JP2010134308A - 表示媒体及び表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】各色素間の色の混色が抑制され、表示媒体に含まれる特定のエレクトロクロミック色素が効率よく選択的に発色される表示媒体及び表示装置を提供する。
【解決手段】表示媒体12によれば、電極28と電極32の内の、電極32側に接触配置した多孔質層34にEC1色素36を保持させ、電解質層24中にEC2色素38を分散させた状態とする。そしてEC1色素36及びEC2色素38として、互いに発色状態の色が異なり、式(1)の関係を満たし、且つ双方を酸化型色素または還元型色素とする。E1<E2 式(1)(式(1)中、E1は、前記第1のエレクトロクロミック色素が消色状態から発色状態へ変化するために前記一対の電極間に印加される電圧の閾値の絶対値を示し、E2は、前記第2のエレクトロクロミック色素が消色状態から発色状態へ変化するために前記一対の電極間に印加される電圧の閾値の絶対値を示す。)
【選択図】図1

Description

本発明は、表示媒体及び表示装置に関する。
電気化学的な酸化還元反応によって物質の光吸収が可逆的に変化する色素、いわゆるエレクトロクロミック色素(以下、「EC色素」と称する場合あり。)を用いた表示媒体が知られている。この表示媒体は、例えば、透明電極間にEC色素を含む薄膜と電解液又は電解質層とを積層した構造、又は、EC色素を電解液に溶解した構造を持つ。この表示媒体は、積層したEC色素を含む薄膜と電解質層とに、透明電極を介して電圧を印加することにより、電気化学的な酸化還元反応によって、EC色素を含む薄膜の全面が可逆的に発消色反応する。
EC色素を用いた表示媒体は、駆動電圧が低く、画像保持性に優れ、光吸収型であるので、強い外光下でも明瞭な視野角依存性のない表示が得られる。このため、自動車用防眩ミラーや調光ガラスとして優れた特性を有している。また、EC色素を用いた表示媒体は、偏光板等が不要であり、視野角依存性がなく受光型で視認性に優れ、構造が簡単で大型化が容易である。更に、前記EC色素を含む薄膜の選択により多様な色調が得られ、電子の移動を遮断し酸化還元状態を保持するだけで表示状態が静止される。また、EC色素を用いた表示媒体は、表示状態を維持するのに電力が不要であり、消費電力が少ない等の種々の利点を有する。
EC色素を用いた表示媒体としては、様々な技術が開示されている。
例えば、特許文献1には、多孔質層34を少なくとも一方の表面に形成した一対の透明電極を、該多孔質層34同士が対向するように配置した間に、電解質層を挟んだ構成の表示媒体とし、この多孔質層34を、互いに異なる種類のEC色素を保持した多孔質層の複数積層された構成とした技術が提案されている。
特許文献2には、酸化還元電位及びヒステリシス特性の何れかの異なる複数種類のエレクトロクロミック色素が電解質層に含有された構成、及び多孔質層にEC色素が保持された構成が提案されている。
特許文献3には、表示電極の対向電極側の表面に、異なる色を発色し、且つ発色状態になるための閾値電圧、消色状態になるための閾値電圧、充分な色濃度に発色するための必要電荷量、または充分に消色するための必要電荷量の内の少なくともいずれかの異なる2種類以上のエレクトロクロミック組成物を積層または混合して形成した表示層を有する構成が提案されている。
また、特許文献4には、EC色素としてトリフェニルメタン化合物の吸着された多孔質層を有する表示媒体が提案されている。
特開2003−255400号公報 特開2004−151265号公報 特開2006−1−6669号公報 特開2007−52171号公報
本発明は、本発明の構成を有さない場合に比べて、各色素間の色の混色が抑制され、表示媒体に含まれる特定のエレクトロクロミック色素が効率よく選択的に発色される表示媒体及び表示装置を提供することを目的とする。
請求項1に係る発明は、間隙をもって配置された一対の電極と、前記一対の電極間に配置された電解質と、前記一対の電極の向かい合う面の少なくとも一方に配置された導電性を有する多孔質層と、前記多孔質層に保持された第1のエレクトロクロミック色素と、前記電解質中に分散され、前記第1のエレクトロクロミック色素とは異なる色に発色する第2のエレクトロクロミック色素と、を備え、前記第1のエレクトロクロミック色素及び前記第2のエレクトロクロミック色素の双方が、電気化学的な酸化反応により発色し還元反応により消色する酸化型色素、または電気化学的な還元反応により発色し酸化反応により消色する還元型色素であり、前記第1のエレクトロクロミック色素及び前記第2のエレクトロクロミック色素の消色状態から発色状態へ変化するために前記一対の電極間に印加される電圧の閾値が下記式(1)の関係を満たす表示媒体である。
E1<E2 式(1)
式(1)中、E1は、前記第1のエレクトロクロミック色素が消色状態から発色状態へ変化するために前記一対の電極間に印加される電圧の閾値の絶対値を示し、
E2は、前記第2のエレクトロクロミック色素が消色状態から発色状態へ変化するために前記一対の電極間に印加される電圧の閾値の絶対値を示す。
請求項2に係る発明は、前記第1のエレクロトクロミック色素及び前記第2のエレクトロクロミック色素は、該第1のエレクトロクロミック色素と該第2のエレクトロクロミック色素との分子間における電子の授受による酸化還元反応により一方が発色状態で他方が消色状態となることを特徴とする請求項1に記載の表示媒体である。
請求項3に係る発明は、前記第1のエレクトロクロミック色素は、前記発色状態において互いに異なる複数種類の色に発色し、各種類の色へ変化するために前記一対の電極間に印加される電圧の閾値が互いに異なることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表示媒体である。
請求項4に係る発明は、前記第2のエレクトロクロミック色素は、前記発色状態において互いに異なる複数種類の色に発色し、各種類の色へ変化するために前記一対の電極間に印加される電圧の閾値が互いに異なることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の表示媒体である。
請求項5に係る発明は、前記多孔質層に保持され、前記第1のエレクトロクロミック色素及び前記第2のエレクトロクロミック色素とは異なる色に発色する第3のエレクトロクロミック色素と、前記電解質中に分散され、前記第1のエレクトロクロミック色素、前記第2のエレクトロクロミック色素、及び前記第3のエレクトロクロミック色素とは異なる色に発色する第4のエレクトロクロミック色素と、を備え、前記第3のエレクトロクロミック色素及び前記第4のエレクトロクロミック色素の双方は、前記第1のエレクトロクロミック色素及び前記第2のエレクトロクロミック色素の双方が前記還元型色素のときには前記酸化型色素であり、前記第1のエレクトロクロミック色素及び前記第2のエレクトロクロミック色素の双方が前記酸化型色素のときには前記還元型色素であり、前記第3のエレクトロクロミック色素及び前記第4のエレクトロクロミック色素の、消色状態から発色状態へ変化するために前記一対の電極間に印加される電圧の閾値が下記式(2)の関係を満たすことを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の表示媒体である。
E3<E4 式(2)
式(2)中、E3は、前記第3のエレクトロクロミック色素が消色状態から発色状態へ変化するために前記一対の電極間に印加される電圧の閾値の絶対値を示し、
E4は、前記第4のエレクトロクロミック色素が消色状態から発色状態へ変化するために前記一対の電極間に印加される電圧の閾値の絶対値を示す。
請求項6に係る発明は、前記第3のエレクロトクロミック色素及び前記第4のエレクトロクロミック色素は、該第3のエレクトロクロミック色素と該第4のエレクトロクロミック色素との分子間における電子の授受による酸化還元反応により一方が発色状態で他方が消色状態となることを特徴とする請求項5に記載の表示媒体である。
請求項7に係る発明は、前記第3のエレクトロクロミック色素は、前記発色状態において互いに異なる複数種類の色に発色し、各種類の色へ変化するために前記一対の電極間に印加される電圧の閾値が互いに異なることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の表示媒体である。
請求項8に係る発明は、前記第4のエレクトロクロミック色素は、前記発色状態において互いに異なる複数種類の色に発色し、各種類の色へ変化するために前記一対の電極間に印加される電圧の閾値が互いに異なることを特徴とする請求項5〜請求項7の何れか1項に記載の表示媒体である。
請求項9に係る発明は、前記電解質が非発色の酸化還元剤を含むことを特徴とする請求項1〜請求項8の何れか1項に記載の表示媒体である。
請求項10に係る発明は、前記一対の電極の互いに向かい合う面の内の、前記多孔質層の設けられていない側に、非発色の酸化還元剤が保持されたことを特徴とする請求項1〜請求項9の何れか1項に記載の表示媒体である。
請求項11に係る発明は、前記一対の電極の互いに向かい合う面の内の、前記多孔質層の設けられていない側に、電荷を蓄積する電荷蓄積部材が設けられたことを特徴とする請求項1〜請求項10の何れか1項に記載の表示媒体である。
請求項12に係る発明は、間隙をもって配置された一対の電極と、前記一対の電極間に配置された電解質と、前記一対の電極の向かい合う面の少なくとも一方に配置された導電性を有する多孔質層と、前記多孔質層に保持された第1のエレクトロクロミック色素と、前記電解質中に分散され、前記第1のエレクトロクロミック色素とは異なる色に発色する第2のエレクトロクロミック色素と、を備え、前記第1のエレクトロクロミック色素及び前記第2のエレクトロクロミック色素の双方が、電気化学的な酸化反応により発色し還元反応により消色する酸化型色素、または電気化学的な還元反応により発色し酸化反応により消色する還元型色素であり、前記第1のエレクトロクロミック色素及び前記第2のエレクトロクロミック色素の消色状態から発色状態へ変化するために前記一対の電極間に印加される電圧の閾値が下記式(3)の関係を満たす表示媒体と、前記一対の電極に電圧を印加する電圧印加装置と、を備えた事を特徴とする表示装置である。
E1<E2 式(3)
式(3)中、E1は、前記第1のエレクトロクロミック色素が消色状態から発色状態へ変化するために前記一対の電極間に印加される電圧の閾値の絶対値を示し、E2は、前記第2のエレクトロクロミック色素が消色状態から発色状態へ変化するために前記一対の電極間に印加される電圧の閾値の絶対値を示す。
請求項13に係る発明は、前記第1のエレクロトクロミック色素及び前記第2のエレクトロクロミック色素は、該第1のエレクトロクロミック色素と該第2のエレクトロクロミック色素との分子間における電子の授受による酸化還元反応により一方が発色状態で他方が消色状態となることを特徴とする請求項12に記載の表示装置である。
請求項14に係る発明は、前記第1のエレクトロクロミック色素が消色状態から発色状態へ変化するために前記一対の電極間に印加される電圧の閾値に向かって連続的または段階的に変化する電圧を前記一対の電極間に印加した後に、前記第2のエレクトロクロミック色素が消色状態から発色状態へ変化するために前記一対の電極間に印加される電圧の閾値に向かって連続的または段階的に変化する電圧を前記一対の電極間に印加するように、前記電圧印加装置を制御する制御装置を更に備えた請求項12または請求項13に記載の表示装置である。
請求項1に係る発明によれば、本発明の構成を有しない場合に比べて、各色素間の色の混色が抑制され、表示媒体に含まれる特定のエレクトロクロミック色素が効率よく選択的に発色される、という効果を奏する。
請求項2に係る発明によれば、本発明の構成を有しない場合に比べて、特定のエレクトロクロミック色素が効率よく選択的に発色される、という効果を奏する。
請求項3に係る発明によれば、本発明の構成を有しない場合に比べて、容易に更なる多色表示が実現される、という効果を奏する。
請求項4に係る発明によれば、本発明の構成を有しない場合に比べて、容易に更なる多色表示が実現される、という効果を奏する。
請求項5に係る発明によれば、本発明の構成を有しない場合に比べて、簡易な構成で容易に更なる多色表示が実現される、という効果を奏する。
請求項6に係る発明によれば、本発明の構成を有しない場合に比べて、特定のエレクトロクロミック色素が効率よく選択的に発色される、という効果を奏する。
請求項7に係る発明によれば、本発明の構成を有しない場合に比べて、容易に更なる多色表示が実現される、という効果を奏する。
請求項8に係る発明によれば、本発明の構成を有しない場合に比べて、容易に更なる多色表示が実現される、という効果を奏する。
請求項9に係る発明によれば、本発明の構成を有しない場合に比べて、酸化還元反応が促進される、という効果を奏する。
請求項10に係る発明によれば、本発明の構成を有しない場合に比べて、酸化還元反応が促進される、という効果を奏する。
請求項11に係る発明によれば、本発明の構成を有しない場合に比べて、酸化還元反応が促進される、という効果を奏する。
請求項12に係る発明によれば、本発明の構成を有しない場合に比べて、各色素間の色の混色が抑制され、表示媒体に含まれる特定のエレクトロクロミック色素が効率よく選択的に発色される、という効果を奏する。
請求項13に係る発明によれば、本発明の構成を有しない場合に比べて、各色素間の色の混色が抑制され、表示媒体に含まれる特定のエレクトロクロミック色素が効率よく選択的に発色される、という効果を奏する。
請求項14に係る発明によれば、本発明の構成を有しない場合に比べて、更に特定のエレクトロクロミック色素が効率よく選択的に発色され、且つ繰り返し表示による劣化が抑制される、という効果を奏する。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、作用・機能が同じ働きを担う部材には、全図面を通して同じ符合を付与し、重複する説明を省略する場合がある。
本実施の形態では、表示装置10は、図1に示すように、表示媒体12と、表示媒体12に電圧を印加する電圧印加部14と、制御部16と、を含んで構成されている。
表示媒体12は、画像表示面とされる表示基板20と、表示基板20に間隙をもって対向する背面基板22と、表示基板20と背面基板22との基板間に充填された電解質層24と、を含んだ構成とされている。また、表示基板20と背面基板22との基板間の、少なくとも表示基板20の背面基板22との向かい合う面には、導電性または半導電性の多孔質層34が積層されている。さらに、この表示基板20と背面基板22との基板間には、反射層40が設けられている。
なお、本実施の形態において「導電性」及び「導電」とは、体積抵抗率が102Ω・cm未満を意味している。また、下記で示される「半導電性」及び「半導」とは、体積抵抗率が10Ωcm以上10Ωcm以下を意味している。
多孔質層34には、エレクトロクロミック色素(以下、EC色素と称する場合がある)として、第1のエレクトロミック色素(以下、EC1色素と称する場合がある)36が保持されている。また、電解質層24中には、エレクトロクロミック色素として、第2のエレクトロクロミック色素(以下、EC2色素と称する場合がある)38が分散されている。
エレクトロクロミック色素は、詳細は後述するが、電気化学的な酸化反応及び還元反応の少なくとも一方により発色または消色する色素である。本実施の形態の表示媒体12では、互いに異なる色に発色する少なくとも2種類のエレクトロクロミック色素が表示基板20と背面基板22との基板間に含有されており、一方(本実施の形態ではEC1色素36)のエレクトロクロミック色素は多孔質層34に保持されており、他方(本実施の形態ではEC2色素38)のエレクトロクロミック色素は電解質層24中に分散されている。
なお、これらの多孔質層34に保持されたEC1色素36と、電解質層24中に分散されたEC2色素38と、は、双方とも酸化型色素、または双方とも還元型色素、とされている。このため、EC1色素36が酸化型色素である場合には、EC2色素38も酸化型色素とされ、EC1色素36が還元型色素である場合には、EC2色素38も還元型色素とされている。
この酸化型色素とは、電気化学的な還元反応により消色して消色状態となり、酸化反応により発色して発色状態となるEC色素である。還元型色素とは、電気化学的な酸化反応により消色して消色状態となり、還元反応により発色して発色状態となるEC色素である。
なお、上記「発色状態」とは、発色した状態を示し、少なくとも可視光領域に吸収ピークを有する状態とされ、着色された状態として視認される状態を意味している。また、「消色状態」とは、消色された状態を示し、少なくとも、可視光領域以外の領域に吸収ピークを有する状態とされ、無色または極淡色の消色された状態として視認される状態を意味している。
また、多孔質層34に保持されたEC1色素36、及び電解質層24中に分散されたEC2色素38、の各々について、消色状態から発色状態へ変化するために電極28と電極32との間に印加される電圧の閾値は、下記式(1)の関係を満たしている。
E1<E2 式(1)
式(1)中、E1は、多孔質層34に保持されたEC1色素36が消色状態から発色状態へ変化するために電極28及び電極32の電極間に印加される電圧の閾値の絶対値を示し、E2は、電解質層24中に分散されたEC2色素38が消色状態から発色状態へ変化するために該電極間に印加される電圧の閾値の絶対値を示す。
EC1色素36及びEC2色素38の上記閾値の関係が上記式(1)の関係を満たし、且つEC1色素36が多孔質層34に保持され、EC2色素38が電解質層24中に分散された状態とされていることで、本実施の形態の表示媒体12では、EC1色素36とEC2色素38との分子間における電子の授受による酸化還元反応により、一方が発色状態で他方が消色状態となる。このため、双方のEC色素が同時に発色した状態となることが抑制され、各色素間の発色状態における色の混色が抑制される。このため、表示媒体12に含まれる特定のエレクトロクロミック色素が効率よく選択的に発色されることとなる。具体的な作用、及び具体的なエレクトロクロミック色素の詳細については、後述する。
―表示基板及び背面基板―
表示基板20は、支持基板26上に電極28が積層された構成されている。また、背面基板22は、支持基板30上に電極32が積層された構成とされている。表示基板20及び背面基板22の内の少なくとも表示基板20は、透明とされている。なお、本実施の形態において透光性及び透明とは、可視光の平均透過率が80%以上であることを示している。
前記電極28及び電極32の各々の設けられる支持基板26及び支持基板30としては、電極28及び電極32の各々を配置するための基材として使用され、その材質、形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく適宜設計される。
これらの支持基板26及び支持基板30としては、例えば、ガラス板、高分子フイルム、などが好適に挙げられる。高分子フイルムの材料としては、テトラアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート(PAr)、ポリスルフォン(PSF)、ポリエステルスルフォン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、環状ポリオレフィン、ブロム化フェノキシ、などが挙げられる。
電極28及び電極32としては、透明で電気を通すものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択され、例えば、酸化スズインジウム(ITO)、酸化スズ(NESA)、フッ素をドープした酸化スズ(FTO)、酸化インジウム、酸化亜鉛、白金、金、銀、ロジウム、銅、クロム、炭素等が挙げられる。これらの中でも、酸化錫−酸化インジウム(ITO)、酸化錫、酸化亜鉛などに代表される金属酸化物が好ましく用いられ、更に、表面抵抗値が低い、耐熱性が良い、化学的な安定性がある、光透過率が高い、等の点からフッ素をドーピングした酸化スズ(FTO)、酸化スズインジウム(ITO)が好ましい。
特に、本実施の形態の表示媒体12では、電極28に接触した状態で導電性または半導電性の多孔質層34を配置させることから、多孔質層34に接触しても化学的に安定である必要があることからも、酸化物たる酸化スズ(FTO)や酸化スズインジウム(ITO)は好適である。
これらの電極28及び電極32の厚みは、特に制限がなく、目的に応じて適宜選択されるが、例えば、0.1μm以上、更に具体的には0.1μm以上20μm以下であるのが一般的である。
これらの電極28及び電極32は、スパッタ法、ゾルゲル法、印刷法により形成される。また、表示媒体12において、目視方向から見て最も遠い方の電極(本実施の形態では電極32)としては、酸化錫−酸化インジウム(ITO)、酸化錫、酸化亜鉛などに代表される金属酸化物層の他に、導電性高分子や、カーボン、銅、アルミニウム、金、銀、ニッケル、プラチナなどに代表される金属層を用いてもよい。
―多孔質層―
多孔質層34は、電極28に接して積層されており、導電性を有している。なお、本実施の形態では、多孔質層34は、電極28と電極32の内の、表示面側に設けられた電極28に接触して積層されて設けられている場合を説明するが、電極28と電極32との双方の向かい合う面に接触して積層された構成であってもよい。
多孔質層34は、その表面及び内部に、EC1色素36を担持可能な微細孔を多く有するよう、多孔質の構成となっている。この多孔質層34は、単層構造であってもよいが、多層構造であってもよい。
多孔質層34の比表面積は、1m2/g以上5000m2/g以下が好ましく、10m2/g以上2500m2/g以下がより好ましい。ここで、比表面積は窒素ガスの吸着量から求めたBET比表面積を意味する。比表面積が小さすぎるとEC1色素36の吸着量が充分でなくなり、本発明の目的を達成できなくなる場合がある。
多孔質層34の厚さ(多層構造の場合には合算した厚さ)は、1μm以上200μm以下であることが好ましく、5μm以上50μm以下であることがより好ましい。1μmよりも薄いと、吸着されるEC色素量が減るために表示性能が低下し、200μmよりも厚いと透明性の低下や駆動電圧の上昇を招く場合がある。
多孔質層34は、いかなる構成であってもよいが、導体粒子を充填させることで多孔質状態を形成することが製造の簡便さから好ましい。多孔質層34に含まれる導体粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択され、例えば、単体半導体、酸化物半導体、化合物半導体、有機半導体、複合体酸化物半導体、又はこれらの混合物が挙げられ、これらにはドーパントとして不純物が含まれていてもよい。なお、半導体の形態の制限は特になく、単結晶、多結晶、非晶質又はこれらの混合形態であってもよい。
前記単体半導体としては、例えば、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、テルル(Te)、などが挙げられる。
前記酸化物半導体は、金属酸化物で半導体の性質を持つものであり、例えば、TiO2,SnO2、Fe23、SrTiO3、WO3、ZnO、ZrO2、Ta25、Nb25、V25、In23、CdO、MnO,CoO、TiSrO3、KTiO3、Cu2O、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウム、などが挙げられる。
前記化合物半導体としては、例えば、カドミウムの硫化物、亜鉛の硫化物、鉛の硫化物、銀の硫化物、アンチモンの硫化物、ビスマスの硫化物、カドミウムのセレン化物、鉛のセレン化物、カドミウムのテルル化物、亜鉛のリン化物、ガリウムのリン化物、インジウムのリン化物、カドミウムのリン化物、ガリウム−ヒ素のセレン化物、銅−インジウムのセレン化物、銅−インジウムの硫化物、などが挙げられる。
前記有機半導体としては、例えば、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリフェニレンビニレン、ポリフェニレンスルフィド、等が挙げられる。
前記複合体酸化物半導体としては、例えば、SnO2−ZnO、Nb25−SrTiO3、Nb25−Ta25、Nb25−ZrO2、Nb25−TiO2、Ti−SnO2、Zr−SnO2、Bi−SnO2、In−SnO2、Al−ZnO、Ga−ZnOなどが挙げられる。前記SnO2−ZnOは、比較的大きなZnO粒子(粒径約0.2μm)を中心に周りをSnO2超粒子(粒径約15nm)で被覆したものであり、両者の複合化は質量比でSnO2:ZnO=70:30〜30:70の範囲であることが好ましい。前記Nb25−SrTiO3、Nb25−Ta25、Nb25−ZrO2、及びNb25−TiO2などのNb25複合体は、Nb25との質量比が8:2〜2:8となるように複合化される。
前記半導体粒子の形状は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定され、球形、ナノチューブ状、棒状、ウィスカー状のいずれの形状であっても構わず、形状の異なる2種類以上の粒子を混合してもよい。前記球形粒子の場合には、個数平均粒径が0.1nm以上1000nm以下が好ましく、1nm以上100nm以下がより好ましい。なお、粒径分布の異なる2種類以上の粒子を混合しても構わない。また、前記棒状粒子の場合には、アスペクト比が2以上50000以下が好ましく、5以上25000以下がより好ましい。
前記多孔質層34を形成する方法としては、特に制限はなく、半導体の種類に応じて適宜選定される。例えば、金属陽極酸化法、陰極析出法、スクリーン印刷法、スキージ法、ゾルゲル法、熱酸化法、真空蒸着法、DC及びDFスパッタ法、化学気相堆積法、有機金属化学気相堆積法、分子線堆積法、レーザーアブレーション法などが挙げられ、また、上記方法を組み合わせて作製してもよい。
具体的な形成方法としては、特開2003−255400に示される多孔質層の形成方法を用いればよい。
―電解質層―
電解質層24としては、EC2色素38が分散され、該分散されたEC2色素38が表示基板20と背面基板22との基板間を移動可能な形態であればよく、液体、ゲル状の何れであっても構わない。なお、内部に分散されたEC2色素38が電解質層24を移動可能な形態であれば、電解質層24が固体であってもよい。
電解質層24が液体である場合には、電解質層24は、電極28と電極32との電極間を十分な速度で輸送可能な電解質等の電荷輸送性物質を溶媒に溶かして用いることが好ましい。
この電解質としては、例えば、過過塩素酸リチウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カルシウム、塩素酸テトラブチルアンモニウム等の過塩素酸塩、ヨウ素、臭素、LiI、NaI、KI、CsI、CaI、LiBr、NaBr、KBr、CsBr、CaBr等の金属ハロゲン化物、ヨウ化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラプロピルアンモニウム、ヨウ化テトラブチルアンモニウム、臭化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム等のアンモニウム化合物のハロゲン化塩、メチルビオロゲンクロリド、ヘキシルビオロゲンブロミド等のアルキルビオロゲン、ハイドロキノン、ナフトハイドロキノン等のポリヒドロキシベンゼン、フェロセン、フェロシアン酸塩等の鉄錯体等の少なくとも1種が用いられるが、これに限定するものではない。また、ヨウ素とヨウ化リチウム等の組合せのように、予めレドックス対(酸化還元対)を生成させる複数の電解質を混合して用いると、表示媒体12の性能、特に電流特性が向上される。これらの中でも、ヨウ素とアンモニウム化合物、ヨウ素と金属ヨウ化物の組合せ等が好適に挙げられる。
これらの電解質を溶解する溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート化合物、ジオキサン、ジエチルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテル等のエーテル類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のアルコール類、アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、炭酸プロピレン、炭酸エチレン等の非プロトン性極性溶媒、水等が用いられるが、これらに限定されるものではない。
前記溶媒における前記電解質の電解質濃度としては、0.001mol/l以上2mol/l以下が望ましく、0.01mol/l以上1mol/l以下がより望ましい。電解質濃度が0.001mol未満の場合には、キャリアとしての機能が十分に働かなくなるため、特性が低下する場合がある。一方、2mol/lを超える場合には、それに見合う前述の効果が現れず、また、電解質溶液の粘性が高くなり、電流の低下につながることがある。
電解質層24がゲル状である場合には、ポリマー添加、オイルゲル化剤添加、多官能モノマー類が、前記電解質及び前記溶媒に混合して用いられる。前記ポリマー添加によりゲル化させる場合は、「Polymer Electrolyte Revi ews−1及び2」(J.R.MacCallumとC.A.Vincentの共編、ELSEVIER APPLIED SCIENCE)などに記載された化合物が使用されるが、特に、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデンなどが好適である。前記オイルゲル化剤添加によりゲル化させる場合は、「J.Chem Soc.Japan,Ind.Chem.Sec.,46,779(1943)」、「J.Am.Chem.Soc.,111,5542(1989)」、「J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,1993,390」、「Angew.Chem.Int.Ed.Engl.,35,1949(1996)」、「Chem.Lett.,1996,885」、「J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,1997,545」などに記載されている化合物が使用されるが、特に、分子構造中にアミド構造を有する化合物が望ましい。
また、電解質層24としては、マトリックス材と支持電解質との混合液を重合させてフイルム状とした固体電解質層を用いても良い。
この支持電解質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、無機電解質であってもよいし、有機電解質であってもよい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、また、市販品であってもよく、適宜合成しても構わない。
前記無機電解質としては、例えば、無機酸陰イオン−アルカリ金属塩、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属などが挙げられ、これらの中でも無機酸陰イオン−アルカリ金属塩が好ましく、無機酸リチウム塩がより好ましい。
前記無機酸陰イオン−アルカリ金属塩としては、例えば、XAsF、XPF、XBF、XClO、などが挙げられ、(但し、これらにおいてXは、H、Li、K又はNaを表す。)、具体的には過塩素酸リチウムなどが好適に挙げられる。
前記アルカリ金属塩としては、例えば、LiI、KI、LiCFSO、LiPF、LiClO、LiBF、LiSCN、LiAsF、NaCFSO、NaPF、NaClO、NaI、NaBF、NaAsF、KCFSO、KPF、などが挙げられる。前記有機電解質としては、例えば、有機酸陰イオン−アルカリ金属塩、四級アンモニウム塩、アニオン性界面活性剤、イミダゾリウム塩、などが挙げられ、これらの中でも有機酸陰イオン−アルカリ金属塩が好ましく、有機酸リチウム塩がより好ましい。
前記マトリックス材の前記電解質層における使用量としては、前記支持電解質とのモル比(マトリックス材:支持電解質)が、70:30以上5:95以下であるのが好ましく、50:50以上10:90以下であるのがより好ましく、50:50以上20:80以下であるのが特に好ましい。なお、前記モル比は、前記マトリックス材のモル量と、前記支持電解質のイオンのモル量との比を意味する。該マトリックス材のモル量とは、高分子化合物のモノマー単位を1分子として換算したモル量を意味する。
このようなフイルム状の固体の電解質層24は、前記マトリックス材と支持電解質との混合液に過酸化ベンゾイルやアゾビスイソブチロニトリル等の重合開始剤を少量添加したものを薄く延ばし、続いて加熱を行い重合させるか、又はイルガキュア等の光重合開始剤を添加して、紫外線照射により重合させることにより作製される。なお、このフイルムの厚さは、通常、30μm以上500μm以下、望ましくは50μm以上200μm以下である。
―反射層―
反射層40は、表示基板20と背面基板22との基板間に設けられ、表示基板20と背面基板22との基板間に含有されたEC色素(本実施の形態ではEC1色素36及びEC2色素38)の発色状態のときの色とは異なる光学的反射特性を有している。
また、反射層40は、電解質層24中に分散されているEC2色素38の、表示基板20と背面基板22との向かい合う方向への移動を阻害することの無いように構成されている。
なお、この反射層40が「EC色素の発色状態の時の色とは異なる光学的反射特性を有する」とは、表示媒体12中に封入されているEC1色素36及びEC2色素38と、反射層40と、を各々のEC色素が発色状態とされているときに対比して目視で観察した場合に、色相や明度、鮮度などにおいて、両者の差異が識別できる差異があることを意味している。
この反射層40は、該反射層40より背面基板22側の色を遮蔽する機能を有している事が好ましい。ここで、本実施の形態における「隠蔽」とは、可視光に対して50%以下の透過率を示す場合を意味している。
このため、反射層40より表示基板20側のEC色素について、発色状態の色が表示媒体12に表示されることとなる。
この反射層40の色は、白い背景で表示が行なえるとの理由から、白色であることが好ましく、白色度が30%以上であることが好ましく、40%以上であることが特に好ましい。なお、この白色度は、白さの尺度をいい、具体的にはJIS−P8123に記載の方法に従い、ハンター白色度計やX−rite測色計を用いて測定した値である。
この反射層40の形態としては、上記特性を有すれば特に限定されず、酸化チタン、酸化亜鉛等の材料から構成される無機材料粒子や、メタクリル酸メチル樹脂、スチレンアクリル樹脂、シリコーン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂等の材料から構成される有機材料粒子などの粒子状の部材の集合体であってもよいし、これらの粒子が電解質層24中に分散された形態であってもよいし、樹脂シートや、不織布等を利用してもよい。
反射層40を基板間へ封入するには、例えば、インクジェット法などにより行う。また、反射層40を基板間に固定化する場合、例えば、反射層40を封入した後、加熱(及び必要があれば加圧)して、反射層40を構成する粒子群表層を溶かすことで、粒子間隙を維持させつつ行われる。
―エレクトロクロミック色素―
次に、エレクトロクロミック色素について説明する。
エレクトロクロミック色素(EC色素)は、本実施の形態の表示媒体12においては、上記に示したように、なくとも2種類のエレクトロクロミック色素が表示基板20と背面基板22との基板間に含有されており、一方(本実施の形態ではEC1色素36)のエレクトロクロミック色素は多孔質層34の保持されており、他方(本実施の形態ではEC2色素38)のエレクトロクロミック色素は電解質層24中に分散されている。また、多孔質層34に保持されたEC1色素36、及び電解質層24中に分散されたEC2色素38、の各々について、消色状態から発色状態へ変化するために電極28と電極32との間に印加される電圧の閾値が、上記式(1)の関係を満たしている。
本実施の形態の表示媒体12に用いられるEC色素としては、電気化学的な酸化反応及び還元反応の少なくとも一方により発色又は消色する作用を示す限り特に制限はなく、上記条件(EC1色素36及びEC2色素38であれば、上記式(1)、双方が酸化型色素または還元型色素であり、且つ異なる色に発色する)を満たす範囲で目的に応じて適宜選択され、例えば、有機化合物、金属錯体などが好適に挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記金属錯体としては、例えば、プルシアンブルー、金属−ビピリジル錯体、金属フェナントロリン錯体、金属−フタロシアニン錯体、メタフェリシアニド、これらの誘導体などが挙げられる。前記有機材料としては、例えば、(1)ピリジン化合物類、(2)導電性高分子類、(3)スチリル化合物類、(4)ドナー/アクセプター型化合物類、(5)その他有機色素類、などが挙げられる。
前記(1)ピリジン化合物類としては、例えば、ビオローゲン、ヘプチルビオローゲン(ジヘプチルビオローゲンジブロミド等)、メチレンビスピリジニウム、フェナントロリン、アゾビピリジニウム、2,2−ビピリジニウム錯体、キノリン・イソキノリン、などが挙げられる。
前記(2)導電性高分子類としては、例えば、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリフェニレンジアミン、ポリアミノフェノール、ポリビニルカルバゾール、高分子ビオローゲンポリイオンコンプレックス、TTF、これらの誘導体などが挙げられる。
前記(3)スチリル化合物類としては、例えば、2−[2−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]エテニル]−3,3−ジメチルインドリノ[2,1−b]オキサゾリジン、2−[4−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]−1,3−ブタジエニル]−3,3−ジメチルインドリノ[2,1−b]オキサゾリジン、2−[2−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]エテニル]−3,3−ジメチル−5−メチルスルホニルインドリノ[2,1−b]オキサゾリジン、2−[4−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]−1,3−ブタジエニル]−3,3−ジメチル−5−スルホニルインドリノ[2,1−b]オキサゾリジン、3,3−ジメチル−2−[2−(9−エチル−3−カルバゾリル)エテニル]インドリノ[2,1−b]オキサゾリジン、2−[2−[4−(アセチルアミノ)フェニル]エテニル]−3,3−ジメチルインドリノ[2,1−b]オキサゾリジン、などが挙げられる。
前記(4)ドナー/アクセプター型化合物類としては、例えば、テトラシアノキノジメタン、テトラチアフルバレン、などが挙げられる。
前記(5)その他有機色素類としては、例えば、フタル酸、カルバゾール、メトキシビフェニル、アントラキノン、キノン、ジフェニルアミン、アミノフェノール、Tris−アミノフェニルアミン、フェニルアセチレン、シクロペンチル化合物、ベンゾジチオリウム化合物、スクアリウム塩、シアニン、希土類フタロシアニン錯体、ルテニウムジフタロシアニン、メロシアニン、フェナントロリン錯体、ピラゾリン、酸化還元指示薬、pH指示薬、これらの誘導体、などが挙げられる。
これらの中でも、ビオローゲン系色素およびフタル酸系色素が好適である。
なお、本実施の形態の表示媒体12では、EC色素としては、酸化状態では無色または極淡色の消色状態となり還元状態で発色して発色状態となる還元発色型のもの、及び還元状態では無色または極淡色の消色状態となり酸化状態で発色して発色状態となる酸化発色型のもの、が用いられ、目的に応じて適宜選択される。
さらに、発色状態において、還元または酸化の程度により数種類の色が発現する多色発色型のものを用いても良く、目的に応じて適宜選択すればよい。
上述のように、表示媒体12の基板間に含有される2種類のEC色素の内の、消色状態から発色状態へ変化するために電極28及び電極32の電極間に印加される電圧の閾値の絶対値の小さい方のEC1色素36は、多孔質層34に保持されている。この「保持」とは、多孔質層34の表面及び各孔内にEC色素が保持された状態を示している。多孔質層34にEC色素を保持させる方法としては、多孔質層34の表面にEC1色素36を吸着させる方法や、多孔質層34とEC1色素36とを化学的に結合させる方法等、従来公知の技術が適用される。
例えば、真空蒸着法等のドライプロセス、スピンコート等の塗布法、電界析出法、電界重合法や保持させる化合物の溶液に浸す自然吸着法等の方法が適宜選ばれる。中でも自然吸着法は、金属酸化物層の微細孔のすみずみにむらなく確実に機能性分子が保持されうる点や、特別な装置を必要としない点、そして多くの場合は単分子層程度であり必要以上に余分な量がつかない等の多くの利点を有しており好ましい方法である。
また、多孔質層34表面へEC1色素36を化学結合させる方法も好適に用いられる。
上記自然吸着法としては、保持対象のEC色素の溶液中に、良く乾燥した多孔質層34を有する透明基板を浸漬するか、保持対象のEC色素の溶液を多孔質層34に塗布する方法が用いられる。前者の場合、浸漬法、ディップ法、ローラ法、エアーナイフ法等が使用される。浸漬法の場合、色素の吸着は室温で行ってもよいし、特開平7−249790号公報に記載されているように加熱還流して行ってもよい。また、後者の塗布方法としては、ワイヤーバー法、スライドホッパー法、エクストルージョン法、カーテン法、スピン法、スプレー法等がある。
上記EC色素の溶液に用いられる、該EC色素を溶解する溶媒としては、例えば、水、アルコール類(メタノール、エタノール、t−ブタノール、ベンジルアルコール等)、ニトリル類(アセトニトリル、プロピオニトリル、3−メトキシプロピオニトリル等)、ニトロメタン、ハロゲン化炭化水素(ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン等)、エーテル類(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等)、ジメチルスルホキシド、アミド類(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセタミド等)、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、3−メチルオキサゾリジノン、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、炭酸エステル類(炭酸ジエチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン等)、ケトン類(アセトン、2−ブタノン、シクロヘキサノン等)、炭化水素(へキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエン等)やこれらの混合溶媒が挙げられる。
また、多孔質層34表面へEC色素(EC1色素36)を化学結合させる方法としては、多孔質層34の表面とEC色素骨格との間に、所定の官能基を介しても良い。この官能基としては、例えば、アルキル基、フェニル基、エステル、アミド等の官能基が好適である。また、多孔質層34の表面をシランカップリング剤等によって改質した後に、EC色素を化学結合させるようにしてもよい。
多孔質層34へのEC色素(EC1色素36)の吸着量は、多孔質層34の単位表面積(1m)当たり0.01mmol以上100mmol以下が好ましい。また、EC1色素36の、多孔質層34を構成する各半導体粒子に対する吸着量は、半導体粒子1g当たり0.01mmol以上100mmol以下の範囲であるのが好ましい。
なお、詳細は後述するが、多孔質層34に、更に、互いに異なる色に発色する複数種類のEC色素を吸着させる場合には、多孔質層34に吸着させるEC色素の総量が、上記範囲内であればよい。
なお、多孔質層34は、EC色素(EC1色素36)を保持させる前に、熱処理(例えば、100℃以上550℃以下で10分間)することが好ましい。これにより、多孔質層34表面に吸着した水分、その他の不純物が除去されると共に、多孔質層34表面を活性化し得、EC色素の吸着が効率よく行われる。
一方、表示媒体12の基板間に含有される2種類のEC色素の内の、消色状態から発色状態へ変化するために電極28及び電極32の電極間に印加される電圧の閾値の絶対値の大きい方のEC2色素38は、電解質層24中に分散されている。この電解質層24中に分散されているEC色素(EC2色素38)の電解質中濃度は、0.001mol/l以上2mol/l以下が好ましく、0.01mol/l以上1mol/l以下がより好ましい。
なお、電解質層24に、更に互いに異なる色に発色する複数種類のEC色素を分散させる場合には、電解質層24中に分散させるEC色素の総濃度が、上記範囲内であればよい。
―酸化還元剤−
上記電解質層24中には、酸化還元反応により発色しない(すなわち非発色の)酸化還元剤が分散されていることが好ましい(図1中、酸化還元剤44参照)。
酸化還元剤を用いることにより、基板間に配置されたEC色素の酸化還元反応が効率良く進行し、EC色素の可逆的な発色効率及び消色効率が向上される。
さらに、酸化還元剤は、電極28及び電極32の内の、EC1色素36の保持された多孔質層34の設けられている側とは、対極側の電極上に固定化されていることが好ましい。図1に示すように、本実施の形態では、電極28及び電極32の内の、電極28側に、EC1色素36を保持した多孔質層34が設けられていることから、電極32上に、酸化還元剤44が固定化されていることが望ましい。これによって、電極28及び電極32の双方の電極側で、同時に効率良く酸化還元反応が生じ、表示媒体12全体の発色効率及び消色効率が向上される。
このような酸化還元剤としては、酸化還元反応により非発色の酸化還元剤であればよく、具体的には、フェロセン、フェノチアジン、ヨウ素と金属ヨウ化物の組合せ、等が挙げられる。中でも、安定性が高く、溶液の吸収係数が小さい等の観点から、フェロセンが好ましい。
なお、酸化還元剤を電極32表面に固定化する方法としては、上述した多孔質層34にEC1色素36を保持させる方法と同じ方法を用いて、電極32上に酸化還元剤を保持させればよい。
なお、電解質層24中に添加される酸化還元剤は、電解質層24中において溶解または分散された状態で含有され、その電解質層24中の濃度は、0.001mol/l以上2mol/l以下が望ましく、0.01mol/l以上1mol/l以下がより望ましい。
―電荷蓄積部材−
また、表示基板20と背面基板22との基板間に含有されたEC色素(EC1色素36及びEC2色素38)の酸化還元反応を効率良く生じさせるために、図1に示すように、該基板間に電荷蓄積部材42を設ける事が好ましい。この電荷蓄積部材42は、電極28及び電極32の内の、EC1色素36の保持された多孔質層34の設けられている側とは、対極側の電極上に固定化されていることが望ましい。本実施の形態では、電極28及び電極32の内の、電極28側に、EC1色素36を保持した多孔質層34が設けられていることから、電荷蓄積部材42は、電極32上に固定化されていることが望ましい。
電荷蓄積部材42としては、比表面積が1000以上の部材が選択される。このような比表面積の大きい部材としては、カーボンやアルミナが好適に用いられ、具体的には、極めて多くの細孔を有する活性炭やカーボンナノチューブ等が挙げられる。これらの部材は、比表面積が大きいことから、蓄積される電荷容量が大きく、表面に極性を有している。このため、電荷蓄積部材42を、電極28及び電極32の内の、EC1色素36を保持している多孔質層34の積層された電極28とは、反対側の電極32上に設けることによって、電極28及び電極32の2つの電極上で、同時に効率良く酸化還元反応が生じ、表示媒体12全体の発色効率及び消色効率が向上される。
上述のように構成される表示媒体12は、各種分野において好適に使用され、例えば、ECD(Electrochromic Display)、株価の表示板等の大型表示板、防眩ミラー、調光ガラス等の調光素子、タッチパネル式キースイッチ等の低電圧駆動素子、光スイッチ、光メモリー、電子ペーパー、電子アルバムなどに好適に使用される。
本実施の形態の表示媒体12への所望の画像の表示は、具体的には、表示媒体12を、表示装置10に設けた構成とすることによって実現される。
例えば、図1に示すように、表示装置10を、上述の表示媒体12と、電圧印加部14と、制御部16と、を含んだ構成とする。電圧印加部14は、電極28及び電極32に電気的に接続されている。また電圧印加部14は、制御部16に信号授受可能に接続されている。
制御部16は、装置全体の動作を司るCPU(中央処理装置)と、各種データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)と、装置全体を制御する制御プログラム等の各種プログラムが予め記憶されたROM(Read Only Memory)と、を含むマイクロコンピュータとして構成されている。
電圧印加部14は、電極28及び電極32に電圧を印加するための電圧印加装置であり、制御部16の制御に応じた電圧を電極28及び電極32間に印加する。
この制御部16の制御によって、表示媒体12に所望の色が表示される。
以下、表示媒体12における作用を説明する。
ここで、上述のように、表示媒体12においては、多孔質層34にはEC1色素36が保持され、電解質層24中にはEC2色素38が分散されている。そして、これらのEC色素の各々について、消色状態から発色状態へ変化するために電極28と電極32との間に印加される電圧の閾値が、上記式(1)としてE1<E2の関係を満たしている。
なお、上述のように、式(1)中、E1は、多孔質層34に保持されたEC1色素36が消色状態から発色状態へ変化するために前記一対の電極間に印加される電圧の閾値の絶対値を示し、E2は、電解質層24中に分散されたEC2色素38が消色状態から発色状態へ変化するために前記一対の電極間に印加される電圧の閾値の絶対値を示している。
また、上述のように、EC1色素36及びEC2色素38は、双方が還元型色素、または双方が酸化型色素とされている。
例えば、EC1色素36及びEC2色素38の双方が還元型色素(還元反応により発色状態となり、酸化反応により消色状態となる)であるとする。そして、電極28側が負極となり、電極32側が正極となるように電極28及び電極32の電極間に電圧が印加され、印加電圧を除々に上昇させてEC1色素36の閾値である電圧値E1の電圧が印加されると、EC1色素36及びEC2色素38の内の、電極28に接触して設けられた多孔質層34に保持されている、より閾値の小さい方のEC1色素36がEC2色素38より先に還元されて、非発色状態から発色状態へ変化する(図2及び図3参照)。
すなわち、図3に示すように、電極28と電極32との電極間に、電極28側を負極として電圧値E1の電圧が印加されたときには、EC1色素36色素は還元されて発色状態にあるが、EC2色素38は未だ還元されておらず非発色状態とされている。このため、このときには、表示媒体12には、EC1色素36の色のみが選択的に表示された状態となる。
そして、さらに電極28及び電極32の電極間に印加する電圧を上昇させていく課程で、還元されてラジカルの発生した状態とされたEC1色素36に、電解質層24中に分散されていたEC2色素38が引き寄せられると考えられる(図4参照)。
そして、さらに電極28及び電極32の電極間に印加する電圧を上昇させて、EC2色素38の閾値である電圧値E2の電圧が印加されると、EC2色素38が還元されて非発色状態から発色状態へ変化する。このとき、EC1色素36とEC2色素38とでは、EC2色素38の方が、閾値が高い事から、EC1色素36からEC2色素38へ、分子間において電子の移動が生じると考えられる(図5参照)。このEC1色素36とEC2色素38との分子間の電子の授受によって、多孔質層34に保持されているEC1色素36は酸化されて消色状態となり、EC2色素38は還元されて消色状態から発色状態へと変化すると考えられる。このため、EC1色素36とEC2色素38とが同時に発色状態となることが抑制されて、EC1色素36のみが消色状態となり、EC2色素38のみが発色状態となると考えられる。
一方、電極28側を正極とし、電極32側を負極として、電極間に印加する電圧を除々に上昇させていくと、上記とは逆の現象が生じる。
詳細には、電極28側を正極とし、電極32側を負極として、電極間に印加する電圧を除々に上昇させていくと、EC1色素36及びEC2色素38の内の、EC2色素38が先に酸化されて電子を失い、発色状態から消色状態へと変化する。そして、EC1色素36とEC2色素38との間の分子間の電子の授受によって、EC2色素38から失われた電子は、EC1色素36によって受け取られ、EC1色素36が還元されて消色状態から発色状態へと変化すると考えられる。
そして更に、電極28側を正極とし電極32側を負極として、電極間に印加する電圧を更に除々に上昇させていくと、EC1色素36によって受け取られた電子が電極28へと移動し、EC1色素36も発色状態から消色状態へと変化すると考えられる。
このため、EC1色素36とEC2色素38とが同時に発色状態となることが抑制されて、EC1色素36及びEC2色素38の内の、何れか一方のみが選択的に発色状態とされると考えられる。
以上説明したように、本実施の形態の表示媒体12によれば、電極28と電極32の内の、電極32側に接触配置した多孔質層34にEC1色素36を保持させ、電解質層24中にEC2色素38を分散させた状態とする。そしてEC1色素36及びEC2色素38として、互いに発色状態の色が異なり、上記式(1)の関係を満たし、且つ双方を酸化型色素または還元型色素とする。このように構成し、電極28及び電極32の電極間に電圧を印加して、印加する電圧及び極性を変化させることで、印加した電圧の極性及び電圧値に応じて、EC1色素36及びEC2色素38の内の特定のEC色素のみが選択的に発色される。
従って、EC色素間の混色が抑制される。
なお、本実施の形態の表示媒体12では、EC色素として、各々単色に発色するEC色素を用いた場合を説明したが、互いに消色状態から発色状態へ変化するために電極間に印加される電圧の閾値の絶対値が異なり、且つ上記式(1)を満たす関係であり、且つ発色状態の色が互いに異なれば、何れか一方または双方のEC色素として、発色状態において電極28及び電極32の電極間に印加される電圧の電圧値に応じて互いに異なる複数種類の色に発色するEC色素を用いても良い。このようにすれば、電極28及び電極32の電極間に印加される電圧の極性及び電圧値を調整することで、更なる多色表示が可能とされ、且つ各EC色素の発色状態の色、及び発色状態における複数種類の色の間における混色が抑制され、選択的に目的の色が表示される。
例えば、EC1色素36が、EC2色素38の発色状態の色とは異なり且つ上記式(1)の関係を満たすと共に、互いに異なる2種類の色に発色するとする。また、EC1色素36の発色状態における、この2種類の色へ変化するために電極28及び電極32の電極間に印加される電圧の閾値が互いに異なるとする。この2種類の色(例えば、第1の色及び第2の色)へ変化するための該電極間に印加される電圧の閾値が、E1(A)及びE1(B)であるとし、E1(A)<E2(B)<E2の関係を満たすとする。
また、EC1色素36及びEC2色素38の双方が還元型色素であるとすると、この場合には、例えば、電極28側が負極となり、電極32側が正極となるように電極28及び電極32の電極間に電圧が印加され、印加電圧を除々に上昇させてEC1色素36の閾値である電圧値E1(A)の電圧が印加されると、EC1色素36及びEC2色素38の内の、電極28に接触して設けられた多孔質層34に保持されている、より閾値の小さい方のEC1色素36がEC2色素38より先に還元されて(図3参照)、非発色状態から発色状態へ変化して、閾値E1(A)に対応する第1の色に発色した発色状態となる。
このため、このときには、表示媒体12には、EC1色素36の第1の色のみが選択的に表示された状態となる。
そして更に、印加電圧を除々に上昇させてEC1色素36の第2の色に発色するための閾値である電圧値E2(A)の電圧が印加されると、EC1色素36の還元反応が進行して(図6参照)、閾値E1(B)に対応する第2の色に発色した発色状態となる。
このため、このときには、表示媒体12には、EC1色素36の第2の色のみが選択的に表示された状態となる。
そして、さらに電極28及び電極32の電極間に印加する電圧を上昇させていく課程で、還元されてラジカルの発生した状態とされたEC1色素36に、電解質層24中に分散されていたEC2色素38が引き寄せられると考えられる(図7参照)。
そして、さらに電極28及び電極32の電極間に印加する電圧を上昇させて、EC2色素38の閾値である電圧値E2の電圧が印加されると、EC2色素38が還元されて(図8参照)非発色状態から発色状態へ変化する。このとき、EC1色素36とEC2色素38とでは、EC2色素38の方が、閾値が高い事から、EC1色素36からEC2色素38へ、分子間において電子の移動が生じると考えられる。このEC1色素36とEC2色素38との分子間の電子の授受によって、多孔質層34に保持されているEC1色素36は酸化されて消色状態となり、EC2色素38は還元されて消色状態から発色状態へと変化すると考えられる。このため、EC1色素36とEC2色素38とが同時に発色状態となることが抑制されて、EC1色素36のみが消色状態となり、EC2色素38のみが発色状態となると考えられる。
一方、電極28側を正極とし、電極32側を負極として、電極間に印加する電圧を除々に上昇させていくと、EC1色素36及びEC2色素38の内の、EC2色素38が先に酸化されて電子を失い、発色状態から消色状態へと変化する。そして、EC1色素36とEC2色素38との間の分子間の電子の授受によって、EC2色素38から失われた電子は、EC1色素36によって受け取られ、EC1色素36が還元されて消色状態から発色状態へと変化し、第1の色に発色した状態となると考えられる。
そして更に、電極28側を正極とし電極32側を負極として、電極間に印加する電圧を更に除々に上昇させることで、EC1色素36はEC2色素38から更に電子を受け取り、EC1色素36は第2の色に発色した状態となると考えられる。そして、更に該電圧を除々に上昇させることによって、EC1色素36によって受け取られた電子が電極28へと移動し、EC1色素36も発色状態から消色状態へと変化すると考えられる。
このため、EC1色素36の発色状態における複数種類の色(本実施の形態では、第1の色及び第2の色)、及びEC2色素38の発色状態の色の間における混色が抑制され、選択的に目的の色が表示される。
このように、EC色素として、発色状態において互いに異なる複数種類の色に発色するEC色素を用いることで、単色に発色するEC色素を用いた場合に比べて、更なる多色表示が可能とされる。
なお、上記では、EC1色素36及びEC2色素38の内の、EC1色素36のみを発色状態において複数種類の色に発色するEC色素を用いた場合を説明したが、EC2色素38についても同様に複数種類の色に発色するEC色素を用いても良い。
なお、上記実施の形態では、表示媒体12中には、EC1色素36及びEC2色素38の2種類のEC色素のみを含有する場合を説明したが、更にEC色素を含有した構成であってもよい。
この場合には、図9に示すように、EC色素として、EC1色素36及びEC2色素38とは異なる色に発色するEC3色素51と、EC1色素36、EC2色素38、及びEC3色素51とは異なる色に発色するEC4色素52と、を更に備えた構成とすればよい。
そして、EC3色素51及びEC4色素52の内の、EC3色素51のみを、EC1色素36と共に多孔質層34に保持させた構成とし、EC4色素52をEC2色素38と共に電解質層24中に分散させた構成とすればよい。なお、EC3色素51を多孔質層34に保持させる方法としては、EC1色素36を多孔質層34に保持させた方法と同じ方法を用いればよい。
この場合には、EC3色素51及びEC4色素52は、EC1色素36及びEC2色素38が還元型色素の場合には酸化型色素とし、EC1色素36及びEC2色素38が酸化型色素の場合には還元型色素とする。
また、EC3色素51及びEC4色素52の、消色状態から発色状態へ変化するために電極28及び電極32の電極間に印加される電圧の閾値が下記式(2)の関係を満たすように、EC色素を選択すればよい。
E3<E4 式(2)
式(2)中、E3は、EC3色素51が消色状態から発色状態へ変化するために電極28及び電極32の電極間に印加される電圧の閾値の絶対値を示し、E4は、EC4色素52が消色状態から発色状態へ変化するために電極28及び電極32の電極間に印加される電圧の閾値の絶対値を示す。
例えば、EC1色素36及びEC2色素38が還元型色素であり、EC3色素51及びEC4色素52が酸化型色素であるとする。
この場合には、電極28側が負極となり、電極32側が正極となるように電極28及び電極32の電極間に電圧を印加し、印加電圧を除々に上昇させることで、上記説明したように、EC1色素36色素が発色状態とされた後に、EC1色素36が非発色状態とされると共にEC2色素38が発色状態とされる色変化が生じる。
このとき、EC3色素51及びEC4色素52については、これらは酸化型色素であることから非発色状態のままである。
一方、電極28側が正極となり、電極32側が負極となるように電極28及び電極32の電極間に電圧を印加し、印加電圧を除々に上昇させることで、還元型色素であるEC1色素36及びEC2色素38については非発色状態のまま維持され、酸化型色素であるEC3色素51及びEC4色素52が、上記EC1色素36及びEC2色素38と同様にして分子間における電子の授受により順次発色状態及び非発色状態となり、各EC色素の発色状態の色が選択的に表示されることとなる。
このように、更にEC1色素36及びEC2色素38が酸化型色素である場合には、還元型色素を、EC1色素36及びEC2色素38が還元型色素である場合には酸化型色素を更に含有することで、更なる多色表示が可能となる。
以上説明したように、本実施の形態の表示媒体12によれば、電圧印加部14から電極28及び電極32の電極間に、該電極間に含まれるEC色素の上記閾値(消色状態から発色状態へ変化するために電極間に印加される電圧の閾値)に応じて、消色状態から発色状態へ変化させる対象のEC色素の種類に対応する極性及び電圧値の電圧を印加することで、特定のEC色素の色、または特定のEC色素の特定の発色状態の色のみが選択的に発色した状態とされる。このため、各EC色素の色の混色が抑制される。
なお、この各EC色素を消色状態から発色状態へと変化させる電圧の電圧値及び極性は、予め制御部16の図示を省略するメモリに表示対象の色を示す情報に対応づけて記憶しておけばよい。そして、制御部16では、表示対象の色に対応する電圧値及び極性の電圧の印加を示す指示信号を電圧印加部14に出力すればよい。該指示信号を入力された電圧印加部14は、該指示信号に応じた極性及び電圧値の電圧を、電極28と電極32との電極間に印加すればよい。このようにすれば、所望のEC色素の色、または特定のEC色素の特定の発色状態の色が選択的に表示媒体12に表示されることとなる。
なお、この電圧印加部14から電極28及び電極32の電極間に印加される電圧は、各EC色素の閾値の電圧値へ向かって急激に変化する電圧(例えば、矩形波で変化する電圧)であってもよいが、該閾値の電圧値へ向かって段階的または連続的に変化する電圧を印加することが望ましい。
これは、上述のように、本実施の形態の表示媒体12においては、多孔質層34に保持されたEC1色素36(またはEC3色素51)と、電解質層24中に分散されたEC2色素38(またはEC4色素52)と、の間の分子間において電子の授受が行われることにより、一方が消色状態となり他方が発色状態となる。この電子の授受が行われている最中には、表示色が安定しない可能性が高いことから、各EC色素の各閾値の電圧値に向かって連続的または段階的に変化する電圧を印加することで、さらにEC色素間の混色が抑制されると考えられる。
なお、このような電圧印加は、制御部16による電圧印加部14の制御によって実現される。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
(実施例1)
図1に示す表示媒体12を下記の操作により作製した。
<表示基板及び背面基板の調整>
ITO電極を有する厚さ1.1mmのガラス基板(コーニング社製、商品名コーニング1737)を用意した。
<多孔質層の調整>
表示基板側には、多孔質層としてTiO多孔質層を設けた。具体的には、Solaronix社製TiOペースト(Ti−Nanoxide HT−LALT)をスキージ法で、上記表示基板のITO電極上に60μmの厚みに塗布し、大気中で130℃30分熱処理することで、表示基板のITO電極上に多孔質層を設けた。得られたTiO多孔質層の厚さは約10μmであった。
背面基板側には、多孔質層として、SnO/Sb(アンチモンドープ酸化スズ)を設けた。具体的には、SnO/Sb粉末(粒径20nmφ)に水(SnO 30wt%)、アセチルアセトン(SnOに対し10wt%)を加え、塩酸によりpH1.7程度に調整した。これにより良好なSnO水分散液が得られた。さらに、PEG20000をSnO量に対し40wt%加えてペースト状とした。このペーストをスキージ法で、背面基板のITO電極上に60μmの厚みに塗布し、大気中で450℃2時間以上熱処理することで、背面基板のITO電極上に多孔質層を設けた。得られたSnO/Sb多孔質層の厚さは約8μmであった。
<反射層の調整>
反射層としては、フィラーとしてTiO微粒子の分散されたポリエチレン多孔性高分子シートを用いた。厚さ31μm、シート本体の反射率は95.8%だった。
<EC1色素36の多孔質層への吸着>
EC1色素36として、下記(I)に示すビオロゲン誘導体(還元型色素)を用意した。
Figure 2010134308

(I)
このビオロゲン誘導体の2wt%水溶液に、上記TiO多孔質層の設けられた表示基板を24時間浸漬させることで、EC1色素としてのビオロゲン誘導体をTiO多孔質層上に吸着させた。上記TiO多孔質層の設けられた表示基板は、浸漬前に120℃で30分加熱処理をした。
<電解質層の調整>
電解質層を構成する電解液としては、過塩素酸テトラブチルアンモニウム(TBAP)50mM/フェロセン50mM/ジメチルスルホキシド(DMSO)溶液を用いた。
この電解液に、EC2色素38として、下記式(II)に示すテレフタル酸ジメチル(DTP)(還元型色素)を用意し、50mMの濃度で電解液中に溶解させた。
さらに、この電解液には、酸化還元剤として、フェロセンを50mMの濃度で電解液中に溶解させた。
Figure 2010134308
<表示媒体の作製>
上記の、EC1色素36としてのビオロゲン誘導体の吸着されたTiO多孔質層の設けられた表示基板と、多孔質層としてSnO/Sbの設けられた背面基板と、を、100μmのスペーサ(テフロン(登録商標)シート)を挟んで対向配置し、該ITO電極と、スペーサとによって区切られた領域(セル)内に、ITO電極間の中間の位置となるように上記反射層を配置すると共に、各セル内に上記EC2色素38としてのDTPと酸化還元剤としてのフェロセンの分散された電解液を充填した。これによって、図1に示す表示媒体を調整した。
なお、この表示媒体について、EC1色素36としてのビオロゲン誘導体の、上記ITO電極間に電圧が印加されたときに消色状態から発色状態へ変化するために印加する電圧の閾値を測定したところ、−1.5V(表示基板側が負極で背面基板側が正極)で消色状態から青色の発色状態へと変化し、−3.0Vで青色から黄色へ変化した。
同様に、EC2色素38としてのDTPの、上記ITO電極間に電圧が印加されたときに消色状態から発色状態へ変化するために印加する電圧の閾値を測定したところ、−5.0V(表示基板側が負極で背面基板側が正極)で消色状態から赤色の発色状態へと変化した。
この閾値の測定は、上記調整した表示媒体において、1種類のみのEC色素を含んだ構成とし、ITO電極間に電圧を印加し、0Vから除々に変化させたときに色変化が生じたときの電圧値を測定することによって行った。
本実施例1で調整した表示媒体について、表示基板側と背面基板側とのITO電極間に電圧を印加しない状態(0V)では、フェロセンによるごく僅かな着色のみで、全体的には反射層の色である白色が確認された。
この状態の表示媒体に、−1.5Vの電圧を10秒間印加し、次に−3.0Vの電圧を10秒間印加し、更に、−5.0Vの電圧を15秒間印加すると、表示媒体12の発色がそれぞれ青、黄、赤と変化した。なお、青及び黄色はビオロゲン誘導体の発色状態の色(互いに異なる電圧印加により発現する色)であり、赤は、DTPの発色状態の色である。
なお、本実施例、下記実施例、及び比較例における電圧印加において、マイナスの電圧印加は、表示基板側(TiO多孔質層の設けられた側)のITO電極を負極とし、背面基板側のITO電極を正極とした電圧印加を示している。
また、プラスの電圧印加は、表示基板側のITO電極を正極とし、背面基板側のITO電極を負極とした電圧印加を示している。
このため、例えば、上記「表示媒体に−1.5Vの電圧印加」とは、表示基板側のITO電極を負極とし、背面基板側のITO電極を正極として1.5Vの電圧を印加したことを示している。
このように、表示媒体において、印加電圧に応じて、EC1色素36の2色の色が順次発現した後に、EC2色素38の色が発現した。このため、表示媒体において、各EC色素の色、及び各EC色素の発色状態の各色が選択的に発色されたことが確認された。
さらに、上記−1.5V、−3.0V、及び−5.0Vの各々の電圧を印加したときの、表示媒体におけるRGB反射光強度の時間変化を、キーエンス社製 超高速デジタル画像センサCV−3500を用いて測定した。測定結果を図10、図11、及び図12に示した。
図10〜図11では、各々、図に示す期間Aに相当する期間が、上記−1.5V、−3.0V、及び−5.0Vの各々の電圧印加期間であり、線図50Rが、赤色の反射光強度を示しており、線図50Gが、緑色の反射光強度を示しており、線図50Bが、青色の反射光強度を示している。
図10に示すように、−1.5Vの電圧印加によって、表示媒体は青色に変化したことが分かる。そして、図11に示すように、−2.5Vの電圧印加によって、電圧印加直後には各EC色素の酸化還元反応により青色が表示された後に更に色が変化して黄色が表示されたことが分かる。
また、−5.0Vの電圧印加によって、図12に示すように、黄色から赤色に色が変化して、赤色が表示されたことが分かる。
このように、ITO電極に印加する電圧の電圧値及び極性を調整することで、目的とするEC色素及びEC色素の発色状態の中の特定の色を発現させることができた。
また、図12に示すように、−5.0Vの電圧印加直後においては黄色かが表示された後に色変化が生じて赤色が表示された状態で安定したことを示す結果が得られた。これは、多孔質層に保持されているEC1色素36としてのビオロゲン誘導体から、電解質中に分散されているEC2色素38としてのDTPへ電子が移動し、ビオロゲン誘導体の消色に伴いDTPが発色したことを示している。
次に、電圧印加の極性を反転させて、+3Vの電圧を5秒間印加したところ、発色状態が赤から黄色を経て青色に変化し、さらに透明(白色)になるという結果が観察(測定)されたた。これは、逆電圧の印加によって、電子がDTPからビオロゲン誘導体を経て電極に戻ったためと考えられる。
(実施例2)
上記実施例1においてEC2色素38として用いた、上記式(II)に示すテレフタル酸ジメチル(DTP)(還元型色素)に代えて、下記式(III)に示すビフェニルジカルボン酸ジエチル(BDCD)(還元型色素)を用いた以外は、実施例1と同じ方法により表示媒体を作製した。
Figure 2010134308

なお、実施例2で調整した表示媒体について、EC2色素38としてのBDCDの、上記ITO電極間に電圧が印加されたときに消色状態から発色状態へ変化するために印加する電圧の閾値を測定したところ、−5.0V(表示基板側が負極で背面基板側が正極)で消色状態から濃黄色の発色状態へと変化した。この閾値の測定は、実施例1と同じ方法を用いて行った。
本実施例2で調整した表示媒体について、表示基板側と背面基板側とのITO電極間に電圧を印加しない状態(0V)では、フェロセンによるごく僅かな着色のみで、全体的には反射層の色である白色が確認された。
この状態の表示媒体に、−1.5Vの電圧を10秒間印加し、次に−3.0Vの電圧を10秒間印加し、更に、−5.0Vの電圧を15秒間印加すると、表示媒体12の発色がそれぞれ青、黄、濃黄と変化した。なお、青及び黄色はビオロゲン誘導体の発色状態の色(互いに異なる電圧印加により発現する色)であり、濃黄は、BDCDの発色状態の色である。
このように、表示媒体において、印加電圧に応じて、EC1色素36の2色の色が順次発現した後に、EC2色素38の色が発現した。このため、各EC色素の色、及び各EC色素の発色状態の各色が選択的に発色されたことが確認された。
(実施例3)
表示基板及び背面基板としては、実施例1で調整した、ITO電極を有する厚さ1.1mmのガラス基板(コーニング社製、商品名コーニング1737)を用いた。
また、実施例1と同じ方法により、表示基板側には、多孔質層としてTiO多孔質層を設けた。また、実施例1と同じ方法により、背面基板側には、多孔質層として、SnO/Sb(アンチモンドープ酸化スズ)を設けた。さらに、実施例1と同じ方法により反射層を調整した。
<EC1色素36及びEC3色素51の多孔質層への吸着>
EC1色素36として、上記(I)に示すビオロゲン誘導体(還元型色素)を用意した。また、さらに、EC3色素51として、下記式(IV)に示すフェノチアジン誘導体(酸化型色素)を用意した。
Figure 2010134308

(I)
上記ビオロゲン誘導体と、フェノチアジン誘導体と、の各々を1対1の割合で混合して2wt%水溶液とし、上記TiO多孔質層の設けられた表示基板を24時間浸漬させることで、両色素(EC1色素36としてのビオロゲン誘導体と、EC3色素51としてのフェノチアジン誘導体と、の双方)をTiO多孔質層上に吸着させた。
<電解質層の調整>
電解質層を構成する電解液としては、実施例1で調整した電解液を用いた。
<表示媒体の作製>
上記の、EC1色素36としてのビオロゲン誘導体、及びEC3色素51としてのフェノチアジン誘導体の双方の吸着されたTiO多孔質層の設けられた表示基板と、多孔質層としてSnO/Sbの設けられた背面基板と、を、100μmのスペーサを挟んで対向配置し、該ITO電極と、スペーサとによって区切られた領域(セル)内に、ITO電極間の中間の位置となるように上記反射層を配置すると共に、各セル内に上記実施例1で調整した、EC2色素38としてのDTPと酸化還元剤としてのフェロセンの分散された電解液を充填した。これによって、図1に示す表示媒体を調整した。
なお、この表示媒体について、EC3色素51としてのフェノチアジン誘導体の、上記ITO電極間に電圧が印加されたときに消色状態から発色状態へ変化するために印加する電圧の閾値を実施例1と同じ方法を用いて測定したところ、+1.2Vで消色状態から赤色の発色状態へと変化した。
本実施例3で調整した表示媒体について、表示基板側と背面基板側とのITO電極間に電圧を印加しない状態(0V)では、フェロセンによるごく僅かな着色のみで、全体的には反射層の色である白色が確認された。
この状態の表示媒体に、−1.5Vの電圧を10秒間印加し、次に−3.0Vの電圧を10秒間印加し、更に、−5.0Vの電圧を15秒間印加すると、表示媒体12の発色がそれぞれ青、黄、赤と変化した。なお、青及び黄色はビオロゲン誘導体の発色状態の色(互いに異なる電圧印加により発現する色)であり、赤は、DTPの発色状態の色である。
次に、表示基板側(TiO多孔質層の設けられた側)のITO電極を正極とし、背面基板側のITO電極を負極として、+1.2Vの電圧を10秒間印加したところ、表示媒体12は赤色に発色した。なお、赤は、フェノチアジン誘導体の発色状態の色である。
このように、表示媒体において、印加電圧及び極性に応じて、還元型色素であるEC1色素36の2色の色が順次発現した後に、還元型色素であるEC2色素38の色が発現した。さらに、逆極性の電圧を印加したところ、酸化型色素であるEC3色素51の色が発現した。
このため、表示媒体において、各EC色素の色、及び各EC色素の発色状態の各色が選択的に発色されたことが確認された。
(実施例4)
上記実施例1で調整した表示媒体において、電解質中に酸化還元剤としてのフェロセンを添加しなかった以外は、実施例1と同じ方法により表示媒体を調整した。
実施例4で調整した表示媒体について、−1.5Vの電圧を10秒間印加した後に、極性を反転させて表示基板側のITO電極を正極として+1.5Vの電圧を10秒間印加する処理を20回行った後に、再度+1.5Vの電圧を10秒間印加して消色させたときの濃度を、表示基板の面の全領域の内の端部と中央部を含む10点について、濃度計(X−Rite社製、X−Rite404A)により測定した。この測定結果の濃度平均値を電圧印加前の値と比較し、増加率を求めたところ、1.8倍であった。
一方、実施例1で調整した表示媒体について、同様に、−1.5Vの電圧を10秒間印加した後に、極性を反転させて表示基板側のITO電極を正極として+1.5Vの電圧を10秒間印加する処理を20回行った後に、再度+1.5Vの電圧を10秒間印加して消色させたときの濃度を、表示基板の面の全領域の内の端部と中央部を含む10点について、濃度計(X−Rite社製、X−Rite404A)により測定した。この測定結果の濃度平均値を電圧印加前の値と比較し、増加率を求めたところ、1.4倍であった。
上記のように、電解質に酸化還元剤としてフェロセンを含む実施例1で調整した表示媒体の方が、電解質に該酸化還元剤を含まない実施例4で調整した表示媒体に比べて、白色度の低下が少なかった。これは、電解質に酸化還元剤を含む実施例1で調整した表示媒体の方が、電解質に酸化還元剤を含まない実施例4で調整した表示媒体に比べて、ビオロゲン誘導体の消え残りが少なく、酸化還元がより効率よく進行したためと考えられる。このことから、電解質への酸化還元剤の導入が、表示媒体の表示性能向上に繋がることがわかった。
(実施例5)
実施例5では、実施例1で調整した、多孔質層としてSnO/Sb(アンチモンドープ酸化スズ)の設けられた背面基板22に代えて、ITO電極上にカーボン電極を形成した背面基板を用いた以外は、実施例1と同じ方法により表示媒体を作製した。カーボン電極はグラファイトからなっており、炭素面が層状に重なっているため実効的な電極表面積は非常に大きく、多孔質電極として有効に機能する。
このカーボン電極の形成としては、詳細には、(株)アサヒ化学研究所製のカーボンペーストTU−100−5を、(株)アサヒ化学研究所製の希釈剤(♯100)で2倍に希釈し、スキージ法により、ITO電極上に塗布した。これを大気中で200℃10分間熱処理し、背面基板上にカーボン電極を設けた構成とした。
実施例5で調整した表示媒体について、−1.5Vの電圧を10秒間印加した後に、極性を反転させて表示基板側のITO電極を正極として+1.5Vの電圧を10秒間印加する処理を20回行った後に、再度+1.5Vの電圧を10秒間印加して消色させたときの濃度を、表示基板の面の全領域の内の端部と中央部を含む10点について、濃度計(X−Rite社製、X−Rite404A)により測定した。この測定結果を電圧印加前の値と比較し、増加率を求めたところ、1.2倍であった。
一方、実施例1で調整した表示媒体について、同様に、−1.5Vの電圧を10秒間印加した後に、極性を反転させて表示基板側のITO電極を正極として+1.5Vの電圧を10秒間印加する処理を20回行った後に、再度+1.5Vの電圧を10秒間印加して消色させたときの濃度を、表示基板の面の全領域の内の端部と中央部を含む10点について、濃度計(X−Rite社製、X−Rite404A)により測定した。この測定結果の濃度平均値を電圧印加前の値と比較し、増加率を求めたところ、1.4倍であった。
上記のように、背面基板側にSnO/Sb(アンチモンドープ酸化スズ)を設けた構成の実施例1で調整した表示媒体に比べて、背面基板側にカーボン電極を設けた構成の実施例5で調整した表示媒体の方が、白色度の低下が少なかった。これは、背面基板側にカーボン電極を設けた構成の実施例5で調整した表示媒体の方が、背面基板側にSnO/Sb(アンチモンドープ酸化スズ)を設けた構成の実施例1で調整した表示媒体に比べて、ビオロゲン誘導体の消え残りが少なく、酸化還元がより効率よく進行したためと考えられる。
このことから、EC色素の保持された多孔質層の設けられたITO電極側とは対極側への、カーボン電極の導入が、表示媒体の表示性能向上に繋がることがわかった。
(実施例6)
実施例1で調整した表示媒体について、−5.0Vと+5.0Vとの間で周期的に変化し、電圧波形として矩形波で変化する電圧を印加した。具体的には、−5.0Vの電圧を25秒間継続印加した後に、極性を反転させて表示基板側のITO電極を正極として+5.0Vの電圧を25秒間継続印加することによって、+5.0Vと−5.0Vの間を矩形波で変化する電圧の印加を繰り替えし100回行ない、1秒毎に表示基板の面の中央部のRGB反射光強度の時間変化を、キーエンス社製 超高速デジタル画像センサCV−3500を用いて測定、記録した。
また、実施例1で調整した表示媒体について、−5.0Vと+5.0Vとの間で周期的に変化し、電圧波形として三角波で変化する電圧を印加した。1周期は50秒とした。具体的には、0Vから−5.0Vに向かって除々に電圧を変化させて−5.0Vに到達した後に、極性を反転させて+5.0Vに向かって除々に電圧を変化させて+5.0Vの電圧を印加する一連の処理を、繰り返し100回行ない、1秒毎に表示基板の面の中央部のRGB反射光強度の時間変化を、キーエンス社製 超高速デジタル画像センサCV−3500を用いて測定、記録した。
その結果、実施例1で調整した表示媒体に、上記矩形波で変化する電圧を繰り返し印加した場合には、50回の該矩形波の電圧印加によって、表示媒体における消色状態と発色状態の変化がみられなくなった。
一方、実施例1で調整した表示媒体に、上記三角波で変化する電圧を繰り返し印加したところ、50回を超えても、表示媒体において発色状態と消色状態との切り替えが良好に生じ、120回を超えても劣化は見られなかった。
このため、表示媒体に印加する電圧は、閾値の電圧に向かって除々に変化する電圧を印加する方が、急激に閾値の電圧に向かって変化する電圧を印加するよりも、表示劣化が抑制されたという結果が得られた。
(比較例1)
本比較例1では、実施例1で用いたEC色素36に代えて、下記色素を用いた。
また、本比較例1では、電解質層を構成する電解液として、実施例1で用いた電解液に代えて、下記電解液を用いた。
また、実施例1では、EC色素36を多孔質層に吸着させたが、本比較例1では、実施例1で用いた多孔質層(TiO多孔質層)に色素を吸着させなかった。
上記以外は、実施例1と同様にして表示媒体を作製した。
詳細には、実施例1で用いたEC1色素36としての上記(I)に示すビオロゲン誘導体に代えて、該ビオロゲン誘導体の両末端がエチル基である色素(以下、色素(V)と称する)を用意した。
また、電解質層を構成する電解液としては、過塩素酸テトラブチルアンモニウム(TBAP)50mM/ジメチルスルホキシド(DMSO)溶液を用いた(すなわち、実施例1で用いた電解質におけるフェロセンを含めない形態)。
<表示媒体の作製>
色素の吸着されていないTiO多孔質層(色素が吸着されていない以外は実施例1と同一)の設けられた表示基板と、多孔質層としてSnO/Sbの設けられた背面基板と、を、100μmのスペーサ(テフロン(登録商標)シート)を挟んで対向配置し、該ITO電極と、スペーサとによって区切られた領域(セル)内に、ITO電極間の中間の位置となるように上記反射層を配置すると共に、各セル内に実施例1で用いたDTPと、本比較例で調整した電解液を充填した。これによって、電解液中に、DTPと、色素(V)と、の分散された表示媒体を調整した。
本比較例1で調整した表示媒体について、表示基板側と背面基板側とのITO電極間に電圧を印加しない状態(0V)では、全体的には反射層の色である白色が確認された。
この状態の表示媒体に、−1.5Vの電圧を10秒間印加すると、青色発色が見られたが、次に−3.0Vの電圧を10秒間印加しても、色変化は観察されず、青色発色のままであった。更に、−5.0Vの電圧を15秒間印加すると、紫色の発色が見られた。
上述のように、青及び黄色はビオロゲン誘導体の発色状態の色(互いに異なる電圧印加により発現する色)であり、赤は、DTPの発色状態の色である。このため、本比較例1では、各色素の混色状態となり、各色素の選択的な発色は観察されなかった。
本実施の形態の表示装置を示す模式図である。 本実施の形態の表示媒体の表示基板側を拡大した模式的な断面図である。 本実施の形態の表示媒体の表示基板側を拡大した模式的な断面図である。 本実施の形態の表示媒体の表示基板側を拡大した模式的な断面図である。 本実施の形態の表示媒体の表示基板側を拡大した模式的な断面図である。 本実施の形態の表示媒体の表示基板側を拡大した模式的な断面図である。 本実施の形態の表示媒体の表示基板側を拡大した模式的な断面図である。 本実施の形態の表示媒体の表示基板側を拡大した模式的な断面図である。 本実施の形態の表示装置の図1とは異なる態様を示す模式図である。 実施例1における表示媒体の反射強度の測定結果を示す線図である。 実施例1における表示媒体の反射強度の測定結果を示す線図である。 実施例1における表示媒体の反射強度の測定結果を示す線図である。
符号の説明
10 表示装置
12 表示媒体
14 電圧印加部
16 制御部
20 表示基板
22 背面基板
24 電解質層
26 支持基板
28 電極
30 支持基板
32 電極
34 多孔質層
36 EC1色素
38 EC2色素
40 反射層
42 電荷蓄積部材
44 酸化還元剤
51 EC3色素
52 EC4色素

Claims (14)

  1. 間隙をもって配置された一対の電極と、
    前記一対の電極間に配置された電解質と、
    前記一対の電極の向かい合う面の少なくとも一方に配置された導電性を有する多孔質層と、
    前記多孔質層に保持された第1のエレクトロクロミック色素と、
    前記電解質中に分散され、前記第1のエレクトロクロミック色素とは異なる色に発色する第2のエレクトロクロミック色素と、
    を備え、
    前記第1のエレクトロクロミック色素及び前記第2のエレクトロクロミック色素の双方が、電気化学的な酸化反応により発色し還元反応により消色する酸化型色素、または電気化学的な還元反応により発色し酸化反応により消色する還元型色素であり、
    前記第1のエレクトロクロミック色素及び前記第2のエレクトロクロミック色素の消色状態から発色状態へ変化するために前記一対の電極間に印加される電圧の閾値が下記式(1)の関係を満たす表示媒体。
    E1<E2 式(1)
    (式(1)中、E1は、前記第1のエレクトロクロミック色素が消色状態から発色状態へ変化するために前記一対の電極間に印加される電圧の閾値の絶対値を示し、
    E2は、前記第2のエレクトロクロミック色素が消色状態から発色状態へ変化するために前記一対の電極間に印加される電圧の閾値の絶対値を示す。)
  2. 前記第1のエレクロトクロミック色素及び前記第2のエレクトロクロミック色素は、該第1のエレクトロクロミック色素と該第2のエレクトロクロミック色素との分子間における電子の授受による酸化還元反応により一方が発色状態で他方が消色状態となることを特徴とする請求項1に記載の表示媒体。
  3. 前記第1のエレクトロクロミック色素は、前記発色状態において互いに異なる複数種類の色に発色し、各種類の色へ変化するために前記一対の電極間に印加される電圧の閾値が互いに異なることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表示媒体。
  4. 前記第2のエレクトロクロミック色素は、前記発色状態において互いに異なる複数種類の色に発色し、各種類の色へ変化するために前記一対の電極間に印加される電圧の閾値が互いに異なることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の表示媒体。
  5. 前記多孔質層に保持され、前記第1のエレクトロクロミック色素及び前記第2のエレクトロクロミック色素とは異なる色に発色する第3のエレクトロクロミック色素と、
    前記電解質中に分散され、前記第1のエレクトロクロミック色素、前記第2のエレクトロクロミック色素、及び前記第3のエレクトロクロミック色素とは異なる色に発色する第4のエレクトロクロミック色素と、
    を備え、
    前記第3のエレクトロクロミック色素及び前記第4のエレクトロクロミック色素の双方は、
    前記第1のエレクトロクロミック色素及び前記第2のエレクトロクロミック色素の双方が前記還元型色素のときには前記酸化型色素であり、前記第1のエレクトロクロミック色素及び前記第2のエレクトロクロミック色素の双方が前記酸化型色素のときには前記還元型色素であり、
    前記第3のエレクトロクロミック色素及び前記第4のエレクトロクロミック色素の、消色状態から発色状態へ変化するために前記一対の電極間に印加される電圧の閾値が下記式(2)の関係を満たすことを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の表示媒体。
    E3<E4 式(2)
    (式(2)中、E3は、前記第3のエレクトロクロミック色素が消色状態から発色状態へ変化するために前記一対の電極間に印加される電圧の閾値の絶対値を示し、
    E4は、前記第4のエレクトロクロミック色素が消色状態から発色状態へ変化するために前記一対の電極間に印加される電圧の閾値の絶対値を示す。)
  6. 前記第3のエレクロトクロミック色素及び前記第4のエレクトロクロミック色素は、該第3のエレクトロクロミック色素と該第4のエレクトロクロミック色素との分子間における電子の授受による酸化還元反応により一方が発色状態で他方が消色状態となることを特徴とする請求項5に記載の表示媒体。
  7. 前記第3のエレクトロクロミック色素は、前記発色状態において互いに異なる複数種類の色に発色し、各種類の色へ変化するために前記一対の電極間に印加される電圧の閾値が互いに異なることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の表示媒体。
  8. 前記第4のエレクトロクロミック色素は、前記発色状態において互いに異なる複数種類の色に発色し、各種類の色へ変化するために前記一対の電極間に印加される電圧の閾値が互いに異なることを特徴とする請求項5〜請求項7の何れか1項に記載の表示媒体。
  9. 前記電解質が非発色の酸化還元剤を含むことを特徴とする請求項1〜請求項8の何れか1項に記載の表示媒体。
  10. 前記一対の電極の互いに向かい合う面の内の、前記多孔質層の設けられていない側に、非発色の酸化還元剤が保持されたことを特徴とする請求項1〜請求項9の何れか1項に記載の表示媒体。
  11. 前記一対の電極の互いに向かい合う面の内の、前記多孔質層の設けられていない側に、電荷を蓄積する電荷蓄積部材が設けられたことを特徴とする請求項1〜請求項10の何れか1項に記載の表示媒体。
  12. 間隙をもって配置された一対の電極と、
    前記一対の電極間に配置された電解質と、
    前記一対の電極の向かい合う面の少なくとも一方に配置された導電性を有する多孔質層と、
    前記多孔質層に保持された第1のエレクトロクロミック色素と、
    前記電解質中に分散され、前記第1のエレクトロクロミック色素とは異なる色に発色する第2のエレクトロクロミック色素と、
    を備え、
    前記第1のエレクトロクロミック色素及び前記第2のエレクトロクロミック色素の双方が、電気化学的な酸化反応により発色し還元反応により消色する酸化型色素、または電気化学的な還元反応により発色し酸化反応により消色する還元型色素であり、
    前記第1のエレクトロクロミック色素及び前記第2のエレクトロクロミック色素の消色状態から発色状態へ変化するために前記一対の電極間に印加される電圧の閾値が下記式(3)の関係を満たす表示媒体と、
    前記一対の電極に電圧を印加する電圧印加装置と、
    を備えた事を特徴とする表示装置。
    E1<E2 式(3)
    (式(3)中、E1は、前記第1のエレクトロクロミック色素が消色状態から発色状態へ変化するために前記一対の電極間に印加される電圧の閾値の絶対値を示し、
    E2は、前記第2のエレクトロクロミック色素が消色状態から発色状態へ変化するために前記一対の電極間に印加される電圧の閾値の絶対値を示す。)
  13. 前記第1のエレクロトクロミック色素及び前記第2のエレクトロクロミック色素は、該第1のエレクトロクロミック色素と該第1のエレクトロクロミック色素との分子間における電子の授受による酸化還元反応により一方が発色状態で他方が消色状態となることを特徴とする請求項12に記載の表示装置。
  14. 前記第1のエレクトロクロミック色素が消色状態から発色状態へ変化するために前記一対の電極間に印加される電圧の閾値に向かって連続的または段階的に変化する電圧を前記一対の電極間に印加した後に、
    前記第2のエレクトロクロミック色素が消色状態から発色状態へ変化するために前記一対の電極間に印加される電圧の閾値に向かって連続的または段階的に変化する電圧を前記一対の電極間に印加するように、
    前記電圧印加装置を制御する制御装置を更に備えた請求項12または請求項13に記載の表示装置。
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