度αをα=2.5°と設定している。
よって、x基準面に対する法線と光束bの主光線とのなす角度θは、θ<2.25°となる。
[カラー画像形成装置]
図8は、本発明の実施例のカラー画像形成装置の要部概略図である。
本実施例は、走査光学装置を4個並べ各々並行して像担持体である感光ドラム面上に画像情報を記録するタンデムタイプのカラー画像形成装置である。図8において、60はカラー画像形成装置、61、62、63、64は各々実施例1、2、3、4に示したいずれかの構成を有する走査光学装置、71、72、73、74は各々像担持体としての感光体(感光ドラム)、31、32、33、34は各々現像器、51は搬送ベルトである。
尚、静電潜像プロセスを説明する。図8においては、現像器で現像されたトナー像を被転写材に転写する転写器(不図示)と、転写されたトナー像を被転写材に定着させる定着器(不図示)とを有している。
図8において、カラー画像形成装置60には、パーソナルコンピュータ等の外部機器52からR(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)の各色信号が入力する。これらの色信号は、装置内のプリンタコントローラ53によって、C(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー)、B(ブラック)の各画像データ(ドットデータ)に変換される。これらの画像データは、それぞれ走査光学装置61,62,63,64に入力される。
そして、これらの走査光学装置からは、各画像データに応じて変調された光ビーム41,42,43,44が射出され、これらの光ビームによって感光体(感光ドラム)71,72,73,74の感光面が主走査方向に走査される。
外部機器52としては、例えば、CCDセンサを備えたカラー画像読取装置が用いられても良い。この場合には、このカラー画像読取装置と、カラー画像形成装置60とで、カラーデジタル複写機が構成される。
1 光源手段
2 絞り部
3 集光光学系
4 入射光学系
4a,4b 結像光学素子
5 偏向手段
6 結像光学系
7 被走査面(感光ドラム)
8 同期検出用ミラー
9 光検出器
11 x基準面
12 z基準面
13、23 位置規制部材
14 筐体

Claims (11)

  1. 複数の発光部を有する光源手段と、前記複数の発光部から出射された複数の光束を偏向走査する偏向手段と、前記光源手段と前記偏向手段との間の光路中に位置され、前記複数の発光部から出射された複数の光束の各々を前記偏向手段の偏向面に副走査断面内において斜め入射させる各光束毎に設けた複数の光学素子を有する入射光学系と、前記偏向手段の同一の偏向面にて偏向走査された複数の光束の各々の光束に対応して設けられた複数の結像光学系と、前記光学素子の光軸方向の位置規制を行うx基準面と副走査方向の位置規制を行うz基準面とを有する前記光学素子を保持するための位置規制部材と、を有する走査光学装置であって、
    前記複数の結像光学系の各々は、前記偏向手段の偏向面にて偏向走査された光束を被走査面上に結像させており、
    前記複数の光学素子は、一体的に成形されており、
    前記複数の光学素子から出射された複数の光束の各々は、副走査断面内において互いに異なる角度で出射しており、
    副走査断面内において、前記発光部から出射された光束の主光線と前記光学素子の光軸は、平行であり、
    前記複数の光学素子の各々は、前記光学素子のx基準面とz基準面が前記位置規制部材に保持されており、
    前記x基準面に対する法線と前記複数の光学素子から出射された複数の光束の各々の主光線とのなす副走査断面内の角度をθ、前記複数の光学素子から出射された複数の光束のうち前記θが最も小さい主光線と前記偏向面の法線のなす副走査断面内の角度をα、前記光学素子の入射面に入射する光束の副走査断面内の光束径Dと前記光学素子の入射面から前記偏向面までの光路長Lとするとき、
    前記複数の光学素子から出射された複数の光束のうち少なくとも1本の光束の主光線は、

    なる条件式を満たし、かつ、前記光学素子から出射された光束と前記偏向面の法線のなす副走査断面内の角度αは、

    なる条件式を満たすことを特徴とする走査光学装置。
  2. 前記偏向手段の偏向面にて偏向走査された複数の光束の前記被走査面上における書き出し位置タイミングを決定するための前記偏向手段の偏向面にて偏向走査された光束の一部を検出する同期検出用センサーを備え、
    前記同期検出用センサーにて検出される同期検出用光束は、前記条件式(1)を満たす請求項1に記載の走査光学装置。
  3. 前記複数の光学素子から出射された複数の光束の各々の光束の主光線は、

    なる条件式を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載の走査光学装置。
  4. 前記入射光学系を構成する複数の光学素子は、各々副走査方向のパワーの絶対値が主走査方向のパワーの絶対値より大きいことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の走査光学装置。
  5. 前記x基準面に対する法線と前記条件式(1)を満たす光束の主光線とのなす副走査方向の角度θは、零であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の走査光学装置。
  6. 前記光学素子を保持するための位置規制部材は、樹脂製であり、前記筐体と一体的に成形されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の走査光学装置。
  7. 請求項1乃至6の何れか一項に記載の走査光学装置と、前記被走査面に配置された感光体と、を有することを特徴とする画像形成装置。
  8. 光源手段と、前記光源手段の発光部から出射された光束を偏向走査する偏向手段と、前記光源手段と前記偏向手段との間の光路中に位置され、前記発光部から出射された光束を前記偏向手段の偏向面に副走査断面内において斜め入射させる光学素子を有する入射光学系と、前記偏向手段の偏向面にて偏向走査された光束を被走査面上に結像させる結像光学系と、前記光学素子の光軸方向の位置規制を行うx基準面と副走査方向の位置規制を行うz基準面とを有する前記光学素子を保持するための位置規制部材と、を有する走査光学装置であって、
    副走査断面内において、前記発光部から出射された光束の主光線と前記光学素子の光軸は、平行であり、
    前記光学素子は、前記光学素子のx基準面とz基準面が前記位置規制部材に保持されており、
    前記x基準面に対する法線と前記光学素子から出射された光束の主光線とのなす副走査断面内の角度をθ、前記光学素子から出射された光束と前記偏向面の法線のなす副走査断面内の角度をα、前記光学素子の入射面に入射する光束の副走査断面内の光束径D、前記光学素子の入射面から前記偏向面までの光路長Lとするとき、
    前記光学素子から出射された光束の主光線は、

    なる条件式を満たし、かつ、前記光学素子から出射された光束と前記偏向面の法線のなす副走査断面内の角度αは、

    なる条件式を満たすことを特徴とする走査光学装置。
  9. 前記偏向手段の偏向面にて偏向走査された光束の前記被走査面上における書き出し位置タイミングを決定するための前記偏向手段の偏向面にて偏向走査された光束の一部を検出する同期検出用センサーを備え、
    前記同期検出用センサーにて検出される同期検出用光束は、前記条件式(4)を満たす請求項8に記載の走査光学装置。
  10. 前記x基準面に対する法線と前記条件式(4)を満たす光束の主光線とのなす副走査方向の角度θは、零であることを特徴とする請求項8又は9に記載の走査光学装置。
  11. 請求項8乃至9の何れか一項に記載の走査光学装置と、前記被走査面に配置された感光体と、を有することを特徴とする画像形成装置。
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